(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117546
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】極低温環境下で使用するベルトコンベヤのベルトの蛇行検出装置
(51)【国際特許分類】
B65G 15/64 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
B65G15/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014086
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599124426
【氏名又は名称】株式会社ディムコ
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】竹口 東士夫
(72)【発明者】
【氏名】多畑 英治
(72)【発明者】
【氏名】松森 規晃
(72)【発明者】
【氏名】日高 満
【テーマコード(参考)】
3F023
【Fターム(参考)】
3F023AA03
3F023AB10
3F023BA02
3F023BB01
3F023BC01
3F023CA02
3F023GA03
(57)【要約】
【課題】極低温環境下で使用するベルトコンベヤにも適用可能なベルトの蛇行検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るベルトの蛇行検出装置21は、極低温環境下で使用するベルトコンベヤ1のベルト7の蛇行検出装置21であって、ベルト7の側端面に接触してベルト7の蛇行に追従して可動する接触可動部材と、該接触可動部材の動きに連動する連動部材と、該連動部材の動きを検知する第1の光センサ33と、第1の光センサ33からの入力によってベルト7の側端面が基準範囲を超えて蛇行しているか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温環境下で使用するベルトコンベヤのベルトの蛇行検出装置であって、
前記ベルトの側端面に接触して該ベルトの蛇行に追従して可動する接触可動部材と、該接触可動部材の動きに連動する連動部材と、該連動部材の動きを検知する第1の光センサと、該第1の光センサからの入力によって前記ベルトの側端面が基準範囲を超えて蛇行しているか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするベルトの蛇行検出装置。
【請求項2】
前記第1の光センサは複数の発光素子及び複数の受光素子を備えてなり、該発光素子と受光素子は前記連動部材である板状の連動板を挟んで両側に配置され、
前記判定手段は前記発光素子の光を前記受光素子が受光するか否かの組み合わせに基づいて、前記ベルトが蛇行しているか否か、蛇行している場合には左右のいずれの方向に蛇行しているかを判定することを特徴とする請求項1に記載のベルトの蛇行検出装置。
【請求項3】
前記連動部材の動きによって前記ベルトの側端面が前記基準範囲を大きく超えた要停止範囲に進入したことを検知する第2の光センサをさらに有し、前記判定手段は該第2の光センサからの入力によって前記ベルトの側端面が要停止範囲に進入したか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトの蛇行検出装置。
【請求項4】
前記ベルトの側端面に沿って設けられて冷気を遮蔽する遮蔽壁を備え、
該遮蔽壁の背面側に前記第1の光センサが配置されていることを特徴とする1乃至3のいずれか一項に記載のベルトの蛇行検出装置。
【請求項5】
前記ベルトの側端面の上方に設けられて冷気を遮蔽する遮蔽床と、
該遮蔽床に形成されて前記接触可動部材であるシャフトが傾動可能な状態で挿通される挿通孔と、
前記シャフトが貫通可能な貫通孔を有し前記遮蔽床上に移動可能に配置されて前記挿通孔を覆う蓋部材とを備え、
