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  • 特開-加工装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110742
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20220722BHJP
   G05B 19/409 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G05B19/409 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006346
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 聡
(72)【発明者】
【氏名】万波 秀年
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB07
3C269BB07
3C269MN02
3C269MN26
3C269MN27
3C269MN46
3C269MN50
3C269QC01
3C269QD02
3C269QE01
3C269QE12
3C269QE15
3C269QE17
3C269QE22
3C269QE26
3C269QE31
3C269QE34
(57)【要約】
【課題】加工装置におけるタッチパネルの画面構成を、作業者の要求に容易にあわせる。
【解決手段】タッチパネル60の画面表示部82に表示されている画面に関し、作業者が、Goodボタン112およびBadボタン114を用いて、意見を容易に記録することができる。したがって、装置メーカは、各画面に関する作業者の意見に基づいて画面を改良することにより、各作業者の意見に応じた画面構成を構築することができる。したがって、タッチパネル60を備える加工装置の画面構成を、作業者の要求にあわせることが容易となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持部材と、被加工物を加工する加工機構と、タッチパネルと、を備えた加工装置であって、
該タッチパネルは、Goodボタンと、Badボタンと、を備え、
該タッチパネルに表示された画面を示す符号または名称と、該画面が表示された日時とを記録する画面記録部と、
該Goodボタンが押されたことと、該Goodボタンが押された日時とを記録するGood記録部と、
該Badボタンが押されたことと、該Badボタンが押された日時とを記憶するBad記録部と、
を備える加工装置。
【請求項2】
マイクと、
該マイクに入力された音声を録音する録音部と、
該Goodボタンまたは該Badボタンが押されたことに連動して該録音部を起動させる録音制御部と、をさらに備える、
請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
加工装置に対して該タッチパネルを接続及び離脱可能とする着脱部をさらに備え、
該タッチパネルが該加工装置に接続された際に、該録音部が録音可能となる、
請求項2記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3に開示のように、被加工物を加工する加工装置では、タッチパネルを用いて加工条件が入力される。また、特許文献4に開示のように、タッチパネルを用いて、各動作軸の操作を実施することが可能である。また、特許文献5に開示のように、各動作軸の操作を、脱着可能なタッチパネルを用いて行うこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-123617号公報
【特許文献2】特開2020-149089号公報
【特許文献3】特開2019-034370号公報
【特許文献4】特開2018-176320号公報
【特許文献5】特開2020-114625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなタッチパネルには、複数のボタンが、装置メーカによる設計に応じて配置されている。
【0005】
