(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112484
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20220726BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20220726BHJP
G02B 15/167 20060101ALN20220726BHJP
G02B 15/163 20060101ALN20220726BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
G02B15/167
G02B15/163
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200320
(22)【出願日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2021008222
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021182842
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永見 亮介
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA13
2H087MA14
2H087MA18
2H087NA07
2H087PA09
2H087PA10
2H087PA11
2H087PA18
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB10
2H087PB11
2H087PB12
2H087PB14
2H087PB15
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA33
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA14
2H087SA16
2H087SA19
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA30
2H087SA32
2H087SA44
2H087SA46
2H087SA49
2H087SA50
2H087SA52
2H087SA53
2H087SA55
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA72
2H087SA74
2H087SA75
2H087SA76
2H087SB05
2H087SB06
2H087SB11
2H087SB13
2H087SB14
2H087SB15
2H087SB17
2H087SB23
2H087SB24
2H087SB25
2H087SB32
2H087SB34
2H087SB42
2H087UA06
(57)【要約】
【課題】大きなイメージサークルと高い光学性能を有する小型軽量なズームレンズ、およびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、中間群と、最終群とからなる。変倍の際、第1レンズ群と中間群との間隔が変化し、中間群と最終群との間隔が変化する。合焦の際、中間群の少なくとも一部が移動し、第1レンズ群および最終群は像面に対して固定される。ズームレンズは、バックフォーカス、焦点距離、および最大半画角に関する予め定められた条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、中間群と、最終群とからなり、
変倍の際、前記第1レンズ群と前記中間群との間隔が変化し、前記中間群と前記最終群との間隔が変化し、
合焦の際、前記中間群の少なくとも一部がフォーカス群として光軸に沿って移動し、前記第1レンズ群および前記最終群は像面に対して固定され、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfw、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での最大半画角をωwとした場合、
0.35<Bfw/(fw×tan|ωw|)<1.5 (1)
で表される条件式(1)を満足するズームレンズ。
【請求項2】
望遠端において、無限遠物体に合焦した状態から撮影倍率が-0.1倍の状態まで変化した際の前記フォーカス群の移動量をDfoct、
無限遠物体に合焦した状態において、望遠端での前記中間群の最も物体側のレンズ面の位置と広角端での前記中間群の最も物体側のレンズ面の位置との光軸方向の差をDpMとした場合、
0.005<|Dfoct/DpM|<0.3 (2)
で表される条件式(2)を満足する請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記中間群の最も物体側のレンズ面の有効径をEDMf、
前記中間群の最も像側のレンズ面の有効径をEDMrとした場合、
0.3<EDMf/EDMr<1.5 (3)
で表される条件式(3)を満足する請求項1又は2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
広角端での前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から広角端での前記最終群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfwとの和をTLwとした場合、
2.5<TLw/(fw×tan|ωw|)<7 (4)
で表される条件式(4)を満足する請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記中間群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する前側部分群と、負の屈折力を有する後側部分群とを含む請求項1から4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
レンズ面の有効径端における前記レンズ面の法線と光軸とのなす角をαとし、αの単位を度とした場合、
13<|α|<50 (5)
で表される条件式(5)を満足する空気に面した凸面のレンズ面を前記後側部分群は1つ以上含む請求項5に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記中間群の最も物体側又は前記中間群の内部に絞りが配置され、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での、前記絞りから前記凸面のレンズ面までの光軸上の距離をDStw、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前記後側部分群の焦点距離をfMrwとした場合、
0.05<DStw/|fMrw|<2.5 (6)
で表される条件式(6)を満足する前記凸面のレンズ面を前記後側部分群は1つ以上含む請求項6に記載のズームレンズ。
【請求項8】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前記前側部分群の最も像側のレンズ面における最大像高の主光線の光軸からの高さをHMfb、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前記前側部分群の最も像側のレンズ面における軸上マージナル光線の光軸からの高さをHMfa、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前記後側部分群の最も像側のレンズ面における最大像高の主光線の光軸からの高さをHMrb、
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前記後側部分群の最も像側のレンズ面における軸上マージナル光線の光軸からの高さをHMraとした場合、
0.08<(HMfb/HMfa)/(HMrb/HMra)<0.8 (7)
で表される条件式(7)を満足する請求項5から7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
合焦の際、前記後側部分群の少なくとも一部が光軸に沿って移動し、他の群は像面に対して固定される請求項5から8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
合焦の際、前記前側部分群の少なくとも一部が光軸に沿って移動し、他の群は像面に対して固定される請求項5から8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記後側部分群は、像側の面が凸面である像側負レンズを含む請求項5から10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記後側部分群は、前記像側負レンズより物体側に、物体側の面が凸面である物体側負レンズを含む請求項11に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記前側部分群の最も物体側のレンズ面の近軸曲率半径をRMff、
前記前側部分群の最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRMfrとした場合、
-1<(RMff+RMfr)/(RMff-RMfr)<1 (8)
で表される条件式(8)を満足する請求項5から12のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項14】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での像面から射出瞳位置までの距離をPexpwとした場合、
0.5<Pexpw/fw<5 (9)
で表される条件式(9)を満足する請求項1から13のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記第1レンズ群は、最も物体側に物体側の面が凸面である負メニスカスレンズを含み、
前記負メニスカスレンズの物体側の面の近軸曲率半径をR1f、
前記負メニスカスレンズの像側の面の近軸曲率半径をR1rとした場合、
1<(R1f+R1r)/(R1f-R1r)<6 (10)
で表される条件式(10)を満足する請求項1から14のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項16】
前記第1レンズ群は、物体側の面が凸面である負メニスカスレンズを2枚以上含む請求項1から15のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項17】
前記第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対する屈折率をN1pとした場合、
1.6<N1p<2.15 (11)
で表される条件式(11)を満足する正レンズを前記第1レンズ群は1枚以上含む請求項1から16のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項18】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1とした場合、
0.3<fw/|f1|<1.5 (12)
で表される条件式(12)を満足する請求項1から17のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項19】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前記中間群の焦点距離をfMwとした場合、
0.4<fw/fMw<1.5 (13)
で表される条件式(13)を満足する請求項1から18のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項20】
前記フォーカス群の焦点距離をffocとした場合、
0.05<fw/|ffoc|<2.5 (14)
で表される条件式(14)を満足する請求項1から19のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項21】
前記中間群に含まれる全てのレンズの比重の平均値をGMaveとした場合、
3<GMave<4.2 (15)
で表される条件式(15)を満足する請求項1から20のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項22】
前記第1レンズ群に含まれる負レンズの20℃から40℃までの範囲におけるd線に対する相対屈折率の温度係数を(dN1n/dT)×10-6、dN1n/dTの単位をK-1とした場合、
-15<dN1n/dT<0 (16)
で表される条件式(16)を満足する負レンズを前記第1レンズ群は1枚以上含む請求項1から21のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項23】
0.45<Bfw/(fw×tan|ωw|)<1.1 (1-1)
で表される条件式(1-1)を満足する請求項1から22のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項24】
0.5<Bfw/(fw×tan|ωw|)<0.85 (1-2)
で表される条件式(1-2)を満足する請求項1から22のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項25】
