(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011108
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】美白用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9706 20170101AFI20220107BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20220107BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220107BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220107BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220107BHJP
A61K 36/02 20060101ALI20220107BHJP
A61K 31/365 20060101ALI20220107BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220107BHJP
【FI】
A61K8/9706
A61Q19/02
A61K8/49
A61P17/00
A61P43/00 111
A61K36/02
A61K31/365
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112012
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】林 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 健一
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD08
4B018MD89
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC102
4C083AC841
4C083AC842
4C083CC02
4C083CC03
4C083DD23
4C083DD28
4C083DD38
4C083EE16
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA17
4C086GA02
4C086GA16
4C086GA17
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC41
4C088AA12
4C088BA10
4C088BA32
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】メラニン産生抑制剤または美白用の化粧料組成物もしくは医薬組成物の提供。
【解決手段】渦鞭毛藻抽出物を含有する、メラニン産生抑制剤または美白用の化粧料組成物もしくは医薬組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦鞭毛藻抽出物を含有する、メラニン産生抑制剤。
【請求項2】
前記渦鞭毛藻が、Symbiodinium sp.である、請求項1記載のメラニン産生抑制剤。
【請求項3】
前記渦鞭毛藻抽出物が、ペリジニンを含む、請求項1または2記載のメラニン産生抑制剤。
【請求項4】
渦鞭毛藻抽出物を含有する、美白用化粧料組成物、美白用食品組成物または美白用医薬組成物。
【請求項5】
渦鞭毛藻抽出物を含有する、メラニン産生に関連する疾患処置用の医薬組成物。
【請求項6】
前記渦鞭毛藻が、Symbiodinium sp.である、請求項4または5記載の組成物。
【請求項7】
前記渦鞭毛藻抽出物が、ペリジニンを含む、請求項4~6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
渦鞭毛藻抽出物を対象に投与することを含む、メラニン産生抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦鞭毛藻の抽出物を含有するメラニン産生抑制剤並びに美白用の化粧料組成物および医薬組成物またはそれらを用いるメラニン産生抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メラニン(melanin)は、皮膚の表皮基底層に存在するメラニン細胞(melanocyte)から産生され、黒い色素とタンパク質の複合形態を持つフェノール系高分子物質である。上記メラニンは、濃度と分布によって人の肌の色を決める他、紫外線から人の肌を保護する役割も担う。
一方、シミやそばかす等の皮膚の色素沈着は、メラニン細胞から産生されたメラニンが沈着することにより生じる。すなわち、メラニンが過剰に産生されると、シミやそばかすなどの色素沈着を誘発する。このような皮膚の色素沈着を予防又は改善して皮膚の美白を実現する方策として、メラニンの産生を抑制することが有効であると考えられている。
