(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110357
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】車両用アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20220722BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20220722BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20220722BHJP
H01Q 21/30 20060101ALI20220722BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H01Q1/22 C
H01Q1/52
H01Q21/28
H01Q21/30
B60J1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005697
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】上田 芳人
(72)【発明者】
【氏名】野田 潤
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 智洋
(72)【発明者】
【氏名】東海林 英明
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AA09
5J021AB02
5J021HA10
5J021JA03
5J046AA12
5J046AB03
5J046AB17
5J046UA02
5J047AA12
5J047AB03
5J047AB17
(57)【要約】
【課題】近接配置させるアンテナ間の干渉を低減でき、省スペース化が可能な車両用アンテナ装置を提供すること。
【解決手段】車両用アンテナ装置100は、車両の一部を構成する誘電体であるガラス板20と、ガラス板20に取り付けられるアンテナ30と、アンテナ30の近傍に取り付けられ、アンテナ30が受信する電波の周波数帯よりも高い周波数帯の電波を送受信するアンテナ40と、アンテナ40と接続する伝送線路70と、を備える。アンテナ40は、伝送線路70の信号線71と接続する給電導体42と、伝送線路70の接地線72と接続する接地導体41と、を有する。接地線72は、接地導体41と接続する接地点72aと、車両のアース電位部と接続する接地点72bと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の一部を構成する誘電体と、
前記誘電体に取り付けられる第1アンテナと、
前記第1アンテナの近傍に取り付けられ、前記第1アンテナが送受信する電波の周波数帯よりも高い周波数帯の電波を送受信する第2アンテナと、
前記第2アンテナと接続する伝送線路と、を備え、
前記第2アンテナは、前記伝送線路の信号線と接続する給電導体と、前記伝送線路の接地線と接続する接地導体と、を有し、
前記接地線は、前記接地導体と接続する第1接地点と、前記車両のアース電位部と接続する第2接地点と、を有する、車両用アンテナ装置。
【請求項2】
前記誘電体は、ガラス板を含み、
前記第2アンテナは、前記ガラス板に直接的に又は間接的に固定されている、請求項1に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項3】
前記第2アンテナは、前記ガラス板の面上に配置される平面アンテナである、請求項2に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項4】
前記第1アンテナは、前記ガラス板の面上に配置される、請求項2又は請求項3に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項5】
前記誘電体は、樹脂を含み、
前記第2アンテナは、前記樹脂に直接的に又は間接的に固定されている、請求項1に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項6】
前記第1アンテナは、前記樹脂に直接的に又は間接的に固定されている、請求項5に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項7】
前記誘電体は、ガラス板を含み、
前記第1アンテナは、前記ガラス板の面上に配置される、請求項5に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項8】
前記樹脂は、前記車両のエアロパーツである、請求項5~7のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項9】
前記第1接地点から前記第2接地点までの前記接地線の長さをDGとし、前記第2アンテナの給電部の接地点を起点として、前記接地導体の最も遠い位置までの距離をLとし、前記第1アンテナが受信する周波数帯における空気中の波長をλとし、前記誘電体の波長短縮率をkとし、Mを正の整数とするとき、
(λ/4-λ/16)×(2M-1)≦DG+L/k≦(λ/4+λ/16)×(2M-1)
の関係式を満たす、請求項1~8のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項10】
