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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112635
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】端面修正治具
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/16 20060101AFI20220727BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20220727BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220727BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B24B7/16 Z
B24B45/00 Z
B24B27/06 M
H01L21/78 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008497
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】三上 公大
(72)【発明者】
【氏名】安田 信哉
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034BB52
3C034BB71
3C043CC02
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
3C043DD06
3C158AA02
3C158AB04
3C158CA01
3C158CB04
5F063AA23
5F063AA29
5F063DD03
5F063DD17
(57)【要約】
【課題】端面修正時における作業者の作業負担及び作業工数を低減する。
【解決手段】切削装置で使用される端面修正治具であって、切削装置のチャックテーブル機構で保持可能であり、チャックテーブルの保持面の径よりも大きな径の内周を有する環状ベース部材と、環状ベース部材の第1面上に設けられており、切削装置のスピンドルの先端部に装着されたマウントフランジにおける切削ブレードの切り刃に接する環状の第1端面と、マウントフランジと共に切削ブレードを挟持するための押さえフランジにおける切削ブレードの切り刃に接する環状の第2端面との、少なくともいずれかを修正するための砥石チップを有する端面修正部材と、を備える端面修正治具を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテーブル及び該チャックテーブルの側部に設けられた複数の固定ユニットを有するチャックテーブル機構と、切削ブレードが装着されるスピンドルを有する切削ユニットと、を備える切削装置で使用される端面修正治具であって、
該チャックテーブル機構で保持可能であり、該チャックテーブルの保持面の径よりも大きな径の内周を有する環状ベース部材と、
該環状ベース部材の第1面上に設けられており、該スピンドルの先端部に装着されたマウントフランジにおける該切削ブレードの切り刃に接する環状の第1端面と、該マウントフランジと共に該切削ブレードを挟持するための押さえフランジにおける該切削ブレードの切り刃に接する環状の第2端面との、少なくともいずれかを修正するための砥石チップを有する端面修正部材と、
を備えることを特徴とする端面修正治具。
【請求項2】
該環状ベース部材は、被加工物がダイシングテープを介して環状フレームで支持された被加工物ユニットを搬送可能な搬送装置により搬送可能な形状を有することを特徴とする請求項1に記載の端面修正治具。
【請求項3】
該環状ベース部材は、該保持面の径よりも大きな径の開口を含み、被加工物を支持するために利用される環状フレームに対応する形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の端面修正治具。
【請求項4】
該環状ベース部材の該第1面とは反対側の第2面において該開口を塞ぐ様に貼り付けられた粘着テープを更に備えることを特徴とする請求項3に記載の端面修正治具。
【請求項5】
