IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭硝子株式会社の特許一覧

特開2022-112529情報取得デバイス付き車両用窓ガラス
<>
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図1
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図2
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図3
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図4
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図5
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図6
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図7
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図8
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図9
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図10
  • 特開-情報取得デバイス付き車両用窓ガラス 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112529
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】情報取得デバイス付き車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/04 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
B60R11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019114245
(22)【出願日】2019-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 良夫
(72)【発明者】
【氏名】宇惠野 章
(72)【発明者】
【氏名】永田 康史
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD02
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】カバーの放熱性と通気性とを両立できる情報取得デバイス付き車両用窓ガラスを提供する。
【解決手段】情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10は、車両用窓ガラス12と、ブラケット16と、情報取得デバイス18と、カバー20とを備え、カバー20は、収容空間と車内空間とを連通する複数の貫通孔30からなる開口領域30Aを有しており、開口領域30Aが占める面積の割合は、カバー20の外表面の面積の30%以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用窓ガラスと、前記車両用窓ガラスの室内側の面に固定されたブラケットと、前記ブラケットに取り付けられる情報取得デバイスと、前記車両用窓ガラスの室内側に前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットと共に前記情報取得デバイスを収容する収容空間を形成するカバーと、を備えた情報取得デバイス付き車両用窓ガラスにおいて、
前記カバーは、前記収容空間と車内空間とを連通する複数の貫通孔からなる開口領域を有しており、
前記開口領域が占める面積の割合は、前記カバーの外表面の面積の30%以上である、
情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記開口領域が占める面積の割合は、前記カバーの外表面の面積の50%以上である、
請求項1に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記カバーは、前記開口領域を2箇所以上備えている、
請求項1または2に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項4】
少なくとも2箇所の前記開口領域の面積が同じである、
請求項3に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記カバーは、前記開口領域を4箇所以上備えている、
請求項3または4に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記カバーが前記車両用窓ガラスの室内面側に取り付けられた場合において、
前記カバーは、前記車両用窓ガラスに正対する主面部と、前記主面部の周囲に折曲形成された上側面部、下側面部、左側面部及び右側面部と、を有し、
前記開口領域は、前記主面部、前記上側面部、前記下側面部、前記左側面部及び前記右側面部のうち少なくとも1つの面部に備えられる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記複数の貫通孔は、複数のメッシュ孔である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記メッシュ孔の開口比は、前記開口領域の任意の20mm×20mmの範囲において、20%以上80%以下である、
請求項7に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記メッシュ孔は、メッシュの線径が0.5mm以上2.0mm以下である、
請求項7または8に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記メッシュ孔の軸心が前記カバーの外表面の法線方向に対して傾斜される、
