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特開2022-112189湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112189
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、積層体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/30 20060101AFI20220726BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20220726BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20220726BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220726BHJP
   C08L 75/06 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220726BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220726BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20220726BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220726BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20220726BHJP
【FI】
C08G18/30 070
C08G18/42 002
C08G18/42 005
C08G18/42 069
C08G18/08 038
C08G18/10
C08L75/06
C08K7/00
C08K3/34
C08K3/013
B32B27/00 103
C09J175/06
C09J11/04
C09J7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007898
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】野中 諒
(72)【発明者】
【氏名】樋口 大地
(72)【発明者】
【氏名】南田 至彦
(72)【発明者】
【氏名】長尾 匡憲
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA01A
4F100AC05A
4F100AK03B
4F100AK51A
4F100AK54A
4F100AL05A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA23A
4F100CB03A
4F100DE01A
4F100EH46A
4F100EJ65C
4F100HB00B
4F100JA07A
4F100YY00A
4J002CK031
4J002DJ056
4J002FA116
4J002FD016
4J002GJ01
4J004AA14
4J004AB03
4J004CA04
4J004CB03
4J004CC02
4J004FA08
4J034BA07
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF12
4J034DF15
4J034DF16
4J034DF19
4J034DF20
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC06
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034MA04
4J034QB10
4J034QC10
4J034RA08
4J040EF111
4J040EF281
4J040HA356
4J040JB01
4J040JB04
4J040KA42
4J040LA01
4J040MA08
4J040MA10
4J040NA12
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、防湿性能、及び、接着強度に優れる湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供することである。。
【解決手段】本発明は、脂環式ポリエステルポリオール(a-1)、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)以外の脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)、ポリカプロラクトンポリオール(a-3)を含むポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、無機フィラー(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供するものである。また、本発明は、少なくとも前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物層、及び、オレフィンシートを有することを特徴とする積層体を提供するものである。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式ポリエステルポリオール(a-1)、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)以外の脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)、ポリカプロラクトンポリオール(a-3)を含むポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、無機フィラー(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項2】
前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)が、炭素原子数8~20の範囲の多塩基酸を原料とするものである請求項1記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項3】
前記無機フィラー(ii)が、マイカである請求項1又は2記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項4】
前記マイカのアスペクト比が、60以上である請求項3記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリオール(A)に、更に、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)及び前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)以外の、水酸基を2つ以上、及び、分岐構造を有する化合物を原料としたポリエステルポリオール(a-4)を含有するものである請求項1~4のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項6】
少なくとも、請求項5記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物層、及び、オレフィンシートを有することを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、積層体を提供することである。
【背景技術】
【0002】
従来から建材分野では、美観の向上や耐久性の付与の点から、木材、合板、MDF(ミディアム デンシティ ファイバーボード)、パーチクルボード等を基材とし、その表面に装飾的な色や模様を有する化粧シートを貼り合せた化粧造作部材が使用されており、前記基材と化粧シートとの貼り合せには、湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物が使用されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
