IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

<>
  • 特開-浮遊型空気送風装置 図1
  • 特開-浮遊型空気送風装置 図2
  • 特開-浮遊型空気送風装置 図3
  • 特開-浮遊型空気送風装置 図4
  • 特開-浮遊型空気送風装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117630
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】浮遊型空気送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/08 20060101AFI20220804BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20220804BHJP
   B64B 1/50 20060101ALI20220804BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20220804BHJP
   B64F 3/02 20060101ALI20220804BHJP
   B64B 1/30 20060101ALI20220804BHJP
   F24F 7/007 20060101ALN20220804BHJP
【FI】
F04D25/08 A
F04D25/08 307Z
F04D29/60 K
B64B1/50
B64D27/24
B64F3/02
B64B1/30
F24F7/007 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014228
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】能見 基彦
【テーマコード(参考)】
3H130
3L056
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC26
3H130BA21Z
3H130CB14
3H130DA02X
3H130DD00Z
3H130DF08X
3H130DJ01X
3H130DJ06X
3L056BG01
(57)【要約】
【課題】天井に設置することなく、天井付近からの送風が可能な浮遊型空気送風装置の提供。
【解決手段】浮遊型空気送風装置1は、回転翼部10と、回転翼部10を空中に浮遊させる気球部20と、回転翼部10及び気球部20を含む浮遊体2とワイヤー4を介して接続された地上装置3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼部と、
前記回転翼部を空中に浮遊させる気球部と、
前記回転翼部及び前記気球部を含む浮遊体とワイヤーを介して接続された地上装置と、を備える、浮遊型空気送風装置。
【請求項2】
前記浮遊体は、回転翼型の気球体である、請求項1に記載の浮遊型空気送風装置。
【請求項3】
前記地上装置は、前記ワイヤーを介して前記浮遊体を回転させる回転装置を含む、請求項1または2に記載の浮遊型空気送風装置。
【請求項4】
前記回転装置と前記浮遊体は、複数の前記ワイヤーで接続されている、請求項3に記載の浮遊型空気送風装置。
【請求項5】
前記回転翼部には、前記浮遊体を昇降及び回転させる推進器が取り付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の浮遊型空気送風装置。
【請求項6】
前記ワイヤーは、前記地上装置から前記推進器に電力を供給する電線を含む、請求項5に記載の浮遊型空気送風装置。
【請求項7】
前記ワイヤーは、前記気球部の内部の空気を温める電熱線を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の浮遊型空気送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊型空気送風装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、COVID-19やその変異種などの新型コロナウイルス対策が課題となってきている。下記特許文献1には、高設基台上に懸架された半透性材料から作られたテントを有することにより、ユーザが内部に入る封包体を作り出す空気浄化テントが開示されている。テントの頂部は、空気浄化装置と接続されて、浄化された空気を封包体内に放出し、ユーザのために局所的な清浄空気領域を作り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-522768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気の浄化に関しては、上記空気浄化テントを張るのもよいが、部屋を換気するのが、最も一般的且つ現実的である。部屋の換気には、天井にシーリングファンを設置することが、有効な手段の一つとされている。しかしながら、シーリングファンは、天井の意匠や梁などの構造物の位置関係や、取り付け強度などの問題で、後から設置することが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、天井に設置することなく、天井付近からの送風が可能な浮遊型空気送風装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る浮遊型空気送風装置は、回転翼部と、前記回転翼部を空中に浮遊させる気球部と、前記回転翼部及び前記気球部を含む浮遊体とワイヤーを介して接続された地上装置と、を備える。
