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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010884
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】具材入りソフトキャンディ
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/54 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A23G3/54
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111663
(22)【出願日】2020-06-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 みく
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽子
(72)【発明者】
【氏名】伊東 恵梨子
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】解良 亮介
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB09
4B014GE03
4B014GG09
4B014GG18
4B014GP18
(57)【要約】
【課題】
喫食中に感じる具材の食感及び具材とソフトキャンディ生地の一体感と、ソフトキャンディの保形性とを両立する、具材入りソフトキャンディを提供すること、及び、具材に由来する自然なジューシー感を感じることができるソフトキャンディを提供することを課題とする。
【解決手段】
具材と、前記具材を含むセンター生地と、前記センター生地を覆う外層生地と、からなり、
前記具材は、常温における硬度が1050g以下であり、
常温における前記センター生地の硬度が、常温における前記外層生地の硬度よりも相対的に低い、具材入りソフトキャンディ。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材と、前記具材を含むセンター生地と、前記センター生地を覆う外層生地と、からなり、
前記具材は、常温における硬度が1050g以下であり、
常温における前記センター生地の硬度が、常温における前記外層生地の硬度よりも相対的に低い、具材入りソフトキャンディ。
【請求項2】
常温における前記センター生地の硬度が、下記測定方法で測定した場合に、370g以下である、請求項1に記載の具材入りソフトキャンディ。
[測定方法]
(1)生地を、11mmの厚み、かつ直径11mmの円を含む測定面を有する円柱又は直方体に成形して成形物を得る。
(2)成形物を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する。
(3)アナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、成形物の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(4)測定プローブが成形物の表面から14mm進入したところで、測定プローブを上昇させる。
【請求項3】
常温における前記外層生地の硬度が、前記測定方法で測定した場合に、150~1100gである、請求項1又は2に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項4】
前記センター生地の砂糖率が、前記外層生地の砂糖率より高い、請求項1~3の何れか一項に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項5】
前記外層生地の水分量は、前記センター生地の水分量よりも多い、請求項4に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項6】
前記センター生地の水分量が、前記具材を除いた前記センター生地全体に対して12質量%以下であり、
前記センター生地の水分活性が、0.7以下である、請求項1~5の何れか一項に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項7】
前記センター生地に対する前記具材の含有量が、40質量%以下である、請求項1~6の何れか一項に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項8】
前記具材が、ゲル状食品組成物又は乾燥果実である、請求項1~7の何れか一項に記載の具材入りソフトキャンディ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材入りのソフトキャンディに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軟らかい歯ごたえを有するソフトキャンディが知られている(例えば、特許文献1)。
また、上記ソフトキャンディにグミやゼリー等の具材を入れた、具材入りソフトキャンディも知られている(例えば、特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO02/009530号公報
【特許文献2】特許第3555597号公報
【特許文献3】特開平4-370063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のグミ入りのソフトキャンディは、喫食時に、ソフトキャンディ生地が十分に口内で軟化するまでグミの食感を感じにくいものであった。
一方で、ソフトキャンディ生地が十分に口内で軟化するころには、同時にソフトキャンディ生地の多くが溶解してしまい、ソフトキャンディから分離したグミだけが最終的に口内に残るような感覚であり、グミとソフトキャンディ生地の味や食感の一体感(組み合わせの嗜好性)は得られにくいものであった。
【0005】
そこで、本発明は、生地と具材との一体感が感じられつつも、入っている具材のおいしさを最大限に感じることができる、具材入りソフトキャンディを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、具材と、前記具材を含むセンター生地と、前記センター生地を覆う外層生地と、からなり、前記具材は、常温における硬度が1050g以下であり、常温における前記センター生地の硬度が、常温における前記外層生地の硬度よりも相対的に低い、具材入りソフトキャンディである。
本発明によれば、生地と具材との一体感が感じられつつも、入っている具材のおいしさを最大限に感じることができるソフトキャンディを提供することができる。
また、本発明のソフトキャンディは、噛み始めてからすぐに溶けることなく、一定時間(例えば、30秒程度)噛み続けることができるという、本来のソフトキャンディらしい食感も保持するものである。
【0007】
本発明の好ましい形態では、常温におけるセンター生地の硬度が、テクスチャーアナライザーを用いた下記測定方法で測定した場合に、370g以下である。
[測定方法]
(1)生地を、11mmの厚み、かつ直径11mmの円を含む測定面を有する円柱又は直方体に成形して成形物を得る。
(2)成形物を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する。
(3)アナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、成形物の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(4)測定プローブが成形物の表面から14mm進入した(すなわち、測定プローブが成形物を貫通した)ところで、測定プローブを上昇させる。
本発明によれば、生地と具材との一体感が感じられつつも、入っている具材のおいしさを最大限に感じることができる、ソフトキャンディを提供することができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、常温における外層生地の硬度が、前記センター生地と同様の測定方法で測定した場合に、150~1100gである。
本発明によれば、全体として従来のソフトキャンディらしい食感(一定の硬さ)を有し、かつ保形性を有するソフトキャンディを提供することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、センター生地の砂糖率が、外層生地の砂糖率より高い。
本発明によれば、センター生地の水分量及び水分活性値を上昇させることなく、センター生地を外層生地よりも相対的に軟らかくすることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、センター生地の砂糖率が、外層生地の砂糖率より高い。
より好ましい形態では、外層生地の水分量は、センター生地の水分量よりも大きい。
本発明によれば、センター生地の硬度を外層生地の硬度よりも相対的に低くすることができ、かつ水分活性の差を小さくすることができる。よって、水分移行によりセンター生地の硬度と外層生地の硬度の差が小さくなることを抑制し、センター生地の軟らかさを維持することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、センター生地の水分量が、具材を除いたセンター生地全体に対して12質量%以下であり、センター生地の水分活性が、0.7以下である。