前記波長λは、前記第1アンテナが受信する周波数帯における空気中の中心波長λ0である、請求項9に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項11】
前記長さDGは、400mm以下である、請求項9又は請求項10に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項12】
前記第1アンテナと前記第2アンテナとは、30mm以上離れて配置される、請求項1~11のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項13】
前記伝送線路は、前記第2アンテナの接続部を起点として、前記第1アンテナから離れるように延伸する部分を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項14】
前記第1アンテナは、800MHz以下の周波数帯の電波を受信する、請求項1~13のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項15】
前記第1アンテナは、DAB(Digital Audio Broadcast) Band IIIの周波数帯の電波、及び地上デジタルテレビ放送波の周波数帯の電波のうち、少なくとも一方を受信可能に構成される、請求項14に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項16】
前記第2アンテナは、600MHz以上の周波数帯の電波を送受信可能に構成される、請求項1~15のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項17】
前記第2アンテナは、800MHz以上の周波数帯の電波を送受信可能に構成される、請求項16に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項18】
前記誘電体は、ウィンドシールドを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項19】
前記誘電体は、リアガラスを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の車両用アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両が、4G LTE(Long Term Evolution)(700MHz帯)、5G(sub6(~6GHz))、さらに準ミリ波(20GHz~30GHz)、及びミリ波(30GHz~300GHz)の周波数帯の電波を送受信できるようになってきている。このように、車両が複数の周波数帯の電波を用いた通信を行うことで、車両そのものが、高速かつ大容量の通信インフラの一部として活用されつつある。
【0003】
一方で、車両には、従来のAM、FM、DAB(Digital Audio Broadcast)Band III、地上デジタルテレビ(DTV:Digital Television)放送波等の800MHz未満の周波数帯の電波を用いるアンテナも搭載される。そのため、車両において送受信される電波の周波数帯の種類が増えるにしたがって、放送波受信用アンテナを含むアンテナが送受信する周波数帯の範囲が拡大されつつある。例えば、自動車のウィンドシールドに、上記の放送波受信用アンテナと、車外情報を取得するセンサ類を格納した電子機器とが、近接して配置される場合、放送波受信用アンテナと、電子機器との干渉が生じてしまい、アンテナ利得が低下しやすい、両者の電気的な分離度(アイソレーション)が不十分になりやすい問題があった。そこで、例えば、特許文献1は、センサ類が格納されている電子機器と、ガラス面に配置される放送波アンテナ(地上デジタルテレビ放送波用アンテナ)との間に、ノイズ除去パターンを設けることによりアンテナに到来するノイズを吸収することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用窓ガラスは、車両乗員の視界を妨げないことが要求される。また、例えば、リアガラスについては、電熱ヒーター線を含むデフォッガを配置する必要もある。そのため、車両用窓ガラスは、アンテナ及び他の電子機器を配置する領域の省スペース化が求められる。しかしながら、特許文献1のように、ノイズ除去パターンを車両用窓ガラスに配置する場合、ノイズ除去パターンを配置するスペースが余分に必要となる。さらに、ノイズ除去パターンを配置する車両用窓ガラスは、レイアウトの自由度も限定される。
【0006】
本発明は、上述した問題を鑑みて、近接配置させるアンテナ間の干渉を低減でき、省スペース化が可能な車両用アンテナ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる車両用アンテナ装置は、車両の一部を構成する誘電体と、前記誘電体に取り付けられる第1アンテナと、前記第1アンテナの近傍に取り付けられ、前記第1アンテナが送受信する電波の周波数帯よりも高い周波数帯の電波を送受信する第2アンテナと、前記第2アンテナと接続する伝送線路と、を備え、前記第2アンテナは、前記伝送線路の信号線と接続する給電導体と、前記伝送線路の接地線と接続する接地導体と、を有し、前記接地線は、前記接地導体と接続する第1接地点と、前記車両のアース電位部と接続する第2接地点と、を有する。
【0008】