【0003】
これまでに、メラニン産生抑制作用を有する成分として、各種植物または海藻由来の成分、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸等が報告されており、その一部のものについては、化粧料、食品、医薬品等の各種製品に配合され実用化されている(非特許文献1)。しかしながら、依然としてメラニン産生抑制効果の優れた成分や製品の開発が望まれている。
【0004】
一方、渦鞭毛藻または渦鞭毛藻の抽出物にメラニン産生抑制作用があることについては、一切報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本皮膚科学会雑誌、101(6)、609~613、1991
【非特許文献2】皮膚、36(2)、134~150、1994
【非特許文献3】ビタミン、74(4)、200(1-III-2)、2000
【非特許文献4】日本食品化学工学会誌、43(3)、313~317、1996
【非特許文献5】Coastal Bioenvironment, Vol. 1、21~28、2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
依然として、メラニン産生抑制剤、メラニン産生抑制に関する化粧料組成物もしくは医薬組成物の提供、またはメラニン産生抑制方法の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、Symbiodinium spなどの渦鞭藻類をエタノールで抽出することで得られる抽出物がメラニン産生抑制効果を有することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 渦鞭毛藻抽出物を含有する、メラニン産生抑制剤。
[2] 前記渦鞭毛藻が、Symbiodinium sp.である、[1]記載のメラニン産生抑制剤。
[3] 前記渦鞭毛藻抽出物が、ペリジニンを含む、[1]または[2]記載のメラニン産生抑制剤。
[4] 渦鞭毛藻抽出物を含有する、美白用化粧料組成物、美白用食品組成物または美白用医薬組成物。
[5] 渦鞭毛藻抽出物を含有する、メラニン産生に関連する疾患処置用の医薬組成物。
[6] 前記渦鞭毛藻が、Symbiodinium sp.である、[4]または[5]記載の組成物。
[7] 前記渦鞭毛藻抽出物が、ペリジニンを含む、[4]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 渦鞭毛藻抽出物を対象に投与することを含む、メラニン産生抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、渦鞭毛藻抽出物を含有する、メラニン産生抑制剤が提供される。渦鞭毛藻抽出物はメラニン産生抑制効果を有するため、本発明の一態様において、渦鞭毛藻抽出物を含む組成物は、美白用の化粧料組成物として使用することができる。また、渦鞭毛藻抽出物はメラニン産生抑制効果を有するため、本発明の別の態様において、渦鞭毛藻抽出物を含む組成物は、美白用または癌などのメラニン産生に関連する疾患処置用の医薬組成物として使用することができる。また、本発明の別の態様として、渦鞭毛藻抽出物を用いたメラニン抑制方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】α-MSH未刺激条件下におけるB16細胞の倒立型位相差顕微鏡像を示す。
【
図2】α-MSH刺激条件下におけるB16細胞の倒立型位相差顕微鏡像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメラニン産生抑制剤は、渦鞭毛藻抽出物を含有することを特徴とするものである。渦鞭毛藻抽出物は、渦鞭毛藻を抽出処理することにより得ることができる。
【0011】
本発明者は、渦鞭毛藻抽出物が、マウスB16メラノーマ細胞におけるメラニン産生を抑制することを見出した。渦鞭毛藻抽出物はメラニン産生抑制作用を有するため、本発明の一態様において、渦鞭毛藻抽出物を含む組成物は、美白用の化粧料組成物または美白用の医薬組成物として使用することができる。また、本発明の別の態様において、渦鞭毛藻抽出物を含む組成物は、癌などのメラニン産生に関連する疾患を処置するための医薬組成物として使用することができる。また、本発明は、渦鞭毛藻抽出物の色素沈着抑制用途に関するものであってよい。さらにまた、本発明は、渦鞭毛藻抽出物の食品用途に関するものであってよい。
【0012】
