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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115616
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20220802BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220802BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20220802BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20220802BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B24B45/00 A
B24B27/06 M
B24B53/00 K
B24B53/017 Z
B24B49/12
H01L21/78 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012279
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】蘇 志博
(72)【発明者】
【氏名】寺田 一貴
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB66
3C034CA13
3C034CA22
3C034CA30
3C034DD18
3C047AA16
3C047AA33
3C047EE09
3C158AA03
3C158AB04
3C158BA09
3C158BA14
3C158BB08
3C158CB03
3C158DA17
5F063AA23
5F063AA29
5F063DD03
(57)【要約】
【課題】切削ブレードをブレードケースから手作業で取り出す必要がない切削装置を提供する。
【解決手段】回転軸となるスピンドルと、スピンドルの先端に固定され切削ブレードが装着されるマウントフランジと、を含む切削ユニットと、切削ブレードが収容されるブレードケースを支持するブレードケース支持部を含み、ブレードケースに収容された状態で切削ブレードを支持する支持ユニットと、切削ブレードが取り付けられた状態のマウントフランジから切削ブレードを取り外し、支持ユニットに支持された切削ブレードをマウントフランジに取り付ける交換機構と、マウントフランジに対して切削ブレードを着脱できる交換位置と、支持ユニットとの間で切削ブレードを受け渡すことのできるブレード受け渡し位置と、交換位置及びブレード受け渡し位置から離れた退避位置と、の間で交換機構を移動させる移動機構と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸となるスピンドルと、該スピンドルの先端に固定され切削ブレードが装着されるマウントフランジと、を含む切削ユニットと、
該切削ブレードが収容されるブレードケースを支持するブレードケース支持部を含み、該ブレードケースに収容された状態で該切削ブレードを支持する支持ユニットと、
該切削ブレードが取り付けられた状態の該マウントフランジから該切削ブレードを取り外し、該支持ユニットに支持された該切削ブレードを該マウントフランジに取り付ける交換機構と、
該マウントフランジに対して該切削ブレードを着脱できる交換位置と、該支持ユニットとの間で該切削ブレードを受け渡すことのできるブレード受け渡し位置と、該交換位置及び該ブレード受け渡し位置から離れた退避位置と、の間で該交換機構を移動させる移動機構と、を備える切削装置。
【請求項2】
該支持ユニットは、該ブレードケース支持部を回転させる回転機構を更に含み、
該ブレードケース支持部は、該回転機構による回転の方向に沿って配列されそれぞれが該ブレードケースを支持する複数のブレードケース支持部を有する請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
該マウントフランジは、該スピンドルに固定される固定マウントと、該固定マウントとの間に該切削ブレードを挟んで固定するように該固定マウントに取り付けられる押さえフランジと、を有し、
該支持ユニットは、該押さえフランジを支持する押さえフランジ支持部を更に含み、
該交換機構は、該押さえフランジとともに該切削ブレードを該受けフランジに取り付け、該押さえフランジとともに該切削ブレードを該受けフランジから取り外す請求項1又は請求項2に記載の切削装置。
【請求項4】
該ブレードケースは、該切削ブレードを収容する収容部と、該収容部を閉じる蓋部と、を有し、
該ブレードケースの該蓋部を開閉する開閉ユニットを更に備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の切削装置。
【請求項5】
該切削ブレードのドレッシングに使用されるドレッシングボード、又は該切削ブレードによって検査用の溝が形成される検査用ボードを保持するテーブルを更に備え、
該支持ユニットは、該ドレッシングボード又は該検査用ボードを支持するボード支持部を更に含み、
該移動機構は、該支持ユニットとの間で該ドレッシングボード又は該検査用ボードを受け渡すことのできるボード受け渡し位置と、該テーブルに対して該ドレッシングボード又は該検査用ボードを搬入出できる搬入出位置と、該交換位置と、該ブレード受け渡し位置と、該退避位置と、の間で該交換機構を移動させ、
該交換機構は、該ドレッシングボード又は該検査用ボードが取り付けられた状態の該テーブルから該ドレッシングボード又は該検査用ボードを取り外し、該支持ユニットに支持された該ドレッシングボード又は該検査用ボードを該テーブルに取り付ける請求項1から請求項4のいずれかに記載の切削装置。
【請求項6】
識別マークを読み取る読み取りユニットと、
該切削ブレードに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報及び該ブレードケースに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報が対応しているか否かを判定するブレードケース判定部と、を更に備える請求項1から請求項5のいずれかに記載の切削装置。
【請求項7】
識別マークを読み取る読み取りユニットと、
該切削ブレードに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報及び該ドレッシングボード又は該検査用ボードに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報が対応している否かを判定するボード判定部と、を更に備える請求項5に記載の切削装置。
【請求項8】
該切削ブレードに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報及び該ブレードケースに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報が対応しているか否かを判定するブレードケース判定部を更に備える請求項7に記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削ブレードで被加工物を切削する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路に代表される複数のデバイスが形成されたウェーハを分割することにより、それぞれがデバイスを備える複数のデバイスチップが製造される。また、複数のデバイスチップを所定の基板上に実装した後、実装されたデバイスチップを封止材(モールド樹脂)で被覆すると、パッケージ基板が得られる。このパッケージ基板を分割することにより、パッケージ化された一又は複数のデバイスチップを備えるパッケージデバイスが製造される。パッケージデバイスは、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器に搭載される。
【0003】
ウェーハやパッケージ基板等の被加工物を分割する際には、切削装置が用いられる。切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物に切削加工を施す切削ユニットと、を備えている。切削ユニットは、スピンドルと、スピンドルの先端部に固定されるマウントフランジと、を備え、マウントフランジには、被加工物を切削する環状の切削ブレードが装着される。
【0004】
マウントフランジは、切削ブレードの中央に設けられた開口に挿入されるボス部を備えている。切削ブレードは、その開口にマウントフランジのボス部が挿入された状態で、ボス部に締め込まれるナットによりマウントフランジに固定される。マウントフランジに切削ブレードが装着された状態でスピンドルを回転させると、切削ブレードは回転する。回転させた切削ブレードをチャックテーブルにより保持された被加工物に切り込ませることで、被加工物が切削され、分割される。
【0005】
切削ブレードは、被加工物の切削加工に伴い摩耗し、必要に応じて交換される。切削ブレードを交換する際には、まず、ナットを緩めてボス部から取り外し、次に、マウントフランジに装着されている切削ブレードをマウントフランジから取り外す。そして、交換用の切削ブレード(例えば、未使用の切削ブレード)をマウントフランジに装着し、その後、ボス部にナットを締め込んで、交換用の切削ブレードをマウントフランジに固定する。
【0006】
このような切削ブレードの交換を手作業で行うと、手間がかかる上、切削ブレードやナットを作業中に誤って落下させたり、切削装置にぶつけてしまったりする恐れがある。そこで、切削ブレードの交換を手作業で行わずに済むように、切削ユニット(スピンドルユニット)に装着されている切削ブレードの交換を自動で行う交換装置が搭載された切削装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
上述した切削装置の交換装置は、切削ブレードの着脱を行う切削ブレード着脱機構と、切削ブレードを切削ユニットに固定するためのナットの着脱を行うナット着脱機構と、を備えている。また、切削ブレード着脱機構は、スピンドルに装着されている装着済みの切削ブレードを把持する第1保持部と、装着済みの切削ブレードと取り換えられる交換用の切削ブレードを把持する第2保持部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-98536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した切削装置では、切削ブレード着脱機構の第2保持部が、切削装置内のブレードストッカーに収容されている交換用の切削ブレードを把持して、この交換用の切削ブレードをスピンドルに装着させる。ブレードストッカーは、例えば、切削ブレードの開口に挿入される軸を有しており、切削ブレードは、例えば、この切削ブレードを収容するブレードケースから取り出された後に、手作業で軸に掛けられ、ブレードストッカーに収容される。
【0010】
しかしながら、ブレードケースからの切削ブレードの取り出しやブレードストッカーへの切削ブレードの収容等を手作業で行うと、切削ブレードやナットを誤って落下させたり、切削装置にぶつけてしまったりする恐れがある。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切削ブレードをブレードケースから手作業で取り出す必要がない切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面によれば、回転軸となるスピンドルと、該スピンドルの先端に固定され切削ブレードが装着されるマウントフランジと、を含む切削ユニットと、該切削ブレードが収容されるブレードケースを支持するブレードケース支持部を含み、該ブレードケースに収容された状態で該切削ブレードを支持する支持ユニットと、該切削ブレードが取り付けられた状態の該マウントフランジから該切削ブレードを取り外し、該支持ユニットに支持された該切削ブレードを該マウントフランジに取り付ける交換機構と、該マウントフランジに対して該切削ブレードを着脱できる交換位置と、該支持ユニットとの間で該切削ブレードを受け渡すことのできるブレード受け渡し位置と、該交換位置及び該ブレード受け渡し位置から離れた退避位置と、の間で該交換機構を移動させる移動機構と、を備える切削装置が提供される。
【0013】
本発明の一側面において、該支持ユニットは、該ブレードケース支持部を回転させる回転機構を更に含み、該ブレードケース支持部は、該回転機構による回転の方向に沿って配列されそれぞれが該ブレードケースを支持する複数のブレードケース支持部を有することがある。
【0014】
また、本発明の一側面において、該マウントフランジは、該スピンドルに固定される固定マウントと、該固定マウントとの間に該切削ブレードを挟んで固定するように該固定マウントに取り付けられる押さえフランジと、を有し、該支持ユニットは、該押さえフランジを支持する押さえフランジ支持部を更に含み、該交換機構は、該押さえフランジとともに該切削ブレードを該受けフランジに取り付け、該押さえフランジとともに該切削ブレードを該受けフランジから取り外すことがある。
【0015】
また、本発明の一側面において、該ブレードケースは、該切削ブレードを収容する収容部と、該収容部を閉じる蓋部と、を有し、該切削装置は、該ブレードケースの該蓋部を開閉する開閉ユニットを更に備えることがある。
【0016】
また、本発明の一側面において、該切削装置は、該切削ブレードのドレッシングに使用されるドレッシングボード、又は該切削ブレードによって検査用の溝が形成される検査用ボードを保持するテーブルを更に備え、該支持ユニットは、該ドレッシングボード又は該検査用ボードを支持するボード支持部を更に含み、該移動機構は、該支持ユニットとの間で該ドレッシングボード又は該検査用ボードを受け渡すことのできるボード受け渡し位置と、該テーブルに対して該ドレッシングボード又は該検査用ボードを搬入出できる搬入出位置と、該交換位置と、該ブレード受け渡し位置と、該退避位置と、の間で該交換機構を移動させ、該交換機構は、該ドレッシングボード又は該検査用ボードが取り付けられた状態の該テーブルから該ドレッシングボード又は該検査用ボードを取り外し、該支持ユニットに支持された該ドレッシングボード又は該検査用ボードを該テーブルに取り付けることがある。
【0017】
また、本発明の一側面において、該切削装置は、識別マークを読み取る読み取りユニットと、該切削ブレードに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報及び該ブレードケースに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報が対応しているか否かを判定するブレードケース判定部と、を更に備えることがある。
【0018】
また、本発明の一側面において、該切削装置は、識別マークを読み取る読み取りユニットと、該切削ブレードに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報及び該ドレッシングボード又は該検査用ボードに付された識別マークを該読み取りユニットで読み取って取得される情報が対応している否かを判定するボード判定部と、を更に備えることがある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一側面にかかる切削装置は、ブレードケースに収容された状態で切削ブレードを支持する支持ユニットと、切削ブレードが装着されるマウントフランジを含む切削ユニットと、支持ユニットに支持された切削ブレードをマウントフランジに取り付ける交換機構と、交換機構を移動させる移動機構と、を備えている。
【0020】
よって、ブレードケースに収容された状態の切削ブレードを支持ユニットに支持させた上で、移動機構で交換機構を移動させることにより、切削ユニットの切削ブレードを交換できる。つまり、本発明の一態様にかかる切削装置によれば、従来のように、切削ブレードをブレードケースから手作業で取り出す必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、切削装置を示す斜視図である。
図2図2は、ハブタイプの切削ブレードが装着される切削ユニットを示す分解斜視図である。
図3図3は、ワッシャータイプの切削ブレードが装着される切削ユニットを示す分解斜視図である。
