(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011996
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】複合冷菓
(51)【国際特許分類】
A23G 9/00 20060101AFI20220107BHJP
A23G 3/54 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A23G9/00
A23G3/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113473
(22)【出願日】2020-06-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】安澤 慶弘
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 紋奈
(72)【発明者】
【氏名】玉熊 祐美江
(72)【発明者】
【氏名】中山 喜光
(72)【発明者】
【氏名】有馬 雄太
(72)【発明者】
【氏名】大川 克則
(72)【発明者】
【氏名】青木 祐也
(72)【発明者】
【氏名】荒木 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】荒木 康二朗
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 傑通
(72)【発明者】
【氏名】本田 隆二
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB04
4B014GB18
4B014GB19
4B014GE02
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、新規な形態の複合冷菓を提供することにある。また、本発明は保形性に優れる複合冷菓を提供することをさらなる課題とする。
【解決手段】
クリーム部、及び層状の固体チョコレート部を含む冷菓部と、及び前記冷菓部を両側から挟持する板状の可食容器部とを備える複合冷菓であって、
前記固体チョコレート部が、前記クリーム部内に分散されてなる、複合冷菓。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーム部、及び層状の固体チョコレート部を含む冷菓部と、及び前記冷菓部を両側から挟持する板状の可食容器部とを備える複合冷菓であって、
前記固体チョコレート部の少なくとも一部が、前記クリーム部内に分散してなる、複合冷菓。
【請求項2】
前記固体チョコレート部が、前記板状の可食容器部の平面方向に対して略垂直方向に積層してなる、請求項1に記載の複合冷菓。
【請求項3】
前記固体チョコレート部の一部が、前記冷菓部の側面から露出してなる、請求項1又は2に記載の複合冷菓。
【請求項4】
前記固体チョコレート部が、略螺旋形状に分散してなる、請求項1~3の何れか一項に記載の複合冷菓。
【請求項5】
前記冷菓部の外観形状が、略螺旋形状である、請求項1~4の何れか一項に記載の複合冷菓。
【請求項6】
前記複合冷菓を可食容器部の厚さ方向に切断した断面形状において、前記固体チョコレート部が層状に分散されてなる、請求項1~5の何れか一項に記載の複合冷菓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム部及びチョコレート部を含む冷菓部と、前記冷菓部を両側から挟持する板状の可食容器部とを備える複合冷菓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷菓をビスケットやクッキー等の焼成菓子に挟んだ形態の、いわゆる「サンドアイス」と呼ばれる形態の複合冷菓が存在する。このサンドアイスは、焼成菓子、及び冷菓のそれぞれ異なる食感、及び味を楽しむことができる。
【0003】
本出願人も、従来よりバニラアイスを両側からビスケットで挟持するサンドアイスを販売して来ており、根強い人気のロングセラー商品となっている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】森永製菓株式会社、「ビスケットサンド」、[online]、[令和2年3月6日検索]、インターネット<URL:https://www.morinaga.co.jp/ice/bissan/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなサンドアイスは、消費者自身の手に取って頬張りやすいという利点があるが、冷菓が消費されやすい夏場の気温や、他の荷物により圧力がかかることで、一度形状が崩れるとしてしまうと、喫食し辛くなるという問題が発生し得る。また、形状が崩れると、サンドアイスの美観が損なわれ、好ましくない。