近年は、軽量化や断熱性付与の観点から、前記化粧造作部材では芯材が中空状であることも多い。よって、建築部材の内部(特に、中空部)と外部とでは温度差が生じやすく、夏場や冬場には結露が発生する場合がある。そして結露が化粧造作部材に吸収された場合、化粧造作部材を構成する部材の間での吸湿度の相違などによって該化粧造作部材の反りや膨れ等の変形が生じる場合がある。そこで、化粧造作部材の反りや膨れを抑え、耐久性を向上させる目的で、化粧造作部材の内部に耐透湿層を設けることが検討されている。
【0004】
更に、近年は、防湿シート及びシート接着工程の削減の点から、防湿性能を有する接着剤が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-11419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、防湿性能、及び、接着強度に優れる湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、脂環式ポリエステルポリオール(a-1)、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)以外の脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)、ポリカプロラクトンポリオール(a-3)を含むポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、無機フィラー(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、少なくとも前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物層、及び、オレフィンシートを有することを特徴とする積層体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、防湿性能、及び、接着強度に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、脂環式ポリエステルポリオール(a-1)、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)以外の脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)、ポリカプロラクトンポリオール(a-3)を含むポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、無機フィラー(ii)を含有するものである。
【0011】
前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)は、優れた防湿性能、及び、接着強度を得るうえで必須の成分である。前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)としては、例えば、脂環式ポリオール及び脂肪族ポリカルボン酸(又はその酸誘導体)の反応物;脂肪族ポリオール及び脂環式ポリカルボン酸(又はその酸誘導体)の反応物などを用いることができる。
【0012】
前記脂環式ポリオールとしては、例えば、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、及びこれらの脂環式ポリオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド付加物などを用いることができる。これらの脂環式ポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチルプロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等を用いることができる。これらの脂肪族ポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記脂環式ポリカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、水添無水フタル酸等を用いることができる。これらの脂環式ポリカルボン酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記脂肪族ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、エイコサ二酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などの炭素原子数4~12の脂肪族ポリカルボン酸等を用いることができる。 これらの脂肪族ポリカルボン酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)の数平均分子量としては、より一層優れた防湿性能、及び、接着強度が得られる点から、500~10,000の範囲が好ましく、800~5,000の範囲がより好ましい。なお、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0017】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0018】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0019】
前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)の使用量としては、より一層優れた防湿性能、及び、接着強度が得られる点から、前記ウレタンプレポリマー(i)を構成する原料の合計中20~80質量%の範囲が好ましく、30~60質量%の範囲がより好ましい。
【0020】
前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)は、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)以外のものであり、グリコール及び多塩基酸の反応物を用いることができる。
【0021】
前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも結晶性を高め、初期強度及びピーリング強度をより一層向上できる点から、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及び、デカンジオールからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0022】
前記多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等を用いることができる。これらの多塩基酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防湿性能及び接着強度をより一層向上できる点から、炭素原子数8~20の範囲の多塩基酸が好ましい。
【0023】
前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)の数平均分子量としては、加工性、防湿性能、及び、接着強度をより一層向上できる点から、500~10,000の範囲であることが好ましく、1,000~8,000の範囲がより好ましい。なお、前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)の数平均分子量の測定方法は、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)と同様である。
【0024】
前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)の使用量としては、より一層優れた防湿性能、及び、接着強度が得られる点から、前記ウレタンプレポリマー(i)を構成する原料の合計中5~45質量%の範囲が好ましく、10~25質量%の範囲がより好ましい。
【0025】
前記ポリカプロラクトンポリオール(a-3)は、優れた接着強度を得るうえで必須の成分であり、例えば、前述のグリコール及びε-カプロラクトンの反応物を用いることができる。
【0026】
