(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011093
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール及び太陽電池モジュールの取付構造
(51)【国際特許分類】
H01L 31/048 20140101AFI20220107BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20220107BHJP
E04D 3/40 20060101ALI20220107BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20220107BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20220107BHJP
【FI】
H01L31/04 560
E04F13/08 Z ETD
E04D3/40 V
H02S20/10 A
E04D13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111985
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】山浦 敏明
(72)【発明者】
【氏名】那須 洋平
【テーマコード(参考)】
2E108
2E110
5F151
【Fターム(参考)】
2E108GG15
2E108GG16
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM00
2E108NN07
2E110AA04
2E110AB04
2E110AB23
5F151BA03
5F151BA18
5F151JA02
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
5F151JA09
5F151JA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液体による劣化を抑制することが可能な太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】立設用の太陽電池モジュール100は、光電変換素子と、光電変換素子の第1面側に設けられた第1基板600と、光電変換素子に関して第1基板600とは反対の第2面側に設けられ、光電変換素子を覆う保護材900と、を有する。太陽電池モジュール100が立設された状態において、保護材900の下端は第1基板600の下端よりも上方に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設用の太陽電池モジュールであって、
光電変換素子と、
前記光電変換素子の第1面側に設けられた第1基板と、
前記光電変換素子に関して前記第1基板とは反対の第2面側に設けられ、前記光電変換素子を覆う保護材と、を有し、
前記太陽電池モジュールが立設された状態において、前記保護材の下端は前記第1基板の下端よりも上方に位置する、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記保護材のすべての端が、前記第1基板の端よりも内側に位置する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールが立設された状態において、少なくとも前記第1基板の下端の辺に沿って設けられたフレームを有し、
前記フレームは、前記太陽電池モジュールが立設された状態において、前記第1基板の前記第2面側において、前記第1基板から離れた位置で上方に延びており、
前記太陽電池モジュールが立設された状態において、前記保護材の下端は前記フレームの上端よりも上方に位置する、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールと、
立設された状態における前記太陽電池モジュールを下方から支持する下側支持具と、を有し、
前記下側支持具は、前記太陽電池モジュールを下方から支える積載面と、前記太陽電池モジュールの裏面側で前記積載面から上方に延びた基部と、を有し、
前記保護材の下端は、前記基部の上端よりも上方に位置する、太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールと、
立設された状態における前記太陽電池モジュールを設置部に取り付けるための締結部材と、を有し、
前記締結部材は、前記太陽電池モジュールの前記第1基板を貫通して前記設置部に取り付けられており、
前記締結部材は、前記太陽電池モジュールの表面に直交する方向から見て前記保護材からずれた領域に設けられている、太陽電池モジュールの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール及び太陽電池モジュールの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、建物の屋根に設置されたり、広い敷地の地面上に設置されたりしている。また、太陽電池モジュールは、建造物の壁面に設置されることもある。
