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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119898
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】インク及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20220809BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220809BHJP
   C09D 11/38 20140101ALN20220809BHJP
【FI】
C09D11/101
B41J2/01 501
B41J2/01 129
C09D11/38
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085918
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2021550005の分割
【原出願日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2019220325
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 怜美
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、塗膜の硬度が高く、耐薬品性に優れ、かつ、被記録媒体への密着性に優れた塗膜を形成可能なインクを提供することである。
【解決手段】本発明者は、LEDから発せられる光によって硬化するインクであって、重合性不飽和二重結合を2個以上有する化合物(A)と、重合性不飽和二重結合を1個有する化合物(B)とを含有し、前記化合物(A)が下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(a1)を含有し、前記化合物(B)が複素環式構造を有する化合物(b1)、かつ、前記化合物(A)が前記インクの全量に対して60質量%以上含まれることを特徴とするインクによって、前記課題を解決した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDから発せられる光によって硬化するインクであって、ラジカル重合性不飽和二重結合を2個以上有する化合物(A)と、ラジカル重合性不飽和二重結合を1個有する化合物(B)とを含有し、前記化合物(A)が下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(a1)を含有し、前記化合物(B)が複素環式構造を有する化合物(b1)を含有し、
前記化合物(a1)は前記インクの全量に対して20質量%~70質量%含まれ、かつ、前記化合物(A)が前記インクの全量に対して60質量%以上含まれることを特徴とするインク。
(一般式(1)中のRは炭素原子数4個~9個のアルキレン基を表し、Xは水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項2】
前記化合物(B)が、前記複素環式構造を有する前記化合物(b1)としてカプロラクトン構造を有する化合物を含有し、前記カプロラクトン構造を有する化合物は、前記インクの全量に対して15質量%以下の範囲で含まれる請求項1に記載のインク。
【請求項3】
前記化合物(A)及び前記化合物(B)とは構造が異なるメタクリロイル基を1個以上有する化合物(C)を含有し、前記化合物(C)の含有量が前記インクの全量に対して10質量%以下である請求項に記載のインク。
【請求項4】
被記録媒体に請求項1~のいずれか1項に記載のインクで印刷し、その印刷面に、LEDから発せられる光を照射し硬化させることを特徴とする印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な印刷物の製造に使用可能なインクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化性インクは、他のインクと比較して、硬化性や乾燥性に優れることから、様々な被記録媒体への印刷に使用されている。
【0003】
前記活性エネルギー線硬化性インクとしては、例えば着色剤、特定構造のラジカル重合開始剤、及び、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のラジカル重合性化合物を含有するインク組成物が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
前記活性エネルギー線硬化性インクを用いて得られた印刷物は、広範な用途で使用することが検討されている。例えば前記印刷物を看板等として使用する場合、前記インクには、傷がつきにくく、薬品等が付着した場合であっても印刷画像の劣化等を引き起こしにくいレベルの高硬度で耐薬品性に優れた塗膜を形成できることが求められている。
【0005】
しかし、前記塗膜を高硬度化しようとすると、一般に、前記塗膜と被記録媒体との密着性が低下し、経時的に前記塗膜の剥れ等を引き起こす場合があった。
【0006】
