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特開2022-109509冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109509
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20220721BHJP
   B24C 1/00 20060101ALI20220721BHJP
   B24C 3/30 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
B24C9/00 M
B24C1/00 B
B24C3/30
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004868
(22)【出願日】2021-01-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 明典
(57)【要約】
【課題】処理室の密封性に優れるとともに、冷凍バリ取り装置の製造時におけるシール材の設置が容易であり、且つ、メンテナンス時にシール材を交換する際の作業性に優れた冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法を提供する。
【解決手段】冷媒によって冷却される処理室と、処理室の内部空間に配置され、被処理物を収容するバケット3と、被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、処理室の開口部21を開閉する扉と、処理室の開口部21を取り囲むように配置されたフレーム22に設置され、扉とフレーム22との間で圧縮されることで、扉とフレーム22との間をシールする長尺のシール材6と、を備え、シール材6は、フレーム22とシール固定板23との間に狭持されることで、フレーム22に固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒によって冷却される処理室と、
前記処理室の内部空間に配置され、被処理物を収容する収容部と、
前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、
前記処理室の開口部を開閉する扉と、
前記処理室の開口部を取り囲むように配置されたフレームに設置され、前記扉と前記フレームとの間で圧縮されることで、前記扉と前記フレームとの間をシールする長尺のシール材と、を備え、
前記シール材は、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持されることで、前記フレームに固定されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置。
【請求項2】
前記シール固定板は、前記フレームに沿って平面視囲繞形状で設けられるとともに、長手方向の少なくとも一部が分割されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍バリ取り装置。
【請求項3】
前記シール材は、前記扉と接するシール部と、前記シール固定板によって前記フレームに固定される固定部とからなり、
前記シール部の内部には、該シール部の長手方向に沿った長尺の中空領域が形成されているとともに、前記中空領域にヒータが設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍バリ取り装置。
【請求項4】
前記シール材は、分割された一方の端部が、他方の端部以外の部分に接するように配置されることにより、平面視囲繞形状となるように前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置。
【請求項5】
さらに、前記フレームの内周端に固定されるとともに、前記シール材と前記処理室の開口部との間を隔てるように配置される防護プレートが備えられ、
前記扉が前記開口部を塞いだとき、前記防護プレートと前記扉との間に隙間を有することを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置を製造する方法であって、
前記シール材を、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持することで、前記フレームに固定する工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置のメンテナンスを行う方法であって、
少なくとも、前記シール材を、前記フレームと前記シール固定板との間に狭持することで前記フレームに固定する工程、又は、前記シール固定板を前記フレームから離間させることで、前記シール材を前記フレームから取り外す工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製品や金属製品等(以下、被処理物と称する場合がある。)のバリを除去する装置として、例えば、冷凍した処理室内に配置されたバケット中に被処理物を投入し、ばバケットを回転させながら被処理物に向けてショット材を投射することにより、バリ取りを行う冷凍バリ取り装置が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
上記のような冷凍バリ取り装置は、冷凍設備によって処理室内を冷却し、回転するバケットに収容された被処理物を冷却しながら、被処理物に向けてショット材を投射して、加工過程で被処理物に残存したバリを除去する。
【0004】
また、冷凍バリ取り装置は、処理室の前面側に開閉可能な扉が配置され、この扉を開放することで、バケットへの被処理物の投入、並びに、バリ取りが完了した被処理物の装置外への搬出を実施するとともに、被処理物のバリ取り処理中は、扉を閉めて処理室内を密閉することで、被処理物の冷却効率を高めることが可能な構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-86215号公報
【特許文献2】特開平7-100767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載されたような従来の冷凍バリ取り装置においては、処理室の開口部近傍に固定されたシール材を扉で圧縮することで、処理室と扉との間をシールすることにより、処理室からの冷気の漏れや、処理室への大気の流入を防止し、冷却効率を高めていた。
【0007】
