(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110714
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】スリップフォーム工法を用いる構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
E01D 1/00 20060101AFI20220722BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20220722BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20220722BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20220722BHJP
E21D 5/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
E01D1/00 C
C04B28/02
C04B22/06 Z
E04G21/02
E21D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006293
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】吉本 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】新見 龍男
(72)【発明者】
【氏名】時政 右京
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘義
【テーマコード(参考)】
2D059
2E172
4G112
【Fターム(参考)】
2D059AA03
2D059BB37
2D059BB39
2D059GG01
2E172AA05
2E172AA09
2E172DE06
4G112PB03
(57)【要約】
【課題】 スリップフォーム工法において、気温が低いなどの理由によりコンクリートの強度発現に時間がかかり、そのため工期が遅延することを防ぐ。
【解決手段】 連続的に行われるコンクリートの打ち込み回数をn回とした際に、少なくとも1回目の打ち込みからn/3回目(端数は切り上げ)の打ち込みまでは、用いる生コンクリートとして、平均粒子径が0.05~1.0μmのCa(OH)
2を配合した生コンクリートを用いる。比較的短い時間で強度が出るため、予定通り型枠を滑動させやすくなる。さらに、2n/3回目(端数は切り下げ)以降の打ち込みは、Ca(OH)
2を配合していない生コンクリートを用いることにより、全ての層で配合したコンクリートを用いるよりも作業効率が良好である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリップフォーム工法を用いる構造物の製造において、
該工法において連続的に行われるコンクリートの打ち込み回数をn回とした際、
少なくとも1回目の打ち込みからn/3回目(端数は切り上げ)の打ち込みまでは、用いる生コンクリートとして、平均粒子径が0.05~1.0μmのCa(OH)2を配合した生コンクリートを用いることを特徴とする、スリップフォーム工法による構造物の製造方法。
【請求項2】
2n/3回目(端数は切り下げ)以降の打ち込みは、前記Ca(OH)2を配合していない生コンクリートを用いる請求項1記載のスリップフォーム工法による構造物の製造方法。
【請求項3】
生コンクリートが早強セメントを用いて調製されたものである請求項1または2記載のスリップフォーム工法による構造物の製造方法。
【請求項4】
スリップフォーム工法において連続的に行われるコンクリートの打ち込み回数をn回とした際、
少なくとも1回目の打ち込みからn/3回目(端数は切り上げ)の打ち込みまでは、用いる生コンクリートとして、平均粒子径が0.05~1.0μmのCa(OH)2を配合した生コンクリートを用いることを特徴とする、スリップフォーム工法の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリップフォーム工法を用いる各種建築物の製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
スリップフォーム工法は、型枠を滑動・上昇させながらコンクリートを打ち込み、躯体を構築する工法である。連続的にコンクリートの打ち込み(以下、「打設」ともいう)作業が可能となるため、ステップの型枠解体が不要であり、工期を短縮できる。スリップフォーム工法では一般的に1.5m程度の型枠が使用される。そのため、コンクリートの打設工程において型枠の滑動・上昇によって型枠から脱型される層が発生する。ただし、最初の打設から型枠の高さまでの打設においては、打設したコンクリートの全ての層は型枠によって拘束されていることとなる。そして、型枠に拘束されている間は特に大きな強度を必要としないため、各層のコンクリートを打設完了後、すぐ次に打設する層の高さまで型枠を滑動・上昇させることができ、続いてコンクリートの打設を実施することができる。
【0003】
