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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108181
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220715BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B27/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003071
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐脇 悟志
(72)【発明者】
【氏名】林 博巳
【テーマコード(参考)】
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C158AA03
3C158AA12
3C158AB04
3C158AC02
3C158BB09
3C158CA01
3C158CB05
5F063AA35
5F063BA48
5F063CA04
5F063DD01
5F063DE11
5F063DE33
5F063FF03
5F063FF04
(57)【要約】
【課題】端材をより小さくできる切削装置を提供すること。
【解決手段】切削装置1が備える制御ユニット50は、加工条件記憶部51と、端材サイズ算出部52とを有する。加工条件記憶部51は、入力ユニット42によって入力されたパッケージ基板100のサイズと分割予定ラインの本数及び位置とを示す基板データと、複数の分割予定ラインを切削する順序を示す切削順序データと、を含む加工条件を記憶する。端材サイズ算出部52は、加工条件記憶部51に記憶された加工条件から外周余剰領域104が切削されて形成される端材のサイズを算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の分割予定ラインで区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを有するパッケージ基板を、該分割予定ラインに沿って分割する切削装置であって、
該パッケージ基板を保持する保持面を有する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された該パッケージ基板を該分割予定ラインに沿って切削する切削ブレードを有する切削ユニットと、
該切削ユニットと、該保持テーブルと、を相対的に該保持面に平行なX方向へ送るX方向送りユニットと、
該切削ユニットを水平方向において該X方向と直交するY方向に送るY方向送りユニットと、
加工条件を入力する入力ユニットと、
モニタと、
制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
該入力ユニットによって入力された該パッケージ基板のサイズと該分割予定ラインの本数と位置とを示す基板データと、複数の該分割予定ラインを切削する順序を示す切削順序データと、を含む加工条件を記憶する加工条件記憶部と、
該加工条件記憶部に記憶された該加工条件から該外周余剰領域が切削されて形成される端材のサイズを算出する端材サイズ算出部と、を有することを特徴とする切削装置。
【請求項2】
該制御ユニットは、該加工条件を提案する提案部を有し、
該提案部は、現在設定されている該加工条件の該端材のサイズより、該端材のサイズが小さくなる該加工条件を提案することを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
該制御ユニットは、該加工条件を提案する提案部を有し、
該提案部は、該加工条件を変更した場合の複数の該端材のサイズをそれぞれ算出して該モニタに出力し、所望する該端材のサイズに該当する該加工条件を設定可能にすることを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【請求項4】
該保持面は、
該分割予定ラインに応じて形成され該切削ブレードが挿入される溝と、
複数の該デバイス領域に対応して形成された複数の吸引孔を有する保持板と、を有し、
該保持テーブルは、該吸引孔と吸引源とを連通される吸引路とを有し、
該パッケージ基板は、切削中に該外周余剰領域が分割されて端材となり、該保持面から除去されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板を分割する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ基板を吸引保持し、吸引保持したパッケージ基板を切削して個々のパッケージに分割する切削装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-049430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッケージ基板を切削する切削装置において、デバイス領域のみが吸引保持され、外周余剰領域が吸引保持されていない場合、分割された外周余剰領域は端材となって加工室内に飛散する。そして長い端材が発生し続けると、端材が詰まったり、カット室内に干渉したりして、装置の故障の原因になるおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、端材をより小さくできる切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の切削装置は、表面に複数の分割予定ラインで区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを有するパッケージ基板を、該分割予定ラインに沿って分割する切削装置であって、該パッケージ基板を保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された該パッケージ基板を該分割予定ラインに沿って切削する切削ブレードを有する切削ユニットと、該切削ユニットと、該保持テーブルと、を相対的に該保持面に平行なX方向へ送るX方向送りユニットと、該切削ユニットを水平方向において該X方向と直交するY方向に送るY方向送りユニットと、加工条件を入力する入力ユニットと、モニタと、制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該入力ユニットによって入力された該パッケージ基板のサイズと該分割予定ラインの本数と位置とを示す基板データと、複数の該分割予定ラインを切削する順序を示す切削順序データと、を含む加工条件を記憶する加工条件記憶部と、該加工条件記憶部に記憶された該加工条件から該外周余剰領域が切削されて形成される端材のサイズを算出する端材サイズ算出部と、を有することを特徴とする。
【0007】
該制御ユニットは、該加工条件を提案する提案部を有し、該提案部は、現在設定されている該加工条件の該端材のサイズより、該端材のサイズが小さくなる該加工条件を提案してもよい。
【0008】