しかしながら、上記のようなシール材は、開口部の全周にわたり、接着剤等によって処理室の開口部近傍に固定されていたため、冷凍バリ取り装置を製造する際のシール材の設置や、冷凍バリ取り装置をメンテナンスする際のシール材の交換作業が煩雑であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、処理室の密封性に優れるとともに、冷凍バリ取り装置の製造時におけるシール材の設置が容易であり、且つ、メンテナンス時にシール材を交換する際の作業性に優れた冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。この結果、シール材の処理室への固定構造や形状を最適化することにより、処理室の密封性を維持しながら、装置製造時のシール材の設置が容易になるとともに、シール材の交換時のメンテナンス性も向上することを見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、請求項1に係る発明は、冷媒によって冷却される処理室と、前記処理室の内部空間に配置され、被処理物を収容する収容部と、前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、前記処理室の開口部を開閉する扉と、前記処理室の開口部を取り囲むように配置されたフレームに設置され、前記扉と前記フレームとの間で圧縮されることで、前記扉と前記フレームとの間をシールする長尺のシール材と、を備え、前記シール材は、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持されることで、前記フレームに固定されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の冷凍バリ取り装置であって、前記シール固定板が、前記フレームに沿って平面視囲繞形状で設けられるとともに、長手方向の少なくとも一部が分割されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の冷凍バリ取り装置であって、前記シール材が、前記扉と接するシール部と、前記シール固定板によって前記フレームに固定される固定部とからなり、前記シール部の内部には、該シール部の長手方向に沿った長尺の中空領域が形成されているとともに、前記中空領域にヒータが設置されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置であって、前記シール材が、分割された一方の端部が、他方の端部以外の部分に接するように配置されることにより、平面視囲繞形状となるように前記フレームに固定されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置であって、さらに、前記フレームの内周端に固定されるとともに、前記シール材と前記処理室の開口部との間を隔てるように配置される防護プレートが備えられ、前記扉が前記開口部を塞いだとき、前記防護プレートと前記扉との間に隙間を有することを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1~請求項5の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置を製造する方法であって、前記シール材を、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持することで、前記フレームに固定する工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置の製造方法である。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1~請求項5の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置のメンテナンスを行う方法であって、少なくとも、前記シール材を、前記フレームと前記シール固定板との間に狭持することで前記フレームに固定する工程、又は、前記シール固定板を前記フレームから離間させることで、前記シール材を前記フレームから取り外す工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法である。
【0017】
なお、本発明における「平面視囲繞形状」とは、平面視で中心方向を囲むように長尺で配置、形成された形状を含み、例えば、平面視で矩形状や環状の他、これらの中間的な形状も含むものであり、特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る冷凍バリ取り装置によれば、シール材が、フレームと、フレームに設けられたシール固定板との間に狭持されることで、フレームに固定された構成を採用している。
本発明によれば、上記のような構成を採用することで、シール材を全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材の設置作業や交換作業が容易になるとともに、処理室と扉との間を効果的にシールできる。
従って、処理室の密封性に優れるとともに、生産性並びにメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置が実現できる。
【0019】
また、本発明に係る冷凍バリ取り装置の製造方法によれば、シール材を、フレームと、フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持することで、フレームに固定する工程を含む方法を採用している。
本発明によれば、上記方法を採用することで、上記同様、シール材を全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材の設置作業が容易になるとともに、処理室と扉との間を効果的にシールできる。
従って、処理室の密封性に優れた冷凍バリ取り装置を、優れた生産性で製造することが可能になる。
【0020】
また、本発明に係る冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法によれば、少なくとも、シール材を、フレームとシール固定板との間に狭持することでフレームに固定する工程、又は、シール固定板をフレームから離間させることで、シール材をフレームから取り外す工程を含む方法を採用している。