しかし、使用者である作業者は、装置メーカによって決められたボタン配置では作業性が悪いため、ボタン配置を変更したいと判断することがある。そこで、作業者は、このようなボタン配置の変更などの画面構成の変更を、ノートにメモするなどによって記録しておいて、装置メーカに通知している。しかし、このような記録方法では、変更依頼箇所を明確に伝えることが困難な場合がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、加工装置におけるタッチパネルの画面構成を作業者の要求にあわせることを、容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加工装置(本加工装置)は、被加工物を保持する保持部材と、被加工物を加工する加工機構と、タッチパネルと、を備えた加工装置であって、該タッチパネルは、Goodボタンと、Badボタンと、を備え、該タッチパネルに表示された画面を示す符号または名称と、該画面が表示された日時とを記録する画面記録部と、該Goodボタンが押されたことと、該Goodボタンが押された日時とを記録するGood記録部と、該Badボタンが押されたことと、該Badボタンが押された日時とを記憶するBad記録部と、を備える。
【0008】
本加工装置は、マイクと、該マイクに入力された音声を録音する録音部と、該Goodボタンまたは該Badボタンが押されたことに連動して該録音部を起動させる録音制御部と、をさらに備えてもよい。
【0009】
本加工装置は、加工装置に対して該タッチパネルを接続及び離脱可能とする着脱部をさらに備えてもよく、該タッチパネルが該加工装置に接続された際に、該録音部が録音可能となってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本加工装置では、タッチパネルに表示されている画面に関し、GoodボタンおよびBadボタンを介して作業者の意見を記録すること、および、記録された意見と画面とを、意見の記録日時および画面の表示日時を介して関連づけることが可能である。すなわち、本加工装置では、各画面に関する作業者の意見を記録することを、容易に実施することができる。
したがって、装置メーカは、この意見に基づいて画面を改良することにより、各作業者の意見に応じた画面構成を構築すること、あるいは、複数の作業者の意見に基づく汎用性のある適切な画面構成を構築することができる。これにより、作業者にとって操作しやすい加工装置を製造することが可能となる。
このように、本加工装置では、加工装置におけるタッチパネルの画面構成を、作業者の要求にあわせることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態にかかる加工装置の構成を示す斜視図である。
図2】タッチパネルおよび制御ユニットの構成を示すブロック図である。
図3】タッチパネルの表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す加工装置1は、粗研削機構30および仕上げ研削機構31を備え、チャックテーブル5上に保持されたウェーハ100を、粗研削機構30および仕上げ研削機構31により研削する。
【0013】
図1に示すウェーハ100は、被加工物の一例であり、たとえば、円形の半導体ウェーハである。ウェーハ100の表面101には、図示しないデバイスが形成されている。ウェーハ100の表面101は、図1においては下方を向いており、保護テープ105が貼着されることによって保護されている。ウェーハ100の裏面104は、研削処理が施される被加工面となる。
【0014】
加工装置1は、第1の装置ベース10と、第1の装置ベース10の後方(+Y方向側)に配置された第2の装置ベース11とを有している。第1の装置ベース10上は、ウェーハ100の搬出入等が行われる領域である搬出入領域401となっている。第2の装置ベース11上は、加工領域402となっている。この加工領域402では、粗研削機構30または仕上げ研削機構31によって、チャックテーブル5に保持されたウェーハ100が加工される。
【0015】
第1の装置ベース10の正面側(-Y方向側)には、第1のカセットステージ160および第2のカセットステージ162が設けられている。第1のカセットステージ160には、加工前のウェーハ100が収容される第1のカセット161が載置されている。第2のカセットステージ162には、加工後のウェーハ100が収容される第2のカセット163が載置されている。
【0016】
第1のカセット161および第2のカセット163は、内部に複数の棚を備えており、各棚に一枚ずつウェーハ100が収容されている。すなわち、第1のカセット161および第2のカセット163は、複数のウェーハ100を棚状に収容する。
【0017】
第1のカセット161および第2のカセット163の開口(図示せず)は、+Y方向側を向いている。これらの開口の+Y方向側には、ロボット155が配設されている。ロボット155は、ウェーハ100を保持する保持面を備えている。ロボット155は、加工後のウェーハ100を第2のカセット163に搬入(収納)する。また、ロボット155は、第1のカセット161から加工前のウェーハ100を取り出して、仮置き機構152の仮置きテーブル154に載置する。