変倍の際、前記最終群は像面に対して固定されている請求項1から24のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1項に記載のズームレンズを備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、ズームレンズ、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラおよびビデオカメラ等の撮像装置に適用可能なズームレンズとして、例えば下記特許文献1に記載のレンズ系が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、大きなイメージサークルと高い光学性能を有する小型軽量なズームレンズが要望されている。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きなイメージサークルと高い光学性能を有する小型軽量なズームレンズ、およびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るズームレンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、中間群と、最終群とからなり、変倍の際、第1レンズ群と中間群との間隔が変化し、中間群と最終群との間隔が変化し、合焦の際、中間群の少なくとも一部がフォーカス群として光軸に沿って移動し、第1レンズ群および最終群は像面に対して固定され、無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での最大半画角をωwとした場合、
0.35<Bfw/(fw×tan|ωw|)<1.5 (1)
で表される条件式(1)を満足する。
【0007】
上記態様のズームレンズは、下記条件式(1-1)を満足することが好ましく、下記条件式(1-2)を満足することがより好ましい。
0.45<Bfw/(fw×tan|ωw|)<1.1 (1-1)
0.5<Bfw/(fw×tan|ωw|)<0.85 (1-2)
【0008】
望遠端において、無限遠物体に合焦した状態から撮影倍率が-0.1倍の状態まで変化した際のフォーカス群の移動量をDfoct、無限遠物体に合焦した状態において、望遠端での中間群の最も物体側のレンズ面の位置と広角端での中間群の最も物体側のレンズ面の位置との光軸方向の差をDpMとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.005<|Dfoct/DpM|<0.3 (2)
で表される条件式(2)を満足することが好ましい。
【0009】
中間群の最も物体側のレンズ面の有効径をEDMf、中間群の最も像側のレンズ面の有効径をEDMrとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.3<EDMf/EDMr<1.5 (3)
で表される条件式(3)を満足することが好ましい。
【0010】
広角端での第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から広角端での最終群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfwとの和をTLwとした場合、上記態様のズームレンズは、
2.5<TLw/(fw×tan|ωw|)<7 (4)
で表される条件式(4)を満足することが好ましい。
【0011】
中間群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する前側部分群と、負の屈折力を有する後側部分群とを含むことが好ましい。
【0012】
レンズ面の有効径端におけるレンズ面の法線と光軸とのなす角をαとし、αの単位を度とした場合、
13<|α|<50 (5)
で表される条件式(5)を満足する空気に面した凸面のレンズ面を後側部分群は1つ以上含むことが好ましい。
【0013】
中間群の最も物体側又は中間群の内部に絞りが配置され、無限遠物体に合焦した状態における広角端での、絞りから上記凸面のレンズ面までの光軸上の距離をDStw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群の焦点距離をfMrwとした場合、
0.05<DStw/|fMrw|<2.5 (6)
で表される条件式(6)を満足する上記凸面のレンズ面を後側部分群は1つ以上含むことが好ましい。
【0014】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前側部分群の最も像側のレンズ面における最大像高の主光線の光軸からの高さをHMfb、無限遠物体に合焦した状態における広角端での前側部分群の最も像側のレンズ面における軸上マージナル光線の光軸からの高さをHMfa、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群の最も像側のレンズ面における最大像高の主光線の光軸からの高さをHMrb、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群の最も像側のレンズ面における軸上マージナル光線の光軸からの高さをHMraとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.08<(HMfb/HMfa)/(HMrb/HMra)<0.8 (7)
で表される条件式(7)を満足することが好ましい。
【0015】
合焦の際、後側部分群の少なくとも一部が光軸に沿って移動し、他の群は像面に対して固定されるように構成してもよい。
【0016】
合焦の際、前側部分群の少なくとも一部が光軸に沿って移動し、他の群は像面に対して固定されるように構成してもよい。
【0017】
後側部分群は、像側の面が凸面である像側負レンズを含むことが好ましい。その場合、後側部分群は、像側負レンズより物体側に、物体側の面が凸面である物体側負レンズを含むことが好ましい。
【0018】
前側部分群の最も物体側のレンズ面の近軸曲率半径をRMff、前側部分群の最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRMfrとした場合、上記態様のズームレンズは、
-1<(RMff+RMfr)/(RMff-RMfr)<1 (8)
で表される条件式(8)を満足することが好ましい。
【0019】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での像面から射出瞳位置までの距離をPexpwとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.5<Pexpw/fw<5 (9)
で表される条件式(9)を満足することが好ましい。
【0020】
第1レンズ群は、最も物体側に物体側の面が凸面である負メニスカスレンズを含み、上記負メニスカスレンズの物体側の面の近軸曲率半径をR1f、上記負メニスカスレンズの像側の面の近軸曲率半径をR1rとした場合、上記態様のズームレンズは、
1<(R1f+R1r)/(R1f-R1r)<6 (10)
で表される条件式(10)を満足することが好ましい。
【0021】
第1レンズ群は、物体側の面が凸面である負メニスカスレンズを2枚以上含むことが好ましい。
【0022】
第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対する屈折率をN1pとした場合、
1.6<N1p<2.15 (11)
で表される条件式(11)を満足する正レンズを第1レンズ群は1枚以上含むことが好ましい。
【0023】
第1レンズ群の焦点距離をf1とした場合、上記態様のズームレンズは、
0.3<fw/|f1|<1.5 (12)
で表される条件式(12)を満足することが好ましい。
【0024】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での中間群の焦点距離をfMwとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.4<fw/fMw<1.5 (13)
で表される条件式(13)を満足することが好ましい。
【0025】
フォーカス群の焦点距離をffocとした場合、上記態様のズームレンズは、
0.05<fw/|ffoc|<2.5 (14)
で表される条件式(14)を満足することが好ましい。
【0026】
中間群に含まれる全てのレンズの比重の平均値をGMaveとした場合、上記態様のズームレンズは、
3<GMave<4.2 (15)
で表される条件式(15)を満足することが好ましい。
【0027】
第1レンズ群に含まれる負レンズの20℃から40℃までの範囲におけるd線に対する相対屈折率の温度係数を(dN1n/dT)×10-6、dN1n/dTの単位をK(ケルビン)-1とした場合、
-15<dN1n/dT<0 (16)
で表される条件式(16)を満足する負レンズを第1レンズ群は1枚以上含むことが好ましい。
【0028】
変倍の際、最終群は像面に対して固定されていることが好ましい。
【0029】
本開示の別の態様に係る撮像装置は、本開示のズームレンズを備えている。
【0030】
なお、本明細書の「~からなり」、「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、およびカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0031】
本明細書において、「正の屈折力を有する~群」は、群全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有する~群」は、群全体として負の屈折力を有することを意味する。「正の屈折力を有するレンズ」および「正レンズ」は同義である。「負の屈折力を有するレンズ」および「負レンズ」は同義である。「第1レンズ群」、「中間群」、「前側部分群」、「後側部分群」、「最終群」、「フォーカス群」、および「防振群」は、複数のレンズからなる構成に限らず、1枚のみのレンズからなる構成としてもよい。
【0032】
「単レンズ」は、接合されていない1枚のレンズを意味する。但し、複合非球面レンズ(球面レンズと、その球面レンズ上に形成された非球面形状の膜とが一体的に構成されて、全体として1つの非球面レンズとして機能するレンズ)は、接合レンズとは見なさず、1枚のレンズとして扱う。非球面を含むレンズに関する屈折力の符号および面形状は、特に断りが無い限り近軸領域のものを用いる。曲率半径の符号は、物体側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を正、像側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を負とする。
【0033】
本明細書において、「全系」は、ズームレンズを意味する。「空気換算距離でのバックフォーカス」は、全系の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の空気換算距離である。条件式で用いている「焦点距離」は、近軸焦点距離である。条件式で用いている値は、無限遠物体に合焦した状態においてd線を基準とした場合の値である。条件式で用いている「tan」は正接である。
【0034】
本明細書に記載の「d線」、「C線」、「F線」、および「g線」は輝線である。本明細書においては、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)、g線の波長は435.84nm(ナノメートル)として扱う。あるレンズのg線とF線間の部分分散比θgFとは、g線、F線、およびC線に対するそのレンズの屈折率をそれぞれNg、NF、およびNCとした場合に、θgF=(Ng-NF)/(NF-NC)で定義される。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、大きなイメージサークルと高い光学性能を有する小型軽量なズームレンズ、およびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施例1のズームレンズに対応し、一実施形態に係るズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図2】
図1のズームレンズの各変倍状態における構成と光束を示す図である。
【
図6】条件式(7)の記号を説明するための図である。
【
図8】実施例2のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図10】実施例3のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図11】実施例3のズームレンズの各収差図である。
【
図12】実施例4のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図13】実施例4のズームレンズの各収差図である。
【
図14】実施例5のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図15】実施例5のズームレンズの各収差図である。
【
図16】実施例6のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図17】実施例6のズームレンズの各収差図である。
【
図18】実施例7のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図19】実施例7のズームレンズの各収差図である。
【
図20】実施例8のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図21】実施例8Aのズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図22】実施例8のズームレンズの各収差図である。
【
図23】実施例9のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図24】実施例9のズームレンズの各収差図である。
【
図25】実施例10のズームレンズの構成の断面図と移動軌跡を示す図である。
【
図26】実施例10のズームレンズの各収差図である。
【
図27】一実施形態に係る撮像装置の正面側の斜視図である。