本発明によれば、上記方法を採用することで、上記同様、シール材を全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材の除去及び設置を含む交換作業が容易になるとともに、処理室と扉との間を効果的にシールできる。
従って、処理室の密封性を保持しながら、優れた作業性で冷凍バリ取り装置をメンテナンスすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置全体の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置の内部構成を示す破断図である。
図3】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について模式的に説明する図であり、シール材を固定した状態を示す部分概略図である。
図4】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について模式的に説明する図であり、図3中に示すA-A断面図である。
図5】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について模式的に説明する図であり、図3中に示すA-A断面において、扉とフレームとの間でシール材が圧縮された状態を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について模式的に説明する図であり、図3中に示したシール部材の一方の端部及び他方の端部を拡大してしめす概略図である。
図7】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について模式的に説明する図であり、シール部材の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用した一実施形態である冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法について、図1図7を適宜参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大あるいは簡略化して示している場合がある。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0023】
本実施形態の冷凍バリ取り装置によってバリ取り処理が施される被処理物としては、特に限定されないが、例えば、プラスチック成型品やゴム成型品等のような樹脂製品、又は、ダイカスト成型品等の金属製品が挙げられる。
【0024】
<冷凍バリ取り装置>
以下、本実施形態の冷凍バリ取り装置について詳述する。
図1は、本実施形態の冷凍バリ取り装置1の全体の外観を示す斜視図であり、図2は、冷凍バリ取り装置1の側方から見た内部構成を示す破断図である。図3は、シール材をフレームに固定した状態を示す部分概略図であり、図4は、図3中に示すA-A断面図である。図5は、図3中に示すA-A断面において、扉とフレームとの間でシール材が圧縮された状態を示す断面図であり、図6は、図3中に示したシール部材の一方の端部及び他方の端部を拡大して示す概略図である。また、図7は、図3等に示したシール部材の変形例を示す部分断面図である。
【0025】
本実施形態の冷凍バリ取り装置1は、図視略の冷媒によって冷却される処理室2と、処理室2の内部空間Dに配置され、被処理物Mを収容するバケット(収容部)3と、被処理物Mに向けてショット材Sを投射するショット機4と、処理室2の開口部21を開閉する扉5と、処理室2の開口部21を取り囲むように配置されたフレーム22に設置され、扉5とフレーム22との間で圧縮されることで、扉5とフレーム22との間をシールする長尺のシール材6とを備え、概略構成される。
【0026】
そして、本実施形態の冷凍バリ取り装置1は、シール材6が、フレーム22と、フレーム22に取り付けられたシール固定板23との間に狭持されることで、フレーム22に固定されている。
上記の各構成要素は、冷凍バリ取り装置1全体の枠組体となる筐体10に組み付けられるか、あるいは、筐体10に収容されるように備えられる。
【0027】
処理室2は、内部に備えられるバケット3に収容された被処理物Mを冷凍しながら、内部空間Dで被処理物Mのバリ取り処理を実施するものであり、図視略の冷媒供給手段からバルブ28を介して供給される冷媒によって内部が冷却される。
処理室2は、例えば、ステンレス材料からなる内壁板と外壁板との間に発泡スチレンやフォーミング材等の断熱材が介装され、断熱構造を有した複合板2Aによって、図2中に示すような内部空間Dが確保された構成を採用できる。
【0028】
処理室2には、冷凍バリ取り装置1の前面側に開口した開口部21が設けられ、この開口部21から、バケット3に収容するバリ取り処理前の被処理物Mの搬入、並びに、バリ取り処理が完了した被処理物Mの搬出が可能な構成とされている。即ち、図示例においては、開口部21が、扉5によって開閉可能に覆われており、被処理物Mの搬入又は搬出を行う際に扉5を開閉できるように構成されている。
【0029】
また、処理室2における開口部21の平面視で外側には、平面視囲繞形状でフレーム22が配置されており、このフレーム22の表面には、シール固定板23がボルト23Aによって固定されている。
【0030】
処理室2の底部側は、排出孔24を有したホッパ25とされており、排出孔24から、被処理物Mから除去された図視略のバリ等の廃棄物、及び、使用したショット材Sの両方を、後述の選別器7に向けて送り込むことが可能な構造とされている。
【0031】
処理室2には、図視略の冷媒供給手段が接続されており、この、冷媒供給手段から、処理室2の内部に向けて、例えば、液化窒素、液化炭酸ガス等の液化不活性ガスからなる冷媒を供給できる構成とされている。図視略の冷媒供給手段としては、例えば、上記のバルブ28が介装された冷媒供給管と、処理室2内の温度を測定する温度センサと、該温度センサからの指令によってバルブ28を開閉操作させ、冷媒の供給量を調整する制御部と、処理室2内で発生した気化ガスを大気中放出する排気筒と、該排気筒に設けられ、大気の処理室2内への流入を制限するダンパとを備えた構成を採用できる。
【0032】
バケット3は、上述したように、処理室2内に設置され、内部に被処理物Mを収容しながら軸方向で回転する筒状の籠状部材からなる。バケット3の材料には、例えば、詳細を後述するショット機4から投射されるショット材Sが通過可能な透孔を有する多孔板等が用いられる。
【0033】