図4図4は、交換ユニットを示す斜視図である。
図5図5は、交換装置が交換位置に配置された状態の交換ユニットを示す斜視図である。
図6図6は、交換装置を示す斜視図である。
図7図7(A)は、交換装置を示す側面図であり、図7(B)は、交換装置を示す正面図である。
図8図8(A)は、保持部を示す正面図であり、図8(B)は、保持部を示す断面図である。
図9図9(A)は、ハブタイプの切削ブレードを保持する保持部を示す断面図であり、図9(B)は、ワッシャータイプの切削ブレードを保持する保持部を示す断面図である。
図10図10(A)は、交換用の切削ブレード等を支持した状態で保管できる支持ユニットを示す斜視図であり、図10(B)は、ブレードケースを示す斜視図である。
図11図11(A)は、識別マークが付されたハブタイプの切削ブレードを示す平面図であり、図11(B)は、識別マークが付されたワッシャータイプの切削ブレードを示す平面図であり、図11(C)は、識別マークが付されたドレッシングボード又は検査用ボードを示す平面図である。
図12図12(A)は、交換用切削ブレード保持ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図12(B)は、ナット取り外しステップにおける交換装置を示す模式図であり、図12(C)は、第1退避ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図12(D)は、使用後切削ブレード保持ステップにおける交換装置を示す模式図である。
図13図13(A)は、第2退避ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図13(B)は、切削ブレード装着ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図13(C)は、第3退避ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図13(D)は、ナット装着ステップにおける交換装置を示す模式図である。
図14図14(A)は、正方形状のドレッシングボードを保持する保持部を示す斜視図であり、図14(B)は、長方形状のドレッシングボードを保持する保持部を示す斜視図である。
図15図15(A)は、交換用ボード保持ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図15(B)は、使用後ボード保持ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図15(C)は、退避ステップにおける交換装置を示す模式図であり、図15(D)は、載置ステップにおける交換装置を示す模式図である。
図16図16は、変形例にかかる支持ユニットが設けられた切削装置を示す斜視図である。
図17図17は、回転可能な支持板を備える支持ユニットを示す斜視図である。
図18図18は、開閉ユニットを示す斜視図である。
図19図19(A)は、ブレードケース支持部に載置されたブレードケースが保持機構によって固定される様子を示す斜視図であり、図19(B)は、ブレードケースの蓋部がロック解除機構によって上方に押し上げられる様子を示す斜視図である。
図20図20(A)は、プッシュ機構によってブレードケースの蓋部が更に開かれる様子を示す斜視図であり、図20(B)は、ロック機構によってブレードケースの蓋部が閉じられる様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。図1は、本実施形態にかかる切削装置2を示す斜視図である。なお、図1において、X軸方向(加工送り方向、第1水平方向、前後方向)とY軸方向(割り出し送り方向、第2水平方向、左右方向)とは、互いに垂直な方向である。また、Z軸方向(鉛直方向、上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向と垂直な方向である。
【0023】
切削装置2は、切削装置2を構成する各構成要素を支持又は収容する基台4を備える。基台4の前方側の角部には、昇降台6aを備えるエレベータ6が設けられている。エレベータ6は昇降機構(不図示)を備えており、昇降台6aをZ軸方向に沿って昇降させる。
【0024】
エレベータ6の昇降台6a上には、切削装置2で使用される各種の用具(部品、消耗品等)が収容される容器8と、切削装置2による切削加工の対象となる複数の被加工物11を収容するカセット10とが載置される。図1には、昇降台6a上に容器8が載置され、容器8上にカセット10が載置されている例が示されている。なお、容器8に収容される用具の詳細については後述する。
【0025】
カセット10は、互いに対向する一対の側面を有する。また、カセット10の各側面にはそれぞれ、カセット10の高さ方向に沿って所定の間隔で配置された複数のガイドレール10aが固定されている。カセット10の両側面に固定された同じ高さ位置にある一対のガイドレール10aにより、被加工物11を含むフレームユニット(被加工物ユニット)17が支持される。
【0026】
例えば、被加工物11は、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。被加工物11は、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の領域に区画されており、この領域の表面(上面)側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成されている。被加工物11を分割予定ラインに沿って切削して分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。
【0027】
ただし、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、被加工物11は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等でなるウェーハであってもよい。また、被加工物11に形成されるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はなく、被加工物11にはデバイスが形成されていなくてもよい。さらに、被加工物11は、CSP(Chip Size Package)基板、QFN(Quad Flat Non-leaded package)基板等のパッケージ基板であってもよい。
【0028】
被加工物11の裏面(下面)側には、被加工物11よりも直径が大きい円形のテープ(ダイシングテープ)13が貼付される。テープ13としては、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを有するシート等を用いることができる。例えば、基材は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着層は、エポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。また、粘着層には、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
【0029】
テープ13の外周部は、金属等でなり中央部に円形の開口を備える環状のフレーム15に貼付される。なお、フレーム15の開口の直径は、被加工物11の直径よりも大きく、被加工物11は、フレーム15の開口の内側に配置される。
【0030】
被加工物11及びフレーム15にテープ13が貼付されると、被加工物11がテープ13を介してフレーム15によって支持される。これにより、被加工物11、テープ13、フレーム15を含むフレームユニット17が構成される。そして、1又は複数のフレームユニット17が、カセット10に収容される。
【0031】
基台4の上面側の、エレベータ6にX軸方向で隣接する領域には、開口4aが設けられている。この開口4aの内部には、被加工物11を洗浄する洗浄ユニット12が配置されている。洗浄ユニット12は、被加工物11を保持するスピンナテーブル14と、スピンナテーブル14の上方に設けられ純水等の洗浄液を供給するノズル(不図示)とを備える。
【0032】
スピンナテーブル14には、スピンナテーブル14をZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。スピンナテーブル14によって被加工物11を保持した状態で、スピンナテーブル14を回転させつつノズルから洗浄液を被加工物11に供給することにより、被加工物11が洗浄される。なお、洗浄液としては、液体(純水等)とエアとが混合された気液混合流体等を用いることもできる。
【0033】
洗浄ユニット12の上方には、フレームユニット17を保持する一対のガイドレール16がX軸方向に沿って設けられている。一対のガイドレール16には、一対のガイドレール16をY軸方向に沿って互いに接近及び離隔するように移動させる移動機構(不図示)が接続されている。一対のガイドレール16でフレームユニット17を挟み込むことにより、フレームユニット17のY軸方向における位置が調整される。
【0034】
基台4の上面側の、ガイドレール16にY軸方向で隣接する位置には、矩形状の開口4bが設けられている。開口4bは、長手方向がX軸方向に沿うように形成されている。この開口4bの内部には、平板状のテーブルカバー18が設けられている。また、テーブルカバー18のX軸方向における両側には、X軸方向に伸縮可能な蛇腹状の防塵防滴カバー20が設けられている。
【0035】
テーブルカバー18上には、被加工物11等を保持するチャックテーブル(保持テーブル)22が設けられている。チャックテーブル22の上面は、被加工物11等を保持する平坦な保持面を構成している。また、チャックテーブル22の周囲には、フレーム15等を把持して固定する複数のクランプ24が設けられている。
【0036】
例えば、チャックテーブル22は、ステンレス鋼等の金属でなる円柱状の枠体(不図示)を備える。また、枠体の中央部の上面側には円形の凹部が形成されており、この凹部にはポーラスセラミックス等の多孔質材料でなる円盤状のポーラス部材が嵌め込まれている。チャックテーブル22の保持面は、ポーラス部材、チャックテーブル22の内部に設けられた流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0037】
例えば、フレームユニット17は、被加工物11の表面側が上方に露出し、被加工物11の裏面側(テープ13側)がチャックテーブル22の保持面と対向するように、チャックテーブル22上に配置される。また、フレーム15が複数のクランプ24によって固定される。この状態で、チャックテーブル22の保持面に吸引源の負圧を作用させると、被加工物11がテープ13を介してチャックテーブル22によって吸引保持される。
【0038】
また、テーブルカバー18上には、一対のサブテーブル(保持テーブル)26がチャックテーブル22に隣接して設けられている。一対のサブテーブル26は、チャックテーブル22の後方側に、Y軸方向において互いに離隔した状態で配置されている。
【0039】
サブテーブル26の上面は、切削加工のセットアップ、検査、評価等に用いられる板状の部材を保持する平坦な保持面を構成する。例えば、サブテーブル26の保持面は矩形状に形成され、サブテーブル26の内部に設けられた流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。このサブテーブル26によって、後述のドレッシングボード19や検査用ボード21(図10(A)参照)等が保持される。
【0040】
テーブルカバー18の下方には、移動ユニット(不図示)及び回転駆動源(不図示)が設けられている。移動ユニットは、ボールねじ式の移動機構等によって構成され、チャックテーブル22及びサブテーブル26をテーブルカバー18とともにX軸方向に沿って移動させる。また、回転駆動源は、モータ等によって構成され、チャックテーブル22をZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転させる。
【0041】
開口4bの前方側(開口4aと隣接する領域)は、被加工物11の搬入及び搬出が行われる搬送領域に相当する。また、開口4bの後方側は、被加工物11の加工が行われる加工領域に相当する。移動ユニットによってチャックテーブル22及びサブテーブル26をX軸方向に沿って移動させることにより、チャックテーブル22及びサブテーブル26を搬送領域又は加工領域に位置付けることができる。
【0042】
加工領域の上方には、被加工物11が切削される空間(加工室)を形成する加工室カバー28が設けられている。図1では、加工室カバー28の輪郭が二点鎖線で示されている。加工室カバー28は、例えば、金属等によって直方体状に形成され、加工領域を覆うように配置される。また、加工室カバー28の搬送領域側の側面には、後述の交換装置100(図6等参照)が通過可能な出入口(開口)28aが設けられている。
【0043】
加工室カバー28の内側には、被加工物11を切削する一対の切削ユニット30が設けられている。切削ユニット30は、環状の切削ブレードを回転させて被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11を切削する。例えば、切削ユニット30には、ハブタイプの切削ブレード36(図2参照)が装着される。
【0044】
図2は、ハブタイプの切削ブレード36が装着される切削ユニット30を示す分解斜視図である。切削ユニット30は、筒状のハウジング32を備えている。このハウジング32には、Y軸方向に沿って配置され回転軸となる円柱状のスピンドル34が収容されている。
【0045】
スピンドル34の先端部(一端側)は、ハウジング32の外部に露出しており、スピンドル34の先端部の端面には、ねじ穴34aが形成されている。また、スピンドル34の基端部(他端側)には、モータ等の回転駆動源が接続されている。このスピンドル34の先端部に、環状の切削ブレード36が装着される。スピンドル34の先端部に装着された切削ブレード36は、回転駆動源からスピンドル34を介して伝達される動力によって回転する。
【0046】
切削ブレード36は、金属等でなる環状の基台38と、基台38の外周縁に沿って形成された環状の切刃40とが一体となって構成されている。切削ブレード36の中央部(基台38の中央部)には、切削ブレード36(基台38)を厚さ方向に貫通する円形の開口36aが設けられている。
【0047】
基台38は、互いに概ね平行な表面(第1面)38aと裏面(第2面)38bとを備える。基台38の表面38aは、切削ブレード36の着脱時に保持される環状の保持面を構成する。また、切刃40は、基台38の裏面38b側の外周部に形成されている。例えば、切刃40は、ダイヤモンド等でなる砥粒がニッケルめっき層等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される。
【0048】
スピンドル34の先端部には、切削ブレード36が装着されるマウントフランジ42が固定される。マウントフランジ42は、切削ブレード36を支持する円盤状のフランジ部44と、フランジ部44の表面44aの中央部から突出する円柱状のボス部(支持軸)46とを備える。また、マウントフランジ42には、フランジ部44の中央部及びボス部46の中央部を貫通する貫通孔42aが設けられている。
【0049】
フランジ部44の外周部には、表面44aから突出する環状の凸部44bが設けられている。凸部44bの先端面は、表面44aと概ね平行に形成されており、切削ブレード36を支持する環状の支持面44cを構成する。
【0050】
ボス部46の先端部の外周面には、ねじ溝を持つねじ部46aが形成されており、このねじ部46aには、環状のナット48が締結される。ナット48の中央部には、ナット48を厚さ方向に貫通する円形の開口48aが形成されている。開口48aは、ボス部46と概ね同径に形成され、開口48aの内側(ナット48の内周面)には、ボス部46のねじ部46aに対応するねじ溝が設けられている。また、ナット48には、ナット48を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔48bが、ナット48の周方向に沿って概ね等間隔に形成されている。
【0051】