【
図28】一実施形態に係る撮像装置の背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。
【0038】
図1に、本開示の一実施形態に係るズームレンズの広角端における構成の断面図と移動軌跡を示す。
図2に、このズームレンズの各変倍状態における構成および光束の断面図を示す。
図1および
図2に示す例は後述の実施例1のズームレンズに対応している。
図1および
図2では、無限遠物体に合焦している状態を示し、左側が物体側、右側が像側である。
図2では、「WIDE」と付した上段に広角端状態を示し、「MIDDLE」と付した中段に中間焦点距離状態を示し、「TELE」と付した下段に望遠端状態を示す。
図2では、光束として、広角端状態における軸上光束waおよび最大像高の光束wb、中間焦点距離状態における軸上光束maおよび最大像高の光束mb、望遠端状態における軸上光束taおよび最大像高の光束tbを示す。以下では主に
図1を参照しながら本開示の一実施形態に係るズームレンズについて説明する。
【0039】
本開示の一実施形態に係るズームレンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、中間群GMと、最終群GEとからなる。変倍の際、第1レンズ群G1と中間群GMとの間隔が変化し、中間群GMと最終群GEとの間隔が変化する。負先行のレンズ系にすることによって、入射瞳をより物体側に位置させることができるため、周辺光量の確保に有利となる。
【0040】
中間群GMは、1つ以上のレンズ群を含む群である。中間群GMが含むレンズ群の数は任意に設定可能であるが、小型軽量化のためには1つ、2つ、および3つのいずれかにすることが好ましい。また、小型軽量化のためには最終群GEは、1つのレンズ群からなることが好ましい。なお、本明細書における「レンズ群」とは、ズームレンズの構成部分であって、変倍の際に変化する空気間隔によって分けられた、少なくとも1枚のレンズを含む部分を指す。変倍の際には、レンズ群単位で移動又は固定され、かつ、1つのレンズ群内のレンズの相互間隔は変化しない。
【0041】
合焦の際には、中間群GMの少なくとも一部がフォーカス群として光軸Zに沿って移動し、第1レンズ群G1および最終群GEは像面Simに対して固定されている。本明細書では、合焦の際に移動する群を「フォーカス群」という。フォーカス群が移動することによって合焦が行われる。比較的レンズ径が小さい中間群GMのレンズでフォーカス群を構成することによって、フォーカスユニットの小型化に有利となり、全体の小型化にも寄与することができる。
【0042】
中間群GMは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する前側部分群GMfと、負の屈折力を有する後側部分群GMrとを含むように構成することができる。このようにした場合は、変倍の際の性能変化の抑制に有利となる。
【0043】
一例として、
図1のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とからなる。上述した各群と
図1の例との対応関係は以下のとおりである。中間群GMは、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。前側部分群GMfは第2レンズ群G2に対応する。後側部分群GMrは第3レンズ群G3に対応する。最終群GEは第4レンズ群G4に対応する。
【0044】
図1の各レンズ群は以下のように構成されている。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、開口絞りStと、レンズL21~L24の4枚のレンズとからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L32の2枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、レンズL41の1枚のレンズからなる。なお、
図1に示す開口絞りStは形状を示しているのではなく、光軸方向の位置を示している。
【0045】
図1では、ズームレンズが撮像装置に適用されることを想定して、ズームレンズと像面Simとの間に平行平板状の光学部材PPが配置された例を示している。光学部材PPは、各種フィルタ、および/又はカバーガラス等を想定した部材である。各種フィルタは、ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ、および/又は特定の波長域をカットするフィルタ等である。光学部材PPは屈折力を有しない部材である。光学部材PPを省略して撮像装置を構成することも可能である。
【0046】
図1の例では、変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが隣接するレンズ群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第4レンズ群G4は像面Simに対して固定されている。
図1では、変倍の際に移動するレンズ群の下には、広角端から望遠端へ変倍する際の概略的な移動軌跡を表す曲線状の矢印又は斜め方向の矢印を示し、変倍の際に固定されているレンズ群の下には接地記号を示す。
【0047】
図1の例では、合焦の際に、第3レンズ群G3が光軸Zに沿って移動し、その他のレンズ群は像面Simに対して固定されている。すなわち、
図1の例では、フォーカス群は第3レンズ群G3からなる。
図1の第3レンズ群G3の下の水平方向の右向きの矢印は、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、第3レンズ群G3が像側へ移動するフォーカス群であることを示す。
【0048】
次に、本開示のズームレンズの好ましい構成および可能な構成について説明する。なお、以下の好ましい構成および可能な構成の説明では、冗長さを避けるため「本開示のズームレンズ」を単に「ズームレンズ」ともいう。
【0049】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での最大半画角をωwとした場合、ズームレンズは下記条件式(1)を満足することが好ましい。
図2にωwの一例を示す。条件式(1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、イメージサークルに対してバックフォーカスが短くなり過ぎないため、最終群GEの小径化に有利となる。条件式(1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、イメージサークルに対してバックフォーカスが長くなり過ぎないため、全長の短縮に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(1-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(1-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.35<Bfw/(fw×tan|ωw|)<1.5 (1)
0.45<Bfw/(fw×tan|ωw|)<1.1 (1-1)
0.5<Bfw/(fw×tan|ωw|)<0.85 (1-2)
【0050】
望遠端において、無限遠物体に合焦した状態から撮影倍率が-0.1倍の状態まで変化した際のフォーカス群の移動量をDfoctとし、無限遠物体に合焦した状態において、望遠端での中間群GMの最も物体側のレンズ面の位置と広角端での中間群GMの最も物体側のレンズ面の位置との光軸方向の差をDpMとした場合、ズームレンズは下記条件式(2)を満足することが好ましい。一例として、
図2にDpMを示し、
図3にDfoctを示す。
図3では上段に望遠端での無限遠物体に合焦した状態を示し、下段に望遠端での撮影倍率が-0.1倍の状態を示す。条件式(2)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、合焦の際のフォーカス群の位置精度の厳格化を抑制できるため、制御が容易となる。条件式(2)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、合焦の際のフォーカス群の移動量が大きくなるのを抑制できる。これによって、フォーカスユニットの大型化を抑えることができるため、全体の小型化および軽量化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(2-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(2-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.005<|Dfoct/DpM|<0.3 (2)
0.015<|Dfoct/DpM|<0.15 (2-1)
0.03<|Dfoct/DpM|<0.115 (2-2)
【0051】
中間群GMの最も物体側のレンズ面の有効径をEDMf、中間群GMの最も像側のレンズ面の有効径をEDMrとした場合、ズームレンズは下記条件式(3)を満足することが好ましい。通常、フォーカスユニットは、中間群GMの有効径より径方向外側に位置する。そのため、中間群GMの最も物体側のレンズ面の有効径と中間群GMの最も像側のレンズ面の有効径との比が異なるほど、フォーカスユニットの大型化に繋がる。したがって、条件式(3)を満足することによって、フォーカスユニットの大型化を抑えることができるため、全体の小型化および軽量化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(3-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(3-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.3<EDMf/EDMr<1.5 (3)
0.4<EDMf/EDMr<1 (3-1)
0.5<EDMf/EDMr<0.85 (3-2)
【0052】
なお、本開示の技術においては、レンズ面に物体側から入射し、像側に射出される光線のうち、最も外側を通る光線とそのレンズ面との交点から光軸Zまでの距離の2倍を、そのレンズ面の「有効径」とする。ここでいう「外側」とは、光軸Zを中心にした径方向外側、すなわち、光軸Zから離れる側である。また、「最も外側を通る光線」は、変倍の全領域を考慮して決定される。
【0053】
説明用の図として
図4に有効径EDの一例を示す。
図4では、左側が物体側、右側が像側である。
図4には、レンズLxを通る軸上光束Xaおよび軸外光束Xbを示す。
図4の例では、軸外光束Xbの上側光線である光線Xb1が、最も外側を通る光線である。よって、
図4の例ではレンズLxの物体側の面と光線Xb1との交点から光軸Zまでの距離の2倍が、レンズLxの物体側の面の有効径EDとなる。なお、
図4では軸外光束Xbの上側光線が最も外側を通る光線であるが、いずれの光線が最も外側を通る光線になるかは光学系により異なる。
【0054】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での最大半画角をωw、広角端での第1レンズ群G1の最も物体側のレンズ面から広角端での最終群GEの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離とBfwとの和をTLwとした場合、ズームレンズは下記条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、高い光学性能を有するズームレンズを提供することが容易となる。条件式(4)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、小型軽量なカメラシステムを提供することが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(4-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(4-2)を満足することがさらにより好ましい。
2.5<TLw/(fw×tan|ωw|)<7 (4)
2.75<TLw/(fw×tan|ωw|)<5.75 (4-1)
3<TLw/(fw×tan|ωw|)<5 (4-2)
【0055】
レンズ面の有効径端Pにおけるレンズ面の法線NLと光軸Zとのなす角をαとした場合、下記条件式(5)を満足する空気に面した凸面のレンズ面を、後側部分群GMrは1つ以上含むことが好ましい。条件式(5)ではαの単位を度としている。一例として
図5に、レンズL32の像側の面の有効径端Pにおける、この面の法線NLを破線で示し、法線NLと光軸Zとのなす角αを示す。
図5では、一部符号の図示を省略している。有効径端Pは、上記の有効径の定義における、最も外側を通る光線とレンズ面との交点である。条件式(5)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外光束に作用する屈折力が弱くなり過ぎないため、像面Simへの軸外主光線の入射角が大きくなるのを抑制できる。これによって、周辺光量の確保に有利となる。条件式(5)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、上記凸面の加工難易度が上がることを抑制できるため、面精度の確保に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(5)に代えて、下記条件式(5-1)が満足されることがより好ましく、下記条件式(5-2)が満足されることがさらにより好ましい。
13<|α|<50 (5)
15<|α|<40 (5-1)
17<|α|<30 (5-2)
【0056】