【0006】
したがって、本発明は、保形性に優れる複合冷菓を提供することをさらなる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の結果、意外にも、クリーム部に層状のチョコレート部を分散させた冷菓部の両側を、板状の可食容器で挟持した新規の形態の複合冷菓は、その形状自身により優れた保形性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、前記課題を解決する本発明は、
クリーム部、及び層状の固体チョコレート部を含む冷菓部と、及び前記冷菓部を両側から挟持する板状の可食容器部とを備える複合冷菓であって、
前記固体チョコレート部が、前記クリーム部内に分散されてなる、複合冷菓である。
このような形態の複合冷菓は、保形性に優れる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記固体チョコレート部は、前記板状の可食容器部の平面方向に対して略垂直方向に積層してなる。
このような形態の複合冷菓は、より保形性に優れる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、
前記固体チョコレート部の少なくとも一部が、前記冷菓部の側面から露出してなる。
このような形態の複合冷菓は、保形性に優れる。また、固体チョコレート部が、冷菓部の表面に露出してなることで、美観に優れる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記固体チョコレート部が、略螺旋形状に分散してなる。
このような形態の複合冷菓は、保形性に優れる。また、このような複合冷菓は美観に優れ、この外観を維持する能力に長けている。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記冷菓部の外観形状が、略螺旋形状である。
このような形態の複合冷菓は複合冷菓の保形性に優れ、美観に優れる外観を維持することができる。
【0013】
前記複合冷菓を可食容器の厚さ方向に切断した断面形状において、前記固体チョコレート部が層状に分散されてなる。
このような複合冷菓は、保形性に優れ、美観に優れる外観を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の複合冷菓は、保形性が高く、その外観を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)本実施形態の複合冷菓の外観を表す図面、及び(b)複合冷菓の断面形状を表す図面である。
【
図2】本実施形態に係る複合冷菓の製造装置の概略図である。
【
図3】(a)本実施形態に係る冷菓充填ノズルの吐出口を正面から見た図面、及び(b)別の実施形態に係る冷菓充填ノズルの吐出口を正面から見た図面である。
【
図4】冷菓用チョコレートの充填軌道を示す説明図である。
【
図5】試験例1で製造した複合冷菓の図面代用写真である。
【
図6】試験例2の保形性比較試験における実験結果を示す図面代用写真である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る複合冷菓の正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る複合冷菓の背面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る複合冷菓の左側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る複合冷菓の右側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る複合冷菓の平面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る複合冷菓の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る複合冷菓について説明する。
なお、説明の便宜上、複合冷菓におけるクリームを「クリーム部」、チョコレートを「固体チョコレート部」と称し、充填する前の状態のクリームを「冷菓用クリーム」、チョコレートを「冷菓用チョコレート」と称する。
【0017】
(1)複合冷菓の形状
図1(a)に、本実施形態に係る複合冷菓10の外観を示す。
図1(b)に、複合冷菓を高さ方向、すなわち、板状の可食容器の厚さ方向に切断した冷菓部20内の断面形状の様子を示す。
【0018】
本実施形態に係る複合冷菓10は、クリーム部21、及び層状の固体チョコレート部22からなる冷菓部20が、板状の可食容器部30に両側から挟まれる、いわゆるサンドアイスの形態である。
【0019】