上述の車両用アンテナ装置において、前記誘電体は、ガラス板を含み、前記第2アンテナは、前記ガラス板に直接的に又は間接的に固定されてもよい。
【0009】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第2アンテナは、前記ガラス板の面上に配置される平面アンテナでもよい。
【0010】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第1アンテナは、前記ガラス板の面上に配置されてもよい。
【0011】
上述の車両用アンテナ装置において、前記誘電体は、樹脂を含み、前記第2アンテナは、前記樹脂に直接的に又は間接的に固定されてもよい。
【0012】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第1アンテナは、前記樹脂に直接的に又は間接的に固定されてもよい。
【0013】
上述の車両用アンテナ装置において、前記誘電体は、ガラス板を含み、前記第1アンテナは、前記ガラス板の面上に配置されてもよい。
【0014】
上述の車両用アンテナ装置において、前記樹脂は、前記車両のエアロパーツでもよい。
【0015】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第1接地点から前記第2接地点までの前記接地線の長さをDGとし、前記第2アンテナの給電部の接地点を起点として、前記接地導体の最も遠い位置までの距離をLとし、前記第1アンテナが受信する周波数帯における空気中の波長をλとし、前記誘電体の波長短縮率をkとし、Mを正の整数とするとき、
(λ/4-λ/16)×(2M-1)≦DG+L/k≦(λ/4+λ/16)×(2M-1)
の関係式を満たしてもよい。
【0016】
上述の車両用アンテナ装置において、前記波長λは、前記第1アンテナが受信する周波数帯における空気中の中心波長λ0でもよい。
【0017】
上述の車両用アンテナ装置において、前記長さDGは、400mm以下でもよい。
【0018】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第1アンテナと前記第2アンテナとは、30mm以上離れて配置されてもよい。
【0019】
上述の車両用アンテナ装置において、前記伝送線路は、前記第2アンテナの接続部を起点として、前記第1アンテナから離れるように延伸する部分を含んでもよい。
【0020】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第1アンテナは、800MHz以下の周波数帯の電波を受信してもよい。
【0021】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第1アンテナは、DAB(Digital Audio Broadcast) Band IIIの周波数帯の電波、及び地上デジタルテレビ放送波の周波数帯の電波のうち、少なくとも一方を受信可能に構成されてもよい。
【0022】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第2アンテナは、600MHz以上の周波数帯の電波を送受信可能に構成されてもよい。
【0023】
上述の車両用アンテナ装置において、前記第2アンテナは、800MHz以上の周波数帯の電波を送受信可能に構成されてもよい。
【0024】
上述の車両用アンテナ装置において、前記誘電体は、ウィンドシールドを含んでもよい。
【0025】
上述の車両用アンテナ装置において、前記誘電体は、リアガラスを含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、近接配置させるアンテナ間の干渉を低減でき、省スペース化が可能な車両用アンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施の形態にかかる車両用アンテナ装置の構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態にかかるアンテナの詳細を説明するための図である。
【
図3】距離D
G及び距離Lについて説明するための図である。
【
図4】車両用アンテナ装置のアイソレーションの値を示す図である。
【
図5】車両用アンテナ装置のアイソレーションの値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定されない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。なお、各実施形態において、平行、水平、垂直などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、実施の形態を説明するための図面において、方向について特に記載しない場合には、図面上での方向をいうものとする。
【0029】
(実施の形態)
図1を用いて、実施の形態にかかる車両用アンテナ装置100の構成例について説明する。
図1は、実施の形態にかかる車両用アンテナ装置の構成例を示す。
図1は、ガラス板20が車両に取り付けられた状態での車内視の図である。
図1において、X軸方向は、水平方向及び車幅方向に対応し、Y軸方向は、水平方向に直交する鉛直方向に対応する。なお、
図1は、車内視の図として説明をするが、車外視の図として参照されてもよい。
【0030】
