(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120077
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】半導体基板を処理するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022093370
(22)【出願日】2022-06-09
(62)【分割の表示】P 2017120945の分割
【原出願日】2017-06-21
(31)【優先権主張番号】15/195,348
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・チャールズ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ワイズ
(72)【発明者】
【氏名】アーパン・マホロワラ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・エー.・バン クリーンプット
(72)【発明者】
【氏名】バート・ジェイ.・バン シュラベンディック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】微細化、選択性、汚染のないスペーサ材料を使用する方法を提供する。
【解決手段】薄い酸化スズ被膜をスペーサとして使用する半導体デバイスの製造において、第1の材料(例えば酸化ケイ素又は窒化ケイ素)の露出層と、第2の材料(例えばシリコン又は炭素)を含む複数の突出フィーチャとを有する半導体基板上に、薄い酸化スズ被膜をコンフォーマルに堆積する。次に、突出フィーチャの材料をエッチング除去し、酸化スズスペーサを基板上に残す。これに続いて、スペーサを除去することなく、第1の材料の保護されていない部分をエッチングする。次に、下層をエッチングし、スペーサを除去する。スズ含有粒子は、揮発性の水素化スズに変換することによって処理チャンバから除去することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理する方法であって、
(a)第1の材料を含む露出層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する半導体基板を提供するステップと、
(b)前記少なくとも1つの突出フィーチャの側壁を含め、前記第1の材料と前記第2の材料との両方の上にSnO層を堆積するステップとを含み、
前記第1の材料および前記第2の材料が、第1のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第1の材料のエッチングレートの比が1よりも大きく、第2のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第2の材料のエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記SnO層がコンフォーマルに堆積される方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記SnO層が原子層堆積(ALD)によって堆積される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記SnO層が約5~30nmの厚さに堆積される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記SnO層が約10~20nmの厚さに堆積される方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の材料が、酸化ケイ素および窒化ケイ素からなる群から選択される材料を含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の材料が、非晶質シリコンおよび炭素からなる群から選択される材料を含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の材料が酸化ケイ素を含み、前記第1のエッチング化学反応がプラズマ・フルオロカーボン・エッチングである方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の材料が非晶質シリコンを含み、前記第2のエッチング化学反応が酸化性の酸素含有化学反応を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記第2の化学反応がプラズマエッチングであり、前記プラズマが、HBrおよびO2を含むプロセスガス中で生成される方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
(c)前記SnO層を堆積した後、前記少なくとも1つの突出部の前記側壁を覆う前記SnO層を完全には除去することなく、前記半導体基板の水平面から前記SnO層を完全に除去するステップ
をさらに含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
(d)前記半導体基板の水平面から前記SnO層を除去した後、前記第2のエッチング化学反応を使用して、前記少なくとも1つの突出部の前記側壁を覆っていた前記SnO層を完全には除去することなく前記少なくとも1つの突出部を完全に除去し、それによりSnOスペーサを形成するステップ
をさらに含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
(e)前記SnOスペーサを形成した後、前記第1のエッチング化学反応を使用して、前記SnOスペーサを完全には除去することなく前記第1の材料の露出部分を除去し、それにより、前記第1の材料の層の下にあるハードマスク層の一部を露出するステップ
をさらに含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
ステップ(e)の後、前記SnO層の下にあった第1の材料の前記層を完全には除去することなく、前記SnO層と前記ハードマスク層の露出部分との両方を除去するステップ
をさらに含む方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、ステップ(e)が、前記基板をプラズマ・フルオロカーボン・エッチングに曝すステップを含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、ステップ(e)の後、水素含有ガスを含むプロセスガス中でプラズマを生成して、揮発性の水素化スズを生成することによって、エッチングチャンバを洗浄するステップをさらに含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記水素含有ガスが、H2および/またはNH3である方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記半導体基板が、前記第2の材料を含む複数の突出フィーチャを備え、最も近い突出フィーチャ間の距離が約10~100nmである方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記半導体基板が、前記第2の材料を含む複数の突出フィーチャを備え、最も近い突出フィーチャ間の距離が約40~100nmである方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、前記半導体基板が、前記第2の材料を含む複数の突出フィーチャを備え、最も近い突出フィーチャ間の距離が約10~30nmである方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
フォトレジストを前記半導体基板に塗布するステップと、
前記フォトレジストを露光するステップと、
前記フォトレジストをパターン形成し、前記パターンを前記半導体基板に転写するステップと、
前記半導体基板から前記フォトレジストを選択的に除去するステップと
をさらに含む方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の材料が、窒化ケイ素および酸化ケイ素からなる群から選択される材料を含み、前記第2の材料が、非晶質シリコンおよび炭素からなる群から選択される材料を含む方法。
【請求項23】
半製造された半導体デバイスであって、第1の材料の露出層と、前記第1の材料の前記層上にある複数のSnOスペーサとを備える半導体デバイス。
【請求項24】
半導体基板上にSnO層を堆積するための装置であって、
SnO堆積中に前記半導体基板を保持するために構成された基板ホルダを有するプロセスチャンバと、
反応物を導入するための入口と、
プログラム命令を含む制御部とを備え、前記プログラム命令が、
第1の材料の露出層と、第2の材料からなる複数の突出部とを有する半導体基板上にSnO層をコンフォーマルに堆積するためのものであり、前記第1の材料が、窒化ケイ素と酸化ケイ素からなる群から選択され、前記第2の材料が、非晶質シリコンおよび炭素からなる群から選択される
装置。
【請求項25】
半導体基板を処理するためのシステムであって、
1つまたは複数の堆積プロセスチャンバと、
1つまたは複数のエッチングプロセスチャンバと、
プログラム命令を含むプロセス制御部とを備え、前記プログラム命令が、
(a)第1の材料を含む露出層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する半導体基板を提供するため、および
(b)前記少なくとも1つの突出フィーチャの側壁を含め、前記第1の材料と前記第2の材料との両方の上にSnO層を堆積するためのものであり、
前記第1の材料および前記第2の材料が、第1のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第1の材料のエッチングレートの比が1よりも大きく、第2のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第2の材料のエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される
システム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、さらにステッパを備えるシステム。
【請求項27】
コードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コードが、
(a)第1の材料を含む露出層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する半導体基板を提供するため、および
(b)前記少なくとも1つの突出フィーチャの側壁を含め、前記第1の材料と前記第2の材料との両方の上にSnO層を堆積するためのものであり、
前記第1の材料および前記第2の材料が、第1のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第1の材料のエッチングレートの比が1よりも大きく、第2のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第2の材料のエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される
非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス製造におけるパターン形成法に関する。詳細には、本発明は、半導体処理においてスペーサとして薄い酸化スズ被膜を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の製造では、誘電体層に埋め込まれた金属ラインを形成する目的などで材料のパターンを形成するために、堆積およびエッチング技法が使用される。いくつかのパターン形成スキームは、精密なパターン形成および小型フィーチャの形成を可能にするスペーサの使用を含む。スペーサは、基板上に形成され、所定の距離(典型的には前のパターン形成によって決定される)で分離され、下層のパターン形成用のマスクとして使用される。スペーサおよび周囲の層の材料は、スペーサの形成と下層のパターン形成との両方を可能にする適切なエッチング選択性を有するように選択される。パターン形成が完了した後、スペーサはエッチングによって除去され、製造された最終的な半導体デバイスの一部とはならない。
【0003】
スペーサは、ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)の形成、フィン型電界効果トランジスタ(finFET)におけるフィンのパターン形成、およびバックエンド(BEOL)処理でのパターン形成を含めた様々な用途でのパターン形成に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化ケイ素または酸化チタンなど多くのスペーサ材料は、パターン形成中にピッチウォーキングおよび/または粒子汚染の問題を引き起こすことが発見された。例えば、酸化ケイ素は、半導体処理において一般に使用される多くの材料に比べて比較的低いエッチング選択性を特徴とし、これは、より厚いスペーサの使用を必要とする。さらに、この比較的低いエッチング性により、処理の進行方向に対して横方向のスペーサ側壁の消費が不均一になり、最終的にピッチウォーキング(スペーサ間の不均一な距離)を生じるおそれがある。スペーサ材料として酸化チタンが使用されるとき、エッチング選択性は適切であり得るが、チタン含有粒子がプロセスチャンバを汚染することがある。例えば、フッ化チタン粒子は、フルオロカーボン・プラズマエッチング後にエッチングチャンバを汚染する可能性がある。これは、頻繁なエッチングチャンバ洗浄の必要性、および生産性の低下につながる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、酸化スズをスペーサ材料として使用することによってこれらの問題が対処される。酸化スズは高い弾性率を有し、この高い弾性率は、ピッチウォーキングおよびエッジ粗さを低減するのに必要とされる良好なエッチング選択性と相関する。さらに、チタンとは異なり、スズは高揮発性の水素化物を生成し、これはプロセスチャンバから容易に除去することができる。したがって、いくつかの実施形態では、提供される処理方法は、(例えば水素含有プロセスガス中のプラズマ処理によって)任意のスズ含有材料(フッ化スズなど)を水素化スズに変換し、生成された揮発性の水素化スズを、パージおよび/または排気によってプロセスチャンバから除去することを含む。スズ含有粒子をチャンバ内部から除去する洗浄プロセスは、エッチングまたは堆積チャンバ内で、典型的には基板がない状態で行うことができる。
【0006】
