IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-碍管ユニット 図1
  • 特開-碍管ユニット 図2
  • 特開-碍管ユニット 図3
  • 特開-碍管ユニット 図4
  • 特開-碍管ユニット 図5
  • 特開-碍管ユニット 図6
  • 特開-碍管ユニット 図7
  • 特開-碍管ユニット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112477
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】碍管ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/064 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
H02G15/064
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191058
(22)【出願日】2021-11-25
(62)【分割の表示】P 2021007871の分割
【原出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村田 亘
(72)【発明者】
【氏名】平田 博之
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA02
5G375CA03
5G375CB05
5G375CB14
5G375CB47
5G375CB55
5G375DA32
(57)【要約】
【課題】碍管を小型化することができる碍管ユニットを提供する。
【解決手段】碍管ユニットは、電力ケーブルの端末に電気的に接続される内部導体と、前記内部導体を覆う碍管と、前記碍管の内側に埋設されるとともに前記内部導体を囲むよう形成されたアース電極と、を備え、前記碍管の内周面は、前記電力ケーブルに取り付けられたストレスコーンが配置される配置面を有し、外部の機器箱が取り付けられる取付面を有するフランジ部材をさらに備え、前記内部導体における前記電力ケーブルの前記端末が接続される側を基端側、前記基端側と反対側を先端側としたとき、前記配置面は、前記取付面よりも前記基端側に配されており、前記アース電極は、前記取付面よりも前記先端側に配されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルの端末に電気的に接続される内部導体と、
前記内部導体を覆う碍管と、
前記碍管の内側に埋設されるとともに前記内部導体を囲むよう形成されたアース電極と、を備え、
前記碍管の内周面は、前記電力ケーブルに取り付けられたストレスコーンが配置される配置面を有し、
外部の機器箱が取り付けられる取付面を有するフランジ部材をさらに備え、
前記内部導体における前記電力ケーブルの前記端末が接続される側を基端側、前記基端側と反対側を先端側としたとき、
前記配置面は、前記取付面よりも前記基端側に配されており、
前記アース電極は、前記取付面よりも前記先端側に配されている、
碍管ユニット。
【請求項2】
前記碍管の外周面における、前記アース電極よりも前記基端側には、電界を遮蔽する電界遮蔽層が形成されている、
請求項1に記載の碍管ユニット。
【請求項3】
径方向から見たとき、前記アース電極と前記電界遮蔽層とは、互いの一部同士が重なっている、
請求項2に記載の碍管ユニット。
【請求項4】
一部を露出させつつ前記碍管に埋設されるとともに前記アース電極に電気的に接続された埋設導電部材と、
前記埋設導電部材と前記フランジ部材とに電気的に接続された接続部材とをさらに備え、
前記フランジ部材は、前記取付面を有するフランジ取付壁と、前記フランジ取付壁から前記基端側に形成されるとともに前記碍管を囲むフランジ側壁とを備え、