一方、型枠の高さよりも打設高さが高くなる場合には、下方、即ち初期に打設を行った層から順に型枠から脱型される層が生じる。型枠から脱型される層は型枠による拘束を受けないため上載荷重に耐えられるだけの強度が必要となる。そのため、型枠から脱型される層の打ち込んだコンクリートが所定の強度に達したことを確認する必要があり、確認後に、次に打設する層の高さまで型枠を滑動・上昇させコンクリートの打設を行う。所定の強度は、構造物の設計などにより変動するが、一般的に0.07N/mm2~0.10N/mm2程度は必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-242455号公報
【特許文献2】特開平8-109053号公報
【特許文献3】特開2017-148983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的にコンクリートは養生温度が高いほど強度発現性が高くなる。そのため、気温が低い冬季には強度発現性が低く、所望の強度が発現するまでに必要な養生時間が長くなる。スリップフォーム工法は、打ち込んだ層のコンクリートが必要強度を満足した後に型枠を滑動・上昇させ、次のコンクリートを打ち込むという工程を繰り返す。従って、養生期間が長く必要になると各層毎での施工時間が長くなり、著しく施工工程を遅延させる。従って、スリップフォーム工法が通常の施工方法に比べて優位となる工期期間の面で優位性が失われる。
【0006】
コンクリートの強度発現性を高める方法としては、水セメント比を下げること、養生温度を高めること、および硬化促進剤を添加することが挙げられる。しかしながら、水セメント比を下げる方法では、初期の強度は目標値を得られたとしても長期の強度では目標値よりも過剰となる。また、水セメント比を下げることによりセメント量が増加し、粘性の高いコンクリートになりやすく施工が難しくなることや、コンクリートの発熱量の上昇により温度ひび割れが発生する可能性も考えられる。
【0007】
養生温度を高める方法では、一般的に保温材の取り付けや灯光器を焚くなどの方法が用いられているが、準備や設置、取り外しに時間を要する。特に、スリップフォーム工法では、型枠を滑動・上昇させながら打設を行うため各層での実施が必要となり一般的な施工に比べて手間である。
【0008】
硬化促進剤はコンクリート中に添加することでコンクリートの強度発現性を向上させることができるが、一般的にコンクリートの強度試験は材齢1日からの実施が多く、さらに凝結時間前の強度を確認することは少ないため、硬化促進剤がコンクリートの凝結時間前の強度発現性を向上させることができるかは定かではない。
【0009】
したがって本発明は、コンクリート性状に悪影響を与えることなく、打ち込んだコンクリートの始発時間前の強度発現性を向上させることにより、低温であっても養生時間が長くなることを防ぎ、冬季においてもスリップフォーム工法を遅延なく実施する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するべく鋭意研究を行った。その結果、コンクリートにCa(OH)2を添加することで、始発時間前のコンクリートの強度発現性を高められることを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
すなわち本発明は、スリップフォーム工法を用いる構造物の製造において、
該工法において連続的に行われるコンクリートの打ち込み回数をn回とした際、
少なくとも1回目の打ち込みからn/3回目(端数は切り上げ)の打ち込みまでは、用いる生コンクリートとして、平均粒子径が0.05~1.0μmのCa(OH)2を配合した生コンクリートを用いることを特徴とする、スリップフォーム工法による構造物の製造方法である。
【0012】
他の発明は、2n/3回目(端数は切り下げ)以降の打ち込みは、前記Ca(OH)2を配合していない生コンクリートを用いる請求項1記載のスリップフォーム工法による構造物の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定のCa(OH)2をコンクリートに配合することで、コンクリートが一般的に硬化を開始するとされる始発時間前の強度発現性を向上させることができる。そのため、コンクリートにCa(OH)2を配合することで始発時間前の強度発現性を向上させることができ、冬季においても工期を遅延させることなくスリップフォーム工法が実施できる。また、Ca(OH)2を配合する範囲を規定することによってより効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】スリップフォーム工法による連続打設の模式図である。
【
図2】連続打ち込み回数が10回のときの、Ca(OH)
2の配合の仕方を示す図。
【
図3】総打ち込み回数が30回のときの、Ca(OH)
2の配合の仕方を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明でコンクリートに配合するCa(OH)2は、平均粒径が0.05~1.0μmであることを特徴とする。
【0016】
当該平均粒径は、分散溶媒にエタノールを使用し、ホモジナイザーによって分散させた試料について、レーザー回折式粒度分析計(堀場製作所製LA-950)を使用して測定されたCa(OH)2の粒度分布の結果から算出されたメジアン径(50%径)の値である。
【0017】
上記Ca(OH)2の生コンクリートへの配合方法は特に限定されないが、生コン工場でコンクリートを製造する際に添加する方法が好適である。また、現場にてアジテータ車内に添加する方法も挙げられる。現場にてアジテータ車内に添加する場合、Ca(OH)2添加後に品質確認のためにスランプまたはスランプフローおよび空気量を測定する必要がある。
