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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012039
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電圧レギュレータ回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20220107BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H02J1/00 309P
G05F1/56 320C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113570
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 猛昭
(72)【発明者】
【氏名】榎本 光浩
(72)【発明者】
【氏名】久米 正義
(72)【発明者】
【氏名】小宮 基樹
(72)【発明者】
【氏名】榎本 大舗
【テーマコード(参考)】
5G165
5H430
【Fターム(参考)】
5G165BB07
5G165DA01
5G165EA02
5G165EA04
5G165FA01
5G165GA04
5G165NA05
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430CC02
5H430CC06
5H430EE02
5H430FF04
5H430FF13
5H430GG01
5H430HH03
5H430LA01
(57)【要約】

【課題】電源回路の入出力間の電位差が逆転した場合であっても、出力側から入力側への電流の逆流を防止することができる電圧レギュレータ回路を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る電圧レギュレータ回路は、スイッチ回路と、スイッチ回路を介して外部電源に接続され、第1の負荷に接続され、外部電源から供給される入力電圧を用いて、第1の負荷へ所定の電圧を出力する第1の電源回路と、外部電源及び第1の負荷に接続され、外部電源から供給される入力電圧を用いて、第1の負荷へ所定の電圧を出力する第2の電源回路とを備え、第1の電源回路は、入力側がスイッチ回路を介さずに外部電源に接続され、外部電源から供給される入力電圧を用いてリーク電流を補償するための電流を発生する電流補償回路を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導通状態及び非導通状態を切り替えるスイッチ回路と、
第1の入力端子が前記スイッチ回路を介して外部電源に接続するための第1の外部入力端子に電気的に接続され、第1の出力端子が第1の負荷に接続するための第1の外部出力端子に電気的に接続され、前記第1の外部入力端子から前記第1の入力端子に供給される入力電圧を用いて、前記第1の出力端子から前記第1の外部出力端子へ所定の電圧を出力する第1の電源回路と、
第2の入力端子が外部電源に接続するための第2の外部入力端子に電気的に接続され、第2の出力端子が前記第1の外部出力端子に電気的に接続され、前記第2の外部入力端子から前記第2の入力端子に供給される入力電圧を用いて、前記第2の出力端子から前記第1の外部出力端子へ所定の電圧を出力する第2の電源回路と
を備え、
前記第1の電源回路は、入力側が前記スイッチ回路を介さずに前記第1の外部入力端子に電気的に接続され、前記第1の外部入力端子から供給される入力電圧を用いてリーク電流を補償するための電流を発生する電流補償回路を有する、
電圧レギュレータ回路。
【請求項2】
前記第1の電源回路は、前記入力電圧を用いて前記所定の電圧を出力する出力トランジスタを有し、
前記電流補償回路は、前記リーク電流を補償するための電流を前記出力トランジスタのベース端子に供給する、
請求項1に記載の電圧レギュレータ回路。
【請求項3】
前記第1の電源回路は、前記第1の入力端子と、前記出力トランジスタの前段に設けられるアンプとの間に、前記第1の入力端子から前記出力トランジスタのベース端子へ流れる電流が寄生ダイオードの順方向になるよう電気的に接続され、前記第1の外部入力端子から前記第1の入力端子に前記入力電圧が供給されないときにOFF状態に移行するトランジスタスイッチをさらに備える、請求項2に記載の電圧レギュレータ回路。
【請求項4】
前記第1の電源回路は、前記所定の電圧としての前記入力電圧の出力及び非出力を切り替えるMOSトランジスタを有し、
前記電流補償回路は、前記リーク電流を補償するための電流を前記MOSトランジスタのゲート端子に供給する、
請求項1に記載の電圧レギュレータ回路。
【請求項5】
前記第1の電源回路は、前記第1の入力端子と、前記MOSトランジスタの前段に設けられるドライバ回路との間に、前記第1の入力端子から前記MOSトランジスタのゲート端子へ流れる電流が寄生ダイオードの順方向になるよう電気的に接続され、前記第1の外部入力端子から前記第1の入力端子に前記入力電圧が供給されないときにOFF状態に移行するトランジスタスイッチをさらに備える、請求項4に記載の電圧レギュレータ回路。