該制御ユニットは、該加工条件を提案する提案部を有し、該提案部は、該加工条件を変更した場合の複数の該端材のサイズをそれぞれ算出して該モニタに出力し、所望する該端材のサイズに該当する該加工条件を設定可能にしてもよい。
【0009】
該保持面は、該分割予定ラインに応じて形成され該切削ブレードが挿入される溝と、複数の該デバイス領域に対応して形成された複数の吸引孔を有する保持板と、を有し、該保持テーブルは、該吸引孔と吸引源とを連通される吸引路とを有し、該パッケージ基板は、切削中に該外周余剰領域が分割されて端材となり、該保持面から除去されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、端材をより小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1の切削装置の切削対象であるパッケージ基板を示す平面図である。
図3図3は、図1の切削装置の保持面を示す平面図である。
図4図4は、図1の切削装置の保持テーブルを示す平面図である。
図5図5は、図1の切削装置の加工条件記憶部が記憶する基板データの一例を示す図である。
図6図6は、図1の切削装置の加工条件記憶部が記憶する切削順序データの一例を示す図である。
図7図7は、図6の切削順序データの切削順序1で切削した場合の端材のデータを示す図である。
図8図8は、図6の切削順序データの切削順序2で切削した場合の端材のデータを示す図である。
図9図9は、図6の切削順序データの切削順序3で切削した場合の端材のデータを示す図である。
図10図10は、図6の切削順序データの切削順序4で切削した場合の端材のデータを示す図である。
図11図11は、図6の切削順序データの切削順序5で切削した場合の端材のデータを示す図である。
図12図12は、実施形態1に係る切削装置の動作処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態1に係る切削装置のモニタが表示する切削順序設定画面の一例を示す図である。
図14図14は、実施形態1に係る切削装置のモニタが表示する端材サイズ算出結果画面の第1例を示す図である。
図15図15は、実施形態1に係る切削装置のモニタが表示する端材サイズ算出結果画面の第2例を示す図である。
図16図16は、実施形態2に係る切削装置の動作処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、実施形態2に係る切削装置のモニタが表示する端材サイズ算出結果画面の第1例を示す図である。
図18図18は、実施形態2に係る切削装置のモニタが表示する端材サイズ算出結果画面の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る切削装置1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る切削装置1の構成例を示す斜視図である。実施形態に係る切削装置1は、図1に示すように、保持テーブル10と、切削ユニット20と、撮像ユニット25と、X方向送りユニット31と、Y方向送りユニット32と、Z方向送りユニット33と、モニタ41と、入力ユニット42と、制御ユニット50と、を備える。
【0014】
図2は、図1の切削装置1の切削対象であるパッケージ基板100を示す平面図である。実施形態1において、切削装置1が切削する切削対象であるパッケージ基板100は、図2に示すように、平面形状が矩形の平板状に形成されている。パッケージ基板100は、矩形の平板状の基板101を備える。基板101は、実施形態1では、例えば、42アロイ(鉄とニッケルとの合金)や、銅を含む金属(即ち、銅合金)などの金属で構成される。基板101は、図2に示す実施形態1の例では、図2の横方向である長手方向の長さが220mmであり、図2の縦方向である幅方向の長さが90mmであるが、本発明ではこれに限定されない。
【0015】
パッケージ基板100は、基板101の表面102に、デバイス領域103と、デバイス領域103を囲繞する外周余剰領域104とを有している。パッケージ基板100は、実施形態1では、3つのデバイス領域103を有しており、隣接するデバイス領域103の間にも外周余剰領域104を有している。パッケージ基板100は、基板101の表面102に、互いに交差する複数の分割予定ライン105が設定されている。互いに交差する複数の分割予定ライン105のうちの一方の分割予定ライン105は、基板101の長手方向と平行な方向に伸長し、他方の分割予定ライン105は、基板101の長手方向に対して直交しかつ基板101の幅方向と平行な方向に伸長する。また、複数の分割予定ライン105のうちの一部の分割予定ライン105は、一部分がデバイス領域103と外周余剰領域104との境界線に沿って設定されており、残りの分割予定ライン105は、一部分がデバイス領域103の内部を貫通して設定されている。パッケージ基板100は、互いに交差する複数の分割予定ライン105で区画されたデバイス領域103内の各領域に、樹脂により封止されたデバイス106が配設されている。パッケージ基板100は、複数の分割予定ライン105に沿って切削されることで、複数のデバイス106に分割される。
【0016】
パッケージ基板100は、図2に示す実施形態1の例では、外周余剰領域104が、長手方向の両側及び隣接するデバイス領域103の間にそれぞれ10mmの長さ分の領域が設定され、幅方向の両側にそれぞれ15mmの幅分の領域が設定されている。なお、パッケージ基板100におけるこれらの各領域に関する数値は、分割予定ライン105の幅を無視する近似をしたときの値である。また、パッケージ基板100は、図2に示す実施形態1の例では、基板101の長手方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105が4本、基板101の幅方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105が15本、合計19本設定されている。
【0017】
以下において、図2に示す実施形態1の例では、適宜、分割予定ライン105に通し番号の識別番号を付して表す。具体的には、基板101の長手方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105には、図2の下から上に向かう順番で、それぞれ図2において丸囲み文字で示すように識別番号1番~4番を付し、基板101の幅方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105には、図2の左から右に向かう順番で、それぞれ図2において丸囲み文字で示すように識別番号5番~19番を付す。
【0018】
基板101の長手方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105は、図2に示す実施形態1の例では、一方の端から1本目と4本目(すなわち両端、識別番号で1番と4番)の2本がデバイス領域103と外周余剰領域104との境界線に沿って設定されており、一方の端から2本目と3本目(中央の2本、識別番号で2番と3番)の2本がデバイス領域103を貫通して設定されている。基板101の長手方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105は、隣接する分割予定ライン105の幅方向中心を通る中心線同士の間隔が20mmで配列されている。
