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特開2022-111402有機ケイ素化合物、その製造方法、および硬化性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111402
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物、その製造方法、および硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20220725BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20220725BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20220725BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20220725BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20220725BHJP
   C08F 30/08 20060101ALI20220725BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20220725BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220725BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
C07F7/18 K CSP
C09D4/00
C09D183/04
C09J4/00
C09J183/04
C08F30/08
C08K5/5425
C08L101/00
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006795
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 成紀
(72)【発明者】
【氏名】浦田 稔
【テーマコード(参考)】
4F100
4H049
4J002
4J038
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4F100AG00B
4F100AH06A
4F100AK25A
4F100AK51A
4F100AK52A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100EH46A
4F100EJ67A
4F100JB13A
4F100JB14A
4F100JJ03
4F100JK12A
4F100JL11
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ30
4H049VR21
4H049VR22
4H049VR42
4H049VR43
4H049VS12
4H049VU17
4H049VU21
4H049VU23
4H049VW02
4J002AA021
4J002CK021
4J002EX036
4J002FD146
4J002FD150
4J002GH01
4J002GJ01
4J038DL051
4J038DL121
4J038FA211
4J038FA212
4J038FA281
4J038FA282
4J038GA15
4J038JC32
4J038KA04
4J038KA06
4J038PA07
4J038PA17
4J040FA201
4J040FA202
4J040FA291
4J040GA02
4J040GA31
4J040HD32
4J040KA13
4J040MA05
4J100AL08P
4J100BA77P
4J100CA01
4J100CA23
4J100DA44
4J100FA19
4J100JA01
4J100JA03
(57)【要約】
【課題】硬化性組成物に添加することで基材への密着性に優れた硬化物を与える有機ケイ素化合物を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表される有機ケイ素化合物。
(R1は、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアシル基であり、R2は、アルキル基またはアリール基であり、R3は、水素原子またはメチル基であり、A1は、単結合またはアルキレン基であり、A2、A3、A4は、メチレン基または酸素原子であり、ただし、A2、A3およびA4のうち1個以上は、酸素原子であり、nは、1~3の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される有機ケイ素化合物。
【化1】
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数6~10のアリール基または炭素数1~20のアシル基であり、
2は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~10のアリール基であり、
3は、水素原子またはメチル基であり、
1は、単結合または非置換もしくは置換の炭素数1~20の二価炭化水素基であり、
2、A3、A4は、それぞれ独立に、非置換もしくは置換のメチレン基または酸素原子であり、ただし、A2、A3およびA4のうち1個以上は、酸素原子であり、酸素原子同士が隣り合うことはなく、
nは、1~3の整数である。)
【請求項2】
前記A1が、炭素数1~10のアルキレン基である請求項1記載の有機ケイ素化合物。
【請求項3】
前記A2および前記A4が、メチレン基であり、前記A3が、酸素原子である請求項1または2記載の有機ケイ素化合物。
【請求項4】
下記式(3)で表されるハロゲン基含有有機ケイ素化合物と、下記式(4)で表される金属塩化合物とを反応させる請求項1~3のいずれか1項記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【化2】
(式中、R1、R2、R3、A1、A2、A3、A4およびnは、上記と同じであり、Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Mは、アルカリ金属である。)
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項記載の有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物。
【請求項6】
請求項5記載の硬化性組成物からなるコーティング剤。
【請求項7】
請求項5記載の硬化性組成物からなる接着剤。
【請求項8】
請求項5記載の硬化性組成物が硬化してなる硬化物。
【請求項9】
請求項6記載のコーティング剤が硬化してなる被覆層を有する物品。