前記接続部材は、前記フランジ側壁の内周側に固定されている、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の碍管ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、碍管ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の碍管ユニット(エポキシユニット)は、電力ケーブルの端末に接続される内部導体(中心導体)と、内部導体を覆うエポキシ樹脂からなる碍管(絶縁筒)とを一体に備える。また、碍管内には、内部導体の一方側の端部を囲む筒状のアース電極(遮へい電極)が埋設されている。アース電極は、碍管の前記一方側の端部から外部に引き出され、碍管ユニットが使用されている状態においては接地電位に電気的に接続される。アース電極を設けることで、アース電極の内周側の電界を遮蔽することができ、これによって碍管周囲の電界強度を低減することができる。また、碍管の内周面は、電力ケーブルの端末の外周部に取り付けられたストレスコーンが挿入配置される配置面(受容部)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-45553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の碍管ユニットにおいては、径方向から見たときにアース電極が配置面と重なる位置まで形成されているため、碍管の大型化を招くおそれがある。このことにつき、以下説明する。
【0005】
まず、配置面は、電力ケーブルに取り付けられたストレスコーンを挿入可能とすべく、その内径を大きくする必要がある。また、碍管におけるアース電極の内周側及び外周側のそれぞれの部位は、過度に薄くするとショートショット(成形不良)等、製造上の問題が生じるおそれがあるため、ある程度の肉厚が必要となる。そのため、径方向から見たときにアース電極と配置面とが重なっている軸方向領域においては、碍管の外径を大きくせざるを得なくなる。その結果、特許文献1に記載の碍管ユニットにおいては、碍管の大型化を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、碍管を小型化することができる碍管ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の目的を達成するため、電力ケーブルの端末に電気的に接続される内部導体と、前記内部導体を覆う碍管と、前記碍管の内側に埋設されるとともに前記内部導体を囲むよう形成されたアース電極と、を備え、前記碍管の内周面は、前記電力ケーブルに取り付けられたストレスコーンが配置される配置面を有し、外部の機器箱が取り付けられる取付面を有するフランジ部材をさらに備え、前記内部導体における前記電力ケーブルの前記端末が接続される側を基端側、前記基端側と反対側を先端側としたとき、前記配置面は、前記取付面よりも前記基端側に配されており、前記アース電極は、前記取付面よりも前記先端側に配されている、碍管ユニットを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、碍管を小型化することができる碍管ユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態における、電力ケーブル接続構造体の碍管ユニットとケーブルアッシーとを分解した分解断面図である。
図2】実施の形態における、電力ケーブル接続構造体の断面図である。
図3図2の一部を拡大した断面図である。
図4】実施の形態における、フランジ部材の側面図である。
図5】実施の形態における、フランジ部材の断面図である。
図6】実施の形態における、フランジ部材の正面図である。
図7】実施の形態における、フランジ部材の背面図である。
図8】実施の形態における、アース電極及び複数の埋設導電部材と、複数の接続部材との側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図8を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0011】
(電力ケーブル接続構造体10)
図1は、本形態における電力ケーブル接続構造体10の、碍管ユニット1とケーブルアッシー7とを分解した分解断面図である。図2は、電力ケーブル接続構造体10の断面図である。図3は、図2の一部を拡大した図である。
【0012】