車両用アンテナ装置100は、車両に配置される装置である。車両用アンテナ装置100は、ガラス板20と、アンテナ30及びアンテナ40と、伝送線路70とを備える。本明細書において、アンテナ30は第1アンテナ、アンテナ40は第2アンテナとも称する。なお、
図1では、車両用アンテナ装置100は、ガラス板20、アンテナ30、アンテナ40、及びアンテナ40用の伝送線路70を1つ含む構成を示しているが、ガラス板20、アンテナ30、アンテナ40、及び伝送線路70を2つ以上備える構成としてもよい。また、アンテナ30にも不図示の伝送線路が接続される。
【0031】
ガラス板20は、車両用アンテナ装置100が配置される車両の一部を構成する誘電体である。ガラス板20は、車両の金属ボディ10に取り付けられており、車体筐体に形成されたボディフランジに固定される。ガラス板20の上部は、金属ボディ10の端部10a近傍でウレタン樹脂等によって固定される。端部10aは、金属ボディ10の端部のうち、ガラス板20の上部と物理的に接している縁部である。ガラス板20は、ウィンドシールドでもよく、リアガラスでもよく、サイドガラスでもよい。
【0032】
アンテナ30は、例えば、放送波用アンテナであり、800MHz以下の周波数帯の電波の少なくとも1種を送受信可能に構成される。ここで、“送受信可能”とは、送信と受信の一方又は両方が可能という意味で用いる。そのため、アンテナ30は、所定の周波数帯の電波を受信専用となるアンテナに限らず、送信と受信の両方が可能なアンテナでもよい。アンテナ30は、例えば、欧州規格のDAB(Digital Audio Broadband)のBand IIIの電波、及び地上デジタルテレビ放送波の電波のうち、少なくとも一方を受信可能なアンテナである。DABのBand IIIは、174MHz~240MHzの周波数帯が用いられる。また、地上デジタルテレビ放送波は、470MHz~710MHzの周波数帯が用いられる。なお、アンテナ30は、FM放送波の周波数帯(76MHz~108MHz)、AM放送波の周波数帯を受信可能なアンテナでもよく、760MHzを含む狭帯域のITS(Intelligent Transport Systems)を受信可能なアンテナでもよい。
【0033】
アンテナ30は、誘電体に取り付けられるアンテナであり、誘電体であるガラス板20の板面上に配置される。アンテナ30は、車両用アンテナ装置100が配置される車両乗員の視界を損なわない位置、かつデフォッガの配置領域とは異なる位置に配置される。なお、本実施の形態では、図示し易さの観点から、アンテナ30は、ガラス板20の上部、かつ幅方向の中央よりも右側への配置として説明するがこれに限らない。アンテナ30は、誘電体上であればリアスポイラー等の樹脂からなるエアロパーツ上に配置してもよいし、誘電体が空気であってアンテナ30が空中配線でもよい。
【0034】
図1において、アンテナ30は、給電部31と、アース部32と、線条エレメント33及び線条エレメント34とを備える、いわゆる双極型アンテナである。なお、アンテナ30は、
図1のような双極型アンテナに限らず、給電部31と、給電部31に接続する線条エレメント33のみを有する単極型アンテナでもよい。給電部31及びアース部32は、金属ボディ10に近接して配置される。給電部31及びアース部32は、同軸ケーブル(不図示)等の伝送線路を介して、通信機器(不図示)と接続する。
【0035】
線条エレメント33及び線条エレメント34は、導体で構成されるアンテナエレメントである。線条エレメント33は、一端が給電部31と接続され、他端が開放端となっている。線条エレメント33は、例えば、L字形状をしている。線条エレメント33は、給電部31と、点33aを接続点として点33aで接続され、点33aからY軸負方向に点33bまで延在し、点33bからX軸正方向に点33cまで延在する。
【0036】
線条エレメント34は、一端がアース部32と接続され、他端が開放端となっている。線条エレメント34は、例えば、U字形状をしている。線条エレメント34は、アース部32と、点34aを接続点として点34aで接続され、点34aからX軸正方向に点34bまで延在し、点34bからY軸負方向に点34cまで延在し、点34cからX軸負方向に点34dまで延在する。
【0037】
なお、
図1では、アンテナ30は、アース部32及び線条エレメント34を備える構成としているが、上述のように、アース部32及び線条エレメント34を備えない(単極型の)構成としてもよい。また、
図1では、線条エレメント33及び線条エレメント34の形状は、それぞれL字形状及びU字形状であるが、車両用アンテナ装置100が配置される車両に応じて任意に設定されてよい。さらに、
図1では、ガラス板20に対して、左側に給電部31が配置され、右側にアース部32が配置されているが、給電部31とアース部32の位置が置き換わった構成でもよい。
【0038】
アンテナ40は、例えば、通信事業者が提供する通信用の電波を送受信する通信用アンテナである。アンテナ40は、アンテナ30が受信する周波数帯よりも高い周波数帯の電波を送受信する。アンテナ40が送受信可能な電波の周波数帯は、600MHz以上でもよく、800MHz以上でもよい。
【0039】
アンテナ40は、誘電体に取り付けられるアンテナであり、誘電体であるガラス板20の板面上に配置される。アンテナ40は、車両用アンテナ装置100が配置される車両乗員の視界を損なわない位置、かつデフォッガの配置領域とは異なる位置に配置される。なお、本実施の形態では、図示し易さの観点から、アンテナ40は、ガラス板20の上部、かつ幅方向の中央付近への配置として説明するがこれに限らない。アンテナ40は、誘電体上であればリアスポイラー等の樹脂からなるエアロパーツ上に配置してもよいし、誘電体が空気であってアンテナ40が空中配線でもよい。
