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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110313
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220722BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A61B1/00 715
G02B23/24
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005631
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】二宮 幸太
(72)【発明者】
【氏名】雪入 毅司
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA02
2H040DA11
2H040DA12
4C161FF35
4C161JJ06
(57)【要約】
【課題】撮像装置の先端部本体への組立性及び分解性を向上させることで修理性を向上させた内視鏡を提供する。
【解決手段】撮像装置50は、固体撮像素子56と、メイン基板57と、プリズム53を保持する保持部材54と、信号ケーブル74と、プリズム53を内蔵する補強枠70とを備える。先端部本体60は、レンズ鏡筒52が挿入されるレンズ鏡筒取付孔45を有する取付部102と、撮像装置50が収納される収納部104とを備える。撮像装置50と先端部本体60とは、レンズ鏡筒取付孔45にレンズ鏡筒52が挿入され、補強枠70が収納部104の開放部106から露呈した状態で、先端部本体60と補強枠70の間に固定部材108を介挿することにより固定されている内視鏡10である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端部に設けられた先端部本体に撮像装置を備える内視鏡であって、
前記撮像装置は、
レンズ鏡筒及びプリズムを介して結像される光学画像を光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子が取り付けられる基板と、
前記レンズ鏡筒に連結し前記プリズムを保持する保持部材と、
複数の素線及びこれを覆う外皮からなり、前記素線が前記基板に電気的に接続されている信号ケーブルと、
前記先端部の長手軸方向に沿って設けられた一対の側板部と、前記側板部に連接して設けられた底板部と、を有し、前記底板部の反対側が開口する補強枠であって、一端が前記保持部材に、他端が前記信号ケーブルの外皮にそれぞれ固定されており、前記プリズムの三面を前記底板部及び前記側板部により覆うようにして、前記プリズムを内蔵する補強枠と、
を備え、
前記先端部本体は、
前記先端部本体の先端側に前記先端部の長手軸方向に貫通して設けられ、前記レンズ鏡筒が挿入されるレンズ鏡筒取付孔を有する取付部と、
前記先端部本体の基端側に外周面の一部が開放された開放部を有し、前記撮像装置が収納される収納部と、
を備え、
前記撮像装置と前記先端部本体とは、前記レンズ鏡筒取付孔に前記レンズ鏡筒が挿入され、前記補強枠が前記収納部の前記開放部から露呈した状態で、前記先端部本体と前記補強枠の間に固定部材を介挿することにより固定されている、
内視鏡。
【請求項2】
前記側板部の前記固定部材が挿入される位置に、凹部を備える、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記底板部は、対向する両側部から前記底板部に対して垂直方向に延びる外嵌部を有し、
前記側板部を前記外嵌部で外嵌することで、前記底板部と前記側板部が連接され、
前記凹部は、前記外嵌部に設けられた切欠部と、前記側板部とで構成される、
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記切欠部の先端側に連設した前記外嵌部を外側に折り曲げたストッパ部を備える、
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記側板部の前記固定部材よりも先端側でかつ隣接した位置に、前記固定部材の先端側への移動を規制するストッパ部を備える、
請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記先端部本体は、前記固定部材が挿入される挿入溝を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記固定部材は、前記先端部本体と前記補強枠との間に介挿される挿通部と、前記挿通部からL字状に突出した係止部を有し、