本発明の一態様では、半導体基板を処理する方法が提供される。この方法は、第1の材料を含む露出層と、第1の材料とは異なる第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する半導体基板を提供するステップと、少なくとも1つの突出フィーチャの側壁を含め、第1の材料と第2の材料との両方の上にSnO層を堆積するステップとを含む。第1の材料および第2の材料は、第1のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する第1の材料のエッチングレートの比が1よりも大きく、第2のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する第2の材料のエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の材料は酸化ケイ素および/または窒化ケイ素であり、第1のエッチング化学反応はフルオロカーボン・プラズマエッチングである。いくつかの実施形態において、第2の材料は、非晶質シリコンおよび/または炭素を含み、第2のエッチング化学反応は、酸化性の酸素含有化学反応(例えば、HBrおよびO2を含むプロセスガス中でのプラズマ処理)である。
【0007】
いくつかの実装形態では、基板は複数の突出フィーチャを備え、SnOの堆積前の最も近い突出フィーチャ間の距離は、約10~100nmである。いくつかの実装形態では、最も近い突出フィーチャ間の距離は、約40~100nmである。他の実施形態では、最も近い突出フィーチャ間の距離は、約10~30nmである。いくつかの実施形態では、SnO層は、例えば原子層堆積(ALD)によって、約5~30nmの厚さ、例えば約10~20nmの厚さにコンフォーマル(共形)に堆積される。
【0008】
SnO層が堆積された後、SnO層からスペーサが形成される。いくつかの実施形態では、スペーサの形成は、SnO層を堆積した後、少なくとも1つの突出部の側壁を覆うSnO層を完全には除去することなく、半導体基板の水平面からSnO層を完全に除去することを含む。これに続いて、第2のエッチング化学反応を使用して、少なくとも1つの突出部の側壁を覆っていたSnO層を完全には除去することなく少なくとも1つの突出部を完全に除去し、それによりSnOスペーサを形成する。
【0009】
SnOスペーサが形成された後、続いて、このプロセスは、第1のエッチング化学反応を使用して(例えばプラズマ・フルオロカーボン・エッチングを使用して)、SnOスペーサを完全には除去することなく第1の材料の露出部分を除去し、それにより、第1の材料の層の下にあるハードマスク層の一部を露出することができる。続いて、このプロセスは、SnO層の下にあった第1の材料の前記層を完全には除去することなく、SnO層とハードマスク層の露出部分との両方を除去してよい。
【0010】
本明細書で提供される半導体処理方法は、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される堆積およびエッチング操作のいずれかの後に、プロセスチャンバ内に残っているスズ含有粒子を水素化スズに変換することを含む。この変換は、水素含有ガスを含むプロセスガス中で生成されたプラズマにプロセスチャンバを曝すことによって行われる。いくつかの実施形態では、水素含有ガスは、H2および/またはNH3である。いくつかの実施形態では、エッチングチャンバは、フルオロカーボン・プラズマエッチング後に、スズ含有粒子(例えばフッ化スズ)を水素化スズに変換することによって、およびエッチングチャンバから揮発性水素化スズを除去することによって洗浄される。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、フォトリソグラフィ処理と組み合わせて使用され、フォトレジストを半導体基板に塗布するステップと、フォトレジストを露光するステップと、フォトレジストをパターン形成し、パターンを半導体基板に転写するステップと、半導体基板からフォトレジストを選択的に除去するステップとを含む。例えば、リソグラフィを使用して、基板上にSnO層を堆積する前に突出フィーチャのパターンを形成することができる。
【0012】
別の態様では、半製造された半導体デバイスであって、第1の材料(例えば酸化ケイ素または窒化ケイ素)の露出層と、第1の材料の層上にある複数のSnOスペーサとを備えるデバイスが提供される。いくつかの実施形態では、スペーサ間の距離は約5~90nmである。
【0013】
別の態様によれば、SnO層を堆積するための装置が提供される。この装置は、堆積中に基板を所定位置に保持するために構成された基板ホルダと、反応物を導入するための入口とを有するプロセスチャンバを含む。この装置は、本明細書で提供される方法に従ってSnO層を堆積するためのプログラム命令を備える制御部をさらに含む。
【0014】
別の態様によれば、SnOスペーサを使用して半導体基板を処理するためのシステムが提供される。このシステムは、1つまたは複数の堆積プロセスチャンバと、1つまたは複数のエッチングプロセスチャンバと、本明細書で提供される方法に従って半導体基板を処理するためのプログラム命令を備える制御部とを含む。
【0015】
別の態様によれば、本明細書で提供される装置またはシステムのいずれかと、ステッパとを含むシステムが本明細書で提供される。
【0016】
別の態様によれば、本明細書で提供される装置またはシステムのいずれかを制御するためのプログラム命令を含む、非一時的なコンピュータ機械可読媒体が提供される。命令は、本明細書で提供される処理方法のためのコードを含む。
【0017】
本明細書で述べる主題の実装形態のこれらのおよび他の態様は、添付図面および以下の説明で述べる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本明細書で述べる一実施形態による処理を施されている半導体基板の概略断面図を示す図である。
【
図2】本明細書で述べる一実施形態による処理を施されている半導体基板の概略断面図を示す図である。
【
図3】本明細書で述べる一実施形態による処理を施されている半導体基板の概略断面図を示す図である。
【
図4】本明細書で述べる一実施形態による処理を施されている半導体基板の概略断面図を示す図である。
【
図5】本明細書で述べる一実施形態による処理を施されている半導体基板の概略断面図を示す図である。
【
図6】本明細書で述べる一実施形態による処理を施されている半導体基板の概略断面図を示す図である。
【0019】
【
図7】本明細書で提供される一実施形態による処理方法に関するプロセスフロー図である。
【0020】
【
図8】本明細書で提供される一実施形態による処理方法に関するプロセスフロー図である。
【0021】
【
図9】本明細書で提供される一実施形態によるSnO層の堆積に適したプラズマ原子層堆積(PEALD)プロセスステーションの概略図である。
【0022】
【
図10】本明細書で提供される一実施形態によるマルチステーション処理ツールの概略図である。
【0023】
【
図11】本明細書で提供される一実施形態による薄膜を堆積して後処理するために構成された処理ツールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の詳細な説明では、開示される実装形態を完全に理解できるように、いくつかの特定の実装形態を述べる。しかし、当業者には明らかであるように、開示される実装形態は、それらの特定の詳細を備えずに、または代替の要素もしくはプロセスを使用して実施されてもよい。なお、開示される実装形態の態様を不要に曖昧にしないように、よく知られているプロセス、手順、および構成要素については詳細には述べていない。
【0025】
本出願において、「半導体基板」、「ウェハ」、「基板」、「ウェハ基板」、および「半製造された集積回路」という用語は、相互交換可能に使用される。「半製造された集積回路」という用語が、シリコンウェハ上での集積回路製造の多くの段階のうちの任意の段階中のシリコンウェハを表すことができることを当業者は理解されよう。さらに、「半導体基板」という用語は、基板内のどこかに半導体材料を含む基板を表し、他の材料の層を含んでいてもよい。以下の詳細な説明では、開示される実装形態がウェハ上に実装されると仮定する。しかし、開示される実装形態はそれに限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料のものとしてよい。半導体ウェハに加えて、開示される実装形態を利用し得る他のワークピースには、プリント回路板など様々な物品が含まれる。
【0026】
本明細書では、酸化スズ(SnO)スペーサを使用して半導体基板を処理するための方法が提供される。本明細書で使用するとき、酸化スズ(本明細書ではSnOとも呼ぶ)は、スズ(Sn)および酸素(O)を含み、任意選択で水素を含んでいてもよい材料を表す。本明細書で使用するとき、酸化スズ(SnO)は、炭素および窒素など少量の他の元素をさらに含んでいてもよく、ここで、他の元素の総量は10原子%以下である(ここで、含有量の計算に水素は含まれない)。例えば、ALD堆積されたSnOは、約0.5~5原子%の炭素を含有することができる。本明細書で使用するとき、「SnO」という用語は、酸化物の化学量論量を示さず、化学量論量は変化してよい。いくつかの特定の実施形態において、SnOの化学量論量は、酸素原子2個当たり約1個のスズ原子である。
【0027】
ケイ素(Si)、炭素(C)、酸化ケイ素(SiO2)、および窒化ケイ素(SiN)など、本明細書で論じる他の材料は、任意選択で水素を含んでいてもよいことを理解されたい。これらの材料中に他の元素が少量存在してもよく、例えば、(水素を除く)他の元素の合計含有量は10原子%以下である。例えば、「酸化ケイ素」という用語は、炭素ドープ酸化ケイ素および他のドープされた形態の酸化ケイ素を含む。
【0028】
図1~
図6を参照して、酸化スズスペーサの使用を説明する。
図1~
図6は、処理の異なる段階での半導体基板の概略断面図を示す。
図7および
図8は、半導体基板処理法に関するプロセスフロー図を示す。
【0029】
図7を参照すると、プロセスは、ステップ701で、第1の材料の露出層と、第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する基板を提供することから始まる。第1の材料の層はエッチングストップ層(ESL)と呼ばれ、突出フィーチャはマンドレルと呼ばれる。例示的な基板が
図1に示されており、
図1は、ESL103上にある2つのマンドレル101を示す。隣接するマンドレル間の距離d1は、いくつかの実施形態では、約10~100nmである。いくつかの実施形態では、約40~100nmの比較的大きな距離が使用される。他の用途では、最も近いマンドレル間の距離は、約10~30nmである。ピッチとも呼ばれる最も近いマンドレルの中心間の距離d2は、いくつかの実施形態では、約30~130nmである。いくつかの実施形態では、ピッチは、約80~130nmである。他の実施形態では、ピッチは、約30~40nmである。マンドレルd3の高さは、典型的には約20~200nm、例えば約50~100nmである。
【0030】
マンドレルおよびESLの材料は、露出された酸化スズの存在下でのマンドレル材料の後続の選択的エッチング、および露出された酸化スズの存在下でのESL材料の選択的エッチングを可能にするように選択される。したがって、ESL材料のエッチングレートと酸化スズのエッチングレートとの比は、第1のエッチング化学反応に関して、1よりも大きく、より好ましくは約1.5よりも大きく、例えば約2よりも大きい。同様に、酸化スズのエッチングレートに対するマンドレル材料のエッチングレートの比は、第2のエッチング化学反応に関して、約1よりも大きく、より好ましくは約1.5よりも大きく、例えば約2よりも大きい。
【0031】
いくつかの実施形態では、ESL材料は、酸化ケイ素ベース材料、窒化ケイ素、およびそれらの組合せからなる群から選択され、マンドレル材料は、非晶質シリコン(ドープもしくは非ドープ)または炭素(ドープもしくは非ドープ)である。ケイ素および炭素に関して使用されるドーパントの例としては、限定はしないが、N、S、B、およびWが挙げられる。ESL層およびマンドレルは、物理気相成長(PVD)、化学気相成長(CVD)、ALD(プラズマを用いない、もしくはPEALDによる)、またはプラズマ化学気相成長(PECVD)によって形成することができ、マンドレルのパターンは、フォトリソグラフィ技法を使用して画定することができる。
【0032】
図1に示される基板を再び参照すると、ESL層103は、ターゲット層105の上にあり、ターゲット層105と接触している。ターゲット層105は、パターン形成する必要がある層である。ターゲット層105は、半導体、誘電体、または他の層でよく、例えば、シリコン(Si)、酸化ケイ素(SiO
2)、窒化ケイ素(SiN)、または窒化チタン(TiN)から形成されていてよい。いくつかの実施形態では、ターゲット層は、ハードマスク層と呼ばれ、窒化チタンなどの金属窒化物を含む。ターゲット層105は、ALD(プラズマを用いない、もしくはPEALDによる)、CVD、または他の適切な堆積技法によって堆積されてもよい。
【0033】
ターゲット層105は、いくつかの実施形態ではBEOL層である層107の上にあり、層107と接触しており、この層107は、誘電体材料の層に埋め込まれた複数の金属線を含む。
【0034】
再び
図7を参照すると、プロセスは次いで、ステップ703で、第1と第2の材料の両方の上にSnO層を堆積させる。
図2に示される構造を参照すると、SnO層109が、ESL103の上、およびマンドレルの側壁を含めたマンドレル101の上に堆積される。SnO層は、CVD(PECVDを含む)、ALD(PEALDを含む)、スパッタリングなど任意の適切な方法によって堆積される。いくつかの実施形態では、SnO被膜をコンフォーマルに堆積することが好ましく、それにより、
図2に示されるように、SnO被膜は層103およびマンドレル101の表面に沿う。いくつかの実施形態では、SnO層は、約5~30nmの厚さ、例えば約10~20nmの厚さにコンフォーマルに堆積される。コンフォーマルなSnO被膜の適切な堆積法の1つは、ALDである。熱ALDまたはプラズマALDを使用することができる。典型的な熱ALD法では、基板は、ALDプロセスチャンバに提供され、スズ含有前駆体および酸素含有反応物に順次に曝され、スズ含有前駆体と酸素含有反応物を基板の表面上で反応させて、SnOを生成する。典型的には、基板がスズ含有前駆体に曝された後、かつ酸素含有反応物がプロセスチャンバに入れられる前に、ALDプロセスチャンバが不活性ガスでパージされて、プロセスチャンバのバルクでの反応を防止する。さらに、ALDプロセスチャンバは、典型的には、基板が酸素含有反応物で処理された後にも不活性ガスでパージされる。順次に曝す操作は数サイクルにわたって繰り返され、例えば、所望の厚さを有するSnO層が堆積されるまで約10~100サイクルを行うことができる。適切なスズ含有前駆体の例としては、ハロゲン化スズ含有前駆体(SnCl