マウントフランジ42の貫通孔42aを介してスピンドル34のねじ穴34aにねじ50を挿入し、締め込むことにより、マウントフランジ42がスピンドル34の先端部に固定される。そして、切削ブレード36の開口36aにボス部46を挿入すると、切削ブレード36がマウントフランジ42に装着される。この状態で、ボス部46のねじ部46aにナット48を締結すると、切削ブレード36がフランジ部44の支持面44cとナット48とによって挟持され、マウントフランジ42に固定される。
【0052】
なお、切削ユニット30には、ワッシャータイプの切削ブレード52(図3参照)が装着されてもよい。図3は、ワッシャータイプの切削ブレード52が装着される切削ユニット30を示す分解斜視図である。
【0053】
切削ブレード52は、メタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド等の結合材によって砥粒が固定されてなる環状の切刃によって構成される。また、切削ブレード52の中央部には、切削ブレード52を厚さ方向に貫通する円形の開口52aが設けられている。
【0054】
スピンドル34の先端部には、切削ブレード52が装着されるマウントフランジ54が装着される。マウントフランジ54は、スピンドル34の先端部に固定される固定マウント56と、固定マウント56に装着された切削ブレード52を押さえる押さえフランジ62とを備える。
【0055】
固定マウント56は、切削ブレード52を支持する円盤状のフランジ部58と、フランジ部58の表面58aの中央部から突出する円柱状のボス部(支持軸)60とを備える。また、固定マウント56には、フランジ部58の中央部及びボス部60の中央部を貫通する貫通孔56aが設けられており、貫通孔56aの内側には、後述のワッシャー66を支持する環状の受け部56bが設けられている。
【0056】
フランジ部58の外周部には、表面58aから突出する環状の凸部58bが設けられている。凸部58bの先端面は、表面58aと概ね平行に形成されており、切削ブレード52を支持する環状の支持面58cを構成する。
【0057】
ボス部60は、フランジ部58の表面58aから突出する環状の第1ボス部(第1支持軸)60aと、第1ボス部60aの先端から突出する環状の第2ボス部(第2支持軸)60bと、第2ボス部60bの先端から突出する環状の第3ボス部(第3支持軸)60cとを備える。第2ボス部60bの直径は、第1ボス部60aの直径よりも小さく、第3ボス部60cの直径は第2ボス部60bの直径よりも小さい。また、第1ボス部60a、第2ボス部60b、及び第3ボス部60cは、同心円状に設けられている。
【0058】
固定マウント56には、押さえフランジ62が装着される。押さえフランジ62は、金属等でなる環状の部材であり、互いに概ね平行な表面(第1面)62aと裏面(第2面)62bとを備える。押さえフランジ62の表面62aは、押さえフランジ62の着脱時に保持される環状の保持面に相当する。また、押さえフランジ62の裏面62bは、切削ブレード36を支持する環状の支持面に相当する。
【0059】
押さえフランジ62の中央部には、押さえフランジ62を表面62aから裏面62bに貫通する円形の開口62cが設けられている。また、押さえフランジ62の外周縁と開口62cとの間の領域には、押さえフランジ62を表面62aから裏面62bに貫通する複数の貫通孔62dが、押さえフランジ62の周方向に沿って概ね等間隔に形成されている。
【0060】
固定マウント56のボス部60の先端部の外周面には、ねじ溝を持つねじ部60dが形成されており、このねじ部60dには、環状のナット64が締結される。ナット64の中央部には、ナット64を厚さ方向に貫通する円形の開口64aが形成されている。開口64aは第3ボス部60cと概ね同径に形成され、開口64aの内側(ナット48の内周面)には、ボス部60のねじ部60dに対応するねじ溝が設けられている。また、ナット64には、ナット64を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔64bが、ナット64の周方向に沿って概ね等間隔に形成されている。
【0061】
固定マウント56は、ねじ68によってスピンドル34に装着される。具体的には、まず、ワッシャー66が固定マウント56の受け部56bに配置される。この状態で、ワッシャー66及び固定マウント56の貫通孔56aを介して、スピンドル34のねじ穴34aにねじ68を挿入し、締め込むことにより、固定マウント56がスピンドル34の先端部に固定される。
【0062】
また、切削ブレード52の開口52aと押さえフランジ62の開口62cとにボス部60を順に挿入すると、切削ブレード52及び押さえフランジ62がこの順番で固定マウント56に装着される。なお、押さえフランジ62の裏面62b側には、裏面62bから突出する環状の凸部(不図示)が設けられている。この凸部の外周面の直径は、例えば、切削ブレード52の開口52aの直径よりも僅かに小さく、凸部の内壁(内周面)の直径は、例えば、第1ボス部60aの外周面の直径よりも僅かに大きい。
【0063】
押さえフランジ62の凸部は、切削ブレード52の開口52aの内側に嵌め込まれる。これにより、押さえフランジ62と切削ブレード52との位置合わせが行われる。また、第1ボス部60aが押さえフランジ62の凸部の内壁の内側に嵌め込まれ、第2ボス部60bが、押さえフランジ62の開口62cに嵌め込まれる。
【0064】
この状態で、第3ボス部60cに形成されたねじ部60dにナット64を締め込むと、切削ブレード36及び押さえフランジ62が固定マウント56に固定される。これにより、切削ブレード36は、フランジ部58の支持面58cと押さえフランジ62の裏面62bとによって挟持され、マウントフランジ54に固定される。
【0065】
上述のようにして、切削ブレード36又は切削ブレード52が、図1に示す一対の切削ユニット30のそれぞれに装着される。なお、一対の切削ユニット30に装着された切削ブレード36又は切削ブレード52は、互いに対面するように配置される。
【0066】
一対の切削ユニット30には、それぞれ、チャックテーブル22によって保持された被加工物11等を撮像する撮像ユニット(読み取りユニット)70が装着されている。例えば、撮像ユニット70は、可視光を受けて電気信号を生成する撮像素子を備える可視光カメラや、赤外線を受けて電気信号を生成する撮像素子を備える赤外線カメラ等によって構成される。撮像ユニット70によって得られる画像に基づいて、被加工物11と切削ユニット30との位置合わせ等が行われる。
【0067】
さらに、基台4の上方には、被加工物11を搬送する第1搬送ユニット72が設けられている。第1搬送ユニット72には、Z軸方向に沿って移動できるロッドを内蔵したエアシリンダが設けられている。このエアシリンダの上部には、第1搬送ユニット72をX軸方向及びY軸方向に沿って移動させる移動機構(不図示)が接続されている。
【0068】
エアシリンダのロッドの下端部には、フレームユニット17のフレーム15等を保持する保持ユニット72aが固定されている。例えば、保持ユニット72aは、フレームユニット17のフレーム15の上面側を吸引して保持する複数の吸引パッドを備える。また、保持ユニット72aのエレベータ6側の端部には、フレームユニット17のフレーム15等の端部を把持できる把持機構72bが設けられている。
【0069】
第1搬送ユニット72が備える保持ユニット72aの上方には、被加工物11を搬送する第2搬送ユニット74が設けられている。第2搬送ユニット74には、Z軸方向に沿って移動できるロッドを内蔵したエアシリンダが設けられている。このエアシリンダの上部には、第2搬送ユニット74をY軸方向に沿って移動させる移動機構(不図示)が接続されている。
【0070】
エアシリンダのロッドの下端部には、フレームユニット17のフレーム15等を保持する保持ユニット74aが固定されている。保持ユニット74aの構造は、第1搬送ユニット72の保持ユニット72aと同様である。
【0071】
また、チャックテーブル22の側方には、切削ユニット30に装着された切削ブレード36や切削ブレード52等の交換を行う交換ユニット76が設けられている。交換ユニット76の構造の詳細については後述する。
【0072】
基台4の交換ユニット76側の縁部には、板状のカバー78が設けられている。カバー78の一端部は、ヒンジ80を介して基台4に接続されており、カバー78はヒンジ80を中心に回転可能となっている。
【0073】
切削ユニット30による被加工物11の加工が行われる際には、カバー78は、図1に実線で示すように、Z軸方向に沿って立った状態(開状態)となる。一方、交換ユニット76による切削ブレード36や切削ブレード52等の交換が行われる際には、カバー78は、図1に二点鎖線で示すように、X軸方向及びY軸方向に沿って横たわった状態(閉状態)となる。
【0074】
切削装置2を構成する各構成要素(エレベータ6、洗浄ユニット12、ガイドレール16、チャックテーブル22、クランプ24、サブテーブル26、切削ユニット30、撮像ユニット70、第1搬送ユニット72、第2搬送ユニット74、交換ユニット76等)は、それぞれ、制御ユニット(制御部)82に接続されている。制御ユニット82は、切削装置2の各構成要素の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0075】
例えば、制御ユニット82は、コンピュータによって構成され、切削装置2の稼働に必要な各種の処理(演算等)を行う処理部(ブレードケース判定部、ボード判定部)82aと、処理部82aによる処理に用いられる各種の情報(データ、プログラム等)が記憶される記憶部82bとを含む。処理部82aは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。また、記憶部82bは、主記憶装置、補助記憶装置等を構成する各種のメモリを含んで構成される。
【0076】
上述の切削装置2によって、被加工物11の切削加工が行われる。被加工物11を加工する際は、まず、加工の対象となる被加工物11を含むフレームユニット17が、カセット10に収容される。そして、このフレームユニット17を収容したカセット10が、エレベータ6の昇降台6a上に載置される。
【0077】
カセット10に収容されたフレームユニット17は、第1搬送ユニット72によってカセット10から搬出される。具体的には、第1搬送ユニット72は、把持機構72bでフレーム15の端部を把持した状態で、カセット10から離れるようにX軸方向に沿って移動する。これにより、フレームユニット17がカセット10から引き出され、一対のガイドレール16上に配置される。そして、フレームユニット17が一対のガイドレール16によって挟み込まれ、フレームユニット17の位置合わせが行われる。
【0078】
次に、第1搬送ユニット72は、保持ユニット72aでフレーム15の上面側を保持し、搬送領域に配置されたチャックテーブル22上にフレームユニット17を搬送する。また、チャックテーブル22は、被加工物11の裏面側(テープ13側)を吸引保持した状態で、搬送領域から加工領域に移動する。これにより、被加工物11が加工室カバー28の内側に配置される。
【0079】
そして、撮像ユニット70で被加工物11を撮像することによって取得された画像に基づいて、被加工物11と切削ユニット30との位置合わせが行われた後、被加工物11が切削ユニット30によって切削される。例えば、被加工物11は、分割予定ラインに沿って切削され、複数のデバイスチップに分割される。
【0080】
切削加工が完了すると、チャックテーブル22は、搬送領域へ移動する。そして、第2搬送ユニット74は、保持ユニット74aでフレーム15の上面側を保持し、フレームユニット17をチャックテーブル22から洗浄ユニット12へ搬送する。そして、洗浄ユニット12によって、被加工物11の洗浄が行われる。
【0081】
被加工物11の洗浄が完了すると、第1搬送ユニット72は、保持ユニット72aでフレーム15を保持し、フレームユニット17を一対のガイドレール16上へ搬送する。そして、フレームユニット17が一対のガイドレール16によって挟み込まれ、フレームユニット17の位置合わせが行われる。その後、第1搬送ユニット72は、把持機構72bでフレーム15を把持した状態で、カセット10側に向かって移動し、フレームユニット17をカセット10に収容する。
【0082】
制御ユニット82の記憶部82bには、上述の切削装置2の一連の動作を記述するプログラムが記憶されている。そして、オペレーターが切削装置2に被加工物11の加工を指示すると、処理部82aは、記憶部82bから該プログラムを読み出して実行し、切削装置2の各構成要素の動作を制御するための制御信号を順次生成する。
【0083】
ここで、切削ユニット30に装着された切削ブレード36や切削ブレード52は、被加工物11を切削することによって徐々に摩耗するため、必要に応じて交換される。切削装置2では、交換ユニット76によって切削ブレード36や切削ブレード52の交換が自動で実施される。
【0084】
図4は、交換ユニット76を示す斜視図である。交換ユニット76は、切削ブレード36や切削ブレード52の交換を行う交換装置(交換機構)100と、交換装置100を移動させる移動ユニット(移動機構)84とを備える。移動ユニット84は、交換装置100をZ軸方向に沿って移動させる昇降機構86と、昇降機構86に連結され交換装置100をX軸方向及びY軸方向と平行な方向(水平方向)に沿って移動させる多関節アーム90とを備える。
【0085】
昇降機構86は、Z軸方向に沿って配置された柱状のベース板88を備え、多関節アーム90をベース板88に沿ってZ軸方向に移動させる。例えば、昇降機構86は、ベース板88の下部に設けられ、シャフトに駆動プーリーが固定されたモータ(不図示)と、ベース板88の上部に設けられた従動プーリー(不図示)とを備える。駆動プーリーと従動プーリーとには、1本の歯付無端ベルト(不図示)が架けられ、歯付無端ベルトには金属製の第1支持具92Aが固定される。
【0086】
昇降機構86のモータのシャフトを第1方向に回転させると、第1支持具92Aが上昇し、第1方向とは反対の第2方向に回転させると、第1支持具92Aが下降する。これにより、第1支持具92AがZ軸方向に沿って移動する。
【0087】
ただし、第1支持具92Aの昇降が可能であれば、昇降機構86の構造に制限はない。例えば、昇降機構86は、ボールネジ式の昇降機構であってもよい。この場合、ボールネジ式の昇降機構は、Z軸方向に沿って配置された一対のガイドレール(不図示)を有する。また、一対のガイドレールには、平板状の移動プレート(不図示)がガイドレールに沿ってスライド可能な状態で取り付けられる。
【0088】
移動プレートの表面(第1面)側には、第1支持具92Aが固定される。また、移動プレートの裏面(第2面)側には、ナット部(不図示)が設けられている。このナット部は、一対のガイドレールと概ね平行に配置されたボールネジに螺合される。ボールネジの一端部には、パルスモータ(不図示)が連結されており、このパルスモータを回転させると第1支持具92AがZ軸方向に沿って移動する。
【0089】
第1支持具92Aには、モータ等の回転駆動源を有する第1回転機構94Aが固定されている。この回転駆動源は、回転軸がZ軸方向に概ね平行に配置されるように設けられている。第1回転機構94Aには、X軸方向及びY軸方向と平行な方向に沿って配置された第1アーム96Aの一端部が取り付けられている。
【0090】
第1アーム96Aの他端部には、第2回転機構94Bが取り付けられている。第2回転機構94Bは、回転軸がZ軸方向に概ね平行に配置されたモータ等の回転駆動源を有する。第2回転機構94Bには、X軸方向及びY軸方向と平行な方向に沿って配置された第2アーム96Bの一端部が取り付けられている。
【0091】
第2アーム96Bの他端部には、第3回転機構94Cが取り付けられている。第3回転機構94Cは、回転軸がZ軸方向に概ね平行に配置されたモータ等の回転駆動源を有する。第3回転機構94Cには、金属製の第2支持具92Bが取り付けられている。そして、第2支持具92Bには、切削ブレード36や切削ブレード52等の交換を行う交換装置100が装着されている。
【0092】
切削ブレード36や切削ブレード52等の交換を行わないタイミングでは、図4に示すように、交換装置100は、ベース板88に隣接する位置(退避位置)に配置される。そして、切削ブレード36や切削ブレード52等の交換を行う際には、移動ユニット84が駆動し、交換装置100が基台4の上方(交換位置)に配置される。図5は、交換装置100が交換位置に配置された状態の交換ユニット76を示す斜視図である。