図2に示すごとく、電力ケーブル接続構造体10は、例えば鉄道車両の屋根等に配置された被取付部材としての機器箱100に取り付けられて使用される。詳細は後述するが、電力ケーブル接続構造体10は、その一部を機器箱100内の内部空間100a内に突出させた状態で機器箱100に取り付けられる。電力ケーブル接続構造体10は、高電圧が印加される電力ケーブル71とこれに接続された図示しない電気経路とを、周囲との電気的絶縁性を確保しつつ接続するためのものであり、図1及び図2に示すごとく、碍管ユニット1とケーブルアッシー7とを組み付けてなる。
【0013】
(碍管ユニット1)
碍管ユニット1は、碍管21と一体的に形成された碍管構造体2と、碍管構造体2に固定されたフランジ部材3とを備える。碍管構造体2は、エポキシ樹脂からなる碍管21内に、内部導体22、アース電極23等を埋設してなる。碍管構造体2は、碍管21の成形型の内側に内部導体22、アース電極23等を配置して成形型内に溶融状態のエポキシ樹脂を流し込んで硬化させることによって碍管21、内部導体22、アース電極23等が一体として形成される。
【0014】
なお、碍管ユニット1の軸方向(すなわち、内部導体22の軸方向及び碍管21の軸方向であり、図1乃至図3の左右方向)を単に軸方向という。また、軸方向の一方側であって、内部導体22における電力ケーブル71が接続される側(例えば図1乃至図3の右側)を軸方向基端側といい、その反対側(例えば図1乃至図3の左側)を軸方向先端側という。また、単に周方向といったときは、電力ケーブル接続構造体10の中心軸周りの周方向を意味するものとし、単に径方向といったときは、中心軸を中心とした電力ケーブル接続構造体10の径方向を意味するものとする。
【0015】
内部導体22は、軸方向に長尺な略棒状を呈している。内部導体22は、その軸方向先端側の端部を碍管21から突出させつつ、碍管21内に埋設されている。碍管21から突出した内部導体22の端部は、当該露出部に固定された端子金具8を介して、電力ケーブル71の接続先となる図示しない電気経路に電気的に接続される。
【0016】
図3に示すごとく、内部導体22の軸方向基端側の端部には、軸方向基端側に開口する有底筒状部220が形成されている。有底筒状部220は、底壁部221と、底壁部221から軸方向基端側に延設された中空の筒壁部222とを有する。
【0017】
底壁部221の外周面は、軸方向基端側に向かうほど拡径するようなテーパ状に形成されている。底壁部221には、軸方向基端側に突出したボス部221aが形成されている。ボス部221aには、雌ねじ孔が設けられており、内部導体22と電力ケーブル71とを着脱可能に接続するためのコンタクト部材4がボルト締結されている。コンタクト部材4は、例えばチューリップコンタクトとすることができ、内部導体22と電力ケーブル71とを着脱可能に接続する。
【0018】
筒壁部222は、底壁部221の外周縁から軸方向基端側に延設されており、コンタクト部材4を介した電力ケーブル71と内部導体22との接続部を囲っている。筒壁部222は、底壁部221から軸方向に沿ってまっすぐ形成された円筒部222aと、円筒部222aから軸方向基端側に向かうほど内径及び外径の双方が大きくなる拡径部222bとを有する。そして、筒壁部222は、その内周面が碍管21から露出している。
【0019】
図1及び図2に示すごとく、碍管21は、エポキシ樹脂を軸方向に長尺な概略管状に形成してなる。特に、電力ケーブル接続構造体10が鉄道車両の屋根等の屋外に設置される場合、碍管21を構成する樹脂としては対候性に優れたエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
碍管21の外周部には、外周側に突出した環状の笠部211が、軸方向Xの複数箇所に所定間隔で設けられている。碍管21に複数の笠部211を形成することにより、碍管21の外周面の沿面距離を確保することができ、碍管21の表面に沿った沿面放電の発生を抑制することができる。本形態において、複数の笠部211のそれぞれの外径は、互いに同等である。複数の笠部211のうち最大の外径を有する笠部211の外径を最大外径、複数の笠部211のうち最小の外径を有する笠部211の外径を最小外径としたとき、最小外径に対する最大外径の比率、すなわち「最大外径/最小外径」は、1.1以下が好ましく、1.05以下がさらに好ましい。また、本形態において、各笠部211の外径は、碍管21の軸方向基端側の端部の外径と同等である。
【0021】