【0007】
上記浮遊型空気送風装置においては、前記浮遊体は、回転翼型の気球体であってもよい。
【0008】
上記浮遊型空気送風装置においては、前記地上装置は、前記ワイヤーを介して前記浮遊体を回転させる回転装置を含んでもよい。
【0009】
上記浮遊型空気送風装置においては、前記回転装置と前記浮遊体は、複数の前記ワイヤーで接続されていてもよい。
【0010】
上記浮遊型空気送風装置においては、前記回転翼部には、前記浮遊体を昇降及び回転させる推進器が取り付けられていてもよい。
【0011】
上記浮遊型空気送風装置においては、前記ワイヤーは、前記地上装置から前記推進器に電力を供給する電線を含んでもよい。
【0012】
上記浮遊型空気送風装置においては、前記ワイヤーは、前記気球部の内部の空気を温める電熱線を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明の一態様によれば、天井に設置することなく、天井付近からの送風が可能な浮遊型空気送風装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る浮遊型空気送風装置を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の一変形例に係る浮遊型空気送風装置を示す斜視図である。
図3】第2実施形態に係る浮遊型空気送風装置を示す斜視図である。
図4】第2実施形態の一変形例に係る浮遊型空気送風装置を示す斜視図である。
図5】第3実施形態に係る浮遊型空気送風装置を示す断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る浮遊型空気送風装置1を示す斜視図である。
図1に示すように、浮遊型空気送風装置1は、浮遊体2と、地上装置3と、ワイヤー4と、を備えている。この浮遊型空気送風装置1は、例えば、屋内に設置され、浮遊体2を回転させることで、屋内の空気を循環させ、換気を促す。
【0017】
浮遊体2は、回転翼部10と、気球部20と、を含む。回転翼部10は、例えば、軸流ファンであり、複数のブレード11と、複数のブレード11が接続されたハブ12と、を備えている。この回転翼部10は、軽量であることが好ましく、例えば、薄い樹脂材、木材、竹材などから形成するとよい。
【0018】
気球部20は、回転翼部10を空中に浮遊させる。気球部20は、回転翼部10のハブ12の下面に取り付けられ、回転翼部10を下方から支持している。気球部20の内部には、水素やヘリウムのような空気より軽い気体が充填されている。
【0019】
気球部20の下端には、ワイヤー4の一端が接続されている。ワイヤー4の他端は、地上装置3に接続されている。この地上装置3は、例えば、屋内の床面や、屋内の机や棚などに設置されている。地上装置3は、ワイヤー4を介して浮遊体2を回転させる回転装置30を含む。回転装置30は、モータや減速機などを備えている。
【0020】
浮遊体2は、屋内の天井付近に浮遊し、地上装置3(回転装置30)に対してワイヤー4で拘束されている。ワイヤー4が、地上装置3を中心とする鉛直軸線の周方向に旋回すると、浮遊体2は空中で回転する。この回転によって、浮遊体2に取り付けられた複数のブレード11が揚力を発生させる。この揚力の反作用によって下向きの気流が発生する。
【0021】
揚力が発生しても、浮遊体2はワイヤー4によって地上装置3に拘束されているため、浮遊体2は、若干のワイヤー4の弛み程度以上には、高度を変えない。浮遊体2には、空気より軽い気体が充填されており、回転を止めても降下することはない。なお、メンテナンス等により浮遊体2を天井付近から地上の高さまで下すには、浮遊体2からガスを抜くか、あるいは拘束用のワイヤー4を地上にて巻き取るとよい。
【0022】
このように、上述した第1実施形態の浮遊型空気送風装置1は、回転翼部10と、回転翼部10を空中に浮遊させる気球部20と、回転翼部10及び気球部20を含む浮遊体2とワイヤー4を介して接続された地上装置3と、を備える。この構成によれば、天井に装置を設置することなく、天井付近からの送風が可能となる。
【0023】
なお、第1実施形態では、図2に示すような変形例を採用することができる。
【0024】
図2は、第1実施形態の一変形例に係る浮遊型空気送風装置1を示す斜視図である。
図2に示す浮遊型空気送風装置1では、浮遊体2において、回転翼部10と気球部20の配置が上下逆になっている。
【0025】
気球部20は、回転翼部10のハブ12の上面に取り付けられ、回転翼部10を吊下げるように支持している。ハブ12の下面には、ワイヤー4の一端が接続されている。ワイヤー4の他端は、地上装置3に接続されている。上記構成であっても、ワイヤー4を介して浮遊体2を回転させ、天井付近から下向きに気流を発生させることができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0027】