【0018】
仮置き機構152は、第1のカセット161から取り出されたウェーハ100を仮置きするために用いられ、ロボット155に隣接する位置に設けられている。仮置き機構152は、仮置きテーブル154、および、位置合わせ部材153を有している。位置合わせ部材153は、仮置きテーブル154を囲むように外側に配置される複数の位置合わせピンと、位置合わせピンを仮置きテーブル154の径方向に移動させるスライダとを備えている。位置合わせ部材153では、位置合わせピンが仮置きテーブル154の径方向に中央に向かって移動されることにより、複数の位置合わせピンを結ぶ円が縮径される。これにより、仮置きテーブル154に裏面104を上にして載置されたウェーハ100が、所定の位置に位置合わせ(センタリング)される。
【0019】
仮置き機構152に隣接する位置には、搬入機構170が設けられている。搬入機構170は、仮置き機構152に仮置きされたウェーハ100を、チャックテーブル5に搬入する。搬入機構170は、ウェーハ100の裏面104を吸引保持する吸引面を有する吸引パッド(搬送パッド)171を備えている。搬入機構170は、仮置きテーブル154に仮置きされたウェーハ100を吸引パッド171によって吸引保持して、加工領域402内における仮置き機構152の近傍に位置しているチャックテーブル5へ搬送し、その保持面50に載置する。
【0020】
チャックテーブル5は、ウェーハ100を保持する保持部材の一例であり、ウェーハ100を吸引保持する保持面50を備えている。保持面50は、図示しない吸引源に連通されて、保護テープ105を介して、ウェーハ100を吸引保持することが可能である。チャックテーブル5は、保持面50によってウェーハ100を吸引保持した状態で、保持面50の中心を通りZ軸方向に延在する中心軸を中心として、回転可能である。
【0021】
本実施形態では、第2の装置ベース11上に配設されたターンテーブル6の上面に、3つのチャックテーブル5が、ターンテーブル6の中心を中心とする円上に、等間隔に配設されている。ターンテーブル6の中心には、ターンテーブル6を自転させるための図示しない回転軸が配設されている。ターンテーブル6は、この回転軸によって、Z軸方向に延びる軸心を中心に自転することができる。ターンテーブル6が自転することで、3つのチャックテーブル5が公転する。これにより、チャックテーブル5を、仮置き機構152の近傍、粗研削機構30の下方、および、仕上げ研削機構31の下方に、順次、位置付けることができる。
【0022】
第2の装置ベース11上の後方(+Y方向側)には、第1のコラム12が立設されている。第1のコラム12の前面には、ウェーハ100を粗研削する粗研削機構30、および、粗研削機構30を研削送りする粗研削送り機構20が配設されている。粗研削機構30は、加工具を用いてウェーハ100を加工する加工機構の一例である。
【0023】
粗研削送り機構20は、Z軸方向に平行な一対のガイドレール201、このガイドレール201上をスライドする昇降テーブル203、ガイドレール201と平行なボールネジ200、ボールネジ200を回転駆動するモータ202、および、昇降テーブル203の前面(表面)に取り付けられたホルダ204を備えている。ホルダ204は、粗研削機構30を保持している。
【0024】
昇降テーブル203は、ガイドレール201にスライド可能に設置されている。図示しないナット部が、昇降テーブル203の後面側(裏面側)に固定されている。このナット部には、ボールネジ200が螺合されている。モータ202は、ボールネジ200の一端部に連結されている。
【0025】
粗研削送り機構20では、モータ202がボールネジ200を回転させることにより、昇降テーブル203が、ガイドレール201に沿って、Z軸方向に移動する。これにより、昇降テーブル203に取り付けられたホルダ204、および、ホルダ204に保持された粗研削機構30も、昇降テーブル203とともにZ軸方向に移動する。このようにして、粗研削送り機構20は、粗研削機構30をZ軸方向に沿って研削送りする。
【0026】
粗研削機構30は、ホルダ204に固定されたスピンドルハウジング301、スピンドルハウジング301に回転可能に保持されたスピンドル300、スピンドル300を回転駆動するモータ302、スピンドル300の下端に取り付けられたホイールマウント303、および、ホイールマウント303の下面に着脱可能に接続された研削ホイール304を備えている。
【0027】
スピンドルハウジング301は、Z軸方向に延びるようにホルダ204に保持されている。スピンドル300は、チャックテーブル5の保持面50と直交するようにZ軸方向に延び、スピンドルハウジング301に回転可能に支持されている。