本発明によれば、センター生地と外層生地との常温(20℃)における硬度差を維持することができる。また、具材の食感を維持することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、センター生地に対する前記具材の含有量が、40質量%以下である。
また、本発明の好ましい形態では、具材は、ゲル状食品組成物又は乾燥果実である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生地と具材との一体感が感じられつつも、入っている具材のおいしさを最大限に感じることができるソフトキャンディを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る具材入りソフトキャンディを表す概略図である。
図2】試験例1において、パネラーAが実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディを咀嚼したときの、咀嚼時間(秒)と唾液量の合計(g)の関係を表す図である。
図3】試験例1において、パネラーBが実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディを咀嚼したときの、咀嚼時間(秒)と唾液量の合計(g)の関係を表す図である。
図4】試験例1において、パネラーCが実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディを咀嚼したときの、咀嚼時間(秒)と唾液量の合計(g)の関係を表す図である。
図5】試験例1において、パネラーDが実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディを咀嚼したときの、咀嚼時間(秒)と唾液量の合計(g)の関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、数値範囲を表す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0016】
本発明に係るソフトキャンディ10は、具材13と、具材を含むセンター生地11と、センター生地を覆う外層生地12と、からなる(図1参照)。
本発明において、「センター生地を覆う」とは、センター生地11の表面の少なくとも一部が、外層生地12によって覆われていることを意味する。すなわち、外層生地12は、必ずしもセンター生地11の表面全体を覆う必要はない。外層生地12は、センター生地11の表面の少なくとも50%以上を覆っていればよい。好ましくはセンター生地の表面の80%以上を外層生地が覆う。
【0017】
本願発明のセンター生地11と外層生地12は、従来ソフトキャンディに用いられている成分で構成することができ、通常、糖類及び植物性油脂を含む。
糖類の種類は、通常食品に使用されるものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、ブドウ糖、果糖等の単糖類、砂糖、麦芽糖、乳糖等の二糖類、水あめ、マルトデキストリン等の少糖類ないし多糖類、ソルビトール等の糖アルコール等を使用することができる。
なお、本明細書においては、「糖類」とは、上記通常食品に使用される糖類全般を含み、単糖及び二糖に限られない。
また、その消化性については特に制限はなく、難消化性のものも含む。
糖類は、1種類の糖類を使用してもよく、2種類以上の糖類を併用してもよい。
糖類は、砂糖及び/又は水あめを使用することが好ましい。
また、センター生地は、好ましくは砂糖を含む。
【0018】
本発明において、具材を除くセンター生地中の糖類の含有量は、水分を除く糖類の固形分として40質量%以上が好ましく、45質量%以上であることが好ましい。
また、本発明において、具材を除くセンター生地中の糖類の含有量は、志向する食感や製造適性(べたつき、保形性、具のつぶれ、ソフトキャンディの伸展性等)から適宜設定することができるが、例えば具材を除くセンター生地中において、水分を除く糖類の固形分として84質量%以下とすることができる。
なお、糖類に水あめを含む場合は、水あめに含まれる水分をも除いて、糖類の固形分を算出する。
【0019】
植物性油脂は、通常食品に使用されるものであれば、融点等の物性は特に制限なく、使用することができる。例えば、菜種油やその硬化油等を使用することができる。
植物性油脂は、1種類の植物性油脂を使用してもよく、2種類以上の植物性油脂を使用してもよい。
【0020】
本発明において、具材を除くセンター生地中の植物性油脂の含有量は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上であることが好ましい。
また、本発明において、具材を除くセンター生地中の植物性油脂の含有量は、志向する食感や製造適性(べたつき、保形性、具のつぶれ、ソフトキャンディの伸展性等)から適宜設定することができるが、例えば20質量%以下、好ましくは15質量%以下とすることができる。
【0021】
本願発明のセンター生地には、上記成分の他、乳化剤、甘味料、着色料、保存料、安定剤、風味剤、香料等、通常食品に使用されている成分を、志向する味や外観に合わせて、適宜使用することができる。
また、フォンダントやフラッペ等、通常食品に使用されている砂糖の加工品を、
適宜使用することができる。
【0022】
本願発明において、常温(20℃)におけるセンター生地の硬度は、外層生地の硬度よりも、相対的に低い。すなわち、常温において、センター生地は、外層生地よりも軟らかい。
本形態とすることによって、具材の食感及びソフトキャンディ生地と具材の味や食感の一体感(両者を同時に感じることによる嗜好性)を有するソフトキャンディを提供することができる。
また、本発明のソフトキャンディは、相対的に硬度が高い外層生地を有するため、噛み始めてからすぐに溶けることなく、一定時間(例えば、30秒程度)噛み続けることができるという、本来のソフトキャンディらしい食感も保持するものである。
センター生地の硬度を調整する方法としては、以下が挙げられる。例えば、砂糖の結晶量を多くするほど生地の硬度を下げることができる。また、鎖長が短い(すなわち、粘度が低い)水あめの含有比率を多くするほど生地の硬度を下げることができる。また、油脂の含有量を多くするほど硬度を下げることができる。またグリセリンを添加することによっても生地の硬度を下げることができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、常温において、センター生地を外層生地よりも軟らかくする方法は、センター生地中の砂糖の結晶量を、外層生地中の砂糖の結晶量よりも多くする方法を採用する。
具体的には、センター生地中の糖の固形量に対するスクロースの総量(生地中に含まれるスクロースの総量/全糖固形量;以下、砂糖率ともいう)を、外層生地中の砂糖率よりも高くすることで、センター生地中の砂糖の結晶量を、外層生地中の砂糖の結晶量よりも多くすることができる。
ここで、「全糖固形量」とは、生地に含まれる糖類全てにおける固形量を指す。すなわち、単糖、二糖、少糖類、多糖類、及び糖アルコール等、上記通常食品に使用される糖類の合計を指す。
なお、砂糖率は、生地中のスクロースの総量に基づいて、算出する。したがって、砂糖以外の副原料として、粉糖、フォンダント、フラッペ等を使用する場合は、これらに含まれるスクロースの量も含めて、砂糖率を算出する。
【0024】
上記の方法で、センター生地の砂糖率を外層生地の砂糖率よりも相対的に高くすると、センター生地内で形成される砂糖の結晶量が、外層生地内で形成される砂糖の結晶量よりも、相対的に多くなる。
そうすると、センター生地中の水分量を多くすることなく、またセンター生地の水分活性を大きくすることなく、センター生地中の非晶質部分に保持される水分を、外層生地中の非晶質部分に保持される水分よりも、相対的に多くすることが可能となる。
この非晶質部分に保持される水分量の差により、センター生地を、外層生地よりも相対的に軟らかく、くちどけの良い生地にすることができる。
【0025】
また、本形態とすることにより、センター生地よりも外層生地のほうが水分量が高い場合であっても、経時的に外層生地とセンター生地の水分活性が平衡に達した際に、後述する生地の水分量の差や、食感の違い(センター生地が外層生地よりも軟らかいという食感の違い)を保つことができる。
さらに、センター生地における砂糖の結晶量を多くすると、生地中の結晶の骨格が多くなる。そうすると、軟らかい食感であるにも関わらず、ある程度の保形性を有する生地とすることができる。
【0026】
センター生地の砂糖率は、好ましくは50~75質量%であり、より好ましくは53~73質量%である。
本形態とすることにより、センター生地を、軟らかくてくちどけがよい生地とすることができる。
また、外層生地の砂糖率は、好ましくは40~70質量%であり、より好ましくは45~61質量%である。
また、本発明においては、センター生地の砂糖率と、外層生地の砂糖率の差(センター生地の砂糖率-外層生地の砂糖率)は、5~35質量%であることが好ましく、8~28質量%であることがより好ましい。
本形態とすることにより、センター生地の硬度と外層生地の硬度の差を維持することができる。
【0027】
常温における生地の硬度は、公知の方法で測定することができる。例えば、テクスチャーアナライザーTA.XT plus(英弘精機株式会社製)を使用して、以下の測定方法で測定することができる。
[測定方法]
(1)生地を、11mmの厚み、かつ直径11mmの円を含む測定面を有する円柱又は直方体に成形して成形物を得る。
(2)成形物を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する。