碍管21の外周面には、電界遮蔽層5が形成されている。電界遮蔽層5は、碍管21の軸方向基端側の端部の位置から、碍管21の複数の笠部211のうちの最も軸方向基端側に位置する笠部211の手前の位置までにわたって形成されている。本形態において、電界遮蔽層5は、後述の埋設導電部材25よりも軸方向先端側の位置まで形成されている。電界遮蔽層5は、碍管21の外周面の全周に形成されている。電界遮蔽層5は、その内周側の領域の電界を遮蔽することによって、碍管21の周囲における電界強度が高くなることを抑制する役割を有する。電界遮蔽層5は、例えば、碍管21の外周面に塗布された導電性塗料からなる。
【0022】
碍管21の内周面は、ストレスコーン73が接触して配置される配置面212を有する。配置面212は、その内側に配されるストレスコーン73の外形形状に対応した形状を有しており、本形態においては、軸方向基端側に向かうほど外周側に向かう傾斜配置面212aを少なくとも有する。また、碍管21の内周面は、傾斜配置面212aから軸方向基端側に、軸方向に沿って形成された円筒面213を備える。円筒面213の軸方向先端側の部位も、ストレスコーン73が接触して配置される配置面212を構成する。碍管21における配置面212の外周側には、碍管21をフランジに固定するための複数のナット部材24が埋設されている。
【0023】
図3に示すごとく、ナット部材24は、軸方向に長尺であり、軸方向基端側の端面に開口する雌ねじ孔240が設けられた袋ナットである。ナット部材24は、その軸方向基端側の端部が碍管21から露出している。そして、各ナット部材24に、フランジ部材3がボルトB1によって締結されている。
【0024】
図2に示すごとく、フランジ部材3は、機器箱100に取り付けられている。機器箱100は、鉄道の屋根に設けられた状態においては接地電位となり、これに伴い、電気ケーブル接続装置を使用している状態において、フランジ部材3は、機器箱100と同電位、すなわち接地電位となる。
【0025】
図4は、フランジ部材3の側面図である。図5は、フランジ部材3の断面図である。図6は、フランジ部材3の正面図である。図7は、フランジ部材3の背面図である。フランジ部材3は、カップ状を呈しており、フランジ底壁31、フランジ側壁32、及びフランジ取付壁33を有する。フランジ底壁31は、中央部に開口穴311が設けられた円板状に形成されており、図3に示すごとく、碍管21の軸方向基端側の端面と軸方向に対向している。ボルトB1がフランジ底壁31に設けられた貫通孔310に挿通されるとともにナット部材24の雌ねじ孔240に螺合されることによって、フランジ部材3が碍管21に固定されている。
【0026】
図4及び図5に示すごとく、フランジ側壁32は、円筒状に形成されている。フランジ側壁32には、外周面が外周側に隆起するとともに内周面が外周側に向かって凹んだ部材配置部321が、周方向の三箇所に形成されている。部材配置部321には、部材配置部321の内周側に形成された凹部321aの底面321bに開口する雌ねじ孔321cが形成されている。図3に示すごとく、雌ねじ孔321cにはボルトB2が螺合されており、当該ボルトB2を用いて後述の接続部材6がフランジ部材3に固定されている。
【0027】
凹部321aの軸方向先端側は、傾斜面321dによって閉塞されている。傾斜面321dは、軸方向先端側に向かうほど内周側に向かうよう傾斜した面である。凹部321aの軸方向先端側を閉じる面を傾斜面321dのように傾斜した面とすることにより、接続部材6の周囲の空間を広くすることができ、接続部材6をフランジ部材3及び後述の埋設導電部材25に固定する作業中に、接続部材6がフランジ部材3、碍管21等に干渉することを防止することができる。
【0028】
フランジ取付壁33は、フランジ側壁32の軸方向先端側の端部から軸方向に直交する方向の両側に突出するよう一対設けられている。各フランジ取付壁33は、その軸方向先端側の面が、機器箱100が取り付けられる取付面331を構成している。図2及び図3に示すごとく、碍管ユニット1は、機器箱100に設けられた取付穴100bから機器箱100の内部空間100aに挿入されており、フランジ取付壁33の取付面331は、機器箱100の取付穴100b周辺の壁部と対向している。
【0029】
