(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110364
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ノズル保持ユニット
(51)【国際特許分類】
B65D 25/40 20060101AFI20220722BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B65D25/40
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005724
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】廣内 大資
【テーマコード(参考)】
3E062
4F042
【Fターム(参考)】
3E062AA05
3E062AB04
3E062AC03
3E062BB06
3E062BB10
3E062KA07
3E062KB02
3E062KB17
3E062KC01
3E062KC07
4F042CA03
4F042CA04
(57)【要約】
【課題】容器の外部への液体の飛散を防止できる。
【解決手段】内部に液体が充填され上部に開口部を備える容器の該開口部で使用可能なノズル保持ユニットであって、上下に貫通した送液路を備え容器の開口部を覆うキャップ部を含み、該キャップ部には、該送液路の下方にノズルを固定できる固定機構と、該固定機構による該ノズルの固定を解除して該送液路から該ノズルを分離できる操作部と、が設けられている。好ましくは、キャップ部は、該操作部が操作されることで該送液路の下端に固定された該ノズルを押し該送液路から該ノズルを分離させる押し出し部をさらに備える。さらに好ましくは、該固定機構は、該ノズルの外周面に設けられた係止部に掛けられ該ノズルの該送液路からの分離を防止する爪部を有し、該爪部は、該操作部が操作されることで該係止部から外れる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体が充填され上部に開口部を備える容器の該開口部で使用可能なノズル保持ユニットであって、
上下に貫通した送液路を備え容器の開口部を覆うキャップ部を含み、
該キャップ部には、該送液路の下方にノズルを固定できる固定機構と、該固定機構による該ノズルの固定を解除して該送液路から該ノズルを分離できる操作部と、が設けられていることを特徴とするノズル保持ユニット。
【請求項2】
該キャップ部は、該操作部が操作されることで該送液路の下端に固定された該ノズルを押し該送液路から該ノズルを分離させる押し出し部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のノズル保持ユニット。
【請求項3】
該固定機構は、該ノズルの外周面に設けられた係止部に掛けられ該ノズルの該送液路からの分離を防止する爪部を有し、
該爪部は、該操作部が操作されることで該係止部から外れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のノズル保持ユニット。
【請求項4】
該送液路の下端は該ノズルの内径に対応した外径の軸部で構成されており、該ノズルが該送液路に固定される際に該軸部が該ノズルに嵌め入れられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のノズル保持ユニット。
【請求項5】
該送液路の下端には該ノズルの外径に対応した内径の挿入口が形成されており、該ノズルが該送液路に固定される際に該挿入口に該ノズルが挿入されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のノズル保持ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する容器に挿し入れられ該液体を該容器から出すための経路となるノズルを保持するノズル保持ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、アルコールや酸性溶液、塩基性溶液をはじめとする様々な種類の薬液や、樹脂膜を形成するための液状の材料等が広く用いられている(特許文献1参照)。また、加工食品の製造工程では、消毒薬等の薬液や、調味料に代表される液状の材料等が広く用いられている。これらの液体は、例えば、一斗缶(18リットル缶)と呼ばれる容器やピール缶と呼ばれる容器に収容された状態で搬送されることが多い。