【0018】
Ca(OH)2を添加した生コンクリートをスリップフォーム工法に使用する場合、当該生コンクリートの製造に使用される材料は一般的にコンクリートを製造する際に使用される材料を用いることができ、施工工程においても特殊な機材を必要とせず一般的なスリップフォーム工法と同様な施工を実施することがでる。
【0019】
添加するCa(OH)2の形態は分散液(スラリー)または粉体のいずれでもよいが、本発明で添加するCa(OH)2は平均粒径が0.05~1.0μmと微細であるため粉体として投入する場合、空気中に舞い上手く投入できない可能性がある。従って、作業性の観点から、生コンクリートに添加するCa(OH)2の形態は、液体(特に水)へ分散したスラリーであることが望ましい。
【0020】
本発明において、上記Ca(OH)2の配合量は、用いるセメントの量を100質量%とし、これに対してCa(OH)2が0.9質量%~1.8質量%となるようにすることが好ましい。セメント量に対してCa(OH)2を0.9質量%以上とすることで低温環境(環境温度5℃)においてCa(OH)2を配合していないコンクリートに比べて所望の強度を得られるまでに必要となる養生時間が2時間以上早くなり、一方、Ca(OH)2を1.8質量%以下としておけば、凝結時間が急激に早まることはなく十分な作業時間を確保することが可能となる。
【0021】
本発明のスリップフォーム工法による構造物の製造方法において、Ca(OH)2を配合する層は、1回目の打ち込みから、少なくともn/3回目(端数は切り上げ)迄行うことが重要である。なぜならばn/3回目(端数は切り上げ)迄の層は1日の打設中に型枠の滑動・上昇によって脱型される可能性の高い層である。そのため、型枠による拘束から解放される層であり上載荷重に耐えられる強度が必要となるため、所望の強度に達したことを確認する必要があり、所望の強度に達していない場合には養生時間をさらにとる必要があるからである。
【0022】
図1にスリップフォーム工法の摸式図を示す。スリップフォーム工法は、コンクリートを打設しながら型枠を滑動し、上昇させながら実施する。打設したコンクリートが型枠から脱型されない場合、打設したコンクリートは型枠の拘束を受けているためさほど強度を必要としない。しかしながら、コンクリートの打設と型枠の滑動を進めていくと、打設を行った順に型枠から脱型される層が生じていく。その場合、型枠から脱型された層は、その層よりも上に存在する全層からの荷重に耐えるだけの強度が必要となり、この層が当該強度に達する時間が当初予定よりも長くかかると工期の遅延に繋がる。従って本発明では、初期に型枠から脱型される層にCa(OH)
2を配合し強度増進を図るものである。
【0023】
本発明において、スリップフォーム工法で構築する全ての層にCa(OH)2を添加した生コンクリートを用いても強度発現性の面からは問題ない。しかしながら、コンクリートの製造・品質の観点から、後半の層の構築、具体的には2n/3回目(端数は切り下げ)以降の打ち込みの際には、当該Ca(OH)2を添加していない生コンクリートを用いることが好ましい。
【0024】
これは以下のような理由による。即ち、次の打設まで型枠による拘束を受けている層は、その打設までの養生時間が十分であれば、型枠を外した後も十分な強度を発現するため、Ca(OH)2を配合して必要な強度が発現するように促進する必要がない。
【0025】
他方、Ca(OH)2の添加は生コン工場でコンクリートを製造する際または現場でコンクリートを排出する前にアジテータ車への投入が基本な方法である。生コン工場で添加する場合、貯蔵瓶を準備するか、バッチ毎に手投入する必要がある。そのため、貯蔵瓶がない場合バッチ毎に手投入する必要があり人手がかかる。また、アジテータ車内に添加する場合においても各車毎に手投入することとなり、さらにCa(OH)2を添加することで出荷前のフレッシュ性状と品質が異なる可能性が考えられる。一方で、スリップフォーム工法において、後半の打設層は1日の打設中に型枠から脱型されない層である。そのため、次の日の打設までに型枠に拘束された状態で十分な養生時間が得られることにより、Ca(OH)2の添加による促進がなくとも十分な強度発現が可能である。従って、作業効率等を考慮すると、後半の打設ではCa(OH)2の添加を行わない方が、総合的に望ましい場合が多い。
【0026】
なお本発明において、最後に打設した層から次の層を打設するまでに10時間以上間隔が空く場合(例えば夜間)には、打ち込んだ層の累計は元に戻し、次に打設する層は、再度1層目の打設として数える。
【0027】
本発明は、冬季において早強セメント(HC)を使用しても、想定する時間で所要の強度が得られない場合に特に効果を発揮する。しかしながらHCに限定されず、普通セメント(NC)や高炉セメント(BB)に適用してもよい。例えば、生コン工場の中にはHCを所持しておらずHCを出荷できない工場も存在し、そのような場合には、HCを使用すれば強度発現が可能となる環境温度においても、セメントがNCやBBを使用するために所要の強度が得られないことが考えられる。そうした際には本発明によるCa(OH)2を配合する方法を実施することで強度発現性を向上させることができる。
【0028】
【0029】
図2は、連続するコンクリートの打設回数nが10回の場合である。本発明において、Ca(OH)
2を配合した生コンクリートを使用することが必須であるのはn/3回目(端数は切り上げ)までであり、このケースではn=10であるから、1回目から4回目までの打設においてCa(OH)