前記先端部本体は、前記係止部が係止することで前記固定部材の挿入方向の位置決めを行う被係止部を備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記固定部材は、前記被係止部で接着剤により固定される、
請求項7に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記被係止部の周囲に設けられ、前記固定部材の挿入方向と反対方向に突出した、接着剤の流れを防止する接着剤流れ止め部を備える、
請求項8に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記先端部本体の外周面に前記レンズ鏡筒取付孔に連通したねじ孔が設けられ、
前記ねじ孔は、前記ねじ孔に螺挿したねじにより前記レンズ鏡筒を前記先端部本体に固定するための仮固定用ねじ孔である、
請求項1から9のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記補強枠の前記側板部は、前記一対の側板部の対向方向に沿って設けられた挿入孔と、前記挿入孔に挿入されたピン部材を有し、
前記先端部本体は、前記開放部に連設した位置に設けられ、前記ピン部材を受ける溝形状のピン受け部と、を有する、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記ピン受け部の前記溝形状は、V字形状である、
請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記ピン部材は、前記ピン受け部で接着剤により固定される、
請求項11又は12に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に係り、特に撮像装置を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検者の体内へ挿入される挿入部を有する。この挿入部は、先端から順に、先端部、湾曲部、軟性部となっている。そして、先端部の先端面には、観察窓、照明窓、送気送水ノズル、及び、鉗子出口が設けられている。また、先端部の内面には、観察窓に対応した位置に撮像装置が、照明窓に対応した位置にライトガイドがそれぞれ取り付けられている。
【0003】
撮像装置は、レンズやプリズム等の複数個の光学部品からなる光学系と、この光学系によって結像された光学画像を撮像信号に光電変換するCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子とを有する。撮像素子はフレキシブル基板やサブ基板などを介して信号ケーブルに接続される。また、フレキシブル基板やサブ基板には撮像素子を駆動するために電子部品が実装されている。撮像装置からの信号は、フレキシブル基板やサブ基板、及び、信号ケーブルを介して画像処理装置に送られる。画像処理装置では信号を画像処理して、モニタに病変等の画像を表示する。
【0004】
撮像装置からの信号を画像処理装置に送る信号ケーブルは、複合多芯ケーブルから構成されている。この信号ケーブルは、挿入部の全長にわたって挿通されているので、挿入部がループされたり湾曲されたりする度に、強く押し引きされる。そのため、撮像装置が先端部本体から外れないように、撮像装置と先端部本体とが強く固定されている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1には、プリズムの三面を覆うようにしてプリズムを内蔵する補強枠と、補強枠の開口部から補強枠内に充填され、プリズム、ケーブル素線を接着剤で一体化した内視鏡用撮像装置が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、先端部本体とカメラユニットとの固定を、先端部本体に設けられたカメラユニット取付孔にカメラユニットを挿入した状態で、ロック部材を軸方向に直交する方向に付勢し、ロック部材をカメラユニット取付孔に押し付けて固定するロック付勢部材を備える内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-205807号公報
【特許文献2】特開2015-181782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、患者への負担軽減を目的として内視鏡の先端部の径を細径化することが求められている。また、先端部の構成のうち、故障した箇所のみを修理可能とするため、先端部への各構成の組立て、及び、分解を容易にし、修理性を向上させることが求められている。
【0009】
特許文献1に記載の内視鏡用撮像装置は、先端部本体の撮像装置取付孔に撮像装置を挿入し、固定ネジによって固定されているため、ネジタップ形状のリブが必要となり、リブの厚みを確保するため先端部の径が厚くなっていた。