【0003】
液体が収容される容器の上部には、液体を取り出す際や収容する際に該液体の経路となる開口部が設けられており、容器が運搬される際にはこの開口部がキャップで塞がれる。容器から液体を取り出す際には、キャップが開口部から外され、開口部を通して容器の内部にストロー状のノズルが挿し込まれる。例えば、ノズルの上端には装置に達する送液チューブが接続されており、該装置等はノズルを通して液体を容器の外部に吸い出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容器に収容されていた液体がすべて吸い出されて該容器が空になった後、古い容器を撤去して液体を収容する新しい容器に交換する必要がある。このとき、古い容器中で液体に浸っていたノズルが古い容器の開口部から取り出される。そして、ノズルは次の容器の開口部から該容器の内部に挿し入れられる。このとき、内外に液体が付着した該ノズルが容器の外部に露出し、この液体が外部に飛散する。
【0006】
液体が外部に飛散すると、容器の外面や周囲の環境が汚れる。例えば、該液体が固化する樹脂材料である場合、該液体が飛散すると容器の外面や床に樹脂が固着することになる。また、容器に収容されていた液体が酸性溶液である場合、飛散物により周囲の装置等が劣化する場合や、容器を運搬する作業者の手に触れて該作業者が負傷することも考えられる。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容器の外部への液体の飛散を防止できるノズル保持ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、内部に液体が充填され上部に開口部を備える容器の該開口部で使用可能なノズル保持ユニットであって、上下に貫通した送液路を備え容器の開口部を覆うキャップ部を含み、該キャップ部には、該送液路の下方にノズルを固定できる固定機構と、該固定機構による該ノズルの固定を解除して該送液路から該ノズルを分離できる操作部と、が設けられていることを特徴とするノズル保持ユニットが提供される。
【0009】
好ましくは、該キャップ部は、該操作部が操作されることで該送液路の下端に固定された該ノズルを押し該送液路から該ノズルを分離させる押し出し部をさらに備える。
【0010】
また、好ましくは、該固定機構は、該ノズルの外周面に設けられた係止部に掛けられ該ノズルの該送液路からの分離を防止する爪部を有し、該爪部は、該操作部が操作されることで該係止部から外れる。
【0011】
さらに、好ましくは、該送液路の下端は該ノズルの内径に対応した外径の軸部で構成されており、該ノズルが該送液路に固定される際に該軸部が該ノズルに嵌め入れられる。
【0012】
また、好ましくは、該送液路の下端には該ノズルの外径に対応した内径の挿入口が形成されており、該ノズルが該送液路に固定される際に該挿入口に該ノズルが挿入される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係るノズル保持ユニットは、上下に貫通した送液路を備え容器の開口部を覆うキャップ部を含む。キャップ部には、送液路の下方にノズルを固定できる固定機構と、該固定機構による該ノズルの固定を解除して該送液路から該ノズルを分離できる操作部と、が設けられている。すなわち、該ノズル保持ユニットでは、ノズルが着脱可能であり、作業者は操作部を操作することでノズルの固定を解除できる。そのため、ノズルに触れずに該ノズルをノズル保持ユニットから取り外せる。
【0014】
例えば、容器から液体を吸い出す際には、ノズルをノズル保持ユニットに接続してこのノズルを容器の開口部から内部に挿し入れる。そして、容器を交換する際には、ノズル保持ユニットの操作部を操作してノズルの固定を解除して該ノズルを容器の内部に落とす。そして、次の容器を準備し、ノズル保持ユニットに新しいノズルを接続してこのノズルを新しい容器の開口部から内部に挿し入れる。この場合、液体が付着したノズルが容器の外部に露出することがなく、液体が容器の周囲に飛散することがない。