2の配合が必要である。また前記の通り、2n/3回目(端数切り下げ)以降の打設においては、Ca(OH)
2を配合しない生コンクリートを使用する方が好ましく、このケースでは6回目以降の打設となる。このケースにおいて狭間にある5回目の打設に使用するコンクリートについては、Ca(OH)
2の配合の有無はどちらでも全くかまわない。
【0030】
図3に示すのは、スリップフォーム工法におけるコンクリートの総打設回数が30回であり、15回目から16回目の打設間隔が10時間を超える場合である。前述した通り本発明においては、コンクリートの打設間隔が10時間以上の場合には、打ち込み回数はリセットする。すなわち、総打設回数は30回であるが、連続するコンクリートの打設回数nは15回であり、2セット実施するとみなす。換言すれば、通算で16回目の打設を、本発明における1回目の打設とみなすものである。
【0031】
このケースでは、Ca(OH)2を配合した生コンクリートを使用しなければならないのは、通算回数で1回目から5回目までの打設及び16回目から20回目の打設となる。また、10回目から15回目及び25回目から30回目の以降の打設は、Ca(OH)2を配合しない生コンクリートを使用することが好ましい。さらに前記のように6回目から9回目の打設及び21回目から24回目の打設に使用するコンクリートについては、Ca(OH)2の配合はどのようにしてもよい。
【実施例0032】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で使用したCa(OH)2の形態はCa(OH)2の水性スラリーとして添加した。また、評価基準となる所定強度を0.07N/mm2とした。
【0033】
セメントには早強セメント(HC)を使用し、Ca(OH)2は、Ca(OH)2の平均粒径が0.16μmで、濃度が45質量%の水性スラリーを使用した。
【0034】
(1)配合、混練
表1に本発明で用いたコンクリートの配合を示す。混練は、環境温度10℃にて100Lパン型ミキサーを用いて行った。セメントと細骨材粗骨材をミキサーに投入し、30秒間混合した。次に水および混和剤を投入して60秒混錬し排出した。
【0035】
(2)成型
供試体は、直径100×高さ200mmの円柱型枠を使用した。混練終了後、コンクリートのフレッシュ性状を確認した後に型枠に打ち込んだ。打ち込みは、2層詰めとし、生コンクリートを型枠の1/2ずつ詰め、突き棒を用いてすぐ下の層まで突き棒が届くように、各層につき8回突き固めた。最後に型枠の上端より上方のコンクリートを取り除き、表面をならした。
【0036】
(3)養生
成型後、所定時間まで環境温度5℃にて保存した。供試体の上面は水分が蒸発しないようにラップで覆い、その上に湿布をした。
【0037】
(4)測定方法
圧縮強度の測定は、電動式万能圧縮試験機(マルイ製MIS-225-1-16型)を使用して行った。凝結時間の測定は、コンクリート自動凝結試験装置(マルイ製MIC-318-017型)を使用して行った。
【0038】
実施例1
水185質量部、早強セメント430質量部、細骨材789質量部、粗骨材908質量部に、高性能AE減水剤0.86質量部、AE剤0.0172質量部及びCa(OH)2水性スラリー8.6質量部を混練してコンクリートを調製した。セメントに対するCa(OH)2の量は0.9%となる。
【0039】
圧縮強度が0.07N/mm2以上を示すまで1時間毎に測定を行った。結果を表1に示す。また、凝結時間の測定を行った結果を表2に示す。
【0040】
実施例2
セメントに対するCa(OH)2の量が実施例1の2倍の1.8%となるように、Ca(OH)2水性スラリーの量を17.2質量部へと変更し、高性能AE減水剤を0.215質量部とした以外は実施例1と同様にコンクリートを調製した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0041】
比較例1
Ca(OH)2水性スラリーを配合せず、高性能AE減水剤を1.505質量部とした以外は、実施例1と同様にコンクリートを調製した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0042】
比較例2
水/セメント比が43.0の比較例1に対して、強度発現性を高めるために同40.0となるようにコンクリートを調製した。即ち、水185質量部、早強セメント463質量部、細骨材754質量部、粗骨材926質量部に、高性能AE減水剤3.241質量部、AE剤0.03241質量部を混練してコンクリートを調製した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0043】
なお上記各実施例、比較例では、スランプが約20cmとなるように高性能AE減水剤の添加率を調整している。
【0044】
【0045】
【0046】
実施例1、2ともに比較例と比べ、0.07N/mm2に達する時間は大幅に短い。また、実施例1、2ともに0.07N/mm2に達する時間は凝結時間の始発時間よりも早く、Ca(OH)2は凝結の始発時間よりも早い時間における強度発現性も高められることがわかる。
【0047】
比較例1よりも水/セメント比を小さくした比較例2でも、0.07N/mm2に達する時間は早くできるが、その程度は実施例に比べてかなり小さい。また水/セメント比は無限に小さくすることができるものではなく、実施例と同等のレベルにすることは困難であると考えられる。