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特開2022-116775粘度が異なる2種類のソースを使用した冷凍調理パスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116775
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】粘度が異なる2種類のソースを使用した冷凍調理パスタ
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20220803BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20220803BHJP
【FI】
A23L7/109
A23L23/00
A23L7/109 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013121
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】小川 美絵
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 陽
【テーマコード(参考)】
4B036
4B046
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LF03
4B036LH04
4B036LH08
4B036LH11
4B036LH12
4B036LH13
4B036LH14
4B036LH29
4B036LH30
4B036LH38
4B036LH41
4B036LH44
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP17
4B046LA06
4B046LB10
4B046LC20
4B046LP41
4B046LP69
(57)【要約】
【課題】喫食中にソースの味の変化を楽しむことができソースのからみもよい冷凍調理パスタを提供すること。
【解決手段】互いに味が異なる、粘度が30Pa・s以上200Pa・s以下のソースAと粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下のソースBを使用することを特徴とする冷凍調理パスタである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに味が異なる、粘度が30Pa・s以上200Pa・s以下のソースAと粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下のソースBを使用することを特徴とする冷凍調理パスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度が異なる2種類のソースを使用した冷凍調理パスタに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍調理パスタとは、解凍加熱するだけで喫食できるソースがかけられた冷凍パスタをいい、ミートソースやナポリタンソース、トマトソース、カルボナーラソース、たらこソース、クリームソース、和風醤油ソース等が目的に応じて使用されており使用するソースは通常1種類である。
冷凍調理パスタではないが、2種類のソースを使用した例として、例えば、魚介類原料が風味の弱いレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品であっても、魚介類の風味がトマトの風味と混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティを製造することを目的として、茹でたスパゲティにB型粘度計による測定値が1Pa・s 以下の粘度である魚介類ソースをからめて吸収させた後、これにKO式ボストウィック粘度計による測定値が20~250mmの粘度であるトマトソースをからめるペスカトーレスパゲティの製造方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、パスタや米飯にかけて混ぜ合わせた時に、香り立ちを強く感じられるツインパックのソースとして、例えば、喫食直前に食材と混ぜる容器詰めのソースにおいて、A及びBの2種類のソースが各々分離された空間に充填されたものであり、前記容器が前記A及び前記Bの2種類のソースの排出口を同時に開封することができるものであり、前記Aのソースの含有量が、1g~25gであり、前記Aのソースと前記Bのソースの含有量の比が、1:0.8~1:17であり、前記Aのソースが、大きさが5mm以下である、にんにく、バジル、わさび、生姜、しそ、レモン、ゆず、すだちより選択される少なくとも一種以上の香味食材を含み、前記Aのソース全量に対して、前記香味食材の含有量が、固形物換算で、0.08質量%以上15質量%以下であり、前記Aのソースの粘度が、6000mPa・s以下であり、さらに、前記Bのソースにおける粘度が、前記Aのソースの前記粘度より6000mPa・s以上高い、ことを特徴とするツインパックのソースが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-27548号公報
【特許文献2】特開2020-191795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の使用するソースが1種類である場合や前記2種類のソースを使用した場合でも喫食中のソースの味には実質的な変化はなく、ソースの味の変化を楽しむことはできなかった。
本発明の目的は、喫食中にソースの味の変化を楽しむことができソースのからみもよい冷凍調理パスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、冷凍調理パスタに互いに味の異なる特定の粘度の2種類のソースを使用することで、喫食中にソースの味の変化を楽しむことができ、ソースのからみもよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、互いに味が異なる、粘度が30Pa・s以上200Pa・s以下のソースAと粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下のソースBを使用することを特徴とする冷凍調理パスタである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の冷凍調理パスタは喫食中にソースの味の変化を楽しむことができ、ソースのからみもよい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の冷凍調理パスタは互いに味の異なる特定の粘度の2種類のソース(ソースA、ソースB)を使用すること以外は、従来の冷凍調理パスタと同様に製造でき、使用するパスタやソース等も従来の冷凍調理パスタと同様でよい。