(3)アナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、成形物の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(4)測定プローブが成形物の表面から14mm進入した(すなわち、測定プローブが成形物を貫通した)ところで、測定プローブを上昇させる。
【0028】
本発明において、上記測定方法で測定した、具材を除くセンター生地の硬度は、370g以下であることが好ましく、350g以下であることがより好ましく、300g以下であることがさらに好ましい。
本形態とすることで、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)、ソフトキャンディ生地と具材の味や食感の一体感(両者を同時に感じることによる嗜好性)、及びソフトキャンディらしい食感を有するソフトキャンディを提供することができる。
本発明において、上記測定方法で測定した、具材を除くセンター生地の硬度は、製造適性(べたつき、保形性、具のつぶれ、ソフトキャンディの伸展性等)及び志向する食感から適宜設定することができるが、例えば140g以上とすることができる。
【0029】
本発明において、上記測定方法で測定した外層生地の硬度は、1100g以下であることが好ましく、1050g以下であることがより好ましく、1000g以下であることがさらに好ましい。
本形態とすることで、具材、センター生地及び外層生地の一体感をより感じることができる。
本発明において、上記測定方法で測定した外層生地の硬度は、150g以上であることが好ましく、200g以上であることがより好ましい。
本形態とすることで、ソフトキャンディらしい噛み心地を得ることができる。また、成型時にべたつきが生じることを抑制することができる。
【0030】
本発明において、上記測定方法で測定した、常温(20℃)におけるセンター生地の硬度と、外層生地の硬度の差は、40g以上であることが好ましく、80g以上であることが好ましい。
本形態とすることによって、噛み始めてからすぐに溶けることなく、一定時間(例えば、30秒程度)噛み続けることができるという、本来のソフトキャンディらしい食感を保持しつつ、具材との一体感も得られる具材入りソフトキャンディとすることができる。
【0031】
本発明において、上記測定方法で測定した、常温(20℃)におけるセンター生地の硬度と、外層生地の硬度の差は、850g以下であることが好ましく、800g以下であることがより好ましい。
本形態とすることによって、具材のおいしさを最大限に感じることができ、その際に、ソフトキャンディ生地と具材の味や食感の一体感(両者を同時に感じることによる嗜好性)を有するソフトキャンディを提供することができる。
【0032】
本発明において、具材を除くセンター生地の水分量は、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
本形態とすることによってセンター生地と外層生地との常温(20℃)における硬度差を維持することができる。また、具材の食感を維持することができる。
本発明において、具材を除くセンター生地の水分量は、製造適性(べたつき、保形性、具のつぶれ、ソフトキャンディの伸展性等)や衛生面から適宜設定することができるが、5質量%以上とすることができる。
【0033】
なお、水分量は、公知の方法で測定することができる。例えば、助剤として海砂を用いて、減圧加熱乾燥助剤法により、測定することができる。減圧加熱乾燥助剤法は、以下の方法で行うことができる。
[減圧乾燥助剤法]
102℃の乾熱器(ADVANTECFS-33)中で乾燥し、恒量とした海砂入りのアルミニウム製平底ひょう量ざらに試料(本発明においては、調製したセンター生地又は外層生地)約3~5gを採取し精ひょうする。次に、水浴上で注意しながら加熱し、大部分の水分を蒸発させたのち、乾熱器に入れ、恒量となるまで乾燥させる。
【0034】
本発明において、具材を除くセンター生地の水分活性は、0.7以下であることが好ましく、0.65以下であることがより好ましい。
本形態とすることによって、外層生地への水分移行を抑制し、常温(20℃)におけるセンター生地の硬度が、外層生地の硬度よりも、相対的に低い状態(すなわち、常温(20℃)において、センター生地が外層生地よりも相対的に軟らかい状態)を保つことができる。
本発明において、具材を除くセンター生地の水分活性は、製造適性(べたつき、保形性、具のつぶれ、ソフトキャンディの伸展性等)や衛生面から適宜設定することができるが、例えば0.3以上とすることができる。
【0035】
本発明において、外層生地としては、公知のソフトキャンディ生地を使用することができる。例えば、WO02/009530号公報や、WO2011/033954号公報に記載のソフトキャンディを、外層生地として使用することができる。外層生地の組成、水分量、水分活性、砂糖率等は、上記文献をもとに、適宜調節することができる。
【0036】
本発明において、具材を含むセンター生地の質量を1としたときの、外層生地の質量は、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。
本形態とすることにより、保形性のあるソフトキャンディとすることができる。
また、本発明において、具材を除くセンター生地の質量を1としたときの、外層生地の質量は、1.8以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
本形態とすることにより、ソフトキャンディらしい食感を有しつつ、具材のおいしさを最大限に感じるソフトキャンディとすることができる。
【0037】
本発明において、具材を除くセンター生地と、外層生地の体積比は、例えば4:1~1:4とすることができる。
【0038】
また、本発明において、具材を除くセンター生地の水分量(質量%)と、外層生地の水分量(質量%)との差が顕著に大きくないことが好ましい。具材を除くセンター生地の水分量(質量%)は、外層生地の水分量(質量%)よりも多い形態とすることもできるし、外層生地の水分量(質量%)より少ない形態とすることもできる。
好ましくは、具材を除くセンター生地の水分量(質量%)は、外層生地の水分量(質量%)よりも少ない(すなわち、外層生地の水分量(質量%)のほうが、具材を除くセンター生地の水分量(質量%)よりも多い)形態とする。
外層生地の水分量(質量%)から具材を除くセンター生地の水分量(質量%)を減じた値(外層生地の水分量-センター生地の水分量)は、好ましくは-2~6質量%、さらに好ましくは0~4質量%である。
本形態とすることにより、センター生地が外層生地よりも相対的に軟らかい状態を維持することができる。
【0039】
本発明に係るソフトキャンディの製造直後において(すなわち、水分移行する前において)、センター生地の水分活性値と、外層生地の水分活性値との差を、小さくすることが好ましい。
具体的には、センター生地の水分活性値と外層生地の水分活性値との差は、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
本形態とすることにより、本発明に係るソフトキャンディの保存時において、センター生地と外層生地との間での水分移行を抑制することができ、センター生地と外層生地の硬度の差を維持することができる。
【0040】
前述した水分量の差、水分活性の差の調整は、上記の通りセンター生地の砂糖率を外層生地の砂糖率よりも相対的に高くし、センター生地の水分量を外層生地の水分量に対して相対的に小さくする方向で調整することが好ましい。
【0041】
本発明の好ましい形態では、センター生地の砂糖率が外層生地の砂糖率よりも相対的に高く、かつ外層生地の水分量(質量%)がセンター生地の水分量(質量%)と同等以上である。
本形態とすることにより、センター生地の硬度を外層生地の硬度よりも相対的に低くすることができ、かつ水分活性の差を小さくすることができる。よって、水分移行によりセンター生地の硬度と外層生地の硬度の差が小さくなることを、抑制することができる。
【0042】
本発明において、具材は、固形又は半固形の食品であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、果実(乾燥含む)や、ゲル状食品組成物を使用することができる。
具材は、好ましくは、ゲル状食品組成物又は乾燥果実である。
【0043】
上記ゲル状食品組成物は、具体的には、ゼラチン、ペクチン、寒天、増粘多糖類から選ばれる少なくとも1種類のゲル化剤を含む。
中でも、ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品組成物を使用すれば、ソフトキャンディにおける具材の存在感を喫食中に感じることができる。ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品は、例えばグミである。
また、ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物を使用すれば、具材に由来するジューシー感を、喫食中に感じることができる。ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物は、例えばゼリーである。
【0044】
具材は、市販されている食品を使用してもよく、また公知の方法で製造した食品を使用してもよい。
ゲル状食品組成物を具材として使用する場合、当該ゲル状食品組成物自体の味は特に制限されず、例えば果実味(イチゴ、オレンジ、マンゴー等)や、飲料風味(ソーダ味、コーラ味等)を使用することができる。
