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特開2022-109209銅合金線、めっき線、電線、およびケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109209
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】銅合金線、めっき線、電線、およびケーブル
(51)【国際特許分類】
   C22C 9/00 20060101AFI20220720BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20220720BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20220720BHJP
   C22F 1/08 20060101ALN20220720BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20220720BHJP
【FI】
C22C9/00
H01B7/00
H01B7/18 H
C22F1/08 C
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 625
C22F1/00 613
C22F1/00 630A
C22F1/00 661A
C22F1/00 660Z
C22F1/00 630G
C22F1/00 630K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100890
(22)【出願日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2021003901
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黒田 洋光
(72)【発明者】
【氏名】早坂 孝
(72)【発明者】
【氏名】黄 得天
(72)【発明者】
【氏名】岡田 良平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 保
【テーマコード(参考)】
5G309
5G313
【Fターム(参考)】
5G309LA05
5G313AB10
5G313AC07
(57)【要約】
【課題】銅合金線の強度向上および導電率向上を両立させる。
【解決手段】銅合金線10は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金11によって構成され、0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金によって構成され、
0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である、銅合金線。
【請求項2】
請求項1に記載の銅合金線において、
前記銅合金は、0.02質量%以上0.1質量%未満の錫を含有し、前記インジウムおよび前記錫の合計の含有率が0.65質量%以下である、銅合金線。
【請求項3】
0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金によって構成される銅合金線と、
前記銅合金線の周囲に設けられためっき層と、を有し、
0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である、めっき線。
【請求項4】
導体と、前記導体の周囲を被覆する絶縁体と、を備え、
前記導体は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金によって構成される銅合金線からなり、
前記銅合金線は、0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である、
電線。
【請求項5】
請求項4に記載の電線において、
前記銅合金は、0.02質量%以上0.1質量%未満の錫を含有し、前記インジウムおよび前記錫の合計の含有率が0.45質量%以下である、電線。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電線において、
前記導体は、複数本の前記銅合金線を撚り合わせしたものからなる、電線。
【請求項7】
前記導体の周囲を絶縁体で被覆した電線からなる複数本の芯線と、複数本の前記芯線の周囲を一括して被覆するシースと、を有し、
前記導体は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金によって構成された銅合金線からなり、
前記銅合金線は、0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である、ケーブル。
【請求項8】
請求項7に記載のケーブルにおいて、