【0040】
アンテナ40は、例えば、アンテナ30の左側に、アンテナ30の近傍に取り付けられる。アンテナ40と、アンテナ30とは、例えば30mm以上離れて配置される。アンテナ40の最も右側に位置する端部は、アンテナ30の給電部31の最も左側に位置する端部から30mm以上離間して配置される。アンテナ30とアンテナ40との間の距離DAは、アンテナ30とアンテナ40との各々の導体の最短距離に相当する。アンテナ30とアンテナ40との間の距離DAが30mm以上であると、後述するようにアンテナ40に対する中点アースによる、アンテナ間のアイソレーションが向上する。距離DAは、アイソレーションを向上させるため、50mm以上が好ましく、100mm以上がより好ましい。アンテナ間の距離DAが長ければアイソレーションは向上するが、距離DAが長すぎるとアンテナ30及びアンテナ40が配置される領域の省スペース化が困難となる。そのため、距離DAは、200mm以下であればよく、150mm以下が好ましい。
【0041】
アンテナ40は、平面アンテナでもよく、アンテナモジュールでもよく、封入アンテナでもよい。平面アンテナは、ガラス板20の主面上に平面状の導体パターンを設けるアンテナである。平面アンテナは、ガラスプリントアンテナと称されてもよい。アンテナモジュールは、アンテナ導体が3次元形状をなすアンテナである。封入アンテナは、ガラス板20が第1ガラス板及び第2ガラス板で樹脂製の中間膜を挟持する合わせガラスにおいて、第1ガラス板と、第2ガラス板との間に封入して配置されるアンテナである。
【0042】
アンテナ40は、例えば、ガラス板20に直接的に又は間接的に固定して配置される。アンテナ40が、平面アンテナである場合、ガラス板20の板面上に直接的に固定して配置される。つまり、アンテナ40は、ガラス板20と物理的に接続するように固定される。アンテナ40が、3次元形状をなすアンテナモジュールである場合、ブラケット等の筐体を介してガラス板20に間接的に固定して配置される。つまり、アンテナ40の少なくとも一部又は全部は、ガラス板20と物理的に接続せず、筐体を介して、間接的にガラス板20と接続する。アンテナ40が、封入アンテナである場合、ガラス板20を構成する、第1ガラスと、第2ガラスとの間に直接的に固定して配置される。なお、以降の説明では、アンテナ40は、平面アンテナとして説明する。
【0043】
アンテナ40は、2つの導体により構成され、接地導体41と、給電導体42と、を有する。接地導体41及び給電導体42は、後述する伝送線路70と接続される。伝送線路70は、例えば、同軸ケーブルであり、接地導体41は、同軸ケーブル(伝送線路70)の外部導体と接続する。同軸ケーブルの外部導体は、伝送線路70の接地線であるため、接地導体41は、伝送線路70の接地線と接続する。給電導体42は、同軸ケーブル(伝送線路70)の内部導体と接続する。同軸ケーブルの内部導体は、伝送線路70の信号線であるため、給電導体42は、伝送線路70の信号線と接続する。
【0044】
ここで、
図2を用いて、アンテナ40の詳細について説明する。
図2は、実施の形態にかかるアンテナ40の拡大図である。なお、アンテナ40は、4G LTE~5G-sub6帯の周波数帯の電波を送受信可能なアンテナである。アンテナ40は、金属膜(導体膜)43に切り抜き部50が形成されることでスロットアンテナとして機能する。具体的には、金属膜43に、第1スロット51と、第2スロット52と、第1接続スロット53と、第1幅広スロット54と、第2幅広スロット55とが、切り抜き部50として形成される。そして、一対の給電部(給電点)60が、第1スロット51を跨ぐように配置されている。なお、一対の給電部60とは、給電部31とアース部32の組み合わせに相当する。
【0045】
一対の給電部60が跨ぐように配置される、第1スロット51は、Y軸正方向に、下端(一端)51aから上端(他端)51bまで延在する。第1スロット51の延在方向はガラス板20の表面において、Y軸正方向である。
【0046】
第1接続スロット53は、第1スロット51の他端51bに接続され、第1スロット51の延在方向に対して異なる方向に幅変更部53cまで延在する。第1接続スロット53の延在方向は、X軸正方向である。
【0047】
第1幅広スロット54は、第1接続スロット53の端部(幅変更部)53cに接続され、スロット幅が第1スロット51及び第1接続スロット53よりも広い。第2スロット52は、第1スロット51の一端51aに接続され、第1スロット51の延在方向に対して異なる方向であるX軸正方向に延在する。
【0048】
第2幅広スロット55は、第2スロット52の端部52e(延在の終端部)に直接接続され、スロット幅が第2スロット52よりも広い。第2幅広スロット55のスロット幅は、延在するほど漸進的に広がっている。なお、各スロットの角は曲率を有して折れ曲がってもよい。また端部とは、各スロットの延在する終端でもよいし、その端部手前のスロットである終端近傍でもよい。
【0049】
車両に対するガラス板20の取り付け角度は、例えば、地上面に対し、15°~90°が好ましい。つまり、アンテナ40の地上面に対する角度は、ガラス板20の地上面に対する角度と同一でもよい。