乾燥果実を使用する場合、当該乾燥果実自体の種類は特に制限されず、例えばイチゴ、パパイヤ、プルーン等を乾燥させたものを使用することができる。
【0045】
具材の硬度は、常温(20℃)において、100g以上であることが好ましい。
本形態とすることによって、具材自体のおいしさ(具材の存在感及び/又はジューシー感)を感じることができる。
また、具材の硬度は、常温(20℃)において、1050g以下であることが好ましく、1000g以下であることがより好ましい。
本形態とすることによって、具材自体のおいしさを最大限に感じ、かつ、ソフトキャンディ生地と具材の味や食感の一体感(両者を同時に感じることによる嗜好性)を有するソフトキャンディを提供することができる。
【0046】
例えば、ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、常温(20℃)における具材の硬度は300g以上であることが好ましく、350g以上であることがより好ましい。
また、ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、常温(20℃)における具材の硬度は1050g以下であることが好ましく、1000g以下であることがより好ましい。
本形態とすることで、具材自体のおいしさ、特に、具材の存在感と適度な弾力を最大限に感じることができる。
【0047】
例えば、ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、常温(20℃)における具材の硬度は100g以上であることが好ましい。
また、ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、常温(20℃)における具材の硬度は250g以下であることが好ましい。
ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物を具材として使用すれば、具材自体のおいしさ、特に、具材に由来するジューシー感(ソフトキャンディの咀嚼開始直後~咀嚼前半に感じる、具材に由来する風味)を最大限に感じることができる。
【0048】
例えば、乾燥果実を具材として使用する場合には、常温(20℃)における具材の硬度は250g以下であることが好ましい。
乾燥果実を具材として使用する場合には、常温(20℃)における具材の硬度は150g以上であることが好ましい。
本形態とすることで、具材自体のおいしさ、特に素材の味わいを最大限に感じることができる。
【0049】
なお、常温(20℃)における具材の硬度は、公知の方法で測定することができる。例えば、上記テクスチャーアナライザーを用いた以下の測定方法で、測定することができる。
[測定方法]
(1)測定試料(具材)を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する。測定試料としては、最長部分が10mm以下の粒状、球状又は直方体状であって、1個当たりの質量が1g以下のものを選択する。また、測定試料の中で比較的平らな面を測定面とする。
なお、本明細書において「最長部分」とは、測定可能な具材の一部分の長さであって、最も長い部分をいう。例えば、球状の具材の場合は、その直径の長さのことを指し、直方体状の具材の場合は、最も長い辺の長さのことを指す。
(2)テクスチャーアナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、具材の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(3)測定プローブが具材の底面を貫通したところで、測定プローブを上昇させる。
【0050】
具材としてゲル状食品組成物を使用する場合、具材の硬度は、ゲル化剤の使用量で調整することができる。例えば、ゲル化剤としてゼラチンを使用する場合は、ゲル状食品組成物1個あたり、ゼラチンを2~13質量%含むことができる。また、ゲル化剤としてペクチンを使用する場合は、ゲル状食品組成物1個あたり、ペクチンを1~5質量%含むことができる。
【0051】
具材の水分量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
また、具材の水分量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
本形態とすることによって、口内に入れた際に、ソフトキャンディ生地と具材の味や食感の一体感(両者を同時に感じることによる嗜好性)を有するソフトキャンディを提供することができる。
【0052】
例えば、ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、具材自体の水分量は、7質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、具材自体の水分量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
本形態とすることで、ソフトキャンディ生地との一体感を感じることができる。
また、ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品組成物を具材として使用すれば、具材に由来する弾力を含む具材の存在感を感じることができる。
【0053】
例えば、ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、具材自体の水分量は、7質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
また、ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物を、具材として使用する場合は、具材自体の水分量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
本形態とすることで、ソフトキャンディ生地との一体感を感じることができる。
また、ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物を具材として使用すれば、具材に由来するジューシー感を感じることができる。
【0054】
乾燥果実を具材として使用する場合には、具材自体の水分量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
乾燥果実を具材として使用する場合には、具材自体の水分量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
本形態とすることで、ソフトキャンディ生地との一体感を感じることができる。
【0055】
具材の質量は、具材一粒当たり0.1g以上であることが好ましく、0.14g以上であることがより好ましく、0.2g以上であることがさらに好ましい。
本形態とすることで、具材自体のおいしさ(具材の存在感及び/又はジューシー感)を感じることができる。
具材の質量の上限は、製造適性(べたつき、保形性、具のつぶれ、ソフトキャンディの伸展性等)の観点から適宜設定することができるが、例えば1.5g以下、好ましくは1.0g以下とすることができる。
【0056】
具材の量は、具材を除くセンター生地に対して、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。
本形態とすることで、喫食中に具材の食感(例えば、存在感やジューシー感)を感じることができる。
具材の量は、具材を除くセンター生地に対して、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0057】
本発明に係るソフトキャンディは、例えば、以下の工程を含む方法で製造することができる。
(1)糖類、水、植物性油脂及び必要に応じて乳化剤を混合、乳化させ、センター生地ベース原液及び外層生地ベース原液を、それぞれ調製する。
(2)上記センター生地ベース及び外層生地ベースをそれぞれ煮詰めた後、副原料((1)で混合した原料以外の原料)を混錬し、センター生地及び外層生地を調製する。
(3)調製したセンター生地ベースに対して、具材を混合し、具材入りセンター生地ベースを調製する。
(4)調製した具材入りセンター生地ベース及び外層生地ベースを、所望の形状に成形する。
【0058】
上記工程(1)において、各原料については、上記の事項を適用することができる。また原料の混合は、公知の方法及び公知の装置を使用してすることができる。例えば、スーパーミキサーを使用することができる。さらに、各生地の調製後、70~90℃に加温した状態で、スーパーミキサー等により、乳化することが好ましい。
【0059】
上記工程(2)は、公知の装置を使用して煮詰めることができる。好ましくは、着色しないように、減圧しながら煮詰める。
【0060】
上記工程(3)において、センター生地と混合する具材は、上記の事項を適用することができる。また、センター生地と具材の混合には、上記スーパーミキサー等、公知の装置を使用することができる。
【0061】
工程(1)~(3)においては、副原料として甘味料、着色料、保存料、安定剤、風味剤、香料等、通常食品に使用されている成分や、フォンダントやフラッペ等の砂糖の加工品を、さらに混合することができる。
フォンダントやフラッペ等の砂糖の加工品は、例えば、公知の方法で調製したものを使用することができる。
【0062】
上記工程(4)において、成形は、公知の装置を使用して行うことができる。
例えば、公知の装置を使用して、具材入りセンター生地全体を、外層生地で覆うように押し出し、所望の大きさに切断することで、成形することができる。