前記銅合金は、0.02質量%以上0.1質量%未満の錫を含有し、前記インジウムおよび前記錫の合計の含有率が0.65質量%以下である、ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅合金線、めっき線、これを用いた電線、およびケーブル、に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平5-311285号公報)には、Cuの他、InおよびSnを含む銅合金線が記載されている。特許文献2(特開2014-159609号公報)には、伸線前の銅合金体として、Ag、In、Mg及びSnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を0.01原子%以上含有する銅合金体が記載されている。特許文献3(国際公開第2014/007259号)には、銅合金材の製造工程において、複数の冷間加工の間に、中間熱処理を行うことが記載されている。特許文献4(特開2015-4118号公報)には、引抜銅線の製造工程において、引抜加工後に焼鈍し、その後、仕上引抜加工を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-311285号公報
【特許文献2】特開2014-159609号公報
【特許文献3】国際公開第2014/007259号
【特許文献4】特開2015-4118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
銅合金からなる金属線は、様々な用途に用いられる。例えば、電子機器、産業用ロボット、自動車などの内部に配線される内部配線部品としての電線やケーブルでは、導体に銅合金からなる金属線が用いられる。このような用途に用いられる金属線では、電線やケーブルの屈曲寿命の向上、および伝送特性の向上のため、金属線の強度向上、および導電率向上が要求される。
【0005】
本発明の目的は、金属線の強度向上および導電率向上を両立させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態である銅合金線は、銅合金によって構成される銅合金線であって、前記銅合金は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する。前記銅合金線は、0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である。
【0007】
例えば、前記銅合金は、0.02質量%以上0.1質量%未満の錫を含有し、前記インジウムおよび前記錫の合計の含有率は、0.65質量%以下であることが好ましい。
【0008】
他の実施の形態である電線は、銅合金線からなる導体と、前記導体の周囲を被覆する絶縁体と、を備える。前記銅合金線は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金によって構成される。前記銅合金線の0.2%耐力が300MPa以上、前記銅合金線の導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である。
【0009】
例えば、前記電線における前記銅合金は、0.02質量%以上0.1質量%未満の錫を含有し、前記インジウムおよび前記錫の合計の含有率は、0.65質量%以下であることが好ましい。
【0010】
例えば、前記導体は、複数本の前記銅合金線を撚り合わせしたものからなることが好ましい。
【0011】
他の実施の形態であるめっき線は、銅合金線と、前記銅合金線の周囲に設けられためっき層と、を備え、前記銅合金線は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金によって構成され、0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である。
【0012】
他の実施の形態であるケーブルは、銅合金線からなる導体、および前記導体の周囲を被覆する絶縁体を備えた複数本の芯線と、前記複数本の芯線の周囲を一括して被覆するシーと、を有する。前記銅合金線は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを
含有する銅合金によって構成される。前記銅合金線の0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である。
【0013】
例えば、前記ケーブルにおける前記銅合金は、0.02質量%以上0.1質量%未満の錫を含有し、前記インジウムおよび前記錫の合計の含有率は、0.65質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の代表的な実施の形態によれば、金属線の強度向上および導電率向上を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施の形態である金属線の斜視断面図である。
図2図1に示す金属線の製造工程の一例を示すフロー図である。
図3図1に示す金属線を含むケーブルの断面図である。