フランジ取付壁33及び機器箱100のそれぞれには、互いに連通するボルト挿通孔33a,100cが形成されている。フランジ取付壁33及び機器箱100は、ボルトB3をボルト挿通孔33a、及びボルト挿通孔100cに挿通するとともに、ボルト挿通孔100cから軸方向基端側に突出したボルトB3にナットNを螺合させることにより、互いにボルト締結されている。フランジ取付壁33が、鉄道の屋根に設置された機器箱100に締結された状態において、フランジ取付壁33は、機器箱100と同電位、すなわち接地電位となる。フランジ部材3と電気的に接続されるよう、アース電極23が碍管21内に埋設されている。
【0030】
アース電極23は、軸方向に沿った円筒状に形成されており、内部導体22の一部を外周側から囲っている。本形態において、アース電極23は、金属メッシュを筒状にしたものであり、多数の孔(すなわち網目部分)が形成されている。アース電極23を多数の孔が形成されたものとすることにより、碍管21の成形不良を抑制することができる。すなわち、碍管21は成形型にアース電極23等を配置したインサート成形にて形成されるところ、インサート成形時、碍管21を構成する溶融状態のエポキシ樹脂は金属メッシュの網目を通過し、アース電極23の内外周に十分に流入され、成形不良の発生が抑制される。アース電極23の軸方向の両端部のそれぞれは、内周側に向けて巻き回された形状を有する。なお、アース電極23は、金属メッシュに限られず、筒状の導体にスリットやパンチ孔等の多数の孔が形成されたもの、孔が形成されていない筒状の導体等、周囲の電界を遮蔽することができれば他の構造のものを採用することも可能である。
【0031】
アース電極23の軸方向基端側の端部の位置は、配置面212よりも軸方向先端側に離れた位置にある。また、アース電極23の軸方向基端側の端部の位置は、円筒部222aと拡径部222bとの境界位置よりも僅かに軸方向先端側に形成されている。さらに、アース電極23の軸方向基端側の端部の位置は、取付面331よりも軸方向基端側に位置している。径方向から見たとき、アース電極23の軸方向基端側の部位は、電界遮蔽層5の軸方向先端側の部位と重なっている。
【0032】
アース電極23の軸方向先端側の端部の位置は、取付面331よりも軸方向先端側にある。また、アース電極23の軸方向先端側の端部の位置は、内部導体22の有底筒状部220の底壁部221よりも軸方向先端側に位置している。なお、これに限られず、アース電極23の軸方向先端側の端部の位置は、例えば有底筒状部220の底壁部221と円筒部222aとの境界よりも軸方向基端側に位置していてもよい。
【0033】
さらに、アース電極23の軸方向先端側の端部の位置は、後述の大径笠間面214aのうちの軸方向先端側の端部の位置よりも軸方向基端側に位置している。大径笠間面214aは、碍管21の外周面における軸方向に隣り合う笠部211をつなぐ笠間面214のうち、他の笠間面214よりも外径が大きくなった笠間面214である。本形態において、大径笠間面214aは、複数の笠間面214のうち、軸方向基端側の端部に位置する笠間面214及び当該笠間面の軸方向先端側に隣り合う笠間面214である。アース電極23は、これに接続された埋設導電部材25を介して碍管21の外部と導通可能に構成されている。
【0034】
図3に示すごとく、埋設導電部材25は、アース電極23から径方向外側に延在する円柱状の導体であり、径方向外側の端部を露出させつつ碍管21に埋設されている。埋設導電部材25は、碍管21の外周面における電界遮蔽層5が形成された領域に露出している。
【0035】
図8は、アース電極23及び複数の埋設導電部材25と、複数の接続部材6との側面図である。埋設導電部材25のアース電極23側の端部は、アース電極23に溶接等により接合されている。本形態において、アース電極23には、周方向の三箇所に埋設導電部材25が接続されている。三つの埋設導電部材25は、軸方向の同位置に形成されるとともに、周方向に90°置きに形成されている。埋設導電部材25には、径方向外側に開口する雌ねじ孔251が形成されている。埋設導電部材25には、接続部材6がボルトB4を用いて締結されている。
【0036】
図8に示すごとく、接続部材6は、三つ設けられており、三つの埋設導電部材25にそれぞれ接続されている。接続部材6は、長尺板状の導体を折り曲げてなり、第1接続部61、傾斜部62、及び第2接続部63を備える。
