(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118392
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、粘着層及び積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 133/06 20060101AFI20220805BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220805BHJP
【FI】
C09J133/06
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014879
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】綱島 啓次
(72)【発明者】
【氏名】植村 由希枝
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC02
4J004FA01
4J040DF011
4J040DF031
4J040DF061
4J040GA05
4J040GA07
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA23
4J040LA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、前初期の貼付け時に所望の接着性能を発現し、かつ被着体への貼付けから一定期間経過後に被着体を汚染することなく剥離できる再剥離性を有する粘着剤の提供を課題とする。
【解決手段】アクリル重合体(A)及び架橋剤(B)を含み、前記アクリル重合体(A)が、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満の(メタ)アルキルアクリレート単量体(a1)、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)及び水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)に由来する単位を有するものである粘着剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル重合体(A)及び架橋剤(B)を含み、
前記アクリル重合体(A)が、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満の(メタ)アルキルアクリレート単量体(a1)、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)及び水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)に由来する単位を有するものである粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル重合体(A)中、前記(メタ)アクリル単量体(a2)に由来する単位の含有量が、前記アルキルアクリレート単量体(A)に由来する単位100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部未満である請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)の含有率が、前記アクリル重合体(A)中、0.01質量%以上10質量%以下である請求項1又は2記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
さらに溶剤(C)を含むものである請求項1~3のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項記載の粘着剤組成物から形成される粘着層。
【請求項6】
基材と、請求項1~5のいずれか1項記載の粘着層とを有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、粘着層及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着シートは、自動車、建築、電子機器など、様々な分野で使用されている。特に粘着テープや印刷ラベルは、その作業性の良さから、建築現場や、容器に貼り付けられるラベルなど、様々な用途で活用されている。
【0003】
このような粘着剤として、例えば炭素数1または2のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(M)を10~30重量%含むモノマー混合物を溶液重合してなる重合体(P)を含み、前記重合体(P)の重量平均分子量と数平均分子量との比が、重量平均分子量/数平均分子量=5~12で、前記粘着剤層は、ステンレス(A)に対する粘着力(fa)と、ポリプロピレン(B)に対する粘着力(fb)との差が2N/25mm以下である粘着剤が提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、このような粘着剤は、粘着力と再剥離性の両立が不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建築現場で使用される養生用テープや、再利用される容器に貼り付けられるラベルなどには、被着体に貼り付けてから、一定期間経過した後、剥がされる用途がある。これら用途に使用される粘着剤は、被着体から剥がされる際に、被着体表面に粘着剤の一部が糊残りすることで被着体を汚染することなく、きれいに剥離できること、すなわち再剥離性が求められる。
【0007】
また、粘着剤は、用途によって求められる接着力は様々であり、あらゆる粘着力の範囲に設計することが求められる。一般的に、被着体貼り付け後に経時で接着力は上昇することから、特に、前述のような再剥離用途においては、貼り付け後の接着力上昇を想定し、ある程度の強さの初期接着力に制御することが求められる。そのため、初期の貼り付け時に所望の接着性能を発現し、かつ被着体への貼り付けから一定期間経過後に被着体を汚染することなく剥離できる再剥離性を両立する技術が求められている。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、初期の貼付け時に所望の接着性能を発現し、かつ被着体への貼付けから一定期間経過後に被着体を汚染することなく剥離できる再剥離性を有する粘着剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが検討したところ、特定のアクリル重合体を用いることで、粘着力を適度な範囲に保ちつつ、再剥離性を良好なものとすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明の粘着剤組成物は、以下の発明を含む。
[1]アクリル重合体(A)及び架橋剤(B)を含み、前記アクリル重合体(A)が、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満の(メタ)アルキルアクリレート単量体(a1)、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)及び水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)に由来する単位を有するものである粘着剤組成物。
[2]前記アクリル重合体(A)中、前記(メタ)アクリル単量体(a2)に由来する単位の含有量が、前記アルキルアクリレート単量体(A)に由来する単位100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部未満である[1]記載の粘着剤組成物。
[3]前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)の含有率が、前記アクリル重合体(A)中、0.01質量%以上10質量%以下である[1]又は[2]記載の粘着剤組成物。