中間群GMの最も物体側又は中間群GMの内部に開口絞りStが配置されていることが好ましい。なお、「中間群GMの内部に、開口絞りStが配置されている」構成とは、中間群GMにおいて、開口絞りStの物体側および像側の両方に1枚以上のレンズが配置されている構成である。中間群GMの最も物体側に開口絞りStが配置されている場合は、像面Simへの軸外主光線の入射角が大きくなるのを抑制できるため、周辺光量の確保に有利となる。また、第1レンズ群G1のレンズ径の小径化に有利となる。中間群GMの内部に開口絞りStが配置されている場合は、光学的な対称性が良くなるため、歪曲収差および像面湾曲の抑制に有利となる。
【0057】
中間群GMの最も物体側又は中間群GMの内部に開口絞りStが配置されている構成において、条件式(5)および下記条件式(6)を満足する空気に面した上記凸面のレンズ面を後側部分群GMrは1つ以上含むことが好ましい。条件式(6)では、無限遠物体に合焦した状態における広角端での、開口絞りStから上記凸面のレンズ面までの光軸上の距離をDStwとし、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群GMrの焦点距離をfMrwとしている。条件式(6)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、上記凸面のレンズ面における、軸上光束と軸外光束との分離の程度が小さくなり過ぎないため、像面湾曲の抑制に有利となる。条件式(6)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(6)に代えて、下記条件式(6-1)が満足されることがより好ましく、下記条件式(6-2)が満足されることがさらにより好ましい。
0.05<DStw/|fMrw|<2.5 (6)
0.35<DStw/|fMrw|<2 (6-1)
0.5<DStw/|fMrw|<1.65 (6-2)
【0058】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での、軸上マージナル光線wa1および最大像高の主光線wb1について、ズームレンズは、下記条件式(7)を満足することが好ましい。条件式(7)で用いている記号を、一例として
図6に示す。
図6には、
図1のズームレンズの広角端における中間群GMの一部、および光束の拡大図を示す。HMfbは、無限遠物体に合焦した状態における広角端での前側部分群GMfの最も像側のレンズ面における最大像高の主光線の光軸Zからの高さである。HMfaは、無限遠物体に合焦した状態における広角端での前側部分群GMfの最も像側のレンズ面における軸上マージナル光線の光軸Zからの高さである。HMrbは、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群GMrの最も像側のレンズ面における最大像高の主光線の光軸Zからの高さである。HMraは、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群GMrの最も像側のレンズ面における軸上マージナル光線の光軸Zからの高さである。条件式(7)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、後側部分群GMrにおける軸外光束の光軸Zからの高さが高くなり過ぎないため、最終群GEにおける屈折量を抑えることができる。これによって、歪曲収差の補正に有利となる。条件式(7)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、後側部分群GMrにおける、軸上光束と軸外光束との分離の程度が小さくなり過ぎないため、軸外光束の諸収差を補正するのに有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(7-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(7-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.08<(HMfb/HMfa)/(HMrb/HMra)<0.8 (7)
0.1<(HMfb/HMfa)/(HMrb/HMra)<0.6 (7-1)
0.12<(HMfb/HMfa)/(HMrb/HMra)<0.52 (7-2)
【0059】
前側部分群GMfの最も物体側のレンズ面の近軸曲率半径をRMff、前側部分群GMfの最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRMfrとした場合、ズームレンズは下記条件式(8)を満足することが好ましい。条件式(8)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像面湾曲の補正不足の抑制に有利となる。条件式(8)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像面湾曲の補正過剰の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(8-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(8-2)を満足することがさらにより好ましい。
-1<(RMff+RMfr)/(RMff-RMfr)<1 (8)
-0.5<(RMff+RMfr)/(RMff-RMfr)<0.3 (8-1)
-0.3<(RMff+RMfr)/(RMff-RMfr)<0.15 (8-2)
【0060】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での中間群GMの焦点距離をfMwとした場合、ズームレンズは下記条件式(13)を満足することが好ましい。条件式(13)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、変倍の際の中間群GMの移動量が大きくなり過ぎないため、全長の短縮に有利となる。条件式(13)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、変倍の際の収差変動の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(13-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(13-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.4<fw/fMw<1.5 (13)
0.5<fw/fMw<1.35 (13-1)
0.6<fw/fMw<1.2 (13-2)
【0061】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、フォーカス群の焦点距離をffocとした場合、ズームレンズは下記条件式(14)を満足することが好ましい。条件式(14)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、合焦の際のフォーカス群の移動量が大きくなり過ぎないため、フォーカスユニットの小型化に有利となる。条件式(14)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、合焦の際のフォーカス群の位置精度の厳格化を抑制できるため、制御が容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(14-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(14-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.05<fw/|ffoc|<2.5 (14)
0.08<fw/|ffoc|<2 (14-1)
0.12<fw/|ffoc|<1.5 (14-2)
【0062】
中間群GMに含まれる全てのレンズの比重の平均値をGMaveとした場合、ズームレンズは下記条件式(15)を満足することが好ましい。条件式(15)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、中間群GMに使用可能な材料の範囲を広くできるため、軸上色収差の補正に有利となる。条件式(15)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、中間群GMが重くなり過ぎないため、変倍および/又は合焦の際にレンズを駆動させる機構の大型化を抑制できる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(15-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(15-2)を満足することがさらにより好ましい。
3<GMave<4.2 (15)
3.1<GMave<4 (15-1)
3.2<GMave<3.85 (15-2)
【0063】
中間群GMの正レンズの、g線とF線間の部分分散比をθMp、d線基準のアッベ数をνMpとした場合、ズームレンズは下記条件式(18)を満足することが好ましい。条件式(18)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸上色収差の2次スペクトルの補正不足の抑制に有利となる。条件式(18)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、軸上色収差の2次スペクトルの補正過剰の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(18-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(18-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.01<θMp+0.0018×νMp-0.64833<0.06 (18)
0.017<θMp+0.0018×νMp-0.64833<0.05 (18-1)
0.022<θMp+0.0018×νMp-0.64833<0.04 (18-2)
【0064】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での前側部分群GMfの焦点距離をfMfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群GMrの焦点距離をfMrwとした場合、ズームレンズは下記条件式(26)を満足することが好ましい。条件式(26)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、後側部分群GMrの屈折力が弱くなり過ぎないため、像面湾曲の補正に有利となる。条件式(26)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、前側部分群GMfの屈折力が弱くなり過ぎないため、球面収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(26-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(26-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.25<fMfw/|fMrw|<2 (26)
0.3<fMfw/|fMrw|<1.75 (26-1)
0.35<fMfw/|fMrw|<1.5 (26-2)
【0065】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での、後側部分群GMrの最も物体側のレンズ面から後側部分群GMrの最も像側のレンズ面までの間の光軸上の空気間隔の和をDMra、無限遠物体に合焦した状態における広角端での、後側部分群GMrの最も物体側のレンズ面から後側部分群GMrの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をDMrtとした場合、ズームレンズは下記条件式(21)を満足することが好ましい。条件式(21)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、後側部分群GMrの重量の増加を抑制できるため、駆動機構の軽量化に有利となる。条件式(21)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、後側部分群GMrの収差補正効果を確保できるため、変倍の際の収差変動の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(21-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(21-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.2<DMra/DMrt<0.95 (21)
0.35<DMra/DMrt<0.92 (21-1)
0.6<DMra/DMrt<0.9 (21-2)
【0066】
後側部分群GMrは、像側の面が凸面である像側負レンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、像面湾曲の抑制に有利となる。また、後側部分群GMrは、像側負レンズより物体側に、物体側の面が凸面である物体側負レンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、球面収差の抑制に有利となる。
図1の例では、物体側負レンズはレンズL31に対応し、像側負レンズはレンズL32に対応する。
【0067】