【0003】
特許文献1は、太陽電池モジュール(パネル体)を壁面に取り付けるための壁面取付構造を開示している。特許文献1では、立設したパネル体の上端に上係止部が形成されており、パネル体の下端に下係止部が形成されている。また、壁面には複数の横桟が設置されている。横桟は、略水平な向きで上段及び下段に並べて配置され、横桟の裏面側と壁面とが固定されている。横桟は、パネル体の上係止部と係合する上係止部受部や、パネル体の下係止部と係合する下係止部受部を有する。これにより、パネル体は、上段の横桟と下段の横桟によって、壁面に設置される。
【0004】
特許文献1において、パネル体の下端を支持する横桟は、パネル体を下から支持する略水平な向きに延びた下部と、当該下部から上方に向かって延びて壁面に接する当接部と、を有し、これにより略L字形の形状を有する。パネル体は、横桟の下部上に載せられている。そのため、略L字形の横桟とパネル体によって、下方に凹んだ凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の発明者は、特許文献1に記載された壁面取付構造を太陽電池モジュールに適用した場合に、以下のような課題が生じることを見出した。まず、雨水のような液体が、略L字形の横桟と太陽電池モジュールによって形成された上記の凹部に溜まることがある。当該凹部に溜まった液体は、太陽電池モジュールの裏側の下端付近に接触しつづける。そのため、太陽電池モジュールの裏側に液体によって劣化し易い部材が存在していれば、太陽電池モジュールの劣化を促進させることがある。
【0007】
したがって、液体による劣化を抑制することが可能な立設用の太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの取付構造が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る立設用の太陽電池モジュールは、光電変換素子と、前記光電変換素子の第1面側に設けられた第1基板と、前記光電変換素子に関して前記第1基板とは反対の第2面側に設けられ、前記光電変換素子を覆う保護材と、を有する。前記太陽電池モジュールが立設された状態において、前記保護材の下端は前記第1基板の下端よりも上方に位置する。
【0009】
一態様に係る太陽電池モジュールの取付構造は、上記の太陽電池モジュールと、立設された状態における前記太陽電池モジュールを下方から支持する下側支持具と、を有する。前記下側支持具は、前記太陽電池モジュールを下方から支える積載面と、前記太陽電池モジュールの裏面側で前記積載面から上方に延びた基部と、を有する。前記保護材の下端は、前記基部の上端よりも上方に位置する。
【0010】
別の態様に係る太陽電池モジュールの取付構造は、上記の太陽電池モジュールと、立設された状態における前記太陽電池モジュールを設置部に取り付けるための締結部材と、を有する。前記締結部材は、前記太陽電池モジュールの前記第1基板を貫通して前記設置部に取り付けられている。前記締結部材は、前記太陽電池モジュールの表面に直交する方向から見て前記保護材からずれた領域に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
上記態様によれば、液体による劣化を抑制することが可能な太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造の平面図である。
【
図2】
図1の矢印2A方向から見た太陽電池モジュールの取付構造の側面図である。
【
図5】第1実施形態に係る太陽電池モジュールの裏面側の平面図である。
【
図7】第2実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造の平面図である。
【
図8】第3実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造の一部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造の平面図である。
図2は、
図1の矢印2A方向から見た太陽電池モジュールの取付構造の側面図である。
図3は、
図2の領域3Rの拡大図である。
図4は、
図2の領域3Rの拡大斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの裏面側の平面図である。
図6は、
図5の6A-6A線に沿った断面図である。
【0015】
第1実施形態に係る太陽電池モジュール取付構造は、太陽電池モジュール100と、太陽電池モジュール100を立設した設置面80に支持する固定具と、を有する。設置面80は、太陽電池モジュール100を立てた状態で設置可能であれば特に限定されない。設置面80は、例えば、建造物の壁面であってよい。建造物としては、ビルや防音壁等であってよい。