【0019】
基板101の幅方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105は、図2に示す実施形態1の例では、一方の端から1本目、5本目、6本目、10本目、11本目、及び15本目の6本(識別番号で5番、9番、10番、14番、15番及び19番)がデバイス領域103と外周余剰領域104との境界線に沿って設定されており、残りの9本(識別番号で6番~8番、11番~13番、16番~18番)がデバイス領域103を貫通して設定されている。基板101の幅方向と平行な方向に伸長する分割予定ライン105のうち、1つのデバイス領域103の両端及び当該デバイス領域103を貫通して設定された分割予定ライン105は、隣接する分割予定ライン105の中心線同士の間隔が15mmで配列されている。
【0020】
保持テーブル10は、図1に示すように、テーブルベース11と、保持面12とを有する。保持テーブル10のテーブルベース11は、不図示の回転駆動源に連結されており、不図示の回転駆動源により鉛直方向であり、保持面12の上方の面12-1と平行な水平面(XY平面)に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。保持テーブル10のテーブルベース11は、テーブルベース11の下方に設けられたX方向送りユニット31により、切削ユニット20に対して相対的に、保持面12の上方の面12-1と平行な水平方向の一方向であるX方向に移動自在に設けられている。テーブルベース11の上面11-1には、パッケージ基板100に対応した保持面12が着脱可能に装着される。
【0021】
図3は、図1の切削装置1の保持面12を示す平面図である。図4は、図1の切削装置1の保持テーブル10を示す平面図である。保持面12は、図3に示すように、平面視でパッケージ基板100に対応した矩形状の、平板状の部材(保持部材、保持板)である。保持面12は、図4に示すように、上方の面12-1側にパッケージ基板100を吸引保持する面が形成され、下方の面12-2側がテーブルベース11に着脱可能に装着可能に形成されている。保持面12は、下方の面12-2側がテーブルベース11に装着されることにより、上方の面12-1が水平面であるXY平面に平行となる。保持面12は、実施形態1では、例えば、ニトリルゴムやエチレンゴムなどのウレタンゴムで構成される。
【0022】
保持面12は、図3及び図4に示すように、上方の面12-1側に、パッケージ基板100の分割予定ライン105に対応する位置に形成された複数の溝12-3を有する。溝12-3は、パッケージ基板100の分割予定ライン105を切削する切削ブレード21が挿入される逃げ溝であり、幅がパッケージ基板100の分割予定ライン105の幅及び切削ブレード21の厚さよりも広く、深さが切削ブレード21の切り込み深さよりも深く形成されている。保持面12は、図3に示すように、複数の溝12-3により、複数の分割予定ライン105で分割された後のパッケージ基板100の各領域に対応する複数の領域に区画される。
【0023】
保持面12は、図3に示すように、パッケージ基板100の複数のデバイス領域103内の各領域に対応する各領域にそれぞれ所定の個数(図3に示す例では1個)ずつ形成された複数の吸引孔12-4を有する。複数の吸引孔12-4は、図4に示すように、いずれもテーブルベース11の吸引路11-2及び吸引バルブ11-4を介して吸引源11-6と連通される。保持面12は、複数の吸引孔12-4から上方の面12-1側に、吸引路11-2及び吸引バルブ11-4を介して吸引源11-6からの負圧が導入されて、パッケージ基板100の複数のデバイス領域103内の各領域をそれぞれ吸引保持する。
【0024】
実施形態1では、このように、パッケージ基板100の複数のデバイス領域103内の各領域に対応する保持面12の各領域は、複数の吸引孔12-4が設けられてパッケージ基板100を吸引保持する吸引保持領域に設定され、パッケージ基板100の外周余剰領域104に対応する保持面12の領域は、複数の吸引孔12-4が設けられないでパッケージ基板100を吸引保持しない非保持領域に設定されているので、パッケージ基板100のうち全てのデバイス領域103から切り離された外周余剰領域104の部分は、保持面12に吸引保持されない端材110(図7から図11参照)となり、保持面12から除去される。実施形態1に係る切削装置1は、このように、パッケージ基板100のうち全てのデバイス領域103から切り離された外周余剰領域104の部分が切り離されると端材110となって保持面12から除去されるので、切削加工で発生する端材110のサイズを算出し、切削加工で発生する端材110のサイズが小さくなる加工条件(切削順序)を提案するという本願発明による作用効果をより顕著に奏する。
【0025】
テーブルベース11は、図4に示すように、上面11-1の中央領域に形成された吸引路11-2と、上面11-1の外周領域に形成された吸引路11-3と、を有する。吸引路11-2は、吸引バルブ11-4を介して吸引源11-6と保持面12の複数の吸引孔12-4とを連通し、複数の吸引孔12-4に吸引源11-6の負圧を導入する。吸引路11-3は、吸引バルブ11-5を介して吸引源11-6と上面11-1のパッケージ基板100の外周余剰領域104に対応する領域とを連通し、上面11-1のパッケージ基板100の外周余剰領域104に対応する領域に吸引源11-6の負圧を導入する。
【0026】
切削ユニット20は、スピンドルの先端に装着された切削ブレード21を有し、スピンドルにより水平方向の別の一方向でありX方向に直交するY方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられた切削ブレード21で、保持テーブル10の保持面12で保持されたパッケージ基板100を分割予定ライン105に沿って切削する。切削ユニット20は、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33により、保持テーブル10に対して相対的に、それぞれY方向及びZ方向に移動自在に設けられている。
【0027】
切削装置1は、切削ユニット20の切削ブレード21を回転させながら、X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33により、回転中の切削ブレード21を、保持テーブル10上のパッケージ基板100に切り込ませて、パッケージ基板100に対して相対的に分割予定ライン105に沿って移動させることにより、回転中の切削ブレード21でパッケージ基板100を分割予定ライン105に沿って切削加工する。
【0028】