前記シャフトが前記貫通孔及び前記挿通孔を貫通して前記遮蔽床の下方に延出して前記ベルトの側端面に接触していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のベルトの蛇行検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に極低温環境下で使用するベルトコンベヤに適用可能なベルトの蛇行検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品分野等において物品の搬送などを行うためにベルトコンベヤが利用されている。一般にベルトコンベヤの無端ベルト(以降、単に「ベルト」という)は一対のロールによって支持され、一方のロール(駆動ロール)が回転駆動することによってベルトを走行させる。このベルトの走行中にベルトがロール軸方向に移動することがあり、これを蛇行という。
上記ベルトの蛇行は正確な作業の妨げになるばかりでなく、蛇行の幅が大きくなるとベルトの側端部が破損するおそれがあるので、蛇行発生時にはこれを正確に検出して対処する必要がある。
【0003】
ベルトの蛇行を検出する方法が特許文献1、2に開示されている。
特許文献1に開示される「ベルト蛇行規制装置」では、駆動ロールまたは従動ロールの回転角を検出するためのロータリーエンコーダ、ベルトのエッジラインの位置を検出するラインセンサー、ベルトの周回マークを読み取る反射センサを搭載しており、これらの機器からのデータをもとにベルトの位置を検出し、ベルトの蛇行制御を行っている。
【0004】
また、特許文献2に開示される「ベルト蛇行防止装置」では、発光素子と受光素子の間にベルトが位置しており(特許文献2の
図2参照)、ベルトが発光素子から受光素子への光(2つの基準線)を遮っているか否かで、ベルトが基準範囲内にあるか否かを検出している。ベルトが基準範囲を超えた場合に、駆動ローラまたは従動ローラ、もしくはその両方のローラを、進行方向平面に対して前後方向に傾動することで、ベルトの蛇行制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6074095号公報
【特許文献2】特開2008-195463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術では、ベルトの蛇行状況を検出するために、発光素子と受光素子とからなる光学センサを使用している。
例えば食品分野等において搬送・乾燥・冷却・冷凍などを行うために使用されるベルトコンベヤは、-50℃以下の温度下で使用される場合もあり、そのような極低温環境下では、空気中の水分が結露水や氷となり、これらが光学センサに付着することがある。
結露水や氷が光学センサに付着すると、それらが発光素子から受光素子への光を遮ってしまい、ベルトの位置を正確に検出することができない。
【0007】
また、光学センサは電子機器であり、そもそも上記のような極低温環境下や結露が発生するような環境下では使用できない場合もある。
上述した従来技術は一般的な温度範囲下で使用することを想定したものであり、極低温環境下では適用できないという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、極低温環境下で使用するベルトコンベヤにも適用可能なベルトの蛇行検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るベルトの蛇行検出装置は、極低温環境下で使用するベルトコンベヤのベルトの蛇行検出装置であって、前記ベルトの側端面に接触して該ベルトの蛇行に追従して可動する接触可動部材と、該接触可動部材の動きに連動する連動部材と、該連動部材の動きを検知する第1の光センサと、該第1の光センサからの入力によって前記ベルトの側端面が基準範囲を超えて蛇行しているか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第1の光センサは複数の発光素子及び複数の受光素子を備えてなり、該発光素子と受光素子は前記連動部材である板状の連動板を挟んで両側に配置され、前記判定手段は前記発光素子の光を前記受光素子が受光するか否かの組み合わせに基づいて、前記ベルトが蛇行しているか否か、蛇行している場合には左右のいずれの方向に蛇行しているかを判定することを特徴とするものである。