このように、前記塗膜の高硬度化や耐薬品性と、被記録媒体への密着性とがトレードオフの関係にあるなかで、それらを両立した塗膜を形成可能なインクは未だ見出されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-201815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、塗膜の硬度が高く、耐薬品性に優れ、かつ、被記録媒体への密着性に優れた塗膜を形成可能なインクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、LEDから発せられる光によって硬化するインクであって、重合性不飽和二重結合を2個以上有する化合物(A)と、重合性不飽和二重結合を1個有する化合物(B)とを含有し、前記化合物(A)が下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(a1)を含有し、前記化合物(B)が複素環式構造を有する化合物(b1)、かつ、前記化合物(A)が前記インクの全量に対して60質量%以上含まれることを特徴とするインクによって、前記課題を解決した。
【0010】
【化1】
【0011】
(一般式(1)中のRは炭素原子数4個以上のアルキレン基を表し、Xは水素原子またはメチル基を表す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明のインクであれば、塗膜の硬度が高く、耐薬品性に優れ、かつ、被記録媒体への密着性に優れた塗膜を形成可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のインクは、LEDから発せられる光によって硬化するインクであって、重合性不飽和二重結合を2個以上有する化合物(A)と、重合性不飽和二重結合を1個有する化合物(B)とを含有し、前記化合物(A)が下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(a1)を含有し、前記化合物(B)が複素環式構造を有する化合物(b1)を含有し、かつ、前記化合物(A)が前記インクの全量に対して60質量%以上含まれることを特徴とする。本発明のインクであれば、塗膜の硬度が高く、耐薬品性に優れ、かつ、被記録媒体への密着性に優れた塗膜を形成することができる。
【0014】
【化2】
【0015】
(一般式(1)中のRは炭素原子数4個以上のアルキレン基を表し、Xは水素原子またはメチル基を表す。)
【0016】
本発明のインクは、LED(発光ダイオード)から発せられる光によって硬化する。前記光としては、例えば波長350nm~420nmにピーク発光波長を持つ紫外線が挙げられ、特に360~400nmの領域にピーク発光波長を持つ紫外線を使用することが好ましい。
【0017】
本発明のインクに含まれる化合物(A)としては、重合性不飽和二重結合を2個以上有するものを使用する。
【0018】
前記化合物(A)としては、好ましくは重合性不飽和二重結合を2個以上、より好ましくは3個以上有する化合物を使用すると、本発明のインクを用いて形成された硬化塗膜の架橋密度が高くなるため、耐薬品性に優れ高硬度な硬化塗膜を形成することが可能となる。一方、前記化合物(A)としては、良好な耐薬品性と高硬度と、被記録媒体への密着性とを両立する観点から、重合性不飽和二重結合の数が2~6個であることが好ましく、2~3個であることがより好ましい。
【0019】
また、前記化合物(A)は、本発明のインクの全量に対して、60質量%以上使用する。これにより、本発明のインクを用いて形成された硬化塗膜の架橋密度が高くなるため、耐薬品性に優れ高硬度な硬化塗膜を形成することが可能となる。ここで、前記化合物(A)の含有量が前記インクの全量に対して60質量%未満である場合、耐薬品性や硬度の低下を引き起こす場合がある。
【0020】
前記化合物(A)は、前記インクの全量に対して、65質量%~85質量%の範囲で使用することが好ましく、70質量%~80質量%の範囲で使用することが、より一層優れた耐薬品性を備え高硬度な硬化塗膜を形成可能なインクを得るうえで特に好ましい。
【0021】
前記化合物(A)としては、前記一般式(1)で示される構造を有する化合物(a1)を含有するものを使用する。
【0022】
【化3】
【0023】
(一般式(1)中のRは炭素原子数4個以上のアルキレン基を表し、Xは水素原子またはメチル基を表す。)
【0024】
前記化合物(a1)としては、前記一般式(1)中のRが炭素原子数4個~9個のアルキレン基であるものを使用することが好ましく、前記Rが炭素原子数6個~9個のアルキレン基であるものを使用することが好ましく、Rが炭素原子数6個のアルキレン基であるものを使用することが、高硬度で耐薬品性に優れ、被記録媒体への密着性に優れた塗膜を形成可能で、LEDから発せられる光に対して感度が高くその照射によって速やかに硬化する性質を備えたインクを得るうえで特に好ましい。
【0025】
前記化合物(a1)としては、具体的には、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートを使用することができ、なかでも1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを使用することが、高硬度で耐薬品性に優れ、被記録媒体への密着性に優れた塗膜を形成可能で、LEDから発せられる光に対して感度が高くその照射によって速やかに硬化する性質を備えたインクを得るうえで特に好ましい。