[4]さらに溶剤(C)を含むものである[1]~[3]のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
[5][1]~[4]のいずれか1つに記載の粘着剤組成物から形成される粘着層。
[6]基材と、[1]~[5]のいずれか1つに記載の粘着層とを有する積層体。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、初期の貼り付け時に所望の接着性能を発現し、かつ被着体への貼り付けから一定期間経過後に被着体を汚染することなく剥離できる再剥離性を両立する粘着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の粘着剤組成物は、アクリル重合体(A)及び架橋剤(B)を含む。
【0013】
前記アクリル重合体(A)は、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満のアルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)及び水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)に由来する単位を有する。
【0014】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満のアルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)は、該(メタ)アクリレート単量体(a1)の単独重合体(ホモポリマー)のガラス転移温度が0℃未満であるアルキル(メタ)アクリレートであればよい。前記(メタ)アクリレート単量体(a1)は、アルキルアクリレートであることが好ましい。
【0015】
前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)のホモポリマーのガラス転移温度は、好ましくは-70℃以上、より好ましくは-65℃以上、さらに好ましくは-60℃以上であり、好ましくは0℃未満、より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-15℃以下、いっそう好ましくは-20℃以下である。
【0016】
ホモポリマーのガラス転移温度としては、Polymer Handbook(4th ed.)、及びPolymer Handbook(4th ed.)に記載がない場合は、(メタ)アクリル単量体メーカーホームページ等に記載の数値を採用することができる。
【0017】
前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)としては、エステル結合にアルキル基が結合した(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0018】
前記アルキル基の炭素原子数は、好ましくは4以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは12以下、よりいっそう好ましくは10以下、特に好ましくは8以下である。
【0019】
前記アルキル基は、分岐を有していても有していなくてもよい。
【0020】
前記アルキル基としては、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、ラウリル基、ステアリル基等の直鎖状アルキル基;イソブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、イソノニル基、イソステアリル基等の分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。
【0021】
前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、n-デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等の直鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレート;イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート等の分岐鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレートなどが挙げられる。
【0022】
前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)に由来する単位の含有率は、前記アクリル重合体(A)中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは78質量%以上であり、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは93質量%以下である。
【0023】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)としては、該単量体を用いてホモポリマーを形成した場合に、そのホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下のものであればよい。
【0024】
前記(メタ)アクリル単量体(a2)のホモポリマーのガラス転移温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは3℃以上、さらに好ましくは5℃以上であり、好ましくは100℃以下、より好ましく70℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。
【0025】
前記アクリル重合体(a2)としては、具体的には、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~20の脂環式炭化水素基、炭素原子数2~20の芳香族炭化水素基、及びこれらを組み合わせた炭素原子数4~20の基の少なくとも1つを有する(メタ)アクリレートのうち、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の範囲にあるものが挙げられる。前記アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらを組み合わせた基に含まれる水素原子は、水酸基に置換されていてもよい。
【0026】
前記炭素原子数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基等の分岐鎖状アルキル基が挙げられる。また、前記脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基(好ましくは飽和脂環式炭化水素基)などが挙げられる。前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。また、前記アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のうち2つ以上を組み合わせた基としては、ベンジル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。なかでも、直鎖状アルキル基、脂環式炭化水素基が好ましい。
【0027】
前記アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~16、より好ましくは1~5であり、前記脂環式炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは3~15、より好ましくは6~10であり、前記芳香族炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは6~15、より好ましくは6~10である。前記組み合わせた基の炭素原子数は、好ましくは7~15、より好ましくは7~10である。