【0016】
ここで、立設した設置面80は、水平面に対して直交する方向、すなわち鉛直方向に沿って立てられた設置面に限定されず、鉛直方向から傾斜して立てられた設置面をも含むことに留意されたい。
【0017】
太陽電池モジュール100を支持する固定具は、太陽電池モジュール100を支持する上側支持具20と、太陽電池モジュール100を支持し、上側支持具20よりも下方に位置する下側支持具40と、を有していてよい。
【0018】
上側支持具20は、設置面80に取り付けられており、略水平方向に沿って延びていてよい。上側支持具20は、設置面80に面する基部21と、設置面80から離れる方向に向かって基部21から連続して延びた連結部22と、太陽電池モジュール100の上端に係合する第1係合部24と、を有していてよい。
【0019】
基部21は、設置面80に当接していてよい。上側支持具20は、例えば基部21のところで例えばボルトのような不図示の締結部材によって設置面80に固定されていてよい。
【0020】
第1係合部24は、連結部22の、設置面80から反対側の端部から下方に曲げられた部分によって構成されていてよい。第1係合部24は、太陽電池モジュール100の表面側の上端付近を覆っている。言い換えると、太陽電池モジュール100の上端部は、設置面80又は基部21と、第1係合部24との間に挟まれている。これにより、太陽電池モジュール100の脱落が防止される。
【0021】
下側支持具40は、設置面80に取り付けられており、略水平方向に沿って延びていてよい。下側支持具40は、設置面80に面する基部41と、設置面80から離れる方向に向かって基部41から連続して延びた連結部42と、太陽電池モジュール100の下端に係合する第2係合部44と、を有していてよい。
【0022】
基部41は、設置面80に当接していてよい。下側支持具40は、例えば基部41のところで例えばボルトのような締結部材46によって設置面80に固定されていてよい(
図3参照)。連結部42は、太陽電池モジュール100を下方から支える積載面43を構成する。基部41は、太陽電池モジュール100と設置面80との間で、少なくとも上方に向かって曲げられた部分によって構成されていてよい。
【0023】
第2係合部44は、連結部42の、設置面80から反対側の端部から上方に曲げられた部分によって構成されていてよい。第2係合部44は、太陽電池モジュール100の表面側の下端付近を覆っている。言い換えると、太陽電池モジュール100の下端部は、設置面80又は基部41と、第2係合部44との間に挟まれている。これにより、太陽電池モジュール100の脱落が防止される。
【0024】
図1では、上側支持具20及び下側支持具40は、1つの太陽電池モジュール100のみを支持している。この代わりに、上側支持具20及び下側支持具40は、横方向に並んだ複数の太陽電池モジュール100を支持していてもよい。この場合、上側支持具20及び下側支持具40は、複数の太陽電池モジュール100にわたって長く延びていてよい。
【0025】
次に、太陽電池モジュール100の構成について
図5及び
図6を参照して説明する。本実施形態における太陽電池モジュール100は、立てた状態で設置される立設用の太陽電池モジュールとして好適に利用できる。
【0026】
太陽電池モジュール100は、光電変換素子10と、光電変換素子10の表面側(第1面側)に設けられた第1基板600と、光電変換素子10に関して第1基板600とは反対側(裏面側)に設けられたシート状の保護材900と、を有していてよい。
【0027】
ここで、「表面側」は、光電変換素子10へ光が入射する側に相当する。また、「裏面側」は、表面側とは反対側の面に相当する。
【0028】
第1基板600は、表面側に露出していてよい。第1基板600は、例えば樹脂基板やガラス基板のような透明又は半透明な基板であってよい。第1基板600は、後述する保護材900よりも水分に対して耐久性の高い材質によって構成されていてよい。本実施形態では、第1基板600は、表面側基板600aと裏面側基板600bとが互いに接合されることによって形成された合板によって構成されている。この代わりに、第1基板600は、合板ではなく、1つの板材によって構成されていてもよい。
【0029】
第1基板600の表面に沿った面内において、第1基板600のサイズは、後述する光電変換素子10のサイズ、より具体的には第2基板700のサイズよりも大きい。なお、太陽電池モジュール100は、第1基板600の周囲にフレーム部材を有していなくてよい。
【0030】
太陽電池モジュール100は、第1基板600と光電変換素子10との間に、第1封止層400を有していてよい。第1封止層400は、少なくとも光電変換素子10の表面側を覆っていてよい。
【0031】