図1に示すように、複合冷菓10は、固体チョコレート部22の一部が、冷菓部20の側面、すなわち、可食容器部30の平面方向に対して略垂直の面から露出する。
そして、クリーム部21及び固体チョコレート部22は、それぞれ略螺旋形状を呈しており、冷菓部20全体として外観が略螺旋形状となっている。本実施形態の複合冷菓10は、クリーム部21の白色と固体チョコレート部22の黒色のコントラストが美しく、サンドアイスとして今までにない美観を有している。また、このように略螺旋形状の冷菓部20を有する複合冷菓10は、保形性に優れる。
【0020】
また、固体チョコレート部22は、
図1(b)に示すように、可食容器部30の平面方向に対して、略垂直方向に積層する。そして、層状の固体チョコレート部22における沿層方向と、可食容器部30の平面方向は略平行となっている。
このように、固体チョコレート部22を冷菓部20の内部において層状に分散する形態とすることで、複合冷菓10を常温で長時間放置した後や、複合冷菓10に望ましくない圧力が掛かった場合であっても、冷菓部20の外観を維持しやすくすることができる。
【0021】
クリーム部の組成は、一般的に冷菓用クリームとして許容されるものであれば使用することができる。例えば、冷菓用クリームの原料として、ショ糖、異性化糖、水飴等の甘味料、バター、ヤシ油、パーム油、なたね油、大豆油等の油脂類、牛乳、クリーム、脱脂乳、脱脂粉乳、練乳等の乳製品を用いることができる。
【0022】
また、クリーム部は、風味原料を含んでもよい。風味原料は特に限定されず、チョコレート原液、ココアパウダー、カカオマス、洋酒、コーヒー、茶、果汁等を用いることができる。
【0023】
また、クリーム部は、一般的に冷菓に使用可能な添加物を含んでも良い。例えば、アスパルテーム、スクラロース等の人工甘味料、カラギーナン、CMC、アルギン酸Na、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、寒天等の安定剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤等が挙げられる。
【0024】
固体チョコレート部の組成は、一般的な家庭用冷凍庫内の温度(-18℃)において固体となるものであれば、特に限定されず、一般的に冷菓用チョコレートとして許容されるものであれば使用することができる。
なお、本明細書において「チョコレート」は、規約や法規上の規定によって限定されるものではなく、カカオマス、ココア、ココアバター等のカカオ原料、及びココアバター代用脂等を使用した油脂加工食品全般を意味するものとする。すなわち、準チョコレート、チョコレート利用食品の他、これらを利用した食品も含まれる。
【0025】
したがって固体チョコレート部には、菜種油、ヤシ油、大豆油、パーム油、パーム核油等の植物油脂、砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、オリゴ糖、マルトース、パラチノース、ガラクトース等の糖類、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチュロース等の糖アルコール、グルチルリチン、ステビオサイド、レバウディオサイド等の天然甘味料、スクラロース、アステルパーム等の人工甘味料、牛乳、全粉乳及び脱脂粉乳等の乳原料、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤等並びに香料等を含んでも良い。
【0026】
本発明の固体チョコレート部は、チョコレートコーチングであることが好ましい。
【0027】
固体チョコレート部の厚みは均一である必要はなく、概ね0.005~10mmの範囲に収まる厚さを有する。固体チョコレート部の厚みの範囲は、好ましくは0.01~5mm、さらに好ましくは0.05~5mm、特に好ましくは0.1~3mm、最も好ましくは0.5~2mmである。
固体チョコレート部の厚みをこのような範囲とすることで、より好ましいパリパリとした食感を付与することができる。
【0028】
前記固体チョコレート部と前記クリーム部の体積比は、好ましくは5:95~40:60、より好ましくは10:90~35:65、さらに好ましくは15:85~30:70、特に好ましくは20:80~30:70である。
【0029】
層状の前記固体チョコレート部は、可食容器部30の平面方向に対して略垂直方向に積層していることが好ましい。層の数は、好ましくは1~15層、より好ましくは2~13層、さらに好ましくは4~10層、特に好ましくは5~8層である。
【0030】
前記固体チョコレート部は、前記クリーム部内に連続的に分散していてもよく、断続的に分散していてもよい。
【0031】
可食容器部としては、ビスケット、クッキー、ワッフル等の焼菓子を例示することができる。
また、本発明における可食容器部は、板状である。板状とすることで、可食容器部が冷菓部を覆うことなく、冷菓部自体の外観を楽しむことができる。