【0050】
図2において、第1幅広スロット54は、アンテナ40が近接して配置される、金属ボディ10の上縁部に、開口する開口部54dを有する。第2幅広スロット55は、アンテナ40が近接して配置される、金属ボディ10の上縁部に、開口する開口部55fを有する。
【0051】
金属膜43において、第2スロット52及び第1スロット51よりも、アンテナ40が近傍に配置される上縁部と側縁部との間の角部に近接する側が、接地導体41として機能する。一方、第2スロット52及び第1スロット51よりも、角部から離れた側が、給電導体42として機能する。給電導体42は、伝送線路70として機能する同軸ケーブルの芯線である信号線71と接続するため、芯線側導体とも称される。
【0052】
給電部60は、給電導体側給電部(芯線側給電部)と接地導体側給電部とを有する一対の給電部であり、第1スロット51を一対の給電部で跨ぐように配置されることで、接地導体41及び給電導体42に給電する。給電部60のうち、給電導体側給電部は、伝送線路70の芯線である信号線71と、接続点71aで接続する。給電部60のうち、接地導体側給電部は、伝送線路70の外部導体である接地線72と、接地点72aで接続する。なお、本実施の形態では、第1幅広スロット54の上側に開口部54dが設けられ、第2幅広スロット55の上側に開口部55fが設けられる例を示しているが、開口部54d及び開口部55fの位置は上側に限定されない。
【0053】
開口部54dが形成されると、第1接続スロット53の形状及び配置により、金属膜43の接地導体41の上部は線条形状となる。そのため、この線条接地導体41Lは、線条エレメントのように、特定の周波数において電波を放射する機能を備える。
【0054】
第2幅広スロット55は、開口部55fとの他に、三角の部分及び三角の最も広い部分が延在する三角部15α、矩形部15γ、及び三角部15αと矩形部15γとの間にある幅広接続部15βを含む。矩形部15γの幅が広いため、接地導体41において、対応する箇所が線条に細くなり、線条接地導体41La及び線条接地導体41Lbにより構成される線条角部導体41Lcを構成する。
【0055】
ここで、接地導体41と給電導体42とは、銀ペースト等の、導電性金属を含有するペーストをガラス板20の車内側表面(又は車外側表面)にプリントし、焼き付けて形成されている金属膜である。なお、この形成方法に限定されず、銅等の導電性物質からなる、線状体又は箔状体を、窓ガラスの車内側表面又は車外側表面のどちらか一方の面に、窓ガラスに接着剤等により貼付して形成してもよく、窓ガラスが合わせガラスの場合にはその内部に設けてもよい。
【0056】
次に、
図1に基づき、伝送線路70について説明する。伝送線路70は、例えば、同軸ケーブルであり、一端がアンテナ40と接続され、他端が通信機器(不図示)と接続される。伝送線路70の内部導体である信号線71は、アンテナ40の給電導体42と接続点71aで接続する。具体的には、信号線71は、アンテナ40の給電部60のうち、給電導体側給電部と、接続点71aで接続する。信号線71は、接続点71aにおいて、給電導体42と、例えば、半田付けされることで接続される。
【0057】
なお、
図1では、アンテナ40は、アンテナ30の左側に配置されているが、アンテナ30とアンテナ40との位置が置き換わった構成でもよい。この場合、アンテナ30、アンテナ40及び伝送線路70は、
図1に示したアンテナ30、アンテナ40及び伝送線路70を左右方向に反転させた配置としてもよく、アンテナ30とアンテナ40との間の距離D
Aは、上記で説明した数値範囲を満足するとよい。
【0058】
伝送線路70の外部導体である接地線72は、アンテナ40の接地導体41と接地点72aで接続する。接地線72は、接地点72aにおいて、接地導体41と、例えば、半田付けされることで接続される。具体的には、接地線72は、アンテナ40の給電部60のうち、接地導体側給電部と、接地点72aで接続する。接地線72は、アンテナ40と、通信機器(不図示)との間において、接地点72bで金属ボディ10と接続する。金属ボディ10は、車両用アンテナ装置100が配置される車両のアース電位部として機能する。そのため、接地線72は、第1接地点である接地点72aにおいて接地導体41と接続し、第2接地点である接地点72bにおいて、車両のアース電位部として機能する金属ボディ10と接続する。換言すると、接地線72は、接地点72bを中点アースとして、当該中点アースを介して、車両のアース電位部として機能する金属ボディ10と接続する。
【0059】
伝送線路70は、アンテナ40の接続部である、接地点72aを起点として、アンテナ30から離れるように延伸する部分を含む。また、伝送線路70は、アンテナ40の接続部である、接地点72aを起点として、アース電位部である金属ボディ10への接続点である接地点72bまで、アンテナ30から離れるように延伸してもよい。換言すると、伝送線路70は、接地点72aから接地点72bまで、接地点72aから接地点72bまでの最短距離よりも長い距離となるように、接地点72aと、接地点72bとを接続してもよい。
【0060】
中点アースとして機能する接地点72bは、接地点72aから伝送線路70に沿って接地点72bに至るまでの距離DGが、例えば、400mm以下となる位置に設けられる。接地点72bの位置は、距離DGと、アンテナ40の給電部60の位置を起点として、接地導体41の最も遠い位置までの距離Lと、アンテナ30が受信する周波数帯の空気中の波長λと、誘電体であるガラス板20の波長短縮率kとの関係で決定される。