第1封止層400は、透明又は半透明な絶縁体によって構成されていてよい。例えば、第1封止層400は、合成樹脂によって形成されていてよい。そのような合成樹脂として、例えばEVA樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、オレフィン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)樹脂、アイオノマー樹脂もしくはシリコーン樹脂、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
【0032】
光電変換素子10は、第2基板700上に層状に設けられていてよい。光電変換素子10は、第2基板700のほぼ全域にわたって形成されていてよい。第2基板700は、光電変換素子10を形成する基体となる部分である。第2基板700は、例えば、樹脂基板、ガラス基板又は金属基板により構成されていてよい。第2基板700の、光電変換素子10側の表面には、不図示の絶縁層が形成されていてもよい。
【0033】
太陽電池モジュール100は、第2基板700と保護材900との間に、第2封止層800を有していてよい。第2封止層800は、合成樹脂のような絶縁体によって形成されていてよい。そのような合成樹脂として、例えばEVA樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、オレフィン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)樹脂、アイオノマー樹脂もしくはシリコーン樹脂、又はこれらの組み合わせを用いることができる。なお、第2封止層800の厚みは、第1封止層400の厚みと同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0034】
保護材900は、太陽電池モジュール100の裏面側で、光電変換素子10及び第2基板700を覆っていてよい。保護材900は、第2基板700の表面に沿った面内において、保護材900のサイズは、第2基板700のサイズよりも大きくてよい。保護材900の縁は、光電変換素子10の側部で、第1基板600の裏面又はその付近まで延びていてよい。保護材900は、太陽電池モジュール100の最も裏面側に位置していてよい。
【0035】
保護材900は、少なくとも樹脂を含んでいてよい。保護材900は、例えば、樹脂製の基材と接着剤が互いに積層された積層シートであってもよい。保護材900は、例えばPET樹脂、PVF(ポリフッ化ビニル)樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂、ナイロン樹脂もしくはポリアミド樹脂、又はこれらの組み合わせによって構成されていてよい。
【0036】
太陽電池モジュール100は、光電変換素子10の側部にシール材500を有していてもよい。シール材500は、光電変換素子10及び第2基板700の周縁部を囲んでおり、第1基板600の裏面側にも付着していてよい。シール材500は、太陽電池モジュール100の表面に直交する面において断面において、第2封止材800の裏面側の一面と、第1基板600の裏面側の一面とをなだらかに結ぶよう、傾斜していてよい(
図6)。
【0037】
シール材500は、保護材900を構成する材料よりも高い防湿性を有する材料により構成されていることが好ましい。そのようなシール材500の材料として、例えば、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴムもしくは合成ゴム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。これにより、光電変換素子10の側部からの湿気の侵入が防止され、光電変換素子10の劣化を抑制することができる。
【0038】
本実施形態において、保護材900の縁は、第1基板600の縁よりも内側に位置している。より具体的には、太陽電池モジュール100が立設された状態において、保護材900の下端が、第1基板600の下端よりも上方に位置している。したがって、第1基板600の下端は、下側支持具40の積載面43に当接するが、保護材900は、下側支持具40の積載面43よりも上方に位置することになる。したがって、下側支持具400の積載面43上に雨水のような液体が溜まったとしても、保護材900が当該液体に接触することを抑制することができる。
【0039】
特に、保護材900は、前述したような樹脂製のシートから構成されることがある。このような樹脂製のシートは、長期にわたって液体に浸されると、劣化が促進されやすい。本実施形態では、保護材900が、下側支持具40の積載面43よりも上方に位置するため、積載面43上に液体が溜まったとしても、保護材900が液体に接触し難い。したがって、保護材900の劣化、すなわち太陽電池モジュールの劣化を抑制することができる。
【0040】
積載面43に溜まる液体との接触防止という観点から、保護材900の下端900aと第1基板600の下端600eとの間の距離L1は、好ましくは1cm以上、より好ましくは3cm以上であってよい。