また、本発明における可食容器部は、少なくとも一方の面が略平面であれば良い。例えば、一方の面が略平面であり、他方の面(反対側の面)が丸みを帯びた形状であっても良い。
【0032】
また、本発明の可食容器部の平面形状は、円形、四角形、六角形、ハート型等任意の形状とすることができる。
【0033】
本実施形態においては、美観の観点から、固体チョコレート部が冷菓部から露出する形態について例示したが、本発明の複合冷菓は、固体チョコレート部が露出しなくてもよい。
【0034】
(2)冷菓充填装置
図2に、本実施形態に係る複合冷菓10を製造するための冷菓充填装置の概略図を表す。
本実施形態に係る冷菓充填装置は、冷菓充填ノズル40aと載置部50を備える。また、冷菓充填装置は、吐出対象の流動性を確保するために、温調ユニット(図示せず)を備えてもよい。
【0035】
(I)冷菓充填ノズル
冷菓充填ノズル40aは、冷菓用クリームを吐出するクリーム吐出口41と、冷菓用チョコレートを吐出するチョコレート吐出口42を備え、これらの吐出口は、冷菓用クリームと冷菓用チョコレートを同時に吐出ができるよう構成されている。したがって、冷菓用クリームと冷菓用チョコレートの同時充填が可能である。
【0036】
図3に本実施形態に係る冷菓充填ノズル40a及び別の実施形態に係る冷菓充填ノズル40bの吐出口を正面から見た様子を表す図面を示す。なお、
図3中の円Cは、説明の便宜上記載した概念的なものであり、本実施形態に係る冷菓充填ノズル40を構成する要素ではない。
【0037】
冷菓充填ノズル40aは、クリーム吐出口41と、チョコレート吐出口42をそれぞれ4つずつ備える。そして、クリーム吐出口41とチョコレート吐出口42は、ノズルの円周方向に対して交互に配列されている。
【0038】
チョコレート吐出口42は、クリーム吐出口41の最外端部を通る円Cよりも、内側に配置されている。
このように、チョコレート吐出口42が、クリーム吐出口41の最外端部よりも内側に配設される冷菓充填ノズルを用いることで、後述する冷菓の充填工程において、冷菓用チョコレートが可食容器部から漏れないように、かつ固体チョコレート部22が冷菓部20の表面に露出した形状の複合冷菓を製造することができる。
【0039】
したがって、発明の複合冷菓を製造するために使用可能なノズルは、
図3(a)の冷菓充填ノズル40aに限定されず、例えば、
図3(b)のような冷菓充填ノズル40bを使用することもできる。
【0040】
クリーム吐出口、及びチョコレート吐出口の形状、数、及び配置は、上述の技術的思想に従い、適宜変更することができる。
【0041】
また、冷菓充填ノズル40aは、垂直方向、すなわち、載置部50に向かう方向、及び載置部50から離れる方向に移動可能に構成されている。
【0042】
(II)載置部
本実施形態において、載置部50は、略円筒形であり、底面の円は、トレー60の底面の円よりも直径が大きく構成されている。また、トレー60の底面の円は可食容器部30の直径よりも大きく構成されている。
【0043】
また、載置部50の底面には、水平方向に対して軸回転する回転機構51が備えられている。
【0044】
(III)冷菓充填装置を使用した複合冷菓の製造方法
まず、載置部50にトレー60を載置し、次いで、トレー60内に可食容器部30を載置する。
冷菓用クリーム、及び冷菓用チョコレートを、冷菓充填装置のそれぞれ別のタンク(図示せず)に投入しておき、冷菓充填ノズル40aを可食容器部30に近づく方向に移動させ、冷菓用クリーム、及び冷菓用チョコレートの同時充填を開始する。
【0045】
充填時において、回転機構51を作動させ、トレー60を回転させることで、トレー60内に載置された可食容器部30も同様に水平方向に軸回転させながら充填する。
そして、充填開始から時間経過に連れて、充填を行いながら冷菓充填ノズル40aを可食容器部30から離れる方向に移動にさせる。
【0046】
このように、可食容器部30を回転させながら、かつ冷菓充填ノズル40aを充填開始から時間経過に連れて可食容器部30から離すように移動させながら冷菓用クリーム及び冷菓用チョコレートを同時充填することで、
図1に示す外観が略螺旋形状の冷菓部20を得ることができる。
【0047】
充填が完了したら、冷菓部20を充填した可食容器部30の反対側から別の可食容器部30を被せて押圧し、冷却することで複合冷菓10を得ることができる。
【0048】
図4に、冷菓充填ノズル40aを使用した場合における冷菓用チョコレートの充填軌道を示す。
図4に示すように、冷菓用チョコレートは、載置部50の回転、及び冷菓充填ノズル40aの垂直方向への移動により、略螺旋形状に充填される。
充填された冷菓用チョコレートは、可食容器部の平面方向Pに対して略平行に拡がり、固体チョコレート部の沿層方向Eと、可食容器部の平面方向Pとが略平行となる(