該環状ベース部材と一体的に形成されており、該環状ベース部材の該第1面の内周から該第1面に直交する方向に沿って突出ており該保持面を被覆可能な円筒状の中央ベース部材を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端面修正治具。
【請求項6】
該複数の固定ユニットの各々は、クランプユニットであり、
該環状ベース部材は、該内周の周方向において離散的に外周に設けられた複数の直線状端部領域を有し、
1つの直線状端部領域は、1つのクランプユニットを利用して挟持されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の端面修正治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削ユニットのスピンドルの先端部に装着されるマウントフランジの端面等を修正するための端面修正治具に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パソコン等の電子機器には、デバイスチップが使用される。デバイスチップは、例えば、IC(Integrated Circuit)等のデバイスをウェーハの表面側に複数個形成した後、ウェーハの裏面側を研削装置で研削し、次いで、薄化されたこのウェーハを切削装置でデバイス単位に分割することで製造される。
【0003】
切削装置は、切削ユニットを備える。切削ユニットは、円柱状のスピンドルを有し、スピンドルの基端部には、モーターが設けられ、スピンドルの先端部には、マウントフランジが連結される。
【0004】
このマウントフランジの円環状の端面と、押さえフランジの円環状の端面と、で円環状のハブレス型の切削ブレード(即ち、ワッシャーブレード)を挟持することで、スピンドルの先端部に切削ブレードが装着される。
【0005】
しかし、マウントフランジの端面は切削ブレードの使用に応じて徐々に摩耗し、当該端面には、端面振れ(スピンドルの回転軸に直交する平面に対する凹凸)が形成されることがある。この様な端面振れが形成されると、切削精度が低下するので、端面修正治具を用いて、マウントフランジの端面を修正する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-11299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、端面修正治具を使用する場合には、作業者がチャックテーブルを端面修正専用のチャックテーブルに交換する必要があるので、作業者の作業負担が比較的大きくなり、作業工数もかかる。
【0008】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、端面修正時における作業者の作業負担及び作業工数を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、チャックテーブル及び該チャックテーブルの側部に設けられた複数の固定ユニットを有するチャックテーブル機構と、切削ブレードが装着されるスピンドルを有する切削ユニットと、を備える切削装置で使用される端面修正治具であって、該チャックテーブル機構で保持可能であり、該チャックテーブルの保持面の径よりも大きな径の内周を有する環状ベース部材と、該環状ベース部材の第1面上に設けられており、該スピンドルの先端部に装着されたマウントフランジにおける該切削ブレードの切り刃に接する環状の第1端面と、該マウントフランジと共に該切削ブレードを挟持するための押さえフランジにおける該切削ブレードの切り刃に接する環状の第2端面との、少なくともいずれかを修正するための砥石チップを有する端面修正部材と、を備える端面修正治具が提供される。
【0010】
好ましくは、該環状ベース部材は、被加工物がダイシングテープを介して環状フレームで支持された被加工物ユニットを搬送可能な搬送装置により搬送可能な形状を有する。
【0011】
好ましくは、該環状ベース部材は、該保持面の径よりも大きな径の開口を含み、被加工物を支持するために利用される環状フレームに対応する形状を有する。
【0012】
好ましくは、端面修正治具は、該環状フレームの該第1面とは反対側の第2面において該開口を塞ぐ様に貼り付けられた粘着テープを更に備える。
【0013】
好ましくは、端面修正治具は、該環状ベース部材と一体的に形成されており、該環状ベース部材の該第1面の内周から該第1面に直交する方向に沿って突出ており該保持面を被覆可能な円筒状の中央ベース部材を更に備える。
【0014】