また、具材入りセンター生地を押し出し成形し、所望の大きさ、形状(例えば、略直方体形状)になるように、切断して成形した後、外層生地で成形した具材入りセンター生地の少なくとも一部を覆うことで、成形することができる。
また、具材入りセンター生地を、所望の形状(例えば、略直方体形状)の型に充填して成形した後、具材入りセンター生地の少なくとも一部を外層生地が覆うことで、成形することもできる。
【0063】
上記工程の他、成形後のソフトキャンディのゆがみを除去する工程等、通常ソフトキャンディの製造過程において行われる公知の工程を含んでいてもよい。
【実施例0064】
以下、実施例を参照して、本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されない。
【0065】
<試験例1>
本試験例においては、センター生地の硬度が、ソフトキャンディの食感に与える影響を試験した。
【0066】
以下の方法で、具材入りソフトキャンディを調製した。
(1)外層生地の調製
(工程1)外層生地ベース原液の調製
スーパーミキサーに、砂糖24重量部、水あめ49重量部、水10重量部、ソルビタン脂肪酸エステル0.1重量部、HLB11のショ糖脂肪酸エステル0.1重量部を混合して、撹拌しながら80℃に加温した。次いでなたね油8重量部を混合し、撹拌しながら乳化して、外層生地ベース原液を得た。
(工程2)外層生地ベースの調製
上記(工程1)で得た外層生地ベース原液を、公知の鍋を用いて、真空度600mmHg、温度118℃で、後述する(工程5)終了時における各生地の水分含量が8.2質量%になるように、外層生地ベース原液における水分量を計算して煮詰めた後、70℃に冷却して外層生地ベースを得た。
(工程3)フォンダントの調製
砂糖70重量部、水あめ30重量部及び水20重量部を溶解タンクに混合し、121℃で、水分含量が10重量%となるまで煮詰めた。次いでこれを70℃に冷却、混錬して粒径30μm以下のフォンダントを得た。
(工程4)フラッペの調製
砂糖75重量部、水あめ75重量部、水25重量部を混合し、118℃で糖度がBx90°になるまで煮詰めた後70℃まで冷却した。別に、ゼラチン(ゲル強度:200ブルーム、粒度:4メッシュパス100%、20メッシュオン90%)10重量部をその2重量倍の水に80℃で溶解し脱泡した後70℃に冷却した(ゼラチン溶液)。次いで両者を8:1(重量比)で混合し、フラッペを得た。得られたフラッペの糖度は、Bx80°であった。
(工程5)外層生地ベース、フォンダント、フラッペ等の混合
外層生地ベース82重量部、フォンダント13重量部及び上記(工程4)で調製したゼラチン溶液2重量部を混合し、30秒以上混練した。混練後の温度は70℃であった。次いで、これに酸味料、果汁、香料、着色料を添加し、さらにフラッペを添加して30秒以上撹拌した。撹拌後の温度は、65℃であった。次いでこれを45℃に冷却し、外層生地とした。
【0067】
外層生地の硬度を変化させる場合には、砂糖率を調整した。具体的には、外層生地をより硬くしたい場合は、上記組成おける砂糖率を下げ、外層生地をより軟らかくしたい場合は、上記組成における砂糖率を上げた。砂糖率の調整は、ベースに含まれる砂糖の量並びに、副原料に含まれる粉糖、フォンダント及びフラッペの量によって調整した。その他、水あめの鎖長、水分値、及び油脂の量を調製し、下記表1に記載の硬度とした。
【0068】
(2)センター生地の調製
以下の2点以外については、上記「(1)外層生地の調整」と同様にして、硬度を変化させたセンター生地を調製した。
上記(工程1)において、砂糖13重量部、水あめ26重量部、水10重量部、ソルビタン脂肪酸エステル0.1重量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1重量部、なたね油8重量部とし、センター生地ベース原液を調製した。
また、上記(工程2)においては、上記(工程5)終了時の生地水分が6.5%となるようにセンター生地ベース原液における水分量を計算し煮詰めた。
【0069】
【表1】
【0070】
なお、調製したセンター生地及び外層生地の常温(20℃)における硬度は、テクスチャーアナライザーTA.XT plus(英弘精機株式会社製)を用いた以下の測定方法で測定した。
[測定方法]
(1)生地を、11mmの厚み、かつ直径11mmの円を含む測定面を有する円柱又は直方体に成形して成形物を得る。
(2)成形物を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する。
(3)アナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、成形物の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(4)測定プローブが成形物の表面から14mm進入した(すなわち、測定プローブが成形物を貫通した)ところで、測定プローブを上昇させる。
【0071】
(3)具材入りセンター生地の調製
上記(2)で調製したセンター生地と具材を混合し、具材入りセンター生地を調製した。
具材としては、グミ(ゲル化剤としてゼラチンを主に使用するゲル状食品組成物)及びゼリー(ゲル化剤としてペクチンを主に使用するゲル状食品組成物)を使用した。
グミは、1粒あたり0.28g、常温での硬度が747g、水分量が18質量%のものを、センター生地中、20質量%となるように添加、混合した。
またゼリーは、1粒当たり0.28g、常温での硬度が109g、水分量が17質量%のものを、センター生地中、20質量%となるように添加、混合した。
なお、実施例4及び実施例8の生地については、具材としてグミを用いた具材入りセンター生地を調製し、比較例1~2、実施例1~3、及び実施例5~7の生地については、具材としてグミを用いた具材入りセンター生地と、具材としてゼリーを用いた具材入りセンター生地の2種類を調製した。
【0072】
(4)具材入りソフトキャンディの成形
上記の通り調製した具材入りセンター生地及び外層生地を成形し、具材入りソフトキャンディを得た。
成形は、まず、調製した具材入りセンター生地を長方形状に成形した。次に、成形した具材入りセンター生地を、調製した外層生地で被覆し、具材入りソフトキャンディを得た。得られた具材入りソフトキャンディの1個あたりの質量は、4.7~5.0gであった。
【0073】
(5)評価
上記製造した具材入りソフトキャンディのうち、実施例2及び比較例2について、具材のおいしさ(具材の存在感(ソフトキャンディ生地と具材の味や食感の一体感)又はジューシー感(ソフトキャンディの咀嚼開始直後~咀嚼前半に感じる、具材に由来する風味))、及びソフトキャンディらしい食感について、評価した。
評価は、4名の熟練した評価者が評価した。
【0074】
具材の存在感(ソフトキャンディ生地と具材の味や食感の一体感)は、具材としてグミを使用した実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディについて以下の評価基準で評価した。
評価者全員が、評価対象の具材入りソフトキャンディについて、生地と具材の一体感がありながら、具材の好ましい食感を喫食の早い段階から長く楽しむことができると判断した場合は、具材の存在感について評価◎とした。
評価者のうち3人が、評価対象の具材入りソフトキャンディについて、生地と具材の一体感がありながら、具材の好ましい食感を喫食の早い段階から長く楽しむことができると判断した場合は、具材の存在感について評価○とした。
評価者のうち2人が、評価対象の具材入りソフトキャンディについて、生地と具材の一体感がありながら、具材の好ましい食感を喫食の早い段階から長く楽しむことができると判断した場合は、具材の存在感について評価△とした。
評価者のうち0~1人が、評価対象の具材入りソフトキャンディについて、生地と具材の一体感がありながら、具材の好ましい食感を喫食の早い段階から長く楽しむことができると判断した場合は、具材の存在感について評価×とした。
【0075】
喫食中に感じるジューシー感(ソフトキャンディの咀嚼開始直後~咀嚼前半に感じる、具材に由来する風味)は、具材としてゼリーを使用した実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディについて、以下の評価基準で評価した。
まず、上記「(1)外層生地の調製」と同じ方法で生地を調製して成形した、具材入りでないサンプルソフトキャンディ(約5.0g)を1回/秒の速度で噛み続け、唾液を飲み込まずに10秒ごとに容器に排出し、10秒経過ごとの唾液量の合計(g)を測定した。これを、具材入りソフトキャンディが口内から溶けてなくなる時点まで繰り返した。
次に、実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディについて同様に試験し、具材入りソフトキャンディの咀嚼開始から、具材入りソフトキャンディが口内で溶けてなくなるまでの、10秒経過ごとの唾液量の合計(g)を測定した。
サンプルソフトキャンディの咀嚼時の唾液量と比較したときに、唾液の量が同じである具材入りソフトキャンディは、ジューシー感の評価を0点とした。
サンプルソフトキャンディの咀嚼時の唾液量と比較したときに、唾液の量が1.1倍になった具材入りソフトキャンディは、ジューシー感の評価を1点とした。
サンプルソフトキャンディの咀嚼時の唾液量と比較したときに、唾液の量が1.2倍になったソフトキャンディは、ジューシー感の評価を2点とした。
各評価者の点数の平均を算出し、平均点が1.6~2点の場合は評価◎、0.6~1.5点の場合は評価○、0.1~0.5点の場合は評価△、0点の場合は評価×とした。