本明細書において、「メラニン産生抑制作用」または「メラニンの産生を抑制する」は、細胞または当該細胞を含む組織(例えば肌組織)、器官もしくは対象におけるメラニン産生を停止させること、メラニンの産生量が対照に比べて減少すること、メラニンの産生速度が対照に比べて減少することを含む。ここで、細胞は、メラニン産生能を有する細胞であり、例えば、正常なメラニン産生細胞(メラノサイト)またはがん化したメラニン産生細胞(例えばメラノーマ細胞)が含まれる。さらに、メラニンの産生が抑制されることにより、メラニンの沈着を抑制または防止することが期待される。
【0013】
本発明において、「メラニン産生に関連する疾患」は、癌および色素沈着症が挙げられる。本発明の一態様では、「メラニン産生に関連する疾患」は癌であり、例えばメラノーマが挙げられる。本発明の別の態様において、「メラニン産生に関連する疾患」は色素沈着症であり、例えば、老人性色素班、炎症性色素沈着症、そばかす、後天性真皮メラニン色素沈着症、過多色素沈着などを含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本明細書において、「渦鞭毛藻抽出物」は、抽出方法、抽出溶媒、抽出された成分、または抽出物の形態を問わず、渦鞭毛藻を抽出することにより得られたあらゆる物質を含み得る。すなわち、「渦鞭毛藻抽出物」は、渦鞭毛藻の成分を取り出す際に、熱、アルコール、酸、塩基、酵素等の処理による抽出方法を通して得られた物質を含む。さらに、「渦鞭毛藻抽出物」は、渦鞭毛藻の成分を取り出して得られた物質を、その後、別の方法で加工または処理して得られるあらゆる物質をも含み得る。
【0015】
本発明に係る渦鞭毛藻抽出物は、渦鞭毛藻から、エタノールまたは水とエタノールの混合溶媒で抽出することにより得られることを特徴の一つとする。本発明の好ましい態様において、渦鞭毛藻抽出物は、渦鞭毛藻を培養して得られる渦鞭毛藻培養物をエタノールまたは水とエタノールの混合溶媒により抽出処置することにより得られる。
【0016】
渦鞭毛藻類はペニジリンを産生することが知られており、本発明において、ペリジニンを含有する渦鞭毛藻類を使用することができる。ペニジリンは下記構造を有するカロテノイドの1種である。
【化1】
【0017】
本発明において、渦鞭毛藻は、例えば、Symbiodinium属、Amphidinium属、Cochlodinium属、Gymnodinium属、Gyrodinium属、Erythropsodinium属、Hemidinium属、Katodinium属、Nematodinium属、Oxyrrhis属、Polykrikos属、Torodinium属、Warnowia属、Wolos zynskia属、Zooxanthella属、Adenoides属、Alexandrium属、Amyloodinium属、Ceratium属、Ceratocorys属、Crypthecodinium属、Cryptoperidiniopsis属、Fragilidium属、Glenodiniopsis属、Gloeodinium属、Gonyaulax属、Heterocapsa属、Kryptoperidinium属、Lepidodinium属、Lingulodinium属、Pentapharsodinium属、Peridinium属、Pfiesteria属、Polarella属、Prorocentrum属、Protoceratium属、Pyrocystis属、Pyrodinium属、Scrippsiella属、Thoracosphaera属、Cachonina属、Coolia属、Diplosalis属、Ensiculifera属、Gambierdiscus属、Gessnerium属、Glenodinium属、Heteraulacus属、Karenia属、Ostreopsis属、Podolampas属、Protogonyaulax属、Protoperidinium属、またはTriadinium属の渦鞭毛藻を使用することができる。
本発明において、渦鞭毛藻はSymbiodinium属由来のものが好ましい。Symbiodinium属由来の渦鞭毛藻としては、Symbiodinium sp.が好ましい。
本発明において、渦鞭毛藻は、海水もしくは淡水または海洋動物もしくは海洋植物などの天然物から単離したものを用いてもよいし、既存の細胞株または細胞株由来のものを用いてもよい。
【0018】
渦鞭毛藻の培養
渦鞭毛藻を適切な培養条件下で培養することができる。
渦鞭毛藻の培養に用いる培地は、特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。例えば、用いる渦鞭毛藻類が生育する環境に応じて、海水もしくは淡水、または当該海水もしくは淡水をベースとした栄養強化培地を選択することができる。あるいは、渦鞭毛藻の培養には、合成培地を用いることができる。
渦鞭毛藻の培養に用いる培地の例として、塩類濃度30~35%、pH7.5~8.3の海水を加熱や濾過などの常法により殺菌または滅菌した後、炭素源、窒素源、ビタミン類などの微量栄養素や金属類など、培養する渦鞭毛藻の生育に適した成分を添加したものが挙げられる。
また、培地は、水で希釈して塩濃度を通常濃度の1/2~1/4に減少させてもよく、あるいは濃縮して通常の塩濃度の2倍に増加させてもよい。