4およびSnBr
4など)、およびアルキル置換スズアミドなどを含む有機スズ化合物などの非ハロゲン化スズ含有前駆体が挙げられる。ALDに適したアルキル置換スズアミドの具体的な例は、トレトラキス(ジメチルアミノ)スズ、トレトラキス(エチルメチルアミノ)スズ、N
2,N
3-ジ-tert-ブチル-ブタン-2,3-ジアミノ-スズ(II)、および(1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4,5-ジメチル-(4R,5R)-1,3,2-ジアザスタノリジン-2-イリジンである。酸素含有反応物としては、限定はしないが、酸素、オゾン、水、過酸化水素、およびNOが挙げられる。酸素含有反応物の混合物を使用することもできる。堆積条件はALD反応物の選択に従って異なり、一般に、より高い反応性の前駆体は、より低い反応性の前駆体よりも低い温度で反応する。これらのプロセスは、典型的には、約20~500℃の温度で、大気圧よりも低い圧力で行われる。温度および圧力は、凝縮を避けるために反応物がプロセスチャンバ内で気体状態のままであるように選択される。各反応物は、単独で、またはアルゴン、ヘリウムもしくは窒素などのキャリアガスと混合されて、気体状態でプロセスチャンバに提供される。これらの混合物の流量は、プロセスチャンバのサイズによって決まり、いくつかの実施形態では約10~10,000sccmである。
【0035】
本明細書で提供されるコンフォーマルSnO層を堆積させるのに適した熱ALDプロセス条件の具体的な例は、“Tin Oxide with Controlled Morphology and Crystallinity by Atomic Layer Deposition onto Graphene Nanosheets for Enhanced Lithium Storage”(Advanced Functional Materials,2012,22,8,1647-1654)という題名のLi他による論文に記載されており、その論文の全体を参照により本明細書に援用する。このプロセスは、ALD真空チャンバ内で、200~400℃の温度で基板をSnCl4(スズ含有前駆体)および脱イオン水(酸素含有反応物)に順次にかつ交互に曝すことを含む。ALDサイクルの特定の例では、SnCl4蒸気とN2キャリアガスとの混合物をALDプロセスチャンバに0.5秒間導入し、次いで基板に対して3秒間曝す。次に、ALDプロセスチャンバをN2で10秒間パージして、プロセスチャンバのバルクからSnCl4を除去し、H2O蒸気とN2キャリアガスとの混合物をプロセスチャンバ内に1秒間流し、基板に対して3秒間曝す。次に、ALDプロセスチャンバをN2でパージし、サイクルを繰り返す。ALDプロセスは、大気圧よりも低い圧力(例えば、0.4Torr)および200~400℃の温度で行う。
【0036】
本明細書で提供される方法においてSnO被膜を堆積させるのに適した熱ALDプロセス条件の別の例が、“In situ Examination of Tin Oxide Atomic Layer Deposition using Quartz Crystal Microbalance and Fourier Transform Infrared Techniques”(J.Vac.Sci.Technol.A 23,581(2005))という題名のDu他による論文で与えられており、その論文の全体を参照により本明細書に援用する。このプロセスでは、基板は、ALDプロセスチャンバ内で、約150~430℃の温度でSnCl4およびH2O2に連続的に曝される。
【0037】
ALDでのハロゲン化スズ前駆体の使用は多くの実施形態において適切であるが、いくつかの実施形態では、SnCl4などのハロゲン化前駆体の使用で起こり得る腐食の問題を避けるために、非ハロゲン化有機スズ前駆体を使用することがより好ましい。適切な非ハロゲン化有機スズ前駆体の例としては、トレトラキス(ジメチルアミノ)スズなどのアルキルアミノスズ(アルキル化スズアミド)前駆体が挙げられる。この前駆体を使用する適切な熱ALD堆積法の一例は、“Atomic Layer Deposition of Tin Oxide Films using Tetrakis(dimethylamino)tin”(J.Vac.Sci.Technol.A 26,244(2008))という題名のElam他による論文で提供されており、その論文の全体を参照により本明細書に援用する。この方法では、基板は、ALDチャンバ内で、約50~300℃の温度でテトラキス(ジメチルアミノ)スズおよびH2O2に順次に曝される。有利には、この前駆体の使用は、100℃以下の低温でのSnO被膜の堆積を可能にする。例えば、反応速度を高めるために、プラズマを使用せずに50℃でSnO被膜を堆積することができる。テトラキス(ジメチルアミノ)スズおよびH2O2を使用するSnOの熱ALDの別の例は、“Atomic Layer Deposition of Indium Tin Oxide Thin Films Using Nonhalogenated Precursors”(J.Phys.Chem.C 2008,112,1938-1945)という題名のElam他による論文で提供されており、その論文を参照により本明細書に援用する。
【0038】
反応性有機スズ前駆体の使用による低温熱ALDプロセスの別の例が、“Low temperature Atomic Layer Deposition of Tin Oxide”(Chem.Mater.,2010,22(7)4964-4973)という題名のHeo他による論文で提供されており、その論文の全体を参照により本明細書に援用する。この堆積プロセス(本明細書で提供されるSnO被膜の堆積に適している)では、ALD真空プロセスチャンバ内で、N2,N3-ジ-tert-ブチル-ブタン-2,3-ジアミノ-スズ(II)および50%のH2O2に順次に基板を曝す。これらの反応物を気化し、それぞれをN2キャリアガスと混合させて、プロセスチャンバに提供する。反応物に基板を曝した後に毎回、チャンバをN2でパージする。堆積は、約50~150℃の温度で行うことができる。
【0039】
一般に、過酸化水素は、ALDプロセスにおいてSnOの生成のための酸素含有反応物として良好に作用するが、時として、H2O2分解により、SnO被膜成長に対する制御が不十分になることがある。いくつかの実施形態では、NOなど、より安定した酸素含有前駆体が使用される。酸素含有反応物としてNOを用いる適切なプロセス条件の一例は、“Atomic Layer Deposition of Tin Oxide with Nitric Oxide as an Oxidant Gas”(J.Mater.Chem.,2012,22,4599)という題名のHeo他の論文で提供されており、その論文を参照により本明細書に援用する。堆積は、約130~250℃の温度で、環状Sn(II)アミド(1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4,5-ジメチル-(4R,5R)-1,3,2-ジアザスタノリジン-2-イリジン)とNOとに順次に基板を曝すことを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、SnO被膜はPEALDによって堆積される。熱ALDに関して上述したのと同じ種類のスズ含有前駆体および酸素含有反応物を使用することができる。PEALDでは、ALD装置は、プロセスチャンバ内でプラズマを発生し、基板をプラズマで処理するためのシステムを備えている。典型的なPEALDプロセスシーケンスでは、基板をPEALDプロセスチャンバに提供し、基板の表面に吸着するスズ含有前駆体に曝す。プロセスチャンバを不活性ガス(例えばアルゴンまたはヘリウム)でパージしてプロセスチャンバから前駆体を除去し、プロセスチャンバに導入される酸素含有反応物に基板を曝す。酸素含有反応物の導入と同時に、またはいくらかの遅延後に、プロセスチャンバ内でプラズマが生成される。プラズマは、SnOの生成をもたらす基板の表面上でのスズ含有前駆体と酸素含有反応物との反応を促進する。次に、プロセスチャンバを不活性ガスでパージし、スズ前駆体のドージング、パージ、酸素含有反応物のドージング、プラズマ処理、および第2のパージを含むサイクルが、所望の厚さのSnO被膜を形成するのに必要な回数だけ繰り返される。
【0041】
SnO被膜のPEALD形成に適したプロセス条件の一例が、“The Fabrication of Tin Oxide Films by Atomic Layer Deposition using Tetrakis(ethylmethylamino)tin Precursor”(Transactions on Electrical and Electronic Materials,2009,10,5,173-176)という題名のSeop他による論文で提供されており、その論文を参照により本明細書に援用する。基板をPEALDプロセスチャンバ内に提供し、プラズマがない状態でテトラキス(エチルメチルアミノ)スズに4秒間曝す。次に、プロセスチャンバを通してアルゴンを流すことによって、20秒間、スズ含有前駆体をプロセスチャンバからパージする。次いで、O2を2秒間注入した後、さらに2秒間、100Wの無線周波(RF)電力で注入する。その後、アルゴンパージを行い、1回のPEALDサイクルが完了する。この例では、プロセスは、50~200℃の温度範囲および0.8Torrの圧力で行われる。
【0042】
ALD(熱ALDとプラズマALDの両方)は、SnO被膜を堆積するための好ましい方法の1つであるが、CVD、PECVD、およびスパッタリングなどの他のSnO堆積法も使用することができることを理解されたい。
【0043】
図7のプロセス図を参照すると、SnO層が堆積された後、プロセスは、ステップ705で、基板上にSnOスペーサを形成する。SnOスペーサの形成は、
図3および
図4に示されている。まず、層103の上およびマンドレル101の上の水平面からSnO層109をエッチングし、マンドレル101の側壁に付着する位置からは完全にはエッチングしない。このエッチングは、マンドレル101の側壁の近くの位置を除く全ての場所で層103を露出させる。さらに、このエッチングは、マンドレルの上部を露出させる。得られる構造が
図3に示されている。このエッチングの化学的特性は、層101および103に使用される材料のタイプによって決まる。このステップにおけるSnO層除去のために使用されるエッチングは、マンドレル材料エッチングレートに対するSnOエッチングレートの比が1よりも大きく、層103の材料のエッチングレートに対するSnOエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される。SnOは、いくつかのウェットエッチングおよびドライエッチング技法を使用してエッチングすることができる。ウェットエッチングでは、基板をウェットエッチャントと接触させ、ウェットエッチャントは、例えば基板上に噴霧することができる。代替として、基板をウェット(水性)エッチャント内に浸漬することができる。ドライエッチングでは、ドライエッチングチャンバ内に基板を配置し、ドライエッチングチャンバ内で、プラズマを使用してまたは使用せずに、基板を気体状のエッチャントと接触させる。本明細書で使用されるとき、「ウェットエッチング」は、液体エッチャントを用いたエッチングを表し、「ドライエッチング」は、水の使用に関わらず、気体状の(気化された)エッチャントを用いたエッチングを表す。SnOのエッチングに適したウェットエッチングの一例は酸エッチングであり、酸エッチングでは、基板をHClなどの酸の水溶液と接触させる。
【0044】
HClエッチングの一実装形態では、HClとクロム金属との水溶液から調製された水溶液と基板を接触させる。このエッチング化学は、“Texture Etched SnO2 Glasses Applied to Silicon Thin-film Solar Cells”(Journal of Nanomaterials,vol.2014,1-9)という題名のWu他による論文で述べられており、その論文の全体を参照により本明細書に援用する。この実施形態では、SnO層は、HClおよびCr(II)イオンを含む予め生成された混合物によってエッチングされ、これらのイオンは、Sn(IV)をSn(II)に還元し、酸化物の溶解を補助する。一実装形態では、HCl:Crエッチング溶液は、クロム金属(20g)を50%のHCl水溶液(5L)に90℃で溶解することによって調製される。クロム濃度は、0.05~1重量%で変えることができる。いくつかの実施形態では、エッチングは、20~100℃の温度範囲で行われる。
【0045】
ウェットエッチングプロセスの別の例では、SnO層は、亜鉛粉末の存在下で、水性HX(XはCl、Br、またはIである)で処理される。この方法では、酸化物は、亜鉛とHXとの反応で生成された水素によって直接還元される。別のウェットエッチング実施形態では、例えば1:3のH3PO4:H2O比で提供される水性リン酸によってSnOがエッチングされる。さらに、SnO被膜は、約60℃の温度で、水性HNO3とHClの混合物によって、または水性HIによってエッチングすることができる。
【0046】
SnO除去のためのドライエッチング化学反応の一例は、プラズマ中でのHBrを用いた処理を含む。この処理は、“Etch Mechanism of In2O3 and SnO2 thin films in HBr-based inductively coupled plasmas”(J.Vac.Sci.Technol.A 28,226(2010))という題名のKwon他による論文で述べられており、その論文の全体を参照により本明細書に援用する。基板は、HBrおよびアルゴンを含有するプロセスガス中で生成された誘導結合プラズマによって処理される。
【0047】