図4図3に示すケーブルが有する複数の電線のうちの1本の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、線径(外径)が100μm以下の銅合金からなる金属線を銅合金線と呼ぶ。また、銅合金線に伸線加工される前のものを荒引き線と呼ぶ。また、銅合金線(金属線)の周囲にめっき層を有するものをめっき線と呼ぶ。
【0017】
また、以下の説明において、導電率の評価指標として、「IACS(International Annealed Copper Standard)」という指標を用いる。IACSを用いた導電率は、焼鈍標準軟銅(体積抵抗率:1.7241×10-2μΩm)の導電率を、100%IACSと規定し、この焼鈍標準軟銅の導電率に対する割合を「○○%IACS」と記載する。以下で説明する導電率は、日本工業規格(JIS C 3002:1992)に規定される電気用銅線の試験方法に則って試験片の電気抵抗および直径を測定し、測定結果に基づいて算出される。
【0018】
また、以下の説明において、金属線またはめっき線の「伸び」について説明する場合、日本工業規格(JIS C 3002:1992)に規定される電気用銅線の試験方法に則って試験片の引張試験を行い、その測定結果から算出される値を「伸び」とする。さらに、以下の説明において、金属線またはめっき線の「0.2%耐力」について説明する場合、日本工業規格(JIS Z 2241:2011)に規定される金属材料引張試験方法に則って試験片の引張試験を行い、その測定結果から算出される値を「0.2%耐力」とする。
【0019】
<本発明者等が新規に見出した知見>
例えば、工場などに設置される産業用ロボットの内部に配線される内部配線部品として、電線やケーブルが用いられる。このような用途に用いられる電線やケーブルでは、屈曲寿命の向上、および伝送特性の向上が求められる。これに対して、本発明者等は、電線やケーブルの導体に用いられる金属線やめっき線の強度の指標の1つである0.2%耐力を向上させ、かつ、0.2%耐力の向上とトレードオフの関係であった導電率も向上させることにより、電線やケーブルの屈曲寿命の向上、および伝送特性の向上という課題を解決することができることを見出し、本発明を成すに至った。
【0020】
<金属線の構造>
図1は、本実施の形態に係る金属線の斜視断面図である。図1に示す銅合金線10は、銅合金11によって構成される銅合金線であって、銅合金11は、0.3質量%以上、かつ、0.65質量%以下のインジウム(In)を含有する。銅合金11は、その残部に不可避的不純物が含まれている。また、銅合金線10の0.2%耐力は、300MPa以上(好ましくは、300MPa以上350MPa以下)であり、銅合金線10の導電率は、80%IACS以上(好ましくは、80%IACS以上90%IACS以下)であり、銅合金線10の伸びは、7%以上(好ましくは、7%以上18%以下)である。
【0021】
銅合金11に含まれる不可避的不純物としては、例えばアルミニウム(Al)、珪素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ヒ素(As)、セレン(Se)、銀(Ag)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、あるいはビスマス(Bi)などが挙げられる。銅合金11に含まれる不可避的不純物は、例えば20質量ppm以上30質量ppm以下の範囲で含有する。
【0022】
上記した銅合金11を有する銅合金線10は、0.2%耐力および導電率のそれぞれを、高い水準で両立させることができる。詳細は実施例として後述するが、本願発明者が確認した結果、0.3質量%以上、かつ、0.65質量%以下のインジウム(In)を含有し、残部が銅(Cu)および不可避的不純物からなる銅合金11を有する銅合金線10は、80%IACS以上の導電率、300MPa以上の0.2%耐力を備える。
【0023】
電気を伝送する導電線(以下、単に電線と記載する)は、電力の伝送路、あるいは電気信号の伝送路を構成する部材であって、様々な分野に広く利用される。電線における導体には、様々な種類の純金属、合金、あるいは複合材などの導電性材料が使用される。本実施の形態では、電線における導体として、高い導電性を有する銅合金11で構成される銅合金線10を取り上げて説明する。
【0024】
電線における導体として利用される銅線は、上記したように様々な分野に利用されるが、利用される分野によっては、線径が細い銅線が求められる場合がある。例えば、携帯用端末などの電子機器では、その内部配線部品として、銅線からなる導体を備えた電線が使用される。この場合、1本の銅線の線径は、100μm以下のサイズが要求される場合がある。また、医療分野で利用されるプローブケーブルの場合、患者の体内に挿入される用途で利用される場合もあり、更に細い線径の銅線が要求される。本実施の形態では、極細線の一例として、80μmの線径10Dを備える銅合金線10を取り上げて説明する。
【0025】