【0037】
図3に示すごとく、第1接続部61は、軸方向に沿って形成されており、電界遮蔽層5を介して埋設導電部材25に径方向に重ねられている。第1接続部61は、ボルトB4を、第1接続部61に形成された貫通孔611に挿通するとともに埋設導電部材25の雌ねじ孔251に螺合することにより、埋設導電部材25に締結されている。第1接続部61がボルトB4を用いて埋設導電部材25に締結された状態において、接続部材6、電界遮蔽層5、埋設導電部材25、及びアース電極23は、互いに電気的に接続された状態となる。
【0038】
傾斜部62は、第1接続部61と第2接続部63とを連結するよう形成されており、軸方向基端側に向かうにつれて径方向外側へ向かうよう傾斜して形成されている。傾斜部62は、フランジ部材3の傾斜面321dと対向している。
【0039】
第2接続部63は、軸方向に沿って形成されており、部材配置部321の凹部321aの底面321bに重ねられている。第2接続部63は、ボルトB2を、第2接続部63に形成された貫通孔631に挿通するとともに部材配置部321に設けられた雌ねじ孔321cに螺合することにより、フランジ部材3に締結されている。第2接続部63及びボルトB2は、フランジ側壁32の部材配置部321内に収まるよう配されている。碍管ユニット1には、フランジ部材3の基端側から、ケーブルアッシー7が接続される。
【0040】
(ケーブルアッシー7)
図1及び図2に示すごとく、ケーブルアッシー7は、電力ケーブル71、接続端子72、ストレスコーン73、圧縮装置74、及びカバー部材75を備える。電力ケーブル71は、中心から順に、ケーブル導体711、ケーブル内部半導電層(図示略)、ケーブル絶縁体712、ケーブル外部半導電層713、ケーブルシールド層714、及びケーブルシース715を備える。電力ケーブル71は、軸方向先端側から順に、ケーブル導体711、ケーブル絶縁体712、ケーブル外部半導電層713、ケーブルシールド層714が露出するよう段剥ぎされている。
【0041】
接続端子72は、ケーブル導体711にかしめられており、ケーブル導体711に着脱不能に固定されている。接続端子72は、電力ケーブル71をコンタクト部材4に接続するための端子であり、その軸方向先端側の端部が、コンタクト部材4に挿入嵌合される。接続端子72は、コンタクト部材4に押し込んで挿入することができるとともに、コンタクト部材4から引き抜くこともできるよう、コンタクト部材4に着脱可能に接続されている。
【0042】
ストレスコーン73は、ケーブル絶縁体712及びケーブル外部半導電層713の外周部に嵌合されている。ストレスコーン73は、圧縮装置74によって軸方向に圧縮されており、電力ケーブル71と碍管21の配置面212との双方に接触している。
【0043】
本形態において、ストレスコーン73は、二部材から構成されており、軸方向先端側に絶縁部731、軸方向基端側に半導電部732を備える。絶縁部731の外周面は、その軸方向先端側の端部から軸方向基端側に向かうにつれて傾斜する傾斜外周面731aを有し、傾斜外周面731aが、碍管21の傾斜配置面212aに接触している。半導電部732は、内周部がケーブル外部半導電層713に接触しており、ケーブル外部半導電層713を介して接地電位に接続される。ストレスコーン73の軸方向先端側において、電力ケーブル71の外周部には、環状のストッパー76が嵌合されている。ストッパー76は、圧縮装置74からストレスコーン73に軸方向に作用する圧縮力を受ける役割を有し、内部導体22の軸方向基端側の端面に当接している。
【0044】
圧縮装置74は、ストレスコーン73を軸方向に圧縮させるためのものである。圧縮装置74は、軸方向先端側がストレスコーン73に当接しており、軸方向基端側がカバーに係止されている。そして、圧縮装置74は、例えばコイルバネ741の反力によって、ストレスコーン73を軸方向先端側に向けて押圧している。本形態において、圧縮装置74の全体は、導電性を有する素材からなるが、少なくとも一部が導電性を有さない素材から構成されていてもよい。
【0045】