物体側負レンズの像側の面の近軸曲率半径をRnor、像側負レンズの物体側の面の近軸曲率半径をRnifとした場合、下記条件式(22)を満足する物体側負レンズと像側負レンズとの組を後側部分群GMrは1つ以上含むことが好ましい。条件式(22)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、球面収差の抑制に有利となる。条件式(22)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像面湾曲の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(22)に代えて、下記条件式(22-1)が満足されることがより好ましく、下記条件式(22-2)が満足されることがさらにより好ましい。
-1.5<(Rnor+Rnif)/(Rnor-Rnif)<1 (22)
-1.2<(Rnor+Rnif)/(Rnor-Rnif)<0.5 (22-1)
-0.8<(Rnor+Rnif)/(Rnor-Rnif)<0.25 (22-2)
【0068】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での後側部分群GMrの焦点距離をfMrwとした場合、ズームレンズは下記条件式(25)を満足することが好ましい。条件式(25)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、後側部分群GMrの屈折力が弱くなり過ぎないため、像面湾曲の補正に有利となる。条件式(25)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、後側部分群GMrの屈折力が強くなり過ぎないため、最終群GEの小径化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(25-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(25-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.15<fw/|fMrw|<2 (25)
0.22<fw/|fMrw|<1.75 (25-1)
0.28<fw/|fMrw|<1.5 (25-2)
【0069】
中間群GMに含まれる正レンズの20℃から40℃までの範囲におけるd線に対する相対屈折率の温度係数を(dNMp/dT)×10-6とし、dNMp/dTの単位をK(ケルビン)-1とした場合、下記条件式(29)を満足する正レンズを中間群GMは1枚以上含むことが好ましい。一般に温度係数が正となる材料が多いため、条件式(29)の範囲の正レンズを中間群GMが含むことによって、温度が変化した際の性能変化の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(29)に代えて、下記条件式(29-1)が満足されることがより好ましく、下記条件式(29-2)が満足されることがさらにより好ましい。
-15<dNMp/dT<0 (29)
-10<dNMp/dT<-3 (29-1)
-7<dNMp/dT<-5 (29-2)
【0070】
中間群GMは全体として正の屈折力を有することが好ましい。このようにした場合は、負の屈折力を有する第1レンズ群G1および正の屈折力を有する中間群GMによって、変倍比を大きくすることが容易となり、また、球面収差の補正にも有利となる。さらに、正の屈折力を有する中間群GMによって、中間群GMに後続する最終群GEを小径化できるため、全体の小型化にも有利となる。
【0071】
中間群GMは、前側部分群GMfと、後側部分群GMrとからなるように構成してもよい。このようにした場合は、前側部分群GMfおよび後側部分群GMr以外の群も含む場合に比べて小型軽量化に有利となる。しかし、中間群GMは、前側部分群GMfと、後側部分群GMrと、その他の群とからなるように構成してもよい。このようにした場合は、より高い光学性能の確保に有利となる。
【0072】
前側部分群GMfの最も物体側のレンズは正レンズであることが好ましい。このようにした場合は、中間群GMの小径化に有利となる。前側部分群GMfの最も像側のレンズは正レンズであることが好ましい。このようにした場合は、後側部分群GMrの小径化に有利となる。
【0073】
後側部分群GMrは2枚以上のレンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、変倍の際の性能変化の抑制に有利となる。
【0074】
後側部分群GMrの最も像側のレンズは負レンズであるように構成してもよい。このようにした場合は、最終群GEへ入射する軸外光線の高さを高くできるため、像面Simに配置される撮像素子への軸外主光線の入射角が大きくなるのを抑制できる。これによって、周辺光量の確保に有利となる。
【0075】
例えば、後側部分群GMrは、2枚の負レンズからなるように構成してもよい。より詳しくは、後側部分群GMrは、凹面が対向配置された2枚の負メニスカスレンズからなるように構成してもよい。なお、「負メニスカスレンズ」は、負の屈折力を有するメニスカスレンズである。もしくは、後側部分群GMrは、2枚の負レンズと1枚の正レンズとからなるように構成してもよい。後側部分群GMrは、1枚の負レンズと1枚の正レンズとが接合されて構成された接合レンズと、1枚の負レンズとからなるように構成してもよい。後側部分群GMrは、両凸形状の空気レンズを含むように構成してもよい。
【0076】
前側部分群GMfと後側部分群GMrとの間には両凹形状の空気レンズが形成されているように構成してもよい。このようにした場合は、後側部分群GMrの小径化に有利となる。
図1の例では、レンズL24の像側の面とレンズL31の物体側の面とで両凹形状の空気レンズが形成されている。
【0077】
変倍の際、前側部分群GMfと後側部分群GMrとの間隔が変化するように構成してもよい。このようにした場合は、変倍の際の性能変化の抑制に有利となる。中間群GMが、変倍の際に隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて移動する複数のレンズ群からなる場合は、変倍の際に変化するいずれかの間隔によって前側部分群GMfと後側部分群GMrとが隔てられているように構成してもよい。例えば、中間群GMの変倍の際に変化する間隔のうち、最も物体側の間隔によって前側部分群GMfと後側部分群GMrとが隔てられているように構成してもよい。あるいは、中間群GMの変倍の際に変化する間隔のうち、最も像側の間隔によって前側部分群GMfと後側部分群GMrとが隔てられているように構成してもよい。
【0078】
中間群GMが、変倍の際に隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて移動する1つのレンズ群からなり、かつ、フォーカス群が中間群GMの一部のみからなる場合は、中間群GMのうちフォーカス群より物体側の部分を前側部分群GMfとし、中間群GMのうちこの前側部分群GMfより像側の部分を後側部分群GMrとするように構成してもよい。このようにした場合は、前側部分群GMfは正の屈折力を有するため、フォーカス群の小径化に有利となる。
【0079】
合焦の際、前側部分群GMfの少なくとも一部が光軸Zに沿って移動し、他の群は像面Simに対して固定されるように構成してもよい。このように、比較的有効径の小さい前側部分群GMfのレンズでフォーカス群を構成した場合は、フォーカスユニットの小型化に有利となる。フォーカス群は、前側部分群GMfの一部のみからなるように構成してもよく、前側部分群GMf全体からなるように構成してもよい。例えば、前側部分群GMfが、変倍の際に隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて移動する複数のレンズ群からなる場合は、この複数のレンズ群のうち最も物体側のレンズ群のみがフォーカス群を構成するようにしてもよい。また、前側部分群GMfの内部に開口絞りStが配置されている場合は、前側部分群GMfのうち開口絞りStより物体側の部分のみがフォーカス群を構成するようにしてもよい。なお、「前側部分群GMfの内部に開口絞りStが配置されている」とは、前側部分群GMfにおいて、開口絞りStの物体側および像側の両方に1枚以上のレンズが配置されている構成である。
【0080】
合焦の際、後側部分群GMrの少なくとも一部が光軸Zに沿って移動し、他の群は像面Simに対して固定されるように構成してもよい。このようにした場合は、撮影距離の変化に伴う球面収差の変動の抑制に有利となる。フォーカス群は、後側部分群GMrの一部のみからなるように構成してもよく、後側部分群GMr全体からなるように構成してもよい。また、フォーカス群が、後側部分群GMrの最も物体側の1枚のレンズのみからなる場合は、フォーカスユニットの小型化に有利という利点も得ることができる。
【0081】
なお、合焦の際に移動する全てのレンズは同一の移動軌跡で移動するようにしてもよい。すなわち、ズームレンズに含まれるフォーカス群の移動軌跡は1種類であるように構成してもよい。このようにフォーカス群を単一化することによって、フォーカスユニットの小型軽量化に有利となる。
【0082】
第1レンズ群G1は、最も物体側に物体側の面が凸面である負メニスカスレンズを含むことが好ましい。最も物体側に負レンズが配置されることによって、入射瞳を物体側に近づけることができるため、広角端での画角確保、および小径化に寄与することができる。また、最も物体側のレンズをメニスカス形状にすることによって、非点収差および歪曲収差の抑制に有利となる。
【0083】
第1レンズ群G1が最も物体側に物体側の面が凸面である負メニスカスレンズを含む構成において、この負メニスカスレンズの物体側の面の近軸曲率半径をR1f、像側の面の近軸曲率半径をR1rとした場合、ズームレンズは下記条件式(10)を満足することが好ましい。条件式(10)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、広角端から望遠端における非点収差の抑制に有利となる。条件式(10)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、広角端での歪曲収差および像面湾曲の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(10-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(10-2)を満足することがさらにより好ましい。
1<(R1f+R1r)/(R1f-R1r)<6 (10)
1.5<(R1f+R1r)/(R1f-R1r)<4.3 (10-1)
2.2<(R1f+R1r)/(R1f-R1r)<3.2 (10-2)
【0084】
第1レンズ群G1は、物体側の面が凸面である負メニスカスレンズを2枚以上含むことが好ましい。このようにした場合は、負の屈折力を複数のレンズに分担させることができるため、各負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径の絶対値を大きくすることが容易となる。これによって、広角側での非点収差の抑制に有利となる。
【0085】
第1レンズ群G1に含まれる正レンズのd線に対する屈折率をN1pとした場合、下記条件式(11)を満足する正レンズを第1レンズ群G1は1枚以上含むことが好ましい。条件式(11)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1内の正レンズの曲率半径の絶対値が小さくなり過ぎないため、非点収差の抑制に有利となる。条件式(11)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1内の正レンズの曲率半径の絶対値が大きくなり過ぎないため、像面湾曲の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(11)に代えて、下記条件式(11-1)が満足されることがより好ましく、下記条件式(11-2)が満足されることがさらにより好ましい。
1.6<N1p<2.15 (11)
1.75<N1p<2.07 (11-1)
1.83<N1p<2.02 (11-2)
【0086】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、第1レンズ群G1の焦点距離をf1とした場合、ズームレンズは下記条件式(12)を満足することが好ましい。条件式(12)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1と中間群GM内の最も物体側の群との間隔の変化量が大きくなり過ぎないため、全長の短縮に有利となる。条件式(12)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、中間群GMへ入射する光束の径が大きくなり過ぎないため、レンズ系全体の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(12-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(12-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.3<fw/|f1|<1.5 (12)
0.45<fw/|f1|<1.25 (12-1)
0.6<fw/|f1|<1.1 (12-2)
【0087】
第1レンズ群G1に含まれる負レンズの20℃から40℃までの範囲におけるd線に対する相対屈折率の温度係数を(dN1n/dT)×10-6とし、dN1n/dTの単位をK(ケルビン)-1とした場合、下記条件式(16)を満足する負レンズを第1レンズ群G1は1枚以上含むことが好ましい。一般に温度係数が正となる材料が多いため、条件式(16)の範囲の負レンズを第1レンズ群G1が含むことによって、温度が変化した際の性能変化の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(16)に代えて、下記条件式(16-1)が満足されることがより好ましく、下記条件式(16-2)が満足されることがさらにより好ましい。