銅合金11から構成される銅合金線10の0.2%耐力は、銅合金11にひずみを生じさせることにより向上させることができる。銅合金11にひずみを生じさせる方法としては、銅合金11に含まれる銅以外の金属元素の含有率を高くする方法、および、伸線加工などを施す方法である。ところが、これらの方法により、銅合金線10にひずみを生じさせると、導電性部材としての銅合金11の抵抗率が上昇するため、銅合金線10の導電率が低下する。つまり、銅合金線10の0.2%耐力を大きくすること、および銅合金線10の導電率を大きくすることは、トレードオフの関係になっている。
【0026】
そこで、本発明者等は、固溶強化型の銅合金11において、導電率および0.2%耐力の特性を向上させる構成を見出すため、複数種類の金属元素について、銅合金11内に固溶化させた時に、銅合金11の導電率低下に与える影響、および0.2%耐力の強化に寄与する程度に着目した。すなわち、銅合金線10の0.2%耐力の向上への寄与の程度については、金属元素の種類により違いがあり、かつ銅に固溶される元素の含有率が大きくなれば、これに比例して0.2%耐力が大きくなる。錫(Sn)およびインジウム(In)は、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、あるいはマグネシウム(Mg)などの金属と比較すると、銅に固溶させた時に、0.2%耐力を大きくする影響が大きいため、有効な添加元素である。
【0027】
一方、導電率の低下に与える影響については、金属元素の種類によって、影響の程度が大きく異なる。詳しくは、銀(Ag)、インジウム(In)、あるいはマグネシウム(Mg)の場合、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)などの金属と比較して、銅に固溶される濃度が大きくなっても、導電率の低下を抑制することができる。例えば、無酸素銅に固溶される上記金属元素の濃度(質量濃度)が、900ppmである場合で比較すると、錫(Sn)の場合、純銅の導電率を100%(百分率)としたときに対して、92%程度まで低下するが、インジウム(In)の場合、98%程度までの低下で済む。また、銀(Ag)の場合、純銅の導電率を100%(百分率)としたときに対して99%程度までの低下で済む。
【0028】
上記した特性から、銅にインジウムを固溶させることにより得られる銅合金11は、導電率および0.2%耐力の特性を高い水準で備えている。なお、銅に銀(Ag)を固溶させた銅合金の場合、本実施の形態の銅合金線10よりもさらに高い導電率が得られる。ただし、同じ濃度の場合、銀はインジウムと比べて0.2%耐力を大きくする効果が小さいため、銀の含有量を増加させると、銅合金線10の原料コストが増大するので、インジウムを固溶させることが好ましい。
【0029】
また、銅合金11の0.2%耐力を向上させるため、銅合金に含まれる酸素の含有率は少ないことが好ましい。本実施の形態の場合、銅合金11に含まれる酸素は、0.002質量%以下である。銅合金11に含まれる酸素が0.002質量%以下であれば、酸素に起因して銅合金11の0.2%耐力が低下することを抑制できる。
【0030】
図1に示す銅合金線10の変形例として、銅合金11が、0.3質量%以上、かつ、0.65質量%未満のインジウム(In)と、0.02質量%以上、かつ、0.1質量%未満の錫(Sn)と、を含有し、残部が銅(Cu)および不可避的不純物からなる場合がある。ただし、銅合金11に含まれるインジウムおよび錫の合計の含有率は、0.65質量%以下である。
【0031】
銅合金線10の変形例の場合、銅合金11が固溶化された錫を含んでいるため、上記した錫を含まない銅合金線10と比較すると、導電率は相対的に低い。ただし、錫の含有率を0.1質量%未満とし、かつ、0.3質量%以上のインジウムを含有させることにより、80%IACS以上の導電率を維持することができる。ただし、銅合金11に含まれるインジウムおよび錫の合計の含有率は、0.65質量%以下であることが望ましい。このように、銅合金線10の変形例の場合、錫を所定の含有量で固溶化させることにより、80%IACS以上の導電率を維持しつつ、かつ、銅合金線10の原料コストを低減させることができる。
【0032】
<金属線の製造方法>
次に、図1に示す銅合金線10の製造方法について説明する。上記した銅合金線10は、銅合金中に錫を含有する場合と含有しない場合とがあるが、製造方法は、同様である。図2は、図1に示す金属線の製造工程の一例を示すフロー図である。
【0033】
以下では、金属線の製造方法として、連続鋳造圧延法により、線径がある程度の太さ(例えば8mm~12mm程度)の荒引き線を製造した後、荒引き線に伸線加工を施すことにより金属線を製造する方法を取り上げて説明する。連続鋳造圧延法は、例えば、SCR方式(Southwire Continuous Rod system)と呼ばれる連続鋳造圧延法を用いることができる。
【0034】
まず、図2に示す原料準備工程として、原料を準備する。原料は銅を主成分とする金属である。原料は、銅の他、上記したように、不可避的に混入された不純物元素を含んでいる場合がある。また、原料には、インジウムを含む添加元素が含まれる。また、図1に示す銅合金線10の変形例として説明した金属線の製造方法では、添加元素は、インジウムおよび錫である。これらの添加元素は、上記した含有率の条件を満たす範囲内で、銅を主成分とする原料に添加される。