好ましくは、該複数の固定ユニットの各々は、クランプユニットであり、該環状ベース部材は、該内周の周方向において離散的に外周に設けられた複数の直線状端部領域を有し、1つの直線状端部領域は、1つのクランプユニットを利用して挟持される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る端面修正治具は、環状ベース部材と、この環状ベース部材の第1面に設けられた端面修正部材と、を有する。環状ベース部材は、被加工物を吸引保持するための通常のチャックテーブル機構で保持可能である。
【0016】
それゆえ、作業者は、切削時に使用されるチャックテーブルを、端面修正専用のチャックテーブルに交換する必要がない。従って、当該端面修正治具を用いる場合には、作業者の作業負担及び作業工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(A)は第1の実施形態に係る端面修正治具の斜視図であり、図1(B)は端面修正治具の上面図である。
図2】端面修正部材の拡大斜視図である。
図3】切削装置の斜視図である。
図4】切削ユニットの分解斜視図である。
図5】位置調整工程後の端面修正治具の上面図である。
図6図6(A)は端面修正治具の一部断面側面図であり、図6(B)は端面修正治具の一部断面側面図である。
図7】環状フレームと環状ベース部材との対応関係を示す上面図である。
図8図8(A)は第2の実施形態に係る端面修正治具の斜視図であり、図8(B)は図8(A)のA-Aでの断面図である。
図9図9(A)は第3の実施形態に係る端面修正治具の斜視図であり、図9(B)は端面修正治具の上面図であり、図9(C)は図9(B)のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1(A)は、第1の実施形態に係る端面修正治具2の斜視図であり、図1(B)は、端面修正治具2の上面図である。
【0019】
端面修正治具2は、ステンレス鋼等の金属で形成された環状ベース部材4を有する。環状ベース部材4は、切削装置20(図3参照)を用いて被加工物11を切削する際に使用される汎用の環状フレーム13(図7参照)に対応する形状を有する。
【0020】
環状ベース部材4には、端面修正部材6を固定する際に利用されるねじ穴(不図示)が形成されている。本例の環状ベース部材4は、このねじ穴を除いて、汎用の環状フレーム13と同一の形状を有し、且つ、環状フレーム13と同一の材料で形成されている。
【0021】
環状ベース部材4は、チャックテーブル34の保持面34a(図3参照)の径よりも大きな径を有する円形の開口4aを含む。なお、開口4aの縁4aは、環状ベース部材4の内周に対応する。
【0022】
環状ベース部材4の外周には、開口4aの内周の周方向に略等間隔で離間する様に、4つの直線状端部領域4b、4b、4b及び4bが形成されている。直線状端部領域4b等は、環状ベース部材4の直線状の端部から開口4a側へ所定の幅を有する短冊状の領域である。
【0023】
環状ベース部材4の周方向において、直線状端部領域4b及び4bの間には、曲線状端部領域4cが形成されており、直線状端部領域4b及び4bの間には、曲線状端部領域4cが形成されている。
【0024】
更に、環状ベース部材4の周方向において、直線状端部領域4b及び4bの間には、曲線状端部領域4cが形成されており、直線状端部領域4b及び4bの間には、曲線状端部領域4cが形成されている。
【0025】
曲線状端部領域4cの直線状端部領域4b側には、第1の切り欠き部4dが形成されている。また、曲線状端部領域4cの直線状端部領域4b側には、第1の切り欠き部4dとは異なる形状の第2の切り欠き部4dが形成されている。
【0026】
環状ベース部材4の頂面(第1面)4e上には、端面修正部材6が固定されている。本例では、曲線状端部領域4cに端面修正部材6が配置されているが、端面修正部材6は、曲線状端部領域4c、4c、4c及び4cのいずれに配置されてもよい。
【0027】
端面修正部材6を、直線状端部領域4b、4b、4b又は4bではなく、曲線状端部領域4c、4c、4c又は4cに配置することで、汎用の環状フレーム13と同様に、端面修正治具2をカセット26b(図3参照)に収容できる。
【0028】
図2は、端面修正部材6の拡大斜視図である。端面修正部材6は、第1の保持ブロック8を有する。第1の保持ブロック8は、頂面4eに接する平坦面8aを有する。平坦面8aとは反対側には、階段状の段差部8bが形成されている。なお、第1の保持ブロック8には、ねじ12を挿入するための貫通穴(不図示)が形成されている。