請求項7から9のいずれか1項に記載の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報取得デバイス付き車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者による運転を支援する目的で前方撮影カメラ、障害物検出センサ又は雨滴センサ等の情報取得デバイスが自動車の窓ガラスに装着されたものが普及してきている。
【0003】
このような情報取得デバイス付き車両用窓ガラスとして、特許文献1に開示された車両前方情報取得装置付きフロントガラスは、フロントガラスと、ブラケットと、車両前方情報取得センサと、カバーとを備えている。
【0004】
上記のブラケットは、フロントガラスの室内側の面に固定されており、このブラケットに車両前方情報取得センサが取り付けられる。また、上記のカバーは、ブラケットとの間で車両前方情報取得センサを収容するように凹状に湾曲した断面形状を有しており、フロントガラスの室内側にブラケットに取り付けられる。
【0005】
特許文献2、3、4においても特許文献1と同様の情報取得デバイス付き車両用窓ガラスが開示されている。特許文献2-4に開示されたカバーには、スリットが備えられており、特に特許文献2では通気用として、特許文献4では放熱用としてスリットを備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-144966号公報
【特許文献2】特開2013-151291号公報
【特許文献3】特開2016-187988号公報
【特許文献4】特開2018-12406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
窓ガラスに装着される情報取得デバイスは、自身の発熱又は日射による加熱によって昇温する。このため、カバーには、情報取得デバイスの過熱を抑制する目的でスリットが備えられている(特許文献2-4参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献2-4に開示されているカバーに形成されているスリットからなる開口領域が占める面積の割合は、カバーの外表面の面積の10%~20%程度である。すなわち、従来のカバーは開口領域が十分ではないため、情報取得デバイス自身の発熱又は日射による加熱によって昇温した空気がカバーと窓ガラスにより囲われた空間に滞留してしまい、情報取得デバイスの動作に影響を及ぼす懸念があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、カバーの放熱性と通気性とを両立できる情報取得デバイス付き車両用窓ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報取得デバイス付き車両用窓ガラスは、本発明の目的を達成するために、車両用窓ガラスと、車両用窓ガラスの室内側の面に固定されたブラケットと、ブラケットに取り付けられる情報取得デバイスと、車両用窓ガラスの室内側にブラケットに取り付けられ、ブラケットと共に情報取得デバイスを収容する収容空間を形成するカバーと、を備えた情報取得デバイス付き車両用窓ガラスにおいて、カバーは、収容空間と車内空間とを連通する複数の貫通孔からなる開口領域を有しており、開口領域が占める面積の割合は、カバーの外表面の面積の30%以上である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバーの放熱性と通気性とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の情報取得デバイス付き車両用窓ガラスの全体斜視図
図2図1に示した情報取得デバイス付き車両用窓ガラスの組立斜視図
図3】車両用窓ガラスの室内面側にカバーが取り付けられた斜視図
図4】カバーの展開図
図5】メッシュ孔の開口比を算出するために用いた説明図
図6】メッシュ孔の軸心が面部の法線に対して傾斜したことを示した断面図
図7】カバーに対する開口領域の第1の他の配置形態を示したカバーの斜視図
図8】カバーに対する開口領域の第2の他の配置形態を示したカバーの斜視図
図9図8に示した配置態様の変形例を示したカバーの斜視図
図10】カバーに対する開口領域の第3の他の配置形態を示したカバーの斜視図
図11】カバーに対する開口領域の第4の他の配置形態を示したカバーの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明に係る情報取得デバイス付き車両用窓ガラスの好ましい実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」の方向を示す用語は、車両の進行方向を「前」とした場合の方向を指す。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10を車内から見たときの全体斜視図である。この情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10は、略台形に構成されてフロントガラスに適用されるものであるが、本発明の情報取得デバイス付き車両用窓ガラスは、フロントガラスを除くリヤガラス等の他の車両用窓ガラスであっても適用できる。
【0015】
実施形態の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10が車体の前部開口部に取り付けられた場合、辺部10Aは上辺部、辺部10Bは下辺部、辺部10Cは左辺部、辺部10Dは右辺部となる。また、情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10を構成する車両用窓ガラス12は、その周辺部に所謂「黒セラ」と称される遮蔽層14が備えられている。この遮蔽層14は、黒セラ印刷用インクをガラス面に塗布し、これを焼き付けることにより形成される。この遮蔽層14によって、車両用窓ガラス12の周辺部に黒色不透明層が形成される。
【0016】
図2は、図1に示した情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10の組立斜視図であり、要部を拡大して示している。
【0017】
図2に示すように、情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10は、車両用窓ガラス12(図1参照)と、ブラケット16と、情報取得デバイス18と、カバー20とを備えている。
