(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118589
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】除菌剤組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 33/12 20060101AFI20220805BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220805BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20220805BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20220805BHJP
A01N 33/08 20060101ALI20220805BHJP
A01N 37/44 20060101ALI20220805BHJP
A01N 43/80 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/38 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/65 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20220805BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/50 20060101ALI20220805BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20220805BHJP
C11D 3/34 20060101ALI20220805BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20220805BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P3/00
A01N25/02
A01N31/02
A01N33/08
A01N37/44
A01N43/80 102
C11D1/38
C11D1/66
C11D1/65
C11D1/62
C11D3/30
C11D1/72
C11D1/75
C11D1/52
C11D1/50
C11D3/48
C11D3/34
C11D1/88
A61L2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015205
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】草野 公雄
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】竹田 藍
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 みな
(72)【発明者】
【氏名】海老根 和
【テーマコード(参考)】
4C058
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4C058AA06
4C058AA12
4C058AA24
4C058BB07
4C058CC06
4C058DD07
4C058JJ08
4C058JJ30
4H003AC08
4H003AC13
4H003AC15
4H003AD04
4H003AE02
4H003AE05
4H003AE06
4H003AE07
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA09
4H003DA12
4H003DA17
4H003EA03
4H003EA08
4H003EA09
4H003EA15
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB16
4H003EB21
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA16
4H003FA34
4H011AA02
4H011BA06
4H011BB03
4H011BB04
4H011BB06
4H011BB10
4H011DA13
(57)【要約】
【課題】一般細菌に対する除菌性に優れるとともに、洗浄性、貯蔵安定性に優れた除菌効果が長期間にわたり維持される除菌剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の除菌剤組成物は、(A)成分としてカチオン界面活性剤、(B)成分としてノニオン界面活性剤、(C)成分として水を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分としてカチオン界面活性剤、
(B)成分としてノニオン界面活性剤、
(C)成分として水
を含有することを特徴とする除菌剤組成物。
【請求項2】
(A)成分を1質量%以上30質量%以下、(B)成分を0.1質量%以上20質量%以下含有する請求項1に記載の除菌剤組成物。
【請求項3】
(A)成分のカチオン界面活性剤がオクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩から選択される少なくとも一種を含有する請求項1又は2の何れかに記載の除菌剤組成物。
【請求項4】
(B)成分としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルジメチルアミンオキサイド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミドから選択される少なくとも一種のノニオン界面活性剤を含有する請求項1~3の何れかに記載の除菌剤組成物。
【請求項5】
更に(D)成分としてイソチアゾリン系化合物を含有する請求項1~4の何れかに記載の除菌剤組成物。
【請求項6】
更に(E)成分として両性界面活性剤を含有する請求項1~5の何れかに記載の除菌剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品工場、厨房、医療施設等の設備、器具の衛生管理に使用される除菌剤組成物に関するものであり、更に詳しくは、一般細菌に対して除菌性を有する除菌剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品工場、厨房、医療設備等の設備、器具の衛生管理に用いられてきた除菌剤組成物は、強力な除菌性を有する第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤として知られるジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を含む水溶液を用いることが一般的であった。
更に、洗浄面に付着、残留した汚れから微生物が増殖することを防止するために、洗浄性付与を目的としてアニオン界面活性剤や両性界面活性剤を組み合わせた除菌剤組成物の開発が試みられている。
【0003】
従来の除菌剤としては、ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキルアンモニウム塩及び両性界面活性剤を含む殺菌剤組成物(特許文献1)や、カチオン界面活性剤、金属キレート剤、特定のアニオン系界面活性剤を含む殺菌消毒洗浄剤組成物(特許文献2)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-065203号公報