【請求項6】
第3の入力端子が前記スイッチ回路を介して前記第1の外部入力端子に電気的に接続され、第3の出力端子が第2の負荷に接続するための第2の外部出力端子に電気的に接続され、前記第1の外部入力端子から前記第3の入力端子に供給される入力電圧を用いて、前記第3の出力端子から前記第2の外部出力端子へ所定の電圧を出力する第3の電源回路をさらに備える、請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の電圧レギュレータ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、電圧レギュレータ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の負荷の各々に必要な電圧を供給するために、多チャンネルの電源を有する複合電源がある。また、複合電源からの電源電圧の常時供給が必要な負荷のために、冗長電源として構成される複合電源がある。
【0003】
このような中、複合電源においては、消費電力の削減や使用用途に応じた選択的な負荷への電圧供給のために、すべてのチャンネルの電源を常時動作させず、一部のチャンネルで電源電圧の供給を停止する場合がある。具体的には、複合電源において、一部のチャンネルの電源(電源回路)をスタンバイ状態にしたり、リレーやスイッチにより一部のチャンネルの電源ラインを切断したりする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-184538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、冗長電源として構成された複合電源において、一部のチャンネルで電源電圧の供給を停止した場合、他の一部のチャンネルでの電源電圧の供給に起因して、停止された電源の入出力間電位差が逆転し、電流の逆流が生じる場合があった。電流の逆流が生じた場合、停止された電源回路の入力側に接続されている他の回路が誤動作する可能性がある。これらの電源は、電源回路、又は、電圧レギュレータ回路とも呼ばれる。以下、電源を、電源回路、又は、電圧レギュレータ回路と記載する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、電源回路の入出力間の電位差が逆転した場合であっても、出力側から入力側への電流の逆流を防止することができる電圧レギュレータ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る電圧レギュレータ回路は、導通状態及び非導通状態を切り替えるスイッチ回路と、第1の入力端子が前記スイッチ回路を介して外部電源に接続するための第1の外部入力端子に電気的に接続され、第1の出力端子が第1の負荷に接続するための第1の外部出力端子に電気的に接続され、前記第1の外部入力端子から前記第1の入力端子に供給される入力電圧を用いて、前記第1の出力端子から前記第1の外部出力端子へ所定の電圧を出力する第1の電源回路と、第2の入力端子が外部電源に接続するための第2の外部入力端子に電気的に接続され、第2の出力端子が前記第1の外部出力端子に電気的に接続され、前記第2の外部入力端子から前記第2の入力端子に供給される入力電圧を用いて、前記第2の出力端子から前記第1の外部出力端子へ所定の電圧を出力する第2の電源回路とを備え、前記第1の電源回路は、入力側が前記スイッチ回路を介さずに前記第1の外部入力端子に電気的に接続され、前記第1の外部入力端子から供給される入力電圧を用いてリーク電流を補償するための電流を発生する電流補償回路を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源回路の入出力間の電位差が逆転した場合であっても、出力側から入力側への電流の逆流を防止することができる電圧レギュレータ回路を提供することができる。また、この電圧レギュレータ回路を用いることで、停止した電圧レギュレータ回路の入力側から、停止した電圧レギュレータ回路の入力側に接続された他の回路への電流の流入を防止することができる。したがって、冗長電源として構成された複合電源において、停止された電源回路の入力側に接続されている他の回路が誤動作することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る複合電源(電圧レギュレータ回路)の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1の複合電源(電圧レギュレータ回路)に搭載される電流補償回路の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1の複合電源(電圧レギュレータ回路)に搭載されるアンプの内部回路の構成の一例を示す図である。
図4図4は、図1の複合電源(電圧レギュレータ回路)におけるリーク電流のリーク経路について説明するための図である。