【0010】
特許文献2についても、カメラユニットに取り付けられたロック板を固定ネジにより先端部本体に固定しており、先端部の小径化の点で課題があった。くさび部材を用いてロック板を先端部本体に固定する実施形態も記載されているが、この実施形態では、先端部の長手軸方向の位置の固定はできるが、長手軸方向に対して垂直方向における位置の固定はできていなかった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡の先端径を小径化するとともに、撮像装置の先端部本体への組立性及び分解性を向上させることで修理性を向上させた内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る内視鏡は、挿入部の先端部に設けられた先端部本体に撮像装置を備える内視鏡であって、撮像装置は、レンズ鏡筒及びプリズムを介して結像される光学画像を光電変換する固体撮像素子と、固体撮像素子が取り付けられる基板と、レンズ鏡筒に連結しプリズムを保持する保持部材と、複数の素線及びこれを覆う外皮からなり、素線が基板に電気的に接続されている信号ケーブルと、先端部の長手軸方向に沿って設けられた一対の側板部と、側板部に連接して設けられた底板部と、を有し、底板部の反対側が開口する補強枠であって、一端が保持部材に、他端が信号ケーブルの外皮にそれぞれ固定されており、プリズムの三面を底板部及び側板部により覆うようにして、プリズムを内蔵する補強枠と、を備え、先端部本体は、先端部本体の先端側に先端部の長手軸方向に貫通して設けられ、レンズ鏡筒が挿入されるレンズ鏡筒取付孔を有する取付部と、先端部本体の基端側に外周面の一部が開放された開放部を有し、撮像装置が収納される収納部と、を備え、撮像装置と先端部本体とは、レンズ鏡筒取付孔にレンズ鏡筒が挿入され、補強枠が収納部の開放部から露呈した状態で、先端部本体と補強枠の間に固定部材を介挿することにより固定されている。
【0013】
本発明の一形態によれば、側板部の固定部材が挿入される位置に、凹部を備えることが好ましい。
【0014】
本発明の一形態によれば、底板部は、対向する両側部から底板部に対して垂直方向に延びる外嵌部を有し、側板部を外嵌部で外嵌することで、底板部と側板部が連接され、凹部は、外嵌部に設けられた切欠部と、側板部とで構成されることが好ましい。
【0015】
本発明の一形態によれば、切欠部の先端側に連設した外嵌部を外側に折り曲げたストッパ部を備えることが好ましい。
【0016】
本発明の一形態によれば、側板部の固定部材よりも先端側でかつ隣接した位置に、固定部材の先端側への移動を規制するストッパ部を備えることが好ましい。
【0017】
本発明の一形態によれば、先端部本体は、固定部材が挿入される挿入溝を備えることが好ましい。
【0018】
本発明の一形態によれば、固定部材は、先端部本体と補強枠との間に介挿される挿通部と、挿通部からL字状に突出した係止部を有し、先端部本体は、係止部が係止することで固定部材の挿入方向の位置決めを行う被係止部を備えることが好ましい。
【0019】
本発明の一形態によれば、固定部材は、被係止部で接着剤により固定されることが好ましい。
【0020】
本発明の一形態によれば、被係止部の周囲に設けられ、固定部材の挿入方向と反対方向に突出した、接着剤の流れを防止する接着剤流れ止め部を備えることが好ましい。
【0021】
本発明の一形態によれば、先端部本体の外周面にレンズ鏡筒取付孔に連通したねじ孔が設けられ、ねじ孔は、ねじ孔に螺挿したねじによりレンズ鏡筒を先端部本体に固定するための仮固定用ねじ孔であることが好ましい。
【0022】
本発明の一形態によれば、補強枠の側板部は、一対の側板部の対向方向に沿って設けられた挿入孔と、挿入孔に挿入されたピン部材を有し、先端部本体は、開放部に連設した位置に設けられ、ピン部材を受ける溝形状のピン受け部と、を有することが好ましい。
【0023】
本発明の一形態によれば、ピン受け部の溝形状は、V字形状であることが好ましい。
【0024】
本発明の一形態によれば、ピン部材は、ピン受け部で接着剤により固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、内視鏡の小径化を図るとともに、組立性を向上させることができる。また、組立及び分解が容易となることで、先端部の修理性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】内視鏡を備えた内視鏡システムの構成図である。
図2】挿入部の先端部の断面図である。
図3】先端部の先端面の概略を示す正面図である。
図4】撮像装置の斜視図である。
図5】第1実施形態の内視鏡の先端部の斜視図である。
図6】先端部の一部部分断面図である。