【0041】
また、
図5に示すように、保護材900のすべての端が、第1基板600の端よりも内側に位置することがより好ましい。これにより、太陽電池モジュール100のどの向きで設置されたとしても、下側支持具40の積載面43に溜まった液体が保護材900に接触し難くなる。この場合、保護材900のすべての端が、第1基板600の端から、好ましくは1cm以上、より好ましくは3cm以上離れていてよい。
【0042】
さらに、太陽電池モジュール100が設置された状態で、保護材900の下端900aは、下側支持具40の基部41の上端41aよりも上方に位置することが好ましい。雨水のような液体は、下側支持具40の基部41の上端まで溜まり得るため、保護材900の下端が下側支持具40の基部41の上端よりも上方に位置することで、保護材900がより液体に接触し難くなる。
【0043】
光電変換素子10の組成又は種類は特に限定されない。光電変換素子10は、例えば、いわゆる薄膜型の光電変換素子であってよい。薄膜型の光電変換素子としては、例えば、いわゆるCIS系の光電変換素子、CdTe系の光電変換素子、又はアモルファスシリコン系の光電変換素子が挙げられる。この代わりに、光電変換素子10は、例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコンを用いた、いわゆる結晶型の光電変換素子であってもよい。
【0044】
太陽電池モジュール100の表面側からの外観を変えるため、第1基板600の表面と裏面のうちの少なくとも一方、又は両方は、表面処理されていてもよい。表面処理は、例えば光拡散印刷、ブラスト処理、フロスト処理、又はこれらの組み合わせであってよい。また、模様を有するロールと模様を有しないロールとの間にガラスの溶解生地を通すことによって模様を付ける、いわゆるロールアウト製法によって、第1基板600を構成するガラスの外観を変えてもよい。
【0045】
第1基板600は、表面側基板600aと裏面側基板600aとが互いに接合されることによって形成された合板によって構成されている場合、前述した表面処理は、表面側基板600aと裏面側基板600bのうちのいずれか一方に形成されていてもよく、両方に形成されていてもよい。表面側基板600aと裏面側基板600aに施される表面処理の種類は、同種の処理方法であってもよく、異種の処理方法であってもよい。
【0046】
表面処理の種類とその組み合わせを様々変更することによって、表面側から見た太陽電池モジュール100の外観を様々変更することができる。
【0047】
第1基板600のうち表面処理を施す領域を適宜設定することにより、太陽電池モジュール100の表面に図形や模様が表れるようにすることができる。例えば、第1基板600の外周部のみ、又は第1基板600の外周を除く中央部のみに表面処理を施せば、太陽電池モジュール100の周囲に額縁が存在するかのような外観を呈することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造について説明する。
図7は、第2実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造の平面図である。なお、
図7において、保護材900の存在する領域が便宜的に点線にて示されている。第2実施形態において、第1実施形態と同様な構成については同じ符号が付されていることに留意されたい。また、以下では、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略することがあることに留意されたい。
【0049】
第2実施形態において、太陽電池モジュール100の構成は、第1実施形態と同様である。第2実施形態では、太陽電池モジュール100は、第1実施形態と同様に壁面のような設置面に取り付けられる。太陽電池モジュール100は、設置面に取り付けられた設置部に取り付けられている。
【0050】
設置部は、略高さ方向に延びた複数の縦材92と、略水平方向に延びた複数の横材94と、を有していてよい。縦材92と横材94は、例えば木材によって構成されていてよい。縦材92と横材94は、例えば例えばボルトのような不図示の締結部材によって壁面のような設置面に取り付けれていてよい。
【0051】
複数の縦材92と複数の横材94は、太陽電池モジュール100を取り付けるための枠を構成している。第2実施形態では、太陽電池モジュール100は、例えばボルトや螺子や釘のような締結部材96によって、設置部に取り付けられている。具体的には、太陽電池モジュール100は、締結部材96によって縦材92と横材94の少なくとも一方に取り付けられる。締結部材96は、
図7に示すように、太陽電池モジュール100の端付近に複数設けられている。
【0052】
第2実施形態において、それぞれの締結部材96は、太陽電池モジュール100の第1基板600を貫通して、縦材92又は横材94に取り付けられている。締結部材96は、太陽電池モジュール100の表面に直交する方向から見て保護材900からずれた領域に設けられている。すなわち、締結部材96は、第1基板600を貫通するが、保護材900を貫通しない。