前記ポリカプロラクトンポリオール(a-3)の数平均分子量としては、初期接着強度及び最終接着強度をより一層向上できる点から、5,000~200,000の範囲であることが好ましく、10,000~100,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリカプロラクトンポリオール(a-3)の数平均分子量の測定方法は、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)と同様である。
【0027】
前記ポリカプロラクトンポリオール(a-2)の使用量としては、初期接着強度及び最終接着強度をより一層向上できる点から、前記ウレタンプレポリマー(i)を構成する原料の合計中1~15質量%の範囲が好ましく、3~10質量%の範囲がより好ましい。
【0028】
前記ポリオール(A)は、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)、前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)、及び前記ポリカプロラクトンポリオール(a-3)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他のポリオールを含有してもよい。
【0029】
前記その他のポリオールとしては、例えば、前記(a-1)~(a-3)以外のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が化粧造作部材の製造に用いられる場合には、特に化粧シートして難接着基材として知られるオレフィンシートに対する接着性がより一層向上する点から、前記(a-1)~(a-3)以外のポリエステルポリオールとして、水酸基を2つ以上、及び、分岐構造を有する化合物を原料としたポリエステルポリオール(a-4)を用いることが好ましい。
【0030】
前記ポリエステルポリオール(a-4)としては、例えば、水酸基を2つ以上、及び、分岐構造を有する化合物と多塩基酸と必要に応じてその他のグリコールとの反応物を用いることができる。
【0031】
前記水酸基を2つ以上、及び、分岐構造を有する化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチルプロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたオレフィンシートへの接着強度が得られる点から、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0032】
前記その他のグリコールとしては、前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)の原料に用いることができる前記グリコールと同様の物を用いることができる。また、前記多塩基酸としては、前記脂肪族ポリエステルポリオール(a-2)の原料に用いることができる前記多塩基酸と同様のものを用いることができる。
【0033】
前記ポリエステルポリオール(a-4)を合構成する水酸基を有する原料中における、前記水酸基を2つ以上、及び、分岐構造を有する化合物の使用量としては、より一層優れたオレフィンシートへの接着強度が得られる点から、5~50質量%の範囲が好ましく、10~30質量%の範囲がより好ましい。
【0034】
前記ポリエステルポリオール(a-4)の数平均分子量としては、より一層優れたオレフィンシートへの接着強度が得られる点から、500~10,000の範囲であることが好ましく、1,000~8,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリエステルポリオール(a-4)の数平均分子量の測定方法は、前記脂環式ポリエステルポリオール(a-1)と同様である。
【0035】
前記ポリエステルポリオール(a-4)を用いる場合の使用量としては、前記ウレタンプレポリマー(i)を構成する原料の合計中5~30質量%の範囲が好ましく、10~25質量%の範囲がより好ましい。
【0036】
前記ポリイソシアネート(B)としては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、反応性及びピーリング強度の点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
【0037】
前記ウレタンプレポリマー(i)の製造方法としては、例えば、前記ポリイソシアネート(B)の入った反応容器に、前記ポリオール(A)の混合物を滴下した後に加熱し、前記ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基が、前記ポリオール(A)の有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることによって製造することができる。
【0038】
前記ウレタンプレポリマー(i)を製造する際には、前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基と前記ポリオール(A)が有する水酸基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、防湿性能、及び、接着強度をより一層向上できる点から、1.1~5の範囲が好ましく、3~4.5の範囲がより好ましい。
【0039】
前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率(以下、「NCO%」と略記する。)としては、防湿性能及び接着強度をより一層向上できる点から、2~10質量%の範囲であることが好ましく、3~7質量%の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタンプレポリマー(i)のNCO%は、JISK1603-1:2007に準拠し、電位差滴定法により測定した値を示す。
【0040】
前記無機フィラー(ii)は、優れた防湿性能を得るうえで必須の成分である。前記無機フィラーとしては、例えば、マイカ、ガラスフレーク、ガラス繊維、タルク、sるロースフィラー、炭酸カルシウム、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどを用いることができる。これらのフィラーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも迷路効果により湿気の透過を抑制し、より一層優れた防湿性能が得られる点から、マイカが好ましい。
【0041】
前記マイカの平均粒子径としては、より一層優れた防湿性能が得られる点から、3~50μmの範囲が好ましく、15~30μmの範囲がより好ましい。なお、前記マイカの平均粒子径は、JISZ8819-2:2001に準拠した、レーザー回折・散乱法による体積平均径を示す。
【0042】
前記マイカのアスペクト比としては、より一層優れた防湿性能が得られる点から、60以上が好ましく、120以上がより好ましい。なお、前記マイカのアスペクト比は、レーザー回折式粒度分布測定装置(LMS-30;株式会社セイシン製)による50%平均粒子径(L)、及び透過型電子顕微鏡による面間隔の平均厚さ(a)から、アスペクト比=L/aとして算出した値を示す。
【0043】
前記無機フィラー(ii)の使用量としては、より一層優れた防湿性能が得られる点から、前記ウレタンプレポリマー(i)100質量部に対して、5~70質量部の範囲が好ましく、15~55質量部の範囲がより好ましい。
【0044】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、前記ウレタンプレポリマー(i)、及び、前記無機フィラー(ii)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0045】
前記その他の添加剤としては、例えば、硬化触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、充填材、染料、顔料、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス、熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0046】
以上、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、防湿性能、及び、接着強度に優れるものである。