【0028】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)としては、具体的には、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート等が挙げられる。
【0029】
前記(メタ)アクリル単量体(a2)としては、メチルアクリレート(Tg:10℃)、t-ブチルアクリレート(TBA;41℃、大阪有機化学工業(株)ウェブサイトより)、ネオペンチルアクリレート(22℃)、ヘキサデシルアクリレート(35℃)等のアルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート(19℃)、イソボロニルアクリレート(94℃)等の脂環式アクリレート;フェニルアクリレート(57℃)等の芳香族アクリレート;ベンジルメタクリレート(54℃)等のアラルキルアクリレート;エチルメタクリレート(65℃)、プロピル(メタ)アクリレート(35℃)、イソプロピル(メタ)アクリレート(81℃)、ブチルメタクリレート(20℃)、イソブチルメタクリレート(53℃)、sec-ブチルメタクリレート(60℃)等のアルキルメタクリレート;シクロヘキシルメタクリレート(83℃)等のシクロアルキルメタクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート(85℃)等のヒドロキシアルキルメタクリレート;2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(M-600A;17℃、共栄社化学(株)ウェブサイトより)等のヒドロキシアラルキルアクリレートなどが挙げられる。
【0030】
なお、上記Tg値のうち、特記ないものは、Polmer Handbook(4th ed.記載の値である。
【0031】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)に由来する単位の含有量は、前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)に由来する単位の100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、好ましくは30質量部未満、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
【0032】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)に由来する単位の含有率は、前記アクリル重合体(A)中、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
【0033】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)としては、分子中に、1つ以上のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体であればよい。
【0034】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和モノカルボン酸などが挙げられる。
【0035】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)に含まれるカルボキシル基の個数は、好ましくは1個である。
【0036】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)に由来する単位の含有率は、前記アクリル重合体(A)中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0037】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)としては、分子中に、1つ以上のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル単量体であればよい。
【0038】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)としては、1種又は2種以上を用いることができ、2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基にヒドロキシル基が結合した化合物;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル;2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアラルキルメタアクリレート等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基にヒドロキシル基が結合した化合物であり、より好ましくは(メタ)アルキル酸アルキルエステルのアルキル基の末端にヒドロキシル基が結合した化合物が挙げられる。前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)は、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下のメタアクリル単量体(a2)に該当する場合もある。
【0039】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル単量体に含まれるヒドロキシル基の数は、好ましくは1個である。
【0040】
前記アクリル重合体(A)中、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位の含有率は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0041】
前記アクリル重合体(A)は、前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上100℃以下の(メタ)アクリル単量体(a2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)及び水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a4)以外のその他の単量体(a5)に由来する単位を含んでいてもよい。
【0042】
前記その他の単量体(a5)としては、窒素原子を有する(メタ)アクリル単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ環含有(メタ)アクリル単量体;スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、パラヒドロキシスチレン等の芳香族ビニル単量体;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン等の複素環含有ビニル単量体;2以上のビニル基を有する単量体;イソボロニルメタクリレート(ガラス転移温度110℃)等の前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)又は(メタ)アクリル単量体(a2)以外の(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。
【0043】
前記窒素原子を有する(メタ)アクリル単量体としては、(メタ)アクリルアミド化合物、窒素原子を含む官能基を有する(メタ)アクリル単量体が挙げられる。前記(メタ)アクリルアミド化合物としては、(メタ)アクリルアミド;N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド等のN-1置換(メタ)アクリルアミド化合物;N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピペリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-ピペリドン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN-2置換(メタ)アクリルアミド化合物などが挙げられる。