【0011】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記連動部材の動きによって前記ベルトの側端面が前記基準範囲を大きく超えた要停止範囲に進入したことを検知する第2の光センサをさらに有し、前記判定手段は該第2の光センサからの入力によって前記ベルトの側端面が要停止範囲に進入したか否かを判定することを特徴とするものである。
【0012】
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記ベルトの側端面に沿って設けられて冷気を遮蔽する遮蔽壁を備え、該遮蔽壁の背面側に前記第1の光センサが配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記ベルトの側端面の上方に設けられて冷気を遮蔽する遮蔽床と、該遮蔽床に形成されて前記接触可動部材であるシャフトが傾動可能な状態で挿通される挿通孔と、前記シャフトが貫通可能な貫通孔を有し前記遮蔽床上に移動可能に配置されて前記挿通孔を覆う蓋部材とを備え、前記シャフトが前記貫通孔及び前記挿通孔を貫通して前記遮蔽床の下方に延出して前記ベルトの側端面に接触していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、ベルトの側端面に接触して該ベルトの蛇行に追従して可動する接触可動部材と、該接触可動部材の動きに連動する連動部材と、該連動部材の動きを検知する第1の光センサと、該第1の光センサからの入力によって前記ベルトの側端面が基準範囲を超えて蛇行しているか否かを判定する判定手段とを備えたことにより、ベルトの位置を直接光センサで検知することなく蛇行の発生を検出できるので、極低温環境下で使用するベルトコンベヤにも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るベルトの蛇行検出装置の説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係るベルトの蛇行検出装置を適用するベルトコンベヤの斜視図である。
【
図3】
図2に示したベルトコンベヤのA-A矢視図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係るベルトの蛇行検出装置の蓋部材の説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係るベルトの蛇行検出装置の第1の光センサの説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係るベルトの蛇行検出装置の動作を説明する説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係るベルトの蛇行検出装置の他の態様を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係るベルトの蛇行検出装置の動作を説明する説明図である(その1)。
【
図10】本発明の実施の形態2に係るベルトの蛇行検出装置の動作を説明する説明図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係るベルトの蛇行検出装置(以降、単に「蛇行検出装置」という)は、極低温環境下で使用するベルトコンベヤのベルトの蛇行を検出するものである。
上記ベルトの蛇行検出装置を説明するのに先立ち、まずは、本実施の形態のベルトの蛇行検出装置を適用するベルトコンベヤの一例を
図2~
図4に基づいて説明する。
図2はベルトコンベヤの斜視図であり、
図3は
図2のA-A矢視図、
図4は
図3のB部の拡大図である。
【0017】
本実施の形態におけるベルトコンベヤ1は、食品等の対象物の搬送・乾燥・冷却・冷凍などを行うものであり、
図2に示すように、駆動ロール3と従動ロール5の間に張架されたベルト7と、液体窒素等の低温液化ガスによって生じた冷風によって食品等の対象物を冷却する冷風供給トンネル9を有している。
【0018】
駆動ロール3のロール軸の一端には、駆動ロール3を回転駆動させるためのモータが接続されている(図示なし)。
また、従動ロール5のロール軸の両端には、従動ロール5を水平傾動させてベルト7の蛇行を制御するための蛇行制御エアシリンダ11が接続されている。
【0019】