【0047】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物により被着体を接着する方法としては、例えば、前記樹脂組成物を基材表面に塗布し、他の基材とを貼り合せる方法が挙げられる。
【0048】
前記基材としては、例えば、繊維基材、ガラス基材、木質基材、金属基材、プラスチック基材などを用いることができる。
【0049】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を前記基材に塗布する方法としては、例えば、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を100~140℃で溶融した後、ロールコーター、スプレーコーター、T-ダイコーター、ナイフコーター、コンマコーター等のコーター方式;ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の精密方式;ノズル塗布などを使用する方法が挙げられる。
【0050】
また、2つの基材を貼り合わせた後は、必要に応じて接着剤を乾燥、養生を公知の方法で行うことが好ましい。
【0051】
また、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が、化粧造作部材の製造に用いられる場合は、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を用いて、下記するような基材とシート又はフィルムとを貼り合わせることによって製造することができる。
【0052】
前記基材としては、例えば、合板、MDF(ミディアム デンシティ ファイバーボード)、パーチクルボード等の木質基材やアルミ、鉄等の金属基材などを用いることができる。また、前記基材は、溝部、R部、逆R部等の複雑な形状の部位を有していてもよい。
【0053】
前記シート又はフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン等の樹脂を用いて得られたシート又はフィルムや、紙、金属箔、突板等を用いることができる。この中でも、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物として、特定のものを用いた場合には、難接着基材として知られるポリオレフィンによるオレフィンシートに対しても、優れた接着性を有する。
【0054】
前記シート又はフィルムは、一般に化粧紙、化粧板用原紙、化粧シートなどと称呼されている、その表面に、装飾的な無地若しくは多彩な色、又は模様が施されているものも用いることができる。また、それらの裏面には、樹脂等によりプライマー処理が施されていても良い。
【0055】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を用いて、前記基材と前記シート等とを貼り合わせる方法としては、例えば前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を100~150℃の範囲に加熱することで溶融させ、ロールコーター、スプレーコーター、T-ダイコーター、ナイフコーター等を用いて基材上に塗布し、その塗布面に前記シート等を貼り合わせるか、又は前記ロールコーター等を用いて前記シート等の上に塗布し、その塗布面に前記基材を貼り合わせて、ロールプレス、フラットプレス、ベルトプレス等の方法で前記基材の形状に合わせて適宜、圧着させる方法を用いることができる。
【実施例0056】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0057】
[実施例1]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、脂環式ポリエステルポリオール(2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール及び水添無水フタル酸の反応物、数平均分子量;2,200、以下「脂環PEs」と略記する。)55質量部、脂肪族ポリエステルポリオール(1,6-ヘキサンジオール及びドデカン二酸の反応物、数平均分子量;3,500、以下「HG/DDA」と略記する。)13質量部、ポリカプロラクトンポリオール(数平均分子量;80,000、以下「PCL」と略記する。)3質量部、マイカ(株式会社ヤマグチマイカ製「NCF-322」、平均粒子径;27μm、アスペクト比;150、以下「マイカ(1)」と略記する。)25質量部を仕込み、減圧下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。
次いで、用意器内温度70℃に冷却後、4,4‘-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記する。)29質量部を加え、100℃まで昇温してNCO含有率が一定となるまで約3時間反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、及び、マイカを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
【0058】
[実施例2~5、比較例1]
用いる原料を表1~に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
【0059】
[防湿性能の評価方法]
表面温度100℃に調整したガラス板上に、ポリエチレンテレフタレートからなる離型フィルムを載置した。実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を120℃に加熱溶融させ、離型フィルム上に厚さ100μmとなるように塗布し、温度30℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間養生した。その後、離型フィルムを剥離し、測定用試料とした。該測定用試料の透湿度を、透湿度カップ法(JISZ0208-B法、単位;g/m・24hr)に基づいて測定し、以下のように評価した。
「◎」;4未満。
「〇」;4以上7未満
「×」;7以上
【0060】
[接着強度の評価方法]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を120℃に加熱溶融させ、120℃に設定したロールコーターを使用してMDFに塗布量80g/mで塗布した。次いで、塗布した接着剤層の上に別のMDFを載置し、貼り合わせた。該試験片を、温度30℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間養生した後、該試験片のMDFに対し90°方向に力を加え、単位面積当たりの剥離強度を測定し、以下のように評価した。
「〇」;1.7MPa以上
「×」;1.7MPa未満
【0061】
[オレフィンシートへの接着性の評価方法]
実施例4~5、及び比較例1で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を120℃に加熱溶融させ、プライマー処理されたオレフィン化粧シート上に50μmの厚さとなるよに塗布し、次いで、該接着剤層上にMDFを載置し、貼り合わせた。該試験片を、温度30℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間養生した後、試験片のシートを180°方向に剥離し、幅25mm当たりの剥離強度を測定し、以下のように評価した。
「〇」;20N/25mm以上
「×」;20N/25mm未満
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
表1中の略語について説明する。
・「分岐PEs」;ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、及び、アジピン酸の反応物、数平均分子量;2,000
・「マイカ(2)」;株式会社ヤマグチマイカ製「A-21S」、平均粒子径;23μm、アスペクト比;70
【0065】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、優れた防湿性能、及び、接着強度を有することが分かった。また、実施例4~7は、更にオレフィンシートに対する優れた接着性を有することが分かった。
【0066】
一方、比較例1は、無機フィラー(ii)を用いない態様であるが、防湿性能、及び、オレフィンシートへの接着性が不良であった。