【0044】
前記窒素原子を含む官能基を有する(メタ)アクリル単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
前記その他の単量体(a5)に由来する単位の含有率は、前記アクリル重合体(A)中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0046】
前記アクリル重合体(A)の重量平均分子量は、好ましくは10万以上、より好ましくは20万以上、さらに好ましくは30万以上であり、好ましくは150万以下、より好ましくは100万以下、さらに好ましくは80万以下である。
【0047】
本明細書において、前記アクリル重合体(A)の数平均分子量、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準試料としゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定された換算値を表すものとする。
【0048】
本発明の粘着剤組成物において、前記アクリル重合体(A)の含有率は、不揮発分中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
【0049】
本明細書において、粘着剤組成物の不揮発分とは、粘着剤組成物必要に応じて含まれる溶剤成分を除いた部分を表すものとする。
【0050】
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤(B)を含む。前記架橋剤(B)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、多価金属塩架橋剤、金属キレート架橋剤、ケト・ヒドラジド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、シラン架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン架橋剤等が挙げられる。
【0051】
中でも、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン架橋剤が好ましく、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤がより好ましく、イソシアネート架橋剤が特に好ましい。
【0052】
前記イソシアネート架橋剤の含有率は、前記架橋剤(B)中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0053】
前記架橋剤(B)の含有率は、前記アクリル重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0054】
本発明の粘着剤組成物は、溶剤(C)を含むことが好ましい。前記溶剤(C)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤等が挙げられる。中でも、エステル溶剤を含むことが好ましい。
【0055】
前記エステル溶剤の含有率は、前記溶剤(C)中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0056】
前記溶剤(C)の含有率は、前記粘着剤組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。
【0057】
本発明の粘着剤組成物は、添加剤として、pHを調整するための塩基(アンモニア水など)や酸;発泡剤;可塑剤;軟化剤;酸化防止剤;ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン・ビーズ・金属粉末等の充填剤;顔料・染料等の着色剤;pH調整剤;皮膜形成補助剤;レベリング剤;増粘剤;撥水剤;消泡剤;酸触媒;酸発生剤等を含んでいてもよい。
【0058】
前記粘着剤組成物を支持体上に塗布し、乾燥させることによって、粘着層を形成することができる。前記支持体は、剥離シート及び粘着シート等の基材のいずれであってもよい。
【0059】
前記塗工方法としては、ナイフコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップダイコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の方法を用いることができる。
【0060】
前記粘着層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0061】
本発明の粘着シート、粘着テープ、ラベルは、前記粘着層と前記基材とを有する。前記基材は、フィルム状、シート状、テープ状、板状、立体形状等のいずれであってもよく、前記基材の材質としては、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等のプラスチック;ゴム;不織布;金属箔;紙などが挙げられ、プラスチックが好ましく、塩化ビニル樹脂がより好ましい。また、前記基材は、表面が平滑なものであってもよく、繊維質基材、フォーム基材等の表面に凹凸を有するものであってもよい。
【0062】
前記基材の厚みは、好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは1,000μm以下である。
【0063】
本発明の粘着剤組成物は、初期の貼付け時に所望の接着性能を発現し、かつ被着体への貼付けから一定期間経過後に被着体を汚染することなく剥離できる再剥離性を有する粘着剤を提供可能なものであり、各種粘着シート、粘着テープ、ラベル等に有用である。
【実施例0064】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0065】
[合成例1]
<アクリル樹脂(A1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート918質量部、酢酸ビニル40質量部、アクリル酸40質量部、ヒドロキシエチルアクリレート2質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度55,000mPa・s、重量平均分子量65万のアクリル樹脂(A1)を得た。
【0066】
[合成例2]
<アクリル樹脂(A2)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、2-エチルヘキシルアクリレート940質量部、n-ブチルメタクリレート30質量部、アクリル酸20質量部、ヒドロキシエチルアクリレート10質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度30,000mPa・s、重量平均分子量50万のアクリル樹脂(A2)を得た。
【0067】
[合成例3]
<アクリル樹脂(A3)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート918質量部、シクロヘキシルアクリレート50質量部、アクリル酸30質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート2質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度80,000mPa・s、重量平均分子量80万のアクリル樹脂(A3)を得た。
【0068】
[合成例4]
<アクリル樹脂(A4)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート880質量部、メチルアクリレート100質量部、アクリル酸10質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート10質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度110,000mPa・s、重量平均分子量110万のアクリル樹脂(A4)を得た。
【0069】
[合成例5]