【0093】
交換装置100は、昇降機構86によりZ軸方向に沿って移動(昇降)するとともに、多関節アーム90によりX軸及びY軸と平行な平面(水平面)に沿って移動する。すなわち、交換装置100は、昇降機構86及び多関節アーム90により任意の位置に位置付けられる。
【0094】
次に、交換装置100の構成例について説明する。図6は、交換装置100を示す斜視図である。また、図7(A)は、交換装置100を示す側面図であり、図7(B)は、交換装置100を示す正面図である。なお、図7(B)では、交換装置100の構成要素のうち、後述する連結部材114a及び連結部材114bが省略されている。以下では、主に図6を参照しながら、交換装置100の構造を説明する。
【0095】
交換装置100は、切削ブレード36又は切削ブレード52、及び、ナット48又はナット64(図2及び図3参照)の着脱を行う着脱ユニット102を備えている。この着脱ユニット102には、着脱ユニット102を回転させる回転機構104が連結されている。
【0096】
回転機構104は、着脱ユニット102に連結される回転部(シャフト)106と、回転部106を通る回転軸106aの周りに回転部106を回転(自転)させるモータ等の回転駆動源(不図示)とを備える。回転駆動源は、回転部106を回転軸106aの周りの双方向(第1方向と、第1方向とは反対の第2方向)に回転させる。回転部106が回転すると、回転部106に連結された着脱ユニット102は、回転部106に連動して回転軸106aの周りに回転する。
【0097】
着脱ユニット102は、回転機構104の回転部106に連結された枠体110を備える。枠体110は、金属等を用いて形成され互いに概ね平行に配置された一対の板状の支持部材112a及び支持部材112bを備える。
【0098】
支持部材112aと支持部材112bとの間には、直方体状の連結部材114a及び連結部材114bが設けられている。連結部材114aは、支持部材112aの一端部(回転部106側)及び支持部材112bの一端部(回転部106側)に固定されている。また、連結部材114bは、支持部材112aの他端部(回転部106とは反対側)及び支持部材112bの他端部(回転部106とは反対側)に固定されている。すなわち、支持部材112a及び支持部材112bは、連結部材114a及び連結部材114bを介して互いに連結されている。
【0099】
枠体110には、切削ブレード36又は切削ブレード52を切削ユニット30に装着するためのナット48又はナット64(図2及び図3参照)を保持して回転させるナット回転部(ナット着脱ユニット)120が装着されている。ナット回転部120は、ナット48又はナット64を保持するナット保持部122と、ナット保持部122に連結された柱状の回転部(シャフト)124(図7(B)参照)とを備える。
【0100】
回転部124は、筒状のハウジング126に収容されている。回転部124の一端側(先端部)は、ハウジング126から露出しており、この回転部124の一端側にナット保持部122が接続される。また、回転部124の他端側(基端部)は、回転部124の内部を通る回転軸124aの周りに回転部124を回転(自転)させるモータ等の回転駆動源128に連結されている。
【0101】
回転駆動源128は、回転部124を回転軸124aの周りの双方向(第1方向と、第1方向とは反対の第2方向)に回転させる。回転部124が回転すると、回転部124に連結されたナット保持部122は、回転部124に連動して回転軸124aの周りに回転する。
【0102】
なお、支持部材112aの中央部には、支持部材112aを厚さ方向に貫通する開口(不図示)が設けられており、支持部材112bの中央部には、支持部材112bを厚さ方向に貫通する開口(不図示)が設けられている。そして、ハウジング126から露出する回転部124の一端側は、支持部材112aの開口に挿入され、支持部材112aから枠体110の外側に向かって突出する。また、回転部124の他端側は、ハウジング126の端部とともに支持部材112bの開口に挿入され、支持部材112bから枠体110の外側に向かって突出する。
【0103】
回転部124の一端側は、枠体110の外側でナット保持部122に連結される。また、回転部124の他端側は、枠体110の外側で回転駆動源128に連結される。これにより、枠体110がナット保持部122と回転駆動源128とによって挟まれるように、ナット回転部120が枠体110に装着される。このナット回転部120は、ナット保持部122の回転軸(回転軸124aに相当)が回転部106の回転軸106aと垂直な方向に沿うように配置される。
【0104】
ナット保持部122は、回転部124の一端側に固定された円柱状の回転部材130を備える。回転部材130は、ばね等によって支持部材112aとは反対側に向かって付勢されており、外力が付与されると支持部材112a側に向かって移動する。
【0105】
また、回転部材130は、支持部材112aとは反対側に位置する表面130aを備える。そして、回転部材130には、表面130aから突出する複数(図6では4個)の保持ピン132が、表面130aの周方向に沿って概ね等間隔に設けられている。
【0106】
保持ピン132は、ナット48の貫通孔48b(図2参照)又はナット64の貫通孔64b(図3参照)に対応して形成されており、貫通孔48b又は貫通孔64bに挿入可能となっている。なお、保持ピン132の数、大きさ、配置等は、貫通孔48b又は貫通孔64bに応じて適宜設定される。
【0107】
回転部材130の周囲には、ナット48又はナット64を把持する複数(図6では4個)の把持部材134が、回転部材130の周方向に沿って概ね等間隔に配置されている。把持部材134は、それぞれ柱状に形成されており、把持部材134の基端部(一端側)は、回転部材130の外周面に固定されている。
【0108】
把持部材134の先端部(他端側)は、回転部材130の表面130aから突出しており、この先端部には、回転部材130の中心側に向かって屈曲した爪部134aが形成されている。また、把持部材134は、ばね等によって回転部材130の半径方向外側に向かって付勢されており、外力が付与されると爪部134aが回転部材130の半径方向内側に向かって移動する。
【0109】
さらに、回転部材130の周囲には、中空の円柱状に形成されたカバー136が設けられている。カバー136は、回転部材130とは独立して回転軸124aの周りに回転できるように構成されており、回転部材130と複数の把持部材134の基端側とを囲むように配置されている。回転部材130の表面130aがカバー136の内側(支持部材112a側)に向かって押圧されると、回転部材130を付勢するばね等が変形しながら、回転部材130が複数の把持部材134とともにカバー136の内側に押し込まれる。
【0110】
回転部材130が押圧されてカバー136の内側に押し込まれると、複数の把持部材134の先端側(爪部134a側)がカバー136の内壁と接触して押圧される。これにより、把持部材134を付勢するばね等が変形しながら、複数の把持部材134の先端側が回転部材130の半径方向で内側に向かって移動する。そして、複数の把持部材134は、その長さ方向がカバー136の内壁に沿うように配置された状態となる(閉状態)。このとき、把持部材134の爪部134aは、例えば、回転部材130の外周縁よりも回転部材130の半径方向で内側に配置される。
【0111】
一方、回転部材130に対する押圧が解除されると、回転部材130は、ばね等の復元力によってカバー136の外側に向かって移動し、把持部材134の先端側がカバー136の内壁によって押圧された状態が解除される。これにより、複数の把持部材134の先端側も、ばね等の復元力によって回転部材130の半径方向で外側に向かって移動する。そして、複数の把持部材134の先端側が、閉状態よりも回転部材130の半径方向で外側に配置された状態となる(開状態)。このとき、把持部材134の爪部134aは、例えば、回転部材130の外周縁よりも回転部材130の半径方向で外側に配置される。
【0112】
さらに、回転部材130の外周面には、回転部材130の外周面から突出する複数(例えば4個)のピン138が設けられている。また、カバー136には、カバー136を外周面から内周面(内壁)まで貫通する複数(例えば4個)の開口136aが設けられている。そして、ピン138の少なくとも一部が、それぞれ、開口136aに挿入される。
【0113】
開口136aの支持部材112aとは反対側に位置する端部は、段差状に形成されており、第1ピン受け部136bと第2ピン受け部136cとを含む。第2ピン受け部136cは、第1ピン受け部136bよりも回転部材130の表面130aから離れた位置(支持部材112a側)に配置されている。
【0114】
ナット保持部122は、例えば、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれていない初期状態で、ピン138が第1ピン受け部136bに接触した状態となっている。そして、回転部材130が押圧されてカバー136の内側に押し込まれると、ピン138が第1ピン受け部136bから離れる。この状態で回転部124を第1方向に回転させると、ピン138が第1ピン受け部136b側から第2ピン受け部136c側に移動する。
【0115】
その後、回転部材130の押圧が解除されると、ピン138が第2ピン受け部136cと接触し、第2ピン受け部136cによって支持された状態となる。これにより、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれた状態が維持され、複数の把持部材134が閉状態に維持される。
【0116】
一方、カバー136の内側に押し込まれた状態の回転部材130が、さらに押圧されてカバー136の内側に押し込まれると、ピン138が第2ピン受け部136cから離れる。この状態で回転部124を第1方向とは反対の第2方向に回転させると、ピン138が第2ピン受け部136c側から第1ピン受け部136b側に移動する。
【0117】
その後、回転部材130の押圧が解除されると、ピン138が第1ピン受け部136bと接触し、第1ピン受け部136bによって支持された状態となる。これにより、回転部材130はカバー136の内側から押し出され、複数の把持部材134が開状態となる。
【0118】
上述のナット回転部120は、ナット48又はナット64を保持して回転する。具体的には、まず、保持ピン132がナット48の貫通孔48b(図2参照)又はナット64の貫通孔64b(図3参照)に挿入されるように、回転部材130の表面130aがナット48又はナット64と接触する。この状態で回転部材130がカバー136の内側に押し込まれると、複数の把持部材134が閉状態となり、爪部134aがナット48又はナット64の外周面と接触してナット48又はナット64を把持する。
【0119】
複数の把持部材134によってナット48又はナット64が保持された状態で、回転駆動源128で回転部124(図7(B)参照)を回転させると、回転部124に連結された回転部材130が回転し、把持部材134によって保持されたナット48又はナット64も回転する。
【0120】
ナット回転部120でナット48又はナット64を保持して回転させることにより、切削ユニット30に装着された切削ブレード36又は切削ブレード52の交換を行う際の、ナット48又はナット64の取り外し及び締め込みを自動で行うことができる。
【0121】
例えば、切削ユニット30のマウントフランジ42に装着されたナット48(図2参照)を取り外す際には、まず、昇降機構86及び多関節アーム90(図4及び図5参照)によって交換装置100を移動させ、加工室カバー28の出入口28a(図1参照)を介して交換装置100を加工室カバー28の内部に配置する。そして、回転機構104によって着脱ユニット102を回転させ、ナット保持部122をマウントフランジ42と対向させる。
【0122】
その後、ナット保持部122をマウントフランジ42側に移動させる。これにより、マウントフランジ42に装着されているナット48に、回転部材130の表面130a側が押し付けられる。このとき、回転部材130が備える複数の保持ピン132は、ナット48の貫通孔48bに挿入される。
【0123】
そして、回転部材130がナット48によって押圧されてカバー136の内側に押し込まれ、複数の把持部材134が閉状態となる。これにより、ナット48が複数の把持部材134の爪部134aによって把持される。
【0124】
次に、回転駆動源128によって回転部124(図7(B)参照)を回転させ、回転部材130を回転軸124aの周りに第1方向(ナット48を緩める方向)に回転させる。これにより、回転部材130によって把持されたナット48が回転して緩み、マウントフランジ42のボス部46から取り外される。なお、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれた状態で第1方向に回転すると、ピン138は、第1ピン受け部136b側から第2ピン受け部136c側に移動する。
【0125】
その後、ナット保持部122をマウントフランジ42から離れる方向に移動させる。このとき、ピン138が第2ピン受け部136cによって支持されることにより、カバー136の内側に回転部材130が押し込まれた状態が維持される。これにより、複数の把持部材134がナット48を把持した状態(閉状態)が維持される。
【0126】
一方で、切削ユニット30のマウントフランジ42にナット48を取り付ける際には、まず、ナット48を保持した状態のナット保持部122をマウントフランジ42と対向させ、ナット保持部122をマウントフランジ42側に移動させる。これにより、ナット保持部122よって保持されているナット48がマウントフランジ42のボス部46の先端部に位置付けられるとともに、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれる。
【0127】
次に、回転駆動源128によって回転部124(図7(B)参照)を回転させ、回転部材130を回転軸124aの周りで第1方向とは反対の第2方向(ナット48を締める方向)に回転させる。これにより、ナット48が回転してマウントフランジ42のボス部46に形成されたねじ部46aに締め込まれ、マウントフランジ42に装着される。なお、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれた状態で第2方向に回転すると、ピン138は、第2ピン受け部136c側から第1ピン受け部136b側に移動する。
【0128】
その後、ナット保持部122をマウントフランジ42から離れる方向に移動させる。これにより、回転部材130がカバー136の内側から押し出され、複数の把持部材134によるナット48の把持が解除される。そして、ピン138は、第1ピン受け部136bによって支持される。
【0129】
なお、複数の把持部材134を閉状態又は開状態に維持する方法は、上述した方法に限定されない。例えば、回転部材130にピン138を設ける代わりに、カバー136をカバー136の高さ方向(回転軸124aと平行な方向)に沿って移動させるアクチュエーターを着脱ユニット102に設けてもよい。例えば、アクチュエーターは、エアシリンダ等によって構成され、支持部材112aに固定される。このアクチュエーターによってカバー136を移動させることにより、複数の把持部材134の閉状態と開状態とを自由に切り替えることができる。
【0130】
支持部材112aと支持部材112bとの間には、金属等でなる環状部材140が設けられている。環状部材140は、ハウジング126(回転部124)を囲み、且つ、ハウジング126と接触しないように、支持部材112a及び支持部材112bと概ね平行な状態で配置されている。
【0131】
環状部材140は、複数の弾性体(弾性部材)142aを介して支持部材112aに連結されるとともに、複数の弾性体(弾性部材)142bを介して支持部材112bに連結されている。すなわち、環状部材140は弾性体142a及び弾性体142bによって吊られ、支持部材112a及び支持部材112bと接触していない状態で保持される(図7(B)参照)。
【0132】
例えば、弾性体142a及び弾性体142bは、ばね、ゴム等の伸縮可能な部材である。環状部材140に外力が付与されると、弾性体142a及び弾性体142bの伸縮によって、環状部材140は、任意の方向に移動又は回転する。
【0133】