【0028】
モータ302は、スピンドル300の上端側に連結されている。このモータ302により、スピンドル300は、Z軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
【0029】
ホイールマウント303は、円板状に形成されており、スピンドル300の下端(先端)に固定されて、スピンドル300の回転に応じて回転する。ホイールマウント303は、研削ホイール304を支持している。
【0030】
研削ホイール304は、外径がホイールマウント303の外径と略同径を有するように形成されている。研削ホイール304は、アルミニウム合金等の金属材料から形成された円環状のホイール基台(環状基台)305を含む。ホイール基台305の下面には、全周にわたって、略直方体形状の複数の粗研削砥石306が、環状に配置および固定されている。粗研削砥石306は、スピンドル300の回転により回転され、チャックテーブル5に保持されたウェーハ100の裏面104を研削する。粗研削砥石306は、加工具の一例であり、比較的大きな砥粒を含む砥石である。
【0031】
スピンドル300の内部には、Z軸方向に延びる研削水流路が形成されており、この研削水流路に、図示しない研削水供給機構が連通している(ともに図示せず)。研削水供給機構からスピンドル300に対して供給される研削水は、研削水流路の下端の開口から粗研削砥石306に向かって下方に噴出し、粗研削砥石306とウェーハ100との接触部位に到達する。
【0032】
粗研削機構30の下方に配置されたチャックテーブル5に隣接する位置には、第1ハイトゲージ51が配設されている。第1ハイトゲージ51は、たとえば粗研削中に、ウェーハ100の厚みを接触式または非接触式にて測定する。
【0033】
また、第2の装置ベース11上の後方には、第2のコラム13が、X軸方向に沿って第1のコラム12に隣接するように、立設されている。第2のコラム13の前面には、ウェーハ100を仕上げ研削する仕上げ研削機構31、および、仕上げ研削機構31を研削送りする仕上げ研削送り機構21が配設されている。仕上げ研削機構31は、加工具を用いてウェーハ100を加工する加工機構の一例である。
【0034】
仕上げ研削送り機構21は、粗研削送り機構20と同様の構成を有しており、仕上げ研削機構31をZ軸方向に沿って研削送りすることができる。仕上げ研削機構31は、粗研削砥石306に代えて、仕上げ研削砥石307を備えていることを除いて、粗研削機構30と同様の構成を有している。仕上げ研削砥石307は、加工具の一例であり、比較的小さな砥粒を含む砥石である。
【0035】
仕上げ研削機構31の下方に配置されたチャックテーブル5に隣接する位置には、第2ハイトゲージ52が配設されている。第2ハイトゲージ52は、たとえば仕上げ研削中に、ウェーハ100の厚みを接触式または非接触式にて測定する。
【0036】
仕上げ研削後のウェーハ100は、搬出機構172によって搬出される。搬出機構172は、チャックテーブル5に保持されたウェーハ100をスピンナ洗浄機構156に搬送する。
【0037】
搬出機構172は、ウェーハ100の裏面104を吸引保持する吸引面を有する吸引パッド(搬送パッド)173を備えている。搬出機構172は、チャックテーブル5に載置されている仕上げ研削後のウェーハ100の裏面104を、吸引パッド173によって吸引保持する。その後、搬出機構172は、ウェーハ100をチャックテーブル5から搬出して、枚葉式のスピンナ洗浄機構156のスピンナテーブル157に搬送する。
【0038】
スピンナ洗浄機構156は、ウェーハ100を洗浄するスピンナ洗浄ユニットである。スピンナ洗浄機構156は、ウェーハ100を保持するスピンナテーブル157、および、スピンナテーブル157に向けて洗浄水および乾燥エアを噴射するノズル158を備えている。
【0039】
スピンナ洗浄機構156では、ウェーハ100を保持したスピンナテーブル157が回転するとともに、ウェーハ100の裏面104に向けて洗浄水が噴射されて、裏面104がスピンナ洗浄される。その後、ウェーハ100に乾燥エアが吹き付けられて、ウェーハ100が乾燥される。
【0040】
スピンナ洗浄機構156によって洗浄されたウェーハ100は、ロボット155により、第2のカセットステージ162上の第2のカセット163に搬入される。
【0041】
また、加工装置1は、第1の装置ベース10および第2の装置ベース11を覆う筐体15を備えている。筐体15の側面には、タッチパネル60が設置されている。
【0042】