【請求項10】
請求項7記載の接着剤が硬化してなる接着層を有する物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物、その製造方法および硬化性組成物に関し、さらに詳述すると、分子内に加水分解性シリル基および重合性基を有する有機ケイ素化合物、その製造方法、該化合物を含む硬化性組成物、並びに該組成物の硬化物からなる被覆層を有する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
シランカップリング剤は、無機物に対する反応性を有する部分(Si原子に結合した加水分解性基)と、有機物に対する反応性、溶解性およびラジカル重合性等の各種機能を付与可能な部分とを一分子内に併せ持つ化合物であり、無機物と有機物との界面の接着助剤や、無機-有機複合材料への樹脂改質剤として作用するため、複合樹脂改質剤として広く利用されている。
その中でも、重合性基を有するシランカップリング剤は、(メタ)アクリル樹脂の樹脂改質剤、(メタ)アクリルポリマーをベースとする粘着剤の接着助剤等に用いられている。
しかし、従来の重合性基を有するシランカップリング剤を用いたプライマー組成物や、重合性基を有するシランカップリング剤を含む接着剤組成物は、種々の基材への密着性が十分でないことが課題であった。
【0003】
一方で、種々の基材への密着性に優れた硬化物を与える組成物を形成できる重合性化合物として、同一分子内にアリルエーテル部位とアクリロイル基を有する化合物が報告されている(特許文献1および2)。この化合物は、ラジカル重合機構によって環化重合する性質を持ち、この化合物を含む組成物の硬化特性や、硬化後物性は、従来の重合性化合物を含むものよりも優れている。
【0004】
重合性基を有するシランカップリング剤としても、アクリロイル基またはα置換基がメチル基のメタクリロイル構造を持ったものが知られているが、α置換基の異なるシランカップリング剤の例は少ない。特に、上述したような同一分子内にアルケニルエーテル部位とアクリロイル基を有し、環化重合性を示すようなシランカップリング剤の報告例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-074068号公報
【特許文献2】特開2011-137123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、硬化性組成物に添加することで基材への密着性に優れた硬化物を与える有機ケイ素化合物、その製造方法、該化合物を含む硬化性組成物、コーティング剤、接着剤および硬化物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、一分子内に加水分解性シリル基とアルケニルエーテル部位とアクリロイル基を有する有機ケイ素化合物およびその製造方法を見出すとともに、この有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物が、基材への密着性に優れた硬化物を与えるため、コーティング剤や接着剤として好適であることを見出し、本発明を成すに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記有機ケイ素化合物、その製造方法、硬化性組成物、コーティング剤、接着剤および物品を提供する。
〔1〕
下記式(1)で表される有機ケイ素化合物。
【化1】
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数6~10のアリール基または炭素数1~20のアシル基であり、
2は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~10のアリール基であり、
3は、水素原子またはメチル基であり、
1は、単結合または非置換もしくは置換の炭素数1~20の二価炭化水素基であり、
2、A3、A4は、それぞれ独立に、非置換もしくは置換のメチレン基または酸素原子であり、ただし、A2、A3およびA4のうち1個以上は、酸素原子であり、酸素原子同士が隣り合うことはなく、
nは、1~3の整数である。)
〔2〕
前記A1が、炭素数1~10のアルキレン基である〔1〕記載の有機ケイ素化合物。
〔3〕
前記A2および前記A4が、メチレン基であり、前記A3が、酸素原子である〔1〕または〔2〕記載の有機ケイ素化合物。
〔4〕
下記式(3)で表されるハロゲン基含有有機ケイ素化合物と、下記式(4)で表される金属塩化合物とを反応させる〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【化2】
(式中、R1、R2、R3、A1、A2、A3、A4およびnは、上記と同じであり、Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Mは、アルカリ金属である。)
〔5〕
〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物。
〔6〕
〔5〕記載の硬化性組成物からなるコーティング剤。
〔7〕
〔5〕記載の硬化性組成物からなる接着剤。
〔8〕
〔5〕記載の硬化性組成物が硬化してなる硬化物。
〔9〕
〔6〕記載のコーティング剤が硬化してなる被覆層を有する物品。
〔10〕
〔7〕記載の接着剤が硬化してなる接着層を有する物品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一分子内に加水分解性シリル基とアルケニルエーテル部位とアクリロイル基を有する有機ケイ素化合物が提供される。該有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物は、種々の基材への密着性に優れるため、該硬化性組成物は、コーティング剤、接着剤など各種用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明において、「シランカップリング剤」は、「有機ケイ素化合物」に含まれる。
【0011】
[有機ケイ素化合物]
本発明の有機ケイ素化合物は、下記式(1)で表される。
【0012】
【化3】
【0013】
1は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数6~10のアリール基または炭素数1~20のアシル基である。
具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、シクロアルキル基等の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基;ビニル、アリル、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基等のアリール基;ホルミル、アセチル、プロピオニル基等のアシル基が挙げられ、これらの中でも、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは1~6のアルキル基であり、メチル基、エチル基がさらに好ましい。