環状部材140の外周面には、切削ブレード36又は切削ブレード52を保持する保持部150A(第1保持部)及び保持部150B(第2保持部)が連結されている。保持部150A及び保持部150Bは、樹脂、金属等でなる円盤状の部材であり、環状部材140とは反対側を向く円形状の表面150a側で切削ブレード36又は切削ブレード52を保持する。保持部150A及び保持部150Bは、保持部150Aの表面150aと保持部150Bの表面150aとが枠体110の外側を向くように、枠体110を挟んで互いに対向する位置に配置されている。
【0134】
保持部150A及び保持部150Bは、それぞれ、回転機構104の回転部106の周方向(回転方向)において、ナット保持部122から90°の角度の間隔だけ離れた位置に配置される。また、ナット保持部122と、保持部150Aの表面150aと、保持部150Bの表面150aとは、回転部106の回転軸106aの周りに互いに離隔した状態で、回転軸106aとは反対側(外側)を向くように配置されている。
【0135】
次に、保持部150A及び保持部150Bの構成例について説明する。図8(A)は、保持部150Aを示す正面図であり、図8(B)は、保持部150Aを示す断面図である。なお、以下では、保持部150Aの構造及び機能について説明するが、保持部150Bの構造及び機能も保持部150Aと同じである。
【0136】
保持部150Aは、樹脂、金属等でなる円盤状の枠体152を備える。枠体152は、互いに概ね平行な表面(第1面)152aと裏面(第2面)152bとを備える。枠体152の表面152a側が、保持部150Aの表面150a側に相当する。枠体152の表面152a側の中央部には、円形の第1溝(第1凹部)152cが設けられている。なお、第1溝152cの直径は、切削ブレード36の基台38の表面38a(図9(A)参照)の直径や、押さえフランジ62の表面62a(図9(B)参照)の直径よりも大きい。
【0137】
さらに、第1溝152cの底部の中央部には、円形の第2溝(第2凹部)152dが設けられている。そして、第2溝152dの底部には、環状の第3溝(第3凹部)152eが、第2溝152dの外周に沿って所定の幅で形成されている。
【0138】
第3溝152eには、環状の弾性部材154が嵌め込まれている。弾性部材154は、ゴム、樹脂等の弾性変形が可能な弾性材料で構成される。弾性部材154は、第3溝152eの内側に嵌め込まれた環状の基部154aと、基部154aから突出する一対のリップ部154bとを含む。一方のリップ部154bは、環状の基部154aの半径方向で外側の部分に沿って配置されている。また、他方のリップ部154bは、環状の基部154aの半径方向で内側の部分に沿って配置されている。
【0139】
一対のリップ部154bは、基部154aから離れた先端へと向かうにつれて互いの距離が大きくなるように構成されている。具体的には、一対のリップ部154bは、基部154aが第3溝152eに嵌め込まれた状態で、枠体152の表面152aに対して傾斜している。
【0140】
一対のリップ部154bは、基部154aの半径方向において、基部154aの内側から外側へと広がるように構成されている。すなわち、一対のリップ部154bは、それぞれ、第3溝152eの幅方向において、第3溝152eの内側から外側に向かうように構成されている。また、一対のリップ部154bの先端は、枠体152の厚さ方向において、枠体152の表面152aから突出している。
【0141】
基部154aのうち、一対のリップ部154bの間の空間と重なる領域には、基部154aを貫通する複数の貫通孔154cが設けられている。例えば、図8(A)に示すように、基部154aには、弾性部材154の周方向に沿って概ね等間隔に6つの貫通孔154cが形成される。貫通孔154cの一端側は、枠体152の表面152a側で開口しており、貫通孔154cの他端側は、第3溝152eの底部に設けられた環状の第4溝(第4凹部)152fに連結されている。
【0142】
第4溝152fには、チューブ、パイプ等によって構成される流路156の一端側が接続されている。また、流路156の他端側は、バルブ158を介して吸引源160に接続されている。例えば、バルブ158は、その開閉が電気的に制御される電磁弁によって構成され、吸引源160は、エジェクタによって構成される。バルブ158を開くと、吸引源160の負圧が、枠体152の第4溝152f及び弾性部材154の貫通孔154cを介して、一対のリップ部154bの間の空間に作用する。
【0143】
また、流路156のうちで、第4溝152fとバルブ158との間の領域には、流路156の圧力を測定する圧力測定器(圧力センサ)162が接続されている。例えば、圧力測定器162は、ゲージ圧(絶対圧と大気圧との差)に基づいて流路156の内部の圧力を測定する。圧力測定器162によって測定された流路156の圧力値は、制御ユニット82(図1参照)に出力され、記憶部82bに記憶される。
【0144】
上述した保持部150Aによって、切削ブレード36又は切削ブレード52が保持される。そして、切削ブレード36又は切削ブレード52の交換を実施する際には、切削ユニット30に装着されている切削ブレード36又は切削ブレード52(例えば、使用後の切削ブレード)や、交換用の切削ブレード36又は切削ブレード52(例えば、未使用の切削ブレード)が、保持部150Aによって保持される。なお、保持部150Aは、ハブタイプの切削ブレード36とワッシャータイプの切削ブレード52とのいずれも保持できる。
【0145】
図9(A)は、ハブタイプの切削ブレード36を保持する保持部150Aを示す断面図である。保持部150Aで切削ブレード36を保持する際には、例えば、バルブ158を開き、吸引源160の負圧を一対のリップ部154bの間の空間に作用させる。そして、保持部150Aの表面150a側を切削ブレード36に対向させた状態で、保持部150Aを切削ブレード36の基台38に近づける。
【0146】
基台38の表面38aが一対のリップ部154bの先端に接触すると、一対のリップ部154bの間の空間が密閉され、この空間が吸引源160の負圧によって減圧される。これにより、一対のリップ部154bが切削ブレード36に密着し、切削ブレード36は、保持部150Aによって吸引保持される。
【0147】
図9(B)は、ワッシャータイプの切削ブレード52を保持する保持部150Aを示す断面図である。保持部150Aで切削ブレード52を保持する際には、保持部150Aは、押さえフランジ62の表面62a側を吸引するとともに、押さえフランジ62に設けられた貫通孔62dを介して切削ブレード52を吸引する。
【0148】
具体的には、例えば、バルブ158を開き、吸引源160の負圧を一対のリップ部154bの間の空間に作用させる。そして、保持部150Aの表面150a側を押さえフランジ62及び切削ブレード52に対向させた状態で、保持部150Aを押さえフランジ62に近づける。
【0149】
押さえフランジ62の表面62aが一対のリップ部154bの先端に接触すると、一対のリップ部154bの間の空間が密閉され、この空間が吸引源160の負圧によって減圧される。これにより、一対のリップ部154bが押さえフランジ62に密着し、押さえフランジ62は、保持部150Aによって吸引保持される。
【0150】
また、吸引源160の負圧は、押さえフランジ62に設けられた複数の貫通孔62dを介して、切削ブレード52にも作用する。これにより、切削ブレード52は、押さえフランジ62を介して保持部150Aによって吸引保持される。
【0151】
なお、貫通孔62dは、押さえフランジ62の表面62aのうちで弾性部材154に対応する領域と、押さえフランジ62の裏面62bのうちで切削ブレード52と接触する領域とに開口するように形成される。貫通孔62dの直径は、例えば、1mm程度に設定される。
【0152】
ただし、保持部150Aは、押さえフランジ62のみを保持することもできる。具体的には、切削ブレード52と接触していない状態の押さえフランジ62を、上述の通り、保持部150Aによって吸引する。このとき、吸引源160の負圧は押さえフランジ62の貫通孔62dを介して僅かにリークするものの、吸引源160の吸引力を適切に制御することにより、保持部150Aは、押さえフランジ62を保持できる。
【0153】
上述のように、保持部150Aによって切削ブレード36又は切削ブレード52が保持される。なお、保持部150Aによって所望の対象物が適切に保持されているか否かは、圧力測定器162によって流路156の圧力を測定することによって判別することができる。
【0154】
例えば、保持部150Aで切削ブレード36を保持すると(図9(A)参照)、一対のリップ部154bの間の空間が密閉される。つまり、保持部150Aが切削ブレード36を保持している状態での流路156の圧力Pa1と、保持部150Aが切削ブレード36を保持していない状態での流路156の圧力Pa2(>Pa1)とに違いが生じる。そのため、圧力測定器162によって測定された圧力と、予め設定された閾値Ptha(Pa1<Ptha<Pa2)とを比較することにより、切削ブレード36が保持部150Aによって保持されているか否かを判別できる。
【0155】
また、保持部150Aで切削ブレード52を保持する場合(図9(B)参照)には、保持部150Aが切削ブレード52及び押さえフランジ62を吸引保持している状態での流路156の圧力Pb1と、保持部150Aが押さえフランジ62のみを吸引保持している状態での流路156の圧力Pb2(>圧力Pb1)と、保持部150Aが切削ブレード52及び押さえフランジ62のいずれも保持していない状態での流路156の圧力Pb3(>Pb2)とに違いが生じる。
【0156】
そのため、圧力測定器162によって測定された圧力と、予め設定された閾値Pthb1(Pb1<Pthb1<Pb2)及び閾値Pthb2(Pb2<Pthb2<Pb3)とをそれぞれ比較することにより、切削ブレード52や押さえフランジ62が保持部150Aによって保持されているか否かを判別できる。
【0157】
上述の判別は、例えば、制御ユニット82(図1参照)の記憶部82bに予め閾値(Ptha、Pthb1、Pthb2)を記憶しておき、圧力測定器162によって測定された圧力と閾値とを比較する処理を処理部82aに実行させることによって実施される。この場合、記憶部82bには、測定された圧力と閾値とを比較する処理が記述されたプログラムが記憶される。そして、処理部82aは記憶部82bにアクセスして該プログラムを読み出し、実行することにより、測定された圧力と閾値との比較を行う。
【0158】
上記のように、保持部150Aによって切削ブレード36又は切削ブレード52が保持される。なお、保持部150Bによって切削ブレード36又は切削ブレード52が保持される場合の手順も、保持部150Aの場合と同様である。
【0159】
また、枠体152の表面152a側のうち、第4溝152fの内側の領域には、円柱状の第5溝(第5凹部)152gが設けられている。そして、第5溝152gの直径は、マウントフランジ42のボス部46(図2参照)の直径、及び、マウントフランジ54の第3ボス部60c(図3参照)の直径よりも大きく設定される。これにより、保持部150A又は保持部150Bを切削ユニット30に近づけた際に、ボス部46又は第3ボス部60cの先端部が第5溝152gに挿入され、保持部150A又は保持部150Bと切削ユニット30との接触が回避される。
【0160】
なお、保持部150A又は保持部150Bには、必ずしも弾性部材154が設けられていなくてもよい。例えば、弾性部材154の代わりに、径の異なる2つのOリングが同心円状に配置されてもよい。この場合、例えば、一方のOリングは、枠体152の半径方向で外側に位置する第3溝152eの側壁に沿って設けられ、他方のOリングは、枠体152の半径方向で内側に位置する第3溝152eの側壁に沿って設けられる。
【0161】
ここで、図6及び図7(B)に示すように、保持部150A及び保持部150Bは、弾性体142a及び弾性体142bを介して回転機構104の回転部106に連結されている。これにより、保持部150A及び保持部150Bは、それぞれ、任意の角度に傾くことができる。すなわち、保持部150A又は保持部150Bに外力が付与されると、その表面150aは、任意の方向に自在に傾く。
【0162】
そのため、保持部150Aの表面150a側又は保持部150Bの表面150a側に上述した切削ブレード36や押さえフランジ62が接触すると、保持部150A又は保持部150Bは、その表面150aが切削ブレード36の表面38aや押さえフランジ62の表面62aと平行に配置されるように傾く。これにより、保持部150Aの表面150a側又は保持部150Bの表面150a側が切削ブレード36や押さえフランジ62と適切に接触し、切削ブレード36や押さえフランジ62が確実に吸引保持される。
【0163】
上述した交換装置100によって、切削ブレード36又は切削ブレード52の交換が行われる。切削ブレード36又は切削ブレード52の交換は、例えば、切削ユニット30に装着されている切削ブレード36又は切削ブレード52を取り外し、その後、交換用の切削ブレード36又は切削ブレード52を切削ユニット30に装着することによって行われる。交換用の切削ブレード36又は切削ブレード52は、予め切削装置2内に保管されている。
【0164】
図10(A)は、交換用の切削ブレード36又は切削ブレード52等を支持した状態で保管できる支持ユニット(ストック部)200を示す平面図である。図10(A)に示すように、支持ユニット200は、例えば、被加工物11を支持するフレーム15と同じ外形を有する板状の支持板202を含む。
【0165】
支持板202の上面202aには、切削ブレード36又は切削ブレード52を収容するブレードケース172をそれぞれが支持できるように構成された複数のブレードケース支持部204が設けられている。各ブレードケース支持部204は、例えば、ブレードケース172に対応する形状を持つ凹状の領域であり、ブレードケース172を載置できるように構成されている。なお、各ブレードケース支持部204は、ブレードケース172に対応した形状を持つガイド構造を配置することによって形成されても良い。
【0166】
図10(B)は、ブレードケース172を示す斜視図である。ブレードケース172は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成された収容部174と蓋部176とを含む。収容部174と蓋部176とは、ヒンジ部178によって互いに連結されている。
【0167】
収容部174は、底板180と、底板180の外周部に設けられた側壁182とを有している。側壁182より内側が、切削ブレード36又は切削ブレード52を収容する収容領域174aとなる。側壁182のヒンジ部178とは反対側の領域の外側には、外向きの第1爪部184が形成されている。
【0168】
蓋部176は、天板186と、天板186の外周部に設けられた側壁188とを有している。例えば、この側壁188の高さは、収容部174の側壁182の高さよりも低くなっている。また、側壁188のヒンジ部178とは反対側の領域の内側には、内向きの第2爪部190が形成されている。
【0169】
例えば、ヒンジ部178を支点に蓋部176を回転させて収容部174の収容領域174aを閉じることで、収容領域174aに収容される切削ブレード36又は切削ブレード52がブレードケース172から脱落することはなくなる。なお、第1爪部184と第2爪部190とを噛み合わせた状態(ロック状態)にすると、収容領域174aが閉じられた状態が維持される。一方で、蓋部176が開かれた状態では、収容領域174aに収容された切削ブレード36又は切削ブレード52に対して、外部からのアクセスが可能になる。
【0170】
ブレードケース172に切削ブレード36又は切削ブレード52を収容した状態で、ブレードケース172をブレードケース支持部204に載置することで、切削ブレード36又は切削ブレード52は、支持ユニット200によって支持される。なお、支持ユニット200の各ブレードケース支持部204には、蓋部176が開かれた状態のブレードケース172が載置される。
【0171】
また、支持板202の上面202aには、それぞれが押さえフランジ62を支持できるように構成された複数の押さえフランジ支持部206が設けられている。各押さえフランジ支持部206は、例えば、押さえフランジ62に対応した形状を持つ凹状の領域であり、押さえフランジ62を載置できるように構成されている。なお、各押さえフランジ支持部206は、押さえフランジ62に対応した形状を持つガイド構造を配置することによって形成されても良い。
【0172】