【0015】
したがって、本発明の一態様により、容器の外部への液体の飛散を防止できるノズル保持ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ノズル保持ユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図2】ノズル保持ユニットの各構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図3】ノズルと、送液チューブと、が接続されたノズル保持ユニットを模式的に示す断面図である。
【
図4】ノズルの固定が解除される際のノズル保持ユニットを模式的に示す断面図である。
【
図5】ノズル保持ユニットに固定されたノズルが容器の開口部に挿し入れられる様子を模式的に示す斜視図である。
【
図6】容器の開口部に固定されたノズル保持ユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7(A)は、変形例に係るノズル保持ユニットを模式的に示す斜視図であり、
図7(B)は、ノズルが固定された該ノズル保持ユニットを模式的に示す斜視図であり、
図7(C)は、該ノズル保持ユニットからノズルを分離させる様子を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8(A)は、変形例に係るノズル保持ユニットを模式的に示す部分断面図であり、
図8(B)は、ノズルが固定された該ノズル保持ユニットを模式的に示す部分断面図であり、
図8(C)は、該ノズル保持ユニットからノズルを分離させる様子を模式的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。
図5及び
図6には、本実施形態に係るノズル保持ユニット2が接続される容器1を模式的に示す斜視図が含まれている。容器1は、各種の液体の保存や運搬に利用される。容器1は、内部に液体の収容空間が設けられ、液体が充填される。容器1の形状に特に限定はない。上面または側面に作業員が持つ持ち手(不図示)が設けられてもよく、収容された液体に関する情報が記載されたラベルが外面に貼付されてもよい。
【0018】
容器1の上部には、液体を取り出す際や収容する際に該液体の経路となる開口部3が設けられており、容器1が運搬される際にはこの開口部3が図示しないキャップで塞がれる。容器1から液体を取り出す際には、キャップが開口部3から外され、液体を吸い出すためのノズルが挿し入れられる。
【0019】
容器1に収容されていた液体がすべて吸い出されて容器1が空になった後、容器1を交換する必要がある。従来、古い容器1中で液体に浸っていたノズルが開口部3から取り出される。そして、ノズルは次の容器1の開口部3から内部に挿し入れられていた。このとき、内外に液体が付着したノズルが容器1の外部に露出し、この液体が容器1の外部に飛散して周囲を汚していた。
【0020】
これに対して、本実施形態に係るノズル保持ユニット2は、容器1中で液体に浸っていたノズルの外部への露出を不要とする。すなわち、ノズル保持ユニット2は、ノズルの着脱が可能であり、容器1を交換する際にノズルを分離して容器1中に落とす。そして、新しいノズルをノズル保持ユニット2で保持し、新しい容器1の内部に該ノズルを挿し入れる。つまり、ノズルの使い捨てを可能とすることで使用済みのノズルの露出を不要とする。以下、本実施形態に係るノズル保持ユニット2について説明する。
【0021】
図1は、ノズル保持ユニット2を模式的に示す斜視図であり、
図2は、分解されたノズル保持ユニット2の各構成要素を模式的に示す分解斜視図であり、
図3及び
図4は、ノズル保持ユニット2を模式的に示す断面図である。ノズル保持ユニット2は、例えば、耐薬品性の樹脂材料により構成される。ただし、ノズル保持ユニット2の材料はこれに限定されない。
【0022】
ノズル保持ユニット2は、容器1の開口部3を覆うことのできるキャップ部14を含む。キャップ部14は、例えば、開口部3の径よりも大きくノズル保持ユニット2の容器1への落下を防止する板部16と、板部16の中央上方に突出した突出部20と、を含む。そして、キャップ部14には、板部16及び突出部20を上下に貫通した送液路30(