【0076】
ソフトキャンディらしい食感は、製造した具材入りソフトキャンディ(1個あたり約4.7~5.0g)を1回/秒の速度で噛み続けた場合に、30秒以上噛み続けられたか否かで評価した。
1回/秒の速度で噛み続けた場合に、30秒以上噛み続けられた具材入りソフトキャンディは、各評価者によるソフトキャンディらしい食感の評価を○とした。
1回/秒の速度で噛み続けた場合に、30秒以上噛み続けられなかった(すなわち、30秒経過前に、口の中で溶けてなくなった)具材入りソフトキャンディ又は、30秒の間でなかなか軟らかくならなかった具材入りソフトキャンディは、各評価者によるソフトキャンディらしい食感の評価を×とした。
各評価者の評価で、評価者全員が○をつけた場合は、ソフトキャンディらしい食感の総合評価を◎とした。○をつけた評価者が3人の場合は、ソフトキャンディらしい食感の総合評価を○とした。○をつけた評価者が1人~2人の場合は、ソフトキャンディらしい食感の総合評価を△とした。○をつけた評価者が0人の場合は、ソフトキャンディらしい食感の総合評価を×とした。
具材としてグミを使用した場合の実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディについての評価を下記表2に、具材としてゼリーを使用した場合の実施例2及び比較例2の具材入りソフトキャンディについての評価の結果を表3に、それぞれ示す。
また、具材としてゼリーを使用した場合の実施例2及び比較例2のソフトキャンディについて、咀嚼時間(秒)と、唾液量の合計(g)の関係を、表4、図2図5に示す。
【0077】
【表2】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
表2及び表3に示される通り、常温におけるセンター生地の硬度と常温における外層生地の硬度が同じ比較例2は、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)をあまり感じることができなかった。
他方、表2及び表3に示される通り、常温におけるセンター生地の硬度が、常温における外層生地の硬度よりも低い(すなわち、常温において、センター生地のほうが外層生地よりも軟らかい)実施例2は、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)を感じることができた。
【0080】
また、表4及び図2図5に示される通り、常温におけるセンター生地の硬度が、常温における外層生地の硬度よりも低い(すなわち、常温において、センター生地のほうが外層生地よりも軟らかい)実施例2は、常温におけるセンター生地の硬度と常温における外層生地の硬度が同じである比較例2に比して、分泌される唾液の量が多かった。すなわち、実施例2のほうが、比較例2に比して、喫食中に感じられるジューシー感が強いことが明らかになった。
以上より、常温におけるセンター生地の硬度を、常温における外層生地の硬度を低くすることによって、具材のおいしさを感じる具材入りソフトキャンディを製造することができることが明らかになった。
【0081】
(6)官能評価
上記の通り製造した具材入りソフトキャンディのうち、比較例1、実施例1及び実施例3~8について、実施例2及び比較例2を基準としたときの、相対的な具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)及びソフトキャンディらしい食感について、評価した。
【0082】
評価は、3又は4人の熟練した評価者が行った。
評価対象の具材入りソフトキャンディについて感じる、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)が、実施例2に近い場合は、評価◎とした。
評価対象の具材入りソフトキャンディについて感じる、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)が、実施例2には劣るが、比較例2よりは明らかに感じられる場合は、評価○とした。
評価対象の具材入りソフトキャンディについて感じる、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)が、実施例2には劣るが、比較例2よりはやや感じられる場合は、評価△とした。
評価対象の具材入りソフトキャンディについて感じる、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)が、比較例2に近い場合は、評価×とした。
【0083】
評価者全員が評価◎をつけた具材入りソフトキャンディは、具材自体のおいしさについて、総合評価を◎とした。
評価者の大部分(評価者が3名の場合はそのうち2名、評価者が4名の場合はそのうち3名)が評価◎をつけた具材入りソフトキャンディは、具材自体のおいしさについて、総合評価を○とした。
評価者の少数(評価者が3名の場合はそのうち1名、評価者が4名の場合はそのうち1~2名)が評価◎をつけた具材入りソフトキャンディは、具材自体のおいしさについて、総合評価を△とした。
評価者全員が評価×をつけた具材入りソフトキャンディは、具材自体のおいしさについて、総合評価を×とした。
【0084】
また、ソフトキャンディらしい食感については、上記(5)と同じ方法で試験した。評価は、3又は4人の熟練した評価者が行った。
評価者全員が評価○をつけた具材入りソフトキャンディは、ソフトキャンディらしい食感について、総合評価を◎とした。
評価者の大部分(評価者が3名の場合はそのうち2名、評価者が4名の場合はそのうち3名)が評価○をつけた具材入りソフトキャンディは、ソフトキャンディらしい食感について、総合評価を○とした。
評価者の少数(評価者が3名の場合はそのうち1名、評価者が4名の場合はそのうち1~2名)が評価○をつけた具材入りソフトキャンディは、ソフトキャンディらしい食感について、総合評価を△とした。
評価者全員が評価×をつけた具材入りソフトキャンディは、ソフトキャンディらしい食感について、総合評価を×とした。
【0085】
具材としてグミを使用した具材入りソフトキャンディ(比較例1、実施例1、3~8)についての評価を下記表に、具材としてゼリーを使用した具材入りソフトキャンディ(比較例1、実施例1、3、5~7)についての評価の結果を表6に、それぞれ示す。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
表5及び表6に示される通り、センター生地と外層生地の硬度が同じ比較例1は、具材のおいしさ(具材の存在感及びジューシー感)は実施例2に近かった(評価◎)ものの、ソフトキャンディらしい食感に劣っていた(評価△)。
以上より、常温(20℃)におけるセンター生地の硬度と、常温(20℃)における外層生地の硬度が同じだと、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)と、ソフトキャンディらしい噛み心地を両立することができないことが、明らかになった。
【0089】
他方、常温(20℃)におけるセンター生地の硬度が、常温(20℃)における外層生地の硬度よりも相対的に低い(すなわち、常温において、センター生地のほうが外層生地よりも相対的に軟らかい)ソフトキャンディである実施例1、3~6は、実施例2に近い具材自体のおいしさ及びソフトキャンディらしい噛み心地を有することが明らかになった。
また、常温におけるセンター生地の硬度が370g以下であれば、具材の存在感及びジューシー感の少なくとも何れかをよく感じる、すなわち、具材自体のおいしさをよく感じることができることが明らかになった。
【0090】
センター生地の硬度が362gである実施例7及びセンター生地の硬度が341gである実施例6は、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)が実施例2と比較例2の中間程度であった(評価○)。
他方、センター生地の硬度が300gである実施例5は、具材自体のおいしさ(具材の存在感及びジューシー感)が、実施例2に近かった(評価○又は◎)。
以上より、常温におけるセンター生地の硬度を350g以下とすることが、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)を感じるためにはより好ましいことが明らかになった。
【0091】
表5及び表6に示される通り、常温におけるセンター生地の硬度と、常温における外層生地の硬度との差が41gである実施例7よりも、センター生地の硬度と、常温における外層生地の硬度の差が97gである実施例5のほうが、具材の存在感及びジューシー感が、より実施例2に近かった。
以上より、具材自体のおいしさ(具材の存在感及びジューシー感)の観点からは、常温におけるセンター生地の硬度と、常温における外層生地の硬度の差は、80g以上であることがより好ましいことが明らかになった。
【0092】
また、外層生地の硬度が140gである比較例1は、外層生地が軟らかすぎて、ソフトキャンディらしい食感に劣る(評価△)。
他方、外層生地の硬度が250gである実施例1は、ソフトキャンディらしい食感を有している(評価◎及び○)。
以上より、常温における外層生地の硬度を200g以上とすることが、具材自体のおいしさを感じ、かつ、ソフトキャンディらしい噛み心地を有するためにはより好ましいことが明らかになった。
【0093】
外層生地の硬度が1100gである実施例8は、具材の存在感及びジューシー感は実施例2に近いものの(評価○及び◎)、外層生地が硬いためなかなか軟らかくならず、ソフトキャンディらしい食感を有していなかった。(評価△)。