更に、支持板202の上面202aには、切削ブレード36又は切削ブレード52のドレッシングに用いられるドレッシングボード19や、切削ブレード36又は切削ブレード52の検査に用いられる検査用ボード21をそれぞれが支持できる複数のボード支持部208が設けられている。
【0173】
各ボード支持部208は、例えば、ドレッシングボード19や検査用ボード21に対応した形状を持つ凹状の領域であり、ドレッシングボード19又は検査用ボード21を載置できるように構成されている。なお、各ボード支持部208は、ドレッシングボード19や検査用ボード21に対応した形状を持つガイド構造を配置することによって形成されても良い。
【0174】
切削ブレード36又は切削ブレード52によって被加工物11を加工する際には、切削ブレード36又は切削ブレード52の形状の修正や、切削ブレード36又は切削ブレード52の切れ味の確保等を目的として、切削ブレード36又は切削ブレード52の先端部を意図的に摩耗させるドレッシングが実施される。
【0175】
ドレッシングは、切削ブレード36又は切削ブレード52をドレッシングボード19に切り込ませることによって行われる。例えば、ドレッシングボード19は、グリーンカーボランダム(GC)、ホワイトアランダム(WA)等でなる砥粒を、レジンボンド、ビトリファイドボンド等の結合材で固定することによって形成されている。
【0176】
ドレッシングを行うと、切削ブレード36又は切削ブレード52の結合材がドレッシングボード19と接触して摩耗し、例えば、切削ブレード36又は切削ブレード52の形状がスピンドル34と同心状に整えられる(真円出し)。また、ドレッシングを行うと、同様に、切削ブレード36又は切削ブレード52の結合材がドレッシングボード19と接触して摩耗し、例えば、結合材から砥粒が適度に露出する(目立て)。このようなドレッシングを経た切削ブレード36又は切削ブレード52を用いることにより、被加工物11の加工の精度が向上する。
【0177】
また、切削ブレード36又は切削ブレード52によって被加工物11を加工する際には、切削ブレード36又は切削ブレード52を検査用ボード21に切り込ませ、切削ブレード36又は切削ブレード52の形状の検査や、切削ブレード36又は切削ブレード52の位置の修正等が行われることがある。
【0178】
例えば、切削ブレード36又は切削ブレード52を検査用ボード21に切り込ませ、検査用ボード21に形成された溝(切削溝)を観察することにより、切削ブレード36又は切削ブレード52の先端部が所望の形状となっているか否かが検査される。また、検査用ボード21に形成された切削溝の長さに基づいて、切削ブレード36又は切削ブレード52の下端の位置(切り込み深さ)が算出され、切削ブレード36又は切削ブレード52の高さ位置の調整が行われる。
【0179】
検査用ボード21としては、例えば、シリコンを用いて形成される板状の部材(シリコンボード)が用いられる。ただし、検査用ボード21を切削ブレード36又は切削ブレード52によって切削できるようであれば、この検査用ボード21の材質に制限はない。よって、検査用ボード21に適した材質として、被加工物11と同様の材質を用いることができる。
【0180】
切削ブレード36又は切削ブレード52によるドレッシングボード19又は検査用ボード21の切削は、一対のサブテーブル26(図1参照)によってドレッシングボード19又は検査用ボード21を保持した状態で実施される。このとき、例えば、一方のサブテーブル26には、一方の切削ユニット30に装着された切削ブレード36又は切削ブレード52によって切削されるドレッシングボード19又は検査用ボード21が保持される。
【0181】
また、例えば、他方のサブテーブル26には、他方の切削ユニット30に装着された切削ブレード36又は切削ブレード52によって切削されるドレッシングボード19又は検査用ボード21が保持される。このように、一対のサブテーブル26は、一対の切削ユニット30に対応して設置されている。
【0182】
なお、支持ユニット200に支持された各種の用具には、その用具に関する情報を含む識別マークが付されていてもよい。図11(A)は、識別マーク212が付された切削ブレード36を示す平面図であり、図11(B)は、識別マーク214が付された切削ブレード52を示す平面図であり、図11(C)は、識別マーク216が付されたドレッシングボード19又は検査用ボード21を示す平面図である。
【0183】
識別マーク212、識別マーク214、及び識別マーク216は、例えば、1次元コード(バーコード)や2次元コード等である。なお、これらの識別マーク212、識別マーク214、及び識別マーク216は、対象に対して直に印刷されても良いし、これらの識別マーク212、識別マーク214、及び識別マーク216が印刷されたシール等を対象に貼り付けても良い。
【0184】
切削ブレード36に付される識別マーク212や、切削ブレード52に付される識別マーク214には、例えば、切削ブレード36又は切削ブレード52の種類(ハブタイプ又はワッシャータイプ)、外径、内径、厚さ(幅)、砥粒の材質、砥粒の粒径、結合材の材質、シリアル番号等の情報が含まれる。
【0185】
一方で、ドレッシングボード19に付される識別マーク216には、例えば、ドレッシングボード19のサイズ、形状、砥粒の材質、砥粒の粒径、結合材の材質等の情報が含まれる。また、検査用ボード21に付される識別マーク216には、例えば、検査用ボード21のサイズ、形状、材質、シリアル番号等の情報が含まれる。
【0186】
切削ブレード36に付された識別マーク212や、切削ブレード52に付された識別マーク214、ドレッシングボード19又は検査用ボード21に付される識別マーク216等は、例えば、切削装置2に設けられた読み取りユニットによって読み取られる。読み取りユニットは、カメラやバーコードリーダー等であり、例えば、上述した識別マーク212、識別マーク214、識別マーク216等の種類に応じて選択される。
【0187】
例えば、切削ユニット30に隣接する撮像ユニット70(図1参照)は、読み取りユニットとしても機能し、この撮像ユニット70によって、識別マーク212、識別マーク214、識別マーク216等が読み取られる。ただし、撮像ユニット70とは別の読み取りユニットが切削装置2内に設けられても良い。
【0188】
読み取りユニットによって読み取られた情報は、制御ユニット82(図1参照)に入力され、記憶部82bに記憶される。例えば、制御ユニット82の処理部82aは、切削ブレード36又は切削ブレードの交換等を行う際に、記憶部82bに記憶されている情報を参照し、交換ユニット76によって保持する対象を特定する。
【0189】
なお、上述した各ブレードケース172にも、収容されるべき切削ブレード36や切削ブレード52に対応する識別マークが付されていることが望ましい。これにより、ブレードケース172と、このブレードケース172に収容されるべき切削ブレード36や切削ブレード52と、の不一致を容易に確認できる。
【0190】
この場合には、切削ブレード36に付された識別マーク212又は切削ブレード52に付された識別マーク214を読み取りユニットで読み取って取得される情報と、ブレードケース172に付された識別マークを読み取りユニットで読み取って取得される情報と、が、記憶部82bに記憶される。
【0191】
その後、制御ユニット82の処理部82aは、記憶部82bに記憶されている情報を参照し、ブレードケース172と、これに収容されるべき切削ブレード36又は切削ブレード52と、が対応するか否かを判定する。具体的には、処理部82aは、識別マーク212又は識別マーク214から取得される情報と、ブレードケース172に付された識別マークから取得される情報と、が対応しているか否かを判定する。この場合には、処理部82aは、当該判定を行うブレードケース判定部として機能する。
【0192】
同様に、制御ユニット82の処理部82aは、記憶部82bに記憶されている情報を参照し、切削ブレード36又は切削ブレード52と、使用されるドレッシングボード19又は検査用ボード21と、が対応するか否かを判定することもできる。具体的には、処理部82aは、識別マーク212又は識別マーク214から取得される情報と、識別マーク216から取得される情報と、が対応しているか否かを判定する。この場合には、処理部82aは、当該判定を行うボード判定部として機能する。
【0193】
また、例えば、切削ブレードの種類等の情報を含む加工条件を予め記憶部82bに記憶させている場合には、制御ユニット82の処理部82aは、記憶部82bに記憶されている情報を参照し、この加工条件と、切削ブレード36又は切削ブレード52と、が対応するか否かを判定することもできる。この場合には、処理部82aは、当該判定を行う加工条件判定部として機能する。
【0194】
なお、ブレードケース172と、これに収容されるべき切削ブレード36又は切削ブレード52と、が対応していないと判定された場合、切削ブレード36又は切削ブレード52と、使用されるドレッシングボード19又は検査用ボード21と、が対応していないと判定された場合、被加工物11の切削加工において採用される加工条件と、切削ブレード36又は切削ブレード52と、が対応していないと判定された場合等には、制御ユニット82は、その旨をオペレーター等に報知したり、切削装置2の動作を停止させたりすると良い。
【0195】
上述した支持ユニット200は、切削装置2に設けられた容器8(図1参照)に収容される。支持ユニット200は、第1搬送ユニット72によって容器8から引き出され、閉状態のカバー78の上に搬送される。なお、容器8の洗浄ユニット12側には、開閉可能なドア(不図示)が設けられている。容器8から支持ユニット200を取り出す際には、エレベータ6が昇降し、容器8の高さを一対のガイドレール16の高さに合わせる。
【0196】
また、支持ユニット200の支持板202の形状は、被加工物11を支持するフレーム15の形状に対応している。そのため、フレームユニット17をチャックテーブル22に搬送する際の動作と同様の動作により、支持ユニット200を閉状態のカバー78の上に搬送できる。
【0197】
なお、支持ユニット200の搬送先は、カバー78の上に限られない。例えば、一対のガイドレール16の上に支持ユニット200を搬送しても良い。また、切削装置2からカバー78を省略し、チャックテーブル22の上に支持ユニット200を搬送することもできる。
【0198】
次に、切削装置2の切削ユニット30に装着された切削ブレード36又は切削ブレード52を交換するブレードの交換方法の具体例を説明する。なお、以下では、一例として、マウントフランジ42に装着された切削ブレード36(図2参照)を交換する交換方法について説明する。
【0199】
まず、支持ユニット200が備える支持板202の上面202aの上に、交換用の切削ブレード36を載置する(準備ステップ)。具体的には、支持板202の上面202aに設けられた複数のブレードケース支持部204Aに、それぞれ、交換用の切削ブレード36(例えば、未使用の切削ブレード36)を収容したブレードケース172を載置する。
【0200】
なお、ブレードケース172は、蓋部176が開かれた状態でブレードケース支持部204に載置されることが望ましい。これにより、蓋部176を開閉するための開閉ユニットが切削装置2に設けられていない場合でも、切削ブレード36を適切に交換できる。ブレードケース172を介して交換用の切削ブレード36を支持した状態の支持ユニット200は、容器8(図1参照)に収容される。
【0201】
そして、第1搬送ユニット72によって支持ユニット200を容器8から引き出し、閉状態のカバー78の上に搬送する。これにより、交換用の切削ブレード36は、カバー78によって保持される。なお、上述の通り、支持ユニット200は、一対のガイドレール16の上やチャックテーブル22の上に配置されても良い。
【0202】
次に、支持板202の上面202aに載置された交換用の切削ブレード36を、交換装置100の保持部150Bによって保持する(交換用切削ブレード保持ステップ)。図12(A)は、交換用切削ブレード保持ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0203】
交換用切削ブレード保持ステップでは、まず、昇降機構86及び多関節アーム90(図4及び図5参照)によって交換装置100を移動させて、カバー78等によって保持された支持板202の上(ブレード受け渡し位置)に交換装置100を配置する。また、回転機構104(図6等参照)によって枠体110を回転させて、保持部150Bを支持板202の上面202aと対向させる。
【0204】
次に、交換装置100を下降させて、支持板202の上面202aに配置された交換用の切削ブレード36に保持部150Bを接触させる。そして、保持部150Bによって交換用の切削ブレード36を吸引保持する。その後、交換装置100を上昇させて、支持板202の上面202aから離れる方向に保持部150Bを移動させる。これにより、交換用の切削ブレード36が保持部150Bによって持ち上げられる。
【0205】
次に、切削ユニット30のマウントフランジ42に装着されているナット48を、マウントフランジ42から取り外す(ナット取り外しステップ)。図12(B)は、ナット取り外しステップにおける交換装置100を示す模式図である。ナット取り外しステップでは、まず、昇降機構86及び多関節アーム90(図4及び図5参照)によって交換装置100を移動させて、加工室カバー28(図1参照)内に交換装置100を配置する。また、交換装置100のナット保持部122を、切削ブレード36及びナット48が装着された状態のマウントフランジ42と対向させる。
【0206】
そして、マウントフランジ42に装着されているナット48を、ナット保持部122によって保持して回転させる。具体的には、複数の把持部材134(図6等参照)によってナット48を把持した状態で、回転部材130(図6等参照)を回転駆動源128によって回転させることにより、ナット48を第1方向(ナット48が緩む方向)に回転させる。その結果、ナット48が緩み、マウントフランジ42から取り外される。
【0207】
次に、ナット保持部122とマウントフランジ42とを離隔させる(第1退避ステップ)。図12(C)は、第1退避ステップにおける交換装置100を示す模式図である。第1退避ステップでは、多関節アーム90(図4及び図5参照)によって交換装置100をマウントフランジ42とは反対側に向かって移動させる。これにより、ナット保持部122は、ナット48を保持した状態でマウントフランジ42から離れる方向に移動する。
【0208】
次に、切削ユニット30のマウントフランジ42に装着されている切削ブレード36(例えば、使用後の切削ブレード36)を、交換装置100の保持部150Aによって保持する(使用後切削ブレード保持ステップ)。図12(D)は、使用後切削ブレード保持ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0209】
使用後切削ブレード保持ステップでは、まず、回転機構104の回転部106(図6等参照)を回転させることにより、保持部150Aの表面150a側(図8(A)等参照)をマウントフランジ42と対向させる。そして、交換装置100をマウントフランジ42側に移動させて、マウントフランジ42に装着されている使用後の切削ブレード36に保持部150Aを接触させる。そして、保持部150Aによって使用後の切削ブレード36を吸引保持する。
【0210】
次に、保持部150Aとマウントフランジ42とを離隔させる(第2退避ステップ)。図13(A)は、第2退避ステップにおける交換装置100を示す模式図である。第2退避ステップでは、多関節アーム90(図4及び図5参照)によって交換装置100をマウントフランジ42とは反対側に向かって移動させる。これにより、保持部150Aは、使用後の切削ブレード36を保持した状態でマウントフランジ42から離れる方向に移動し、使用後の切削ブレード36がマウントフランジ42から取り外される。
【0211】
次に、交換装置100の保持部150Bによって保持されている交換用の切削ブレード36を、マウントフランジ42に装着する(切削ブレード装着ステップ)。図13(B)は、切削ブレード装着ステップにおける交換装置100を示す模式図である。切削ブレード装着ステップでは、まず、回転機構104の回転部106(図6等参照)を回転させることにより、交換用の切削ブレード36を保持している保持部150Bの表面150a(図8(A)等参照)側をマウントフランジ42と対向させる。