【0035】
次に、図2に示す溶解工程として、図示しない溶解炉内で原料を溶解させる。溶解炉は、原料を連続的に溶解させることが可能な加熱炉であって、溶解炉内で溶解した溶銅は、図示しない保温炉に順次移動する。
【0036】
次に、図2に示す鋳造工程として、保温炉内の溶銅を図示しない鋳型に流し込んだ後、冷却することで凝固させる。凝固した鋳造物は、鋳型から取り外され、圧延装置に順次送り出される。図2に示す溶解工程から鋳造工程までは、不活性ガス雰囲気中(例えば窒素雰囲気中)で実施される。不活性ガス雰囲気中には酸素は殆ど存在せず、少なくとも、酸素濃度(体積濃度)は、10ppm以下である。このように、酸素濃度が極めて低い不活性ガス雰囲気中で荒引き線の製造を行うことで、鋳造工程中における銅への酸素の含有を抑制できる。
【0037】
次に、図2に示す圧延工程として、鋳造物を圧延し、線径が8mm~12mm程度の荒引き線を形成する。圧延工程では、複数回に分けて圧延処理を行う場合がある。なお、鋳造工程で得られた鋳造物を、そのまま荒引き線として用いる場合には、この圧延工程は省略することができる。また、荒引き線は、圧延工程の後に酸化物除去などの表面清浄化処理を施したものであってもよい。
【0038】
次に、図2に示す巻取工程として、図示しない巻取装置により巻き取られ、荒引き線のロールが得られる。なお、巻取装置によって巻き取られた荒引き線は、0.2%耐力が50MPa以上150MPa程度であり、導電率が85%IACSよりも大きく95%IACS以下程度である。
【0039】
次に、図2に示す伸線加工工程として、線径が100μm以下(例えば、50μm~80μm程度)になるまで荒引き線を引き延ばし、硬質材の伸線材を得る。伸線加工工程は、常温(例えば25℃)で行う、所謂、冷間加工として実施される。伸線加工工程では、荒引き線を延在方向に伸長させるが、伸線加工工程を複数(第1の伸線加工工程および第2の伸線加工工程)に分け、伸線加工工程の間に熱処理工程(焼鈍工程と呼ぶ場合もある)として、伸線加工中の伸線材に熱処理を施す。なお、第1の伸線加工工程は、1回の伸線加工工程によって荒引き線(例えば、線径が8mm~12mm程度)を所望の線径(例えば、0.5mm以上3.0mm以下の線径)まで伸線することがよい。
【0040】
伸線加工中は、金属線に歪が生じることにより、金属線の0.2%耐力を大きくすることができるが、金属線の導電率は、低下する。伸線加工の途中で熱処理を施すと、金属線中の歪みが低減する。このため、熱処理された金属線の0.2%耐力は低下するが、導電率は上昇する。本願発明者の検討によれば、伸線工程の途中(第1の伸線加工工程と第2の伸線加工工程との間)に実施する熱処理工程を以下の条件を満たすように実施することで、最終的に得られる半硬質の金属線(銅合金線10)の0.2%耐力と導電率を高い状態に維持できることが判った。なお、ここでいう半硬質の銅合金線とは、伸びが7%以上18%以下の金属線である。
【0041】
熱処理前(熱処理直前の伸線加工工程後)の金属線の0.2%耐力をA、熱処理後(熱処理直後)の金属線の0.2%耐力をBとし、C=B/Aとすると、0.2%耐力の比Cの値が0.5以上0.8以下になるように熱処理を行う。また、熱処理前(熱処理直前の伸線加工工程後)の金属線の伸びをD、熱処理後(熱処理直後)の金属線の伸びをEとし、F=E/Dとすると、伸びの比Fの値が10以上50以下になるように熱処理を行う。なお、図2に示すように、熱処理工程の後でさらに伸線加工を施すため、熱処理工程では、熱処理工程直後の金属線の導電率が86%IACS以上(好ましくは88%IACS以上)になるように熱処理を行うことが好ましい。また、熱処理工程直後の金属線の0.2%耐力は60MPa以上200MPaであり、熱処理工程直後の金属線の伸びは20%以上40%以下であることが好ましい。これにより、熱処理工程に続いて行われる伸線加工工程(第2の伸線加工工程)を行った後の導電率を80%IACS以上にすることができる。なお、上述した熱処理工程では、例えば400℃以上900℃以下の温度で熱処理を行うことがよい。
【0042】
なお、図2では、荒引き線を伸線加工工程(第1の伸線加工工程)によって所望の線径(例えば、0.5mm以上3.0mm以下の線径)まで伸線した後に、上述した条件によって伸線材を熱処理する熱処理工程を行い、さらに伸線加工工程(第2の伸線加工工程)によって所望の線径(例えば、0.1mm以下の線径)まで伸線する実施態様を説明したが、種々の変形例が適用可能である。例えば、第2の伸線加工工程は、複数回の伸線加工工程に分かれており、複数回の伸線加工工程における各工程によって所望の線径まで段階的に伸線材を伸線することでもよい。第2の伸線加工工程は、複数回の伸線加工工程によって伸線材を段階的に伸線することにより、第2の伸線加工工程が1回の伸線加工工程から構成される場合に比べて、上述した硬質の伸線材を安定して得ることができる。なお、第2の伸線加工工程を複数回の伸線加工工程によって構成する場合には、必要に応じて、複数回の伸線加工工程の間に上述した熱処理工程を設けてもよい。ここでいう硬質の伸線材とは、伸びが0.5%以上3%以下で、線径が100μm以下の金属線である。