【0014】
2は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~10のアリール基である。
具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基;フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基等のアリール基が挙げられ、これらの中でも、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは1~6のアルキル基であり、メチル基、エチル基、フェニル基がさらに好ましい。
3は、水素原子またはメチル基である。
【0015】
1は、単結合または非置換もしくは置換の炭素数1~20の二価炭化水素基であり、A1の二価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~20、好ましくは1~6のアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数2~10のアルケニレン基、炭素数6~10のアリーレン基、炭素数7~10のアラルキレン基等が挙げられる。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;ビニレン、プロペニレン基等のアルケニレン基;フェニレン、トリレン、キシリレン、ナフチレン基等のアリーレン基、ベンジレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレン基等のアラルキレン基などが挙げられる。
【0016】
2、A3、A4は、それぞれ独立に、非置換もしくは置換のメチレン基または酸素原子であり、ただし、A2、A3およびA4のうち1個以上は、酸素原子であるが、酸素原子同士が隣り合うことはない。置換メチレン基としては、メチルメチレン、ジメチルメチレン基等が挙げられる。
nは、1~3の整数である。
【0017】
本発明の有機ケイ素化合物は、下記式(2)で示されるものが好ましい。
【0018】
【化4】
(式中、R1、R2、R3、A2、A3、A4およびnは、上記と同じであり、mは、1~10の整数を表す。)
【0019】
2、A3、A4は、A2およびA4がメチレン基であり、A3が酸素原子であることが好ましい。
mは、1~10の整数であり、2~10の整数が好ましく、特に2~6の整数がより好ましい。
【0020】
従って、本発明の有機ケイ素化合物は、下記式(5)で示されるものがより好ましい。
【0021】
【化5】
(式中、R1、R2、mおよびnは、上記と同じである。)
【0022】
このような有機ケイ素化合物の具体例としては、下記式(6)~(9)で示されるものが挙げられる。
【0023】
【化6】
(式中、Meは、メチル基、Etは、エチル基を表す。)
【0024】
本発明の有機ケイ素化合物の動粘度は、特に限定されるものではないが、0.1~1000mm2/sが好ましく、0.5~100mm2/sが好ましく、1~10mm2/sがより好ましい。なお、動粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定した値である。
【0025】
本発明の有機ケイ素化合物は、例えば、下記式(3)で表されるハロゲン基含有有機ケイ素化合物と、下記式(4)で表される金属塩化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0026】
【化7】
(式中、R1、R2、R3、A1、A2、A3、A4およびnは、上記と同じであり、Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Mは、アルカリ金属である。)
【0027】
Mのアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0028】
上記式(3)で表されるハロゲン基含有有機ケイ素化合物の具体例としては、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルジメチルメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3-クロロプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0029】
上記式(4)で表される金属塩化合物の具体例としては、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸カリウム等が挙げられる。
【0030】
上記式(3)で表されるハロゲン基含有有機ケイ素化合物と、上記式(4)で表される金属塩化合物とは、モル比として、ハロゲン基含有有機ケイ素化合物:金属塩化合物=1.0:0.3~1.0:3.0、特に1:0.8~1:1.2の割合で反応させることが好ましい。
【0031】
本発明の有機ケイ素化合物の製造時には、重合禁止剤を添加することが好ましく、重合禁止剤とともに、分子状酸素含有ガスを共存させることがより望ましい。上記分子状酸素含有ガスとしては、通常、窒素等の不活性ガスで希釈された空気または酸素ガスが用いられ、取扱い設備内に吹き込まれる。
【0032】
上記重合禁止剤としては、ラジカル重合性単量体用の重合禁止剤を用いることができ、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、p-メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、6-t-ブチル-2,4-キシレノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール系禁止剤;有機酸銅塩;フェノチアジン等を挙げることができる。これらの中では、低着色、重合防止能力の点でフェノール系禁止剤が好ましく、入手性、経済性の点から、中でもp-メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、6-t-ブチル-2,4-キシレノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールが好ましい。
これらの重合禁止剤は、1種単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0033】
重合禁止剤の添加量は、特に限定されないが、上記式(4)で表される金属塩化合物の質量を基準にして100~100,000ppm程度である。
【0034】