図3は、第2実施形態に係る浮遊型空気送風装置1を示す斜視図である。
図3に示すように、浮遊型空気送風装置1は、浮遊体2と、地上装置3と、ワイヤー4と、を備えている。
【0028】
第2実施形態の浮遊体2は、回転翼型の気球体である。具体的には、上述した回転翼部10の外形を成すバルーンの中に、水素やヘリウムのような空気より軽い気体が充填されている。つまり、回転翼部10自体が気球部20となっている。
【0029】
第2実施形態の浮遊体2の下端には、複数(図3に示す例では2本)のワイヤー4が接続されている。2本のワイヤー4は、回転装置30の中心軸(鉛直軸線)を挟んで、回転装置30に接続されている。
【0030】
上述したように、第2実施形態の浮遊体2は、回転翼型の気球体である。この構成によれば、第1実施形態のように、回転翼部10と気球部20とを組み合わせることなく浮遊体2を構成できる。また、回転翼部10自体が気球部20となるため、回転翼部10と気球部20との組み付け誤差などがなくなり、重心が安定し、浮遊体2の回転安定性が増す。
【0031】
また、第2実施形態においては、回転装置30と浮遊体2が、複数のワイヤー4で接続されている。この構成によれば、回転装置30から浮遊体2に回転トルクを伝え易くなり、浮遊体2の回転安定性が増す。
【0032】
なお、第2実施形態では、図4に示すような変形例を採用することができる。
【0033】
図4は、第2実施形態の一変形例に係る浮遊型空気送風装置1を示す斜視図である。
図4に示す浮遊型空気送風装置1は、回転翼部10(気球部20と一体型)に、浮遊体2を昇降及び回転させる推進器40が取り付けられている。
【0034】
推進器40は、浮遊体2を昇降させる昇降推進器41と、浮遊体2を回転させる回転推進器42と、を備えている。昇降推進器41及び回転推進器42は、例えば、電動プロペラであり、ブレード11の先端部及び後縁部に取り付けられている。
【0035】
ワイヤー4は、地上装置3から推進器40に電力を供給する電線を含む。第3実施形態のワイヤー4は、浮遊体2の拘束には用いるが、浮遊体2の回転駆動には用いなくてもよい。但し、浮遊体2の回転運動を自在に実施するために、地上装置3の回転装置30にはワイヤー4と接続されて共に回転する軸受があるとよい。
【0036】
上記構成の浮遊型空気送風装置1によれば、地上装置3からのワイヤー4ではなく、回転翼部10に取り付けられた推進器40によって、浮遊体2を回転させることができる。なお、この方式において、推進器40を駆動させる電源を浮遊体2に搭載すれば、地上装置3から給電を受けることなく、浮遊体2は空中で自立して回転を続けることができる。
【0037】
なお、浮遊体2の電源を搭載すれば、地上装置3と結ばれるワイヤー4は無くても構わない。この推進器40を搭載してなおかつワイヤー4が無い形式では、推進器40の回転を止めた時に床面に徐々に降下できるように、浮遊体2の平均比重を空気と一致あるいは若干重くするのが良い。その際には、着陸あるいは離陸して回転する定位置まで移動できるようにホバリングと水平移動用の別の推進器40を搭載することが望ましい。
【0038】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0039】
図5は、第3実施形態に係る浮遊型空気送風装置1を示す断面構成図である。
図5に示すように、浮遊型空気送風装置1は、浮遊体2と、地上装置3と、ワイヤー4と、を備えている。
【0040】
第3実施形態の浮遊体2は、熱気球の原理で、温めた空気で浮遊する。第3実施形態の気球部20は、下端が開口している。第3実施形態の回転翼部10は、気球部20の下端開口の周囲に取り付けられている。回転翼部10は、第1実施形態で説明したような軽量のものが好ましい。
【0041】
第3実施形態のワイヤー4は、気球部20の内部の空気を温める電熱線4aを含む。電熱線4aの発熱部は、気球部20の下端開口の直下ないしその内側に配置するとよい。ワイヤー4は、接続片5を介して回転翼部10と接続されている。接続片5は、電熱線4aの発熱部以外の場所に接続され、回転装置30からの回転トルクを回転翼部10に伝達する。
【0042】
上記構成の浮遊型空気送風装置1によれば、電熱線4aで空気を温めることにより浮遊体2を空中に浮かせることができる。このため、メンテナンス等により浮遊体2を天井付近から地上の高さまで下すには、地上装置3から電熱線4aへの給電を停止すればよく、浮遊体2からガスを抜いたり、あるいは拘束用のワイヤー4を地上にて巻き取ったりしなくてもよくなる。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0044】
1 浮遊型空気送風装置
2 浮遊体
3 地上装置
4 ワイヤー
4a 電熱線
5 接続片
10 回転翼部
11 ブレード
12 ハブ
20 気球部
30 回転装置
40 推進器
41 昇降推進器
42 回転推進器
図1
図2
図3
図4
図5