-15<dN1n/dT<0 (16)
-10<dN1n/dT<-3 (16-1)
-7<dN1n/dT<-5 (16-2)
【0088】
第1レンズ群G1の一部は、防振群として像ぶれ補正の際に光軸Zと交わる方向に移動するように構成してもよい。本明細書では、像ぶれ補正の際に移動する群を「防振群」という。防振群が移動することによって像ぶれ補正が行われる。第1レンズ群G1の一部のみで防振群を構成することによって、第1レンズ群G1全体と防振群とをそれぞれ別の屈折力にすることができるため、防振群の屈折力を制御しやすくなり、良好な防振性能および小型化の両立に有利となる。例えば、防振群は、第1レンズ群G1の最も像側の1枚のレンズからなるように構成してもよい。このようにした場合は、防振群の小型化に有利となる。
【0089】
ズームレンズが防振群を有する構成において、無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、防振群の焦点距離をfisとした場合、ズームレンズは下記条件式(17)を満足することが好ましい。条件式(17)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像ぶれ補正の際の防振群の移動量が大きくなり過ぎないため、防振ユニットの小型化に有利となる。条件式(17)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像ぶれ補正の際の収差変動の抑制に有利となる。条件式(17)を満足することによって、防振ユニットの小型化を図りつつ、良好な像ぶれ補正の性能を得ることに有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(17-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(17-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.05<fw/|fis|<0.75 (17)
0.1<fw/|fis|<0.5 (17-1)
0.15<fw/|fis|<0.25 (17-2)
【0090】
第1レンズ群G1の最も物体側の負レンズのd線に対する屈折率をN1nとした場合、ズームレンズは下記条件式(20)を満足することが好ましい。条件式(20)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、この負レンズの曲率半径の絶対値が小さくなり過ぎないため、広角端から望遠端における軸外収差の抑制に有利となる。条件式(20)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、この負レンズが高分散かつ高比重になるのを抑制することが容易になるため、広角端での倍率色収差の補正、および軽量化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(20-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(20-2)を満足することがさらにより好ましい。
1.6<N1n<2.15 (20)
1.65<N1n<2.07 (20-1)
1.7<N1n<2 (20-2)
【0091】
第1レンズ群G1に含まれる全てのレンズの比重の平均値をG1aveとした場合、ズームレンズは下記条件式(23)を満足することが好ましい。条件式(23)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1に使用可能な材料の範囲を広くできるため、倍率色収差の補正に有利となる。条件式(23)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1が重くなり過ぎないため、光学系全体の重心が物体側に寄るのを抑制できる。これによって、使用者がズームレンズを保持している状態での負担の軽減に寄与できる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(23-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(23-2)を満足することがさらにより好ましい。
3<G1ave<4.5 (23)
3.15<G1ave<4.3 (23-1)
3.2<G1ave<4.2 (23-2)
【0092】
第1レンズ群G1は、
図1の例のように、変倍の際に、中間群GMとの間隔を変化させて光軸Zに沿って移動するように構成してもよい。このようにした場合は、変倍の際の収差変動の抑制に有利となる。あるいは、変倍の際、第1レンズ群G1は像面Simに対して固定されているように構成してもよい。このようにした場合は、第1レンズ群G1の可動機構が不要になる分、メカ構成が簡素になるため、小型軽量化に有利となる。
【0093】
第1レンズ群G1に含まれるレンズの枚数は、3枚以上かつ6枚以下であることが好ましい。このようにした場合は、小型軽量化と変倍の際の諸収差の変動の抑制とに有利になる。第1レンズ群G1に含まれるレンズの枚数は、3枚以上かつ5枚以下であることがさらに好ましく、4枚以上かつ5枚以下であることがさらにより好ましい。
【0094】
第1レンズ群G1は、負レンズと正レンズとが接合された接合レンズを含むように構成してもよい。このようにした場合は、色収差の補正に有利となる。第1レンズ群G1が含む接合レンズの1つは、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合されていてもよい。また、第1レンズ群G1が含む接合レンズの接合面は、物体側に凸面を向けた形状としてもよい。
【0095】
第1レンズ群G1は、3枚の負レンズと、1枚の正レンズとからなるように構成してもよい。その場合、第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、2枚の単レンズである負レンズと、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合された接合レンズとからなるように構成してもよい。もしくは、第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、1枚の負レンズと、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合された接合レンズと、1枚の負レンズとからなるように構成してもよい。
【0096】
第1レンズ群G1は、4枚の負レンズと、1枚の正レンズとからなるように構成してもよい。その場合は、例えば、第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、2枚の単レンズである負レンズと、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合された接合レンズと、1枚の単レンズである負レンズとからなるように構成してもよい。
【0097】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、広角端での最終群GEの焦点距離をfEとした場合、ズームレンズは下記条件式(27)を満足することが好ましい。条件式(27)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、特に広角端で像面Simへの軸外主光線の入射角が大きくなるのを抑制することに有利となる。条件式(27)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像面湾曲の抑制が容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(27-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(27-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.01<fw/fE<0.75 (27)
0.03<fw/fE<0.6 (27-1)
0.15<fw/fE<0.52 (27-2)
【0098】
最終群GEに含まれる全てのレンズの比重の平均値をGEaveとした場合、ズームレンズは下記条件式(24)を満足することが好ましい。条件式(24)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、最終群GEが軽くなり過ぎないため、光学系全体の重心が物体側に寄るのを抑制できる。これによって、使用者がズームレンズを保持している状態での負担の軽減に寄与できる。条件式(24)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、最終群GEが重くなり過ぎないため、レンズ系全体の軽量化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(24-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(24-2)を満足することがさらにより好ましい。
2.5<GEave<5 (24)
3<GEave<4 (24-1)
3.2<GEave<3.7 (24-2)
【0099】
最終群GEは正の屈折力を有することが好ましい。このようにした場合は、像面Simへの軸外主光線の入射角が大きくなるのを抑制できるため、周辺光量の確保に有利となる。
【0100】
変倍の際、最終群GEは像面Simに対して固定されていることが好ましい。最も像側に変倍の際に固定されている群を配置することによって、変倍の際の倍率色収差の変動の抑制に有利となる。
【0101】
最終群GEは、2枚以下のレンズからなるように構成してもよい。このようにした場合は、小型軽量化に有利となる。最終群GEが、1枚の正レンズと1枚の負レンズとが接合されて構成された接合レンズからなる場合は、倍率色収差の補正に有利となる。あるいは、最終群GEは1枚のレンズからなるように構成してもよい。このようにした場合は、小型軽量化により有利となる。
【0102】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での像面Simから射出瞳位置までの距離をPexpw、無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfwとした場合、ズームレンズは下記条件式(9)を満足することが好ましい。条件式(9)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像面Simへの軸外主光線の入射角が大きくなり過ぎないため、周辺光量の確保に有利となる。条件式(9)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、レンズ系の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(9-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(9-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.5<Pexpw/fw<5 (9)
1<Pexpw/fw<4.2 (9-1)
1.4<Pexpw/fw<3.7 (9-2)
【0103】
望遠端での第1レンズ群G1の最も物体側のレンズ面から望遠端での最終群GEの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、無限遠物体に合焦した状態における望遠端での全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLt、無限遠物体に合焦した状態における望遠端での全系の焦点距離をft、無限遠物体に合焦した状態における望遠端での最大半画角をωtとした場合、ズームレンズは下記条件式(19)を満足することが好ましい。
図2にωtの一例を示す。条件式(19)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、高い光学性能を有するズームレンズを提供することが容易となる。条件式(19)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、小型軽量なカメラシステムを提供することが容易となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(19-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(19-2)を満足することがさらにより好ましい。
2.85<TLt/(ft×tan|ωt|)<7 (19)
3.2<TLt/(ft×tan|ωt|)<6 (19-1)
3.5<TLt/(ft×tan|ωt|)<5.25 (19-2)
【0104】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での全系の焦点距離をfw、無限遠物体に合焦した状態における望遠端での全系の焦点距離をftとした場合、ズームレンズは下記条件式(28)を満足することが好ましい。条件式(28)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、ズームレンズとして有意な変倍比を確保することができる。条件式(28)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(28-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(28-2)を満足することがさらにより好ましい。
1.3<ft/fw<5 (28)
1.4<ft/fw<3 (28-1)
1.45<ft/fw<2.5 (28-2)
【0105】