図7】先端部本体と固定部材と撮像装置を接着剤で固定した図である。
図8】先端部を先端側からみた斜視図である。
図9】第2実施形態の内視鏡の先端部の斜視図である。
図10】第2実施形態の内視鏡の先端部の変形例の斜視図である。
図11】第3実施形態の内視鏡の先端部の斜視図である。
図12】第4実施形態の内視鏡の先端部の構斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面にしたがって本発明に係る内視鏡について説明する。
【0028】
図1は、内視鏡を備えた内視鏡システムの構成図である。図2は、挿入部の先端部の断面図である。図3は、先端部の先端面の概略を示す正面図である。
【0029】
図1において内視鏡システム12は、内視鏡10、内視鏡用プロセッサ装置14、及びディスプレイ18を備えている。
【0030】
内視鏡10は、被検体内に挿入される挿入部22と、挿入部22の基端に設けられた操作部24と、を備える。挿入部22は、基端から先端に向って順に軟性部26と、湾曲部28と、先端部30とを備えている。
【0031】
軟性部26は、可撓性を有し、挿入部22の挿入経路に沿って任意の方向に湾曲可能である。湾曲部28は、操作部24に回動自在に設けられたアングルノブ32、34を操作することにより上下方向と左右方向のそれぞれに湾曲され、先端部30が向く方向を任意の方向に変更可能である。先端部30の詳細な構成については後述する。
【0032】
操作部24の先端側には、鉗子導入口31が設けられている。鉗子導入口31には、処置具が挿入される。鉗子導入口31は、挿入部22内の鉗子チャンネル19(図2参照)を通して、先端面30aの鉗子出口20(図2及び図3参照)に連通している。
【0033】
また、操作部24には、送気送水ボタン35と吸引ボタン36とが並設されている。送気送水ボタン35を操作すると、送気送水ノズル43(図3参照)からエア又は水を噴出する。吸引ボタン36を操作すると、体内の液体や組織等の被吸引物を鉗子出口20から吸引する。
【0034】
また、操作部24には、ユニバーサルケーブル37が備えられる。このユニバーサルケーブル37の先端側には、コネクタ装置38が設けられる。コネクタ装置38は、内視鏡用プロセッサ装置14に接続される。内視鏡用プロセッサ装置14は、光源装置15と、画像処理装置16とを備えている。光源装置15には、コネクタ装置38が接続されるプロセッサ側コネクタ15Aが備えられている。また、画像処理装置16には、画像処理装置16にて画像処理された画像を表示するディスプレイ18が接続されている。この内視鏡システム12は、内視鏡10と内視鏡用プロセッサ装置14との間で、コネクタ装置38とプロセッサ側コネクタ15Aとから構成されるコネクタ部を介して、電力及び光信号等を非接触で伝送する構成を備えている。これにより、光源装置15からの光は、ライトガイド46(図5及び図6参照)内に配置された光ファイバーケーブルを介して伝送されて、先端部30の先端面30aに設けられた照明窓41、42(図3参照)から照射される。また、観察窓40及び撮像装置50(図2及び図3参照)から取り込まれた画像の光信号は、画像処理装置16によって画像処理されてディスプレイ18に画像として表示される。
【0035】
先端部30は、図2に示すように、金属製の先端部本体60に、硬質樹脂製の先端キャップ62を被せ、先端部本体60とこれに続く湾曲部28の金属製の先端筒64をチューブ66により被覆して構成される。湾曲部28は、先端筒64、複数の関節用節輪68a,68b,・・・を連結ピン69で連結した節輪ユニット68から構成され、ピン結合部分が所定角度で回転することにより全体が湾曲する。湾曲部28内には、操作部24のアングルノブ32、34から4本のワイヤ(不図示)が挿通されており、これらのワイヤがアングルノブ32、34の回転操作により押し引きされる。この押し引きによって、湾曲部28が上下左右方向に任意角度で湾曲する。これにより、先端部30が体腔内の所望の方向に向けられ、体腔内の被観察部位を撮像装置50で撮像することができる。軟性部26は、操作部24と湾曲部28との間を細径で長尺状に繋ぐ部分であり、可撓性を有している。
【0036】
先端部本体60は金属製の円柱体から構成されており、後端に向けて外周面に第1段部60a、第2段部60bが順に形成されている。第2段部60bには、湾曲部28の先端筒64が接合される。また、第1段部60aには、軟質樹脂製のチューブ66が接合される。このチューブ66は、湾曲部28の外周面を覆い、操作部24まで連続しており、挿入部22の外周表皮を構成する。
【0037】