図5図5は、図1の複合電源(電圧レギュレータ回路)に電流補償回路が搭載されない場合に生じる逆流について説明するための図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る複合電源(電圧レギュレータ回路)の構成の別の一例を示す図である。
図7図7は、図6の複合電源(電圧レギュレータ回路)に搭載されるゲートドライバ回路の内部回路の構成の一例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る複合電源(電圧レギュレータ回路)に搭載されるリーク電流遮断回路の構成の一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る複合電源(電圧レギュレータ回路)に搭載されるリーク電流遮断回路の構成の一例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態および第2の実施形態に係る複合電源(電圧レギュレータ回路)に搭載される逆流遮断回路の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、電圧レギュレータ回路の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る複合電源1(電圧レギュレータ回路)の構成の一例を示す図である。複合電源1は、外部電源(メインバッテリ2,サブバッテリ3)から供給される入力電圧を用いて、複数の負荷4,5の各々に必要な電圧を供給するように構成される電圧レギュレータ回路である。複合電源1は、図1に示すように、スイッチ回路S、複数の電源REG1,REG2,REG3及びダイオードDを有する。
【0012】
スイッチ回路Sは、導通状態及び非導通状態を切り替える回路である。スイッチ回路Sの一端は、外部入力端子VDD1及び電源REG1の電源端子OFFR1に電気的に接続される。スイッチ回路Sの他の一端は、電源REG1及び電源REG2に電気的に接続される。なお、スイッチ回路Sに代えて、リレー回路が利用されても構わない。
【0013】
電源REG1は、負荷4が必要とする電圧の一部を供給する電源回路である。電源REG1は、外部入力端子VDD1から供給される入力電圧を用いて外部出力端子OUT1へ所定の電圧を出力する。電源REG1の入力端子INR1は、スイッチ回路Sを介して、メインバッテリ2に接続するための外部入力端子VDD1に電気的に接続される。電源REG1の出力端子OUTR1は、ノードAを介して、外部出力端子OUT1に電気的に接続される。ノードAは、電源REG1の出力端子OUTR1と、ダイオードDのカソードとを電気的に接続する接点である。ここで、電源REG1は、第1の電源回路の一例である。また、外部入力端子VDD1は、第1の外部入力端子の一例である。また、外部出力端子OUT1は、第1の外部出力端子の一例である。また、電源REG1の入力端子INR1は、第1の入力端子の一例である。また、電源REG1の出力端子OUTR1は、第1の出力端子の一例である。
【0014】
電源REG1は、図1に示すように、アンプA、出力トランジスタQ、抵抗R、抵抗R、参照電圧源VREF1及び電流補償回路OFFBIASを有する。
【0015】
アンプAは、反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)との間の電位差に応じた増幅結果(出力トランジスタQのベース駆動アナログ信号)を出力する演算増幅器である。アンプAの反転入力端子(-)は、参照電圧源VREF1に電気的に接続される。アンプAの非反転入力端子(+)は、抵抗Rと抵抗Rとの間に電気的に接続される。アンプAのVDD端子A1VDDは、電源REG1の入力端子INR1に電気的に接続される。アンプAのVSS端子A1VSSは、グランド電位となるノード(接地線)に電気的に接続される。アンプAの出力端子A1OUTは、出力トランジスタQのベース及び電流補償回路OFFBIASの出力端子OUTOFFに電気的に接続される。
【0016】
出力トランジスタQは、PNP型のバイポーラトランジスタである。出力トランジスタQのベースは、アンプAの出力端子A1OUT及び電流補償回路OFFBIASの出力端子OUTOFFに電気的に接続される。出力トランジスタQのエミッタは、電源REG1の入力端子INR1及びアンプAのVDD端子A1VDDに電気的に接続される。出力トランジスタQのコレクタは、電源REG1の出力端子OUTR1及び抵抗Rの抵抗Rとの接続端とは反対側の一端に電気的に接続される。
【0017】
抵抗R及び抵抗Rは、アンプAの非反転入力端子(+)に入力される電位を発生する抵抗素子である。抵抗Rは、一端が出力トランジスタQのコレクタ及び電源REG1の出力端子OUTR1に電気的に接続され、他の一端が抵抗R及びアンプAの非反転入力端子(+)に電気的に接続される。抵抗Rは、一端が抵抗R及びアンプAの非反転入力端子(+)に電気的に接続され、他の一端がグランド電位となるノード(接地線)に電気的に接続される。