カバー部材75は、互いに固定された第1カバー751と第2カバー752とを有する。第1カバー751は、フランジ底壁31に螺合されたスタッドボルト77等を用いてフランジ部材3に締結されている。第1カバー751は、電力ケーブル接続構造体10において、フランジ部材3から軸方向基端側に突出した電力ケーブル71、ストレスコーン73、及び圧縮装置74を外周側から囲っている。第1カバー751の軸方向基端側の端部と電力ケーブル71との間は、封止部78によって封止されている。封止部78は、粘着材が設けられたポリエチレンテープ、エポキシテープ等を巻き付けて形成されており、第1カバー751と電力ケーブル71との間を液密的に封止している。
【0046】
第2カバー752は、第1カバー751に第1カバー751の軸方向基端側から固定されており、封止部78を外周側から囲っている。第2カバー752の軸方向基端側の端部は、締付部材70によって締め付けられており、弾性シート79を介して電力ケーブル71に密着している。
【0047】
(実施の形態の作用及び効果)
本形態において、アース電極23の軸方向基端側の端部は、ストレスコーン73が接触して配置される配置面212よりも軸方向先端側に位置している。それゆえ、碍管21の小型化を図ることができる。このことにつき、以下説明する。
【0048】
まず、配置面212は、電力ケーブル71に取り付けられたストレスコーン73を挿入可能とすべく、その内径をある程度大きくする必要があり、これに伴って碍管21における配置面212が形成された軸方向領域の外径も大きくせざるを得なくなる。また、碍管21におけるアース電極23の内周側及び外周側のそれぞれの部位は、過度に薄くするとショートショット等、製造上の問題が生じるおそれがあるため、ある程度の肉厚が必要となる。そのため、径方向から見たときに、アース電極23が配置面212と重なる位置まで形成されている場合は、アース電極23と配置面212とが径方向に重なった軸方向領域において、碍管21の外径を大きくせざるを得なくなり、碍管21の大型化を招くおそれがある。一方、本形態においては、前述のごとくアース電極23の軸方向基端側の端部が、配置面212よりも軸方向先端側に位置しているため、碍管21の小型化を図ることができる。
【0049】
また、碍管21の外周面における、アース電極23よりも軸方向基端側には、電界を遮蔽する電界遮蔽層5が形成されている。それゆえ、碍管21における、アース電極23よりも軸方向基端側の領域は、電界遮蔽層5によって電界が遮蔽される。さらに、本形態においては、径方向から見たとき、アース電極23と電界遮蔽層5とは、互いの一部同士が重なっている。それゆえ、アース電極23の軸方向先端側の端部から電界遮蔽層5の軸方向基端側の端部までの広い軸方向領域において、電界を遮蔽させることができ、その結果碍管21の周囲の電界強度が高くなることを抑制することができる。
【0050】
また、碍管ユニット1は、フランジ部材3をさらに備える。そして、配置面212は、取付面331よりも軸方向基端側に配されている。それゆえ、取付面331から軸方向先端側(すなわち機器箱100の内部空間100a)に突出する碍管ユニット1の突出長さを小さくすることができる。機器箱100内には、複数の配線が搭載されていることも多く、機器箱100内に碍管ユニット1が大きく突出した場合、近傍の配線との電気的絶縁性が低下し得るところ、機器箱100の内部空間100aに突出する碍管ユニット1の突出長さを小さくすることにより、碍管ユニット1近傍の配線との電気的絶縁性が低下することを抑制することができる。そして、アース電極23は、取付面331よりも軸方向先端側に配されている。それゆえ、機器箱100内に突出した碍管21内の電界を遮蔽することができる。
【0051】
また、埋設導電部材25とフランジ部材3とに電気的に接続された接続部材6は、フランジ側壁32の内周側に固定されている。それゆえ、機器箱100内において、電界強度が高くなる領域が形成されることを防止することができる。例えば、接続部材6を、フランジ部材3の取付面331に固定した場合は、接続部材6を固定するためのボルト等が取付面331から機器箱100内に突出し、前記ボルト周辺の電界強度が高くなるおそれがある。そこで、接続部材6を、フランジ側壁32の内周側に固定することにより、接続部材6をフランジ部材3に固定するためのボルトB2等が機器箱100内に大きく突出し、機器箱100内に電界強度が高くなる部分が形成されることを抑制することができる。