図3に示すように、先端面30aには、鉗子出口20の他に、観察窓40、照明窓41,42、及び送気送水ノズル43が設けられる。また、必要に応じて、ウォータジェット噴き出し口やその他のノズルなどが設けられる。図2に示すように、鉗子出口20に連続するように、先端部本体60には出口筒44が取り付けられており、この後端部に鉗子チャンネル19が外嵌される。また、観察窓40の奥には、レンズ鏡筒取付孔45が形成されており、このレンズ鏡筒取付孔45を介して撮像装置50が取り付けられる。
【0038】
図4は撮像装置50の斜視図である。図2及び図4に示すように、撮像装置50は、レンズ鏡筒52、プリズム53、保持部材54、カバーガラス55、固体撮像素子56、メイン基板57、サブ基板58、補強枠70、封止樹脂72、信号ケーブル74及び信号ケーブル固定部76から構成されている。レンズ鏡筒52は撮影レンズ51を有し、保持部材54にプリズム53と共に、一体的に保持されている。
【0039】
図2に示すように、プリズム53には、カバーガラス55を介して固体撮像素子56が固着される。固体撮像素子56はメイン基板57に取り付けられている。この固体撮像素子56は、撮影レンズ51及びプリズム53を介して結像される光学画像を光電変換する。サブ基板58には、メイン基板57に取り付けることができなかった部品などが取り付けられる。サブ基板58は、特に保持部材54に対し固定されていない。しかし、必要に応じて仮付けや、その側縁部を保持部材54により挟持することで取り付けてもよい。なお、サブ基板58は、補強枠70内に封止樹脂72が充填されることで、この封止樹脂72により補強枠70内に固定配置される。
【0040】
信号ケーブル74としては多芯ケーブルが用いられる。この信号ケーブル74は、複数の素線78とこれらを束ねたシールド線(図示せず)とこれを覆う外皮80とから構成される。そして、複数の素線78とシールド線はメイン基板57及びサブ基板58に電気的に接続されている。複数の素線78とシールド線をメイン基板57及びサブ基板58に接続する方法として、例えば、半田付けにより行うことができる。なお、信号ケーブル74の各素線78はサブ基板58及びメイン基板57にそれぞれ接続する代わりに、どちらか一方に直接に接続されるものであってもよい。
【0041】
図4に示すように、補強枠70は、先端部の長手軸方向に沿って設けられた一対の側板部82と、この側板部82に連接して設けられた底板部84と、を有する。また、補強枠70は、底板部84の反対側に開口する開口部86を有する。底板部84は、底板部84の対向する両側部から底板部84に対して垂直方向に延びる外嵌部88を有する。この外嵌部88が、側板部82に外嵌されることで、底板部84と側板部82が連接して設けられる。外嵌部88には、底板部84とは反対側が開口したU字状の切欠部90を有する。この切欠部90の位置で、側板部82が外嵌部88より低い段差を有することで、側板部82が対向する方向にへこんだ凹部92が設けられる。この補強枠70は、プリズム53及びサブ基板58が収納される補強枠本体94と、これに続く絞り部96と、信号ケーブル74が取り付けられる信号ケーブル取付部98と、を有する。そして、補強枠70の一端側の補強枠本体94に保持部材54が、また、他端側の信号ケーブル取付部98に信号ケーブル74の外皮80がそれぞれ固定される。補強枠本体94に保持部材54が固定されることで、保持部材54で保持されたプリズム53の三面を補強枠70の底板部84及び側板部82により覆い、プリズム53を補強枠70内に内蔵することができる。
【0042】
補強枠本体94は、プリズム53及びサブ基板58が収納可能な横断面積となっており、信号ケーブル取付部98は信号ケーブル74の外皮80が収納可能な横断面積となっている。このため、絞り部96は、信号ケーブル取付部98に向かうに従い、横断面積が次第に小さくなるように絞られている。
【0043】
固体撮像素子56を有するメイン基板57は、開口部86を覆うように、補強枠70の外側に位置される。このように、固体撮像素子56を有するメイン基板57を補強枠70の外側に位置させることにより、被観察部位の変更に伴い受光部面積を変えず画素のサイズを小さくして高密度化すべく、固体撮像素子56のサイズを変更する場合でも、固体撮像素子56とそのメイン基板57及び必要に応じてサブ基板58を変更するだけでよく、解像度の仕様変更にも容易に対応が可能になる。しかも、その他のレンズ鏡筒52、プリズム53、保持部材54、補強枠70などの構成部材は変更する必要がなく、同一部品をそのまま使用することができ、部品点数の増加を抑えることができる。
【0044】
≪先端部本体と撮像装置の固定方法≫
<第1実施形態>
次に、先端部本体60と撮像装置50の固定方法について説明する。図5は、第1実施形態の内視鏡の先端部の斜視図である。図6は、先端部の一部部分断面図である。なお、図5及び図6は、チューブ66を装着していない状態の図である。
【0045】