【0029】
第1の保持ブロック8の上方には、第2の保持ブロック10が配置される。第2の保持ブロック10は、第1の保持ブロック8の上方において露出する平坦面10aを有する。第2の保持ブロック10の厚さ方向において、平坦面10aの反対側には、段差部8bと噛み合う形状を有する階段状の段差部10bが形成されている。
【0030】
第2の保持ブロック10には、ねじ12を挿入するための貫通穴(不図示)が形成されており、貫通穴の平坦面10a側には、貫通穴よりも大径の開口10cが形成されている。
【0031】
第1の保持ブロック8及び第2の保持ブロック10の各貫通穴に、ねじ12を挿入し、環状ベース部材4のねじ穴(不図示)にねじ12を締結すれば、第1の保持ブロック8及び第2の保持ブロック10は、環状ベース部材4に連結される。
【0032】
なお、頂面4e上には、第1の保持ブロック8を位置決めするための突起部(不図示)が設けられてもよい。この場合、突起部にもねじ穴が形成され、第1の保持ブロック8には突起部に嵌合する凹部(不図示)が形成される。
【0033】
第1の保持ブロック8及び第2の保持ブロック10は、その間に板状の砥石チップ14が挟持された状態でねじ12により固定される。砥石チップ14は、ダイヤモンド等の砥粒をレジンボンド等のボンドで固定することで形成される。
【0034】
砥石チップ14は、一端が曲線状端部領域4cよりも外側に突出する様に配置されている。この様な端面修正治具2は、切削装置20で使用される。ここで、図3及び図4を参照して切削装置20について説明する。
【0035】
図3は、被加工物11の切削、洗浄、搬送等を自動で行う切削装置20の斜視図である。なお、図3に示すX軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向(鉛直方向、高さ方向)は、互いに直交する方向である。
【0036】
切削装置20は、各構成要素を支持する基台22を備える。基台22の前方の角部には、矩形状の開口24aが設けられている。開口24a内には、Z軸方向に沿って昇降するカセットエレベータ26aが設けられている。
【0037】
カセットエレベータ26aの上面には、1又は複数の端面修正治具2や、1又は複数の被加工物ユニット17(図7参照)を収容するためのカセット26bが載置される。開口24aのY軸方向の一方側には、X軸方向に沿う長辺を有する矩形状の開口24bが形成されている。
【0038】
開口24b内には、矩形状のテーブルカバー28が設けられており、テーブルカバー28のX軸方向の両側には、X軸方向に伸縮する蛇腹状カバー30が設けられている。テーブルカバー28の下方には、モーター等の回転駆動源(不図示)が配置されている。
【0039】
回転駆動源の下方には、ボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)(不図示)が設けられている。X軸移動機構を動作させることにより、回転駆動源及びテーブルカバー28はX軸方向に沿って移動する。
【0040】
テーブルカバー28上には、チャックテーブル機構32が設けられている。チャックテーブル機構32は、回転駆動源により、Z軸方向(鉛直方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転可能である。
【0041】
チャックテーブル機構32は、円盤状のチャックテーブル34を有する。チャックテーブル34は、金属で形成された円盤状の枠体を含む。枠体には、円盤状の凹部が形成されている。凹部の底部には、吸引路(不図示)が形成されている。
【0042】
吸引路の一端は、凹部の底面に露出しており、吸引路の他端は、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。凹部には、円盤状のポーラス板が固定されている。ポーラス板の上面は略平坦であり、吸引源を動作させると、ポーラス板の上面には負圧が生じる。
【0043】
枠体及びポーラス板の各上面は、略面一であり、略平坦な保持面34aを構成している。チャックテーブル34の側部には、チャックテーブル34の周方向に略等間隔で複数のクランプユニット(固定ユニット)34bが設けられている。
【0044】