【0052】
以上のごとく、本形態によれば、碍管を小型化することができる碍管ユニットを提供することができる。
【0053】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0054】
[1]電力ケーブル(71)の端末に電気的に接続される内部導体(22)と、前記内部導体(22)を覆う碍管(21)と、前記碍管(21)の内側に埋設されるとともに前記内部導体(22)を囲むよう形成されたアース電極(23)と、を備え、前記碍管(21)の内周面は、前記電力ケーブル(71)に取り付けられたストレスコーン(73)が配置される配置面(212)を有し、外部の機器箱(100)が取り付けられる取付面を有するフランジ部材(3)をさらに備え、前記内部導体(22)における前記電力ケーブル(71)の前記端末が接続される側を基端側、前記基端側と反対側を先端側としたとき、前記配置面(212)は、前記取付面(331)よりも前記基端側に配されており、前記アース電極(23)は、前記取付面(331)よりも前記先端側に配されている、碍管ユニット(1)。
【0055】
[2]前記碍管(21)の外周面における、前記アース電極(23)よりも前記基端側には、電界を遮蔽する電界遮蔽層(5)が形成されている、前記[1]に記載の碍管ユニット(1)。
【0056】
[3]径方向から見たとき、前記アース電極(23)と前記電界遮蔽層(5)とは、互いの一部同士が重なっている、前記[2]に記載の碍管ユニット(1)。
【0057】
[4]一部を露出させつつ前記碍管(21)に埋設されるとともに前記アース電極(23)に電気的に接続された埋設導電部材(25)と、前記埋設導電部材(25)と前記フランジ部材(3)とに電気的に接続された接続部材(6)とをさらに備え、前記フランジ部材(3)は、前記取付面(331)を有するフランジ取付壁(33)と、前記フランジ取付壁(33)から前記基端側に形成されるとともに前記碍管(21)を囲むフランジ側壁(32)とを備え、前記接続部材(6)は、前記フランジ側壁(32)の内周側に固定されている、前記[4]に記載の碍管ユニット(1)。
【0058】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…碍管ユニット
100…機器箱(被取付部材)
2…碍管構造体
21…碍管
212…配置面
22…内部導体
23…アース電極
25…埋設導電部材
3…フランジ部材
32…フランジ側壁
33…フランジ取付壁
331…取付面
5…電界遮蔽層
6…接続導体
71…電力ケーブル
73…ストレスコーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルの端末に電気的に接続される内部導体と、
前記内部導体を埋設する碍管と、
前記碍管の内側に埋設されるとともに前記内部導体を囲むよう形成されたアース電極と、を備え、
前記碍管の内周面は、前記電力ケーブルに取り付けられたストレスコーンが配置される配置面を有し、
外部の機器箱が取り付けられる取付面を有するフランジ部材をさらに備え、
前記内部導体における前記電力ケーブルの前記端末が接続される側を基端側、前記基端側と反対側を先端側としたとき、
前記配置面は、前記取付面よりも前記基端側に配されており、
前記アース電極は、前記取付面よりも前記先端側に配されている、
碍管ユニット。
【請求項2】
前記碍管の外周面における、前記アース電極よりも前記基端側には、電界を遮蔽する電界遮蔽層が形成されている、
請求項1に記載の碍管ユニット。
【請求項3】
径方向から見たとき、前記アース電極と前記電界遮蔽層とは、互いの一部同士が重なっている、
請求項2に記載の碍管ユニット。
【請求項4】
一部を露出させつつ前記碍管に埋設されるとともに前記アース電極に電気的に接続された埋設導電部材と、
前記埋設導電部材と前記フランジ部材とに電気的に接続された接続部材とをさらに備え、
前記フランジ部材は、前記取付面を有するフランジ取付壁と、前記フランジ取付壁から前記基端側に形成されるとともに前記碍管を囲むフランジ側壁とを備え、
前記接続部材は、前記フランジ側壁の内周側に固定されている、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の碍管ユニット。