【0018】
ブラケット16は、車両用窓ガラス12の室内側の面に固定される。このブラケット16は、一例として、中央部に矩形の開口部22を備える矩形の板状体であり、開口部22が凸状遮蔽層14Aの開口部24に重ねられた状態で不図示の接着剤により車両用窓ガラス12に固定される。ブラケット16が固定される凸状遮蔽層14Aは、図1に示すように、辺部10Aに沿った上部遮蔽層14Bの左右方向における中央部に下に凸状に形成された部分である。この凸状遮蔽層14Aに不図示のルームミラーのステーが固定される場合には、ステーとカバー20とが干渉しないように、ステーが貫通する貫通孔をカバー20に備えることが好ましい。このブラケット16は樹脂製であっても金属製であってもよい。
【0019】
図2に戻り、情報取得デバイス18は、ブラケット16に取り付けられる。ブラケット16の左右方向に対向する2つの辺部16A、16Aには、それぞれ一対の爪部26、26が車内側に向けて突設されており、左右方向において対向する爪部26、26の間に情報取得デバイス18を嵌合させることにより、情報取得デバイス18が爪部26、26を介してブラケット16に取り付けられる。このとき、情報取得デバイス18の撮影レンズ部28がブラケット16の開口部22から凸状遮蔽層14Aの開口部24を介して車両の前方に向けられる。
【0020】
ブラケット16に対する情報取得デバイス18の取り付け態様は、上記の爪部26による嵌合態様に限定されるものではなく、例えば接着剤を使用した接着態様であってもよい。また、情報取得デバイス18として、実施形態では前方を撮影するCCDカメラを例示するが、これに限定されるものではなく、障害物検出する赤外線センサ、又は雨滴を検出するレインセンサ等の他のセンサや、ミリ波レーダーなどであっても適用できる。更に、情報取得デバイス18は、上記の複数のセンサやレーダーのうち二つ以上の機能を備えたものであってもよい。
【0021】
一方、カバー20は、車両用窓ガラス12の室内側にブラケット16に取り付けられ、ブラケット16と共に情報取得デバイス18を収容する収容空間(不図示)を形成している。そして、カバー20は、上記の収容空間と車内空間とを連通する複数の貫通孔30、30…からなる開口領域を有している。このカバー20は樹脂製であっても金属製であってもよい。カバー20は射出成形で製作できる他、3Dプリンタによっても製作できる。なお、上記の開口領域については後述する。
【0022】
図3は、カバー20が車両用窓ガラス12の室内面側に取り付けられた斜視図である。図4は、カバー20の構成を説明するためにカバー20を展開して示した展開図である。
【0023】
図4に示すように、実施形態のカバー20には、複数の貫通孔30、30…からなる開口領域30Aが形成されている。なお、開口領域30Aは、図4において二点鎖線で囲まれた領域として示している。
【0024】
実施形態のカバー20を備えた情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10は、カバー20に備えられる放熱用及び通気用の開口部が、特許文献2-4に開示されたカバーとは異なり、複数の貫通孔30、30…によって構成されている開口領域30Aが占める面積の割合は、カバー20の外表面の面積の30%以上である。そのため、カバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間の空気が滞留しにくい。開口領域30Aが占める面積の割合が、カバー20の外表面の面積の50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。なお、カバー20の外表面とは、カバー20が車両用窓ガラス12の室内面側に取り付けられた場合において、室内側から視認可能な面積をさす。
【0025】
情報取得デバイス18は、通常運転手が車両を運転している間中動作し続ける。そして、情報取得デバイス18は車内外の映像等の情報を取得し、情報を処理し続ける。したがって、情報取得デバイス18は動作し続けることにより情報取得デバイス18自身が発熱し、カバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間の温度を昇温させてしまう。また、情報取得デバイス18は、車両用窓ガラス12に固定されたブラケット16に取り付けられるため、車外からの日射によりカバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間の温度が昇温してしまう。
【0026】
しかし、実施形態のカバー20を備えた情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10において、カバー20に形成された開口領域30Aが占める面積の割合が、カバー20の外表面の30%以上であるため、カバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間内の空気と、室内の空間の空気とが入れ替わりやすくなる。すなわち、実施形態のカバー20を備えた実施形態の情報取得デバイス付き車両用窓ガラス10においては、カバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間と室内の空間との環境(温度、湿度など)が近くなる。
【0027】
つまり、カバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間と室内の空間との環境(温度、湿度など)が近いということは、情報取得デバイス18も、乗員である人間にとって好ましい環境である温度や湿度とほぼ同等の環境下に置かれることを意味する。したがって、情報取得デバイス18が、それ自身の発熱のみならず、車外からの太陽光などによる情報取得デバイス18周囲の昇温の影響を受けにくい。
【0028】
実施形態のカバー20は、複数の貫通孔30、30…によって構成されている開口領域30Aは、2箇所以上備えていることが好ましい。開口領域30Aが2箇所以上備えていると、カバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間と室内との空気の入口と出口の役割を果たすため、効果的にカバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間の空気の入れ替えが可能になる。なお、2箇所以上の開口領域30A、30A…の面積の総和が、カバー20の外表面の面積の30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