【0212】
そして、交換装置100をマウントフランジ42側に移動させ、交換用の切削ブレード36の開口36a(図2参照)にマウントフランジ42のボス部46(図2参照)が挿入されるように、交換用の切削ブレード36を配置する。この状態で、保持部150Bによる交換用の切削ブレード36の吸引保持を解除すると、交換用の切削ブレード36がマウントフランジ42に装着される。
【0213】
次に、保持部150Bとマウントフランジ42とを離隔させる(第3退避ステップ)。図13(C)は、第3退避ステップにおける交換装置100を示す模式図である。第3退避ステップでは、多関節アーム90(図4及び図5参照)によって交換装置100をマウントフランジ42とは反対側に向かって移動させる。これにより、保持部150Bがマウントフランジ42から離れる方向に移動して、マウントフランジ42に装着された交換用の切削ブレード36から離れる。
【0214】
次に、ナット保持部122によって保持されているナット48を、マウントフランジ42に装着する(ナット装着ステップ)。図13(D)は、ナット装着ステップにおける交換装置100を示す模式図である。ナット装着ステップでは、まず、回転機構104の回転部106(図6等参照)を回転させることにより、ナット48を保持しているナット保持部122をマウントフランジ42と対向させる。また、交換装置100をマウントフランジ42側に移動させ、ナット48をマウントフランジ42のボス部46(図2参照)の先端部に位置付ける。
【0215】
そして、回転部材130(図6等参照)を回転駆動源128によって回転させることにより、複数の把持部材134(図6等参照)によって把持されているナット48を、第2方向(ナット48が締まる方向)に回転させる。その結果、ナット48がマウントフランジ42のボス部46(図2参照)に締め込まれ、マウントフランジ42に装着される。これにより、交換用の切削ブレード36がマウントフランジ42とナット48とによって挟持され、スピンドル34の先端部に固定される。
【0216】
以上の手順により、マウントフランジ42に装着されている切削ブレード36の交換が行われる。そして、保持部150Aによって保持されている使用後の切削ブレード36は、支持ユニット200のブレードケース支持部204Aに載置される。
【0217】
なお、上述した工程において、マウントフランジ42と交換装置100との接近及び離隔は、切削ユニット30(マウントフランジ42)を移動させることによって実現されてもよい。例えば、第1退避ステップ、第2退避ステップ、及び第3退避ステップでは、切削ユニット30を交換装置100から離れるようにY軸方向に沿って移動させることにより、交換装置100とマウントフランジ42とを互いに離隔させることができる。
【0218】
また、上述した工程では、マウントフランジ42に装着されている切削ブレード36の交換について説明したが、マウントフランジ54に装着されている切削ブレード52(図3参照)の交換も同様の手順で実施される。ただし、切削ブレード52を交換する際には、上述の通り、切削ブレード52とともに押さえフランジ62が保持部150A及び保持部150Bによって保持される(図9(B)参照)。すなわち、上述した切削ブレード36の交換に代えて、切削ブレード52及び押さえフランジ62の交換が行われる。
【0219】
また、切削ブレード52を交換する場合には、交換用切削ブレード保持ステップにおいて、保持部150Bで押さえフランジ62を保持した後、保持部150Bで切削ブレード36を保持する。具体的には、まず、保持部150Bを、押さえフランジ支持部206(図10(A)参照)に支持されている押さえフランジ62に対向させて、押さえフランジ62を保持部150Bによって保持する。
【0220】
次に、押さえフランジ62を保持した状態の保持部150Bを、ブレードケース支持部204B(図10(A)参照)に支持されたブレードケース172内の交換用の切削ブレード52に対向させて、交換用の切削ブレード52を押さえフランジ62とともに保持部150Bによって保持する。このとき切削ブレード52は、押さえフランジ62に形成されている貫通孔62d(図9(B)参照)を介して切削ブレード52に作用する吸引源160の負圧によって保持される。
【0221】
また、交換装置100は、サブテーブル26(図1参照)によって保持されているドレッシングボード19又は検査用ボード21(図10(A)参照)の交換を行うこともできる。例えば、ドレッシングボード19を用いて切削ブレード36又は切削ブレード52のドレッシングを実施すると、ドレッシングボード19に切削溝が形成される。
【0222】
この切削溝がドレッシングボード19の全体に渡って形成されると、使用後のドレッシングボード19は、交換用のドレッシングボード19(例えば、未使用のドレッシングボード19)に交換される。同様に、切削ブレード36又は切削ブレード52の検査に使用された検査用ボード21も、所定のタイミングで交換用の検査用ボード21(未使用の検査用ボード21)に交換される。
【0223】
交換装置100の保持部150A及び保持部150Bは、切削ブレード36や切削ブレード52だけでなく、ドレッシングボード19や検査用ボード21等の板状の部材を保持できるように構成されている。そのため、この交換装置100によって、サブテーブル26によって保持されるドレッシングボード19や検査用ボード21の交換を実施できる。
【0224】
図14(A)は、正方形状のドレッシングボード19(ドレッシングボード19A)を保持する保持部150Aを示す斜視図である。図14(A)には、枠体152の表面152a側の全体を覆うことが可能な大きさのドレッシングボード19Aが示されている。なお、図14(A)では、ドレッシングボード19Aの輪郭が二点鎖線で示されている。
【0225】
保持部150Aでドレッシングボード19Aを保持する際には、弾性部材154の一対のリップ部154bをドレッシングボード19Aに接触させる。このとき、保持部150Aは、弾性部材154の全体がドレッシングボード19Aによって覆われるように配置される。これにより、一対のリップ部154bの間の空間が密閉される。そして、一対のリップ部154bの間の空間に作用する吸引源160(図8(B)参照)の負圧によって、ドレッシングボード19Aが吸引保持される。
【0226】
なお、保持部150Aによって保持されるドレッシングボード19のサイズ及び形状に大きな制限はない。図14(B)は、長方形状のドレッシングボード19(ドレッシングボード19B)を保持する保持部150Aを示す斜視図である。図14(B)には、長辺が枠体152の直径よりも長く、且つ、短辺が枠体152の直径よりも短いドレッシングボード19Bが示されている。ただし、ドレッシングボード19Bの短辺は、弾性部材154の直径よりも長い。
【0227】
保持部150Aでドレッシングボード19Bを保持する際には、弾性部材154の一対のリップ部154bをドレッシングボード19Bに接触させる。このとき、保持部150Aは、弾性部材154の全体がドレッシングボード19Bによって覆われるように配置される。これにより、一対のリップ部154bの間の空間が密閉される。そして、一対のリップ部154bの間の空間に作用する吸引源160(図8(B)参照)の負圧によって、ドレッシングボード19Bが吸引保持される。
【0228】
ただし、保持部150Aによってドレッシングボード19が保持される態様は、これらに限られない。例えば、ドレッシングボード19は、リップ部154bと接触しない状態で保持部150Aによって保持されてもよい。この場合、ドレッシングボード19がリップ部154bに接触することによるリップ部154bの消耗を防止できる。
【0229】
例えば、保持部150Aは、一対のリップ部154bの先端が枠体152の表面152aから突出せず、表面152aよりも第1溝152cの内側に配置されるように構成されていてもよい。この場合、保持部150Aは、リップ部154bがドレッシングボード19A(図14(A))と接触しないようにドレッシングボード19Aを保持できる。
【0230】
具体的には、保持部150Aは、第1溝152cの全体がドレッシングボード19Aによって覆われるように配置される。このとき、ドレッシングボード19Aは、枠体152の表面152aによって支持され、リップ部154bに接触しない。この状態で、吸引源160(図8(B)参照)の負圧を第1溝152cに作用させると、ドレッシングボード19Aが吸引保持される。
【0231】
また、保持部150Aは、エア等の気体を噴出し、ベルヌーイ効果を利用してドレッシングボード19を非接触で保持する機構を備えていてもよい。この場合、図14(B)に示すように第1溝152cの全体を覆うことができない大きさ及び形状のドレッシングボード19Bが用いられる場合にも、ドレッシングボード19Bをリップ部154bと接触させずに保持部150Aによって保持することが可能となる。
【0232】
なお、図14(A)及び図14(B)には、保持部150Aによってドレッシングボード19が保持される様子が示されているが、保持部150Bも同様に、ドレッシングボード19を保持できる。また、保持部150A及び保持部150Bは、ドレッシングボード19と同様に検査用ボード21も保持できる。
【0233】
次に、切削装置2のサブテーブル26によって保持されたドレッシングボード19や検査用ボードを交換するボードの交換方法の具体例を説明する。なお、以下では、一例として、切削ブレード36又は切削ブレード52のドレッシングに用いられるドレッシングボード19の交換方法について説明する。
【0234】
まず、支持ユニット200(図10(A)参照)が備える支持板202の上面202aに、交換用のドレッシングボード19を載置する(準備ステップ)。具体的には、支持板202の上面202aに設けられたボード支持部208に、交換用のドレッシングボード19(例えば、未使用のドレッシングボード19)を載置する。交換用のドレッシングボード19を支持した状態の支持ユニット200は、容器8(図1参照)に収容される。
【0235】
そして、第1搬送ユニット72によって支持ユニット200を容器8から引き出し、閉状態のカバー78の上に搬送する。これにより、交換用のドレッシングボード19がカバー78の上に準備される。なお、支持ユニット200は、一対のガイドレール16の上やチャックテーブル22の上に配置されてもよい。
【0236】
次に、支持板202の上面202aに載置された交換用のドレッシングボード19を、交換装置100の保持部150Bによって保持する(交換用ボード保持ステップ)。図15(A)は、交換用ボード保持ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0237】
交換用ボード保持ステップでは、まず、交換装置100を昇降機構86及び多関節アーム90(図4及び図5参照)によって移動させて、カバー78等によって保持された支持板202の上(ボード受け渡し位置)に交換装置100を配置する。また、回転機構104(図6等参照)によって枠体110を回転させて、保持部150Bを支持板202の上面202aと対向させる。
【0238】
次に、交換装置100を下降させて、支持板202の上面202aに配置された交換用のドレッシングボード19に保持部150Bを接触させる。そして、保持部150Bによって交換用のドレッシングボード19を吸引保持する。その後、交換装置100を上昇させて、支持板202の上面202aから離れる方向に保持部150Bを移動させる。これにより、交換用のドレッシングボード19が保持部150Bによって持ち上げられる。
【0239】
次に、サブテーブル26によって保持されている使用後のドレッシングボード19を、交換装置100の保持部150Aによって保持する(使用後ボード保持ステップ)。図15(B)は、使用後ボード保持ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0240】
使用後ボード保持ステップでは、まず、交換装置100を昇降機構86及び多関節アーム90(図4及び図5参照)によって移動させて、交換装置100を使用後のドレッシングボード19が配置されているサブテーブル26の上(搬入出位置)に配置する。また、回転機構104の回転部106(図6等参照)を回転させることにより、保持部150Aをサブテーブル26と対向させる。
【0241】
そして、交換装置100をサブテーブル26側に移動させて、サブテーブル26によって保持されている使用後のドレッシングボード19に保持部150Aを接触させる。その後、保持部150Aによって使用後のドレッシングボード19を吸引保持する。
【0242】
次に、保持部150Aとサブテーブル26とを離隔させる(退避ステップ)。図15(C)は、退避ステップにおける交換装置100を示す模式図である。退避ステップでは、昇降機構86(図4及び図5参照)によって交換装置100を上昇させて、この交換装置100をサブテーブル26とは反対側に向かって移動させる。これにより、使用済みのドレッシングボード19を保持した状態で保持部150Aがサブテーブル26から離れる方向に移動し、使用済みのドレッシングボード19が持ち上げられる。
【0243】
次に、交換装置100の保持部150Bによって保持されている交換用のドレッシングボード19を、サブテーブル26に載置する(載置ステップ)。図15(D)は、載置ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0244】
載置ステップでは、まず、回転機構104の回転部106(図6等参照)を回転させることにより、交換用のドレッシングボード19を保持している保持部150Bをサブテーブル26と対向させる。そして、交換装置100をサブテーブル26側に移動させて、交換用のドレッシングボード19をサブテーブル26の上に位置付ける。その後、保持部150Bによる交換用のドレッシングボード19の吸引保持を解除すると、交換用のドレッシングボード19がサブテーブル26に載置される。
【0245】
以上の手順により、サブテーブル26に保持されているドレッシングボード19の交換が行われる。そして、保持部150Aによって保持されている使用後のドレッシングボード19は、支持ユニット200のボード支持部208に載置される。なお、ここでは、ドレッシングボード19の交換について説明したが、サブテーブル26上に検査用ボード21が載置されている場合には、検査用ボード21の交換も同様の手順で実施できる。
【0246】
以上のように、本実施形態にかかる切削装置2は、ブレードケース172に収容された状態で切削ブレード36又は切削ブレード52を支持する支持ユニット200と、切削ブレード36が装着されるマウントフランジ42又は切削ブレード52が装着されるマウントフランジ54を含む切削ユニット30と、支持ユニット200に支持された切削ブレード36又は切削ブレード52をマウントフランジ42又はマウントフランジ54に取り付ける交換装置(交換機構)100と、交換装置100を移動させる移動ユニット(移動機構)84と、を備えている。
【0247】
よって、ブレードケース172に収容された状態の切削ブレード36又は切削ブレード52を支持ユニット200に支持させた上で、移動ユニット84で交換装置100を移動させることにより、切削ユニット30の切削ブレード36又は切削ブレード52を交換できる。つまり、本実施形態にかかる切削装置2によれば、従来のように、切削ブレード36又は切削ブレード52をブレードケース172から手作業で取り出す必要がない。
【0248】
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施できる。図16は、変形例にかかる支持ユニット(ストック部)250が設けられた切削装置2を示す斜視図である。図16に示す切削装置2は、容器8(図1参照)の代わりに、交換ユニット76の近傍に設けられ切削装置2で使用される各種の用具を支持する回転式の支持ユニット250を備える。例えば、支持ユニット250は、基台4の開口4bに隣接する領域に配置される。
【0249】
支持ユニット250は、切削装置2で使用される切削ブレード36、切削ブレード52、押さえフランジ62、ドレッシングボード19、検査用ボード21(図10(A)参照)等の用具を支持できるように構成される。具体的には、支持ユニット250は、各種の用具が載置される支持板(支持台)252を備える。
【0250】