冷風供給トンネル9の内部は冷風供給トンネル9に設けられた液体窒素供給ノズル(図示せず)及びファン13によって冷風が供給されており、例えば約-100℃以下の極低温環境となっている。
上記のように本実施の形態におけるベルトコンベヤ1は極低温環境下で使用することから、ベルト7は極低温環境に強いスチールベルトを用いるのが好ましい。
【0020】
ベルト7の上方には、ライン上の冷気を遮蔽するためのコ字状の遮蔽部材15がベルト7の側端面に沿って両側に設けられている。以降、この遮蔽部材15において、ベルト7と垂直な部分を遮蔽壁17、ベルト7と水平でベルト7に近い側の部分を遮蔽床19という。
【0021】
上述したベルトコンベヤ1を用いて食品を冷却する際には、駆動ロール3に接続されたモータによって駆動ロール3を回転駆動させてベルト7を
図2の矢印の方向に走行させ、ベルト7上に載置された食品を搬送し、冷風供給トンネル9を通過させて冷却する。
【0022】
本実施の形態における蛇行検出装置21は、
図3、
図4に示すように、ベルト走行方向の上流側、即ち、従動ロール5の近傍における遮蔽壁17の背面側(ベルトと反対側)に設けられている。遮蔽部材15には蛇行検出装置21を挟むように、紙面奥行き方向に2枚の固定板23(
図4では手前の1枚のみ図示)が設けられている。固定板23を透過して蛇行検出装置21を模式的に示したものを
図1に示す。
【0023】
図1に示すように蛇行検出装置21は、本発明における接触可動部材であるシャフト25と、本発明における連動部材である板状の連動板27とを備えており、遮蔽床19に形成されたシャフト25を挿通する挿通孔29を覆う蓋部材31が遮蔽床19上に移動可能に配置されている。
また、連動板27の動きを検知する第1の光センサ33と、第1の光センサ33からの入力によってベルト7の側端面が基準範囲を超えて蛇行しているか否かを判定する判定手段35とを備えている。以下、各構成を詳細に説明する。
【0024】
<シャフト>
シャフト25は、ベルト7の蛇行に追従して傾動するように設けられた棒状の部材である。シャフト25はその下部側が蓋部材15に形成された貫通孔37(
図5参照)及び遮蔽床19に形成された挿通孔29に挿通されて遮蔽床19の下方に延出し、その下端側面がベルト7の側端面と接触している。また、シャフト25における蓋部材31の上方部分には連動板27が連結されている。挿通孔29はシャフト25が傾動可能なように、ベルト7の幅方向に長い長孔になっている(
図6参照。なお、
図6は蓋部材31を透視して示している)。シャフト25をベルト7の蛇行に追従させる手段については後述する。シャフト25の素材は低温脆性を引き起こさない金属(オーステナイト系ステンレス等)が好ましい。
【0025】
シャフト25と連動板27の連結方法は、
図4のように連結部材39を介して連結してもよいし、直接連結してもよい。もっとも、ベルト7に接触しているシャフト25は低温になりやすいので、連結部材39を介することで連動板27に冷熱が伝わることを抑制でき、連動板27の近傍に設置されている第1の光センサ33に結露が生じにくくなるので好ましい。なお、
図1では連結部材39の図示を省略している。
【0026】
<連動板>
連動板27は、上述のようにシャフト25に連結されてシャフト25の動きに連動するものであり矩形状の板の一部を切り欠いて略L字形状にしたものである。連動板27は2枚の固定板23の間に設けられた軸部材41にL字を横倒しにした状態で揺動可能に取り付けられている。
連動板27の素材はシャフト25と同様に低温脆性を引き起こさない金属(オーステナイト系ステンレス等)が好ましい。
【0027】
また、連動板27には、シャフト25をベルト7の蛇行に追従させる手段であるばね43の一端が取り付けられており、ばね43の他端は遮蔽床19に固定されている。
図1の状態(ベルト7の両側端が基準範囲内にあり、蛇行が発生していない状態)において、ばね43は標準状態よりも伸びた状態で取り付けられており、このばね43が縮もうとする力によって、連動板27は軸部材41を中心軸として時計回り(図中矢印の方向)に回動しようとする。
【0028】
連動板27が時計回りに回動することにより、連動板27に連結されているシャフト25が傾動し、シャフト25の下部がベルト7の側端面に押し付けられる。