【0029】
また、実施形態のカバー20の2箇所の開口領域30A、30Aが同じ面積であれば、より効果的にカバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間の空気の入れ替えが可能になる。
【0030】
さらに、実施形態のカバー20は、複数の貫通孔30、30…によって構成されている開口領域30Aが4箇所以上備えていることが好ましい。
【0031】
ここで、カバー20の一例について図3及び図4を参照して説明する。これらの図に示すように、カバー20は、車両用窓ガラス12に正対する主面部20Aと、主面部20Aの周囲に折曲形成された上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eと、を有している。そして、上側面部20B及び下側面部20Cはそれぞれ矩形に構成され、主面部20A、左側面部20D及び右側面部20Eはそれぞれ台形に構成されている。
【0032】
ここで、カバー20全体において、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eが占める範囲の一例を説明する。例えば、図4に示すようにカバー20を正面視した場合、カバー20の上端Aから下端Bまでの上下方向の最大長さTのうち、上端Aから下端Bに向けた略20%の長さの範囲を上側面部20Bと規定し、下端Bから上端Aに向けた略15%の長さの範囲を下側面部20Cと規定する。また、カバー20の左端Cから右端Dまでの左右方向の最大長さWのうち、左端Cから右端Dに向けた略20%の長さの範囲を左側面部20Dと規定し、右端Dから左端Cに向けた略20%の長さの範囲を右側面部20Eと規定する。そして、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eを除いた部分を主面部20Aとして規定する。
【0033】
実施形態のカバー20は、上側面部20B及び下側面部20Cが矩形であり、主面部20A、左側面部20D及び右側面部20Eが台形であるが、カバーの形状は上記の形状に限定されるものではない。カバーの形状は、例えば特許文献1-4に開示されたカバーのように様々である。
【0034】
実施形態のカバー20は、開口領域30Aを主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eにそれぞれ備えていることが好ましい。実施形態のカバー20が、開口領域30Aを主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eにそれぞれ備えているので、より効果的にカバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間の空気の入れ替えが可能になり、カバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間内の放熱性及び通気性をより一層高めることができる。
【0035】
なお、実施形態のカバー20は、主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eの略全域に亘って開口領域30Aが形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、上記の各面部の一部に開口領域30Aを形成してもよい。この場合、各面部の外表面の面積に対して30%以上の領域を開口領域30Aとすることが放熱性及び通気性の観点で好ましい。
【0036】
実施形態のカバー20において、貫通孔30、30…はメッシュ孔であることが好ましい(以下、「貫通孔30」を「メッシュ孔30」として説明する。)。図中のメッシュ孔30、30…は角孔であるが、丸孔であってもよいし、孔の形状が異形であってもよい。また、個々のメッシュ孔30、30…の面積は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
一方、実施形態のメッシュ孔30の開口比は、開口領域30Aにおける任意の20mm×20mmの範囲において、20%以上80%以下であることが好ましい。メッシュ孔30の開口比が、開口領域30Aにおける任意の20mm×20mmの範囲において、20%以上であれば、より効果的にカバー20と車両用窓ガラス12により囲われた空間の空気の入れ替えが可能になる。メッシュ孔30の開口比が、開口領域30Aにおける任意の20mm×20mmの範囲において、80%以下であれば、開口領域30Aを介してカバー20内に配置されるブラケット16や情報取得デバイス18などを視認しにくくなり、外観上好ましい。さらに、カバー20の開口領域30Aの剛性も担保できるため、好ましい。
【0038】
なお、図5に示すように、開口領域30Aの貫通孔30、30…が網状のメッシュ孔である場合、メッシュ孔の開口比(β)は、メッシュ孔30、30…の格子パターンの形状に起因するパラメータである。この開口比(β)は、図5に示す開口領域30Aの要部拡大図に示すように、メッシュ孔30のメッシュ31の線径をd、メッシュ孔30のピッチをLとした場合、下記の式により算出される。
【0039】
[数1]
β=(1-d/L)
開口領域30Aの貫通孔30、30…が網状のメッシュ孔である場合、メッシュ31の線径を0.5mm以上2.0mm以下とすることが好ましい。メッシュ31の線径を0.5mm以上2.0mm以下であれば、カバー20の剛性と放熱性及び通気性とを好適に両立できる。
【0040】
上記の通り、実施形態のカバー20は、放熱性と通気性とを備えているが、情報取得デバイス18を外部から隠すという本来的な機能も備えている。
【0041】
すなわち、実施形態のカバー20は、図6に示すメッシュ孔30の断面図の如く、メッシュ孔30は、その軸心Pが主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eの外表面の法線方向Qに対して傾斜されている。
【0042】