図2等参照)が設けられている。容器1に収容された液体は、この送液路30を通じて外部に吸い出される。
【0023】
キャップ部14は、容器1の開口部3に固定可能でもよい。例えば、容器1の開口部3が円筒状の突出部で形成されている場合、この突出部の外径に対応する内径を有する凹部が板部16の下面に設けられるとよい。そして、板部16の該凹部の側壁には、板部16の内外に貫通する貫通ネジ穴18が設けられるとよい。この場合、容器1の開口部3を構成する突出部を板部16の凹部に収容させ、貫通ネジ穴18を通して外部から該突出部に固定ネジを締め込むことでノズル保持ユニット2を容器1に固定できる。
【0024】
または、開口部3を構成する突出部の外周にキャップを締め込むためのネジ山が形成されている場合、板部16の下面の凹部の内壁にもネジ山が設けられてもよい。この場合、キャップ部14の板部16を容器1の開口部3を構成する突出部に締め込むことでノズル保持ユニット2を容器1に固定できる。ただし、ノズル保持ユニット2はこれに限定されず、容器1に固定されなくてもよい。
【0025】
キャップ部14には、送液路30の下端にノズル7を固定できる固定機構と、該固定機構による該ノズル7の固定を解除して送液路30からノズル7を分離できる操作部と、が設けられている。次に、該固定機構及び該操作部について説明する。例えば、キャップ部14の板部16の上面に設けられた突出部20には、該固定機構及び該操作部が接続される。
【0026】
円筒状の突出部20の下部には、送液路30を挟んで互いに向き合う一対の貫通孔24が設けられている。
図1及び
図2には、一対の貫通孔24の一方が現れている。この貫通孔24は固定機構を構成する後述の爪部36の進入口となる。突出部20の外面の貫通孔24の上部には、突出部20の径方向外向きに沿った板状の一対の軸固定部26が設けられている。それぞれの軸固定部26には、後述の軸28a(
図3及び
図4参照)が通される軸挿通孔28(
図2参照)が設けられている。
【0027】
キャップ部14の送液路30には、円筒状の押し出し部4が上方から挿入される。円筒状の押し出し部4の外径は、キャップ部14の送液路30の内径に対応した大きさとされる。また、押し出し部4は、上下に貫通した貫通孔6を内部に備え、この貫通孔6の径は、ノズル保持ユニット2に上方から接続される送液チューブ9(
図3乃至
図6参照)の外径に対応した大きさとされる。
【0028】
押し出し部4の外周面8の上端部には、径方向外向きに沿った一対の板状の軸固定部10が設けられており、貫通孔6を挟んで一対の該軸固定部10の反対側にもう一対の板状の軸固定部10が設けられている。それぞれの軸固定部10には、後述の軸12aが通される軸挿通孔12が設けられている。
【0029】
キャップ部14の送液路30に上方から挿入される押し出し部4の外周面8の外側には、コイルばね32が設けられる。押し出し部4が送液路30に上方から挿入されたとき、コイルばね32の下端がキャップ部14の突出部20の上面22に接触するとともに、コイルばね32の上端が押し出し部4の軸固定部10の下面に接触する。すなわち、コイルばね32が上下から挟まれるとともに、押し出し部4がコイルばね32を介してキャップ部14の突出部20に支持される。
【0030】
キャップ部14の突出部20の上部と、押し出し部4の上部と、には、一対の操作部34が接続される。それぞれの操作部34は屈曲したレバー42を有し、レバー42の最下端には、突出部20の径方向内向きに突出した爪部36が設けられている。また、レバー42の下方の爪部36よりも上方に、突出部20の径方向内向きに突出した支持構造38が設けられている。支持構造38の先端には、該支持構造38を左右方向に貫く軸挿通孔40(
図2参照)が設けられている。
【0031】
操作部34をキャップ部14の突出部20に接続する際には、突出部20の一対の軸固定部26の間にレバー42の支持構造38を挿し入れ、支持構造38の軸挿通孔40の位置と、軸固定部26の軸挿通孔28の位置と、を合わせる。その後、軸挿通孔40及び軸挿通孔28に軸28aを突き通す。すると、レバー42は、軸28aを中心に回転可能にキャップ部14に固定される。軸28aを中心にレバー42を回転させると、爪部36が貫通孔24に挿入され、または、爪部36が貫通孔24から抜き出る。