図5のVAは、先端部本体60と撮像装置50とを固定した基端側からの斜視図である。図5のVBは、固定部材108の介挿位置の拡大図である。先端部本体60は、先端部本体60の先端側に、レンズ鏡筒52が挿入されるレンズ鏡筒取付孔45(図2参照)を有する取付部102を有する。レンズ鏡筒取付孔45は、先端部30の長手軸方向に貫通して設けられる。また、先端部本体60は、先端部本体60の基端側に、撮像装置50のうち、プリズム53、保持部材54、カバーガラス55、固体撮像素子56、メイン基板57、サブ基板58、補強枠70等が収納される収納部104を有する。収納部104は、上記各部材が内部に収容される外周壁部105と、外周壁部105の外周面の一部が開放された開放部106を有し、撮像装置50の補強枠70の底板部84が開放部106から露呈して配置されている。
【0046】
先端部本体60と撮像装置50との固定は、先端部本体60のレンズ鏡筒取付孔45にレンズ鏡筒52が挿入され、補強枠70の底板部84が開放部106から露呈した状態で、外周壁部105と補強枠70との間に固定部材108を介挿することで行われる。
【0047】
固定部材108は、図5及び図6に示すように、外周壁部105と補強枠70との間に介挿される挿通部108aと、挿通部108aからL字状に突出した係止部108bとを有する。挿通部108aが、先端部本体60と撮像装置50との間に介挿されることで、先端部本体60に撮像装置50を固定することができる。
【0048】
固定部材108の挿通部108aは、外周壁部105と補強枠70の側板部82との間の隙間より広い厚みで構成されている。固定部材108の挿通部108aが、外周壁部105と側板部82との間に介挿(圧入)されると、挿通部108aが弾性変形する。そして、挿通部108aの元に戻ろうとする弾性復元力により、補強枠70が外周壁部105に固定部材108を介して固定される。これにより、先端部本体60と撮像装置50とを固定することができる。
【0049】
固定部材108は、補強枠70の凹部92が設けられた位置に挿入される。凹部92の位置に固定部材108を挿入することで、凹部92の先端側及び基端側に設けられた外嵌部88の切欠部90により、撮像装置50の先端部30の長手軸方向の移動を規制することができる。
【0050】
また、先端部本体60の外周壁部105には、図5のVBに示すように、固定部材108が挿入される位置に、固定部材108の挿入方向に沿って設けられた挿入溝110を有する。挿入溝110を有することで、固定部材108の挿入位置を決めることができ、固定部材108の挿入を容易に行うことができる。また、固定部材108は、先端部30の長手軸方向の移動を挿入溝110の壁部110aにより規制される。したがって、撮像装置50が基端側に引っ張られ、固定部材108と切欠部90とが接触した場合においても、固定部材108の移動が挿入溝110により規制されるため、撮像装置50の先端部30の長手軸方向の移動を確実に規制することができる。
【0051】
また、先端部本体60の外周壁部105は、開放部106に連設した位置に被係止部112を有する。被係止部112に固定部材108の係止部108bが係止することで、固定部材108の挿入方向の位置決めをすることができる。被係止部112は、先端部30の長手軸方向に平行であり、固定部材108の挿入方向に対して垂直な方向の平面により形成されている。ただし、被係止部112の形状は、図5に示す形状に限定されない。固定部材108の係止部108bが被係止部112に係止され固定部材108の挿入方向の位置決めをすることができれば形状は特に限定されない。
【0052】
図7は、先端部本体と固定部材と撮像装置とを接着剤で固定した図である。先端部本体60と補強枠70との間に固定部材108を介挿し、先端部本体60に撮像装置50を固定した後、接着剤114で先端部本体60、固定部材108、及び、撮像装置50を固定してもよい。接着剤114を用いて固定することで、確実に先端部本体60と撮像装置50とを固定することができる。また、分解する時は、接着剤114を剥離することで先端部本体60と撮像装置50との分解を容易に行うことができる。
【0053】
また、被係止部112の周囲には、接着剤流れ止め部116が設けられる。接着剤流れ止め部116は、固定部材108の挿入方向と反対方向に突出したせき部として形成されている。その結果として、固定部材108の上面及び被係止部112に接着剤114を塗布した際に、接着剤114は、接着剤流れ止め部116にせき止められて、被係止部112から外部に流出することが防止されている。
【0054】