例えば、茹でたスパゲッティを容器に収容し、この上にソースA、ソースBをかけ、これを冷凍することで本発明の冷凍調理パスタを得ることができる。
ソースAやソースBの種類には特に限定はなく、例えば、前記のミートソースやナポリタンソース、トマトソース、カルボナーラソース、たらこソース、クリームソース、和風醤油ソース等が使用できる。
パスタの種類も特に限定はなく、スパゲッティ等のロングパスタやペンネ等のショートパスタ、板状のラザニエ等を挙げることができる。
【0008】
2種類のソースの粘度は、ソースAが30Pa・s以上200Pa・s以下で、ソースBが0.1Pa・s以上10Pa・s以下である。
ソースAの粘度が30Pa・s未満では、ソースが混ざり易くなりすぎ、味の変化を十分楽しむことができないので不適である。
また、ソースAの粘度が200Pa・sを超えるとソースが混ざり難くなるため不適である。
ソースBの粘度が0.1Pa・s未満では、混ぜたときにからみにくくなるので不適である。
また、ソースBの粘度が10Pa・sを超えるとソースが混ざり易くなりすぎ、味の変化を十分楽しむことができないので不適である。
粘度の調整は、従来のソースと同様に馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の澱粉やキサンタンガム、タマリンドガム等の増粘剤、乾燥ポテトフレーク等で行うことができる。
本発明のソースの粘度は、ソースをパスタにかける工程における粘度であり、ソースの温度を25℃としB型粘度計を使用して測定開始から30秒後に測定した値である。
B型粘度計のローターの種類や回転速度等の測定条件は、使用するB型粘度計の手順書に従っておこなえばよく特別な操作は必要ない。
【0009】
本発明で使用するソースAは、保形性があるので、固形物を加えてもソース内に固形物を保持できるので、例えば、みじん切りにした肉類、魚介類、野菜類、茹で卵、種実類や、たらこや明太子等の魚卵等をソースに加えてもよい。
また、ソースの形状を、円盤形、ドーナツ形、星形、棒状等にしてパスタにかけてもよい。
例えば、たらこソースの場合では輪切りにした、たらこの形にすることで見た目を楽しむこともできる。
ソースAとソースBの使用比率は、特に限定はないが、ソースの味の変化を楽しむためには、ソースB100質量部に対して、ソースAは25質量部~100質量部であることが好ましい。
【0010】
ソースのパスタに対する使用割合も従来の冷凍調理パスタと同様でよい。
例えば、茹でパスタ100質量部に対して、ソースAとソースBの合計が25質量部~100質量部であることが好ましい。
【0011】
本発明の冷凍調理パスタは、従来の冷凍調理パスタと同様にトッピングを使用することができる。
例えば、きざみのり、粉チーズ、ごま、海老、いか、パセリ、ほうれん草、舞茸、スナップえんどう、フライドポテト等を挙げることができる。
また、前記ソースA、ソースB以外のソースがトッピングされていてもよい。
【0012】
本発明の冷凍調理パスタは、喫食時に2種類のソースを混ぜて喫食する以外は、従来の冷凍調理パスタと同様に保存、喫食できる。
解凍加熱方法としては、例えば、電子レンジを使用する方法や、スチームを使用する方法等を挙げることできる。
【実施例0013】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[明太子ソースの調製](ソースAに該当)
乾燥ポテトフレーク6質量部、醤油10質量部、水50質量部を混ぜ、これに、キサンタンガム0.25質量部、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉1.6質量部、食塩1.8質量部、グルタミン酸ナトリウム1質量部、明太子香料1.0質量部、紅麹色素1.0質量部、水27.35質量部を混合したものを加えて、さらに混ぜ85℃達温まで加熱し、20℃まで冷やした。
これに、明太子250質量部、水150質量部を加えて混ぜ、明太子ソースを調製した
[和風ソースの調製](ソースBに該当)
サラダ油15質量部、和風だし調味料2.4質量部、みりん1.5質量部、醤油5質量部、グルタミン酸ナトリウム0.9質量部、唐辛子0.05質量部、乾燥ポテトフレーク0.1質量部、キサンタンガム0.05質量部、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉1.5質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.5質量部、香味油1.5質量部に水72質量部を加えて混ぜ85℃達温まで加熱し、20℃まで冷やし和風ソースを調製した。
【0014】
[冷凍調理スパゲッティの調製]
茹でて水で冷却したスパゲッティ100質量部に対してサラダ油1質量部を和え、トレーに175g入れ、その上から前記和風ソース50gを広くかけて、さらに前記明太子ソース20gを輪切りにした、たらこの形状に似せて載せた。
さらに、高菜漬け20g、ベーコン12gを散らすようにして載せた。
これを、-35℃の冷凍庫で凍結し冷凍調理スパゲッティを得た。
【0015】
・実施例1~16、比較例1~8
前記明太子ソース及び和風ソースの調理工程において、膨潤性素材で粘度を容易に調整できる乾燥ポテトフレークの使用量を調整し明太子ソース及び和風ソースの粘度を表1~表3に示す粘度に調製した冷凍調理スパゲッティを得た。
乾燥ポテトフレークを増減した分は水により調整しソースの全体量は同じにしている。
得られた冷凍調理スパゲッティを-18℃で3日間保存し、電子レンジ600Wで4分30秒間加熱し、以下の評価基準で10名のパネラーにより評価を行った。
ソースのからみは、2種類のソースを混ぜた状態で評価している。
・味の変化
5点 味の変化があって非常に良い
4点 やや味の変化があって良い
3点 普通
2点 やや味の変化がなくて劣る
1点 味の変化がなく非常に劣る。
・ソースのからみ
5点 ソースが非常に良くからんで、非常に良い
4点 ソースが良くからんで、良い
3点 普通
2点 ソースのからみがやや劣り、悪い
1点 ソースのからみが劣り、非常に悪い
【0016】
得られた評価結果を表1~表3に示す。
表中、評価は点数を付けた人数と平均点を示している。
味の変化及びソースのからみの平均点が、ともに3.5点以上であるものを合格とした。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
明太子ソース(ソースAに該当)の粘度が30Pa・s以上200Pa・s以下で和風ソース(ソースBに該当)の粘度が0.1Pa・s以上10Pa・s以下の場合に優れた効果を得ることができた。