【0019】
培養は、広いpH範囲、すなわち、pH約5.0~9.0、好ましくはpH約6.0~8.0に渡って行うことができる。必要であれば、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムや塩酸などを用い、pHを調整してもよい。
【0020】
培養には、樹脂、ガラス、ステンレス等の培養容器または培養槽を用いることができる。
培養温度は、10℃~35℃の範囲、好ましくは、約20~30℃の範囲で調整することができる。
【0021】
培養中は、攪拌、振とう、通気、光照射などをしてもよい。攪拌には、各種形状の攪拌翼やマグネティックスターラーを利用することがでる。攪拌または振とうは、例えば、1~400rpmの速度に設定することができる。
培養時間はとくに限定されないが、1日~10週間、好ましくは1~8週間、より好ましくは4週間~7週間である。
培養中は、段階的に培養ボリュームを増加してもよい。例えば、1~50mL程度の培養から開始し(前培養)、1~複数工程の前培養で増殖させた細胞を培養槽レベルで培養(本培養)することができる。
【0022】
上記のように渦鞭毛藻を培養して得られる渦鞭毛藻培養物を、渦鞭毛藻抽出物の製造に用いることができる。渦鞭毛藻培養物は、培養液または培養渦鞭毛藻を含む。本発明の好ましい態様において、渦鞭毛藻培養物は、培養液から回収された渦鞭毛藻(培養渦鞭毛藻)である。回収は、ろ過、遠心分離、凝集、デカンタ等の当業者に公知の手段により、培養上清から渦鞭毛藻を分離すればよい。本発明の渦鞭毛藻培養物は、培地成分を除去するために、水や食塩水、またはエタノールもしくはエタノールと水の混合溶媒などで洗浄してもよい。
本発明の一態様において、渦鞭毛藻培養物は、直ちに抽出処理することができる。また、本発明の別の態様において、渦鞭毛藻培養物は、流動乾燥、真空乾燥または凍結乾燥等のさらなる工程よって、任意の残余水分を除去してもよい。
また、本発明の別の態様において、渦鞭毛藻培養物は冷凍してもよい。さらに、本発明の別の態様において、抽出効率を高めるために、渦鞭毛藻培養物は、粉砕処理またはホモジェナイズしてもよい。
【0023】
渦鞭毛藻抽出物の作製
本発明において、渦鞭毛藻培養物の抽出処理に用いる抽出溶媒は、エタノールまたはエタノールと水の混合溶媒が用いられる。したがって、本発明に係る渦鞭毛藻抽出物は、エタノール抽出物であるといえる。
【0024】
抽出溶媒が、水とエタノールとの混合溶媒である場合、混合溶媒の総重量に対するエタノールの含有割合は、例えば1~99.9重量%、好ましくは30~99重量%、さらに好ましくは50~95重量%の割合が挙げられる。本発明の好ましい態様において、抽出溶媒は、65重量%エタノールである。
【0025】
抽出溶媒は、乾燥させた渦鞭毛藻培養物で換算した場合、乾燥渦鞭毛藻培養物100g当たり約1~10リットルの割合で用いることができる。
【0026】
抽出処理は、反応容器中において抽出溶媒に渦鞭毛藻培養物を接触させ、その後、固形分を除去すればよい。接触は、例えば、約0~約100℃、好ましくは約5~約50℃、より好ましくは約15~約30℃または室温で、約1分~約24時間、好ましくは約3分~約6時間、より好ましくは約5分~約6時間、静置又は撹拌することを含む。抽出効率を高めるために、渦鞭毛藻培養物に抽出溶媒を添加した後に各種形状の攪拌翼やマグネティックスターラーを利用して攪拌または振とうすることが好ましい。
また、大規模生産の場合であれば渦鞭毛藻培養物を充填したセルに抽出溶媒を通過させて渦鞭毛藻抽出液を得ることもできる。
また抽出効率を高めるために、抽出処置は1回以上、複数回抽出してよく、好ましくは1~5回、より好ましくは3回行うことが好ましい。
【0027】
本発明の別の態様において、渦鞭毛藻培養物の代わりに、上記培養工程を経ない渦鞭毛藻を用いて抽出工程を実施してもよい。例えば、天然の渦鞭毛藻を回収し、抽出溶媒で抽出して、本発明に係る渦鞭毛藻抽出物を得ることができる。
【0028】
固形分の除去は、ろ過、遠心分離、凝集、デカンタ等の当業者に公知の手段により実施することができる。
【0029】
また、得られた抽出物は、蒸留、流動乾燥、真空乾燥または凍結乾燥等によって、水分およびエタノールを除去してもよいし、濃縮させてもよい。
本発明の一態様において、渦鞭毛藻抽出物は、抽出処理後の液体状態の抽出物をそのまま使用することができる。本発明の別の態様において、濃縮物や乾燥物の状態の渦鞭毛藻抽出物を使用することもできる。本発明の別の態様において、濃縮物または乾燥物を、適当な溶剤に再溶解または再懸濁した渦鞭毛総抽出物を使用することもできる。
【0030】
このようにして得られる本発明に係る渦鞭毛藻抽出物には、ペニジリンが含まれる。本発明の好ましい態様において、渦鞭毛藻抽出物には、0.001~50重量%、好ましくは0.005~30重量%、より好ましくは0.01~10重量%のペニジリン(例えば、0.01重量%、0.1重量%、0.66重量%、または1重量%のペニジリン)が含有されてもよい。