【0032】
また、レバー42の上方には、キャップ部14の径方向に沿って貫通する挿入孔46が設けられている。この挿入孔46には、棒状の支持構造48の基端に設けられた挿入部50が挿入される。支持構造48は、キャップ部14の径方向に垂直な方向に沿った軸44によりレバー42に回転可能に固定される。支持構造48の先端側には、軸44と平行な軸挿通孔52(
図2参照)が設けられている。
【0033】
支持構造48の先端部は、押し出し部4の外周面8の上端に設けられた一対の軸固定部10の間に挿し入れられる。このとき、軸固定部10の軸挿通孔12と、支持構造48の軸挿通孔52と、の位置が合わせられる。その後、軸挿通孔12及び軸挿通孔52に軸12aを突き通す。すると、支持構造48は、軸12aを中心に回転可能に押し出し部4に固定される。
【0034】
作業者は、一対の操作部34のレバー42のそれぞれの上端が互いに近づくように一対のレバー42を握ることができる。すると、それぞれのレバー42が軸28aを中心に回転し、貫通孔24に挿入されていたレバー42の爪部36が外側に抜かれるとともに、支持構造48が押し出し部4を上方から押し下げる。
【0035】
そして、作業者がレバー42を解放すると、コイルばね32の復元力により押し出し部4に上方に向いた力がかかり、支持構造48の先端部が押し上げられ、レバー42の上部が径方向外側に開かれる。そして、爪部36がキャップ部14の突出部20の貫通孔24に挿入される。
【0036】
図3及び
図4には、ノズル保持ユニット2の断面図と、ノズル7の側面図と、送液チューブ9の側面図と、が模式的に示されている。送液チューブ9は、予め押し出し部4の内部空間に上方から挿し入れられ固定されている。ノズル保持ユニット2に保持される円筒状のノズル7の外周面の上部には、溝状の係止部11が設けられる。
【0037】
ノズル7をノズル保持ユニット2に保持させる際には、キャップ部14の板部16の下方から送液路30の下端の挿入口58にノズル7の上端部を挿し入れる。挿入口58の内径は、ノズル7の外径に対応している。送液路30の内部には、レバー42の下端に設けられた爪部36の先端が貫通孔24を通して突き出ているため、ノズル7を挿入口58に挿し入れるとノズル7の上端部が爪部36に当たる。
【0038】
爪部36の先端下面にはテーパー面が設けられるとよく、このテーパー面にノズル7の上端が当たると爪部36が径方向外向きに押し出される。爪部36が径方向外側に押し出されていると、コイルばね32の作用により爪部36を径方向内側に戻す力が働く。
【0039】
そして、ノズル7の上端部が送液路30中を上方に進行してノズル7の係止部11の高さが爪部36の高さと一致すると、爪部36の先端がノズル7の係止部11に進入する。その後、ノズル7を下方に引きだそうとしても、ノズル7の上端部の係止部11が爪部36に引っかかるため、ノズル7を引き抜けなくなる。すなわち、ノズル7がノズル保持ユニット2に固定され、送液路30からのノズル7の分離が防止される。
【0040】
ノズル7をノズル保持ユニット2から分離させる際、作業者は、操作部34を操作する。
図4は、ノズル7をノズル保持ユニット2から分離させる様子を模式的に示す断面図である。
【0041】
作業者は、一対の操作部34のレバー42の上端を握り、レバー42の上端を径方向内側に移動させる。すると、上述のように爪部36が径方向外向きに移動し、ノズル7の上端部が爪部36に引っかからなくなる上、支持構造48を通じて下方に向いた力が押し出し部4に印加される。すると、コイルばね32の弾性力に逆らって押し出し部4が下方に移動し、送液路30中でノズル7が押し出し部4により上方から押し下げられる。
【0042】
すなわち、作業者が一対の操作部34のレバー42の上端を握ると、爪部36が係止部11から外れノズル7の固定が解除されるとともにノズル7が上方から押し下げされ、ノズル7が落下してノズル保持ユニット2から分離される。
【0043】