【0026】
前記化合物(a1)は、被記録媒体への密着性に優れた塗膜を形成可能で、活性エネルギー線に対して感度が高くその照射によって速やかに硬化する性質を備えたインクを得るうえで、前記インクの全量に対して20質量%~70質量%使用することが好ましく、30質量%~60質量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0027】
また、前記化合物(A)としては、前記化合物(a1)以外の化合物(a2)を、前記化合物(a1)と組み合わせ使用することができる。
【0028】
前記化合物(a2)としては、例えばトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド変性物やカプロラクトン変性物、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキルリン酸(メタ)アクリレート等、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記化合物(a2)としては、前記インクの全量に対して、60質量%~95質量%の範囲で使用することが好ましく、75質量%~90質量%の範囲で使用することが、_基材密着と耐薬品性の両立するうえでより好ましい。
【0029】
次に、重合性不飽和二重結合を1個有する化合物(B)について説明する。
【0030】
前記化合物(B)としては、重合性不飽和二重結合を1個有する複素環式構造を有する化合物(b1)を単独、または、前記化合物(b1)と、前記化合物(b1)以外の重合性不飽和二重結合を1個有する化合物(b2)とを組み合わせ使用する。前記化合物(B)を使用することによって、前記重合性不飽和二重結合を2個以上有する化合物(A)のみを使用した場合よりも、本発明のインクを用いて形成された架橋密度を適度に低下させ、その結果、塗膜の硬度や耐薬品性や前記密着性や、LEDから発せられる光に対する前記感度を大幅に損なうことなく、良好な柔軟性を備えた硬化塗膜を形成可能なインクを得ることが可能となる。前記化合物(B)が有する重合性不飽和二重結合としては、(メタ)アクリロイル基が挙げられるが、アクリロイル基であることが好ましい。
【0031】
前記化合物(B)としては、前記インクの全量に対して1~39質量%の範囲で使用することが好ましく、5質量%~30質量%の範囲で使用することがより好ましく、10質量%~20質量%の範囲で使用することが、硬化塗膜の高硬度と優れた耐薬品性と前記感度とを大幅に損なうことなく、良好な柔軟性と、被記録媒体への密着性とを備えた硬化塗膜を形成可能なインクを得るうえで特に好ましい。
【0032】
前記複素環式構造を有する化合物(b1)としては、例えばカプロラクトン構造を有する化合物、ピリジン構造を有する化合物、ピロリドン構造を有する化合物、テトラヒドロフラン構造を有する化合物、環状トリメチロールプロパン構造を有する化合物を使用することができる。なかでも、前記化合物(b1)としては、カプロラクトン構造を有する化合物を使用することが好ましく、具体的には、N-ビニルカプロラクタムを使用することが、硬化塗膜の高硬度と優れた耐薬品性とを大幅に損なうことなく、良好な柔軟性と、被記録媒体への密着性とを備えた硬化塗膜を形成可能で、かつ、前記感度がより一層高いインクを得るうえで特に好ましい。
【0033】
また、前記カプロラクトン構造を有する化合物をはじめとする複素環式構造を有する化合物(b1)は、前記インクの全量に対して15質量%以下の範囲で使用することが好ましく、1質量%~12質量%の範囲で使用することがより好ましく、5質量%~10質量%の範囲で使用することが、硬化塗膜の高硬度と優れた耐薬品性とを大幅に損なうことなく、良好な柔軟性と、被記録媒体への密着性とを備えた硬化塗膜を形成可能で、かつ、前記感度がより一層高いインクを得るうえで特に好ましい。
【0034】
また、前記化合物(b2)としては、特に限定なく公知の単官能化合物を使用することができるが、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート等の置換基を有するアクリレート等が挙げられる。
前記化合物(b2)としては、前記インクの全量に対して、5質量%~40質量%の範囲で使用することが好ましく、10質量%~25質量%の範囲で使用することが、被記録媒体への優れた密着性と優れた耐薬品性とを両立するうえでより好ましい。
【0035】
本発明のインクとしては、前記化合物(A)と化合物(B)と、さらに、前記化合物(A)及び前記化合物(B)とは異なるメタクリロイル基を1個以上有する化合物(C)とを組み合わせ含有するものを使用することが、被記録媒体への密着性をより一層向上させるうえで好ましい。
【0036】