【0061】
ここで、接地点72bの位置について説明する前に、
図3を用いて、距離D
G及び距離Lについて説明する。
図3は、距離D
G及び距離Lについて説明するため、伝送線路70とアンテナ40との拡大図である。
【0062】
距離DGは、接地点72aと、接地点72bとの間の伝送線路70に沿った距離であり、点線の矢印の長さと等しい距離である。距離Lは、アンテナ40の給電部60の接地導体41側の位置である接地点72aと、接地導体41上の位置であり、かつ接地点72aから最も遠い位置である点415までの距離である。距離Lは、接地点72aから点415までの最短距離であり、一点鎖線の矢印の長さと等しい距離である。具体的には、距離Lは、接地点72aのY軸負方向に位置する点412と、線条角部導体41Lcの両端の点である点413及び点414と、点415とを結んだ線の長さと等しい距離である。
【0063】
中点アースとして機能する接地点72bの位置は、距離D
Gと、距離Lと、空気中の電波の波長λと、アンテナ40が取り付けられる誘電体の波長短縮率kと、が、以下に示す式(1)の関係を満たすように設けられる。なお、ガラス板20にアンテナ40が取り付けられる場合、kは、ガラス板20の波長短縮率を適用できる。
【数1】
ここで、Mは任意の正の整数(M≧1)である。なお、アンテナ30が受信する周波数帯は、広帯域を対象とする場合があるため、接地点72bの位置は、上記式(1)の波長λの代わりに、アンテナ30が受信する周波数帯の空気中の中心波長λ
0を用いて、“D
G+L/k”が取り得る範囲を決定してもよい。すなわち、以下に示す式(2)の関係を満たすように設けられてもよい。
【数2】
【0064】
次に、車両用アンテナ装置100における、アンテナ30及びアンテナ40のアイソレーションについて説明する。アンテナ30及びアンテナ40のアイソレーションは、アンテナ30と、アンテナ40との結合度を表す指標値であり、アンテナ40が、アンテナ30から受ける干渉の度合いを示す指標値とも言える。なお、以降の説明では、記載を簡略化するために、アンテナ30及びアンテナ40のアイソレーションを単に「アイソレーション」として記載する。
【0065】
車両用アンテナ装置100におけるアイソレーションを評価するため、中点アースが設けられた車両用アンテナ装置100と、車両用アンテナ装置100に対して、中点アースが設けられていない構成とのアイソレーションを比較して説明する。なお、以降の説明において、車両用アンテナ装置100に対して、中点アースとして機能する接地点72bが設けられていない構成を「デフォルト構成」と称する。
【0066】
車両用アンテナ装置100と、デフォルト構成とのアイソレーションの比較を行うため、アンテナ30が受信する電波の周波数を、DABのBand III及び地上デジタルテレビ放送波の周波数帯の各周波数とし、アイソレーションの値をシミュレーションで算出し、評価を行った。なお、DAB Band IIIは、174MHzから240MHzまでの周波数帯であり、地上デジタルテレビ放送波は470MHzから710MHzまでの周波数帯である。
【0067】
アイソレーションの値を算出するため、車両用アンテナ装置100において、アンテナ30及びアンテナ40と、金属ボディ10の端部10aとの距離は、10mmに設定し、アンテナ30と、アンテナ40との距離DAは、50mmに設定した。また、距離Lは、60mmに設定し、ガラス板20の波長短縮率kは、0.66に設定した。
【0068】
まず、
図4について説明する。
図4は、DAB Band IIIの周波数帯における、車両用アンテナ装置100のアイソレーションの値(実施例)、及びデフォルト構成のアイソレーションの値(比較例)を示す図である。
図4には、実施例として、距離D
Gを300mmとして設定した実施例と、距離D
Gを350mmとして設定した実施例とを図示している。
【0069】
上記条件において、DAB Band IIIの周波数帯における空気中の中心波長λ0は、λ0≒1448mmである。したがって、DG=300mmの条件下で、“DG+L/k”(≒391mm)は、式(2)において、M=1として、(λ0/4-λ0/16)~(λ0/4+λ0/16)の範囲を満足する。また、DG=350mmの条件下においても、“DG+L/k”(≒441mm)は、式(2)において、M=1として、(λ0/4-λ0/16)~(λ0/4+λ0/16)の範囲を満足する。
【0070】
図4において、横軸は周波数、縦軸はアイソレーションの値を示す。アイソレーションの値は、低い程、アンテナ30とアンテナ40との相互干渉が小さいことを表している。換言すると、アイソレーションの値は、低い程、アンテナ40が、アンテナ30からの干渉が小さく、アンテナ30の受信感度が向上できることを表している。
【0071】
図4において、点線、実線、一点鎖線は、それぞれ、デフォルト構成のアイソレーションの値、距離D
Gを300mmとして設定した構成のアイソレーションの値、距離D
Gを350mmとして設定した構成のアイソレーションの値を示している。