撮像ユニット25は、保持テーブル10に保持された切削加工前のパッケージ基板100の分割予定ライン105や切削加工後のパッケージ基板100に形成された切削溝等を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット25は、実施形態1では、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。
【0029】
撮像ユニット25は、保持テーブル10に保持された切削加工前のパッケージ基板100を撮像して、パッケージ基板100と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット50に出力する。また、撮像ユニット25は、保持テーブル10に保持された切削加工後のパッケージ基板100を撮像して、切削溝が分割予定ライン105の中に収まっているか、大きな欠けなどが発生していないかを自動的に確認する、いわゆるカーフチェックを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット50に出力する。
【0030】
X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33は、それぞれ、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的に、X方向(加工送り方向)、Y方向(割り出し送り方向)及びZ方向(切り込み送り方向)に送る。X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33は、それぞれ、例えば、X軸、Y軸及びZ軸の軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のパルスモータ、及び、保持テーブル10または切削ユニット20をX方向、Y方向またはZ方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備えて構成されている。
【0031】
X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33は、パルスモータの回転位置を読み取るエンコーダを含み、エンコーダが読み取ったパルスモータの回転位置に基づいて、保持テーブル10と切削ユニット20とのX方向、Y方向及びZ方向の相対的な位置を検出し、検出した相対的な位置を制御ユニット50に出力する。なお、X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33は、エンコーダにより保持テーブル10と切削ユニット20との相対的な位置を検出する構成に限定されず、それぞれX方向、Y方向及びZ方向に平行なリニアスケールと、X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33によりそれぞれX方向、Y方向及びZ方向に移動自在に設けられリニアスケールの目盛を読み取る読み取りヘッドと、により構成してもよい。
【0032】
モニタ41は、制御ユニット50の加工条件記憶部51に記憶させる基板データ200(図5参照)や切削順序データ210(切削順序データ211,212,213,214,215、図6参照)の入力の画面や、切削順序設定画面310(図13参照)等の切削順序データ210の設定の画面等を含む切削装置1の切削加工の条件(加工条件)の設定の画面を表示する。モニタ41は、端材サイズ算出結果画面320,330(図14及び図15参照)等の、制御ユニット50の端材サイズ算出部52による端材110のサイズの算出結果や、制御ユニット50の提案部53による加工条件(切削順序)の提案結果等の画面を表示する。モニタ41は、実施形態1では、液晶表示装置等により構成される。モニタ41は、オペレータが切削装置1の加工条件等の各種設定に関する情報等を入力する際に使用する入力ユニット42が設けられている。モニタ41に設けられた入力ユニット42は、実施形態1では、モニタ41に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。また、実施形態1においてモニタ41及び入力ユニット42は切削装置1に設置されているが、本発明はこれに限らない。例えば、加工装置1が、モニタ41及び入力ユニット42の代わりに、有線または無線で、スマートフォンやタブレット、ウェアラブルデバイス、コンピュータなどの情報機器に接続され、情報機器の表示部に表示したり、情報機器の入力部を介して操作されたりしても良い。
【0033】
制御ユニット50は、切削装置1の各種構成要素の動作を制御して、オペレータが入力ユニット42から入力及び設定した切削順序を含む加工条件に従って、パッケージ基板100の切削加工処理を切削装置1に実施させる。制御ユニット50は、テーブルベース11に連結された回転駆動源を制御して、保持テーブル10上のパッケージ基板100の長手方向及び幅方向の向きを制御する。制御ユニット50は、吸引バルブ11-4,11-5を制御して、それぞれ、吸引源11-6の負圧の複数の吸引孔12-4への導入や、吸引源11-6の負圧の上面11-1のパッケージ基板100の外周余剰領域104に対応する領域への導入を制御する。
【0034】
制御ユニット50は、撮像ユニット25を制御して撮像ユニット25が撮像したアライメントを遂行するための画像を取得し、この画像に基づいてアライメントを遂行する。制御ユニット50は、アライメントの遂行結果に従って、X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33を制御して、X方向送りユニット31、Y方向送りユニット32及びZ方向送りユニット33で保持テーブル10と切削ユニット20とのX方向、Y方向及びZ方向の相対的な位置を検出しながら、保持テーブル10上のパッケージ基板100を切削加工するときの切削ブレード21の位置及び移動経路を制御する。制御ユニット50は、モニタ41に表示させる各画面を生成して、これらの画面をモニタ41に表示させる。制御ユニット50は、入力ユニット42から入力された情報を取得する。
【0035】
制御ユニット50は、図1に示すように、加工条件記憶部51と、端材サイズ算出部52と、提案部53と、を有する。加工条件記憶部51は、入力ユニット42によって入力されたパッケージ基板100のサイズとパッケージ基板100の分割予定ライン105の本数と分割予定ライン105の位置とを示す基板データ200と、複数の分割予定ライン105を切削する順序を示す切削順序データ210と、を含む加工条件を記憶する。加工条件記憶部51は、実施形態1では、パッケージ基板100の種類毎に、パッケージ基板100のサイズと、パッケージ基板100の分割予定ライン105の本数と、各分割予定ライン105の延びる方向、位置、及び、デバイス領域103の内部に形成されているか、または外周余剰領域104とデバイス領域103の境界に形成されているかなどのパッケージ基板100の構造上の性質とを、基板データ200として記憶する。また、加工条件記憶部51は、パッケージ基板100の種類毎に、複数の分割予定ライン105を切削する複数種類の順序を、基板データ200と対応付けて切削順序データ210として記憶する。また、加工条件記憶部51は、保持テーブル10の保持面12の吸引保持領域及び非保持領域を記憶する。また、加工条件記憶部51は、予めオペレータが入力ユニット42から入力して設定した、提案部53が使用する端材110のサイズの閾値を記憶する。