図2及び図3に示すように、バケット3は、回動軸32c,32dの他端側に取り付けられたギアボックス32に対して水平方向に回転可能に取付けられることで、処理室2の内部空間D内に浮かぶように設置されている。回動軸32c,32dの一端側は、筐体10の両側壁に、回動軸32c及び回動軸32dが同一軸心となるように取り付けられている。
【0034】
ギアボックス32の内部には、詳細な図示を省略するが、筐体10内における処理室2の外側に設けられた図視略のバケット駆動手段に接続された動力伝達軸を介して、回動軸32c,32dのうちの一方の回動軸32cに取り付けられることにより、バケット3を水平方向に回転させる動力伝達機構が備えられている。
【0035】
また、筐体10内には、一方の回動軸32cを回動させることで、バケット3の投入口3aを処理室2内の所望の位置に移動させるか、バケット3の投入口3aを開口部21よりも装置外方へ移動させ、被処理物Mをバケット3内に搬入あるいは搬出できる位置に配置することが可能な、図視略のバケット回動手段が備えられている。
【0036】
処理室2内には、図2,3中に示すように、さらに、仕切り板26が配置されている。
仕切り板26は、図示例では、仕切り板26は、回動軸32c,32dの軸心に対応する位置で、処理室2の奥側(図2における横幅方向で左側)の空間と、手前側(同右側)の空間とを仕切るように配置される。
また、仕切り板26は、図2,3中では詳細な図示を省略するが、例えば、処理室2の側面に設けられた凹凸部に係合することで取り外し自在に設けられている。
仕切り板26の材料としては、特に限定されないが、処理室2内で冷却されることを考慮し、耐低温性に優れた金属材料を用いることが好まく、ステンレス材料を用いることが、錆を防止する観点からより好ましい。
【0037】
仕切り板26は、上記構成を有することにより、扉5を開放して被処理物Mをバケット3内に搬入あるいは搬出する際に、処理室2内の冷気が外部に流出して内部冷却効率が低下するのを防止する作用が得られる。
【0038】
上記のバケット回動手段は、例えば、正・逆回転が可能な図視略のバケット駆動用モータと、このバケット駆動用モータの駆動軸に接続され、該駆動軸の軸心方向とは直角方向に出力され、且つ、上記の動力伝達軸に接続される出力軸と、この出力軸に取付けられる駆動プーリーと、この駆動プーリーと対応する位置の一方の回動軸32cに取り付けられるプーリーと、このプーリーと上記の駆動プーリーに掛け渡されたベルトとから構成される。さらに、バケット回動手段は、例えば、バケット3の位置が、ショット材Sが投射される位置、バリ取りする被処理物Mの投入位置、及び、バリ取りされた被処理物Mの排出位置の各位置を検出して、上記のバケット駆動用モータを停止させる、上記のプーリーを用いたセンサを備えた構成とすることができる。
【0039】
上記の動力伝達機構は、例えば、図視略の動力伝達軸に取付けられる小傘歯車と、この小傘歯車と噛み合うように回転可能に設けられる大傘歯車と、この大傘歯車に一端部が固定され、他端部がバケット3の底面に取付けられるバケット軸とから構成される。
【0040】
選別器7は、処理室2に備えられたホッパ25(排出孔24)から下方に落下するバリ等の廃棄物を含んだ状態のショット材Sを、このショット材Sよりもサイズが大きなバリ、ショット材S、及びショット材Sよりもサイズが小さなバリに選別する。
具体的には、図2中に示す選別器7は、大バリ収納タンク71aを備える大バリ選別用振動篩71と、ショット材貯槽73a及び小バリ収納タンク73bを有するショット材選別用振動篩73を備えた選別部72とを備える。
選別器7は、上記構成により、処理室2からホッパ25を介して落下排出される、バリ等の廃棄物を含んだ状態のショット材Sを、外気に触れることなく選別する。
【0041】
ショット機4は、上述したように、被処理物Mに向けてショット材Sを投射する。
具体的には、ショット機4は、上述した選別器7のショット材貯槽73a内に収容されたショット材Sを、図視略のインペラの回転によって吸引ホース41で吸引し、バケット3内に向けて投射する。バリを有する被処理物Mは、ショット材Sの投射に伴う衝撃により、バリが除去される。
ショット機4のケース体には、断熱構造のものを使用することができる。
また、ショット機4によって投射されるショット材Sとしては、一般的なプラスチック材料からなるものが用いられる。
【0042】
扉5は、処理室2の開口部21を開閉するものであり、例えば、図視略の蝶番部材によって開閉自在に構成される。即ち、扉5は、被処理物Mをバケット3内に搬入あるいは搬出する際に、作業者あるいは図視略の自動開閉機構によって開閉動作が行われる。また、扉5は、処理室2内で被処理物Mにバリ取り処理を施す際、処理室2の開口部21を覆うことで内部空間D並びに被処理物Mの冷却効率を向上させることにより、効果的なバリ取り処理が可能になるという効果を奏するものである。
【0043】
シール材6は、図3中に示すように、処理室2の開口部21を取り囲むように配置されたフレーム22に沿って設置され、全体として平面視で囲繞形状となるように配置される長尺の部材である。
また、本実施形態においては、図4に示すように、シール材6が、フレーム22と、フレーム22に取り付けられたシール固定板23との間に狭持されることで、フレーム22に固定されている。
シール材6は、処理室2の開口部21を扉5で覆ったとき、扉5とフレーム22との間で圧縮されることで、扉5と開口部21との間をシールする作用が得られるものである。
【0044】
シール材6は、図示例のような平面視で紐状に構成され、耐寒性(耐低温性)に優れる弾性体材料からなる。
シール材6を構成する弾性体材料としては、特に限定されないが、ニトリルゴムやシリコーンゴム等のゴム材料が挙げられる。
【0045】
シール材6は、図4等に示す例のように、例えば、扉5と接するシール部61と、シール固定板23によってフレーム22に固定される固定部62とからなり、シール部61の内部に、シール部61の長手方向に沿った長尺の中空領域63が形成されている構造とすることがより好ましい。
【0046】
即ち、シール材6は、長手方向に沿った中空構造とされているとともに、その表面には、シール材6の長手方向で連続するように長尺に形成された複数の突起64が設けられている。
【0047】
固定部62は、シール固定板23がボルト23A等によってフレーム22に固定されることで、シール固定板23とフレーム22との間で挟持される。
固定部62とフレーム22とは、所定の幅を確保しながら平面視囲繞形状で密着している。
【0048】