本発明の有機ケイ素化合物製造時には、必要に応じて、相関移動触媒等の触媒を使用してもよい。相関移動触媒の具体例としては、4級ホスホニウム塩類、4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
4級ホスホニウム塩類としては、塩化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、ヨウ化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化トリフェニルベンジルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。
4級アンモニウム塩類としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化トリメチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化トリメチルフェニルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム、塩化N-ラウリルピリジニウム、塩化N-ベンジルピコリニウム、塩化N-ラウリル4-ピコリニウム、塩化N-ラウリルピコリニウム、トリカプリルメチルアンモニウムクロライド、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム、およびテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート等が挙げられる。
【0035】
触媒を用いる場合の使用量は、特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記式(3)で示されるハロゲン基含有有機ケイ素化合物に対し、触媒が0.1~10.0質量%、更に1.0~5.0質量%、特に2.0~4.0質量%が好ましい。
【0036】
本発明の有機ケイ素化合物の製造時には、必要に応じて、溶媒を使用してもよく、溶媒は、原料であるハロゲン基含有有機ケイ素化合物と、金属塩化合物とに対して非反応性であれば特に制限されない。
具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0037】
上記反応における反応温度は、特に限定されるものではなく、0℃から加熱下で行うことができるが、0~200℃が好ましい。適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、このような観点から、反応温度は40~110℃がより好ましく、40~90℃がより一層好ましい。
また、反応時間も、特に限定されるものではなく、通常、1~30時間程度であるが、1~20時間が好ましく、1~10時間がより好ましい。
【0038】
本発明の有機ケイ素化合物の製造時に発生したアルカリ金属ハライドは、濾過等の公知の方法により、目的とする有機ケイ素化合物から分離することができる。本発明の有機ケイ素化合物は、減圧蒸留、液体カラムクロマトグラフィー等の公知の方法により更に精製することができる。
【0039】
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物を含有する。
本発明の有機ケイ素化合物は、硬化性組成物に添加することにより、該組成物を硬化することで得られる硬化物の各種基材への密着性を向上させることができるため、本発明の硬化性組成物は、コーティング剤組成物および接着剤組成物として有用である。
本発明の有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物、コーティング剤組成物および接着剤組成物(以下、まとめて組成物という場合がある)において、上記有機ケイ素化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、組成物中に0.1~50質量%程度が好ましく、0.5~30質量%がより好ましい。なお、組成物中に溶剤を含む場合、上記含有量は、溶剤を除いた不揮発分を意味する。
【0040】
本発明の組成物は、主剤(ベース樹脂)として、有機樹脂を含むものが好ましい。
有機樹脂としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート類およびポリカーボネートブレンド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、重合性反応基含有ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのブレンド樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂等が挙げられる。
なお、用いる有機樹脂に応じて適宜な硬化剤を配合してもよく、例えば、エポキシ樹脂を用いる場合には、イミダゾール化合物等の硬化剤や、重合性反応基含有ポリフェニレンエーテル樹脂を用いる場合には、過酸化物等の硬化剤を配合することができる。
【0041】
さらに、本発明の組成物には、上記有機ケイ素化合物に含まれる加水分解性基が、空気中の水分で加水分解縮合される反応を促進し、組成物の硬化を促進させる目的で、硬化触媒を配合することが好ましい。
【0042】
硬化触媒としては、一般的な湿気縮合硬化型組成物の硬化に用いられる硬化触媒であれば特に限定されるものではなく、その具体例としては、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド等のアルキル錫化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジバーサテート等のアルキル錫エステル化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラt-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル、およびチタンキレート化合物並びにそれらの部分加水分解物;ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、三水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコラート、アルミニウムアシレート、アルミニウムアシレートの塩、アルミノシロキシ化合物、アルミニウムキレート化合物等の有機金属化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、N,N’-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン、テトラメチルグアニジン等のアミン化合物およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリエトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジエトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシランおよびシロキサン;N,N,N’,N’,N”,N”-ヘキサメチル-N'''-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-ホスホリミディックトリアミド等のホスファゼン塩基を含有するシランおよびシロキサン等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