タッチパネル60には、加工装置1に関するデバイスデータ(加工条件)等の各種情報が表示される。また、タッチパネル60は、デバイスデータ等の各種情報を設定するためにも用いられる。このように、タッチパネル60は、情報を入力するための入力部材として機能するとともに、情報を表示するための表示部材としても機能する。
【0043】
また、タッチパネル60は、マイク61を有している。このマイク61は、作業者の発した音声を録音するために用いられる。
なお、マイク61は、タッチパネル60の近くに配置されていてもよい。
つまり、マイク61は、タッチパネル60に作業者が作業している際に、作業者の発した音声を録音可能な位置に加工装置1に配置されていてもよい。
【0044】
また、加工装置1は、その内部に、加工装置1の制御のための制御ユニット7を有している。制御ユニット7は、統括制御部としての制御部70、および、タッチパネル60の画面に関する記録部71を有している。
【0045】
制御部70は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部70は、各種の処理を実行し、加工装置1の各構成要素を統括制御する。
【0046】
また、本実施形態では、制御部70は、記録部71を用いて、タッチパネル60に表示される画面について、画面構成に対する作業者の評価に関するデータ(画面評価データ)を作成することができる。
【0047】
以下に、タッチパネル60について詳細に説明する。
図2に示すように、タッチパネル60は、画面表示を制御するための制御回路等を含む表示制御部81、画面が表示されるタッチディスプレイである画面表示部82、および、タッチパネル60に対する作業者からの入力を受け付ける入力部83を備えている。入力部83は、画面表示部82に対する作業者のタッチ入力、および、図1に示したマイク61を介して入力される作業者の音声を受け付ける。
【0048】
画面表示部82には、表示制御部81によって制御される画面が表示される。
本実施形態では、画面表示部82に表示される画面は、たとえば、作業者による情報入力を案内するためのメイン画面(トップ画面)、および、メイン画面の下の階層にあるデバイスデータ入力画面である。デバイスデータ入力画面は、図1に示した粗研削機構30に関するデバイスデータ入力画面(第1デバイスデータ入力画面)、および、仕上げ研削機構31に関するデバイスデータ入力画面(第2デバイスデータ入力画面)を含む。
【0049】
そして、本実施形態では、これらの画面のそれぞれに、画面を示す符号(番号など)が付される。たとえば、メイン画面、第1デバイスデータ入力画面、および第2デバイスデータ入力画面には、それぞれ、メイン画面D1、第1デバイスデータ入力画面D2-1、および第2デバイスデータ入力画面D2-2のように符号が付される。
【0050】
図3に、粗研削機構30に関する第1デバイスデータ入力画面D2-1の表示例を示す。
この図に示す例では、第1デバイスデータ入力画面D2-1には、複数のデバイスデータとしての第1~第Nデータの入力欄W1~WNと、これらの入力欄W1~WNに数値を入力するためのテンキー110とが表示されている。
【0051】
第1~第Nデータの入力欄W1~WNには、たとえば、粗研削時における粗研削機構30のスピンドル300の回転数、チャックテーブル5の回転数、ならびに、粗研削加工の研削量、加工速度および加工時間などが入力される。
作業者は、入力したいデータの入力欄にタッチした後、テンキー110を用いて数値を打ち込むことにより、当該入力欄に数値を入力することができる。
【0052】
また、この際、図2に示した入力部83が、このテンキー110を介して入力される数値を受け付けて、制御ユニット7の制御部70に伝達する。制御部70は、伝達された数値に基づいて、デバイスデータを設定する。
【0053】
また、図3に示すように、画面表示部82には、第1デバイスデータ入力画面D2-1に加えて、表示画面をメイン画面に戻すための戻りボタンであるメイン画面ボタン116が表示されている。さらに、画面表示部82には、Goodボタン112およびBadボタン114が表示されている。すなわち、タッチパネル60は、Goodボタン112と、Badボタン114と、を備えている。
【0054】
これらのGoodボタン112およびBadボタン114は、画面構成に対する作業者の評価に関するデータである画面評価データを作成するためのボタンである。
そして、この画面評価データの作成のために、図2に示すように、制御ユニット7の記録部71は、画面記録部72、Good記録部74、Bad記録部76、録音制御部77、録音部78を備えている。
【0055】
以下に、制御ユニット7の詳細な構成とともに、加工装置1における画面評価データの作成について説明する。