図6に示す例では、シール材6の一方の端部6aは、他方の端部6b以外の部分に接着剤等で固定されており、シール材6の他方の端部6bは、フレーム22に設けられた配線孔22cの近傍に配置される。
【0049】
シール固定板23は、フレーム22に沿って完全に繋がった平面視囲繞形状であってもよいが、例えば、長手方向の少なくとも一部が分割された、複数の部材からなるシール固定板としてもよい。図4に示す例のシール固定板23は、上側シール固定板23a、下側シール固定板23b、右側シール固定板23c及び左側シール固定板23dから構成される。
このように、シール固定板23を複数の部材に分割することで、シール材6を固定する際の作業性が向上する効果が得られる。また、シール固定板23が複数に分割されていることで、処理室2の形状に沿うように変形させた部分から、シール材6を段階的に挟持できるので、シール材6の設置作業がさらに容易になる。
【0050】
また、シール固定板23には、ボルト23A等を挿通させることが可能な孔23eが複数で設けられており、この孔23eにボルト23Aを挿通して、フレーム22に対してねじ留めすることにより、シール材6を確実に固定することが可能になる。
なお、孔23eは、例えば、固定後のシール材6が浮き上がったりするのを抑制するため、シール材6が屈曲する部分、即ち、図3に示す例のシール材6における平面視で四隅の部分に多く配置して、ボルト23Aによるねじ留めを行うことがより好ましい。
【0051】
なお、上述したシール材6についても、シール固定板23の説明と同様、フレーム22に沿って完全に繋がった平面視囲繞形状であってもよいが、図3に示すような、分割された一方の端部6aが、他方の端部6b以外の部分に接するように配置されることにより、平面視囲繞形状となるようにフレーム22に固定された構成を採用してもよい。
紐状のシール材6を平面視囲繞形状に配置することで、シール材6を特注仕様とすることなく、処理室2の開口部21に応じた形状に形成することができるので、冷凍バリ取り装置1のコストダウンが可能となる。
【0052】
また、シール材6は、図4図3図5及び図6も参照)に示す例のように、例えば、シール部61の中空領域63にヒータ65が設置された構成を採用することも可能である。
図示例のヒータ65は、シール材6の一方の端部6aから他方の端部6bまでの全体において、シール部61に形成された中空領域63内に挿入されている。また、図6の拡大図に示すように、ヒータ65は、他方の端部6bからシール材6の外部に露出し、フレーム22に設けられた配線孔22cから筐体10内に導入される。筐体10内に導入されたヒータ65の端部は、図視略の温度制御部を介して、処理室2の温度を測定する図視略の温度センサに接続される。
【0053】
ヒータ65は、例えば、処理室2の内部空間Dが所定の温度まで低下したときに、通電によって作動することで、シール材6が硬化するのを抑制する。
ここで、ヒータ65が作動するときの処理室2の内部空間Dにおける温度は、シール材6が硬化するガラス転移温度よりも高く設定される。これにより、ヒータ65の熱がシール材6に伝わる前に、シール材6が冷却されて硬化するのを防止することが可能になる。
【0054】
なお、図2図6も参照)に示すシール材6は、平面視で概略囲繞形状に配置されるとともに、ヒータ65を電源側と接続する都合上、平面視で概略P形状に配置されているが、これには限定されない。例えば、中空領域63にヒータ65を配置しない場合には、例えば、平面視O形状となるようにシール材を配置してもよい。
【0055】
一般的に、シール材6には、ゴム等の樹脂材料が用いられるが、このような材料は、液体窒素等によって冷却されると弾性を失い、シール性やシール耐久性が低下する。本実施形態においては、上記のように、シール部61の中空領域63に配置されたヒータ65の熱によってシール部61(シール材6)の温度が低下するのを防止できるので、シール性及びシール耐久性が向上する顕著な効果が得られる。
【0056】
また、本実施形態においては、図4及び図5図3も参照)に示す例のように、さらに、フレーム22の内周端22aに固定されるとともに、シール材6と処理室2の開口部21との間を隔てるように配置される防護プレート27が備えられていることがより好ましい。このような防護プレート27が備えられることで、扉5が開口部21を塞いだとき、防護プレート27と扉5との間に隙間cが確保される。
【0057】
より詳細に説明すると、図4に示す例のように、まず、防護プレート27は、開口部21を平面視したときに、シール材6よりも内側に配置され、且つ、扉5に対して、シール材6よりも突出していない寸法関係とされている(図5中に示す「a>b」)。
そして、図5に示す例のように、扉5を閉めることで開口部21を覆い、シール材6のシール部61が圧縮されたとき、防護プレート27と扉5との間には隙間cが確保され、防護プレート27は、扉5に接触しない。この際の隙間cは、例えば、上述したショット材Sの粒径よりも小さいことが好ましく、ほぼゼロ(0mm)、つまり、寸法誤差によって生じる隙間程度であることがより好ましい。上記の隙間cが狭ければ狭いほど、ラビリンスシールによる効果が得られ、処理室2内の冷気及びショット材Sが外部に漏れ難くなる。
【0058】
上述したように、シール材6と処理室2との間に防護プレート27が配置されていることで、冷却されたショット材Sがシール材6に衝突し難くなる。これにより、シール材6の温度が低下するのを抑制できるとともに、シール材6の耐久性が向上する。また、ショット材Sが、シール材6と扉5との隙間等から外部に漏れるのを抑制できる。
さらに、防護プレート27と扉5との間の隙間cがラビリンスシールとして作用することにより、処理室2内の冷気がシール材6側に流動し難くなるので、シール材6の温度低下が抑制される効果が得られる。
【0059】
防護プレート27の材料としては、特に限定されないが、耐低温性に優れる金属材料を用いることが好ましい。
【0060】
次に、本実施形態の冷凍バリ取り装置1を用いて被処理物Mのバリ取りを行う手順について説明する。
【0061】
まず、冷凍バリ取り装置1の扉5を開放することで処理室2の開口部21を開放した状態とし、図視略のバケット回動手段を駆動して回動軸32c,32dを回転させることにより、バケット3の投入口3aが開口部21側に開口するように回動させる。
この状態で、バケット3内にバリを除去する被処理物Mを投入する。
【0062】
次に、回動軸32c,32dを回転させて、バケット3の投入口3aが、開口部21と反対側、即ち、図2中におけるショット機4側に開口するように回動させる。