前記化合物(C)としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ノニルフェノキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート等の単官能メタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,8-オクタンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジメタクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド(EO)またはプロピレンオキサイド(PO)が付加したジオールのジメタクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加したジオールのジメタクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加したトリオールのジメタクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加したトリオールのトリメタクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加したジオールのジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート,ジペンタエリスリトールのポリメタクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸メタクリレート、エチレンオキサイド変性アルキルリン酸メタクリレート等を使用することができる
前記化合物(C)としては、前記したなかでも、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加したトリオールのトリメタクリレートやネオペンチルグリコールジメタアクリレートを使用することが、好ましい。
【0037】
前記化合物(C)としては、本発明のインクの全量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲であることが好ましく、0.5質量%~5質量%の範囲であることが、被記録媒体への密着性をより一層向上させるうえで好ましい。
【0038】
本発明のインクは、LEDから発せられる光を受けることによって硬化する。本発明のインクとしては、光重合開始剤を含有するものを使用することができる。
【0039】
前記光重合開始剤としては、例えばベンゾインイソブチルエーテル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オンおよび2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド等を使用することができる。
【0040】
前記光重合開始剤としては、前記したなかでもアシルホスフィンオキアシド系光重合開始剤を使用することが好ましい。
【0041】
また、前記光重合開始剤としては、UV-LED光源を使用する場合には、UV-LED光源から発せられる光の波長に対応した2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等、を使用することが好ましい。
【0042】
前記光重合開始剤は、増感剤と組み合わせ使用することが好ましい。前記増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を使用することができる。
【0043】
本発明のインクとしては、必要に応じて着色剤を含有するものを使用することができる。
【0044】
前記着色剤としては、例えば顔料や染料を使用することができる。前記顔料としては、例えばシアンインクに使用されるフタロシアニン顔料、マゼンタインクに使用されるキナクリドン系顔料、イエローインクに使用されるアゾ顔料、ブラックインクに使用されるカーボンブラック、ホワイトインクに使用可能な白色顔料等が挙げられる。
【0045】
前記シアンインクに使用されるフタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルーの1、2、3、15:3、15:4、16:6、16、17:1、75、79等が挙げられる。
【0046】
マゼンタインクに使用されるキナクリドン系顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19等があげられる。
【0047】
イエローインクに使用されるアゾ顔料としては、例えばC.I.ピグメント イエローの120、151、154、175、180、181、1、65、73、74、116 、12、13、17、81、83、150、155、214、128等の、モノアゾ及びジスアゾ顔料が含まれる。
【0048】
ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、三菱化学株式会社のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、キャボット社製のRegal400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlack S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Special Black 6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
【0049】