【0043】
次に、伸線加工工程で得られた100μm以下の線径を有する硬質の伸線材に対して半硬質化処理を行う。硬質の伸線材に対して半硬質化処理をことにより、半硬質の状態の金属線(銅合金線10)が得られる。半硬質化処理としては、例えば、520℃以上580℃以下の加熱温度、0.3秒以上0.8秒以下の加熱時間といった加熱条件で、伸線加工工程によって得られた硬質の伸線材を加熱することがよい。これにより、0.2%耐力が300MPa以上350MPa以下で、導電率が80%IACS以上90%IACS以下で、伸びが7%以上18%以下で、線径が100μm以下の線径を有する銅合金線10が得られる。
【0044】
<合金組成と特性の評価>
次に、図1に示す銅合金線10が有する合金の組成と、特性との関係について、実験した結果を説明する。表1は、金属線が有する合金の組成と特性との関係を示す表である。
【0045】
【表1】
【0046】
表1において、試料No.1~3は、上記した銅合金線10の条件に適合する実施例、試料No.4~7は、上記した銅合金線10の条件に適合しない比較例である。試料No.1~7のそれぞれは、図2を用いて説明した製造工程を経て製造した。また、表1において、0.2%耐力の試験および伸びの試験に供した試料は、約80μmの線径になるように加工した金属線である。また、伸びを測定する際の引張速度は、50mm/minとし、標点距離は250mmとした。0.2%耐力は、JIS Z2241に準拠する引張試験を行い測定した。より具体的には、上記引張試験(オフセット法、標線間距離:250mm、引張速度:50m/min)を行い、0.2%耐力を測定した。試料の断面積は、マイクロメータで1/1000mmまで測定した線径から真円の面積として算出した。伸びの値は、破断時の全伸び(伸び計の弾性伸びと塑性伸びとを合わせたもの)で、伸び計標点距離に対する百分率で表したものである。また、表1では記載を省略したが、試料No.1~7のそれぞれは、酸素が混入し難い環境下で調整され、各試料の銅合金に含まれる酸素は、0.002質量%以下である。
【0047】
表1において、屈曲寿命は、試料に20gの錘を吊り下げ、曲げ半径5mmの治具を支点に左右90度屈曲させて破断するまでの回数を測定した。また、屈曲回数は左右90度の屈曲で1回とカウントした。
【0048】
表1において、試料No.1~2から判るように、銅合金にインジウムのみを添加する場合に、インジウムの含有率が0.30質量%以上であり、試料の0.2%耐力を300MPa以上、かつ、伸びを7%以上にすることにより、良好な屈曲寿命(屈曲回数が3000回以上)が得られる。
【0049】
また、表1において、試料No.3~7を比較して判るように、銅合金にインジウムおよび錫を添加する場合、インジウムの含有率が0.30質量%以上、0.65質量%未満であり、錫の含有率が0.02質量%以上、かつ、0.1質量%未満であり、試料の0.2%耐力を300MPa以上、かつ、伸びを7%以上にすることにより、良好な屈曲寿命(例えば、屈曲回数が3000回以上)が得られる。
【0050】
<銅合金線の適用例>
次に、図1に示す銅合金線10の適用例について説明する。図3は、図1に示す銅合金線10を含むケーブルの断面図である。図4は、図3に示すケーブルが有する複数の電線のうちの1本の断面図である。
【0051】
図3に示すケーブル60は、複数の電線(芯線)70と、複数の電線70の周囲を一括して被覆するシース61と、を有する。複数の電線70のそれぞれの周囲には、図示しない介在が配置されており、この介在によって複数の電線70同士が互いに離間している。介在は、例えば、繊維や樹脂によって構成される線状部材からなる。シース61は、例えば、塩素化ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどの樹脂を主成分(ベース樹脂)とする樹脂組成物、フッ素樹脂組成物などからなる。複数の電線70同士は、互いに接していてもよい。ケーブル60は、例えば、スマートフォン等の携帯型電子機器、工場内等に設置される産業用ロボット、あるいは自動車等の内部配線材として用いられるケーブルである。ケーブル60は、複数の電線70を備えており、複数の電線70のそれぞれの外径は小さい。例えば、図3および図4に示す例では、電線70の外径は、例えば約0.86mm(860μm)である。
【0052】
図4に示すように、電線70は、互いに撚り合わされた複数の銅合金線10からなる中心導体71と、中心導体71を被覆する絶縁体72と、を有する。中心導体71を構成する複数の銅合金線10のそれぞれは、図1を用いて説明した銅合金11からなる。すなわち、この銅合金線10を構成する銅合金11は、0.3質量%以上0.65質量%以下のインジウムを含有している。複数の銅合金線10のそれぞれの線径は、例えば0.08mm(80μm)である。絶縁体72は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂、フッ素樹脂などからなる。