小括すると、キャップ部14には、送液路30の下方にノズル7を固定できる固定機構と、該固定機構によるノズル7の固定を解除して送液路30からノズル7を分離できる操作部34と、が設けられる。例えば、固定機構は、爪部36等で構成される。本実施形態に係るノズル保持ユニット2では、ノズル7を自在に着脱できる。
【0044】
図5及び
図6は、ノズル保持ユニット2の使用形態を模式的に示す斜視図である。容器1に収容された液体を吸い出す際には、ノズル保持ユニット2にノズル7を装着し、このノズル7を開口部3から容器1の内部に挿し入れる。このとき、
図6に示すとおり、固定ネジを貫通ネジ穴18に通し、例えば、六角棒スパナ等の締め付け工具13を使用して該固定ネジを締めることで開口部3にキャップ部14に固定してもよい。
【0045】
その後、送液チューブ9と、送液路30と、ノズル7と、を通じて容器1に収容された液体を吸い上げ、該液体を所定の用途に使用する。容器1に収容されていた液体が消費され容器1が空になったとき、作業者は、操作部34のレバー42の上端を握り、ノズル7の固定を解除してノズル7を容器1中に落とす。そして、キャップ部14を開口部3から取り外す。
【0046】
使用済みのノズル7は、容器1とともに回収・廃棄される。その後、新しい容器1に収容された液体を吸い出す際には、ノズル保持ユニット2に新しいノズル7を装着して該ノズル7を新しい容器1に挿し入れる。この場合、容器1の内部で液体に浸った古いノズル7が外部に露出することがない。そのため、液体が容器1の外部に飛散することはなく、容器1が設置される環境が該液体で汚染されることもない。
【0047】
なお、ノズル7の長さは、容器1の底部に液体が残らないように容器1の深さに対応する長さとされることが好ましい。逆に言うと、本実施形態に係るノズル保持ユニット2ではノズル7が着脱可能であるため、容器1の規格変更等のために内部の収容空間の深さが変化する場合にも極めて容易にノズル7の長さを変更できる。
【0048】
なお、ノズル7の固定機構と、固定機構によるノズル7の固定を解除できる操作部と、を含む本実施形態に係るノズル保持ユニット2の構成はこれに限定されない。次に、変形例に係るノズル保持ユニットについて説明する。
図7(A)、
図7(B)、及び
図7(C)には、変形例に係るノズル保持ユニット72を模式的に示す斜視図が含まれている。また、
図8(A)、
図8(B)、及び
図8(C)には、変形例に係るノズル保持ユニット72を模式的に示す断面図が含まれている。
【0049】
変形例に係るノズル保持ユニット72は、容器1の開口部3に載る円柱状のキャップ部74を備える。キャップ部74の上部には、次に説明する押し出し部76の操作部76aが進入できる凹部80が形成されている。キャップ部74の凹部80の底面の中央には上下に貫通する貫通孔86(
図8(A)等参照)が設けられており、この貫通孔86にパイプ状の送液路78が通されている。送液路78の上端には、送液チューブ9(
図5等参照)が接続される。
【0050】
押し出し部76は、欠けた円筒状の操作部76aと、キャップ部74の貫通孔86の内部で送液路78に対してスライド可能な円筒状のスライド部82と、から構成される。このスライド部82の外径は、キャップ部74の貫通孔86の内径に対応している。また、スライド部82の外にはコイルばね84が巻回されており、コイルばね84の下端はキャップ部74の凹部80の底面に接触しており、コイルばね84の上端は操作部76aの下端に接触している。
【0051】
また、キャップ部74は、
図7(A)等で示す通り送液路78に接続されている。そして、作業者がキャップ部74を持ちながら押し出し部76の操作部76aを下方に押し込むと、スライド部82が送液路78に沿って下方に移動する。そして、作業者が操作部76aを離すと、コイルばね84の作用により操作部76aが上方に持ち上げられ、スライド部82が元の位置に戻る。
【0052】
送液路78の下端は、キャップ部74の下方に突出している。送液路78の該下端はノズル7の内部15の径に対応した外径の軸部で構成されており、ノズル7が送液路78に固定される際に該軸部が該ノズル7の内部15に嵌め入れられる。
図7(B)及び
図8(B)には、送液路78の下端に嵌め入れられたノズル7が模式的に示されている。そして、ノズル7を開口部3から容器1に挿し入れると、ノズル7と、送液路78と、送液チューブ9と、を通じて容器1に収容された液体を吸い上げられる。