ホワイトインクに使用可能な白色顔料としては、特に限定はなく公知の無機白色顔料を使用できる。前記無機白色顔料としては、例えば、アルカリ土類金属の硫酸塩または炭酸塩、微粉ケイ酸や合成珪酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。前記無機白色顔料としては、前記したシリカ類等の表面が各種表面処理方法によって表面処理されたものを使用することもできる。
【0050】
前記顔料の平均粒径(メジアン径:50%径)は、10nm~300nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50nm~200nmである。
【0051】
前記顔料のうち、前記白色顔料は、印刷物に隠蔽性を付与するためのホワイトインクに使用される。前記白色顔料は、優れた隠蔽性と、優れた吐出安定性と印刷画像の高い発色性とを備えたホワイトインクを得るうえで、平均粒径(メジアン径:50%径)が100nm~500nmのものを使用することが好ましく、150nm~400nmのものを使用することがより好ましい。
【0052】
前記顔料は、十分な画像濃度や印刷画像の耐光性を得るため、前記インクの全量に対して1質量%~20質量%の範囲で含まれることが好ましく、1質量%~10質量%の範囲で含まれることがなお好ましく、1質量%~5質量%の範囲で含まれることが最も好ましい。
【0053】
前記顔料は、前記化合物(A)及び前記化合物(B)中における良好な分散安定性を得るうえで、顔料分散剤や顔料誘導体(シナジスト)等と組み合せ使用してもよい。
【0054】
前記顔料分散剤としては、特に限定されないが、例えば味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822、PB817、アビシア社製のソルスパーズ24000GR、32000、33000、39000、楠本化成社株式会社製のディスパロンDA-703-50、DA-705、DA-725等を使用することができる。
【0055】
前記顔料分散剤は、前記顔料に対して10質量%~100質量%の範囲で使用することが好ましく、より一層優れた吐出安定性と顔料分散性とを備えたインクを得るうえで、20質量%~80質量%の範囲であるものを使用することがより好ましい。
【0056】
本発明のインクとしては、前記した成分の他に、必要に応じてハイドロキノン、メトキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、P-メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等の重合禁止剤を含有するものを使用することができる。前記重合禁止剤は、本発明のインクの全量に対して0.01質量%~2質量%の範囲で使用することができる。
【0057】
本発明のインクとしては、プラスチック基材等の被記録媒体への密着性をより一層向上させるうえで、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル等の非反応性樹脂等を含有するものを使用することができる。
【0058】
本発明のインクをインクジェット記録方式で吐出する場合、前記インクの25℃の粘度は、3mPa・sec~30mPa・secの範囲であることが好ましく、5mPa・sec~20mPa・secの範囲であることが、インクの吐出ノズルからの良好な吐出安定性を確保するうえでより好ましい。
【0059】
本発明のインクは、例えば前記化合物(A)と前記化合物(B)と、必要に応じて前記化合物(C)や顔料、顔料分散剤、樹脂等を、ビーズミル等の通常の分散機を用いて混合した後、光重合開始剤を加え、必要に応じて重合禁止剤や増感剤や表面張力調整剤等の添加剤を加えて混合することで製造することができる。
【0060】
前記インクは、予め、ビーズミル等の通常の分散機を用いて、顔料や顔料分散剤や樹脂等を含有する高濃度の顔料分散体(ミルベース)を製造し、前記顔料分散体に光重合開始剤や前記化合物(A)や前記化合物(B)や前記化合物(C)や添加剤等を混合、攪拌、することによって製造することもできる。
【0061】
前記分散機としては、ビーズミルの他、たとえば超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザーなど、公知慣用の各種分散機を使用することができる。
【0062】
本発明のインクは、LEDから発せられる光、好ましくは紫外線等の光照射をすることにより硬化する。紫外線等の光源としては、UV-LEDランプ等を使用することができる。
【0063】
本発明のインクは、もっぱらインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方式での印刷に好適に使用することができる。
【0064】
インクジェット記録方式としては、従来公知の方式がいずれも使用できる。例えば圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)や熱エネルギーを利用する方法が挙げられる。
【0065】
前記インクを、インクジェット記録装置を用いて吐出し、被記録媒体に印刷し、LEDから発せられる光を照射することによって硬化させることによって、印刷物を製造することができる。前記印刷物としては、例えば広告、看板、案内板、販促品印刷などが挙げられる。
【0066】
本発明のインクは、様々な種類の被記録媒体に対する密着性に優れるため、曲面や凹凸した不規則な形状を有するような被記録媒体の表面にも容易に印刷することができる。