別の実施形態では、HBr含有プロセスガスは、O2など酸素含有化合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、エッチングは、HBr、O2、およびN2を含むプロセスガス中で生成されたプラズマに基板を曝すことによって行われる。このタイプのエッチングは、シリコンおよび酸化ケイ素などの材料に対して選択的にSnO材料を除去することができる。典型的には、シリコンマンドレルの表面は二酸化ケイ素の層で覆われており、この層は、このエッチング化学反応によってシリコンマンドレルの表面がエッチングされないように保護することに留意されたい。いくつかの実施形態では、このエッチングステップのプロセス条件は、比較的高い無線周波(RF)バイアスを基板ホルダに加えることを含み、プラズマ中のイオンのエネルギーを増加させ、SnO材料のエッチングレートを増加させる。SnO除去に適した他のドライエッチング化学反応としては、Cl2と炭化水素との混合物中でのプラズマ処理、およびCH2Cl2またはCHCl3などの塩化炭化水素を含むプロセスガス中でのプラズマ処理が挙げられる。いくつかの実施形態では、露出されたSnO層を含む基板を、CH4およびCl2を含むプロセスガス中で生成されたプラズマと接触させる。
【0048】
SnO被膜を除去するためのさらに別のドライエッチング化学反応は、水素ベースのプラズマである。いくつかの実施形態では、SnOは、H2を含むプロセスガス中で生成されたプラズマに基板を曝すことによってエッチングされる。いくつかの実施形態では、プラズマは、H2と炭化水素(例えばCH4)との混合物中で生成されたプロセスガス中で生成される。
【0049】
いくつかの実施形態では、基板の水平部分からのSnO層の除去は、2つの異なる化学反応を用いた2つのステップを使用することを含む。主エッチングと呼ばれる第1のステップでは、マンドレルおよびESL材料からなる下層を完全に露出させることなく、SnO層のバルクが水平面から除去される。したがって、主エッチングのエッチング化学反応は、選択的である必要はない。いくつかの実施形態では、主エッチングは、Cl2および炭化水素(例えばCl2およびCH4)を含むプロセスガス中で生成されたプラズマを用いて基板を処理することによって行われる。主エッチングによるエッチングがSnO被膜を貫通した後またはその直前に、エッチング化学反応がオーバーエッチング化学反応に切り替えられる。主エッチングに関する終点は、マンドレル材料またはESL材料が露出される時を合図する光プローブを使用することによって検出することができる。オーバーエッチング化学反応は、マンドレルおよびESLの材料を実質的にエッチングすることなく、残っているSnO被膜を除去するために使用される。オーバーエッチング化学反応に関するマンドレル材料のエッチングレートに対するSnOのエッチングレートの比は、好ましくは1よりも大きい。オーバーエッチング化学反応に関するESL材料のエッチングレートに対するSnOのエッチングレートの比も、好ましくは1よりも大きい。いくつかの実施形態では(例えばシリコンマンドレルおよび酸化ケイ素ESLが使用されるとき)、オーバーエッチングは、残っているSnO被膜、露出されたマンドレル、および露出されたESLを有する基板を、HBr、N2、およびO2を含むプロセスガス中で生成されたプラズマに曝すことを含む。
【0050】
このステップでのSnOエッチングは、水平面からSnOを除去するが、マンドレルの側壁でのSnO層の垂直部分は基板に残っている。次に、
図4に示されるように、マンドレル101が基板から除去されて、露出されたSnOスペーサ101および露出されたESL103を残す。マンドレルの除去は、マンドレル材料を選択的にエッチングするエッチング化学反応に基板を曝すことによって行われる。したがって、このステップでのSnOのエッチングレートに対するマンドレル材料のエッチングレートの比は1よりも大きく、より好ましくは1.5よりも大きい。さらに、このステップで使用されるエッチング化学反応は、ESL材料に対して選択的にマンドレル材料をエッチングすべきである。様々なエッチング法を使用することができ、化学反応の具体的な選択は、マンドレルの材料およびESL層の材料によって決まる。マンドレルが非晶質シリコンから形成され、ESL材料が酸化ケイ素であるとき、酸化性の酸素含有プラズマを使用することによってマンドレルを除去することができる。例えば、HBrおよびO
2から構成されたプロセスガス中で生成されたプラズマに基板を曝すことによって、シリコンマンドレルを選択的にエッチングすることができる。この化学反応は、SnOおよび酸化ケイ素の存在下でシリコン材料を選択的にエッチングする。いくつかの実施形態では、エッチングが始まる前に、酸化ケイ素の薄い保護層がシリコンマンドレルの表面から除去される。これは、フルオロカーボンを含むプロセスガス中で生成されたプラズマに基板を短時間曝すことによって行うことができる。マンドレルからの保護酸化ケイ素層の除去後、シリコンが選択的にエッチングされる。いくつかの実施形態では、このステップでは、基板に対して比較的小さいRFバイアスを使用するか、または外部バイアスを全く使用しないことが好ましい。外部バイアスが使用されない場合、基板の自己バイアス(10~20V)で十分である。バイアスなしまたは低バイアスの条件下では、HBr/O
2プラズマは、SnOおよび酸化ケイ素の存在下でシリコンを選択的にエッチングする。得られる構造が
図4に示されており、マンドレルの除去後のSnOスペーサを示す。
【0051】
次に、露出されたESL被膜103をエッチングして、SnOスペーサ109によって保護されていない全ての位置で、下にあるターゲット層105を露出させる。得られる構造が
図5に示されている。このステップで使用されるエッチング化学反応は、SnOの存在下でESL材料を選択的にエッチングする。すなわち、SnOのエッチングレートに対するESL材料のエッチングレートの比は、1よりも大きく、より好ましくは1.5よりも大きい。このステップで使用される化学反応の具体的なタイプは、ESL材料のタイプによって決まる。酸化ケイ素および酸化ケイ素ベース材料が使用される場合、選択的エッチングは、フルオロカーボンを含むプロセスガス中で生成されるプラズマに基板を曝すことによって達成することができる。例えば、ESL被膜は、CF
4、C
2F
6、およびC
3F
8のうちの1つまたは複数を含むプロセスガス中で生成されるプラズマによってエッチングすることができる。
【0052】
次のステップで、ESL被膜103によって保護されていない全ての位置でターゲット層105をエッチングして、下層107を露出させる。このエッチングステップでSnOスペーサ109も除去され、
図6に示されるパターン形成された構造を提供する。いくつかの実施形態では、このステップで使用されるエッチング化学反応は、ターゲット材料とSnOスペーサ材料との両方を除去するように選択される。他の実施形態では、それぞれ、ターゲット層105をパターン形成するためおよびSnOスペーサ109を除去するために、異なる化学反応を用いた2つの異なるエッチングステップを使用することができる。ターゲット層の化学的特性に応じて、いくつかのエッチング化学反応を使用することができる。一実施形態では、ターゲット層105は、金属窒化物層(例えばTiN)層である。この実施形態では、金属層がエッチングされ、SnOスペーサは、Cl
2および炭化水素(例えばCH
4)を含むプロセスガス中で生成されるプラズマに基板を曝すことによって、単一のエッチング化学反応を使用して除去することができる。一般に、SnOスペーサは、上述したSnOエッチング法のいずれかを使用して除去することができる。
【0053】
上述したプロセスシーケンス中の任意の時点で、パージおよび/または排気によって容易に除去することができる揮発性の水素化スズにスズ含有粒子を変換することによって、スズ含有粒子を除去してエッチングおよび/または堆積チャンバを洗浄することができる。いくつかの実施形態では、この変換は、H2、NH3、またはそれらの混合物などの水素含有ガス中で生成されるプラズマと基板を接触させることによって行われる。
【0054】
SnOスペーサを用いた半導体基板パターン形成の具体的な例が、
図8のプロセスフロー図に提供されている。
図1~
図6に示されるデバイス構造を参照する。このプロセスは、ステップ801で、酸化ケイ素層を含む露出層と、複数のシリコン突出フィーチャとを有する基板を提供することから始まる。この例では、
図1を参照すると、基板は、露出された酸化ケイ素層103と、非晶質シリコンからなる複数の突出フィーチャ(マンドレル)101とを含む。ハードマスク層105が酸化ケイ素層103の下にある。この例では、ハードマスク層は、窒化チタンから形成される。ハードマスク層105は、BEOL層107の上に重なる。
【0055】
次に、操作803で、酸化ケイ素層とシリコン突出フィーチャとの両方の上にSnO層をコンフォーマルに堆積する。いくつかの実施形態では、前述したように、ALD(熱ALDまたはプラズマALD)によってコンフォーマルな堆積が行われる。
図2は、シリコンマンドレルおよび酸化ケイ素層の表面を覆うコンフォーマルSnO層109を示す。操作805で、シリコン突出フィーチャの側壁にあるSnO層を除去することなく、水平面上にあるSnOを除去する。この例では、2ステップエッチングによって除去が行われる。第1のステップでは、
図2に示される基板を、Cl
2およびCH
4を含むプロセスガス中で生成されるプラズマに曝すことによって、主エッチングが行われる。次に、SnO被膜の大部分が水平面から除去された後、HBr、O
2、およびN
2から構成されるプロセスガス中で生成されるプラズマを含むオーバーエッチング化学反応に基板を曝すことによって、残っているSnO被膜が水平面から除去される。このステップは、基板ペデスタルに比較的高いバイアスを印加することによって行われる。シリコンマンドレルは、このステップ中に酸化ケイ素の保護層で覆われており、この保護層は、この化学反応によって明瞭にはエッチングされない。得られる構造が
図3に示されており、ここでは、酸化ケイ素層103およびシリコンマンドレル101が露出されている。
【0056】
次に、操作807で、シリコン突出フィーチャを除去し、それにより、
図4に示されるようにSnOスペーサを形成する。この例では、基板にバイアスをかけることなく、HBrおよびO
2から構成されるプロセスガス中で生成されるプラズマに基板を曝すことによって、またはSnO層のHBr/O
2/N
2エッチングで使用されるバイアスよりも低いバイアスを使用することによって、シリコンマンドレルが選択的にエッチングされる。いくつかの実施形態では、シリコンマンドレルの除去前に、例えばフルオロカーボンを含むプロセスガス中で生成されるプラズマに基板を短時間曝すことによって、保護酸化ケイ素層をシリコンの表面からエッチングする。
【0057】
次のステップ809で、露出された酸化ケイ素層を除去し、下にあるハードマスク層を露出させる。酸化ケイ素は、1つまたは複数のフルオロカーボンを含むプロセスガス中で生成されるプラズマに基板を曝すことによって選択的にエッチングされる。
【0058】
このステップの後、フルオロカーボンエッチングが行われたエッチングプロセスチャンバを洗浄して、スズを含有する任意の粒子を除去することができる。例えば、フッ化スズが、意図せずチャンバの表面に堆積されることがある。基板がプロセスチャンバから除去された後、H
2、NH
3、またはこれらのガスの混合物などの水素含有ガスがプロセスチャンバに流入されて、スズ含有粒子を揮発性の水素化スズに変換する。一例では、洗浄は、このプロセスガス中でプラズマを生成することによって行われる。他の実施形態では、チャンバは、プラズマがない状態でH
2に曝される。酸化ケイ素層の除去後に得られる基板が
図5に示されており、
図5は、露出されたハードマスク層105を示す。次に、操作811で、露出されたハードマスク層およびSnOスペーサを除去する。一例では、TiNハードマスクおよびSnO層は、
図5に示される基板をCl
2およびCH
4から構成されるプロセスガス中で生成されるプラズマに曝すことによって形成される。
【0059】
酸化スズは、望ましいエッチング選択性と相関する比較的高い弾性率を特色とするので、TiO2およびSiO2などの他のスペーサ材料と比較して好ましい。バルクの酸化スズ(II)の弾性率は360GPaであり、これは、二酸化チタンの弾性率(210GPa)および二酸化ケイ素の弾性率(70GPa)よりも大きい。したがって、SnOスペーサを使用することによって、ピッチウォーキングなど、低いエッチング選択性に関連する問題が対処される。さらに、水素化スズは融点が-52℃であり、水素化チタンの融点は350℃よりも高い。酸化チタンがスペーサ材料として使用されるとき、チタン含有粒子(例えば塩化チタンまたはフッ化チタン)を水素化チタンに変換することによってプロセスチャンバを洗浄することは不可能である。なぜなら、水素化チタンは揮発性でないからである。一方、酸化スズがスペーサ材料として使用されるとき、プロセスチャンバからパージすることができる揮発性の水素化スズにスズ含有粒子を変換することによって、プロセスチャンバを容易に洗浄することができる。
【0060】
装置
本明細書に開示される実装形態の別の態様は、本明細書で述べる方法を達成するために構成された装置およびシステムである。適切な装置は、プロセス操作を達成するためのハードウェアと、開示される実装形態に従ってプロセス操作を制御するための命令を有するシステム制御部とを含む。いくつかの実施形態では、SnO層を堆積するための堆積装置が提供される。いくつかの実施形態では、この堆積装置はALD装置(例えばPEALD装置)である。他の実施形態では、CVD装置、または酸化スズターゲットを含むスパッタリング装置でもよい。この装置は、プロセスチャンバと、堆積中に基板を所定位置に保持するための支持体と、プロセスガスをプロセスチャンバに流入するための入口とを含み、プロセスチャンバ内でプラズマを生成するためのシステムも含んでいてよい。さらに、この装置は、本明細書で提供される方法に従ってSnO層を堆積するためのプログラム命令を有する制御部を含む。
【0061】
本明細書で提供されるドライエッチング操作は、気体状の試薬を送給するために構成された送給ラインおよび制御機構を備えた様々な装置で行うことができる。適切なプロセスチャンバの例としては、プラズマエッチングチャンバ、RIEチャンバ、等方性エッチングチャンバ、およびレジストストリップチャンバが挙げられる。いくつかの実施形態では、ドライエッチング装置は、基板を保持するための支持体を収容するプロセスチャンバと、プロセスチャンバに1つまたは複数のプロセスガスを送給するための送給ラインとを含む。いくつかの実施形態では、装置は、プロセスガス中でプラズマを生成するためのシステムをさらに含む。プロセスチャンバは、エッチングを行うためのプログラム命令を備える制御部をさらに含んでいてもよい。これらの命令は、プロセスガスの送給に関する命令、プロセスチャンバ内の温度および圧力の設定、ならびにプラズマパラメータに関する命令を含んでいてよい。
【0062】