【0018】
参照電圧源VREF1は、アンプAの反転入力端子(-)に入力される電位(参照電圧)を発生する電圧源である。参照電圧源VREF1は、正側の一端がアンプAの反転入力端子(-)に電気的に接続され、負側の一端がグランド電位となるノード(接地線)に電気的に接続される。
【0019】
なお、抵抗Rの抵抗値、抵抗Rの抵抗値及び参照電圧源VREF1による参照電圧の値は、負荷4に応じて設定される電源REG1の所望の出力電圧VOUTR1を用いて、以下の式(1)により決定される。
VOUTR1=VREF1×(R+R)/R ・・・式(1)
【0020】
電流補償回路OFFBIASは、外部入力端子VDD1から供給される入力電圧を用いてリーク電流を補償するための電流を発生する回路である。図2は、図1の複合電源1(電圧レギュレータ回路)に搭載される電流補償回路OFFBIASの構成の一例を示す図である。電流補償回路OFFBIASは、図2に示すように、NMOSトランジスタM及び抵抗Rを有する。
【0021】
電流補償回路OFFBIASの入力端子INOFFは、電源REG1の電源端子OFFR1に電気的に接続される。ここで、電源REG1の電源端子OFFR1は、電流補償回路OFFBIASへ外部入力端子VDD1からの入力電圧を入力するために電源REG1に設けられた電源端子である。電源REG1の電源端子OFFR1は、電源REG1の入力端子INR1とは異なり、スイッチ回路Sを介さずに外部入力端子VDD1に電気的に接続される。具体的には、電源REG1の電源端子OFFR1は、電源REG1の入力端子INR1とは反対側のスイッチ回路Sの一端に電気的に接続される。つまり、電流補償回路OFFBIASの入力端子INOFFは、電源REG1の電源端子OFFR1を介して、外部入力端子VDD1に電気的に接続される。電流補償回路OFFBIASの出力端子OUTOFFは、アンプAの出力端子A1OUT及び出力トランジスタQのベースに電気的に接続される。
【0022】
NMOSトランジスタMは、デプレッショントランジスタである。NMOSトランジスタMのドレインは、電流補償回路OFFBIASの入力端子INOFFに電気的に接続される。NMOSトランジスタMのソースは、抵抗Rの一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタMのゲートは、ソースとの接続端とは反対側の抵抗Rの一端及び電流補償回路OFFBIASの出力端子OUTOFFに電気的に接続される。
【0023】
抵抗Rは、電流制限抵抗(抵抗素子)である。抵抗Rは、一端がNMOSトランジスタMのソースに電気的に接続され、他の一端がNMOSトランジスタMのゲート及び電流補償回路OFFBIASの出力端子OUTOFFに電気的に接続される。
【0024】
電源REG2は、負荷5が必要とする電圧を供給する電源回路である。電源REG2は、外部入力端子VDD1から供給される入力電圧を用いて外部出力端子OUT2へ所定の電圧を出力する。電源REG2の入力端子は、スイッチ回路Sを介して、メインバッテリ2に接続するための外部入力端子VDD1に電気的に接続される。電源REG2の出力端子は、外部出力端子OUT2に電気的に接続される。ここで、電源REG2は、第3の電源回路の一例である。また、電源REG2の入力端子は、第3の入力端子の一例である。また、電源REG2の出力端子は、第3の出力端子の一例である。また、外部出力端子OUT2は、第2の外部出力端子の一例である。
【0025】
電源REG3は、負荷4が必要とする電圧の一部を供給する電源回路である。電源REG3は、外部入力端子VDD2から供給される入力電圧を用いて外部出力端子OUT1へ所定の電圧を出力する。電源REG3の入力端子は、サブバッテリ3に接続するための外部入力端子VDD2に電気的に接続される。電源REG3の出力端子は、ダイオードD及びノードAを介して、外部出力端子OUT1に電気的に接続される。ここで、電源REG3は、第2の電源回路の一例である。また、電源REG3の入力端子は、第2の入力端子の一例である。また、電源REG3の出力端子は、第2の出力端子の一例である。また、外部入力端子VDD2は、第2の外部入力端子の一例である。
【0026】
ダイオードDは、ノードAから電源REG3への電流の逆流を遮断する回路素子である。ダイオードDのアノードは、電源REG3の出力端子に電気的に接続される。ダイオードDのカソードは、外部出力端子OUT1に電気的に接続される。
【0027】
メインバッテリ2及びサブバッテリ3は、それぞれ複合電源1に電源電圧を供給するための外部電源である。メインバッテリ2は、複合電源1の外部入力端子VDD1に電気的に接続される。サブバッテリ3は、複合電源1の外部入力端子VDD2に電気的に接続される。
【0028】
負荷4及び負荷5は、それぞれ複合電源1から供給される電源電圧を用いて動作する負荷である。負荷4は、消費電力を削減する要求や使用用途に応じて、必要とする電源電圧が変化する負荷であるとする。負荷4は、複合電源1の外部出力端子OUT1に電気的に接続される。負荷5は、必要とする電源電圧が変化しない負荷であるとする。負荷5は、複合電源1の外部出力端子OUT2に電気的に接続される。ここで、負荷4は、第1の負荷の一例である。また、負荷5は、第2の負荷の一例である。