他方、外層生地の硬度が1000gである実施例4は、具材の存在感及びジューシー感が実施例2に近く、またソフトキャンディらしい食感も、有していた。(評価何れも◎)。
以上より、ソフトキャンディらしい食感の観点からは、常温における外層生地の硬度を1050g以下とすることがより好ましいことが明らかになった。
【0094】
表5及び表6に示される通り、常温におけるセンター生地の硬度が、常温における外層生地の硬度よりも低い具材入りソフトキャンディにおいては、砂糖率の差(センター生地の砂糖率-外層生地の砂糖率)が5質量%以上であれば、具材の存在感及びジューシー感の少なくとも何れかを感じることができることが明らかになった。
また、常温におけるセンター生地の硬度が300g以下、常温における外層生地の硬度が1050g以下のソフトキャンディにおいては、砂糖率の差を10質量%以上とすることで、より実施例2に近いレベルで、具材自体のおいしさを感じることができることが明らかになった。
【0095】
<試験例2>
本試験例においては、具材を除くセンター生地の水分量及び水分活性が、ソフトキャンディに与える影響を試験した。
【0096】
具材を除くセンター生地において、水分量(質量%)、センター生地の水分活性値、及びセンター生地の常温における硬度を変化させたこと以外は、試験例1の実施例2と同様にして、センター生地を調製した。また、上記試験例1で調製した実施例2、実施例7及び比較例3のセンター生地も、引き続き使用した。
具材は、グミ及びゼリーを使用した。ゼリーは、試験例1で使用したゼリーと同じゼリーを使用した。
グミは、実施例2、実施例9~12、及び比較例3については、試験例1と同じグミを使用した。実施例7については、1粒当たり0.28g、常温における硬度が977g、水分量が17質量%のグミを使用した。
これらの具材を、センター生地中に20質量%となるように混合して、具材入りソフトキャンディ(比較例3、実施例2、7及び9~12)を製造した。センター生地の具体的な組成を表7に示す。なお、外層生地は、実施例2と同じ組成の外層生地(常温における硬度が403g)を使用した。
常温における硬度は、上記試験例1と同様にして、主として砂糖率を調整することで調整した。すなわち、実施例2と比較して、硬度を上昇させたい場合(すなわち、実施例2のセンター生地よりも固くしたい場合)は、センター生地の砂糖率を下げ、硬度を下降させたい場合(すなわち、実施例2のセンター生地よりも軟らかくしたい場合)は、センター生地の砂糖率を上げた。砂糖率は、ベースに含まれる砂糖の量並びに、副原料である粉糖、フォンダント及びフラッペの量を調整することで、調整した。あわせて、水あめの鎖長、水分値、油脂の量を調整し、下記表7に記載の硬度とした。
【0097】
【表7】

【0098】
センター生地の水分量は、助剤として海砂を用い、減圧加熱乾燥助剤法で常法により測定した。
【0099】
製造した具材入りソフトキャンディについて、試験例1の「(6)官能評価」と同様にして、製造したソフトキャンディにおける、具材の存在感、及び喫食中に感じるジューシー感を評価した。また、工程適性(保形性)についても評価した。
なお、工程適性(保形性)については、水分活性の値から評価した。具体的には、水分活性の値が高い場合は、工程適正が低いと評価し(評価×)、水分活性の値が低い場合は、工程適正が高いと評価した(評価○)。
また、具材の硬度は、テクスチャーアナライザーTA.XT plus(英弘精機株式会社製)を用いた以下の測定方法で測定した。
[測定方法]
(1)測定試料(具材)を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する。測定試料として、最長部分が10mm以下の粒状、球状又は直方体状であって、1個当たりの質量が1g以下のものを、選択した。また、測定面としては、測定対象の試料の中で比較的平らな面を採用した。
(2)アナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、具材の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(3)測定プローブが具材の底面を貫通したところで、測定プローブを上昇させる。
また、比較例5~6及び実施例2~9の生地については、具材としてグミを使用した具材入りソフトキャンディ及び、具材としてゼリーを使用した具材入りソフトキャンディの両方を製造した。
他方、比較例7及び実施例10~11の生地については、具材としてゼリーを使用した具材入りソフトキャンディのみを製造した。
具材としてグミを使用したソフトキャンディについての評価を下記表8に、具材としてゼリーを使用した具材入りソフトキャンディについての評価の結果を下記表9に、それぞれ示す。
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【0102】
センター生地の水分値が12質量%以下である実施例2、実施例7及び実施例9~12は、具材自体のおいしさ(具材の食感又はジューシー感)を、実施例2に近い程度で感じることができる(評価何れも◎)
以上より、センター生地の水分量が12質量%以下であれば、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)を感じることができることが明らかになった。
他方、センター生地の硬度と外層生地の硬度が同じである比較例3は、センター生地の水分量が12質量%以下であっても、具材自体のおいしさは比較例2と同程度にしか感じることはできなかった。
【0103】
また、実施例7は、試験例1で用いた具材よりも常温における硬度が高い(すなわち、試験例1で用いた具材よりも硬い)具材を使用したところ、具材の存在感を試験例1よりも感じることができるようになっていた。
【0104】
他方、実施例12は、具材自体のおいしさを感じることができるが、センター生地の水分量が多いことで、センター生地の水分活性値が上がったため、センター生地が軟らかくなりすぎ、保形性に劣る(評価×)。
他方、センター生地の水分値が10質量%以下であり、水分活性値が0.7以下である実施例実施例2、実施例7及び実施例9~11は、ある程度以上の保形性を有している(評価○)。
したがって、具材入りソフトキャンディの保形性の観点からは、センター生地の水分値を10質量%以下とし、水分活性値を0.7以下とすることがより好ましいことが明らかになった。
【0105】
また、センター生地の水分量が10質量%であり、水分活性値が0.7以下である場合、センター生地の砂糖率と外層生地の砂糖率が同じか、又はセンター生地の砂糖率のほうが外層生地の砂糖率よりも大きければ(すなわち、砂糖率の差が0以上であれば)、具材自体のおいしさを感じ、工程適性(保形性)もあるソフトキャンディを製造することができることが明らかになった。
【0106】
<試験例3>
本試験例においては、センター生地に含まれる具材の硬度が、ソフトキャンディの食感に与える影響を試験した。
【0107】
具材を種々変更し(実施例13~15はゼリー、実施例16は乾燥マンゴー、実施例17は乾燥プルーン、実施例18~21及び比較例8はグミ)をセンター生地に混合し、センター生地及び外層生地の組成を下記表10に記載の組成にしたこと以外は、試験例1と同様にして、具材入りソフトキャンディを製造した。
実施例13では、水分量が17質量%、常温における硬度が109gのゼリーを使用した。
実施例14では、水分量が14.3質量%、常温における硬度が170gのゼリーを使用した。
実施例15では、水分量が11.7質量%、常温における硬度が231gのゼリーを使用した。
実施例16では、水分量が13.1質量%、常温における硬度が233gの乾燥マンゴーを使用した。
実施例17では、水分量が25.0質量%、常温における硬度が180gの乾燥プルーンを使用した。
実施例18では、水分量が18質量%、常温における硬度が352gのグミを使用した。
実施例19では、水分量が18質量%、常温における硬度が500gのグミを使用した。
実施例20では、水分量が18質量%、常温における硬度が747gのグミを使用した。
実施例21では、水分量が12.4質量%、常温における硬度が1049gのグミを使用した。
また、全ての具材の質量は、1粒あたり0.28gであり、具材の含有量は、センター生地中に20質量%になるようにした。
なお、センター生地、外層生地及び具材の常温における硬度は、試験例1及び試験例2と同様に測定した。
【0108】
【表10】
【0109】
製造した具材入りソフトキャンディについて、試験例1と同様にして、製造した具材入りソフトキャンディにおける、具材の存在感又はジューシー感、ソフトキャンディらしい食感、及び工程適性(具のつぶれ、及びソフトキャンディ自体の伸展性)について、評価した。
なお、工程適性(具のつぶれ及びソフトキャンディ自体の伸展性)については、センター生地を、品温40℃にて具材と混合した際に、具がつぶれてしまった場合、混合後に生地を延ばす際に生地と具の間に隙間ができて具が脱落した場合、及び、生地が切れてしまった場合は評価×とし、それ以外は評価○とした。
各具材の硬度及び、具材としてゼリー又は乾燥果実を使用した具材入りソフトキャンディについての評価の結果を下記表11に、具材としてグミを使用したソフトキャンディについての評価を下記表12に、それぞれ示す。
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
【0112】
表10及び表11に記載の通り、具材の硬度が1050g以下である実施例13~21は、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)及びソフトキャンディらしい食感を感じることができた。