無限遠物体に合焦した状態における広角端での最大半画角をωwとし、ωwの単位を度とした場合、ズームレンズは下記条件式(30)を満足することが好ましい。条件式(30)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、画角が狭くなり過ぎないため、最も物体側の第1レンズ群G1が負の屈折力を有するレンズ系では、全長の短縮に有利となる。条件式(30)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、画角が広くなり過ぎないため、第1レンズ群G1の小径化が容易となり、また、レンズ系全体の大型化を抑制できる。より良好な特性を得るためには、ズームレンズは下記条件式(30-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(30-2)を満足することがさらにより好ましい。
28<ωw<90 (30)
32<ωw<65 (30-1)
35<ωw<60 (30-2)
【0106】
条件式に関する構成も含め上述した好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。なお、本開示のズームレンズが満足することが好ましい条件式は、式の形式で記載された条件式に限定されず、好ましい、より好ましい、およびさらにより好ましいとされた条件式の中から下限と上限とを任意に組み合わせて得られる全ての条件式を含む。
【0107】
一例として、本開示のズームレンズの好ましい一態様は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、中間群GMと、最終群GEとからなり、変倍の際、第1レンズ群G1と中間群GMとの間隔が変化し、中間群GMと最終群GEとの間隔が変化し、合焦の際、中間群GMの少なくとも一部がフォーカス群として光軸Zに沿って移動し、第1レンズ群G1および最終群GEは像面Simに対して固定され、上記条件式(1)を満足するズームレンズである。この好ましい一態様によれば、大きなイメージサークルと高い光学性能を有する小型軽量なズームレンズを提供することが可能である。
【0108】
次に、本開示のズームレンズの実施例について図面を参照して説明する。なお、各実施例の断面図のレンズに付された参照符号は、参照符号の桁数の増大による説明および図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。したがって、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0109】
[実施例1]
実施例1のズームレンズの構成の断面図は
図1に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2からなる。後側部分群GMrは、第3レンズ群G3からなる。最終群GEは、第4レンズ群G4からなる。
【0110】
変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第4レンズ群G4は像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第3レンズ群G3全体からなる。
【0111】
実施例1のズームレンズについて、基本レンズデータを表1に、諸元と可変面間隔を表2に、非球面係数を表3に示す。表1は以下のように記載されている。Snの列には、最も物体側の面を第1面とし像側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。Rの列には、各面の曲率半径を示す。Dの列には、各面とその像側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。Ndの列には、各構成要素のd線に対する屈折率を示す。νdの列には、各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。θgFの列には、各構成要素のg線とF線間の部分分散比を示す。SGの列には、各構成要素の比重を示す。dNd/dTの列には、各構成要素の20℃から40℃までの範囲におけるd線に対する相対屈折率の温度係数に106を乗じた値を示す。温度係数の単位はK(ケルビン)-1である。EDの列には、直径での有効径を示す。EDは、中間群GMの最も物体側のレンズ面および中間群GMの最も像側のレンズ面のみ示す。
【0112】
表1では、物体側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を正、像側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を負としている。表1には開口絞りStおよび光学部材PPも示している。開口絞りStに対応する面の面番号の欄には面番号と(St)という語句を記載している。表1のDの最下欄の値は表中の最も像側の面と像面Simとの間隔である。表1では、可変面間隔はDD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の物体側の面番号を付してDの欄に記入している。
【0113】
表2には、各変倍状態および各合焦状態における、ズームの倍率Zr、焦点距離f、空気換算距離でのバックフォーカス、開放FナンバーFNo.、最大全画角2ω、および、可変面間隔を示す。fとωから、概略的なイメージサークルの大きさを求めることができる。2ωの欄の(°)は単位が度であることを意味する。表2では、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における値をそれぞれ、「広角端」、「中間」、「望遠端」と記入した列に示す。また、表2では、無限遠物体に合焦している状態における値を「Infinity」と記入した列に示し、撮影倍率が-0.1倍の状態における値を「β=-0.1」と記入した列に示す。なお、「β=-0.1」と記入した列では一部の数値の記載を省略している。表1および表2に示す値は、d線を基準とした場合の値である。
【0114】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸の曲率半径の数値を記載している。表3において、Snの行には非球面の面番号を示し、KAおよびAmの行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。なお、Amのmは3以上の整数であり、面により異なる。例えば第11面ではm=3、4、5、・・・10である。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KAおよびAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h2/{1+(1-KA×C2×h2)1/2}+ΣAm×hm
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸Zに垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸Zからレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0115】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では予め定められた桁でまるめた数値を記載している。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
図7に、実施例1のズームレンズの無限遠物体に合焦した状態の各収差図を示す。
図7では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。
図7では「WIDE」と付した上段に広角端状態の収差を示し、「MIDDLE」と付した中段に中間焦点距離状態の収差を示し、「TELE」と付した下段に望遠端状態の収差を示す。球面収差図では、d線、C線、F線、およびg線における収差をそれぞれ実線、長破線、短破線、および二点鎖線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、F線、およびg線における収差をそれぞれ長破線、短破線、および二点鎖線で示す。球面収差図では「FNo.=」の後に開放Fナンバーの値を示す。その他の収差図では「ω=」の後に最大半画角の値を示す。
【0120】
上記の実施例1に関する各データの記号、意味、記載方法、および図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0121】
[実施例2]
実施例2のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図8に示す。実施例2のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2からなる。後側部分群GMrは、第3レンズ群G3からなる。最終群GEは、第4レンズ群G4からなる。
【0122】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L15の5枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、開口絞りStと、レンズL21~L24の4枚のレンズとからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L32の2枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、レンズL41の1枚のレンズからなる。
【0123】
変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第4レンズ群G4は像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第3レンズ群G3全体からなる。防振群はレンズL15からなる。
図8では、防振群の下に垂直方向の両矢印を記入している。この防振群の図示方法は以下の実施例においても同様である。
【0124】
実施例2のズームレンズについて、基本レンズデータを表4に、諸元と可変面間隔を表5に、非球面係数を表6に、各収差図を
図9に示す。
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
[実施例3]
実施例3のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図10に示す。実施例3のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2からなる。後側部分群GMrは、第3レンズ群G3からなる。最終群GEは、第4レンズ群G4からなる。
【0129】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21と、開口絞りStと、レンズL22と、レンズL23とからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L32の2枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、レンズL41の1枚のレンズからなる。
【0130】
変倍の際に、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第1レンズ群G1と、第4レンズ群G4とは像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第3レンズ群G3全体からなる。防振群はレンズL14からなる。
【0131】
実施例3のズームレンズについて、基本レンズデータを表7に、諸元と可変面間隔を表8に、非球面係数を表9に、各収差図を
図11に示す。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
[実施例4]
実施例4のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図12に示す。実施例4のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2からなる。後側部分群GMrは、第3レンズ群G3からなる。最終群GEは、第4レンズ群G4からなる。
【0136】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L15の5枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、開口絞りStと、レンズL21~L27の7枚のレンズとからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L32の2枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、レンズL41の1枚のレンズからなる。
【0137】
変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第4レンズ群G4は像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第3レンズ群G3全体からなる。防振群はレンズL15からなる。
【0138】
実施例4のズームレンズについて、基本レンズデータを表10に、諸元と可変面間隔を表11に、非球面係数を表12に、各収差図を
図13に示す。
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
[実施例5]
実施例5のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図14に示す。実施例5のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2からなる。後側部分群GMrは、第3レンズ群G3からなる。最終群GEは、第4レンズ群G4からなる。