図4)。このように製造された複合冷菓における複数の固体チョコレート部は、略螺旋形状を有しながら、可食容器部30の平面方向Pに対する略垂直方向Vに積層するよう分散する。
【0049】
また、上述したように、冷菓充填ノズル40aの構成として、チョコレート吐出口42が、クリーム吐出口41の最外端部よりも内側に配設される構成を採用することで、充填時において溶融状態の冷菓用チョコレートが漏れることなく、かつ冷菓部20の表面に固体チョコレート部22が露出するような形状に、冷菓部20を充填することができる。
【0050】
本発明の複合冷菓は、上述した構成以外によっても製造することができる。
本実施形態においては、載置部の底面が回転する形態について例示したが、冷菓充填ノズルが回転する形態であってもよい。
また、本実施形態においては、冷菓充填ノズルが鉛直方向に移動する形態について例示したが、載置部が鉛直方向に移動する形態であってもよい。
【実施例0051】
<試験例1>試料の調製
表1、及び表2に記載の組成に基づいて、冷菓用クリーム、及び冷菓用チョコレートをそれぞれ調製した。
調製した冷菓用クリーム、及び冷菓用チョコレートを、冷菓用充填装置のそれぞれ異なるタンクに投入し、冷菓充填ノズル40aを用いて、冷菓用クリーム及び冷菓用チョコレートを円形板状のビスケット上に同時充填した。同時充填の際、載置部の底面を水平方向に対して回転させ、かつ、充填開始から時間経過に連れて、冷菓充填ノズル40aを可食容器部から離すように移動させながら充填することで、冷菓部を螺旋状に充填した。
次いで、冷菓部をビスケットの反対側から別のビスケットを被せて押圧し、冷却することで製造例1の複合冷菓を得た(
図5、実施例1)。
なお、冷菓用クリームと冷菓用チョコレートの充填比率は、体積比で75:25であった。
【0052】
次いで、表1に記載の冷菓用クリームのみを、ノズルを用いて円形板状のビスケット上に充填し、冷菓用クリームを充填したビスケットの反対側から別のビスケットを被せて押圧し、冷却することで複合冷菓を得た(
図5、比較例1)。比較例1の複合冷菓の製造において、載置部の回転を行わなかった。
【0053】
次いで、表1に記載の冷菓用クリーム、及び表2に記載の冷菓用チョコレートを用いて、固体チョコレート部が柱状に分散してなる複合冷菓を製造した。製造例1は、クリーム部と同時に冷菓用チョコレートを1点充填し、柱状の固体チョコレート部を1か所に形成した。製造例2は、クリーム部と同時に冷菓用チョコレートを3点充填し、柱状の固体チョコレート部を3か所に形成した(
図5)。
【0054】
【0055】
【0056】
<試験例2>保形性比較試験
実施例1、比較例1、製造例1、2の複合冷菓を120分間室温で静置した。次いで、複合冷菓の上面から100gの重石を乗せ、30分静置し、それぞれの複合冷菓の外観を確認した。結果を
図6に示す。
【0057】
図6に示す通り、実施例1、製造例1及び製造例2の複合冷菓は、室温放置後、及び荷重をかけた後であっても、元の外観をほぼ維持していた。特に実施例1の複合冷菓は、クリーム部と固体チョコレート部の略螺旋形状を維持していることが確認できた。
【0058】
一方で、比較例1の複合冷菓は、クリーム部が潰れてビスケットからはみ出しており、製造直後の外観を維持していなかった。
【0059】
以上の結果から、固体チョコレート部を冷菓部内に分散させた複合冷菓は、クリーム部のみを充填した複合冷菓と比して、温度、及び荷重に対する保形性に優れていることがわかった。
【0060】
製造例1及び2は、柱状の固体チョコレート部が充填されているため、ビスケットが冷菓部を押し込み辛く、構造上保形性に優れることは想像できることであった。
【0061】
しかし、柱状に充填された固体チョコレート部と比して、強度が大きく劣る層状の固体チョコレート部が充填されてなる実施例1の複合冷菓が、製造例1及び2の複合冷菓と同等の保形性を有しているのは、意外な結果であった。
実施例1のクリームの組成と比較例1のクリームの組成が同一であることから、層状の固体チョコレート部を分散させた構造的な違いが、保形性に影響を与えていることが明らかである。
実施例1の複合冷菓は、再度冷凍することで、略螺旋形状の外観を維持した状態で、喫食することができる。
【0062】
以上の通り本実施形態に係る複合冷菓は、層状の固体チョコレート部がクリーム部に分散することで、温度や荷重に対する保形性に優れ、その外観を維持する特性に長けていることがわかった。
【0063】
次いで、本発明の一実施形態に係る複合冷菓の、正面図(
図7)、背面図(
図8)、左側面図(
図9)、右側面図(
図10)、平面図(
図11)、斜視図(
図12)を示す。
なお、底面図は、平面図と同一である。また、図中の黒塗りは、彩色を限定するものではなく、2種の異なる素材を使用していることを表しているに過ぎない。