【0067】
前記被記録媒体としては、例えばプラスチック基材を使用することができる。前記プラスチック基材としては、具体的には、汎用の射出成形用プラスチックとして使用される、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)/ABS樹脂、PA(ポリアミド)/ABS樹脂、PC(ポリカーボネート)/ABS樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)/ABS等のABS系のポリマーアロイ、AAS(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレンゴム・スチレン)樹脂、MS((メタ)アクリル酸エステル・スチレン)系樹脂、PC(ポリカーボネート)系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂等からなる基材が挙げられる。
【0068】
また、前記プラスチック基材としては、例えば包装材料用に使用される熱可塑性樹脂フィルム等を使用することも可能である。
【0069】
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、一般に食品包装用として使用される熱可塑性樹脂フィルムとして使用されるものが挙げられ、例えばポリエチレンレテフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、一軸延伸や二軸延伸等の延伸処理されたものや、表面に火炎処理やコロナ放電処理等が施されたものを使用することもできる。
【実施例0070】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0071】
[顔料分散体の調製例]
調製例1;シアン顔料分散体(1)
ファストゲンブルーTGR-G(DIC株式会社製 フタロシアニン顔料C.I.ピグメントブルー15:4)10質量部と、ソルスパーズ 32000(ルーブリゾール製、高分子顔料分散剤)4.5質量部と、MIRAMER M222(MIWON社製 ジプロピレングリコールジアクリレート)85.5質量部とを、攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間処理することによって、シアン顔料分散体(1)を得た。
【0072】
調製例2;シアン顔料分散体(2)
MIRAMER M222(MIWON社製 ジプロピレングリコールジアクリレート)85.5質量部の代わりに、MIRAMER M200(MIWON社製、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)85.5質量部を使用したこと以外は、調製例1と同様の方法でシアン顔料分散体(2)を得た。
【0073】
調製例3;マゼンタ顔料分散体(3)
ファストゲンブルーTGR-G(DIC株式会社製 フタロシアニン顔料C.I.ピグメントブルー15:4)10質量部の代わりに、ファストゲンスーパーマゼンタ RTS(DIC株式会社製 マゼンタ顔料C.I.ピグメントレッド 122)10質量部を使用したこと以外は、調製例1と同様の方法でマゼンタ顔料分散体(3)を得た。
【0074】
調製例4;イエロー顔料分散体(4)
レバスクリーンイエローG01((株)ランクセス製 C.I.ピグメントイエロー150)10質量部と、ソルスパーズ 32000(ルーブリゾール製 高分子顔料分散剤)6質量部と、MIRAMER M222(MIWON社製 ジプロピレングリコールジアクリレート)84質量部とを、攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間処理することによって、イエロー顔料分散体(4)を得た。
【0075】
調製例5;ブラック顔料分散体(5)
カーボンブラック #960(三菱化学株式会社製 カーボンブラック)10質量部と、ソルスパーズ 32000(ルーブリゾール製 高分子顔料分散剤)4.5質量部と、MIRAMER M222(MIWON社製 ジプロピレングリコールジアクリレート)85.5質量部とを、攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間処理することによって、ブラック顔料分散体(5)を得た。
【0076】
調製例6;ホワイト顔料分散体(6)
TITANIX JR-806(テイカ株式会社製 酸化チタン)50質量部と、ソルスパーズ 24000(ルーブリゾール製 高分子顔料分散剤)2.5質量部と、MIRAMER M222(MIWON社製 ジプロピレングリコールジアクリレート)47.5質量部とを、攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間処理することによって、ホワイト顔料分散体(6)を得た。
【0077】
実施例1
容器にMIRAMER M3130を9質量部、MIRAMER M200を56質量部、V-CAPを9質量部、KF-351Aを0.2質量部を入れ攪拌混合し、次いでOmnirad819を3.5質量部、Omnirad TPO-Hを4質量部、Kayacure DETX-Sを2.5質量部を加え、温度60℃で30分間混合した。
【0078】