【特許文献2】特開平7-109204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1及び2の組成物では一般細菌に対して除菌性を発揮するものの、優れた洗浄性は示されなかった。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みなされたものである。即ち、本発明は、一般細菌に対して優れた除菌性を発揮し、かつ洗浄性にも優れた除菌剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討した結果、(A)成分としてカチオン界面活性剤、(B)成分としてノニオン界面活性剤、(C)成分として水を含有した除菌剤組成物が、優れた除菌性、洗浄性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、
(1)(A)成分としてカチオン界面活性剤、(B)成分としてノニオン界面活性剤、(C)成分として水を含有することを特徴とする除菌剤組成物、
(2)(A)成分を1質量%以上30質量%以下、(B)成分を0.1質量%以上20質量%以下含有する上記(1)の除菌剤組成物、
(3)(A)成分のカチオン界面活性剤がオクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩から選択される少なくとも一種を含有する上記(1)又は(2)の除菌剤組成物、
(4)(B)成分としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルジメチルアミンオキサイド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミドから選択される少なくとも一種のノニオン界面活性剤を含有する上記(1)から(3)の何れかの除菌剤組成物、
(5)更に(D)成分としてイソチアゾリン系化合物を含有する上記(1)から(4)の何れかの除菌剤組成物、
(6)更に(E)成分として両性界面活性剤を含有する上記(1)から(5)の何れかの除菌剤組成物、
を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の除菌剤組成物は、一般細菌に対して優れた除菌性を発揮し、かつ洗浄性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の除菌剤組成物において、(A)成分のカチオン界面活性剤としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムグルコネート、ジデシルジメチルアンモニウムプロピオネート、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジデシルジメチルアンモニウム塩;ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムアジペート、ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムグルコネート、ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムスルホネート等のジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウム塩;1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-デシルピリジニウムブロマイド)、ビスアルカノイル(3-アミノプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、塩化セチルピリジニウム、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロライド、デシルイソノニルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート及びベンゼトニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイドハイドロクロライド、ポリヘキサメチレングアニジンホスフェート、ポリヘキサメチレングアニジンクロライド、グルコン酸クロルヘキシジン等のグアニジン系カチオン界面活性剤、ヘキサデシルトリブチルフォスフォニウム、アルキルジアミン又はその塩等から選択される何れか1種以上が挙げられる。中でも、より良好な除菌性を示すという観点からは、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジアミン、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩が好ましく、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩が特に好ましい。
【0011】
(A)成分の含有量は、除菌性の観点から1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。(A)成分の含有量が1質量%未満であると除菌性が低下する場合があり、30質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0012】
本発明の除菌剤組成物において、(B)成分のノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい。)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸-N-メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、アルキルジメチルアミンオキサイド、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル等から選択される何れか1種以上が挙げられる。
中でも、より良好な洗浄性を示すという観点からは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルジメチルアミンオキサイド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドが好ましい。
【0013】
(B)成分の含有量は、洗浄性の観点から0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上14質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。(B)成分の含有量が0.1質量%未満であると洗浄性が低下する場合があり、20質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0014】
本発明の除菌剤組成物に用いられる(C)成分である水としては、特に限定はなく、水道水、井水、イオン交換水、軟水などが挙げられる。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。(C)成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、良好な洗浄性、発泡性、貯蔵安定性という観点から、水道水、イオン交換水又は軟水が好ましい。
【0015】
本発明の除菌剤組成物は、更に(D)成分としてイソチアゾリン系化合物を含有させることができる。イソチアゾリン系化合物の例としては、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4-クロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン等から選択される何れか1種以上が挙げられる。本発明の除菌剤組成物に(D)成分を含有することで、一般細菌に対する除菌性に加えて、(A)成分のカチオン界面活性剤に対して抵抗性を持つ菌種(以下、カチオン界面活性剤抵抗性菌と省略する場合がある)に対しても優れた除菌性を発揮する。
中でも、より良好な除菌性を示すという観点からは、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが好ましい。
【0016】