【0053】
容器1が空になったとき、
図7(C)及び
図8(C)に示す通り、押し出し部76の操作部76aをキャップ部74の凹部80に押し込むと、スライド部82が送液路78に沿って移動してノズル7が上方から押される。そして、送液路78の下端からノズル7が外れて容器1の内部に落下する。
【0054】
すなわち、変形例に係るノズル保持ユニット72においても、作業者が直接ノズル7に触れることなくノズル7を取り外せる。そして、容器1に収容されていた液体に浸ったノズル7を容器1に落とせるため、ノズル7に付着した液体が外部に飛散することがない。なお、この変形例に係るノズル保持ユニット72においては、固定機構は、送液路78の外径がノズル7の内部15の径に対応しており、送液路78の下端をノズル7に嵌め入れられるとの構成により実現される。
【0055】
ノズル7の固定機構と、固定機構によるノズル7の固定を解除できる操作部と、を含む本実施形態に係るノズル保持ユニット2,72は、さらに他の構成により実現されてもよい。例えば、固定機構は、ノズル7を外側から挟持することで該ノズル7を固定できてもよく、操作部は、該固定機構によるノズル7の挟持を解除することで該固定機構によるノズル7の固定を解除できてもよい。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、ノズル保持ユニット2からノズル7を分離させる際に、固定機構を構成する爪部36をノズル7から外して固定を解除する上、押し出し部4でノズル7を上方から押すことについて説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。
【0057】
例えば、
図1等に示す本発明の一態様に係るノズル保持ユニット2では、ノズル7を押し出し部4で押すことなくノズル7の固定機構を操作部で解除するだけでノズル7が落下してもよい。すなわち、ノズル保持ユニット2は、押し出し部4を備えなくてもよい。
【0058】
また、本発明の一態様に係るノズル保持ユニット2,72は、ノズル7を分離させた際に送液チューブ9の内部に残留する液体が落下するのを防止する図示しない逆止弁構造を備えてもよい。この場合、容器1を交換する間の液体の外部への飛散がより抑制される。
【0059】
例えば、
図3等に示すノズル保持ユニット2は、送液路30を液体が上昇する際に開いて該液体を通し、送液路30を液体が下降しようとする際に閉じて該液体の下降を防止する図示しない逆止弁を備えてもよい。該逆止弁は、例えば、送液路30の内部に設けられる。または、押し出し部4の貫通孔6の内部に設けられる。
【0060】
また、
図8(A)等に示すノズル保持ユニット72は、送液路78を液体が上昇する際に開いて該液体を通し、送液路78を液体が下降しようとする際に閉じて該液体の下降を防止する図示しない逆止弁を備えてもよい。該逆止弁は、例えば、送液路78の内部に設けられる。または、キャップ部74の貫通孔86の内部に設けられる。ただし、逆止弁の設置位置は、これらに限定されない。
【0061】
さらに、
図7(A)乃至
図7(C)及び
図8(A)乃至
図8(C)に示す本発明の一態様に係るノズル保持ユニット72の送液路78の外周面の下端付近には、弾性部材で形成されたOリング(不図示)が設けられてもよい。この場合、ノズル7と、送液路78と、の間が密閉され、液体や負圧の漏れが抑制されて効率よく液体を容器1から吸い上げられる。
【0062】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0063】
1 容器
3 開口部
7 ノズル
9 送液チューブ
11 係止部
13 締め付け工具
15 内部
2,72 ノズル保持ユニット
4,76 押し出し部
6,24,86 貫通孔
8 外周面
10,26 軸固定部
12,28,40,52 軸挿通孔
12a,28a 軸
14,74 キャップ部
16 板部
18 貫通ネジ穴
20 突出部
22 上面
30,78 送液路
32,84 コイルばね
34,76a 操作部
36 爪部
38 支持構造
42 レバー
44 軸
46 挿入孔
48 支持構造
50 挿入部
58 挿入口
80 凹部
82 スライド部