本明細書で提供されるウェットエッチング操作は、ウェットエッチャントを基板上に送給するために構成された様々な装置で行うことができる。これらの装置は、液体エッチャント中に基板を浸漬するため、基板上にエッチャントを噴霧するもしくは流すため、または他の接触法のために構成されてよい。いくつかの実施形態では、装置は、エッチャント送給中に基板を所定位置に保持するための支持体であって、基板を回転させるために構成された支持体と、基板上に液体エッチャントを噴霧するまたは流すために構成された1つまたは複数の送給ポート(例えばノズル)とを含む。装置は、ウェットエッチングプロセスに関するプログラム命令を含む制御部をさらに含んでいてもよい。
【0063】
別の態様では、SnO層を堆積するために構成された堆積チャンバと、1つまたは複数の材料を基板上にエッチングするために構成された1つまたは複数のエッチングチャンバ(RIEチャンバやウェットエッチングチャンバなど)とを含むシステムが提供される。このシステムは、本明細書で開示される方法に従ってSnO層を堆積するためおよびSnOスペーサを形成するためのプログラム命令を有する制御部をさらに含む。
【0064】
次に、本明細書で提供される方法に従ってSnO層を堆積するのに適した装置の一例として、PEALD装置を説明する。
【0065】
いくつかの実施形態では、SnO層のコンフォーマルな堆積は、Lam Research Corp.(米国カリフォルニア州フレモント)から入手可能なVector Excel堆積モジュールの一部であるPEALDリアクタ内で行われる。適切なプロセスチャンバは、堆積中にウェハ基板を保持するための支持体(ウェハペデスタル)と、プロセスチャンバ内でプラズマを生成するための発生器と、プロセスガスの成分(スズ含有前駆体、酸素含有反応物、キャリアガスなど)をプロセスチャンバに送給するための管路とを含む。さらに、装置は、プロセスチャンバをパージおよび/または排気するため、ならびに堆積中にプロセスチャンバ内の所望の圧力および温度を維持するために構成される。
【0066】
PEALDプロセスチャンバの例は、米国特許第6,416,822号、米国特許第6,428,859号、および米国特許第8,747,964号に記載されており、それらの特許文献の全体を参照により本明細書に援用する。
【0067】
図9は、提供されたSnO被膜を堆積するために使用され得るPEALDプロセスステーション900の実施形態を概略的に示す。単純にするために、プロセスステーション900は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体902を有する独立型のプロセスステーションとして示されている。しかし、複数のプロセスステーション900が共通のプロセスツール環境に含まれてもよいことを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、以下に詳細に論じるパラメータを含めたプロセスステーション900の1つまたは複数のハードウェアパラメータが、1つまたは複数のコンピュータ制御部によってプログラムで調節されてもよいことを理解されたい。
【0068】
プロセスステーション900は、プロセスガスを分散シャワーヘッド906に送給するための反応物送給システム901と流体連絡する。反応物送給システム901は、シャワーヘッド906に送給するためのプロセスガスを混合および/または調整するための混合容器904を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁920が、混合容器904へのプロセスガスの導入を制御してよい。同様に、シャワーヘッド入口弁905は、シャワーヘッド906へのプロセスガスの導入を制御してよい。
【0069】
いくつかの反応物は、プロセスステーションへの送給時および送給後の気化の前に液体状態で貯蔵されてもよい。例えば、
図9の実施形態は、混合容器904に供給すべき液体反応物を気化するための気化点903を含む。いくつかの実施形態では、気化点903は加熱式気化器でよい。そのような気化器から生成される反応物蒸気は、下流の送給配管内で凝縮することがある。凝縮された反応物に不適合なガスが曝されることで、小さな粒子を生成することがある。これらの小さな粒子は、例えば配管を詰まらせたり、弁の動作を妨げたり、基板を汚染したりすることがある。これらの問題に対処するいくつかの手法は、送給配管を掃引および/または排気して、残留反応物を除去することを含む。しかし、送給配管を掃引することは、プロセスステーションのサイクルタイムを増加し、プロセスステーションのスループットを低下させることがある。したがって、いくつかの実施形態では、気化点903の下流の送給配管がヒートトレースされてよい。いくつかの例では、混合容器904もヒートトレースされてよい。1つの非限定的な例では、気化点903の下流の配管は、約100℃から、混合容器904での約150℃に及ぶ増加する温度プロファイルを有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、反応物液体が液体注入器で気化されてよい。例えば、液体注入器は、液体反応物のパルスを、混合容器の上流のキャリアガス流に注入してよい。1つのシナリオでは、液体注入器は、液体をより高い圧力からより低い圧力に流すことによって反応物を気化してよい。別のシナリオでは、液体注入器は、液体を霧化して、分散された微小液滴にしてよく、これらの微小液滴は、その後、加熱された送給パイプ内で気化される。より小さい液滴は、より大きい液滴よりも速く気化することがあり、液体の注入と完全な気化との間の遅延を短縮させることを理解されたい。より速い気化は、気化点903から下流の配管の長さを短縮することがある。1つのシナリオでは、液体注入器は、混合容器904に直接取り付けられてもよい。別のシナリオでは、液体注入器は、シャワーヘッド906に直接取り付けられてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、気化およびプロセスステーション900に送給するための液体の質量流量を制御するために、気化点903の上流に液体フローコントローラが提供されてもよい。例えば、液体フローコントローラ(LFC)は、LFCの下流に位置する熱式質量流量計(MFM)を含んでいてよい。次いで、LFCのプランジャ弁は、MFMと電気的に通信する比例-積分-微分(PID)制御部によって提供されるフィードバック制御信号に応答して調節されてよい。しかし、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定させるのには1秒以上かかることがある。これは、液体反応物をドージングするための時間を延ばすことがある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてもよい。いくつかの実施形態では、LFCは、LFCおよびPID制御部の検知管をディスエーブルにすることによって、フィードバック制御モードから直接制御モードに動的に切り替えられてよい。
【0072】
シャワーヘッド906は、プロセスガスを基板912に向けて分散させる。
図9に示される実施形態では、基板912はシャワーヘッド906の下に位置され、ペデスタル908上に載置した状態で示されている。シャワーヘッド906は、任意の適切な形状を有していてよく、プロセスガスを基板912に分散させるための任意の適切な数および配置のポートを有していてよいことを理解されたい。
【0073】
いくつかの実施形態では、微小体積907がシャワーヘッド906の下に位置する。プロセスステーションの全体積内ではなく微小体積内でALDプロセスを行うことは、例えば、反応物の曝露および掃引時間を短縮することがあり、プロセス条件(例えば圧力や温度など)を変えるための時間を短縮することがあり、プロセスガスにプロセスステーションロボットが曝されるのを制限することがある。例示的な微小体積のサイズは、限定はしないが、0.1リットル~2リットルの体積を含む。この微小体積は、生産性スループットにも影響を及ぼす。1サイクル当たりの堆積速度は低下するが、サイクル時間も同時に短くなる。この効果は、場合によっては、被膜の所与の目標厚さについてモジュールの全体的なスループットを改良するのに十分に顕著である。
【0074】
いくつかの実施形態では、ペデスタル908は、基板912を微小体積907に曝すため、および/または微小体積907の体積を変化させるために上昇または下降されてよい。例えば、基板移送段階で、基板912をペデスタル908上に装荷できるようにペデスタル908が下降されてよい。堆積プロセス段階中、ペデスタル908は、基板912を微小容積907内に位置決めするために上昇されてよい。いくつかの実施形態では、微小体積907は、堆積プロセス中に高流量インピーダンスの領域を作成するために、基板912およびペデスタル908の一部を完全に囲んでよい。
【0075】
任意選択で、ペデスタル908は、堆積プロセスの途中で、微小体積907内部のプロセス圧力や反応物濃度などを変更するために下降および/または上昇されてもよい。堆積プロセス中にプロセスチャンバ本体902がベース圧に留まる1つのシナリオでは、ペデスタル908の下降により、微小体積907が排気されてよい。プロセスチャンバ体積に対する微小体積の例示的な比は、限定はしないが、1:900~1:10の体積比を含む。いくつかの実施形態では、ペデスタル高さは、適切なコンピュータ制御部によってプログラムで調節されてもよいことを理解されたい。
【0076】
別のシナリオでは、堆積プロセスに含まれるプラズマ活性および/または処理サイクル中に、ペデスタル908の高さの調節により、プラズマ密度が変えられてもよい。堆積プロセス段階の終了時、ペデスタル908からの基板912の取外しを可能にするために、別の基板移送段階中にペデスタル308が下降されてよい。
【0077】
本明細書で述べる例示的な微小体積変化は、高さ調節可能なペデスタルに関連しているが、いくつかの実施形態では、微小体積907の体積を変えるために、シャワーヘッド906の位置がペデスタル908に対して調節されてよい。さらに、ペデスタル908および/またはシャワーヘッド906の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切なメカニズムによって変えてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、ペデスタル908は、基板912の向きを回転させるための回転軸を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調節の1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータ制御部によってプログラムで行われてもよいことを理解されたい。
【0078】
図9に示される実施形態に戻ると、シャワーヘッド906およびペデスタル908は、プラズマに電力を供給するためのRF電源914および整合ネットワーク916と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つまたは複数を制御することによって制御されてよい。例えば、RF電源914および整合ネットワーク916は、所望の組成のラジカル種を含むプラズマを生成するために任意の適切な電力で動作されてよい。適切な電力の例は上述した。同様に、RF電源914は、任意の適切な周波数のRF電力を提供してもよい。いくつかの実施形態では、RF電源914は、高周波RF電源および低周波RF電源を互いに独立して制御するように構成されてよい。例示的な低周波RF周波数は、限定はしないが、50kHz~900kHzの周波数を含んでいてよい。例示的な高周波RF周波数は、限定はしないが、1.8MHz~2.45GHzの周波数を含んでいてよい。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータが離散的または連続的に変調されてよいことを理解されたい。1つの非限定的な例では、プラズマ電力は間断的にパルスされてもよく、連続的に電力を供給されるプラズマに比べて、基板表面でのイオン衝撃を低減する。
【0079】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタによってインサイチュで監視されてよい。1つのシナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧電流センサ(例えばVIプローブ)によって監視されてよい。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つまたは複数の発光分光分析センサ(OES)によって測定されてよい。いくつかの実施形態では、そのようなインサイチュプラズマモニタからの測定値に基づいて、1つまたは複数のプラズマパラメータがプログラムで調節されてよい。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためにフィードバックループで使用されてよい。いくつかの実施形態では、プラズマおよび他のプロセス特性を監視するために他のモニタが使用されてもよいことを理解されたい。そのようなモニタは、限定はしないが、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力トランスデューサを含んでいてよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、プラズマは、入出力制御(IOC)シーケンス命令によって制御されてよい。一例では、プラズマプロセス段階に関するプラズマ条件を設定するための命令は、堆積プロセスレシピの対応するプラズマ活性化レシピ段階に含まれてよい。場合によっては、プロセスレシピ段階は順次に配置されてよく、それにより、堆積プロセス段階に関する全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータを設定するための命令は、プラズマプロセス段階に先行するレシピ段階に含まれてもよい。例えば、第1のレシピ段階は、プロセスガスおよび/またはその個々の成分の流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、および第1のレシピ段階に関する時間遅延命令を含んでいてよい。第2の後続のレシピ段階は、プラズマ発生器を使用可能にするための命令、および第2のレシピ段階に関する時間遅延命令とを含んでいてよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を使用不可にするための命令、および第3のレシピ段階に関する時間遅延命令を含んでいてよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内の任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復されてもよいことを理解されたい。
【0081】