ペニジリンの含有量は、液体高速クロマトグラフィー、マススペクトルなどにより測定することができる。
【0031】
メラニン産生抑制剤、化粧料組成物、医薬組成物および食品組成物
渦鞭毛藻抽出物はメラニン産生抑制作用を有するため、渦鞭毛藻抽出物は、メラニン産生抑制剤として使用することができる。渦鞭毛藻抽出物を含むメラニン産生抑制剤または組成物は、化粧料、食品および医薬分野に適用することができる。
本発明に係るメラニン産生抑制剤および組成物は、渦鞭毛藻抽出物をそのまま使用してもよいし、賦形剤等の添加剤を加えて製剤化した形態であってもよい。
【0032】
渦鞭毛藻抽出物を含む本発明の組成物において、液状、固形状、粉末状、ペースト状等いずれの形状の渦鞭毛藻抽出物を使用することができ、本発明を実施する上で最適な形状を任意に選択することができる。
【0033】
本発明の組成物は、化粧料組成物として使用することができる。本発明の化粧料組成物は、メラニン産生抑制作用を有する渦鞭毛藻抽出物を含むため、美白用途または色素沈着抑制もしくは防止用途に使用することができる。
【0034】
本発明の化粧料組成物は、化粧品分野で使用されるいずれの形態・剤形であってもよい。本発明の化粧料組成物は、局所または全身用の皮膚外用剤や、頭皮または頭髪に適用する製剤、浴槽に投じて使用する浴用剤、消臭剤、制汗剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等として使用することができる。
【0035】
本発明の化粧料組成物または医薬組成物は、エタノールなどの各種アルコール、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水溶性増粘剤、トコフェロール、アスコルビン酸、それらの誘導体などのビタミン類、防腐剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、顔料、パール化剤、植物抽出エキス、金属イオン封鎖剤、香料、pH調整剤などを目的に応じて適宜配合することができる。以下に剤形に即した添加剤の例を示すが、単なる例示であって、これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明に係る化粧料組成物の剤形が、ペースト、クリーム、またはゲルである場合には、添加剤として、例えば、動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、または酸化亜鉛などを使用することができる。
【0037】
本発明の化粧料組成物の剤形が、パウダーまたはスプレーである場合には、添加剤として、例えば、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、またはポリアミドパウダーを使用することができる。特にスプレーの場合には、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン、またはジメチルエーテルをさらに含んでもよい。
【0038】
本発明の化粧料組成物の剤形が、溶液または乳濁液である場合には、添加剤として、例えば、溶媒、溶媒和剤、または乳濁剤を使用することができる。添加剤の例として、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3‐ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、またはソルビタンの脂肪酸エステルが含まれる。
【0039】
本発明の化粧料組成物の剤形が、懸濁液である場合には、添加剤として、例えば、水、エタノール、またはプロピレングリコールといった液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、およびポリオキシエチレンソルビタンエステルといった懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー、またはトラガカントなどを使用することができる。
【0040】
本発明の化粧料組成物を、界面活性剤含有クレンジング用途で用いる場合には、添加剤として、例えば、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、またはエトキシ化グリセロール脂肪酸エステルなどを使用することができる。
【0041】
本発明の化粧料組成物は、スティック状、ケーキ状、シート状、多面体形状、粉状等の形態であってもよい。また、本発明の一態様において、本発明に係る化粧料組成物は、皮膚外用剤として使用しても良い。皮膚外用剤は、皮膚外部において塗布され得るあらゆるものの剤形であってよく、多様な剤形の化粧料がこれに含まれ得る。
【0042】