そして、扉5を閉じることで開口部21を覆う。
【0063】
次に、処理室2の内部空間Dに液体窒素等からなる冷媒を供給して内部空間Dの冷却を開始するとともに、図視略の動力伝達機構、ギアボックス32、ショット機4及び選別器7を連動状態で作動させることで、ショット機4に備えられる図視略のインペラの回転により、ショット材貯槽73aのショット材Sを吸引ホース41で吸引し、バケット3内の被処理物Mに投射する。このとき、被処理物Mは、バケット3の回転により、バケット3内で攪拌される。
ショット機4で投射されたショット材Sと、被処理物Mから除去されたバリは、ホッパ25から選別器7に向けて落下し、選別器7に備えられる大バリ選別用振動篩71において大きなバリを大バリ収納タンク71aへ回収する。一方、大バリ選別用振動篩71を通過したショット材Sや小さなバリは、ショット材選別用振動篩73においてショット材Sと小さなバリに選別し、ショット材Sをショット材貯槽73aへ、小さなバリを小バリ収納タンク73bへ収納する。
【0064】
上記の手順により、ショット材Sは、ショット材貯槽73a、吸引ホース41、ショット機4、処理室2、ホッパ25及び選別器7の間で循環して使用され、ショット機4及び選別器7が連動して作動するので、ショット材Sが経路中に滞留することなく、高効率で処理できる。
【0065】
ショット材Sの投射により、バケット3内の被処理物Mからバリが除去された後、ショット機4,選別器7、図視略の動力伝達機構、ギアボックス32の駆動を停止させる。
次いで、扉5を開放することで処理室2の開口部21を開放した状態とし、図視略のバケット回動手段を駆動して回動軸32c,32dを回転させることにより、バケット3の投入口3aが開口部21側に開口するように回動させる。
この状態で、バリが除去された被処理物Mをバケット3内から搬出する。
【0066】
バケット3からバリが除去された被処理物Mを搬出した後、図視略のバケット回動手段を駆動して回動軸32c,32dを回転させ、バケット3の投入口3aが開口部21側に開口するように回動させることにより、上記同様のバリ取り処理作業を繰り返すことができる。
【0067】
以下に、本実施形態の冷凍バリ取り装置1によって得られる作用効果について、より詳細に説明する。
本実施形態の冷凍バリ取り装置1によれば、まず、シール材6が、シール固定板23と、処理室2の開口部21の周囲に配置されたフレーム22との間に挟持された構成により、シール材6の全周を接着剤で固定する必要がない。これにより、シール材6の設置作業や交換作業が容易となる。
【0068】
また、シール材6が、図3に示す例のような紐状であることで、処理室2のサイズや形状等に合わせて切断して使用できるため、シール材6を処理室2に合わせて特注する必要が無く、冷凍バリ取り装置1の製造コストを低減することが可能になる。
また、シール固定板23が、図3に示す例のように分割されて設けられていることで、シール材6を処理室2の形状に沿うように変形させた部分から段階的に挟持できる。これにより、シール材6の設置作業や交換作業がさらに容易となる。
【0069】
また、本実施形態の冷凍バリ取り装置1を使用する際は、上述のように、まず、バケット3に被処理物Mを投入して扉5を閉め、処理室2の内部空間Dが所定以下の温度に冷却された状態で冷凍バリ取り装置1の運転を開始する。その後、バケット3が回転した状態で、ショット機4からショット材Sが被処理物Mに向けて投射され、被処理物Mのバリが取り除かれる。このとき、処理室2の内部空間Dにおける冷気が流動し、シール材6に冷気が接触する。しかしながら、シール材6の内部にヒータ65が挿入されている場合には、シール材6の温度低下を抑制できるので、シール材6が硬化しにくくなり、優れたシール性を維持できる。また、温度低下によるシール材6の脆化を抑制できるため、シール材6の耐久性も向上する。
【0070】
さらに、防護プレート27が、フレーム22の内周端22aに固定されるとともに、シール材6と処理室2の開口部21との間を隔てるように配置され、防護プレート27と扉5との間に隙間cからなるラビリンスシールが形成されることで、冷気やショット材Sがシール材6に直接接触するのを防止できる。これにより、冷気やショット材Sの接触に伴うシール材6の温度低下や、シール材6へのショット材Sの衝突による劣化を抑制できるので、シール材6のシール性及び耐久性を向上させることが可能となる。特に、防護プレート27と扉5との隙間cが、ショット材Sの粒径よりも小さい場合には、シール材6にショット材Sが衝突するのを、より効果的に抑制できる。
【0071】
<冷凍バリ取り装置の製造方法>
以下、本実施形態の冷凍バリ取り装置の製造方法(以下、単に「製造方法」と略称する場合がある。)について、上記と同じ図面を参照しながら詳述する。
本実施形態の製造方法は、上述した本実施形態の冷凍バリ取り装置1を製造する方法である。
即ち、本実施形態の製造方法は、シール材6を、フレーム22と、フレーム22に取り付けられたシール固定板23との間に狭持することで、フレーム22に固定する工程を含む方法である。
【0072】
シール材6をフレーム22に固定する工程においては、まず、シール材6を、処理室2の内周縁、即ち、フレーム22の内周縁の合計長さよりも長い寸法となるように切断する。
次に、ヒータ65をシール部61に挿入する。
その後、ヒータ65がシール部61に挿入されたシール材6を、処理室2の開口部21に沿うように変形させながら、シール固定板23によってフレーム22に固定する。
そして、シール材6の一方の端部6aと、シール材6の他方の端部6b以外の部分とを接触させ、この箇所を接着剤等で固定する。
【0073】
本実施形態の冷凍バリ取り装置1の製造方法によれば、上記の工程を備えることにより、シール材6をフレーム22の全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材6の設置作業が容易になるとともに、処理室2と扉5との間を効果的にシールできる。これにより、処理室2の密封性に優れた冷凍バリ取り装置1を、優れた生産性で製造できる。
【0074】
<冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法>
以下、本実施形態の冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法(以下、単に「メンテナンス方法」と略称する場合がある。)について、上記と同じ図面を参照しながら詳述する。