(D)成分の含有量は、カチオン界面活性剤抵抗性菌への除菌性の観点から0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。(A)成分の含有量が0.1質量%未満であるとカチオン界面活性剤抵抗性菌への除菌性が低下する場合があり、5質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0017】
本発明の除菌剤組成物は、更に(E)成分として両性界面活性剤を含有させることができる。両性界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、グリシンn-(3-アミノプロピル)C10~16誘導体、アルキルポリアミノエチルグリシン、アルキルβアラニン、アルキルアミノプロピオン酸及び又はそれらの塩、及びアルキルアミドジメチルハイドロキシプロピルスルホベタイン等から選択される何れか1種以上が挙げられる。
中でも、より良好な洗浄性を示すという観点からは、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、グリシンn-(3-アミノプロピル)C10~16誘導体、アルキルポリアミノエチルグリシン又はそれらの塩が好ましい。
【0018】
(E)成分の含有量は、洗浄性、除菌性の観点から0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上6質量%以下であることが特に好ましい。(A)成分の含有量が0.1質量%未満である洗浄性及び除菌性が低下する場合があり、10質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0019】
本発明の除菌剤組成物は、更に当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、pH調整剤、分散剤、金属腐食抑制剤、キレート剤、溶剤、他の除菌剤、香料、色素、増粘剤、酵素、天然抽出物等が挙げられる。
【0020】
pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-t-ブチルエタノールアミン、N-t-ブチルジエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)イソプロパノールアミン、N,N-ジエチルイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、2-メチルピペラジン、トランス2,5-ジメチルピペラジン、シス-2,6-ジメチルピペラジン等のアルカリ類、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の酸類等が挙げられる。
【0021】
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、イミノジコハク酸、ニトリロ三酢酸、トリポリリン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸又はそれらの塩等が挙げられる。
【0022】
溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、変性エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0023】
分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸型共重合体、マレイン酸型共重合体、メタクリル酸型共重合体、アクリル酸-スルホン酸型モノマー共重合体、アクリル酸-マレイン酸型共重合体等の高分子分散剤が挙げられる。金属腐食抑制剤としては、例えば、短鎖のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸などのポリカルボン酸、リン酸エステル、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールもしくはメルカプトベンゾチアゾールなどのトリアゾール、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸などのようなホスホン酸、アジピン酸、グルタル酸、又はコハク酸等が挙げられる。
【0024】
他の除菌剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸カリウム、ε-ポリリジン、ポリ-γ-グルタミン酸、ナイシン等が挙げられる。
【0025】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料、又はそれらの調合香料等が挙げられる。また、色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はそれらの混合物が挙げられる。増粘剤としては、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン等が挙げられる。酵素としては、リパーゼ、アルカリアミラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、又はプルラナーゼ等が挙げられる。天然抽出物としては、例えば、アサ科植物、アカネ科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、カキノキ科植物、キク科植物、シソ科植物、ショウガ科植物、ツバキ科植物、ナス科植物、ヒノキ科植物、フトモモ科植物、ブドウ科植物、マメ科植物、ミカン科植物、ユリ科植物等の植物由来の天然抽出物や、リゾチーム、しらこ蛋白抽出物等の動物由来の天然抽出物等が挙げられる。
【0026】
本発明の除菌剤組成物により除菌処理を行う際の除菌処理液は、本発明除菌剤組成物を希釈せずに用いても、水又は湯で希釈したものを用いても良いが、除菌処理液は、(A)成分のカチオン界面活性剤を0.01質量%以上含有することが好ましく、0.02質量%から1質量%含有することがより好ましい。
【0027】
本発明の除菌剤組成物は、一般細菌や芽胞菌を含む菌類・微生物の汚染・混入が問題となる幅広い分野(食品分野、醸造分野、医療分野、農業分野など)での除菌に有用である。例えば、乳製品・乳加工品、大豆製品、大豆加工品、ビール・ワイン・清酒、味噌・醤油などの食品加工工場での容器や製造ラインの除菌、内視鏡等の医療器具の消毒や滅菌、透析ラインの洗浄、野菜及び果物の処理水の病原菌微生物の制御、植物の病気又は損傷及び苗木の腐敗の原因となる種子に取り付いた微生物の制御、食鳥肉の処理場での食鳥肉の表面の病原菌の減少、特に、無菌充填法によるPETボトル入り清涼飲料の製造での容器包材(PETボトル及びキャップ)の除菌、又はそのラインの強化除菌に好適に用いることができる。ここで、本発明における一般細菌とは、標準寒天培地を用いて36±1℃で24±2時間で培養したとき、培地に集落を形成する細菌のことを指す。
【実施例0028】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例の除菌剤組成物において配合に用いた各成分を下記表1~9に示す。尚、下記表1~9に示す配合量に関する数値は、除菌剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。また、アルキル基の表記について、例えば、アルキル(C8~18)と表記されている場合、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有する混合物を表す。また後述する試験結果も表1~9に示す。
【0029】
(A)成分
A-1:オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド
A-2:アルキル(C8~18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド
A-3:ジデシルメチルポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネート
A-4:ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩
A-5:ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート
A-6:ビスアルカノイル(3-アミノプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド
A-7:アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウムクロライド(クラリアント・ジャパン社製、製品名「プレパーゲン(商標)HY」)
A-8:ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド
【0030】
(B)成分
B-1:ポリオキシエチレンアルキル(C9~11)エーテル1(青木油脂工業社製、製品名「セフティカット(商標)LI-3062」)
B-2:ポリオキシエチレンアルキル(C9~11)エーテル2(青木油脂工業社製、製品名「セフティカット(商標)LI-3085」)
B-3:テトラデシルジメチルアミンオキサイド(クラリアント・ジャパン社製、製品名「ゲナミノックス(商標)MY」)
B-4:ドデシルジメチルアミンオキサイド(クラリアント・ジャパン社製、製品名「ゲナミノックス(商標)K-12」)
B-5:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(ADEKA社製、製品名「アデカソール(商標)COA」)
B-6:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル1(ADEKA社製、製品名「アデカノール(商標)BO-901」)
B-7:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル2(三洋化成社製、製品名「ナロアクティー(商標)CL-160」)
B-8:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル3(ミヨシ油脂社製、製品名「ペレテックス(商標)PC-2465」)
B-9:アルキル(C12~16)ジメチルアミンオキサイド(ロンザ社製、製品名「バーロックス(商標)14」)
【0031】
(C)成分
C-1:水道水
【0032】
(D)成分
D-1:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン
D-2:2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン
D-3:2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン
【0033】
(E)成分
E-1:アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩1(三洋化成社製、製品名 「レボン(商標)T-2」)
E-2:アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩2(三洋化成社製、製品名 「レボン(商標)S」)
E-3:アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩3(竹本油脂社製、製品名 「パイオニン(商標)C-156」)
【0034】
(F)その他成分
F-1:リン酸カリウム
F-2:メタ珪酸ナトリウム
F-3:水酸化カリウム
F-4:水酸化ナトリウム
F-5:グルコン酸ナトリウム
F-6:トリポリリン酸ナトリウム
F-7:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA・4Na塩)
F-8:プロピレングリコール
F-9:エタノール
F-10:塩酸
F-11:エチレングリコール
F-12:珪酸カリウム
【0035】
※1:一般細菌に対する除菌性試験
(試験方法)
緑膿菌(供試菌株:NBRC13736)を、滅菌したSCD培地を用いて37℃で24時間培養し、109cfu/mLレベルの菌液とした。除菌剤組成物をイオン交換水で0.5質量%に希釈した水溶液10mLに、菌液100μLを添加混合し、25℃で15分静置した後、1mLを分取して滅菌したSCDLP寒天培地にて混和固化し、37℃で48時間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より以下の評価基準で除菌性を評価した。
(評価基準)
○:供試菌のLog reductionが6以上の菌数減少を示した。
△:供試菌のLog reductionが4以上、6未満の菌数減少を示した。
×:供試菌のLog reductionが4未満の菌数減少を示した。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
【0036】
※2:洗浄性試験
ステンレス板(SUS304、縦75mm×横25mm×厚さ1mm)の片面に油 (牛脂10g、大豆油10g、モノオレイン酸グリセリド0.25g、スダンIII0.1gをクロロホルム60mlに溶解したもの)を塗布し、25℃で1~2時間乾燥させたものを試験片として重量を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2゜DH]の硬水で、各除菌剤組成物の3重量%に希釈して調整した水溶液100mLに浸漬し、25℃で5分間放置した後、イオン交換水ですすぎ、自然乾燥させた後、重量を測定した。洗浄前の試験片と、油塗布前のステンレス板との質量差を汚れ付着量とし、洗浄前後の試験片の質量変化から洗浄率を下記式(1)より算出し、以下の評価基準で洗浄性を評価した。
[数1]
洗浄率(%)={(洗浄前試験片質量-洗浄後試験片質量)/(汚れ付着量)}×100・・・(1)
評価基準:
◎:洗浄率80%以上
○:洗浄率60%以上、80%未満
△:洗浄率40%以上、60%未満
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0037】
※3:貯蔵安定性試験
250ml透明ポリプロピレン製容器に各除菌剤組成物を200mL入れ、蓋をして40℃の恒温槽に保管し静置した。1ヶ月後、外観を目視で判定して以下の基準で評価した。
評価基準:
○:析出物や濁りが見られず安定である。
△:析出物や濁りが、若干見られる。
×:析出物又は濁りが見られる。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0038】
※4:カチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性試験
(試験方法)
SCD寒天培地で培養した供試カチオン界面活性剤抵抗性菌(食品工場で採取し分離同定した供試菌株:Serratia marcescens)を、滅菌した生理食塩水に懸濁させ、108cfu/mLレベルの菌液とした。除菌剤組成物をイオン交換水で0.5質量%に希釈した水溶液30mLに、菌液300μLを添加混合し、25℃で7日間静置した後、1mLを分取して滅菌したSCD寒天培地にて混和固化し、37℃で48時間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より以下の評価基準で除菌性を評価した。
(評価基準)
○:供試菌のLog reductionが6以上の菌数減少を示した。
△:供試菌のLog reductionが4以上、6未満の菌数減少を示した。
×:供試菌のLog reductionが4未満の菌数減少を示した。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】