硬化触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、硬化速度を適切な範囲に調整して作業性を向上させることを考慮すると、主剤(ベース樹脂)成分100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。
【0044】
本発明の有機ケイ素化合物および樹脂、特に、ラジカル重合性基を有する樹脂を含む組成物は、加熱および/または電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射によりラジカル重合を開始し、硬化させることができるが、ラジカル開始剤を併用することにより、より効果的に硬化させることができる。
上記ラジカル開始剤としては、加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル開始剤と、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光ラジカル開始剤とがあり、通常ラジカル開始剤として用いられるものを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。また、必要に応じて、通常用いられるラジカル重合促進剤、光増感剤等を1種単独でまたは2種以上を組み合わせて添加することもできる。
【0045】
上記熱ラジカル開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系開始剤等が好適であり、具体的には、例えば、下記のものなどが挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m-トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-s-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-m-トルイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(m-トルイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン等が挙げられる。
【0046】
アゾ系開始剤としては、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
【0047】
なお、上記熱ラジカル開始剤とともに、ラジカル重合促進剤を用いることができる。使用できるラジカル重合促進剤としては、上記熱ラジカル開始剤の分解(開始ラジカルの発生)を促進するものであればよく、通常用いられるものを使用でき、特に限定されるものではない。例えば、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウム、セリウム、サマリウム等の金属の有機塩、無機塩、酸化物、または金属錯体;1級、2級、3級のアミン化合物;4級アンモニウム塩;チオ尿素化合物;ケトン化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ジメチルアニリン、トリエタノールアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ(2-ヒドロキシエチル)p-トルイジン、エチレンチオ尿素、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル等が挙げられる。
【0048】
上記光ラジカル開始剤としては、アルキルフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロメチル化トリアジン系化合物、ハロメチル化オキサジアゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、オキシムエステル系化合物、チタノセン系化合物、安息香酸エステル系化合物、アクリジン系化合物等が好適であり、具体的には、例えば、下記のものなどが挙げられる。
2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物等が挙げられる。
【0049】
なお、上記光ラジカル開始剤とともに、光増感剤やラジカル重合促進剤を使用することにより、感度や硬化性を向上できる。このような光増感剤やラジカル重合促進剤としては、通常用いられるものを使用することができ、特に限定されるものではない。色素系化合物、ジアルキルアミノベンゼン系化合物、メルカプタン系水素供与体等が好適であり、例えば、キサンテン色素、クマリン色素、3-ケトクマリン系化合物、ピロメテン色素等の色素系化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のジアルキルアミノベンゼン系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプタン系水素供与体などが挙げられる。
【0050】
上記ラジカル開始剤の添加量総量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、硬化性、分解物の悪影響、経済性のバランスの点から、本発明の有機ケイ素化合物100質量部に対して0.01~30質量部とすることが好ましい。より好ましくは0.05~20質量部、更に好ましくは0.1~15質量部である。
【0051】
上記ラジカル重合促進剤、光増感剤の添加量総量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、硬化性、経済性のバランス等から、本発明の有機ケイ素化合物100質量%に対して0.001~20質量%が好ましい。より好ましくは0.005~10質量%、更に好ましくは0.01~10質量%である。
【0052】
また、本発明の硬化性組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の成分を添加してもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、過酸化物の分解促進作用を有するドライヤー、その他の硬化促進剤、溶剤、反応性希釈剤、安定剤、バインダー樹脂、色材、分散剤、フィラー、密着向上剤、離型剤、レベリング剤、帯電防止剤等が挙げられる。
溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの溶剤を添加する場合、主剤(ベース樹脂)成分100質量部に対して、1~50質量部が好ましく、5~20質量部がより好ましい。
【0053】
以上説明した本発明のコーティング組成物を固体基材の表面に塗布し、硬化させて被覆層を形成することで被覆固体基材を得ることができる。
また、本発明の接着剤組成物を固体基材の表面に塗布し、さらにその上に他の固体基材を積層した後、本発明の組成物を硬化させて接着層を形成することで接着積層体を得ることができる。
【0054】
各組成物の塗布方法は、特に限定されず、その具体例としては、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、ローラーコート、刷毛塗り、バーコート、フローコート等の公知の方法から適宜選択して用いることができる。
【0055】
固体基材としては、特に限定されず、その具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート類およびポリカーボネートブレンド等のポリカーボネート樹脂、ポリ(メタクリル酸メチル)等のアクリル系樹脂、ポリ(エチレンテレフタレート)やポリ(ブチレンテレフタレート)、不飽和ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルのブレンド樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリエチレン樹脂等の有機樹脂基材;鉄板、銅板、鋼板等の金属基材;塗料塗布面;ガラス;セラミック;コンクリート;スレート板;テキスタイル;木材、石材、瓦、(中空)シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機フィラー;ガラス繊維をはじめとしたガラスクロス、ガラステープ、ガラスマット、ガラスペーパー等のガラス繊維製品、ガラス板等のガラス製品などが挙げられ、基材の形状については、特に限定されるものではない。
【0056】
[プライマー組成物]
本発明の有機ケイ素化合物を含む組成物は、基材への密着性を高めることができるため、種々の基材をコーティングする際のプライマー組成物として好適に用いることができる。
【0057】
本発明のプライマー組成物には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。
添加物の具体例としては、希釈溶媒、硬化触媒、生成する硬化被膜の引張特性を調整する物性調整剤、貯蔵安定性改良剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、滑剤、顔料等が挙げられる。
希釈溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などが挙げられ、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、希釈溶媒を用いる場合、上記有機ケイ素化合物の濃度は0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
【0058】
プライマー組成物の塗布方法も、特に限定されず、硬化性組成物と同様の方法を用いることができる。固体基材上にプライマー組成物を塗布してプライマー被膜を形成した後、プライマー被膜上にさらにコーティング剤、塗料等を塗布することで、硬化被膜を有する積層体を得ることができる。
固体基材としても、特に限定されず、硬化性組成物について説明したものと同じものを使用することができる。
【0059】
プライマー被膜上に塗布されるコーティング剤としては、従来公知のコーティング剤から適宜選択することができ、例えば、アクリル系コーティング剤、エポキシ系コーティング剤、ウレタン系コーティング剤、シリコーン系コーティング剤、ウレタンアクリレート系コーティング剤等が挙げられる。
【実施例0060】
以下、実施例および比較例を示して本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、下記例中、動粘度、比重、屈折率は、25℃において測定した値であり、部は、質量部である。この場合、動粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定した。比重は、JIS Z 8804に基づいて測定した。屈折率は、JIS K 0062に基づいて測定した。核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)測定は、BRUKER社製AVANCE III/ULTRASHIELD 400を用い、重クロロホルム中で測定した。また、ガスクロマトグラフィー(GC)分析は、以下の測定条件で行った。
GC装置:アジレントテクノロジー社製 6890N
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
カラム:HP-5 J-413(長さ30m×内径0.32mm、膜厚0.25μm)
カラム温度:50℃→10℃/分→300℃(10分保持)
測定時間 計35.0分
注入口温度:250℃
検出器温度:300℃
キャリアガス:He
キャリアガス流量:1.0mL/min
【0061】
[1]有機ケイ素化合物の合成
[実施例1-1]有機ケイ素化合物1の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸カリウム100.0g(0.55モル)、トルエン100g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.3g、臭化テトラブチルアンモニウム3.1gを納め、3-クロロプロピルトリメトキシシラン109.3g(0.55モル)を内温95~105℃で1時間かけて滴下した。その後、100℃で3時間撹拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、3-クロロプロピルトリメトキシシランの消失が確認された。得られた溶液を5mmHg、160℃の条件下で蒸留精製を行うことにより、動粘度4.57mm2/s、比重1.060、屈折率1.4442の無色透明液体(有機ケイ素化合物1)を120g得た。
1H-NMR測定により、得られた有機ケイ素化合物1は、上記式(6)で表される構造であることを確認した。
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.56-0.67(m,2H),1.66-1.80(m,2H),3.53(s,9H),3.92-4.00(d,2H),4.02-4.08(m,2H),4.16(s,2H),5.07-5.28(d,2H),5.77-5.91(d,2H),6.28(s,1H).