図4に示すように、DAB Band IIIの周波数帯である174MHz~240MHzにおいて、各周波数における実線及び一点鎖線のアイソレーションの値は、点線のアイソレーションの値よりも低くなった。すなわち、DAB Band IIIの周波数帯のいずれの周波数においても、車両用アンテナ装置100は、式(1)及び式(2)の関係を満たす位置に中点アースを設けることで、アンテナ30がアンテナ40から受ける干渉を低減できる。したがって、車両用アンテナ装置100は、式(1)及び式(2)の関係を満たす位置に中点アースを設けることで、アンテナ30とアンテナ40との干渉を低減できるため、アンテナ30をアンテナ40の近傍に配置できる。
【0072】
次に、
図5について説明する。
図5は、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯における、車両用アンテナ装置100のアイソレーションの値と、デフォルト構成のアイソレーションの値とを比較するための図である。
図5では、実施例として、距離D
Gを200mmとして設定した実施例を図示している。なお、このときのアンテナ40は、
図4のシミュレーションを実施したときと同じ形状とし、距離D
Gをのみ変化させた。
【0073】
上記条件において、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯における空気中の波長λは、約422mm~約638mmの範囲である。したがって、DG=200mmの条件下で、“DG+L/k”(≒291mm)は、式(1)において、M=2、λ≒470mmとして、(λ/4-λ/16)×3~(λ/4+λ/16)×3の範囲を満足する。
【0074】
図5においても、横軸は周波数、縦軸はアイソレーションの値を示す。点線、実線は、それぞれ、デフォルト構成のアイソレーションの値、距離D
Gを200mmとして設定した構成のアイソレーションの値を示している。
図5に示すように、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯である470MHz~710MHzのうち、470MHz~530MHz、及び615MHz~660MHzにおいて、実線のアイソレーションの値が、点線のアイソレーションの値よりも小さくなった。すなわち、470MHz~530MHz、及び615MHz~660MHzにおいて、車両用アンテナ装置100は、式(1)の関係を満たす位置に中点アースを設けることで、アンテナ30がアンテナ40から受ける干渉を低減できる。したがって、車両用アンテナ装置100は、470MHz~530MHz、及び615MHz~660MHzにおいて、アンテナ30とアンテナ40との干渉を低減できるため、アンテナ30をアンテナ40の近傍に配置できる。
【0075】
以上説明したように、車両用アンテナ装置100は、式(1)の関係を満たす位置に中点アースを設けることで、中点アースを設けない構成よりも、アンテナ30と、アンテナ40とを近傍に配置しても互いに与える干渉を低減できる。また、車両用アンテナ装置100は、中点アースを設けることにより、アンテナ30と、アンテナ40とが互いに与える干渉を低減できるため、アンテナ30と、アンテナ40との間に、ノイズを除去する構成を設ける必要がなく、省スペース化が可能となる。したがって、実施の形態にかかる車両用アンテナ装置100によれば、放送波アンテナと、放送波よりも高周波帯の信号を取り扱う機器とを近傍に配置したときに互いの干渉を低減でき、省スペース化が可能となる。すなわち、実施の形態にかかる車両用アンテナ装置100によれば、アンテナ間の干渉を低減でき、省スペース化が可能となる。
【0076】
(変形例)
上述した実施の形態では、車両用アンテナ装置100が配置される車両の一部を構成する誘電体の一例として、ガラス板20を用いて説明したが、上述のように誘電体は、樹脂を含む構成でもよい。樹脂は、例えば、車両用アンテナ装置100が配置される車両のスポイラー等のエアロパーツを含み得る。誘電体が、樹脂である場合、アンテナ30及び40のうち、少なくとも一方は、直接的に樹脂に固定されてもよい。換言すると、アンテナ30及び40のうち、少なくとも一方は、物理的に樹脂に固定されてもよい。もしくは、誘電体が、樹脂である場合、アンテナ30及び40のうち、少なくとも一方は、例えば、筐体を介して、間接的に樹脂に固定されてもよい。換言すると、アンテナ30及び40のうち、少なくとも一方は、物理的に樹脂に接続せず、例えば、筐体等を介して間接的に固定されてもよい。上述した実施の形態において、誘電体が、樹脂を含む構成としても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、実施の形態にかかる車両用アンテナ装置100において、誘電体であるガラス板20を樹脂に置き換えても、アンテナ間の干渉を低減でき、省スペース化が可能となる。
【0077】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
100 車両用アンテナ装置
10 金属ボディ
10a 端部
20 ガラス板
30、40 アンテナ
31、60 給電部
32 アース部
33、34 線条エレメント
41 接地導体
41L、41La、41Lb 線条接地導体
41Lc 線条角部導体
42 給電導体
43 金属膜
50 切り抜き部
51 第1スロット
51a 第1スロットの一端
51b 第1スロットの他端
52 第2スロット
53 第1接続スロット
53c 幅変更部
54 第1幅広スロット
54d 第1幅広スロットの開口部
55 第2幅広スロット
55f 第2幅広スロットの開口部
70 伝送線路
71 信号線
71a 接続点
72 接地線
72a、72b 接地点