図8は、先端部を挿入部の先端側からみた斜視図である。先端部本体60の取付部102には、外周面118にレンズ鏡筒取付孔45(図2参照)に連通したねじ孔120が設けられている。このねじ孔120は、上述した固定部材108を用いて、先端部本体60と撮像装置50とを固定する際に、仮固定するためのねじ122が螺挿されるための仮固定用ねじ孔である。これにより、先端部本体60と撮像装置50とを固定部材108により固定する際の撮像装置50の位置決めを行うことができる。固定部材108で固定される前に、ねじ孔120にねじ122を螺挿し、仮固定することで、撮像装置50を固定することができる。なお、ねじ孔120に螺挿されたねじ122は、固定部材108により、先端部本体60に撮像装置50が固定された後、外される。これにより、ねじ122の頭部の厚み分、先端部30の径が太くなることを防止することができ、先端部の細径化を図ることができる。
【0055】
なお、第1実施形態の内視鏡10の補強枠70は、側板部82と底板部84とが別部材で構成され、底板部84に設けられた外嵌部88を介して、側板部82と底板部84が連接されているが、これに限定されない。側板部82と底板部84を一体として形成してもよい。この場合、凹部92は設けなくてもよいし、側板部82をへこませることで、凹部92としてもよい。
【0056】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態の内視鏡の先端部の構成を示す斜視図である。図9に示す内視鏡の先端部230は、補強枠270の外嵌部288を外側に折り曲げたストッパ部289を備える点が、第1実施形態の内視鏡10の先端部30と異なっている。
【0057】
ストッパ部289は、固定部材108の挿入方向に平行な線を折り曲げ線として、外嵌部288を折り曲げることで形成される。なお、図9に示す補強枠270においては、外嵌部288を折り曲げることで、切欠部290の一部が形成され、外嵌部288と側板部82との段差により凹部292が形成される。ストッパ部289は、固定部材108が介挿される位置に対して、先端側に設けられる。
【0058】
第2実施形態の内視鏡によれば、先端部本体60と補強枠270との間に固定部材108を介挿することで、先端部本体60と撮像装置250とを固定することができる。また、固定部材108を外すことで、先端部本体60と撮像装置250との分解を容易に行うことができる。さらに、ストッパ部289が固定部材108と接触することにより、撮像装置250が先端部230の長手軸方向の基端側に移動することを規制することができる。
【0059】
(変形例)
図10は、第2実施形態の内視鏡の先端部の変形例の構成を示す斜視図である。図10に示す先端部330の補強枠370は、側板部382と底板部384が連続した部材として連接されている。このように、補強枠370を側板部382と底板部384とを一体として形成した場合、ストッパ部389を側板部382に設けてもよい。側板部382に設けられたストッパ部389は、先端部本体60と撮像装置350とを固定部材108により固定した際に、固定部材108よりも先端側でかつ隣接した位置に設けられる。これにより、図9に示す実施形態と同様に、ストッパ部389と固定部材108とが接触することで、撮像装置350が先端部330の長手軸方向の基端側に移動することを防止することができる。
【0060】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態の内視鏡の先端部の構成を示す斜視図である。
【0061】
第3実施形態の内視鏡の先端部430は、撮像装置450の補強枠470の一対の側板部482に、側板部482の対向方向に沿って設けられた挿入孔402を有する。この挿入孔402に、ピン部材404が挿入されて、撮像装置450にピン部材404が配置される。
【0062】
先端部本体460は、開放部106に連設した位置に、先端部430の長手軸方向に沿って平面状に形成された平坦部412を有する。そして、この平坦部412に、溝形状のピン受け部414を有する。ピン受け部414でピン部材404を受けることで、ピン部材404が、先端部430の長手軸方向に移動することを防止することができる。また、ピン部材404は補強枠470の側板部482に設けられた挿入孔402に挿入されているため、撮像装置450が、ピン部材404に対して、先端部430の長手軸方向に移動することを防止することができる。したがって、先端部本体460に対して、ピン部材404を介して、撮像装置450を固定することができる。
【0063】
ピン受け部414の形状は、図11においては、V字形状としている。V字形状とすることで、ピン部材404の外径の太さに係わらず、ピン部材404をピン受け部414の両方の壁面から移動を規制することができる。
【0064】
また、ピン受け部414の形状は、V字形状に限定されない。ピン受け部414の幅と、ピン部材404の外径と、を同じ大きさとすることで、ピン部材404の移動を規制することができる。このように、先端部430の長手軸方向への撮像装置450の移動を規制することができれば、特に限定されない。