図17は、回転可能な支持板252を備える支持ユニット250を示す斜視図である。支持板252は、例えば、円盤状に形成された部材であり、その上面252aには、切削ブレード52を収容するブレードケース172をそれぞれが支持できるように構成された複数のブレードケース支持部254が設けられている。図17では、説明の便宜上、ブレードケース172の蓋部176が省略されている。
【0251】
各ブレードケース支持部204は、例えば、ブレードケース172に対応する形状を持つ凹状の領域であり、ブレードケース172を載置できるように構成されている。なお、各ブレードケース支持部204は、ブレードケース172に対応した形状を持つガイド構造を配置することによって形成されても良い。
【0252】
また、支持板252の上面252aには、それぞれが押さえフランジ62を支持できるように構成された複数の押さえフランジ支持部256が設けられている。各押さえフランジ支持部206は、例えば、押さえフランジ62に対応した形状を持つ凹状の領域であり、押さえフランジ62を載置できるように構成されている。なお、各押さえフランジ支持部206は、押さえフランジ62に対応した形状を持つガイド構造を配置することによって形成されても良い。
【0253】
複数のブレードケース支持部254と複数の押さえフランジ支持部256とは、支持板252の周方向に沿って概ね等間隔に配置されている。支持板252の中央部の下面側には、モータ等の回転駆動源(回転機構)(不図示)から伝達される動力によって回転するシャフト(回転機構)258が連結されている。回転駆動源でシャフト258を回転させると、支持板252は、Z軸と概ね平行な回転軸の周りに回転する。つまり、複数のブレードケース支持部254と複数の押さえフランジ支持部256とは、シャフト258による回転の方向に沿って配列されている。
【0254】
支持板252の下方には、切削ブレード52に付された識別マーク214等を読み取ることのできる読み取りユニット260、及び識別マーク214等を照らすためのリング状の光源262が配置されている。例えば、切削ブレード52は、識別マーク214が付された面が下を向くようにブレードケース172を介してブレードケース支持部254に支持される。
【0255】
読み取りユニット260は、例えば、可視光カメラ、赤外線カメラ等によって構成され、支持板252及びブレードケース172を介して、切削ブレード52に付された識別マーク214を読み取る。そのため、支持板252及びブレードケース172の材質は、読み取りユニット260の種類に応じて選択される。
【0256】
例えば、読み取りユニット260が可視光カメラである場合には、支持板252及びブレードケース172の全体又は一部が、可視光を透過させる材料を用いて構成される。具体的には、支持板252の全体又は一部は、プラスチック(ポリプロピレン等)、ガラス(例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス)等の透明な材料を用いて構成される。また、ブレードケース172の全体又は一部は、プラスチック(ポリプロピレン等)等の透明な材料を用いて構成される。
【0257】
ただし、支持板252及びブレードケース172の材質は、読み取りユニット260の種類に応じて任意に変更される。例えば、読み取りユニット260が赤外線カメラである場合には、支持板252及びブレードケース172の全体又は一部が、赤外線を透過させる材料を用いて構成される。
【0258】
支持板252を回転させて、任意のブレードケース支持部254の直下に読み取りユニット260を配置することで、ブレードケース172を介してこのブレードケース支持部254に支持されている切削ブレード52に付された識別マーク214を、読み取りユニット260によって読み取ることができる。
【0259】
読み取りユニット260によって読み取られた識別マーク214の情報は、制御ユニット82(図16参照)に出力される。なお、読み取りユニット260は、支持板252の上方に配置されていても良い。この場合には、識別マーク214が付された面が上方に露出するように、切削ブレード52がブレードケース172を介してブレードケース支持部254に支持される。
【0260】
なお、支持板252のブレードケース支持部254には、切削ブレード36が収容されたブレードケース172が載置されても良い。また、支持板252の上面252aには、ドレッシングボード19や検査用ボード21をそれぞれが支持できる複数のボード支持部208が設けられていても良い。
【0261】
このように構成された支持ユニット250の傍には、支持板252によって支持されたブレードケース172の蓋部176を開閉できる開閉ユニットが配置される。図18は、開閉ユニット270を示す斜視図である。開閉ユニット270は、例えば、支持板252の下方に配置され、ブレードケース支持部254に載置されたブレードケース172の収容部174を下方から吸引保持して固定できる保持機構272を備えている。
【0262】
保持機構272は、内部にモータ等の駆動源(不図示)が収容された箱状の基台272aを含んでいる。基台272aの上面には、例えば、2個の開口が形成されており、各開口には、駆動源の動力によって昇降できる筒状の保持ロッド272bの下端が挿入されている。
【0263】
各保持ロッド272bの上端には、ブレードケース172の収容部174を構成する底板180に接触させて使用される吸盤状の吸引パッド272cが設けられている。この吸引パッド272cは、保持ロッド272bの内部に設けられた流路等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0264】
保持機構272の側方には、保持機構272によって固定されたブレードケース172の蓋部176を上方に押し上げて、第1爪部184と第2爪部190とが噛み合わせられた状態(ロック状態)を解除できるロック解除機構274が配置されている。ロック解除機構274は、モータ等の駆動源(不図示)によって昇降するプッシュロッド274aを含んでいる。なお、このロック解除機構274は、エアの圧力を利用してプッシュロッド274aを昇降させるエアシリンダ等でも良い。
【0265】
ロック解除機構274及び支持板252の側方には、第1爪部184と第2爪部190とが噛み合わせられた状態が解除され、蓋部176が収容部174から浮いた状態のブレードケース172の蓋部176を更に開くことのできるプッシュ機構276が配置されている。
【0266】
プッシュ機構276は、内部にモータ等の駆動源(不図示)が収容された箱状の基台276aを含んでいる。基台276aの支持板252側の側面には、例えば、開口が形成されており、この開口には、駆動源の動力によって側方に移動できるプッシュロッド276b(図19(A)等参照)の一端が挿入されている。
【0267】
支持板252の上方には、プッシュ機構276によって開かれた蓋部176を閉じて、第1爪部184と第2爪部190とを噛み合わせるロック機構278が配置されている。例えば、このロック機構278は、プッシュロッド276bが移動する経路の延長線上に配置される。
【0268】
ロック機構278は、モータ等の駆動源(不図示)によって側方に移動する可動アーム278aを含む。具体的には、この可動アーム278aは、プッシュロッド276bが移動する経路の延長線に沿って移動する。可動アーム278aの先端側(プッシュ機構276側)には、蓋部176の天板186に接触した状態で使用され、可動アーム278aの移動方向及びZ軸方向と垂直な回転軸の周りに回転(自転)できる押圧ホイール278bが取り付けられている。
【0269】
開閉ユニット270によってブレードケース172の蓋部176を開く際には、まず、支持板252を回転させて、保持機構272の保持ロッド272bの上方にブレードケース172を位置付ける。そして、2本の保持ロッド272bを上昇させて、吸引パッド272cをブレードケース172の収容部174を構成する底板180に下方から接触させる。
【0270】
図19(A)は、ブレードケース支持部254に載置されたブレードケース172が保持機構272によって固定される様子を示す斜視図である。ブレードケース172の収容部174に吸引パッド272cを接触させた後には、吸引源の負圧を作用させて、吸引パッド272cで収容部174を吸引保持する。なお、支持板252のブレードケース支持部254には、吸引パッド272cの通過を許容する隙間(開口)が形成されている。
【0271】
ブレードケース支持部254に載置されたブレードケース172を保持機構272によって固定した後には、ロック解除機構274のプッシュロッド274aを上昇させて、蓋部176の第2爪部190側を上方に押し上げる。これにより、第1爪部184と第2爪部190とが噛み合わせられた状態(ロック状態)が解除される。図19(B)は、ブレードケース172の蓋部176がロック解除機構274によって上方に押し上げられる様子を示す斜視図である。
【0272】
蓋部176がロック解除機構274によって上方に押し上げられた後には、プッシュ機構276のプッシュロッド276bを側方に移動させて、蓋部176を更に開く。図20(A)は、プッシュ機構276によってブレードケース172の蓋部176が更に開かれる様子を示す斜視図である。具体的には、プッシュロッド276bの先端で蓋部176の天板186を内側から押すようにプッシュロッド276bを側方に移動させて、蓋部176を更に開く。
【0273】
蓋部176が十分に開かれた後には、プッシュロッド276bをブレードケース172の上方から退避させるように移動させる。このように、蓋部176を十分に開くことで、ブレードケース172に収容されている切削ブレード52に対して、交換装置100が容易にアクセスできるようになる。
【0274】
開閉ユニット270によってブレードケース172の蓋部176を閉じる際には、例えば、ロック解除機構274のプッシュロッド274aを下方に移動させる。また、吸引源から保持機構272の吸引パッド272cに作用する負圧を遮断した上で、保持ロッド272bを下降させる。その後、ロック機構278の可動アーム278aをプッシュ機構276側に移動させる。
【0275】
図20(B)は、ロック機構278によってブレードケース172の蓋部176が閉じられる様子を示す斜視図である。可動アーム278aをプッシュ機構276側に移動させると、ロック機構278の押圧ホイール278bが蓋部176の天板186に外側から接触する。この状態で、可動アーム278aを更にプッシュ機構276側に移動させると、押圧ホイール278bによって押圧されるように蓋部176が閉じられ、第1爪部184と第2爪部190とが噛み合わせられた状態になる。
【0276】
切削ブレード52の交換を行う際には、支持ユニット250に交換用の切削ブレード52及び押さえフランジ62を支持させる。そして、交換ユニット76は、支持ユニット250に支持されている交換用の切削ブレード52及び押さえフランジ62を交換装置100で保持する(図9(B)参照)。
【0277】
このとき、制御ユニット82は、切削ブレード52に付されている識別マーク214に含まれる情報に基づいて交換ユニット76を制御し、所定の切削ブレード52を交換装置100に保持させる。これにより、所望の切削ブレード52を交換用の切削ブレード52として選択できる。その後、切削ユニット30に装着されている使用後の切削ブレード52及び押さえフランジ62を、交換用の切削ブレード52及び押さえフランジ62と交換する(図12(A)~図13(D)参照)。
【0278】
同様に、ドレッシングボード19又は検査用ボード21の交換を行う際には、支持ユニット250に交換用のドレッシングボード19又は検査用ボード21を支持させる。そして、交換ユニット76は、支持ユニット250に支持されている交換用のドレッシングボード19又は検査用ボード21を保持し、サブテーブル26に載置されている使用後のドレッシングボード19又は検査用ボード21と交換する(図15(A)~図16(D)参照)。
【0279】
その他、上述の実施形態及び変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0280】
2 :切削装置
4 :基台
4a :開口
4b :開口
6 :エレベータ
6a :昇降台
8 :容器
10 :カセット
10a :ガイドレール
12 :洗浄ユニット
14 :スピンナテーブル
16 :ガイドレール
18 :テーブルカバー
20 :防塵防滴カバー
22 :チャックテーブル
24 :クランプ
26 :サブテーブル
28 :加工室カバー
28a :出入口
30 :切削ユニット
32 :ハウジング
34 :スピンドル
34a :ねじ穴
36 :切削ブレード
36a :開口
38 :基台
38a :表面
38b :裏面
40 :切刃
42 :マウントフランジ
42a :貫通孔
44 :フランジ部
44a :表面
44b :凸部
44c :支持面
46 :ボス部
46a :ねじ部
48 :ナット
48a :開口
48b :貫通孔
50 :ねじ
52 :切削ブレード
52a :開口
54 :マウントフランジ
56 :固定マウント
56a :貫通孔
56b :受け部
58 :フランジ部
58a :表面
58b :凸部
58c :支持面
60 :ボス部
60a :第1ボス部
60b :第2ボス部
60c :第3ボス部
60d :ねじ部
62 :押さえフランジ
62a :表面
62b :裏面
62c :開口
62d :貫通孔
64 :ナット
64a :開口
64b :貫通孔
66 :ワッシャー
68 :ねじ
70 :撮像ユニット
72 :第1搬送ユニット
72a :保持ユニット
72b :把持機構
74 :第2搬送ユニット
74a :保持ユニット
76 :交換ユニット
78 :カバー
80 :ヒンジ
82 :制御ユニット
82a :処理部
82b :記憶部
84 :移動ユニット
86 :昇降機構
88 :ベース板
90 :多関節アーム
92A :第1支持具
92B :第2支持具
94A :第1回転機構
94B :第2回転機構
94C :第3回転機構
96A :第1アーム
96B :第2アーム
100 :交換装置
102 :着脱ユニット
104 :回転機構
106 :回転部
106a :回転軸
110 :枠体
112a :支持部材
112b :支持部材
114a :連結部材
114b :連結部材
120 :ナット回転部
122 :ナット保持部
124 :回転部
124a :回転軸
126 :ハウジング
128 :回転駆動源
130 :回転部材
130a :表面
132 :保持ピン
134 :把持部材
134a :爪部
136 :カバー
136a :開口
136b :第1ピン受け部
136c :第2ピン受け部
138 :ピン
140 :環状部材
142a :弾性体
142b :弾性体
150A :保持部
150B :保持部
150a :表面
152 :枠体
152a :表面
152c :第1溝
152d :第2溝
152e :第3溝
152f :第4溝
152g :第5溝
154 :弾性部材
154a :基部
154b :リップ部
154c :貫通孔
156 :流路
158 :バルブ
160 :吸引源
162 :圧力測定器
172 :ブレードケース
174 :収容部
174a :収容領域
176 :蓋部
178 :ヒンジ部
180 :底板
182 :側壁
184 :第1爪部
186 :天板
188 :側壁
190 :第2爪部
200 :支持ユニット
202 :支持板
202a :上面
204 :ブレードケース支持部
204A :ブレードケース支持部
204B :ブレードケース支持部
206 :押さえフランジ支持部
208 :ボード支持部
212 :識別マーク
214 :識別マーク
216 :識別マーク
250 :支持ユニット
252 :支持板
252a :上面
254 :ブレードケース支持部
256 :押さえフランジ支持部
258 :シャフト
260 :読み取りユニット
262 :光源
270 :開閉ユニット
272 :保持機構
272a :基台
272b :保持ロッド
272c :吸引パッド
274 :ロック解除機構
274a :プッシュロッド
276 :プッシュ機構
276a :基台
276b :プッシュロッド
278 :ロック機構
278a :可動アーム
278b :押圧ホイール
11 :被加工物
13 :テープ
15 :フレーム
17 :フレームユニット
19 :ドレッシングボード
19A :ドレッシングボード
19B :ドレッシングボード
21 :検査用ボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20