<アクリル樹脂(A5)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、2-エチルヘキシルアクリレート910質量部、n-ブチルメタクリレート50質量部、アクリル酸20質量部、ヒドロキシエチルアクリレート20質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度65,000mPa・s、重量平均分子量70万のアクリル樹脂(A5)を得た。
【0070】
[合成例6]
<アクリル樹脂(A6)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート910質量部、i-ボロニルアクリレート50質量部、アクリル酸20質量部、ヒドロキシエチルアクリレート20質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度50,000mPa・s、重量平均分子量65万のアクリル樹脂(A6)を得た。
【0071】
[合成例7]
<アクリル樹脂(A7)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、2-エチルヘキシルアクリレート905質量部、メチルアクリレート40質量部、n-ブチルメタクリレート20質量部、アクリル酸20質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート15質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度90,000mPa・s、重量平均分子量85万のアクリル樹脂(A7)を得た。
【0072】
[合成例8]
<比較アクリル樹脂(A8)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート968質量部、アクリル酸30質量部、ヒドロキシエチルアクリレート2質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度55,000mPa・s、重量平均分子量65万の比較アクリル樹脂(A8)を得た。
【0073】
[合成例9]
<比較アクリル樹脂(A9)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、エチルアクリレート970質量部、アクリル酸20質量部、ヒドロキシエチルアクリレート1質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度100,000mPa・s、重量平均分子量90万の比較アクリル樹脂(A9)を得た。
【0074】
[合成例10]
<比較アクリル樹脂(A10)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、2-エチルヘキシルアクリレート655質量部、メチルアクリレート300質量部、アクリル酸30質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート15質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度140,000mPa・s、重量平均分子量120万の比較アクリル樹脂(A10)を得た。
【0075】
[合成例11]
<比較アクリル樹脂(A11)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート840質量部、アクリル酸10質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート150質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度45,000mPa・s、重量平均分子量50万の比較アクリル樹脂(A11)を得た。
【0076】
[合成例12]
<比較アクリル樹脂(A12)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、2-エチルヘキシルアクリレート928質量部、i-ボロニルメタクリレート50質量部、アクリル酸20質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート2質量部、酢酸エチル1000重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解した2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)溶液10質量部(固形分5%)を添加した。その後、攪拌下70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分50質量%、粘度25,000mPa・s、重量平均分子量45万の比較アクリル樹脂(A12)を得た。
【0077】
前記分子量は、以下の条件にて測定し、ポリスチレン換算した値である。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0078】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0079】
[実施例1]
合成例1で得られたアクリル樹脂(A1)100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(ファインタック硬化剤D-40;DIC(株)製)4質量部を均一になるように攪拌混合することによってアクリル粘着組成物(1)を得た。
【0080】
[実施例2~7、比較例1~5]
アクリル樹脂(A1)100質量部の代わりにアクリル樹脂(A2)~(A7)又は比較アクリル樹脂(A8)~(A12)を用いること以外は、実施例1と同様にして、アクリル粘着剤組成物(2)~(7)、比較アクリル粘着剤組成物(8)~(12)を得た。
【0081】
[粘着フィルムの加工方法]
表面に離型処理された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(離型PET50)の表面に、溶剤乾燥後における膜厚が25μmとなるように実施例1~7、比較例1~5で得られたアクリル粘着剤組成物、比較アクリル粘着剤組成物を塗布し、80℃乾燥機中で3分間溶剤を揮発した後、PET25μmフィルムを貼り合せた。
【0082】
[接着力の測定方法]
前述の方法で作成した粘着フィルムを25mm幅に切ったものを試験片とした。被着体をステンレス(SUS)板、及びポリカーボネート(PC)板とし、2kgロール×2往復で被着体に貼り付けた。貼り付け1時間後に23℃、50%RHの雰囲気下で300mm/minの剥離速度で180度剥離強度を測定し
、接着力とした。
【0083】
[耐湿熱後の接着力の測定方法]
前述の接着力の測定方法と同様に、被着体に試験片を貼り付けた。その後、60℃、90%RH雰囲気下に5日間放置し、取り出した。23℃、50%RHの雰囲気下に30分放置後、300mm/minの剥離速度で180度剥離強度を測定し、耐熱後の接着力とした。
【0084】
[再剥離性の評価方法]
前述の接着力の測定方法と同様に、被着体に試験片を貼り付けた。その後、60℃、90%RH雰囲気下に5日間放置し、取り出した。23℃、50%RHの雰囲気下に30分放置後、試験片を剥離し、剥離した被着体表面の糊残りの有無を確認し、再剥離性の評価とした。
〇:糊残り無し
△:被着体表面に僅かに糊残りがある
×:被着体表面に糊残りがある
【0085】
結果を表1、表2に示す。
【0086】
【0087】
【0088】
実施例1~7は、本発明の実施例であり、初期の貼付け時に所望の接着性能を有し、かつ被着体への貼付けから一定期間経過後に被着体を汚染することなく剥離することが可能であった。
【0089】
比較例1、2、4は、(メタ)アクリル単量体(a2)を用いない例であり、再剥離性或いは初期接着性能が不良であった。比較例3は、(メタ)アクリル単量体(a2)が過量であり、再剥離性が不良であった。ガラス転移温度が100℃を超える(メタ)アクリル単量体を用いた例であり、再剥離性が不良であった。