本実施形態のメンテナンス方法は、上述した本実施形態の冷凍バリ取り装置1をメンテナンスする方法である。
即ち、本実施形態のメンテナンス方法は、少なくとも、シール材6を、フレーム22とシール固定板23との間に狭持することでフレーム22に固定する工程、又は、シール固定板23をフレーム22から離間させることで、シール材6をフレーム22から取り外す工程を含む方法である。
【0075】
一般に、処理室2の内部空間Dをシールするためのシール材6は、その材料(ゴム材料)の経時的な変化等を考慮し、一定期間で使用した後に交換するという、定期的なメンテナンスが必要となる。本実施形態のメンテナンス方法は、シール材6の交換作業を容易にするとともに、処理室2内を効果的にシールできるようにメンテナンスする方法である。
【0076】
シール材6をフレーム22から取り外す工程においては、まず、ボルト23Aを緩めることでシール固定板23とシール材6との密着状態を解消させ、シール材6をフレーム22から外す。
その後、シール材6のシール部61からヒータ65を引き抜く。
【0077】
そして、シール材6をフレーム22に固定する工程においては、上記同様、まず、シール材6を、フレーム22の内周縁の合計長さよりも長い寸法となるように切断する。
次に、上記工程においてシール材6から引き抜いたヒータ65を、新たなシール材6のシール部61に挿入する。
次いで、ヒータ65が挿入されたシール材6を、処理室2の開口部21に沿うように変形させながら、シール固定板23によってフレーム22に固定する。
そして、シール材6の一方の端部6aと、シール材6の他方の端部6b以外の部分とを接触させ、この箇所を接着剤等で固定する。
【0078】
本実施形態の冷凍バリ取り装置1のメンテナンス方法によれば、上記の工程を備えることにより、上記同様、シール材6を全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材6の除去及び設置を含む交換作業が容易になるとともに、処理室2と扉5との間を効果的にシールできる。これにより、処理室2の密封性を保持しながら、優れた作業性で冷凍バリ取り装置1をメンテナンスすることが可能になる。
【0079】
<その他の形態>
以上、実施形態により、本発明に係る冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法の一例を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0080】
例えば、シール材6は、図4等に示すような形状(断面略e形状)のものには限定されず、図7に示すようなシール材16を採用してもよい。図7に示す例のシール材16は、断面略P形状であるという点で、図4等に示したシール材6とは異なる。
図7に例示するシール材16を用いた場合においても、図4等に示すシール材6を用いた場合と同様の作用、効果が得られる。
【0081】
また、本実施形態においては、バケット3が処理室2に収容されたバケット式の冷凍バリ取り装置1を例に挙げて説明しているが、これには限定されなお。本発明は、図示を省略するが、例えば、ベルト式の冷凍バリ取り装置にも適用でき、いずれの形態の冷凍バリ取り装置であっても適用することが可能である。
【0082】
また、本実施形態においては、図1に示したような、扉5が、図中の右側に配置される図視略の蝶番を支点に開閉動作を行う、片開き方式とされた例を挙げて説明しているが、これには限定されない。扉の開閉構造としては、例えば、扉の左側に蝶番が設けられた片開き方式の構造を採用してもよいし、あるいは、両開き方式、即ち、所謂観音開き構造を採用しても構わない。また、扉の開閉構造としては、扉の下側に設けられた図視略蝶番を支点に扉が開閉動作を行う、所謂プルダウン方式の構造を採用しても構わない。
上記の何れの開閉構造を扉に採用した場合であっても、上述した本実施形態の冷凍バリ取り装置1と同様の効果が得られる。
【0083】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の冷凍バリ取り装置1によれば、シール材6が、フレーム22と、フレーム22に設けられたシール固定板23との間に狭持されることで、フレーム22に固定された構成を採用している。
本実施形態の冷凍バリ取り装置1によれば、上記のような構成を採用することで、シール材6を、処理室2の開口部21に沿った全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材6の設置作業や交換作業が容易になるとともに、処理室2と扉5との間を効果的にシールできる。
従って、処理室2の密封性に優れるとともに、生産性並びにメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置1が実現できる。
【0084】
また、本実施形態の冷凍バリ取り装置の製造方法によれば、シール材6を、フレーム22と、フレーム22に取り付けられたシール固定板23との間に狭持することで、フレーム22に固定する工程を含む方法を採用している。
本実施形態の製造方法によれば、上記方法を採用することで、上記同様、シール材6を、処理室2の開口部21に沿った全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材6の設置作業が容易になるとともに、処理室2と扉5との間を効果的にシールできる。
従って、処理室2の密封性に優れた冷凍バリ取り装置1を、優れた生産性で製造することが可能になる。
【0085】
また、本実施形態の冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法によれば、少なくとも、シール材6を、フレーム22とシール固定板23との間に狭持することでフレーム22に固定する工程、又は、シール固定板23をフレーム22から離間させることで、シール材6をフレーム22から取り外す工程を含む方法を採用している。
本実施形態のメンテナンス方法によれば、上記方法を採用することで、上記同様、シール材6を、処理室2の開口部21に沿った全周にわたって接着剤で固定する必要がないので、シール材6の除去及び設置を含む交換作業が容易になるとともに、処理室2と扉5との間を効果的にシールできる。
従って、処理室2の密封性を保持しながら、優れた作業性で冷凍バリ取り装置1をメンテナンスすることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の冷凍バリ取り装置、冷凍バリ取り装置の製造方法並びにメンテナンス方法は、上記のように、処理室の密封性に優れるとともに、生産性並びにメンテナンス性に優れるというものである。従って、本発明は、例えば、ショットブラスト方式により、樹脂製品や金属製品等の被処理物からバリを除去する装置やその製造方法、メンテナンス方法において極めて有用である。