なお、本実施形態では、タッチパネル60の表示内容、および、タッチパネル60への作業者の入力内容は、制御ユニット7の制御部70および記録部71に伝達される。
【0056】
加工装置1の運転中、制御部70は、作業者の指示に応じて、タッチパネル60の画面表示部82に、各種の画面を表示させる。
そして、制御ユニット7における記録部71の画面記録部72は、タッチパネル60の画面表示部82に表示された画面を示す符号または名称と、この画面が表示された日時とを、対応づけて、画面表示履歴データとして記録する。
【0057】
たとえば、画面記録部72は、画面表示部82にメイン画面D1、第1デバイスデータ入力画面D2-1、あるいは第2デバイスデータ入力画面D2-2が表示された場合に、これらの画面の符号であるD1、D2-1あるいはD2-2と、画面が表示された時刻とを、対応づけて、画面表示履歴データとして記憶する。
【0058】
また、作業者は、タッチパネル60の画面表示部82に表示された画面を用いて、情報を入力する、あるいは、情報を確認する。この際、作業者は、表示された画面の画面構成が良好であると判断したとき(たとえば、画面構成の作業性が良い、と判断したとき)に、画面表示部82に表示されているGoodボタン112を押す(タッチする)。
【0059】
また、作業者は、Goodボタン112を押した後、必要に応じて、画面構成に関する意見を、マイク61を介して入力する。マイク61に入力された音声は、入力部83を介して制御ユニット7の記録部71に伝達される。
【0060】
記録部71では、Goodボタン112が押されたことに応じて、Good記録部74が、Goodボタン112が押されたことと、Goodボタン112が押された日時とを、対応づけて、Goodボタンデータとして記録する。
【0061】
また、Goodボタン112が押されたことに連動して、録音制御部77が、録音部78を起動させる。起動された録音部78は、マイク61に入力された音声を録音し、音声データとして上述のGoodボタンデータに含める。
【0062】
また、作業者は、表示された画面の画面構成が良好ではないと判断したとき(たとえば、画面構成の作業性が悪い、と判断したとき)に、画面表示部82に表示されているBadボタン114を押す(タッチする)。
【0063】
また、作業者は、Badボタン114を押した後、必要に応じて、画面構成に関する意見を、マイク61を介して入力する。マイク61に入力された音声は、入力部83を介して制御ユニット7の記録部71に伝達される。
【0064】
記録部71では、Badボタン114が押されたことに応じて、Bad記録部76が、Badボタン114が押されたことと、Badボタン114が押された日時とを、対応づけて、Badボタンデータとして記録する。
【0065】
また、Badボタン114が押されたことに連動して、録音制御部77が、録音部78を起動させる。起動された録音部78は、マイク61に入力された音声を録音し、音声データとして上述のBadボタンデータに含める。
【0066】
そして、本実施形態では、加工装置1による加工の終了後、制御ユニット7の制御部70が、GoodボタンデータおよびBadボタンデータを読み出して、Goodボタン112およびBadボタン114が押されたときの、日時、および、録音された音声データを取得する。
【0067】
さらに、制御部70は、画面記録部72によって記録された画面表示履歴データに基づいて、Goodボタン112およびBadボタン114が押されたときの日時に表示されていた画面(画面を示す符号あるいは名称)を取得する。
【0068】
そして、制御部70は、Goodボタン112およびBadボタン114が押されたときの日時に表示されていた画面に関し、押されたボタン(Goodボタン112あるいはBadボタン114)および録音された音声データを含む画面評価データを作成する。また、制御部70は、作成した画面評価データを、作業者の意見として、図示しない通信機器を介して装置メーカに通知してもよい。
【0069】
以上のように、本実施形態では、作業者が、タッチパネル60の画面表示部82に表示されている画面に関し、Goodボタン112およびBadボタン114を押すこと、ならびに、マイク61を介して音声を入力することによって、意見を記録することができる。さらに、本実施形態では、制御部70が、記録された意見と画面とを、意見の記録日時および画面の表示日時を介して関連づけて、各画面に関する作業者の意見を含む画面評価データを作成することができる。すなわち、本実施形態では、各画面に関する作業者の意見を記録することを、容易に実施することができる。
【0070】