【0036】
図5は、図1の切削装置1の加工条件記憶部51が記憶する基板データの一例(基板データ200)を示す図である。加工条件記憶部51は、図5に示すように、パッケージ基板100のサイズを、長手方向の長さ及び幅方向の長さで、基板データ200に記憶している。また、加工条件記憶部51は、パッケージ基板100の分割予定ライン105の本数を、基板データ200に記憶している。また、加工条件記憶部51は、図5に示すように、各分割予定ライン105の延びる方向、位置及び性質を、各分割予定ライン105の識別番号と、各分割予定ライン105の延びる方向と、各分割予定ライン105の位置と、各分割予定ライン105の性質とを互いに対応付けて基板データ200に記憶している。
【0037】
ここで、図5に示す基板データ200の例では、各分割予定ライン105の延びる方向は、当該分割予定ライン105に沿って切削加工する際に使用するチャンネル(CH)と、当該分割予定ライン105の延びる方向(括弧書き)とで表されている。実施形態1に係る切削装置1では、チャンネルは、チャンネル1(CH1)とチャンネル2(CH2)との2種類が設定できる。チャンネル1は、パッケージ基板100及び保持テーブル10の長手方向を加工送り方向であるX方向に沿って合わせ、幅方向を割り出し送り方向であるY方向に沿って合わせ、長手方向に延びる分割予定ライン105に沿って切削加工するモードを指す。チャンネル2は、チャンネル1から保持テーブルを90度回転させ、パッケージ基板100及び保持テーブル10の幅方向を加工送り方向であるX方向に沿って合わせ、長手方向を割り出し送り方向であるY方向に沿って合わせ、幅方向に延びる分割予定ライン105に沿って切削加工するモードを指す。また、図5に示す基板データ200の例では、各分割予定ライン105の位置は、各分割予定ライン105の延びる方向に対して垂直な方向の位置、すなわち、当該分割予定ライン105を切削加工する際の割り出し送り方向の位置で表されている。
【0038】
また、図5に示す基板データ200の例では、各分割予定ライン105の性質は、長手方向外周、長手方向内部、幅方向外周、幅方向内部、幅方向中間端材の5種類で表されている。長手方向外周は、長手方向に沿って、デバイス領域103と外周余剰領域104との境界線に沿って設定された分割予定ライン105を示している。長手方向内部は、長手方向に沿って、デバイス領域103の内部を貫通して設定された分割予定ライン105を示している。幅方向外周は、幅方向に沿って、デバイス領域103と外周余剰領域104との境界線に沿って設定された分割予定ライン105のうち、長手方向の外周側の外周余剰領域104の部分に設定された分割予定ライン105を示している。幅方向内部は、幅方向に沿って、デバイス領域103の内部を貫通して設定された分割予定ライン105を示している。幅方向中間端材は、幅方向に沿って、デバイス領域103と外周余剰領域104との境界線に沿って設定された分割予定ライン105のうち、隣接するデバイス領域103の間の外周余剰領域104の部分に設定された分割予定ライン105を示している。
【0039】
図6は、図1の切削装置1の加工条件記憶部51が記憶する切削順序データの一例(切削順序データ210)を示す図である。加工条件記憶部51は、図6に示すように、複数種類(図6に示す例では、5種類)の切削順序に係る切削順序データ211,212,213,214,215を、切削順序データ210に記憶している。なお、加工条件記憶部51は、本発明ではこれに限定されず、1種類の切削順序のみを切削順序データ210に記憶していてもよいし、考えられる全種類の切削順序を切削順序データ210に記憶していてもよい。加工条件記憶部51は、複数の分割予定ライン105を切削する複数種類の順序を、切削順序毎にそれぞれ、当該切削順序で切削加工して切断する際の切削装置1の処理を規定するサブインデックスのデータで、それぞれ切削順序データ211,212,213,214,215に記憶している。加工条件記憶部51は、図6に示す実施形態1の例では、切削加工する際に使用するチャンネルと、チャンネルに設定した際に最初に切削加工する分割予定ライン105と、最初に切削加工する分割予定ライン105を基準としてインデックス送り(割り出し送り)及び切削加工を繰り返して複数の分割予定ライン105を規則的に切削加工する際のインデックス送り量(移動量)並びにインデックス送り及び切削加工の実施回数とを、切削順序データ211,212,213,214,215に記憶している。ここで、インデックス送り量(移動量)は、ある分割予定ライン105を切削後、次の分割予定ライン105を切削するために切削ブレード21の幅方向中心を通る中心線を割り出し送り方向に移動させる量のことである。
【0040】
切削順序データ211は、図6に示すように、先に長手方向に沿った分割予定ライン105を一方の端から順番に切削加工して切断し、その後、幅方向に沿った分割予定ライン105を一方の端から順番に切削加工して切断する際のサブインデックスのデータである。切削順序データ212は、図6に示すように、先に幅方向に沿った分割予定ライン105を一方の端から順番に切削加工して切断し、その後、長手方向に沿った分割予定ライン105を一方の端から順番に切削加工して切断する際のサブインデックスのデータである。切削順序データ213は、図6に示すように、長手方向外周、幅方向外周及び幅方向中間端材の分割予定ライン105を先に切削加工して切断し、その後、長手方向内部及び幅方向内部の分割予定ライン105を切削加工して切断する際のサブインデックスのデータである。切削順序データ214は、図6に示すように、長手方向内部の分割予定ライン105を先に切削加工して切断し、その後、幅方向に沿った分割予定ライン105を一方の端から順番に切削加工して切断してから、長手方向外周の分割予定ライン105を切削加工して切断する際のサブインデックスのデータである。切削順序データ215は、図6に示すように、幅方向内部の分割予定ライン105を先に切削加工して切断し、その後、長手方向に沿った分割予定ライン105を一方の端から順番に切削加工して切断してから、幅方向外周及び幅方向中間端材の分割予定ライン105を切削加工して切断する際のサブインデックスのデータである。
【0041】
端材サイズ算出部52は、加工条件記憶部51に記憶された保持テーブル10の保持面12の吸引保持領域及び非保持領域と、加工条件記憶部51に記憶された加工条件(基板データ200及び切削順序データ210)とから、パッケージ基板100の外周余剰領域104が切削されて形成される端材110のサイズを算出する。端材サイズ算出部52は、実施形態1では、端材110のサイズを、端材110の長手方向の長さ及び幅方向の長さで算出するが、本発明ではこれに限定されず、例えば端材110の面積で算出してもよい。
【0042】