次に、前記混合物と前記顔料分散体(1)とを混合し10分間攪拌することで、表1に示す配合のインクを得た。
【0079】
実施例2~12及び比較例1~4
インクの配合を表1~3に記載したものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でインクを製造した。
【0080】
以下に使用した原料の詳細を記載する。()内は、表中に記載した略称である。
・MIRAMER M3130(M3130):MIWON社製 エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート
・MIRAMER M222(M222):MIWON社製 ジプロピレングリコールジアクリレート
・MIRAMER M200(M200):MIWON社製 1、6-ヘキサンジオールジアクリレート
・MIRAMER M213(M213):MIWON社製 ネオペンチルグリコールジメタクリレート
・V-CAP(V-CAP):アッシュランド社製 N-ビニル-2-カプロラクタム
・ライトアクリレート POA(POA):共栄社化学株式会社製 フェノキシエチルアクリレート
・KF-351A(KF-351A):信越化学工業株式会社製 ポリシロキサン
・Omnirad819(819):IGM社製 ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド
・Omnirad TPO-H(TPO):IGM社製 2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド
・Kayacure DETX-S(DETX):日本化薬株式会社製 ジエチルチオキサントン
【0081】
[静的表面張力]
前記静的表面張力は、ポリ容器に入れたインクを恒温水槽に浸漬し25℃に調整した後、協和界面科学株式会社製のウェルヘルミー型表面張力測定器:DY-300を用いて測定した。
【0082】
[粘度]
インクの25℃における粘度は、東機産業株式会社製の粘度測定器:TV-25を用いて測定した。前記測定装置の測定回転数は20rpm/mimとした。
【0083】
[硬化性]
インクを、ポリカーボネート板(PC:旭硝子(株)製、レキサン、厚さ1mm)に対し、スピンコーターにて厚さ6μmになるように塗布した。次に、前記塗布面に浜松ホトニクス株式会社製のLED照射装置(発光波長:385nm、ピーク強度:500mW/cm)を用いて、1回の照射エネルギー量が30J/mとなるように照射し、前記塗布面を指触した際にタックフリーになるまでの照射エネルギー量の積算値を測定した。
【0084】
前記照射エネルギー量の積算値が400mJ/cm以下であった塗膜を形成可能なインクは、硬化性に優れると評価した。
【0085】
[密着性]
前記インクを、ポリカーボネート板(PC:旭硝子(株)製、レキサン、厚さ1mm)、アクリル板(PMMA:クラレ(株)製、コモグラス)、塩化ビニルプレート(PVC:三菱化学(株)製、ヒシプレートGE301)、に対し、スピンコーターにて厚さ10μmで塗布した。次に、前記塗布面に浜松ホトニクス株式会社製のLED照射装置(発光波長:385nm、ピーク強度:500mW/cm、1回の照射エネルギー量が30J/m)を用いて、前記塗布面がタックフリーとなるまで照射することによって硬化塗膜を得た。
【0086】
得られた硬化塗膜に、2mm間隔で5×5の25マス様にカッターナイフで切り込みを入れた後、その硬化塗膜にニチバン株式会社製のセロハン粘着テープを貼り付け、前記テープの表面を10回爪で擦った。次に、剥離速度約1cm/secの速度にて勢い良くテープを剥がし、前記ポリカーボネート板、塩化ビニルプレート、アクリル板の表面に残った塗膜のマス目の数を確認した。
【0087】
評価基準
良:塗膜のマス数が20以上
可:塗膜のマス数が15以上20未満
不可:塗膜のマス数が15未満
【0088】
[耐薬品性]
前記インクを、ポリカーボネート板(旭硝子(株)製、レキサン、厚さ1mm、PC)に対し、スピンコーターにて厚さ10μmで塗布した。次に、前記塗布面に浜松ホトニクス株式会社製のLED照射装置(発光波長:385nm、ピーク強度:500mW/cm、1回の照射エネルギー量が30J/m)を用いて、前記塗布面がタックフリーとなるまで照射することによって硬化塗膜を得た。
【0089】
得られた硬化塗膜を、エタノール及び水の混合物(エタノールの含有割合70質量%)を浸した綿棒で、約2cm幅で左右に10回擦った。塗膜表面に擦り跡が無かったものを「○」と評価し、擦り跡が確認されたものを「×」と評価した。
【0090】
[鉛筆硬度]
前記インクを、ポリカーボネート板(旭硝子(株)製、レキサン、厚さ1mm、PC)に対し、スピンコーターにて厚さ10μmで塗布した。次に、前記塗布面に浜松ホトニクス株式会社製のLED照射装置(発光波長:385nm、ピーク強度:500mW/cm、1回の照射エネルギー量が30J/m)を用いて、前記塗布面がタックフリーとなるまで照射することによって硬化塗膜を得た。
【0091】
得られた硬化塗膜の鉛筆硬度を、に対しJIS-K5600-5-4の試験方法に則り鉛筆硬度評価を行った。鉛筆はMITSU-BISHI製を用い、試験機器は、(株)東洋精機製作所製鉛筆引っかき硬度試験機を用いて評価した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】