そうすると、法線方向Qの反対方向Rからカバー20を見た場合、反対方向Rに対して傾斜したメッシュ31によりカバー20の内部、つまり情報取得デバイス18の収容空間が見え難くなる。これにより、実施形態のカバー20によれば、情報取得デバイス18を外部から隠すという本来的な機能も備えている。なお、法線方向Qに対する軸心Pの傾斜角度が大きくなるに従って収容空間の視認性は低下するが、放熱性及び通気性に影響を与える場合がある。よって、上記の傾斜角度は、視認性と放熱性及び通気性とが両立する角度に設定することが好ましい。なお、図6に示すメッシュ孔30の軸心Pは直線状であるが、屈曲していてもよいし、曲線状であってもよい。また、メッシュ孔30の断面形状は、カバー20の外表面から内表面に向かって断面積が連続的、もしくは非連続的に変化する形状であってもよい。
【0043】
図2から図4で示したカバー20は、主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eのそれぞれに開口領域30Aを配置した態様であるが、この配置態様に限定されるものではない。以下、カバー20に対する開口領域30Aの他の配置態様について説明する。
【0044】
図7に示す第1の他の配置態様は、主面部20Aと下側面部20Cとに開口領域30Aが配置された態様である。この配置態様によれば、例えば、車両のデフロスターからの空調空気が下側面部20Cの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が主面部20Aの開口領域30Aから室内に放出される。また、車内に下降気流が生じている場合には、その下降気流が主面部20Aの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が下側面部20Cの開口領域30Aから室内に放出される。いずれの場合も情報取得デバイス18を効果的に冷却できる。なお、開口領域30Aは、主面部20A及び下側面部20Cの少なくとも一方の面部に備えられていればよい。この場合でも、カバー20の剛性と放熱性及び通気性とを両立できる。
【0045】
図8に示す第2の他の配置態様は、主面部20Aと上側面部20Bと下側面部20Cとに開口領域30Aが配置された態様である。この配置態様によれば、例えば、車両のデフロスターからの空調空気が下側面部20Cの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が主面部20Aと上側面部20Bの開口領域30A、30Aから室内に放出される。また、車内の下降気流が上側面部20Bの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が主面部20Aと下側面部20Cの開口領域30A、30Aから室内に放出される。
【0046】
なお、図8に示した配置態様の変形例として、図9に示すように、主面部20Aに備えられる開口領域30Bの大きさを図8の開口領域30Aよりも50%程度小さくしてもよい。また、上側面部20B及び下側面部20Cに配置される開口領域30Aの大きさも開口領域30Bと同様に50%程度小さくしてもよい。いずれの場合も情報取得デバイス18を効果的に冷却でき、且つカバー20の剛性と放熱性及び通気性とを両立できる。
【0047】
図10に示す第3の他の配置態様は、上側面部20Bと下側面部20Cとに開口領域30Aが配置された態様である。この配置態様によれば、例えば、車両のデフロスターからの空調空気が下側面部20Cの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が上側面部20Bの開口領域30Aから室内に放出される。また、車内の下降気流が上側面部20Bの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が下側面部20Cの開口領域30Aから室内に放出される。いずれの場合も情報取得デバイス18を効果的に冷却でき、且つカバー20の剛性と放熱性及び通気性とを両立できる。
【0048】
図11に示す第4の他の配置態様は、左側面部20Dと右側面部20Eとに面積が等しい開口領域30Aが配置された態様である。この配置態様によれば、例えば、車内に左から右に向いた水平気流が生じている場合には、その気流が左側面部20Dの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が右側面部20Eの開口領域30Aから室内に放出される。また、車内に右から左に向いた水平気流が生じている場合には、その気流が右側面部20Eの開口領域30Aから収容空間に入り込み、そして、収容空間内の高温空気が左側面部20Dの開口領域30Aから室内に放出される。いずれの場合も情報取得デバイス18を効果的に冷却でき、且つカバー20の剛性と放熱性及び通気性とを両立できる。なお、開口領域30Aは、左側面部20D及び右側面部20Eの少なくとも一方の面部に備えられていればよい。この場合でも、カバー20の剛性と放熱性及び通気性とを両立できる。
【0049】
上記のようにカバー20に対する開口領域30Aの配置態様は様々であるが、開口領域30Aは、主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eのうち少なくとも1つの面部に備えられていればよい。また、開口領域30Aは、主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20Eのいずれか2以上面部に備えていてもよく、開口領域30Aは、主面部20A、上側面部20B、下側面部20C、左側面部20D及び右側面部20E全ての面に備えていてもよい。これにより、カバー20の剛性と放熱性及び通気性とを両立できる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0051】
10…情報取得デバイス付き車両用窓ガラス、12…車両用窓ガラス、14…遮蔽層、16…ブラケット、18…情報取得デバイス、20…カバー、20A…主面部、20B…上側面部、20C…下側面部、20D…左側面部、20E…右側面部、22…開口部、24…開口部、26…爪部、28…撮影レンズ部、30…メッシュ孔、30A…開口領域、30B…開口領域、31…メッシュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11