各クランプユニット34bは、環状ベース部材4又は環状フレーム13が載置される載置部を有する。各載置部の近傍には、エアアクチュエータにより回転開閉可能な1つのクランプが設けられている。
【0045】
各直線状端部領域4b、4b、4b、4bが対応する載置部に載置された状態で各クランプを閉じれば、各直線状端部領域4b、4b、4b、4bは、対応する載置部及びクランプユニット34bで挟持される(図5参照)。
【0046】
開口24bにおける開口24aに隣接する領域の上方には、Y軸方向に略平行な一対のガイドレール(不図示)が配置されている。X軸方向において一対のガイドレールよりも切削装置20の内側には、開口24bを跨ぐ様に門型の支持体24cが設けられている。
【0047】
支持体24cの一面側には、端面修正治具2又は被加工物ユニット17をそれぞれ搬送可能な第1の搬送装置36及び第2の搬送装置38が設けられている。第1の搬送装置36及び第2の搬送装置38の各々は、負圧により環状ベース部材4又は環状フレーム13を吸引保持する複数の吸引パッドを有する。
【0048】
支持体24cに対して第1の搬送装置36及び第2の搬送装置38の反対側には、開口24bを跨ぐ様に門型の支持体24dが設けられている。支持体24dの一面側には、一対の加工ユニット移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)40が設けられている。
【0049】
一対の加工ユニット移動機構40は、支持体24dの一面に配置されY軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール(不図示)を備える。この一対のY軸ガイドレールには、2つのY軸移動プレート40aがY軸方向に各々独立にスライド可能な態様で取り付けられている。
【0050】
各Y軸移動プレート40aの支持体24d側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレールに概ね平行なY軸ボールねじ(不図示)が回転可能な態様で連結されている。
【0051】
各Y軸ボールねじの一端部には、Y軸パルスモータ(不図示)が連結されている。Y軸パルスモータでY軸ボールねじを回転させれば、各Y軸移動プレート40aは、Y軸ガイドレールに沿って移動する。
【0052】
各Y軸移動プレート40aの支持体24c側には、Z軸方向に概ね平行に配置されたZ軸ガイドレール(不図示)が設けられている。Z軸ガイドレールには、Z軸移動プレート40cがスライド可能な態様で取り付けられている。
【0053】
Z軸移動プレート40cの支持体24d側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレールに平行に配置されたZ軸ボールねじ(不図示)が回転可能な態様で連結されている。
【0054】
Z軸ボールねじ(不図示)の上端部には、Z軸パルスモータ40bが連結されている。Z軸パルスモータ40bでZ軸ボールねじを回転させれば、Z軸移動プレート40cは、Z軸ガイドレールに沿ってZ軸方向に移動する。
【0055】
各Z軸移動プレート40cの下端部には、被加工物11を切削する切削ユニット42が設けられている。ここで、図4を参照して、切削ユニット42の構造を説明する。図4は、ハブレス型(ワッシャー型)の切削ブレード54を有する切削ユニット42の分解斜視図である。
【0056】
切削ユニット42は、長手方向がY軸方向に略平行に配置された角柱状のスピンドルハウジング44を有する。スピンドルハウジング44中には、円柱状のスピンドル46が回転可能に収容されている。スピンドル46の基端部には、モーター(不図示)が設けられている。
【0057】
スピンドル46の先端部は、スピンドルハウジング44から突出しており、この先端部には、ねじ穴46aが形成されている。スピンドル46の先端部には、マウントフランジ48が装着される。
【0058】
マウントフランジ48は、円筒状の第1のボス部48aを有する。また、第1のボス部48aの内側には、マウントフランジ48を貫通する貫通穴48bが形成されている。貫通穴48bの所定位置には、ワッシャー50が配置される環状段差部(図6(A)参照)が形成されている。
【0059】
環状段差部にワッシャー50を配置した状態で、ねじ52を貫通穴48bに挿入し、ねじ穴46aにねじ52を締結すれば、マウントフランジ48はスピンドル46の先端部に固定される。
【0060】