本発明の化粧料組成物は、渦鞭毛藻抽出物以外に、一般的な化粧料組成物に含まれる物質をさらに含むことができる。そのような物質として、例えば、ビタミン類、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質、および海草エキス等が挙げられる。また、本発明の別の態様において、そのような物質として、例えば、脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機および無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水等が挙げられる。
【0043】
本発明の化粧料組成物は、目的または使用対象に応じて、剤形を選択することができる。1日に体重1kgあたり渦鞭毛藻抽出物の乾燥重量として0.01~1000mg、0.01~600mg、0.05~500mg、好ましくは0.1~100mgの量で投与されるように、1回ないし数回に分けて投与してよい。特定の対象に対する投与量は、対象の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率等に応じて変化してもよい。
【0044】
本発明の組成物は、医薬組成物として使用することができる。本発明の医薬組成物は、メラニン産生抑制作用を有する渦鞭毛藻抽出物を含むため、美白用途または色素沈着抑制もしくは防止用途に用いることができる。また、本発明の別の態様において、本発明の医薬組成物は、メラニン産生に関連する疾患を処置するために用いることができる。本明細書において、好ましい「メラニン産生に関連する疾患」は、メラノーマまたは色素沈着症である。
【0045】
本発明の医薬組成物は、経口または非経口の様々な剤形であってよい。製剤化する場合には、医薬的に許容可能な賦形剤、充填剤、増量剤、希釈剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、安定剤、溶解補助剤等、滑沢剤、緩衝剤、保存剤、界面活性剤、香料、顔料等の添加剤を使用して調剤される。また、甘味剤、芳香剤、保存剤なども使用することができる。当業者は、通常使用される添加剤の中から適切な添加剤を選択し、調剤することができる。
【0046】
本発明の一態様において、経口投与のための製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、細粒、軟質または硬質カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン、乳剤、シロップ、エアロゾル、舌下剤などが含まれる。これらの製剤には、たとえば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどの賦形剤を使用することができる。また、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も使用される。
【0047】
本発明の別の態様において、非経口投与のための製剤には、注射剤、軟膏、クリーム、懸濁剤、凍結乾燥製剤、坐剤、バップ剤、湿布剤、スプレー剤などが含まれる。これらの製剤には、滅菌水、滅菌生理食塩水、水性溶剤、非水性溶剤、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、オレイン酸エチルなどを使用することができる。坐剤等の基剤としては、ウィテプゾール、マクロゴール、トゥイーン、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを使用しても良い。
【0048】
本発明の一態様において、本発明に係る医薬組成物は、皮膚外用剤として使用しても良い。皮膚外用剤は、皮膚外部において塗布され得るあらゆるものの剤形であってよく、多様な剤形の医薬組成物がこれに含まれ得る。
【0049】
本発明の医薬組成物は、対象に非経口投与または経口投与することができる。1日に体重1kgあたり渦鞭毛藻抽出物の乾燥重量として0.01~1000mg、0.01~600mg、0.05~500mg、好ましくは0.1~100mgの量で投与されるように、1回ないし数回に分けて投与してよい。特定の対象に対する投与量は、対象の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率、疾患の重症度等に応じて適宜調整することができる。非経口投与として、経皮、経腸、静脈、筋肉、皮下投与、局所などが挙げられる。
本発明の渦鞭毛藻抽出物の含有量としては、本発明の効果を有することが確認できる範囲であれば特に制限はないが、一般的には渦鞭毛藻抽出物の乾燥重量が、各組成物中の0.0001~20質量%、好ましくは0.001~15質量%の範囲であって、最も好ましくは0.01~10質量%の範囲である。
【0050】
本発明の医薬組成物は、渦鞭毛藻抽出物に加え、1以上の医薬的な活性な成分を含むことができる。1以上の医薬的に活性な成分は、当業者であれば、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