いくつかの実施形態では、ペデスタル908は、ヒータ910によって温度制御されてよい。さらに、いくつかの実施形態では、堆積プロセスステーション900のための圧力制御は、バタフライ弁918によって提供されてもよい。
図9の実施形態に示されるように、バタフライ弁918は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空をスロットル調整する。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション900の圧力制御は、プロセスステーション900に導入される1つまたは複数のガスの流量を変えることによって調節されてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される基板は、マルチステーションツールで処理される。
図10は、インバウンドロードロック1002およびアウトバウンドロードロック1004を有するマルチステーション処理ツール1000の一実施形態の概略図を示しており、ロードロック1002および1004のいずれかまたは両方が遠隔プラズマ源を備えていてよい。ロボット1006は、大気圧で、ポッド1008を通して装填されたカセットから大気ポート1010を介してインバウンドロードロック1002内にウェハを移動させるように構成される。ウェハは、ロボット1006によって、インバウンドロードロック1002内のペデスタル1012上に配置され、大気ポート1010が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。インバウンドロードロック1002が遠隔プラズマ源を備える場合、ウェハは、処理チャンバ1014に導入される前にロードロック内での遠隔プラズマ処理に曝されてよい。さらに、ウェハは、例えば水分および吸着されたガスを除去するために、インバウンドロードロック1002内で加熱されてもよい。次に、処理チャンバ1014へのチャンバ輸送ポート1016が開かれ、別のロボット(図示せず)が、処理のために、リアクタ内に示される第1のステーションのペデスタル上でウェハをリアクタ内に配置する。
【0083】
図示される処理チャンバ1014は、
図10に示される実施形態では、1~4の番号が付された4つのプロセスステーションを備える。各ステーションは、加熱式ペデスタル(ステーション1に関して参照番号1018で示されている)と、ガスライン入口とを有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なるまたは複数の目的を有していてよいことを理解されたい。図示される処理チャンバ1014は4つのステーションを備えるが、本開示による処理チャンバは任意の適切な数のステーションを有していてよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは5つ以上のステーションを有していてよく、他の実施形態では、処理チャンバは3つ以下のステーションを有していてよい。
【0084】
また、
図10は、処理チャンバ1014内でウェハを移送するためのウェハハンドリングシステム1090の一実施形態も示す。いくつかの実施形態では、ウェハハンドリングシステム1090は、様々なプロセスステーション間、および/またはプロセスステーションとロードロックとの間でウェハを移送してよい。任意の適切なウェハハンドリングシステムが採用されてよいことを理解されたい。非限定的な例として、ウェハカルーセルおよびウェハハンドリングロボットが挙げられる。また、
図10は、プロセスツール1000のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために採用されるシステム制御装置1050の一実施形態も示す。システム制御装置1050は、1つまたは複数のメモリデバイス1056、1つまたは複数の大容量記憶デバイス1054、および1つまたは複数のプロセッサ1052を含んでいてよい。プロセッサ1052は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッパモータ制御装置ボードなどを含んでいてよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、システム制御装置1050は、プロセスツール1000の全ての活動を制御する。システム制御装置1050は、大容量記憶デバイス1054に格納され、メモリデバイス1056にロードされ、プロセッサ1052上で実行されるシステム制御ソフトウェア1058を実行する。システム制御ソフトウェア1058は、タイミング、ガスの混合、チャンバおよび/またはステーション圧力、チャンバおよび/またはステーション温度、パージ条件およびパージタイミング、ウェハ温度、RF電力レベル、RF周波数、基板、ペデスタル、チャックおよび/またはサセプタ位置、ならびにプロセスツール1000によって行われる特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含んでいてよい。システム制御ソフトウェア1058は、任意の適切な様式で構成されてよい。例えば、様々なプロセスツール構成要素のサブルーチンまたは制御オブジェクトが、開示される実施形態に従って様々なプロセスツールプロセスを行うのに必要なプロセスツール構成要素の動作を制御するように書かれてよい。システム制御ソフトウェア1058は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語で符号化されてよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア1058は、上述した様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含んでいてよい。例えば、PEALDプロセスの各段階は、システム制御装置1050による実行のための1つまたは複数の命令を含んでいてよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、システム制御装置1050に関連する大容量記憶デバイス1054および/またはメモリデバイス1056に記憶された他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが採用されてもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムの一部の例としては、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムが挙げられる。
【0088】
基板位置決めプログラムは、基板をペデスタル1018上に装填し、基板とプロセスツール1000の他の部分との間隔を制御するために使用されるプロセスツールコンポーネント用のプログラムコードを含んでいてよい。
【0089】
プロセスガス制御プログラムは、ガス組成および流量を制御するためのコード、ならびに、任意選択で、プロセスステーション内の圧力を安定させるために堆積前に1つまたは複数のプロセスステーション内にガスを流すためのコードを含んでいてよい。プロセスガス制御プログラムは、開示される任意の範囲内のガス組成および流量を制御するためのコードを含んでいてよい。圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システム内の絞り弁や、プロセスステーション内へのガス流などを調整することによってプロセスステーション内の圧力を制御するためのコードを含んでいてよい。圧力制御プログラムは、開示される任意の圧力範囲内でプロセスステーション内の圧力を維持するためのコードを含んでいてよい。
【0090】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでいてよい。代替として、ヒータ制御プログラムは、基板への伝熱ガス(ヘリウムなど)の送給を制御してもよい。ヒータ制御プログラムは、開示される任意の範囲内で基板の温度を維持するための命令を含んでいてもよい。
【0091】
プラズマ制御プログラムは、例えば、本明細書で開示される任意のRF電力レベルを使用して、1つまたは複数のプロセスステーション内のプロセス電極に印加されるRF電力レベルおよび周波数を設定するためのコードを含んでいてよい。プラズマ制御プログラムは、各プラズマ曝露の持続時間を制御するためのコードを含んでいてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、システム制御装置1050に関連するユーザインターフェースが存在してもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含んでいてよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、システム制御装置1050によって調節されるパラメータは、プロセス条件に関係するものでよい。非限定的な例として、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RF電力レベル、周波数、および曝露時間など)などが挙げられる。これらのパラメータは、ユーザインターフェースを利用して入力され得るレシピの形でユーザに提供されてもよい。
【0094】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサから、システム制御装置1050のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール1000のアナログおよびデジタル出力接続で出力されてよい。監視されることがあるプロセスツールセンサの非限定的な例として、マスフロー制御装置、圧力センサ(マノメータなど)、熱電対などが挙げられる。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムが、プロセス条件を維持するためにこれらのセンサからのデータと共に使用されてもよい。
【0095】
開示される実施形態を実施するために、任意の適切なチャンバが使用されてよい。例示的な堆積装置としては、限定はしないが、それぞれLam Research Corp.(米国カリフォルニア州フレモント)から入手可能であるALTUS(登録商標)製品ファミリ、VECTOR(登録商標)製品ファミリ、および/またはSPEED(登録商標)製品ファミリからの装置、または様々な他の市販されている処理システムの任意のものが挙げられる。2つ以上のステーションが同じ機能を行ってもよい。同様に、2つ以上のステーションが異なる機能を行ってもよい。各ステーションは、望みに応じて特定の機能/方法を行うように設計/構成することができる。
【0096】
図11は、特定の実施形態による薄膜堆積プロセスを行うのに適した処理システムのブロック図である。システム1100は、移送モジュール1103を含む。移送モジュール1103は、処理される基板を、様々なリアクタモジュール間を移動させるときに汚染されるリスクを最小限に抑えるために、清浄な加圧環境を提供する。移送モジュール1103には、2つのマルチステーションリアクタ1109および1110が取り付けられ、それぞれ、特定の実施形態による原子層堆積(ALD)および/または化学気相成長(CVD)を行うことが可能である。他の実施形態では、1つのリアクタが、ALDを行うために構成されたステーションを含んでいてよく、別のリアクタが、エッチングを行うために構成されたステーションを含んでいてよい。リアクタ1109および1110は、開示される実施形態に従って操作を順次にまたは非順次に行うことがある複数のステーション1111、1113、1115、および1117を含んでいてよい。ステーションは、加熱式ペデスタルまたは基板支持体と、1つまたは複数のガス入口、シャワーヘッド、または分散プレートとを含んでいてよい。
【0097】
また、移送モジュール1103には1つまたは複数のシングルまたはマルチステーションモジュール1107が取り付けられてもよく、モジュール1107は、プラズマもしくは化学(非プラズマ)事前洗浄、または開示される方法に関連して述べた任意の他のプロセスを行うことが可能である。モジュール1107は、場合によっては、例えば堆積プロセスのために基板を準備するための様々な処理に使用されてよい。また、モジュール1107は、エッチングまたは研磨など様々な他のプロセスを行うように設計/構成されてもよい。システム1100は、処理の前後にウェハが格納される1つまたは複数のウェハソースモジュール1101も含む。雰囲気移送チャンバ1119内の雰囲気ロボット(図示せず)は、まず、ウェハをソースモジュール1101からロードロック1121に取り外してよい。移送モジュール1103内のウェハ移送デバイス(一般にロボットアームユニット)は、ロードロック1121から移送モジュール1103に取り付けられたモジュールに、およびモジュール間でウェハを移動させる。
【0098】
様々な実施形態において、システム制御装置1129は、堆積中のプロセス条件を制御するために採用される。制御装置1129は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスおよび1つまたは複数のプロセッサを含む。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッパモータ制御装置ボードなどを含んでいてよい。
【0099】
制御装置1129は、堆積装置の全ての活動を制御してよい。システム制御装置1129は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウェハ温度、無線周波(RF)電力レベル、ウェハチャックまたはペデスタル位置、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令セットを含むシステム制御ソフトウェアを実行する。いくつかの実施形態では、制御装置1129に関連付けられたメモリデバイスに記憶された他のコンピュータプログラムが採用されてもよい。
【0100】
典型的には、制御装置1129に関連付けられたユーザインターフェースが存在する。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、およびポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含んでいてよい。
【0101】