図7は、図6の切削順序データ210の切削順序1で切削した場合の端材110のデータを示す図である。端材サイズ算出部52は、図5の基板データ200に基づくパッケージ基板100を、図6の切削順序データ211に基づいて切削して切断する処理について、所定の電算処理を実行することで、図7に示す端材110のデータを算出する。端材サイズ算出部52は、実施形態1では、算出した図7に示す端材110のデータに基づいて、各端材110の長手方向の長さ及び幅方向の長さを算出し、算出した長手方向の長さ及び幅方向の長さのうちの最大値(図7に示す例では220mm)を、端材110のサイズの最大値(最大端材サイズ)として算出する。なお、端材サイズ算出部52は、本発明ではこれに限定されず、端材110のサイズを端材110の面積で算出する場合には、算出した図7に示す端材110のデータに基づいて、各端材110の面積を算出し、算出した面積のうちの最大値(図7に示す例では、3300cm)を、端材110のサイズの最大値(最大端材サイズ)として算出してもよい。
【0043】
図8は、図6の切削順序データ210の切削順序2で切削した場合の端材110のデータを示す図である。図9は、図6の切削順序データ210の切削順序3で切削した場合の端材110のデータを示す図である。図10は、図6の切削順序データ210の切削順序4で切削した場合の端材110のデータを示す図である。図11は、図6の切削順序データ210の切削順序5で切削した場合の端材110のデータを示す図である。端材サイズ算出部52は、図5の基板データ200に基づくパッケージ基板100を、それぞれ図6の切削順序データ212,213,214,215に基づいて切削して切断する処理について、所定の電算処理を実行することで、それぞれ図8,9,10,11に示す端材110のデータを算出し、上記と同様にして最大端材サイズを算出する。
【0044】
端材サイズ算出部52は、オペレータが入力ユニット42から事前に入力及び設定した加工条件(切削順序)がある場合には、設定した加工条件(切削順序)に基づいて最大端材サイズを算出する。そして提案部53は、端材サイズ算出部52が算出した最大端材サイズが、加工条件記憶部51が記憶する所定の閾値を超えたか否かを判定する。提案部53は、オペレータが入力ユニット42から入力及び設定した加工条件(切削順序)に基づいて端材サイズ算出部52が算出した最大端材サイズが、加工条件記憶部51が記憶する所定の閾値を超えた場合、その旨を通知するとともに、現在設定されている加工条件(切削順序)の最大端材サイズより最大端材サイズが小さくなる異なる加工条件(切削順序)を提案する。提案部53は、当該通知及び異なる加工条件(切削順序)の提案を、当該通知及び異なる加工条件(切削順序)をモニタ41に表示することにより行う。提案部53は、異なる加工条件(切削順序)の提案に合わせて、当該異なる加工条件(切削順序)に基づいて端材サイズ算出部52が算出した最大端材サイズや図7から図11に示される図をモニタ41に表示してもよい。提案部53は、オペレータが入力ユニット42から入力及び設定した加工条件(切削順序)に基づいて端材サイズ算出部52が算出した最大端材サイズが、加工条件記憶部51が記憶する所定の閾値を超えていなかった場合、モニタ41にその旨を通知する。
【0045】
提案部53は、異なる加工条件(切削順序)として、実施形態1では、加工条件記憶部51が切削順序データ210に記憶している複数種類の切削順序のうち、端材サイズ算出部52が算出した最大端材サイズが最小であり、なおかつ、所定の閾値を超えない加工条件(切削順序)を提案してもよい。また、提案部53は、本発明ではこれに限定されず、加工条件記憶部51が切削順序データ210に記憶している複数種類の切削順序のうち、端材サイズ算出部52が算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えない任意の加工条件(切削順序)を1つ提案してもよいし、複数を1つずつまたは同時に提案してもよい。
【0046】
また、提案部53は、図6に示す複数の切削順序データ210に基づいて端材サイズ算出部52が算出した、切削順序データ210を変更した場合の複数の端材110のサイズ(最大端材サイズ)をモニタ41に表示し、モニタ41上でオペレータが所望する端材110のサイズ(最大端材サイズ)に該当する加工条件(切削順序)を選択することで、当該加工条件(切削順序)を設定可能にしても良い。また、提案部53は、モニタ41に端材110のサイズ(最大端材サイズ)だけでなく、図7,8,9,10,11に示される切削後のパッケージ基板100の端材110を図示した図を表示し、オペレータがより感覚的に端材110が小さくなる加工条件(切削順序)を選べる様にしても良い。
【0047】
制御ユニット50は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット50が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット50の演算処理装置は、制御ユニット50の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、切削装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット50の入出力インターフェース装置を介して切削装置1の各構成要素に出力する。
【0048】
加工条件記憶部51の機能は、実施形態1では、制御ユニット50の記憶装置により実現される。端材サイズ算出部52及び提案部53の各機能は、実施形態1では、制御ユニット50の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0049】
次に、本明細書は、実施形態1に係る切削装置1の動作処理を図面に基づいて説明する。図12は、実施形態1に係る切削装置1の動作処理の手順の一例を示すフローチャートである。図13は、実施形態1に係る切削装置1のモニタ41が表示する切削順序設定画面310の一例を示す図である。図14は、実施形態1に係る切削装置1のモニタ41が表示する端材サイズ算出結果画面の第1例(端材サイズ算出結果画面320)を示す図である。図15は、実施形態1に係る切削装置1のモニタ41が表示する端材サイズ算出結果画面の第2例(端材サイズ算出結果画面330)を示す図である。切削装置1の制御ユニット50は、パッケージ基板100の切削加工の実施前に、図12に示す一連の動作処理を実施する。
【0050】