これにより、シャフト25の下部はベルト7の蛇行に影響を与えない程度の付勢力で常にベルト7の側端面に押し付けられている。
【0029】
したがって、例えば、
図1のベルト7が蛇行によって図中左側に移動した場合には、ばね43が縮んで連動板27が時計回りに回動し、シャフト25の下部がベルト7の側端面に接触した状態のままシャフト25がさらに傾動する。
一方、ベルト7が蛇行によって図中右側に移動した場合には、ばね43の付勢力よりもベルト7がシャフト25を押す力の方が大きいので、シャフト25がベルト7に押されて上記と逆方向に傾動する。これに連動して連動板27が反時計回りに回動するとともにばね43はさらに伸びる。
上記のように、シャフト25はベルト7の蛇行に追従して傾動し、連動板27はシャフト25の動きに連動して回動するように構成されている。
【0030】
なお、
図1はばね43の一端を連動板27、他端を遮蔽床19に固定したものであるが、他端は他の部材に固定してもよく、例えば、固定板23等に固定しても構わない。
【0031】
<蓋部材>
蓋部材31は、遮蔽床19に形成された挿通孔29を覆って遮蔽床19の下方の冷気が挿通孔29から上方に侵入しないようするためのものである。
図5(a)に示すように、蓋部材31の中央にはシャフト25が貫通可能な貫通孔37が形成されている。蓋部材31は設置状態では
図5(b)に示すように、貫通孔37にシャフト25が貫通した状態で遮蔽床19上に移動可能に配置され、シャフト25の傾動に追従して遮蔽床19上を移動する。
【0032】
蓋部材31が挿通孔29を覆うことで、挿通孔29から冷気が侵入して第1の光センサ33に結露水等が発生することを防いでいる。
【0033】
<第1の光センサ>
第1の光センサ33は、複数の発光素子33a及び受光素子33bを備えてなる光学センサであり、本実施の形態においては
図6に示すようにそれぞれ2つずつ設けられている。発光素子33aと受光素子33bは、例えば前述した2枚の固定板23に固定するなどして連動板27を挟んで両側に対向配置されている。
【0034】
発光素子33a及び受光素子33bは、ベルト7の両側端面が基準範囲内にあるとき(
図1参照)、
図6に示すように、2つのうち上方に配置された受光素子33bは発光素子33aの発する光を受光し、下方に配置された受光素子33bは発光素子33aの光が連動板27によって遮られて受光しないようになっている。
【0035】
<判定手段>
判定手段35は、第1の光センサ33と電気的に接続されて、発光素子33aの光を受光素子33bが受光するか否かの組み合わせに基づいて、ベルト7が蛇行しているか否か、蛇行している場合には左右のいずれの方向に蛇行しているかを判定するものである。
【0036】
判定手段35によってベルト7の蛇行が発生していると判定された場合には、蛇行制御エアシリンダ11が従動ロール5を水平傾動させてベルト7の蛇行を修正する。
判定手段35における具体的な判定方法及びベルト7の蛇行制御方法については下記の動作説明において後述する。
【0037】
上記のように構成された本実施の形態における蛇行検出装置21の動作について、
図7を用いて説明する。なお、
図7においては左側の遮蔽部材15、固定板23及び判定手段35の図示を省略している。
図7(a)は、ベルト7の両側端面が基準範囲内にあり、蛇行が発生していない状態を示している。蛇行が発生していないとき、上方に配置された受光素子33bは受光するが、下方に配置された受光素子33bは連動板27によって光が遮られるので受光しない。
上記のように上方の受光素子33bが受光して、下方の受光素子33bが受光しないとき、判定手段は「蛇行が発生していない」と判定する。
【0038】
図7(b)は、ベルト7が白抜き矢印方向に移動し、ベルト7の左側端面が基準範囲を超えた状態を示している。
図7(b)のようにベルト7が基準範囲を超えて左側に移動すると、シャフト25の下部がベルト7の側端面に押し付けられているのでシャフト25がベルト7の動きに追従し、時計回りに傾動する。
【0039】
シャフト25が傾動することで、シャフト25に連結されている連動板27が時計回りに回動する。
連動板27が時計回りに回動することで下方に配置された発光素子33aの光も連動板27に遮られなくなり、両方の受光素子33bが受光する。