【0053】
このように、複数の銅合金線10を用いた電線70およびこれを用いたケーブル60は、携帯型電子機器内での電気信号、あるいは電源の伝送特性を向上させることができる。あるいは、極細線である多数の銅合金線10を用いた電線70およびこれを用いたケーブル60は、線径を細くすることができるので、携帯型電子機器の筐体のサイズを小型化することや産業ロボット等を小型化することができる。
【0054】
なお、図4では、電線70を例示的に示したが、図1に示す銅合金線10が適用された電線には種々の変形例がある。例えば、1本の銅合金線10からなる導体と、導体の周囲を被覆する絶縁体と、からなる電線に適用できる。また、図3および図4では、電線70の中心導体71として複数の銅合金線10を撚り合わせしたもので例示したが、これに限定されず、後述するめっき線からなる中心導体71としてもよい。
【0055】
<めっき線>
めっき線は、図1に示す銅合金線10の周囲(外面)にめっき層を有するもので構成される。めっき線は、0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上、伸びが7%以上である。すなわち、めっき線は、図1に示す銅合金線の周囲にめっき層が設けられた状態において、0.2%耐力が300MPa以上(好ましくは、300MPa以上340MPa以下)、導電率が80%IACS以上(好ましくは、80%IACS以上89%IACS以下)、伸びが7%以上(好ましくは、7%以上18%以下)である。なお、めっき線は、半硬質の線材である。
【0056】
銅合金線は、上述したように、0.3質量%以上、かつ、0.65質量%以下のインジウム(In)を含有する銅合金からなる。特に、銅合金線は、0.3質量%以上、かつ、0.65質量%以下のインジウム(In)を含有し、残部が銅(Cu)および不可避的不純物からなる銅合金で構成されることがよい。また、銅合金線は、0.3質量%以上、かつ、0.65質量%未満のインジウム(In)と、0.02質量%以上、かつ、0.1質量%未満の錫(Sn)と、を含有し、残部が銅(Cu)および不可避的不純物からなる銅合金で構成されることでもよい。この場合、銅合金に含まれるインジウムおよび錫の合計の含有率は、0.65質量%以下である。
【0057】
めっき層は、銅合金線の周囲であって、銅合金線の表面に接触するように設けられている。めっき層の厚さは、例えば、0.1μm以上1.5μm以下である。めっき層は、例えば、スズ(Sn)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)などからなる。
【0058】
<めっき線の製造方法>
めっき線は、図2に示す銅合金線の製造方法によって得られた銅合金線に対して、めっき層を形成することで得られる。めっき層を形成する前の銅合金線は、0.2%耐力が300MPa以上、導電率が80%IACS以上である半硬質の状態の金属線である。この銅合金線を、所定の温度(例えば、250℃以上300℃以下)からなる溶融しためっき材(例えば、Sn)が貯留されためっき槽に浸漬させる。これにより、銅合金線の外面全周にわたって溶融めっきを塗布する。その後、溶融めっきが塗布された状態の銅合金線をめっきダイスに通すことにより、銅合金線の表面に塗布された溶融めっきの厚さを調整し、所定の厚さを有するめっき層を形成する。特に、銅合金線の表面に溶融めっきを塗布するときの条件としては、線速度100m/min以上で溶融めっきへの浸漬時間0.1秒以上1.0秒以下の条件で行うことがよい。このようにしてめっき層が形成された銅合金線は、半硬質の状態が維持されており、めっき線としての伸びは7%以上18%以下である。
【0059】
<めっき線の特性>
次に、めっき線が有する特性について実験した結果を説明する。表2および表3は、めっき線を構成する銅合金線の合金組成とめっき線の特性との関係を示す表である。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
表2および表3において、試料No.8,13~14は、上記しためっき線の条件に適合する実施例であり、試料No.9~12,15~16は、上記しためっき線の条件に適合しない比較例である。表2に示す試料No.8~12および表3に示す試料No.13~16のそれぞれは、図2を用いて説明した製造工程を経て製造した銅合金線の周囲にめっき層を形成したものである。具体的には、図2を用いて説明した製造工程を経て製造した銅合金線を、溶融したSn(温度:250℃以上300℃以下)が貯留されためっき槽に浸漬させ、その後、溶融めっきが塗布された状態の銅合金線をめっきダイスに通すことにより、銅合金線の表面に塗布された溶融めっきの厚さを調整し、所定の厚さを有するめっき層を形成した。また、表2および表3において、めっき線の0.2%耐力の試験および伸びの試験に供した試料は、約80μmの線径になるように加工した銅合金線の周囲にめっき層(厚さ:約0.5μm)を設けたものである。試料No.8~16で使用した銅合金線は、表2および表3に示す含有量からなるインジウム(In)、すず(Sn)を含有し、残部が銅(Cu)および不可避的不純物からなる銅合金で構成される。