【符号の説明】
【0087】
1…冷凍バリ取り装置
2…処理室
2A…複合板
21…開口部
22…フレーム
23…シール固定板
23e…孔
23A…ボルト
24…排出孔
25…ホッパ
26…仕切り板
27…防護プレート
28…バルブ
D…内部空間
3…バケット
3a…投入口
32…ギアボックス
32c,32d…回動軸
4…ショット機
41…吸引ホース
42…インペラ
5…扉
6,16…シール材
6a…一方の端部
6b…他方の端部
61…シール部
62…固定部
63…中空領域
64…突起
65…ヒータ
7…選別器
71…大バリ選別用振動篩
71a…大バリ収納タンク
72…選別部
73…ショット材選別用振動篩
73a…ショット材貯槽
73b…小バリ収納タンク
10…筐体
M…被処理物
S…ショット材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-01-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒によって冷却される処理室と、
前記処理室の内部空間に配置され、被処理物を収容する収容部と、
前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、
前記処理室の開口部を開閉する扉と、
前記処理室の開口部を取り囲むように配置されたフレームに設置され、前記扉と前記フレームとの間で圧縮されることで、前記扉と前記フレームとの間をシールする長尺のシール材と、
前記フレームの内周端に固定されるとともに、前記シール材と前記処理室の開口部との間を隔てるように配置される防護プレートと、を備え、
前記シール材は、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持されることで、前記フレームに固定されており、
前記扉が前記開口部を塞いだとき、前記防護プレートと前記扉との間に隙間を有することを特徴とする冷凍バリ取り装置。
【請求項2】
前記シール固定板は、前記フレームに沿って平面視囲繞形状で設けられるとともに、長手方向の少なくとも一部が分割されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍バリ取り装置。
【請求項3】
前記シール材は、前記扉と接するシール部と、前記シール固定板によって前記フレームに固定される固定部とからなり、
前記シール部の内部には、該シール部の長手方向に沿った長尺の中空領域が形成されているとともに、前記中空領域にヒータが設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍バリ取り装置。
【請求項4】
前記シール材は、分割された一方の端部が、前記シール材の長さ方向における、該シール材の他方の端部よりも前記一方の端部寄りの部分に接するように配置されることにより、平面視囲繞形状となるように前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置。
【請求項5】
請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置を製造する方法であって、
前記シール材を、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持することで、前記フレームに固定する工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置のメンテナンスを行う方法であって、
少なくとも、前記シール材を、前記フレームと前記シール固定板との間に狭持することで前記フレームに固定する工程、又は、前記シール固定板を前記フレームから離間させることで、前記シール材を前記フレームから取り外す工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
即ち、請求項1に係る発明は、冷媒によって冷却される処理室と、前記処理室の内部空間に配置され、被処理物を収容する収容部と、前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、前記処理室の開口部を開閉する扉と、前記処理室の開口部を取り囲むように配置されたフレームに設置され、前記扉と前記フレームとの間で圧縮されることで、前記扉と前記フレームとの間をシールする長尺のシール材と、前記フレームの内周端に固定されるとともに、前記シール材と前記処理室の開口部との間を隔てるように配置される防護プレートと、を備え、前記シール材は、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持されることで、前記フレームに固定されており、前記扉が前記開口部を塞いだとき、前記防護プレートと前記扉との間に隙間を有することを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置であって、前記シール材が、分割された一方の端部が、前記シール材の長さ方向における、該シール材の他方の端部よりも前記一方の端部寄りの部分に接するように配置されることにより、平面視囲繞形状となるように前記フレームに固定されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項に係る発明は、請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置を製造する方法であって、前記シール材を、前記フレームと、前記フレームに取り付けられたシール固定板との間に狭持することで、前記フレームに固定する工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置の製造方法である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置のメンテナンスを行う方法であって、少なくとも、前記シール材を、前記フレームと前記シール固定板との間に狭持することで前記フレームに固定する工程、又は、前記シール固定板を前記フレームから離間させることで、前記シール材を前記フレームから取り外す工程を含むことを特徴とする冷凍バリ取り装置のメンテナンス方法である。