第1のボス部48aの基端部には、第1のボス部48aよりも大径の円盤状の第2のボス部48cが形成されている。第2のボス部48cの外周側面には、切削ブレード54が配置される。
【0061】
第2のボス部48cの基端部には、第2のボス部48cよりも大きな径を有し、切削ブレード54の一面に接触可能な環状の端面(第1端面)48dが形成されている。図4に示す切削ブレード54は、切り刃そのものから成るワッシャー型のブレードである。
【0062】
切削ブレード54は、例えば、ニッケル母材中にダイヤモンド等の砥粒が分散された電着砥石である。但し、切削ブレード54の材料は、この例に限定されるものではない。
【0063】
切削ブレード54をマウントフランジ48に装着するためには、まず、マウントフランジ48の端面48dに切削ブレード54の一面が接する様に、切削ブレード54をマウントフランジ48に配置する。
【0064】
次いで、環状の押さえフランジ56の貫通穴56aを第1のボス部48aに挿入させ、押さえフランジ56の環状の端面(第2端面)56bを、切削ブレード54の一面とは反対側に位置する他面に接触させる。
【0065】
この状態で、環状の押さえナット58を第1のボス部48aの先端部のねじ溝48eに締結することにより、切削ブレード54はマウントフランジ48と押さえフランジ56とで挟持される。ここで、再び図3に戻り、切削装置20の他の構成要素を説明する。
【0066】
切削ユニット42に隣接する位置には、被加工物11等を撮像するためのカメラユニット60が設けられている。カメラユニット60は、集光レンズ、イメージセンサ等を有する。
【0067】
開口24bに対して開口24aと反対側の位置には、開口24eが設けられている。開口24eには、加工後の被加工物11を洗浄するための洗浄ユニット62が設けられている。
【0068】
切削装置20は、カセットエレベータ26a、回転駆動源、吸引源、X軸移動機構、一対の加工ユニット移動機構40、切削ユニット42、第1の搬送装置36、第2の搬送装置38、カメラユニット60、洗浄ユニット62等の動作を制御する制御部(不図示)を有する。
【0069】
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0070】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されており、このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部の機能が実現される。次に、マウントフランジ48の端面48dを修正する手順を説明する。
【0071】
端面48dを修正する際には、まず、押さえナット58を第1のボス部48aから取り外し、次いで、押さえフランジ56及び切削ブレード54をマウントフランジ48から取り外す(取り外し工程)。取り外し工程は、作業者により手動で、又は、切削ブレード交換装置(不図示)により自動で行われる。
【0072】
取り外し工程の後、第1の搬送装置36が一対のガイドレール等を利用してカセット26bから端面修正治具2を搬送し、これをチャックテーブル34に配置する。このとき、環状ベース部材4の開口4aの縁4aは、保持面34aの外側に位置し、各直線状端部領域4b、4b、4b、4bは、対応する載置部に載置される。
【0073】
そして、環状ベース部材4は、四つのクランプユニット34bを利用して挟持されることで、チャックテーブル機構32で保持される(保持工程)。なお、取り外し工程及び保持工程の順番は、逆でもよい。
【0074】
取り外し工程及び保持工程の後、回転駆動源によりチャックテーブル34を適宜回転させて、端面修正部材6の長手方向をY軸方向と略平行に配置すると共に、X軸移動機構によりチャックテーブル34をマウントフランジ48の近傍に配置する(図5参照)。
【0075】
そして、加工ユニット移動機構40によりマウントフランジ48のY軸方向及びZ軸方向の位置を調節することで、マウントフランジ48の環状の端面48dの一部に、砥石チップ14の先端部を接触させる(位置調整工程)。
【0076】
図5は、位置調整工程後の端面修正治具2の上面図である。図5では、チャックテーブル34の外形を破線で示し、マウントフランジ48の外形を二点鎖線で示す。位置調整工程後、スピンドル46を回転させて、端面48dを研削する(研削工程)。
【0077】