また、伸びを測定する際の引張速度は、50mm/minとし、標点距離は250mmとした。0.2%耐力は、JIS Z2241に準拠する引張試験を行い測定した。より具体的には、上記引張試験(オフセット法、標線間距離:250mm、引張速度:50m/min)を行い、0.2%耐力を測定した。試料の断面積は、マイクロメータで1/1000mmまで測定した線径から真円の面積として算出した。伸びの値は、破断時の全伸び(伸び計の弾性伸びと塑性伸びとを合わせたもの)で、伸び計標点距離に対する百分率で表したものである。また、表2および表3では記載を省略したが、試料No.8~16のそれぞれは、酸素が混入し難い環境下で調整され、各試料の銅合金に含まれる酸素は、0.002質量%以下である。
【0063】
表2および表3において、屈曲寿命は、試料に20gの錘を吊り下げ、曲げ半径5mmの治具を支点に左右90度屈曲させて破断するまでの回数を測定した。また、屈曲回数は左右90度の屈曲で1回とカウントした。
【0064】
表2および表3において、試料No.8,13~14から判るように、めっき線は、インジウムの含有率が0.30質量%以上である銅合金によって構成される銅合金線の周囲にめっき層が設けられており、0.2%耐力が300MPa以上、かつ、伸びが7%以上であることにより、良好な屈曲寿命(屈曲回数が3000回以上)が得られる。特に、めっき線は、インジウムの含有率が0.30質量%以上0.65質量%未満であり、残部が銅および不可避的不純物からなる銅合金で構成される銅合金線、またはインジウムの含有率が0.30質量%以上0.65質量%未満であり、錫の含有率が0.02質量%以上0.1質量%未満であり、残部が銅および不可避的不純物からなる銅合金で構成される銅合金線の周囲にめっき層が設けられており、0.2%耐力が300MPa以上、かつ、伸びが7%以上であることにより、良好な屈曲寿命(例えば、屈曲回数が3000回以上)が得られる。
【0065】
<めっき線の適用例>
めっき線は、上記したように、図3および図4に示す電線やケーブルを構成する中心導体として適用することができる。具体的には、互いに撚り合わされた複数のめっき線からなる中心導体と、中心導体を被覆する絶縁体と、を有する電線である。また、この電線の周囲にシールド層やシースを設けたケーブルとしてもよい。
【0066】
本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0067】
前記実施の形態は、以下の形態を含む。
【0068】
[付記1]
(a)銅および銅以外の添加元素を含む原料を準備する工程と、
(b)前記原料を溶解させた後、鋳造することで荒引き線を形成する工程と、
(c)前記荒引き線を伸線加工して金属線とする工程と、
(d)前記(c)工程の後、伸線加工された前記金属線に熱処理を施す工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記熱処理を施された前記金属線を更に伸線加工し、外径が0.1mm以下である銅合金線を形成する工程と、
(f)前記(e)工程の後、前記銅合金線に半硬質化処理を施す工程と、
を含み、
前記荒引き線は、0.3質量%以上、かつ、0.65質量%以下のインジウムを含有する銅合金からなる、銅合金線の製造方法。
【0069】
[付記2]
付記1において、
前記銅合金は、0.02質量%以上、かつ、0.1質量%未満の錫を含有する、銅合金線の製造方法。
【0070】
[付記3]
付記1または2において、
前記(d)工程では、
前記(c)工程後の伸線加工された前記金属線の0.2%耐力をA、前記(d)工程後の熱処理を施された前記金属線の0.2%耐力をB、0.2%耐力の比をC=B/Aとすると、Cの値が0.5以上0.8以下になるように熱処理が行われ、
前記(c)工程後の伸線加工された前記金属線の伸びをD、前記(d)工程後の熱処理を施された前記金属線の0.2%耐力をE、伸びの比F=E/Dとすると、Fの値が10以上50以下になるように熱処理が行われる、銅合金線の製造方法。
【0071】
[付記4]
付記3において、前記(d)工程では、前記(d)工程で熱処理を施した直後の前記金属線の導電率が、86%IACS以上になるように熱処理を行う、銅合金線の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、小型電子機器(例えば、デジカメ、監視カメラ、パソコン、スマートフォン等)の内部配線部品に適用されるケーブル(例えば、極細同軸ケーブルなど)、産業用ロボットや医療機器(例えば、胃カメラ、超音波診断装置等)に使用される耐屈曲性を備えたケーブル(例えば、内視鏡ケーブル、プローブケーブルなど)、自動車用のケーブルなどの導体に適用される銅合金線に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 銅合金線
10D 線径
11 銅合金
60 ケーブル
61,74 シース(絶縁体)
70 電線(芯線、同軸ケーブル)
71 中心導体
72 絶縁体
73 外部導体
図1
図2
図3
図4