切削装置1の制御ユニット50は、図12のステップ1001を実施する前に、まず、入力ユニット42からオペレータが入力した切削装置1の切削対象のパッケージ基板100の基板データ200の設定情報を取得する。制御ユニット50は、次に、基板データ200に基づいて、複数の切削順序データ210を作成する。そして、制御ユニット50は、切削順序データ210に記憶している複数種類の切削順序のいずれか1つの設定の入力をオペレータに促す。具体的には、制御ユニット50は、例えば図13に示す切削順序設定画面310をモニタ41に表示することで、加工条件記憶部51がオペレータに設定された基板データ200と対応付けて切削順序データ210に記憶している複数種類の切削順序(切削順序データ211,212,213,214,215)のいずれか1つの選択の入力を受け付けるボックスと、各切削順序を編集する画面へのリンクのボタンと、ボックスのチェックに従って切削順序の選択の決定の入力を受け付けるボタンと、を表示する。そして、オペレータが切削順序設定画面310において、切削順序データ210に記憶された切削順序のうちのいずれか1つの切削順序を選択及び決定の入力により設定すると、制御ユニット50は、この選択及び決定が入力された切削順序の設定情報を取得する。
【0051】
制御ユニット50が、基板データ200の設定情報及び切削順序の設定情報を取得すると、制御ユニット50の端材サイズ算出部52は、設定された基板データ200に基づくパッケージ基板100を、設定された切削順序に基づいて切削して切断する処理について、所定の電算処理を実行することで、端材110のデータを算出し、算出した端材110のデータに基づいて最大端材サイズを算出する(図12のステップ1001)。
【0052】
制御ユニット50の提案部53は、ステップ1001で算出した最大端材サイズが、加工条件記憶部51が記憶する所定の閾値を超えたか否かを判定する(図12のステップ1002)。
【0053】
ステップ1001で算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えた場合(ステップ1002でYes)、端材サイズ算出部52が、設定された基板データ200に基づくパッケージ基板100を、切削順序データ210に記憶されており設定されなかった残りの切削順序に基づいて切削して切断するそれぞれの処理について、上記と同様の電算処理を実行することで、端材110のデータ及び最大端材サイズを算出し、提案部53が、それらの算出された最大端材サイズが所定の閾値を超えたか否かを判定する。そして、提案部53は、ステップ1001で算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えた旨を通知し、切削順序データ210に記憶されており設定されなかった残りの切削順序において算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えなかった切削順序を提案する(図12のステップ1003)。
【0054】
ステップ1003では、提案部53は、実施形態1では、例えば図14に示す端材サイズ算出結果画面320をモニタ41に表示することで、ステップ1001で算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えた旨と、切削順序データ210に記憶されており設定されなかった残りの切削順序のうち最大端材サイズが所定の閾値を超えなかった切削順序を提案する表示とを対比的に表示する。ステップ1003では、提案部53は、図14に示す端材サイズ算出結果画面320では、ステップ1001で算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えた旨を、ステップ1001で算出した端材110のデータ、及び、当該最大端材サイズとともに表示し、切削順序データ210に記憶されており設定されなかった残りの切削順序のうち最大端材サイズが所定の閾値を超えなかった切削順序を提案する表示を、当該切削順序に基づいて算出された端材110のデータ、当該最大端材サイズ、及び、提案した切削順序を改めて設定する旨の入力を受け付けるボタンとともに表示する。
【0055】
一方、ステップ1001で算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えなかった場合(ステップ1002でNo)、ステップ1001で算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えなかった旨を通知する(図12のステップ1004)。ステップ1004では、具体的には、提案部53は、例えば図14に示す端材サイズ算出結果画面330をモニタ41に表示することで、ステップ1001で算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えなかった旨を、ステップ1001で算出した端材110のデータ、当該最大端材サイズ、及び、設定中の切削順序で切削加工を開始する旨の入力を受け付けるボタンとともに表示する。
【0056】
以上のような構成を有する実施形態1に係る切削装置1は、端材サイズ算出部52が、加工条件記憶部51に記憶され、オペレータが入力ユニット42から入力及び設定した加工条件(基板データ200及び切削順序データ210)からパッケージ基板100の外周余剰領域104が切削されて形成される端材110のサイズ(最大端材サイズ)を算出する。このため、実施形態1に係る切削装置1は、現在設定されている加工条件(切削順序)の端材110のサイズをオペレータが認識可能にし、これにより、切削加工で発生する端材110のサイズをより小さくする加工条件(切削順序)の設定を促すことができるという作用効果を奏する。
【0057】
また、実施形態1に係る切削装置1は、提案部53が、現在設定されている加工条件(切削順序)の端材110のサイズより、端材110のサイズが小さくなる加工条件(切削順序)をモニタ41に表示することにより提案する。このため、実施形態1に係る切削装置1は、切削加工で発生する端材110のサイズをより小さくする加工条件(切削順序)の設定を促し、これにより提案に沿った加工条件(切削順序)を設定して切削加工することで、切削加工で発生する端材110のサイズをより小さくすることができるという作用効果を奏する。
【0058】
また、実施形態1に係る切削装置1は、提案部53が、現在設定されている加工条件(切削順序)に基づいて端材サイズ算出部52が算出した最大端材サイズが所定の閾値を超えたか否かを判定し、所定の閾値を超えた場合、モニタ41に表示することにより、最大端材サイズが所定の閾値を超えない異なる加工条件(切削順序)を提案する。このため、実施形態1に係る切削装置1は、最大端材サイズが所定の閾値以下となる加工条件(切削順序)の設定をオペレータに促すことができるので、これにより提案に沿った加工条件(切削順序)を設定して切削加工することで、切削加工で発生する端材110のサイズをより小さくすることができるという作用効果を奏する。
【0059】
また、実施形態1に係る切削装置1は、提案部53が、端材サイズ算出部52が算出した、切削順序データ210を変更した場合の複数の端材110のサイズ(最大端材サイズ)をモニタ41に表示し、オペレータが所望する端材110のサイズ(最大端材サイズ)に該当する加工条件(切削順序)を設定可能にしてもよい。このような場合には、実施形態1に係る切削装置1は、オペレータが所望する端材110のサイズとなる加工条件(切削順序)の設定をオペレータに促すことができるので、これにより提案に沿った加工条件(切削順序)を設定して切削加工することで、切削加工で発生する端材110のサイズをより小さくすることができるという作用効果を奏する。