以上より、具材の硬度が1050g以下であれば、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)を感じ、かつ、ソフトキャンディらしい噛み心地を有する具材入りソフトキャンディを製造することができることが明らかになった。
【0113】
また、表10及び表11に記載の通り、具材の硬度が1050g以下である場合、砂糖率の差を10以上とすることで、具材自体のおいしさを感じることができる具材入りソフトキャンディを製造することができることが、明らかになった。
【0114】
<試験例4>
本試験例では、センター生地中における具材の量が、喫食中に感じる具材の存在感及びジューシー感に与える影響を試験した。
【0115】
常温におけるセンター生地の硬度を140g、外層生地の硬度を403gとし、具材(グミ及びゼリー)の量を下記表10及び11の通りに変化させた以外は、試験例1の実施例2と同様にして、ソフトキャンディを製造した。
具材は、試験例1のものと同じものを使用した。
【0116】
製造した具材入りソフトキャンディについて、試験例1と同様に、具材の存在感、ジューシー感について評価した。さらに、ソフトキャンディらしい噛み心地及び工程適性(具のつぶれ及び生地のつながり)について評価した。
ソフトキャンディらしい噛み心地については、具材入りソフトキャンディの喫食時に、ソフトキャンディならではの噛み心地や歯ざわりを楽しむことができる場合は、評価を◎とした。喫食時に、ソフトキャンディらしい噛み心地や歯触りをやや楽しむことができる場合は、評価を〇とした。喫食時に、ソフトキャンディらしい噛み心地や歯ざわりを楽しむことができない場合は、評価を×とした。
また、工程適性(具のつぶれ及び生地のつながり)は、センター生地を、品温40℃にて具材と混合した際に、具がつぶれてしまった場合、混合後に生地を延ばす際に生地と具の間に隙間ができて具が脱落した場合、及び、生地が切れてしまった場合は評価×とし、それ以外は評価○とした。
具材としてグミを使用した場合の結果を下記表13に、具材としてゼリーを使用した場合の結果を下記表14に、それぞれに示す。
【0117】
【表13】
【0118】
【表14】
【0119】
表13及び表14に示される通り、センター生地中の具材の量が、センター生地に対して10質量%以上である実施例22~27は、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)を感じることができた。
以上より、センター生地中の具材の量を、センター生地に対して10質量%以上とすることで、具材自体のおいしさを感じることができることが明らかになった。
【0120】
また、センター生地中の具材の量が、センター生地に対してそれぞれ50質量%及び60質量%である実施例26及び実施例27は、具材自体のおいしさ(具材の存在感又はジューシー感)を感じることができる(評価何れも◎)ものの、具材の量が多すぎて、ソフトキャンディらしい噛み心地や歯ざわりが損なわれ、ソフトキャンディらしい噛み心地が失われていた(評価×)。また、製造適性も劣っていた(評価×)。
以上より、ソフトキャンディらしい噛み心地及び製造適性の観点からは、センター生地中の具材の量を、センター生地に対して45質量%以下とすることがより好ましいことが明らかになった。
【0121】
<試験例5>
本試験例では、具材の質量が、ソフトキャンディの食感に与える影響を試験した。
【0122】
具材の質量を1粒あたり0.04g、0.07g、0.1g、0.14g、0.28gと変化させた以外は、試験例1と同様にした具材(グミ及びゼリー)を使用して、具材入りソフトキャンディを製造した。具材の量は、試験例1と同じ(センター生地中に20質量%)とした。
製造した具材入りソフトキャンディについて、試験例1と同様に、具材の存在感及びジューシー感について評価した。
具材としてグミを使用した場合の結果を下記表15に、具材としてゼリーを使用した場合の結果を下記表16に、それぞれに示す。
【0123】
【表15】
【0124】
【表16】
【0125】
表15及び表16に示される通り、具材の質量が1粒あたり0.1g以上である実施例28~30は、具材自体のおいしさ(具材の存在感及びジューシー感)を感じることができた(評価何れも○又は◎)。
以上より、具材の質量を1粒当たり0.1g以上とすることで、具材自体のおいしさ(具材の存在感及びジューシー感)を感じることできることが明らかになった。
【0126】
<試験例6>
本試験例では、具材の水分量がソフトキャンディの食感に与える影響を試験した。
【0127】
具材としてゼリー、乾燥パパイヤ、グミ及び乾燥プルーンを使用した以外は、は、実施例2と同様にして、具材入りソフトキャンディを製造した。
なお、実施例32(具材がゼリー)及び実施例33(具材がグミ)は、実施例2と同じ具材を使用した。
乾燥パパイヤは、水分量が7.3質量%、常温における硬度が173gのものを使用した。乾燥プルーンは、水分量が25質量%、常温における硬度が180gのものを使用した。
また、具材の質量は全て1粒あたり0.28gのものを使用し、センター生地中に20質量%となるように具材を添加した。
製造した具材入りソフトキャンディについて、試験例1と同様に、具材の存在感及びジューシー感について、評価した。また、表17中「‐」は、その観点では評価しなかったことを表す。
結果を下記表17に示す。
【0128】
【表17】
【0129】
表17に示される通り、具材自体の水分量が7質量%以上である実施例31~34は、具材の食感を感じることができ、またジューシー感も感じることができた(評価何れも◎)。
以上より、具材の水分量を7質量%以上とすることで、具材自体のおいしさ(具材の食感及び/又はジューシー感)を感じることできることが明らかになった。
ただし、流通過程における菌リスクの観点からは、具材の水分量は25質量%以下とすることがより好ましい(実施例34、コメント欄参照)。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明によれば、具材自体のおいしさ(具材の存在感及び/又はジューシー感)を感じ、ソフトキャンディらしい食感を有し、具材とソフトキャンディ生地との一体感のあるソフトキャンディを提供することができる。
【符号の説明】
【0131】
10 具材入りソフトキャンディ
11 センター生地
12 外層生地
13 具材
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2020-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材と、前記具材を含むセンター生地と、前記センター生地を覆う外層生地と、からなり、
前記具材は、固形又は半固形であり、下記測定方法(具材)で測定した、品温20℃における硬度が1050g以下であり、
前記センター生地及び前記外層生地は、ソフトキャンディ生地であり、
品温20℃における前記センター生地の硬度が、品温20℃における前記外層生地の硬度よりも相対的に低く、
品温20℃において、下記測定方法(生地)で測定した場合に、前記センター生地の硬度が370g以下であり、品温20℃において、前記外層生地の硬度が、下記測定方法(生地)で測定した場合に、150~1100gである、具材入りソフトキャンディ。
[測定方法(具材)]
(1)最長部分が10mm以下の粒状、球状又は直方体状であって、1個当たりの質量が1g以下の測定試料(具材)を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する
(2)測定対象の試料の中で比較的平らな面を測定面とし、アナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、具材の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(3)測定プローブが具材の底面を貫通したところで、測定プローブを上昇させる。
[測定方法(生地)]
(1)11mmの厚み、かつ直径11mmの円を含む測定面を有する円柱又は直方体に成形した成形物を、テクスチャーアナライザーの試料台に固定し、品温を20℃に保持する。
(2)アナライザーの測定プローブ(直径0.9mmの円柱状)を1mm/secのスピードで降下させ、成形物の測定面の中心部付近の表面に測定プローブを進入させ、最大荷重5kgの範囲内で荷重を測定する。
(3)測定プローブが成形物の表面から14mm進入したところで、測定プローブを上昇させる。
【請求項2】
前記センター生地の砂糖率が、前記外層生地の砂糖率より高い、請求項1に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項3】
前記外層生地の水分量は、前記センター生地の水分量よりも多い、請求項2に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項4】
前記センター生地の水分量が、前記具材を除いた前記センター生地全体に対して12質量%以下であり、
前記センター生地の水分活性が、0.7以下である、請求項1~の何れか一項に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項5】
前記センター生地に対する前記具材の含有量が、40質量%以下である、請求項1~の何れか一項に記載の具材入りソフトキャンディ。
【請求項6】
前記具材が、ゲル状食品組成物又は乾燥果実である、請求項1~の何れか一項に記載の具材入りソフトキャンディ。