システム制御論理は、任意の適切な様式で構成されてよい。一般に、論理は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして設計または構成することができる。駆動回路構成を制御するための命令は、ハードコード化されてよく、またはソフトウェアとして提供されてもよい。命令は、「プログラミング」によって提供されてもよい。そのようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサ内のハードコード化された論理、特定用途向け集積回路、およびハードウェアとして実装された特定のアルゴリズムを有する他のデバイスを含めた、任意の形態の論理を含むものと理解される。また、プログラミングは、汎用プロセッサ上で実行されることがあるソフトウェアまたはファームウェア命令を含むものと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語で符号化されてよい。
【0102】
ゲルマニウム含有還元剤パルス、水素流、およびタングステン含有前駆体パルス、ならびにプロセスシーケンスにおける他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語、すなわち、例えばアセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなどで書くことができる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムにおいて識別されたタスクを行うためにプロセッサによって実行される。また、上述したように、プログラムコードはハードコード化されてもよい。
【0103】
制御装置パラメータは、例えばプロセスガス組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、およびチャンバ壁温度などのプロセス条件に関係する。これらのパラメータは、レシピの形でユーザに提供され、ユーザインターフェースを利用して入力されてよい。プロセスを監視するための信号は、システム制御装置1129のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置1100のアナログおよびデジタル出力接続で出力される。
【0104】
システムソフトウェアは、多くの異なる様式で設計または構成されてよい。例えば、様々なチャンバ構成要素のサブルーチンまたは制御オブジェクトが、開示される実施形態に従って堆積プロセス(および場合によっては他のプロセス)を行うのに必要なチャンバ構成要素の動作を制御するように書かれてよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムの一部の例としては、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードが挙げられる。
【0105】
いくつかの実装形態では、制御装置1129は、上述した例の一部でよいシステムの一部である。そのようなシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウェハペデスタルやガスフローシステムなど)を含めた半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は「制御装置」と称されてよく、これは、システムの様々な構成要素またはサブパートを制御し得る。制御装置1129は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書で開示される任意のプロセスを制御するようにプログラムされてよく、そのようなプロセスは、処理ガスの送給、温度設定(例えば加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、出力設定、いくつかのシステムでは無線周波(RF)発生器の設定、RFマッチング回路の設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作の設定、ツール内外へのウェハ移送、および特定のシステムに接続またはインターフェースされた他の移送ツールおよび/またはロードロック内外へのウェハ移送を含む。
【0106】
広範に言うと、制御装置は、例えば、命令を受信する、命令を送信する、動作を制御する、洗浄操作を可能にする、およびエンドポイント測定を可能にする様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態でのチップ、デジタル信号処理装置(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えばソフトウェア)を実行する1つもしくは複数のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでいてよい。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)の形態で制御装置に通信される命令でよく、半導体ウェハ上で、もしくは半導体ウェハ用に、またはシステムに対して特定のプロセスを実施するための動作パラメータを定義する。いくつかの実装形態では、動作パラメータは、ウェハの1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはダイの製造中に1つまたは複数の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部でよい。
【0107】
いくつかの実装形態では、制御装置は、コンピュータの一部でよく、またはコンピュータに結合されてよく、そのコンピュータは、システムと一体化される、システムに結合される、他の形でシステムにネットワーク化される、またはそれらの組合せで構成される。例えば、制御装置は、「クラウド」または工場ホストコンピュータシステムの全体もしくは一部でよく、ウェハ処理の遠隔アクセスを可能にすることができる。コンピュータは、システムへの遠隔アクセスを可能にしてよく、製造操作の現在の進行状況を監視し、過去の製造操作の履歴を検査し、複数の製造操作から傾向または性能規準を検査して、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に続くように処理ステップを設定する、または新たなプロセスを開始する。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えばサーバ)が、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてよいネットワークを介してシステムにプロセスレシピを提供することができる。遠隔コンピュータはユーザインターフェースを含んでいてよく、ユーザインターフェースは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にし、これらのパラメータおよび/または設定は、次いで遠隔コンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、制御装置は、1つまたは複数の操作中に行うべき各処理ステップに関するパラメータを指定する命令を、データの形態で受信する。パラメータが、実施すべきプロセスのタイプ、および制御装置がインターフェースまたは制御するために構成されたツールのタイプに特有のものでよいことを理解すべきである。したがって、上述したように、制御装置は、例えば1つまたは複数のディスクリート制御装置を含むことによって分散されてよく、それらの制御装置は、互いにネットワーク化され、本明細書で述べるプロセスや制御など共通の目的に向けて協働する。そのような目的のための分散型制御装置の一例は、(例えばプラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部として)遠隔に位置された1つまたは複数の集積回路と通信するチャンバにある1つまたは複数の集積回路であり、これらが組み合わさってチャンバでのプロセスを制御する。
【0108】
限定はしないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相成長(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相成長(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウェハの作製および/または製造に関連付けられてよいまたは使用されてよい任意の他の半導体処理システムを含んでいてよい。
【0109】
上記のように、ツールによって行うべきプロセスステップに応じて、制御装置は、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近隣のツール、工場全体にわたって位置されたツール、メインコンピュータ、別の制御装置、または、ウェハのコンテナを半導体製造工場内のツール位置および/または装填ポートに/から導く材料輸送で使用されるツールの1つまたは複数と通信してよい。
【0110】
さらなる実装形態
本明細書で述べた装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光発電パネルなどの作製または製造のためのリソグラフィパターン形成ツールまたはプロセスと共に使用されてもよい。必須ではないが、典型的には、そのような装置およびプロセスは、共通の製造施設で一緒に使用または実施される。被膜のリソグラフィパターン形成は、典型的には、以下のステップのいくつかまたは全てを含み、各ステップが、いくつかの可能なツールによって実現可能にされる:(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを使用してワークピース(すなわち基板)にフォトレジストを塗布するステップ;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化するステップ;(3)ウェハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光でフォトレジストを露光するステップ;(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像し、レジストを選択的に除去し、それによりレジストをパターン形成するステップ;(5)ドライエッチングまたはプラズマエッチングツールを使用することによって、下にある被膜またはワークピースにレジストパターンを転写するステップ;および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去するステップ。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(a)プロセスチャンバにおいて、半導体基板上にスズ含有材料を堆積する工程、または、半導体基板からスズ含有材料をエッチングする工程と、
(b)(a)の後に、前記プロセスチャンバを水素含有ガスと接触させることにより前記プロセスチャンバを洗浄して、揮発性のスズ含有生成物を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
(b)は、プラズマ中で前記水素含有ガスを活性化させる工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(a)の後に、前記半導体基板を前記プロセスチャンバから取り出す工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
(a)は、前記スズ含有材料を堆積する工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
(a)は、前記スズ含有材料をエッチングする工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記水素含有ガスは、H2を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記水素含有ガスは、NH3を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記水素含有ガスは、H2およびNH3を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記揮発性のスズ含有生成物は、水素化スズを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
(b)は、フッ化スズを水素化スズに変換する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
(a)は、酸化スズをハロゲン系化学反応でエッチングする工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
(b)は、前記プロセスチャンバをパージおよび/または排気して前記揮発性のスズ含有生成物を除去する工程を含む、方法。
【請求項13】
半導体基板を処理するための装置であって、
処理中に前記半導体基板を保持するように構成された基板ホルダを有するプロセスチャンバと、
反応物を導入するための入口と、
コントローラであって、
(i)前記プロセスチャンバにおいて、前記半導体基板上へのスズ含有材料の堆積、または、前記半導体基板からのスズ含有材料のエッチングを行わせ、
(ii)(i)の後に、前記プロセスチャンバを水素含有ガスと接触させることにより前記プロセスチャンバを洗浄して、揮発性のスズ含有生成物の形成を行わせるためのプログラム命令を有する、コントローラと、
を備える、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
(ii)は、さらに、プラズマ中での前記水素含有ガスの活性化を含む、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、
前記水素含有ガスは、H2、NH3、およびこれらの組み合わせを含む、装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、
前記スズ含有材料は、酸化スズである、装置。
【請求項17】
請求項13に記載の装置であって、
(i)は、前記半導体基板上への前記スズ含有材料の前記堆積を含む、装置。
【請求項18】
請求項13に記載の装置であって、
(i)は、前記半導体基板からの前記スズ含有材料の前記エッチングを含む、装置。
【請求項19】
請求項13に記載の装置であって、
(ii)は、さらに、前記プロセスチャンバの排気および/またはパージによる前記揮発性のスズ含有生成物の除去を含む、装置。
【請求項20】
請求項13に記載の装置であって、
前記水素含有ガスは、H2を含む、装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
再び
図7を参照すると、プロセスは次いで、ステップ703で、第1と第2の材料の両方の上にSnO層を堆積させる。