【0053】
第2実施形態では、太陽電池モジュール100は、第1基板600を貫通する締結部材96によって設置部に取り付けられる。したがって、太陽電池モジュール100の下端付近に雨水のような液体が溜まらない。よって、保護材900が液体に長期的に接触しつづけることを抑制することができる。
【0054】
また、締結部材96が保護材900を貫通しないため、保護材900の内側に存在する光電変換素子10が水分により劣化することを抑制できる。
【0055】
第2実施形態において、第1実施形態と同様に、第1基板600に表面処理が施されていても良い。第2実施形態において、第1基板600の外周部のみ、又は第1基板600の外周を除く中央部のみに表面処理を施されていてもよい。この場合、第1基板600上に外観の異なる仮想的な額縁領域が形成される。この仮想的な額縁領域は、太陽電池モジュール100の表面側から見て保護材900よりも外側に配置されるよう形成されていてよい。この場合、仮想的な額縁領域は締結部材900を貫通させてよい領域に相当するため、施工者は締結部材900を取り付けてよい位置を容易に把握することができる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造について説明する。
図8は、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの取付構造の一部拡大側面図である。具体的には、
図8は、第1実施形態における
図3に対応する領域を拡大して示している。第3実施形態において、第1実施形態と同様な構成については同じ符号が付されていることに留意されたい。また、以下では、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略することがあることに留意されたい。
【0057】
第3実施形態において、太陽電池モジュール100を支持する固定具、すなわち上側支持具20と下側支持具40は、第1実施形態と同様である。第3実施形態では、太陽電池モジュール100の構成が、第1実施形態と異なっている。
【0058】
第3実施形態における太陽電池モジュール100は、太陽電池モジュールが立設された状態において、少なくとも第1基板600の下端600eの辺に沿って設けられたフレーム200を有する。
図8では、第1基板600の下端600eの辺に沿って設けられたフレーム200のみが示されている。この代わりに、フレーム200は、第1基板600の縁を実質的に取り囲むように配置されていてよい。
【0059】
フレーム200は、フレーム200の延在方向(横方向)に直交する断面において略C字型の壁部によって構成された受け入れ部210を有していてよい。第1基板600の縁は、この受け入れ部210内に挿入されている。また、フレーム200は、第1基板600の裏面側の方に向かって延びており、第1基板600から離れた位置で上方に延びた脚部220を有していてよい。これにより、フレーム200は、フレーム200の延在方向に直交する断面において、略E字型の形状を有していてよい。
【0060】
第3実施形態において、保護材900の下端900aは、太陽電池モジュール100が立設された状態において、フレーム200の上端、具体的には脚部220の上端220eよりも上方に位置する。
【0061】
雨水のような液体は、太陽電池モジュール100とフレーム200の脚部220との間の窪みに溜まり易い。太陽電池モジュール100とフレーム200の脚部220との間の窪みに液体が溜まったとしても、保護材900の下端900aが脚部220の上端220eよりも上方に位置しているため、保護材900が当該液体に長期間接触し続けることを抑制することができる。
【0062】
なお、多量の液体が、太陽電池モジュール100の裏側に注いだ場合、第1実施形態と同様に、下側支持具400の積載面43上にも液体が溜まる。したがって、第1実施形態と同様に、太陽電池モジュール100が設置された状態で、保護材900の下端900aは、下側支持具40の基部41の上端41aよりも上方に位置することがより好ましい。
【0063】
第3実施形態では、太陽電池モジュール100は、第1実施形態と同様に、上側支持具20と下側支持具40によって、立設された状態で固定されている。この代わりに、太陽電池モジュール100は、ボルトのような締結部材によって、直接、設置面80に固定されてもよい。この場合、締結部材は、例えばフレーム200を通して設置面80に締結されてよい。
【0064】
上述したように、複数の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0065】
40 下側支持具
43 積載面
80 設置面
92 縦材
94 横材
96 締結部材
100 太陽電池モジュール
200 フレーム
600 第1基板
900 保護材