図6(A)は、端面48dの端面振れを修正するときの端面修正治具2の一部断面側面図である。研削工程により、端面48dを修正して略平坦にできる。なお、研削工程では、スピンドル46を回転させながらマウントフランジ48をX軸方向又はZ軸方向に沿って移動させることで、端面48dを修正してもよい。
【0078】
本実施形態では、端面48dを修正するために、作業者が、切削時に使用されるチャックテーブル34を、端面修正専用のチャックテーブルに交換する必要がない。従って、作業者の作業負担及び作業工数を低減できる。
【0079】
更に、本実施形態では、端面修正治具2が、汎用の環状フレーム13と同様に第1の搬送装置36等で搬送され、チャックテーブル機構32で保持される。それゆえ、作業者がチャックテーブル34に端面修正治具2を配置する必要がないという利点もある。
【0080】
ところで、端面48dに加えて、又は、端面48dに代えて、押さえフランジ56の端面56bの端面振れを砥石チップ14で修正してもよい。図6(B)は、端面56bを修正するときの端面修正治具2の一部断面側面図である。
【0081】
押さえフランジ56の端面56bを修正する場合、まず、切削ブレード54を取り外す(取り外し工程)。その後、押さえフランジ56の表裏を反転させ、端面56bが露出する様に、押さえフランジ56及び押さえナット58をマウントフランジ48に取り付ける(取り付け工程)。
【0082】
そして、保持工程及び位置調整工程を経て、端面56bを研削する(研削工程)。この様に、端面修正治具2は、端面48d及び端面56bの少なくともいずれかを修正可能である。使用後の端面修正治具2は、例えば、第1の搬送装置36等を利用してカセット26bへ搬送される。
【0083】
ところで、上述の様に、環状ベース部材4は、ダイシングテープ15を介して被加工物11を支持するために使用される汎用の環状フレーム13に、ねじ12用のねじ穴を形成することで製造できる。図7は、環状フレーム13と環状ベース部材4との対応関係を示す。
【0084】
なお、図7では、被加工物11及びダイシングテープ15を破線で示す。被加工物11は、ダイシングテープ15を介して環状フレーム13と一体化される(被加工物ユニット17)。この様に、環状ベース部材4として環状フレーム13を使用することで、端面修正治具2の製造コストを低減できる。
【0085】
次に、第2の実施形態について説明する。図8(A)は、第2の実施形態に係る端面修正治具72の斜視図であり、図8(B)は、図8(A)のA-Aでの断面図である。端面修正治具72は、環状ベース部材4、端面修正部材6及びダイシングテープ(粘着テープ)15を有する。
【0086】
ダイシングテープ15は、環状ベース部材4の開口4aよりも大きな径を有する樹脂製のテープであり、例えば、基材層と粘着層との積層構造を有する。粘着層の外周部を頂面4eとは反対側の底面(第2面)4fに貼り付けることで、開口4aが塞がれる。
【0087】
これにより、端面修正治具72をチャックテーブル機構32で保持する場合に、載置部及びクランプユニット34bで直線状端部領域4b等を挟持し、更に、保持面34aでダイシングテープ15を吸引保持できる。それゆえ、第1の実施形態の端面修正治具2に比べて、より強固に端面修正治具72を保持できる。
【0088】
次に、第3の実施形態について説明する。図9(A)は、第3の実施形態に係る端面修正治具82の斜視図であり、図9(B)は、端面修正治具82の上面図であり、図9(C)は、図9(B)のB-B断面図である。
【0089】
端面修正治具82も、端面修正治具2と同様に、環状フレーム13に対応する形状を有する環状ベース部材84を備える。具体的には、環状ベース部材84は、開口4aと、直線状端部領域4b、4b、4b、4bと、を有する。
【0090】
但し、環状ベース部材84は、曲線状端部領域4c、4c、4c、4cに代えて、直線状端部領域4g、4g、4g、4gを有する。なお、砥石チップ14が環状ベース部材76の端部よりも突出できる限りにおいて、直線状端部領域4g、4g、4g、4gの外側端部は、任意の曲線、折線形状であってよい。
【0091】
開口4aに対応する領域には、環状ベース部材4と同じ材料で環状ベース部材4と一体的に、円筒状の中央ベース部材4hが形成されている。中央ベース部材4hは、開口4aの半径方向に所定の厚さを有するリング状側部4hを含む。
【0092】