【0062】
[実施例1-2]有機ケイ素化合物2の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸カリウム100.0g(0.55モル)、トルエン100g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.3g、臭化テトラブチルアンモニウム3.1gを納め、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン100.5g(0.55モル)を内温95~105℃で1時間かけて滴下した。その後、100℃で3時間撹拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、3-クロロプロピルメチルジメトキシシランの消失が確認された。得られた溶液を5mmHg、158℃の条件下で蒸留精製を行うことにより、動粘度4.66mm2/s、比重1.024、屈折率1.4483の無色透明液体(有機ケイ素化合物2)を110g得た。
1H-NMR測定により、得られた有機ケイ素化合物2は、上記式(7)で表される構造であることを確認した。
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.09(s,3H),0.56-0.67(m,2H),1.66-1.80(m,2H),3.53(s,6H),3.92-4.00(d,2H),4.02-4.08(m,2H),4.16(s,2H),5.07-5.28(d,2H),5.77-5.91(d,2H),6.28(s,1H)
【0063】
[2]プライマー組成物および硬化被膜(硬化物品)の作製
[実施例2-1,2-2、比較例2-1,2-2]
表1に示す割合(質量部)で各成分を混合し、プライマー組成物を調製した。得られたプライマー組成物を、25℃、50%RHの空気下でガラス基材にフローコートし、80℃、5分乾燥させてプライマー被膜を得た。
25℃、50%RHの空気下で上記プライマー被膜上に、さらにバーコーターNo.20を用いてトップ塗料組成物を塗布した。トップ塗料組成物は、ルクシディア17-813(ウレタンアクリレート樹脂、DIC(株)製)に、Omnirad 184(IGM Resins B.V.製)を3質量%混合したものを用いた。80℃で10分間乾燥後に、UV照射(74mW/cm2)することで、硬化被膜を有する積層体を得た。
得られた硬化被膜について、下記の手法にて鉛筆硬度および密着性を測定し、評価した。結果を表1に併記する。
【0064】
〔鉛筆硬度(表面硬度)〕
JIS K5600-5-4に準じて750g荷重にて測定した。
【0065】
〔密着性〕
碁盤目剥離試験:JIS K 5400に準拠して行った。
煮沸試験後密着性:テストピースを100℃の熱湯に2時間含浸した後、碁盤目剥離試験を行った。
表1に示す評価結果は、100マスのうち剥離後に残った碁盤目のマスの数を示す。
【0066】
【表1】

・有機ケイ素化合物3:3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(KBM-503、信越化学工業(株)製)
・AOMA:2-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル((株)日本触媒製)
【0067】
上記の実施例および比較例の結果は、実施例1-1および1-2の有機ケイ素化合物を用いて形成される改質表面が、アクリレート樹脂との密着性に優れることを実証するものである。
【0068】
[3]硬化性組成物および硬化被膜(硬化物品)の作製
[実施例3-1,3-2、比較例3-1,3-2]
表2に示す割合(質量部)で各成分を混合してUV硬化性ウレタン樹脂組成物を調製した。得られたUV硬化性ウレタン樹脂組成物を、25℃、50%RHの空気下でバーコーターNo.12を用いてガラス板に塗布し、25℃、50%RHの空気下で1週間硬化・乾燥させた。さらに、UV照射(74mW/cm2)することで、硬化被膜を得た。
得られた硬化被膜について、下記の手法にて鉛筆硬度および密着性を測定し、評価した。結果を表2に併記する。
【0069】
〔鉛筆硬度(表面硬度〕
JIS K5600-5-4に準じて750g荷重にて測定した。
【0070】
〔密着性〕
碁盤目剥離試験:JIS K 5400に準拠して行った。
表2に示す評価結果は、100マスのうち剥離後に残った碁盤目のマスの数を示す。
【0071】
【表2】

・UV硬化性ウレタン樹脂:ルクシディア17-813(DIC(株)製)
・硬化触媒:DX-9740(信越化学工業(株)製)
・光ラジカル開始剤:Omnirad184(IGM Resins B.V.製)
・有機ケイ素化合物3:3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(KBM-503、信越化学工業(株)製)
・AOMA:2-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル((株)日本触媒製)
【0072】
上記の実施例および比較例の結果は、実施例1-1および1-2の有機ケイ素化合物が添加されたウレタン樹脂組成物が、ガラス基材との密着性に優れることを実証するものである。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
1は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数6~10のアリール基または炭素数1~20のアシル基である。
具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基;ビニル、アリル、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基等のアリール基;ホルミル、アセチル、プロピオニル基等のアシル基が挙げられ、これらの中でも、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは1~6のアルキル基であり、メチル基、エチル基がさらに好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
本発明の有機ケイ素化合物製造時には、必要に応じて、相関移動触媒等の触媒を使用してもよい。相関移動触媒の具体例としては、4級ホスホニウム塩類、4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
4級ホスホニウム塩類としては、塩化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、ヨウ化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化トリフェニルベンジルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。
4級アンモニウム塩類としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化トリメチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化トリメチルフェニルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム、塩化N-ラウリルピリジニウム、塩化N-ベンジルピコリニウム、塩化N-ラウリル4-ピコリニウム、塩化N-ラウリルピコリニウム、トリカプリルメチルアンモニウムクロライド、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム、およびテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート等が挙げられる。