本発明の一態様において、対象は、ラット、マウス、ハムスター、イヌ、ネコ、ヒトなどの哺乳動物が挙げられる。
【0052】
本発明の組成物は、食品組成物、例えば、健康機能食品組成物として使用することができる。本発明の食品組成物は、メラニン産生抑制作用を有する渦鞭毛藻抽出物を含むため、美白用途または色素沈着抑制もしくは防止用途に使用することができる。
【0053】
本発明の食品組成物は、特に限定されないが、たとえば、あめ、ガム、ゲル、チョコレート、スナック菓子、キャラメル、バービスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓類、菓子類などの各種食品類、清涼飲料、ミネラルウォーター、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料などの飲料製品、そば、うどん等の麺類、水産・畜産加工食品、乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食、調味料、レトルトパウチ食品、種々の形態の健康食品や栄養補助食品、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ等の医薬部外品が含まれる。
【0054】
本発明の食品組成物は、目的または使用対象に応じて、形態を選択することができる。本発明の食品組成物は、渦鞭毛藻抽出物に加え、食品分野において通常的に使用される物質を、剤形または使用目的に応じて、当業者が適宜選択して製造することができる。
【0055】
本発明の食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物、合成風味剤および天然風味剤などの風味剤、着色剤および増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、色素、香料、保存剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含んでよい。
【0056】
本発明の食品組成物は、1日に体重1kgあたり渦鞭毛藻抽出物の乾燥重量として0.01~1000mg、0.01~600mg、0.05~500mg、好ましくは0.1~100mgの量で投与されるように、1回ないし数回に分けて投与してよい。特定の対象に対する投与量は、対象の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率等に応じて変化してもよい。
【0057】
また、本発明は、渦鞭毛藻抽出物を用いることを特徴とする、メラニン産生抑制方法を提供する。渦鞭毛藻抽出物を用いることにより、対象におけるメラニンの産生を抑制することができる。さらに、本発明は、渦鞭毛藻抽出物を用いることを特徴とする、美白方法または色素沈着抑制もしくは防止方法を提供することができる。本発明の方法の一態様において、渦鞭毛藻抽出物は、そのまま用いてもよいし、本発明のメラニン産生抑制剤、医薬組成物、化粧料組成物または食品組成物を用いてもよい。 また、本発明の方法の一態様において、「渦鞭毛藻抽出物を用いる」は、渦鞭毛藻抽出物を対象に接触させること、あるいは渦鞭毛藻抽出物の有効量を対象に投与することを含む。本明細書において、投与は塗布を含む。投与経路および有効量は、本発明の組成物の記載を参照することができる。
【0058】
本発明に一態様よれば、有効量の本発明に係る渦鞭毛藻抽出物または本発明の化粧料組成物もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む、メラニン産生抑制方法または美白もしくは色素沈着抑制もしくは防止方法が提供される。
【0059】
また、本発明において、渦鞭毛藻抽出物は、メラニン産生抑制作用を有する。したがって、渦鞭毛藻抽出物または渦鞭毛藻抽出物を含む医薬組成物を対象に投与することによって、メラニン産生に関連する疾患を処置することが可能である。したがって、本発明の別の態様によれば、有効量の本発明に係る渦鞭毛藻抽出物または本発明の化粧料組成物もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む、メラニン産生に関連する疾患の処置方法が提供される。
渦鞭毛藻抽出物の有効量は、本発明の化粧料組成物、医薬組成物または食品組成物の記載を参照することができる。
【実施例0060】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
実施例1.検体の調製
(1)渦鞭毛藻の培養
渦鞭毛藻であるSymbiodinium sp.OTCL2A株を、ヒメシャコガイTridacna croceaから単離した。当該OTCL2A株を、ES培地中、25℃で40日間培養した。132Lの培養液から得られたOTCL2A株細胞の培養物82.0gを-80℃で凍結し、保存した。