図2に示される構造を参照すると、SnO層109が、ESL103の上、およびマンドレルの側壁を含めたマンドレル101の上に堆積される。SnO層は、CVD(PECVDを含む)、ALD(PEALDを含む)、スパッタリングなど任意の適切な方法によって堆積される。いくつかの実施形態では、SnO被膜をコンフォーマルに堆積することが好ましく、それにより、
図2に示されるように、SnO被膜は層103およびマンドレル101の表面に沿う。いくつかの実施形態では、SnO層は、約5~30nmの厚さ、例えば約10~20nmの厚さにコンフォーマルに堆積される。コンフォーマルなSnO被膜の適切な堆積法の1つは、ALDである。熱ALDまたはプラズマALDを使用することができる。典型的な熱ALD法では、基板は、ALDプロセスチャンバに提供され、スズ含有前駆体および酸素含有反応物に順次に曝され、スズ含有前駆体と酸素含有反応物を基板の表面上で反応させて、SnOを生成する。典型的には、基板がスズ含有前駆体に曝された後、かつ酸素含有反応物がプロセスチャンバに入れられる前に、ALDプロセスチャンバが不活性ガスでパージされて、プロセスチャンバのバルクでの反応を防止する。さらに、ALDプロセスチャンバは、典型的には、基板が酸素含有反応物で処理された後にも不活性ガスでパージされる。順次に曝す操作は数サイクルにわたって繰り返され、例えば、所望の厚さを有するSnO層が堆積されるまで約10~100サイクルを行うことができる。適切なスズ含有前駆体の例としては、ハロゲン化スズ含有前駆体(SnCl
4およびSnBr
4など)、およびアルキル置換スズアミドなどを含む有機スズ化合物などの非ハロゲン化スズ含有前駆体が挙げられる。ALDに適したアルキル置換スズアミドの具体的な例は、
テトラキス(ジメチルアミノ)スズ、
テトラキス(エチルメチルアミノ)スズ、N
2,N
3-ジ-tert-ブチル-ブタン-2,3-ジアミノ-スズ(II)、および(1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4,5-ジメチル-(4R,5R)-1,3,2-ジアザスタノリジン-2-イリジンである。酸素含有反応物としては、限定はしないが、酸素、オゾン、水、過酸化水素、およびNOが挙げられる。酸素含有反応物の混合物を使用することもできる。堆積条件はALD反応物の選択に従って異なり、一般に、より高い反応性の前駆体は、より低い反応性の前駆体よりも低い温度で反応する。これらのプロセスは、典型的には、約20~500℃の温度で、大気圧よりも低い圧力で行われる。温度および圧力は、凝縮を避けるために反応物がプロセスチャンバ内で気体状態のままであるように選択される。各反応物は、単独で、またはアルゴン、ヘリウムもしくは窒素などのキャリアガスと混合されて、気体状態でプロセスチャンバに提供される。これらの混合物の流量は、プロセスチャンバのサイズによって決まり、いくつかの実施形態では約10~10,000sccmである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
ALDでのハロゲン化スズ前駆体の使用は多くの実施形態において適切であるが、いくつかの実施形態では、SnCl4などのハロゲン化前駆体の使用で起こり得る腐食の問題を避けるために、非ハロゲン化有機スズ前駆体を使用することがより好ましい。適切な非ハロゲン化有機スズ前駆体の例としては、テトラキス(ジメチルアミノ)スズなどのアルキルアミノスズ(アルキル化スズアミド)前駆体が挙げられる。この前駆体を使用する適切な熱ALD堆積法の一例は、“Atomic Layer Deposition of Tin Oxide Films using Tetrakis(dimethylamino)tin”(J.Vac.Sci.Technol.A 26,244(2008))という題名のElam他による論文で提供されており、その論文の全体を参照により本明細書に援用する。この方法では、基板は、ALDチャンバ内で、約50~300℃の温度でテトラキス(ジメチルアミノ)スズおよびH2O2に順次に曝される。有利には、この前駆体の使用は、100℃以下の低温でのSnO被膜の堆積を可能にする。例えば、反応速度を高めるために、プラズマを使用せずに50℃でSnO被膜を堆積することができる。テトラキス(ジメチルアミノ)スズおよびH2O2を使用するSnOの熱ALDの別の例は、“Atomic Layer Deposition of Indium Tin Oxide Thin Films Using Nonhalogenated Precursors”(J.Phys.Chem.C 2008,112,1938-1945)という題名のElam他による論文で提供されており、その論文を参照により本明細書に援用する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
別のシナリオでは、堆積プロセスに含まれるプラズマ活性および/または処理サイクル中に、ペデスタル908の高さの調節により、プラズマ密度が変えられてもよい。堆積プロセス段階の終了時、ペデスタル908からの基板912の取外しを可能にするために、別の基板移送段階中にペデスタル908が下降されてよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
さらなる実装形態
本明細書で述べた装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光発電パネルなどの作製または製造のためのリソグラフィパターン形成ツールまたはプロセスと共に使用されてもよい。必須ではないが、典型的には、そのような装置およびプロセスは、共通の製造施設で一緒に使用または実施される。被膜のリソグラフィパターン形成は、典型的には、以下のステップのいくつかまたは全てを含み、各ステップが、いくつかの可能なツールによって実現可能にされる:(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを使用してワークピース(すなわち基板)にフォトレジストを塗布するステップ;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化するステップ;(3)ウェハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光でフォトレジストを露光するステップ;(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像し、レジストを選択的に除去し、それによりレジストをパターン形成するステップ;(5)ドライエッチングまたはプラズマエッチングツールを使用することによって、下にある被膜またはワークピースにレジストパターンを転写するステップ;および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去するステップ。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
半導体基板を処理する方法であって、
(a)第1の材料を含む露出層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する半導体基板を提供するステップと、
(b)前記少なくとも1つの突出フィーチャの側壁を含め、前記第1の材料と前記第2の材料との両方の上にSnO層を堆積するステップとを含み、
前記第1の材料および前記第2の材料が、第1のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第1の材料のエッチングレートの比が1よりも大きく、第2のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第2の材料のエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される
方法。
適用例2:
適用例1の方法であって、前記SnO層がコンフォーマルに堆積される方法。
適用例3:
適用例1の方法であって、前記SnO層が原子層堆積(ALD)によって堆積される方法。
適用例4:
適用例1の方法であって、前記SnO層が約5~30nmの厚さに堆積される方法。
適用例5:
適用例1の方法であって、前記SnO層が約10~20nmの厚さに堆積される方法。
適用例6:
適用例1の方法であって、前記第1の材料が、酸化ケイ素および窒化ケイ素からなる群から選択される材料を含む方法。
適用例7:
適用例1の方法であって、前記第2の材料が、非晶質シリコンおよび炭素からなる群から選択される材料を含む方法。
適用例8:
適用例1の方法であって、前記第1の材料が酸化ケイ素を含み、前記第1のエッチング化学反応がプラズマ・フルオロカーボン・エッチングである方法。
適用例9:
適用例1の方法であって、前記第2の材料が非晶質シリコンを含み、前記第2のエッチング化学反応が酸化性の酸素含有化学反応を含む方法。
適用例10:
適用例9の方法であって、前記第2の化学反応がプラズマエッチングであり、前記プラズマが、HBrおよびO
2
を含むプロセスガス中で生成される方法。
適用例11:
適用例1の方法であって、
(c)前記SnO層を堆積した後、前記少なくとも1つの突出部の前記側壁を覆う前記SnO層を完全には除去することなく、前記半導体基板の水平面から前記SnO層を完全に除去するステップ
をさらに含む方法。
適用例12:
適用例11の方法であって、
(d)前記半導体基板の水平面から前記SnO層を除去した後、前記第2のエッチング化学反応を使用して、前記少なくとも1つの突出部の前記側壁を覆っていた前記SnO層を完全には除去することなく前記少なくとも1つの突出部を完全に除去し、それによりSnOスペーサを形成するステップ
をさらに含む方法。
適用例13:
適用例12の方法であって、
(e)前記SnOスペーサを形成した後、前記第1のエッチング化学反応を使用して、前記SnOスペーサを完全には除去することなく前記第1の材料の露出部分を除去し、それにより、前記第1の材料の層の下にあるハードマスク層の一部を露出するステップ
をさらに含む方法。
適用例14:
適用例13の方法であって、
ステップ(e)の後、前記SnO層の下にあった第1の材料の前記層を完全には除去することなく、前記SnO層と前記ハードマスク層の露出部分との両方を除去するステップ
をさらに含む方法。
適用例15:
適用例13の方法であって、ステップ(e)が、前記基板をプラズマ・フルオロカーボン・エッチングに曝すステップを含む方法。
適用例16:
適用例15の方法であって、ステップ(e)の後、水素含有ガスを含むプロセスガス中でプラズマを生成して、揮発性の水素化スズを生成することによって、エッチングチャンバを洗浄するステップをさらに含む方法。
適用例17:
適用例16の方法であって、前記水素含有ガスが、H
2
および/またはNH
3
である方法。
適用例18:
適用例1の方法であって、前記半導体基板が、前記第2の材料を含む複数の突出フィーチャを備え、最も近い突出フィーチャ間の距離が約10~100nmである方法。
適用例19:
適用例1の方法であって、前記半導体基板が、前記第2の材料を含む複数の突出フィーチャを備え、最も近い突出フィーチャ間の距離が約40~100nmである方法。
適用例20:
適用例1の方法であって、前記半導体基板が、前記第2の材料を含む複数の突出フィーチャを備え、最も近い突出フィーチャ間の距離が約10~30nmである方法。
適用例21:
適用例1の方法であって、
フォトレジストを前記半導体基板に塗布するステップと、
前記フォトレジストを露光するステップと、
前記フォトレジストをパターン形成し、前記パターンを前記半導体基板に転写するステップと、
前記半導体基板から前記フォトレジストを選択的に除去するステップと
をさらに含む方法。
適用例22:
適用例1の方法であって、前記第1の材料が、窒化ケイ素および酸化ケイ素からなる群から選択される材料を含み、前記第2の材料が、非晶質シリコンおよび炭素からなる群から選択される材料を含む方法。
適用例23:
半製造された半導体デバイスであって、第1の材料の露出層と、前記第1の材料の前記層上にある複数のSnOスペーサとを備える半導体デバイス。
適用例24:
半導体基板上にSnO層を堆積するための装置であって、
SnO堆積中に前記半導体基板を保持するために構成された基板ホルダを有するプロセスチャンバと、
反応物を導入するための入口と、
プログラム命令を含む制御部とを備え、前記プログラム命令が、
第1の材料の露出層と、第2の材料からなる複数の突出部とを有する半導体基板上にSnO層をコンフォーマルに堆積するためのものであり、前記第1の材料が、窒化ケイ素と酸化ケイ素からなる群から選択され、前記第2の材料が、非晶質シリコンおよび炭素からなる群から選択される
装置。
適用例25:
半導体基板を処理するためのシステムであって、
1つまたは複数の堆積プロセスチャンバと、
1つまたは複数のエッチングプロセスチャンバと、
プログラム命令を含むプロセス制御部とを備え、前記プログラム命令が、
(a)第1の材料を含む露出層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する半導体基板を提供するため、および
(b)前記少なくとも1つの突出フィーチャの側壁を含め、前記第1の材料と前記第2の材料との両方の上にSnO層を堆積するためのものであり、
前記第1の材料および前記第2の材料が、第1のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第1の材料のエッチングレートの比が1よりも大きく、第2のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第2の材料のエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される
システム。
適用例26:
適用例25のシステムであって、さらにステッパを備えるシステム。
適用例27:
コードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コードが、
(a)第1の材料を含む露出層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む少なくとも1つの突出フィーチャとを有する半導体基板を提供するため、および
(b)前記少なくとも1つの突出フィーチャの側壁を含め、前記第1の材料と前記第2の材料との両方の上にSnO層を堆積するためのものであり、
前記第1の材料および前記第2の材料が、第1のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第1の材料のエッチングレートの比が1よりも大きく、第2のエッチング化学反応に関して、SnOのエッチングレートに対する前記第2の材料のエッチングレートの比が1よりも大きくなるように選択される
非一時的なコンピュータ可読媒体。
【外国語明細書】