リング状側部4hは、頂面4eの開口4aの縁4a(即ち、内周)から、頂面4eに直交する第1方向Cに沿って所定の高さを有する。リング状側部4hの頂面4eとは反対側の端部には、円盤状の蓋部4hの縁部が接続している。本例のリング状側部4h及び蓋部4hは、環状ベース部材84と略同じ厚さを有する。
【0093】
この様に、第1方向Cに沿って頂面4eから突出する様に形成されている中央ベース部材4hにより、開口4aに対応する領域において、保持面34aよりも大きく且つ保持面34aを被覆可能な凹部4iが形成されている。
【0094】
第3の実施形態でも、載置部及びクランプユニット34bで直線状端部領域4b等を挟持し、更に、保持面34aで蓋部4hを吸引保持できる。それゆえ、第1の実施形態の端面修正治具2に比べて、より強固に端面修正治具82を保持できる。
【0095】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、環状ベース部材4、84及び中央ベース部材4hは、ステンレス鋼の金属に限定されず、樹脂等の他の材料で形成することもできる。
【0096】
また、例えば、マウントフランジ48には、ハブレス型の切削ブレード54に代えて、アルミニウム合金等で形成された円環状の基台の一面に、接着剤等で切り刃が固定されたハブ型の切削ブレード(不図示)を装着することもできる。
【0097】
ところで、環状ベース部材4、84が磁性を有する金属(例えば、磁性を有するステンレス鋼)で形成されている場合には、クランプユニット34bのクランプに代えて、クランプユニット34bの載置部に磁石が配置された固定ユニットを用いてもよい。
【0098】
環状ベース部材4、84の底面4f側が磁石上に配置されると、4箇所の載置部の各々に配置された磁石の磁力により、環状ベース部材4、84が固定される。なお、磁石に代えて、環状ベース部材4、84の底面4f側をそれぞれ吸引保持可能な吸引パッドが設けられてもよい。
【0099】
吸引パッドには、流路の一端が接続されており、当該流路の他端には、エジェクタ等の負圧源が接続されている。また、流路の一端と他端との間には、流路の開閉を制御する電磁弁が設けられる。
【0100】
環状ベース部材4、84の底面4f側を吸引パッド上に配置した後、電磁弁を開状態とすれば、4箇所の載置部の各々に配置された吸引パッドからの負圧により、環状ベース部材4、84を吸引保持できる。
【0101】
なお、上述の実施形態では、被加工物11の切削、洗浄、搬送等を自動で行う切削装置20において、端面修正治具2、72、82を使用する場合について説明した。しかし、端面修正治具2、72、82は、作業者が被加工物11の搬送を行う、所謂マニュアル式の切削装置でも使用できる。
【符号の説明】
【0102】
2,72,82:端面修正治具
4,84:環状ベース部材、4a:開口、4a:縁(内周)
4b,4b,4b,4b,4g,4g,4g,4g:直線状端部領域
4c,4c,4c,4c:曲線状端部領域
4d:第1の切り欠き部、4d:第2の切り欠き部
4e:頂面(第1面)、4f:底面(第2面)
4h:中央ベース部材、4h:リング状側部、4h:蓋部、4i:凹部
6:端面修正部材
8:第1の保持ブロック、8a:平坦面、8b:段差部
10:第2の保持ブロック、10a:平坦面、10b:段差部、10c:開口
12:ねじ、14:砥石チップ
11:被加工物、13:環状フレーム
15:ダイシングテープ(粘着テープ)、17:被加工物ユニット
20:切削装置、22:基台
24a,24b,24e:開口、24c,24d:支持体
26a:カセットエレベータ、26b:カセット
28:テーブルカバー、30:蛇腹状カバー、32:チャックテーブル機構
34:チャックテーブル、34a:保持面、34b:クランプユニット(固定ユニット)
36:第1の搬送装置、38:第2の搬送装置
40:加工ユニット移動機構、40a:Y軸移動プレート
40b:Z軸パルスモータ、40c:Z軸移動プレート
42:切削ユニット、44:スピンドルハウジング、46:スピンドル、46a:ねじ穴
48:マウントフランジ、48a:第1のボス部、48b:貫通穴
48c:第2のボス部、48d:端面(第1端面)、48e:ねじ溝
50:ワッシャー、52:ねじ、54:切削ブレード
56:押さえフランジ、56a:貫通穴、56b:端面(第2端面)
58:押さえナット
60:カメラユニット、62:洗浄ユニット
C:第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9