(2)渦鞭毛藻培養物のエタノール抽出
(1)で得られた冷凍Symbiodinium sp.を65%エタノールで5分、20℃(もしくは室温)で抽出処理を3回繰り返し、抽出物をロータリーエバポレーターでエタノールを除去し、凍結乾燥により水分除去し乾固した。乾固した渦鞭毛藻抽出物を実施例2の検体として用いた。得られた渦鞭毛藻抽出物には、ペリジニンが0.66%含有された。
【0062】
実施例2.B16細胞メラニン産生抑制試験
マウスB16メラノーマ細胞(以下、「B16細胞」ともいう)は、日焼けやシミの原因となるメラニンを産生する特徴を有する。このため、B16細胞は、メラニン産生の細胞モデル系として、日焼けやシミなどの研究に広く用いられている。また、α-メラノサイト刺激ホルモン(以下、「α-MSH」ともいう)は、メラニン細胞やB16細胞のチロシナーゼを活性化させ、メラニン産生を促進することが知られている。
実施例1では、本発明の渦鞭毛藻抽出物によるB16細胞のメラニン産生への影響を検討した。詳しくは、B16細胞が産生するメラニン量を測定し、未処置対照のメラニン産生量に対する本発明の渦鞭毛藻抽出物処理時のメラニン産生量からメラニン産生率を求め、本発明の渦鞭毛藻抽出物によるメラニン産生への影響を、α-MSH刺激または未刺激条件下において検討した。
【0063】
(1)試験液の調製
実施例1で製造した渦鞭毛藻抽出物(検体)を100%エタノールに、検体50mgにエタノール1mLの割合で懸濁させ、振とう機を用いて20時間連続振とうした後、遠心分離(3000g、5分間)し、上清を分取した。これを50mg/mL試験液原液とした。50mg/mL試験液原液を、B16細胞培養用の培地で希釈し、検体濃度125、62.5および31.3μg/mLの試験液を調製した。
【0064】
(2)試験操作
B16細胞(B16 melanoma 4A5:理化学研究所バイオリソースセンター)の培養には、DMEM培地(10 vol%牛胎児血清、1 vol%Penicillin-Streptomycin)を用いた。
B16細胞を24ウェルプレートに播種し、1日間培養後、500、250および125μg/mLの各試験液を、終濃度が125、62.5および31.3μg/mLとなるように添加した。また、同時に、α-MSH刺激条件では、α-MSH(富士フィルム和光純薬株式会社)を終濃度5μmol/Lとなるように添加した。培地のみを添加したものを未処置対照として同様に試験を行った。さらに3日間培養後、倒立型位相差顕微鏡で細胞の観察及び撮影をした。また、24ウェルプレートの培養上清を除去し、1mol/L水酸化ナトリウム溶液を各ウェルに加え、80℃で1時間加温し、B16細胞に蓄積したメラニンを抽出した。
【0065】
(3)メラニン産生の測定方法
マイクロプレートリーダー(SpectraMax M2e, Molecular Devices Corporation)を用いて、抽出したメラニンの吸光度を405 nmにて測定した。
【0066】
(4)メラニン産生率の算出方法
未処置対照の吸光度に対する各試験液の吸光度から、次式によりメラニン産生率を算出した。
【0067】
(5)試験結果
B16細胞の顕微鏡像を
図1(α-MSH未刺激条件下)および
図2(α-MSH刺激条件下)に示す。
メラニン産生率を
図3(α-MSH未刺激条件下)および
図4(α-MSH刺激条件下)、表1に示す。
【0068】
【0069】
測定の結果、α-MSH未刺激刺激条件下および刺激条件下の両方において、渦鞭毛藻抽出物は用量依存的にメラニンの産生を抑制した。この結果は、渦鞭毛藻の抽出物は、メラニン産生抑制効果を有することを示している。
また、α-MSH未刺激条件下において、渦鞭毛藻抽出物は用量依存的にメラニンの産生を抑制した。メラニン産生がα-MSHにより活性化されていない条件においても渦鞭毛藻抽出物がメラニンの産生を抑制したことから、渦鞭毛藻抽出物が優れたメラニン産生抑制作用を有することが示される
さらに、α-MSH刺激条件下では、α-MSH未刺激条件下に比べて、メラニン産生率が向上していた。このことは、渦鞭毛藻抽出物は、メラニン産生が活発な条件下で、より効果的にメラニン産生抑制効果を発揮し得ることを示す。
したがって、渦鞭毛藻抽出物は、美白効果やメラニン産生抑制効果に基づく、化粧品用途や医薬用途での適用が期待される。
本発明により、渦鞭毛藻抽出物を含有する、メラニン産生抑制剤が提供される。本発明の一態様として、渦鞭毛藻抽出物はメラニン産生抑制効果を有するため、渦鞭毛藻抽出物を含む組成物は、美白用の化粧料組成物として使用することができる。また、本発明の別の態様として、渦鞭毛藻抽出物はメラニン産生抑制効果を有するため、渦鞭毛藻抽出物を含む組成物は、美白用または癌などのメラニン産生に関連する疾患処置用の医薬組成物として使用することができる。また、本発明の別の態様として、渦鞭毛藻抽出物を用いたメラニン抑制方法が提供される。