上記のように両方の受光素子33bが受光するとき、判定手段は「左方向に蛇行が発生している」と判定する。
【0040】
蛇行検出装置21によって左方向にベルト7の蛇行が発生したことが検出されると、蛇行を修正するため、蛇行制御エアシリンダ11が作動して従動ロール5を水平傾動させ、ベルト7を右方向に移動させる。
具体的には、従動ロール5の左を張力増加方向、右を張力減少方向に水平傾動させる。これは、一般的に知られる「ベルトは張力減少方向に移動する」という現象に基づくものであり、これによりベルト7が右方向に移動して蛇行が修正される。
【0041】
一方、ベルト7が
図7(c)に示す白抜き矢印方向に移動すると、シャフト25の下部がベルト7の側端面に押され、シャフト25が反時計回りに傾動する。
【0042】
シャフト25が反時計回りに傾動することで、シャフト25に連結されている連動板27も反時計回りに回動する。
連動板27が反時計回りに回動し、
図7(c)に示すように、ベルト7の右側端面が基準範囲を超えると、上方に配置された発光素子33aの光も連動板27に遮られ、両方の受光素子33bが受光しない状態となる。
上記のように両方の受光素子33bが受光しないとき、判定手段35は「右方向に蛇行が発生している」と判定する。
【0043】
蛇行検出装置21によって右方向にベルト7の蛇行が発生したことが検出されると、蛇行を修正するため、蛇行制御エアシリンダ11が作動して従動ロール5を水平傾動させ、ベルトを左方向に移動させる。
具体的には、従動ロール5の右を張力増加方向、左を張力減少方向に水平傾動させる。これによりベルトが左方向に移動して蛇行が修正される。
【0044】
上述のように本実施の形態にかかる蛇行検出装置21においては、ベルト7の蛇行に追従して傾動するシャフト25と、シャフト25の動きに連動する連動板27と、連動板27の動きを検知する第1の光センサ33を備えたことにより、ベルト7の位置を直接光センサで検知することなく蛇行の発生を検出できるので、極低温環境下で使用するベルトコンベヤ1にも適用が可能である。
【0045】
なお、上記ではシャフト25、連動板27及び第1の光センサ33をベルト7の走行方向右側にだけ設置したもの(
図4参照)を例に挙げて説明したが、本実施の形態はこれに限られない。例えば、
図8のように、ベルトの両側にシャフト25、連動板27(図示なし)及び第1の光センサ33(図示なし)を設けたものであっても良い。
図8の蛇行検出装置45は、ベルト7の両側端面にシャフト25が接触しており、それぞれのシャフト25には連動板27が連結されている。また連動板27の動きを検知する第1の光センサ33が左右の連動板27の近傍にそれぞれ1つ設けられている。
【0046】
この場合、例えば蛇行が発生していない状態では、どちらの受光素子33bも受光可能なようにしておく。さらに、左側の第1の光センサ33は、連動板27が時計回りに一定角度回動したときに発光素子33aの光が遮断されるように配置する。また、右側の第1の光センサ33は、連動板27が反時計回りに一定角度回動したときに発光素子33aの光が遮断されるように配置する。
【0047】
上記のように構成された
図8の蛇行検出装置45は、ベルト7が図中左方向に移動すると、両側の連動板27がそれぞれ時計回りに回動し、左側の発光素子33aの光が遮断される。一方、ベルト7が図中右方向に移動すると、両側の連動板27がそれぞれ反時計回りに回動し、右側の発光素子33aの光が遮断される。
【0048】
蛇行検出装置45の判定手段(図示なし)は、両方の受光素子33bが受光するとき「蛇行が発生していない」と判定する。
また、左側の受光素子33bが受光しないとき「左方向に蛇行が発生している」と判定する。
同様に、右側の受光素子33bが受光しないとき「右方向に蛇行が発生している」と判定する。
蛇行検出装置45によって蛇行が検出された場合には、前述したように蛇行制御エアシリンダ11が従動ロール5を水平傾動させることでベルト7を基準範囲内に移動させて蛇行が制御される。
【0049】
上記のように、
図8のような態様の蛇行検出装置45の場合にも、ベルト7の位置を直接光センサで検知することなく蛇行の発生を検出でき、極低温環境下で使用するベルトコンベヤ1にも適用が可能である。
【0050】
[実施の形態2]