したがって、装置メーカは、画面評価データに基づいて画面を改良することにより、各作業者の意見に応じた画面構成を構築すること、あるいは、複数の作業者の意見に基づく汎用性のある適切な画面構成を構築することができる。これにより、作業者にとって操作しやすい加工装置を製造することが可能となる。
このように、本実施形態では、加工装置1におけるタッチパネル60の画面構成を、作業者の要求にあわせることが容易となる。
【0071】
なお、本実施形態では、タッチパネルとして、図1に示した筐体15の側面に設置されているタッチパネル60を示している。このタッチパネル60に代えてまたは加えて、加工装置1は、図1に示した着脱式タッチパネル65を備えてもよい。 着脱式タッチパネル65は、タッチパネル60と同様の機能を有するとともに、その側面にマイク66を有している。また、着脱式タッチパネル65は、加工装置1に対してタッチパネル60を接続および離脱可能とする着脱部としての、パネル側着脱部68を備えている。また、加工装置1も、着脱部としての、加工装置側着脱部69を備えている。
【0072】
着脱式タッチパネル65のパネル側着脱部68が、加工装置1の第2の装置ベース11の側面に設けられた加工装置側着脱部69に取り付けられることにより、着脱式タッチパネル65と加工装置1とが接続され、着脱式タッチパネル65が、タッチパネル60と同様に機能する。
【0073】
また、この構成では、録音部78は、着脱式タッチパネル65が加工装置1に接続された際に録音可能となるように構成されていてもよい。すなわち、この場合、着脱式タッチパネル65が加工装置1に接続されたことに応じて、録音制御部77が録音部78を起動し、起動された録音部78が、マイク66に入力された音声を録音可能となる。
つまり、録音部78は、着脱式タッチパネル65に配置されていてもよいし、加工装置1に配置されていてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、録音制御部77は、タッチパネル60または着脱式タッチパネル65に表示されているGoodボタン112あるいはBadボタン114が押されたことに連動して、録音部78を起動させている。
これに関し、たとえば、録音制御部77は、作業者がGoodボタン112あるいはBadボタン114を長押ししているときだけ、録音部78を起動して、録音部78に音声を録音させてもよい。あるいは、録音制御部77は、作業者がGoodボタン112あるいはBadボタン114をダブルタッチしたときに録音部78を起動させて録音を開始し、作業者がGoodボタン112あるいはBadボタン114をシングルタッチしたときに録音を終了させてもよい。
なお、録音部78は、音声データの記憶媒体であって、メモリーカードなど、加工装置1から脱着可能であってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、タッチパネル60の画面表示部82に表示される画面のそれぞれに、英字と数字とを含む符号(D1など)が付されている。これに関し、画面に付される符号は、このような文字(記号)と数字との組み合わせでもよいし、数字のみであってもよいし、記号のみであってもよい。
【0076】
また、本実施形態では、タッチパネル60がマイク61を有するとともに、制御ユニット7の記録部71が録音制御部77および録音部78を有しており、これらを用いて、作業者が音声を入力することができる。これに関し、GoodボタンデータおよびBadボタンデータは、必ずしも音声データを含む必要はない。GoodボタンデータおよびBadボタンデータに音声データを含めない場合には、加工装置1は、マイク61、録音制御部77および録音部78を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1:加工装置、
5:チャックテーブル、50:保持面、6:ターンテーブル、
10:第1の装置ベース、11:第2の装置ベース、15:筐体、
12:第1のコラム、13:第2のコラム、
20:粗研削送り機構、21:仕上げ研削送り機構、
30:粗研削機構、31:仕上げ研削機構、
51:第1ハイトゲージ、52:第2ハイトゲージ、
7:制御ユニット、70:制御部、
71:記録部、
72:画面記録部、74:Good記録部、76:Bad記録部、
77:録音制御部、78:録音部、
60:タッチパネル、61:マイク、
81:表示制御部、82:画面表示部、83:入力部、110:テンキー、
112:Goodボタン、114:Badボタン、116:メイン画面ボタン、
65:着脱式タッチパネル、66:マイク、
68:パネル側着脱部、69:加工装置側着脱部、
D1:メイン画面、
D2-1:第1デバイスデータ入力画面、
D2-2:第2デバイスデータ入力画面、
W1~WN:入力欄
図1
図2
図3