【0060】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る切削装置1を図面に基づいて説明する。図16は、実施形態2に係る切削装置1の動作処理の手順の一例を示すフローチャートである。図17は、実施形態2に係る切削装置1のモニタ41が表示する端材サイズ算出結果画面の第1例(端材サイズ算出結果画面340)を示す図である。図18は、実施形態2に係る切削装置1のモニタ41が表示する端材サイズ算出結果画面の第2例(端材サイズ算出結果画面350)を示す図である。図16から図18は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
実施形態2に係る切削装置1は、実施形態1と同様の構成を備える。端材サイズ算出部52は、実施形態2では、加工条件記憶部51に登録されたパッケージ基板100のサイズと、分割予定ライン105の本数と、に基づき、分割予定ライン105を切削する順序を変えた場合の端材110のサイズを計算する。具体的には、端材サイズ算出部52は、設定された基板データ200に基づくパッケージ基板100を、設定された切削順序に対して分割予定ライン105を切削する順序を変更した切削順序に基づいて切削して切断する処理について、所定の電算処理を実行することで、端材110のデータ及び最大端材サイズを算出する。ここで、設定された切削順序に対して分割予定ライン105を切削する順序を変更した切削順序は、切削順序データ210に記憶されており設定されなかった残りの切削順序でもよいし、切削順序データ210に記憶されていない切削順序でもよい。分割予定ライン105を切削する順序の変更は、性質の異なる分割予定ライン105を切削する順序の変更が特に好ましい。
【0062】
提案部53は、実施形態2では、端材サイズ算出部52の計算結果から、現在設定されている切削順序より最大端材サイズが小さくなる切削順序があるかないかを判定し、最大端材サイズが小さくなる切削順序がある場合、当該最大端材サイズが小さくなる切削順序を提案し、最大端材サイズが小さくなる切削順序がない場合、その旨を通知する。
【0063】
次に、本明細書は、実施形態2に係る切削装置1の動作処理を図面に基づいて説明する。実施形態2に係る切削装置1の動作処理は、ステップ1001の実施までは実施形態1と同様である。
【0064】
制御ユニット50の端材サイズ算出部52は、ステップ1001の実施後に、設定された基板データ200に基づくパッケージ基板100を、設定された切削順序に対して分割予定ライン105を切削する順序を変更した切削順序に基づいて切削して切断する処理について、所定の電算処理を実行することで、端材110のデータ及び最大端材サイズを算出する(図16のステップ1011)。ステップ1011では、端材サイズ算出部52は、特に優先的に、性質の異なる分割予定ライン105を切削する順序を変更した複数種類の切削順序に基づく処理について、それぞれ、端材110のデータ及び最大端材サイズを算出する。
【0065】
提案部53は、ステップ1011で端材サイズ算出部52が端材110のデータ及び最大端材サイズを算出した順序変更後の切削順序の中に、現在設定されている切削順序より最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序があるかないかを判定する(図16のステップ1012)。
【0066】
提案部53は、現在設定されている切削順序より最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序がある場合(ステップ1012でYes)、当該最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序を提案する(図16のステップ1013)。ステップ1013では、具体的には、提案部53は、例えば図17に示す端材サイズ算出結果画面340をモニタ41に表示することで、現在設定されている切削順序と当該最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序とを対比的に表示する。提案部53は、図17に示す端材サイズ算出結果画面340では、現在設定されている切削順序を、当該設定中の切削順序に基づき算出した端材110のデータ、及び、当該最大端材サイズ等とともに表示し、当該最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序を、当該順序変更後の切削順序に基づき算出した端材110のデータ、及び、当該最大端材サイズ等とともに表示する。
【0067】
一方、提案部53は、現在設定されている切削順序より最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序がない場合(ステップ1012でNo)、その旨を通知する(図16のステップ1014)。ステップ1014では、具体的には、提案部53は、例えば図18に示す端材サイズ算出結果画面350をモニタ41に表示することで、最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序がない旨を、現在設定されている切削順序、当該設定中の切削順序に基づき算出した端材110のデータ、当該最大端材サイズ等、及び、設定中の切削順序で切削加工を開始する旨の入力を受け付けるボタンとともに表示する。
【0068】
以上のような構成を有する実施形態2に係る切削装置1は、実施形態1に対して、さらに、端材サイズ算出部52が、設定された基板データ200に基づくパッケージ基板100を、設定された切削順序に対して分割予定ライン105を切削する順序を変更した切削順序に基づいて切削して切断した場合の最大端材サイズを算出し、提案部53が、現在設定されている切削順序より最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序がある場合に、当該最大端材サイズが小さくなる順序変更後の切削順序を提案する。このため、実施形態2に係る切削装置1は、最大端材サイズがより小さくなる切削順序の設定をオペレータに促すことができるので、これにより提案に沿った切削順序を設定して切削加工することで、切削加工で発生する端材110のサイズをより小さくすることができるという作用効果を奏する。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 切削装置
10 保持テーブル
11 テーブルベース
11-6 吸引源
12 保持面
12-3 溝
12-4 吸引孔
20 切削ユニット
21 切削ブレード
31 X方向送りユニット
32 Y方向送りユニット
41 モニタ
42 入力ユニット
50 制御ユニット
51 加工条件記憶部
52 端材サイズ算出部
53 提案部
100 パッケージ基板
102 表面
103 デバイス領域
104 外周余剰領域
105 分割予定ライン
110 端材
図1
図2
図3
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