実施の形態1で説明した蛇行検出装置21、45は、ベルト7が蛇行しているか否か、また、蛇行している場合には左右のいずれの方向に蛇行しているかを判定し、この判定結果に基づいて蛇行制御エアシリンダ11によって蛇行を制御するものであった。しかし、蛇行制御エアシリンダ11が正しく制御を行ってもベルト7を基準範囲内に戻しきることができず、ベルト7が基準範囲を大きく超えたところまで移動してしまう場合があり、この場合にはベルトコンベヤ1を停止する必要がある。
本実施の形態は、ベルト7が蛇行しているか否か、また、蛇行している場合には左右のいずれの方向に蛇行しているかを判定し、さらに、ベルト7の側端面が、基準範囲を大きく超えた要停止範囲に進入した場合にはこれを検出することができるベルトの蛇行検出装置に関するものである。
【0051】
本実施の形態における蛇行検出装置47は、実施の形態1と同様に、ベルト走行方向の上流側、即ち、従動ロール5の近傍に設けられており、
図9、
図10に示すように、両側の遮蔽壁17の背面側にそれぞれ、シャフト25、連動板27、蓋部材31、ばね43が設けられている。また、図中右側の遮蔽壁17の背面(ベルトと反対側)には、第1の光センサ33が設けられ、さらに、両側の遮蔽壁17の背面には第2の光センサ49が設けられており、第1の光センサ33と第2の光センサ49は判定手段(図示なし)と電気的に接続されている。シャフト25、連動板27、蓋部材31、ばね45、第1の光センサ33については実施の形態1と同様であるため説明を省略し、第2の光センサ49について以下具体的に説明する。
【0052】
<第2の光センサ>
第2の光センサ49は、第1の光センサ33と同様に複数の発光素子49a及び受光素子49bを備えてなる光学センサであり(
図6参照)、本実施の形態においては
図9、
図10に示すように両側の連動板27の近傍に1つずつ設けられている。
通常時(ベルト7が要停止範囲に進入していない時)、第2の光センサ49は両方とも発光素子49aの発する光を受光素子49bが受光するように配置されている。
【0053】
本実施の形態における判定手段は、実施の形態1で説明したように、第1の光センサ33からの入力によってベルト7の側端面が基準範囲を超えて蛇行しているか否かを判定するのに加えて、第2の光センサ49からの入力によってベルト7の側端面が要停止範囲に進入したか否かを判定する。
【0054】
判定手段によってベルト7の蛇行が発生していると判定された場合には、前述したように蛇行制御エアシリンダ11が従動ロール5を水平傾動させてベルト7の蛇行を修正する。
また、ベルト7の側端面が要停止範囲に進入したと判定された場合には、駆動ロール3の駆動を止めて、ベルト7の走行を停止する。
判定手段における具体的な判定方法については下記の動作説明において後述する。
【0055】
上記のように構成された本実施の形態における蛇行検出装置47の動作について、
図9、
図10を用いて説明する。なお、
図9、
図10においては
図7と同様に、固定板23と判定手段の図示を省略している。
図9(a)は、ベルト7の両側端面が基準範囲内にあり、蛇行が発生していない状態を示している。実施の形態1で説明したように、上方の受光素子33bが受光して、下方の受光素子33bが受光しないので、判定手段は「蛇行が発生していない」と判定する。
【0056】
図9(b)は、ベルト7が白抜き矢印方向に移動し、ベルト7の左側端面が基準範囲を超えているが、要停止範囲には進入していない状態を示している。左右のシャフト25はどちらもベルト7の動きに追従して傾動し、それぞれのシャフト7に連結されている連動板27もこれに連動して時計回りに回動する。このとき受光素子33bはどちらも受光しているので、実施の形態1で説明したように、判定手段は「左方向に蛇行が発生している」と判定する。
また、
図9(b)の状態では、受光素子49bは左右どちらも受光しているので、判定手段は「要停止範囲に進入していない」と判定する。
【0057】
蛇行検出装置47によって左方向にベルト7の蛇行が発生したことが検出されると、蛇行を修正するため、蛇行制御エアシリンダ11が作動して従動ロール5を水平傾動させ、ベルトを右方向に移動させる。
このとき、正しく蛇行が修正された場合には
図9(a)の状態に戻るが、何らかの理由によってベルト7の蛇行を制御しきれなかった場合、ベルト7はさらに左方向に移動して、