【0065】
また、ピン部材404をピン受け部414に挿入した後、接着剤(不図示)で接着固定することで、先端部本体460と撮像装置450とを確実に固定することができる。先端部本体460と撮像装置450とを分解する際は、接着剤を剥離することで、容易に分解をすることができる。
【0066】
第3実施形態の内視鏡の先端部430においても、ピン部材404が撮像装置450の補強枠470に設けられた挿入孔402に挿入されることで、撮像装置450の先端部430の長手軸方向の移動を規制することができる。また、ピン部材404を抜くことで、先端部本体460と撮像装置450の分解を行うことができる。
【0067】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の内視鏡の先端部の構成を示す斜視図である。
【0068】
第4実施形態の内視鏡の先端部530は、第3実施形態の内視鏡の撮像装置450と同様に、補強枠570の一対の側板部582の対向方向に沿って設けられたに挿入孔502を有し、この挿入孔502に、ピン部材504が配置されている。ピン部材504は、軸方向に沿って、一部が平面状に形成されたDカット面506を有する。
【0069】
先端部本体は、開放部106に連設した位置に、先端部530の長手軸方向に沿って平面状に形成された平坦部512を有する。
【0070】
第4実施形態の内視鏡の先端部本体560と撮像装置550とは、先端部本体560の平坦部512にピン部材504のDカット面506を対向させて配置する。その後、接着剤(不図示)を用いて接着固定する。ピン部材504のDカット面506を、平坦部512に対向させて配置することで、ピン部材504と先端部本体560が接着固定する前に、ピン部材504が回転し、ピン部材504が動くことを防止することができる。ピン部材504は先端部本体560に対して接着剤により接着固定されており、撮像装置550はピン部材504に対して、先端部530の長手軸方向の移動を防止することができる。したがって、先端部本体560に対して、ピン部材504を介して、撮像装置550を固定することができる。また、接着剤を剥離し、ピン部材504を抜くことで、先端部本体560と撮像装置550の分解を行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
10 内視鏡
12 内視鏡システム
14 内視鏡用プロセッサ装置
15 光源装置
15A プロセッサ側コネクタ
16 画像処理装置
18 ディスプレイ
19 鉗子チャンネル
20 鉗子出口
22 挿入部
24 操作部
26 軟性部
28 湾曲部
30 先端部
30a 先端面
31 鉗子導入口
32 アングルノブ
34 アングルノブ
35 送気送水ボタン
36 吸引ボタン
37 ユニバーサルケーブル
38 コネクタ装置
40 観察窓
41 照明窓
42 照明窓
43 送気送水ノズル
44 出口筒
45 レンズ鏡筒取付孔
46 ライトガイド
50 撮像装置
51 撮影レンズ
52 レンズ鏡筒
53 プリズム
54 保持部材
55 カバーガラス
56 固体撮像素子
57 メイン基板
58 サブ基板
60 先端部本体
60a 第1段部
60b 第2段部
62 先端キャップ
64 先端筒
66 チューブ
68 節輪ユニット
68a 関節用節輪
68b 関節用節輪
69 連結ピン
70 補強枠
72 封止樹脂
74 信号ケーブル
76 信号ケーブル固定部
78 素線
80 外皮
82 側板部
84 底板部
86 開口部
88 外嵌部
90 切欠部
92 凹部
94 補強枠本体
96 絞り部
98 信号ケーブル取付部
102 取付部
104 収納部
105 外周壁部
106 開放部
108 固定部材
108a 挿通部
108b 係止部
110 挿入溝
110a 壁部
112 被係止部
114 接着剤
116 接着剤流れ止め部
118 外周面
120 ねじ孔
122 ねじ
230 先端部
250 撮像装置
270 補強枠
288 外嵌部
289 ストッパ部
290 切欠部
292 凹部
330 先端部
350 撮像装置
370 補強枠
382 側板部
384 底板部
389 ストッパ部
402 挿入孔
404 ピン部材
412 平坦部
414 ピン受け部
430 先端部
450 撮像装置
460 先端部本体
470 補強枠
482 側板部
502 挿入孔
504 ピン部材
506 Dカット面
512 平坦部
530 先端部
550 撮像装置
560 先端部本体
570 補強枠
582 側板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12