【0143】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21と、レンズL22と、開口絞りStと、レンズL23と、レンズL24とからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L32の2枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、レンズL41の1枚のレンズからなる。
【0144】
変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第4レンズ群G4は像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第3レンズ群G3全体からなる。
【0145】
実施例5のズームレンズについて、基本レンズデータを表13に、諸元と可変面間隔を表14に、非球面係数を表15に、各収差図を
図15に示す。
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
[実施例6]
実施例6のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図16に示す。実施例6のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2からなる。後側部分群GMrは、第3レンズ群G3からなる。最終群GEは、第4レンズ群G4からなる。
【0150】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L15の5枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、開口絞りStと、レンズL21~L24の4枚のレンズとからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L32の2枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、レンズL41の1枚のレンズからなる。
【0151】
変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第4レンズ群G4は像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第3レンズ群G3全体からなる。防振群はレンズL15からなる。
【0152】
実施例6のズームレンズについて、基本レンズデータを表16に、諸元と可変面間隔を表17に、非球面係数を表18に、各収差図を
図17に示す。
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
[実施例7]
実施例7のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図18に示す。実施例7のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。後側部分群GMrは、第4レンズ群G4からなる。最終群GEは、第5レンズ群G5からなる。
【0157】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L22の2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、開口絞りStと、レンズL31~L34の4枚のレンズとからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ順に、レンズL41~L43の3枚のレンズからなる。第5レンズ群G5は、レンズL51の1枚のレンズからなる。
【0158】
変倍の際に、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第1レンズ群G1と、第5レンズ群G5とは像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第2レンズ群G2全体からなる。
【0159】
実施例7のズームレンズについて、基本レンズデータを表19に、諸元と可変面間隔を表20に、非球面係数を表21に、各収差図を
図19に示す。
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
[実施例8]
実施例8のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図20に示す。実施例8のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2からなる。後側部分群GMrは、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4とからなる。最終群GEは、第5レンズ群G5からなる。
【0164】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L22の2枚のレンズと、開口絞りStと、レンズL23~L26の4枚のレンズとからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L33の3枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、レンズL41の1枚のレンズからなる。第5レンズ群G5は、レンズL51の1枚のレンズからなる。
【0165】
変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第5レンズ群G5は像面Simに対して固定されている。フォーカス群は、レンズL21~L22の2枚のレンズからなる。
【0166】
実施例8のズームレンズについて、基本レンズデータを表22に、諸元と可変面間隔を表23に、非球面係数を表24に、各収差図を
図22に示す。
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
[実施例8A]
実施例8Aは実施例8の変形例である。実施例8Aのズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図21に示す。実施例8Aは、後側部分群GMrが第3レンズ群G3のみからなり、第4レンズ群G4は中間群GMに含まれるが、前側部分群GMfにも後側部分群GMrにも含まれない点が実施例8と異なる。上記点以外は、実施例8Aは、実施例8と同様である。実施例8Aについての、基本レンズデータ、諸元と可変面間隔、非球面係数、および各収差図も実施例8と同様である。
【0171】
[実施例9]
実施例9のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図23に示す。実施例9のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。
【0172】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L22の2枚のレンズと、開口絞りStと、レンズL23~L26の4枚のレンズとからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL31~L32の2枚のレンズからなる。
【0173】
中間群GMは、第2レンズ群G2からなる。前側部分群GMfは、レンズL21~L22の2枚のレンズと、開口絞りStと、レンズL23~L24の2枚のレンズとからなる。後側部分群GMrは、レンズL25~L26の2枚のレンズからなる。最終群GEは、第3レンズ群G3からなる。
【0174】
変倍の際に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第3レンズ群G3は像面Simに対して固定されている。フォーカス群は、レンズL25からなる。
【0175】
実施例9のズームレンズについて、基本レンズデータを表25に、諸元と可変面間隔を表26に、非球面係数を表27に、各収差図を
図24に示す。
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
[実施例10]
実施例10のズームレンズの無限遠物体に合焦している状態における広角端での構成の断面図および移動軌跡を
図25に示す。実施例10のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とからなる。中間群GMは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4とからなる。前側部分群GMfは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とからなる。後側部分群GMrは、第4レンズ群G4からなる。最終群GEは、第5レンズ群G5からなる。
【0180】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L14の4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L22の2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、開口絞りStと、レンズL31~L34の4枚のレンズとからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ順に、レンズL41~L43の3枚のレンズからなる。第5レンズ群G5は、レンズL51の1枚のレンズからなる。
【0181】
変倍の際に、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とが隣接する群との光軸方向の間隔を変化させて光軸Zに沿って移動し、第1レンズ群G1と、第5レンズ群G5とは像面Simに対して固定されている。フォーカス群は第2レンズ群G2全体からなる。
【0182】
実施例10のズームレンズについて、基本レンズデータを表28に、諸元と可変面間隔を表29に、非球面係数を表30に、各収差図を
図26に示す。
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
表31、表32、および表33に上記実施例のズームレンズの条件式(1)~(30)の対応値を示す。実施例1は、条件式(5)および(6)に関する凸面が2つあるため、2つのうち物体側の凸面の対応値を上段に、像側の凸面の対応値を下段に記載している。条件式(5)および(6)に関するこの記載法は、実施例3、実施例9、および実施例10も同様である。
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
次に、本開示の実施形態に係る撮像装置について説明する。
図27および
図28に本開示の一実施形態に係る撮像装置であるカメラ30の外観図を示す。
図27はカメラ30を正面側から見た斜視図を示し、
図28はカメラ30を背面側から見た斜視図を示す。カメラ30は、いわゆるミラーレスタイプのデジタルカメラであり、交換レンズ20を取り外し自在に装着可能である。交換レンズ20は、鏡筒内に収納された本開示の一実施形態に係るズームレンズ1を含んで構成されている。
【0191】
カメラ30はカメラボディ31を備え、カメラボディ31の上面にはシャッターボタン32、および電源ボタン33が設けられている。また、カメラボディ31の背面には、操作部34、操作部35、および表示部36が設けられている。表示部36は、撮像された画像および撮像される前の画角内にある画像を表示可能である。
【0192】
カメラボディ31の前面中央部には、撮影対象からの光が入射する撮影開口が設けられ、その撮影開口に対応する位置にマウント37が設けられ、マウント37を介して交換レンズ20がカメラボディ31に装着される。
【0193】
カメラボディ31内には、交換レンズ20によって形成された被写体像に応じた撮像信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子、その撮像素子から出力された撮像信号を処理して画像を生成する信号処理回路、およびその生成された画像を記録するための記録媒体等が設けられている。カメラ30では、シャッターボタン32を押すことにより静止画又は動画の撮影が可能であり、この撮影で得られた画像データが上記記録媒体に記録される。
【0194】
以上、実施形態および実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本開示の技術は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、および非球面係数等は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0195】
また、本開示の実施形態に係る撮像装置についても、上記例に限定されず、例えば、ミラーレスタイプ以外のカメラ、フィルムカメラ、およびビデオカメラ等、種々の態様とすることができる。
【符号の説明】
【0196】
1 ズームレンズ
20 交換レンズ
30 カメラ
31 カメラボディ
32 シャッターボタン
33 電源ボタン
34、35 操作部
36 表示部
37 マウント
Dfoct フォーカス群の移動量
DpM 位置の差
DStw 距離
ED 有効径
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
GE 最終群
GM 中間群
GMf 前側部分群
GMr 後側部分群
HMfa、HMfb、HMra、HMrb 高さ
L11~L51、Lx レンズ
ma、ta、wa 軸上光束
mb、tb、wb 最大像高の光束
NL 法線
P 有効径端
PP 光学部材
Sim 像面
St 開口絞り
wa1 軸上マージナル光線
wb1 主光線
Xa 軸上光束
Xb 軸外光束
Xb1 光線
Z 光軸
α 角
ωt、ωw 最大半画角