図9(c)に示すようにベルト7の左側端面が要停止範囲に進入する。
【0058】
図9(c)のようにベルト7がさらに左方向に移動すると、左右のシャフト25はどちらもベルト7の動きに追従してさらに傾動し、連動板27もこれに連動して時計回りに回動する。左右の連動板27が時計回りにさらに回動すると左側に配置された受光素子49bが連動板27に遮られて受光しない状態となる。
上記のように左側の受光素子49bが受光しないとき、判定手段は「要停止範囲に進入している」と判定する。
蛇行検出装置47によってベルト7が要停止範囲に進入していることが検出されると、警報を発報してベルト7の走行を停止する。
【0059】
図9はベルト7が左方向に移動した場合を例示したものであるが、右方向に移動した場合について、
図10を用いて説明する。
図10(a)は、
図9(a)と同じ図であり、蛇行が発生していない状態を示している。
また、
図10(b)は、ベルト7の右側端面が基準範囲を超えているが、要停止範囲には進入していない状態を示している。このとき受光素子33bはどちらも受光していないので、実施の形態1で説明したように、判定手段は「右方向に蛇行が発生している」と判定する。また、受光素子49bはどちらも受光しているので、判定手段は「要停止範囲に進入していない」と判定する。
【0060】
蛇行を修正するため、ベルト7を左方向に移動させるように蛇行制御エアシリンダ11が作動するが、何らかの理由によってベルト7の蛇行を制御しきれなかった場合、ベルト7はさらに右方向に移動して、
図10(c)に示すようにベルト7の右側端面が要停止範囲に進入する。
【0061】
図10(c)のようにベルト7がさらに右方向に移動すると、左右のシャフト25はどちらもベルト7の動きに追従してさらに傾動し、連動板27もこれに連動して反時計回りに回動する。左右の連動板27が反時計回りにさらに回動すると、受光素子33bの上方に配置された受光素子49bが連動板27に遮られて受光しない状態となる。
上記のように右側の受光素子49bが受光しないとき、判定手段は「要停止範囲に進入している」と判定する。
蛇行検出装置47によってベルト7が要停止範囲に進入していることが検出されると、警報を発報してベルトの走行を停止する。
【0062】
上述のように本実施の形態にかかるベルトの蛇行検出装置47においては、実施の形態1の構成に加えて第2の光センサ49を備えたことにより、ベルト7の位置を直接光センサで検知することなく蛇行の発生及び要停止範囲への進入を検出できるので、極低温環境下で使用するベルトコンベヤ1にも適用が可能である。
【0063】
なお、上述した実施の形態1、2では、従動ロール5の近傍(ベルト走行方向の上流側)に蛇行検出装置21、45、47を設置した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。もっとも、蛇行制御エアシリンダ11が接続された従動ロール5の近傍に設置することで精度よくベルト7の蛇行制御が行えるのでより好ましい。
【0064】
また、実施の形態1、2では、連動板27の形状が矩形状の板の一部を切り欠いて略L字形状にしたものであったが、本発明はこれに限られない。連動板27の動きによって受光素子33b、49bが受光したり、受光しなかったりすることを実現できればよく、連動板27の形状は特に問わない。
【0065】
さらに、第1の光センサ33及び第2の光センサ49の近傍に結露防止用のファンなどを設けてもよく、本発明の蛇行検出装置と併用することでさらに結露防止効果が期待できる。
【実施例0066】
本発明の蛇行検出装置を用いた効果を確認する実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
本実施例においては、
図2で説明したベルトコンベヤ1に実施の形態2で説明した蛇行検出装置47を設置し、冷風供給トンネル9の内部を-120℃に保持した状態で、8時間の連続運転を行った。
【0067】
連続運転中、第1の光センサ33及び第2の光センサ49に結露水や氷が付着するという現象は見られなかった。加えて、正常に蛇行制御できていたことから、極低温環境下で使用するベルトコンベヤにおいてもベルトの蛇行を正しく検出できることが確認された。