【0029】
図3は、図1の複合電源1(電圧レギュレータ回路)に搭載されるアンプAの内部回路の構成の一例を示す図である。図3に示す例では、アンプAの入力段及び利得段については、アンプ入力段/利得段A11として簡略化して図示している。アンプ入力段/利得段A11の入力側は、反転入力端子(-)及び非反転入力端子(+)に電気的に接続される。また、アンプ入力段/利得段A11の出力側は、NMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ゲートにそれぞれ電気的に接続される。PMOSトランジスタMのソースは、アンプAのVDD端子A1VDDに電気的に接続される。NMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ドレインと、アンプAの出力端子A1OUTとは、電気的に接続される。NMOSトランジスタMのソースは、アンプAのVSS端子A1VSSを介してグランド電位となるノード(接地線)に電気的に接続される。
【0030】
上述したように、第1の実施形態に係る複合電源1は、冗長電源として構成されている。冗長電源として構成された複合電源1においては、消費電力の削減や使用用途に応じた選択的な負荷への電圧供給のために、すべてのチャンネルの電源REG1,REG2,REG3を常時動作させず、一部のチャンネルの電源REG1,REG2で電源電圧の供給を停止することができる。具体的には、複合電源1において、一部のチャンネルの電源REG1,REG2をスタンバイ状態にしたり、スイッチ回路Sにより一部のチャンネルの電源ライン、すなわち外部入力端子VDD1と一部の電源REG1,REG2との間の接続を切断したりすることができる。これにより、実施形態に係る複合電源1は、負荷5への電源電圧の供給を停止する一方で、サブバッテリ3からの入力電圧を用いる電源REG3により負荷4への電源電圧の供給を継続することができる。
【0031】
しかしながら、冗長電源として構成された複合電源1において負荷5への電源電圧の供給を停止する一方で、負荷4への電源電圧の供給を継続する場合、電源REG1の入出力間電位差が逆転してしまう場合がある。ここで、電源REG1の入出力間電位差は、電源REG1の入力端子INR1と、電源REG1の出力端子OUTR1との間の電位差を言う。具体的には、スイッチ回路SをOFFにすると、電源REG1及び電源REG2には外部入力端子VDD1からの入力電圧が供給されない。一方で、電源REG3には外部入力端子VDD2からの入力電圧が供給される。このため、電源REG3の出力電圧によりノードAの電位が高まり、電源REG1の入出力間電位差が逆転してしまう場合がある。
【0032】
電源REG1の入出力間電位差が逆転した場合に出力トランジスタQの逆流を防止するためには、すなわち出力トランジスタQのOFF状態を保持するためには、出力トランジスタQのベース電圧より電源REG1の出力端子OUTR1の電位が高くならないように、ベース電流を制御する必要がある。
【0033】
図4は、図1の複合電源1(電圧レギュレータ回路)におけるリーク電流IA1-LEAKのリーク経路L1,L2,L3について説明するための図である。図4に示す例において、回路素子E1,E2,E3は、アンプAの内部回路である。ここで、回路素子E1は、図3のNMOSトランジスタMに対応する。また、回路素子E2は、図3のPMOSトランジスタMに対応する。また、回路素子E3は、図3のアンプ入力段/利得段A11に対応する。回路素子E4は、電源REG2の内部回路である。具体的には、回路素子E4は、電源REG2のVDD端子REG2VDD及び電源REG2のVSS端子REG2VSSに電気的に接続される。電源REG2のVDD端子REG2VDDは、スイッチ回路Sを介さずに、少なくとも電源REG1の入力端子INR1に電気的に接続される。一例として、電源REG2のVDD端子REG2VDDは、スイッチ回路Sを介して、メインバッテリ2に接続するための外部入力端子VDD1に電気的に接続される。また、電源REG2のVSS端子REG2VSSは、グランド電位となるノード(接地線)に電気的に接続される。
【0034】
図4に示す例において、リーク経路L1は、アンプAの出力端子A1OUTから回路素子E1を介してグランド電位となるVSS端子A1VSSへ向かうリーク電流IA1-LEAKの経路である。また、リーク経路L2は、アンプAの出力端子A1OUTから回路素子E2及び回路素子E3を介してグランド電位となるVSS端子A1VSSへ向かうリーク電流IA1-LEAKの経路である。また、リーク経路L3は、アンプAの出力端子A1OUTから回路素子E2及び回路素子E4を介してグランド電位となる電源REG2のVSS端子REG2VSSへ向かうリーク電流IA1-LEAKの経路である。
【0035】
図5は、図1の複合電源1(電圧レギュレータ回路)に電流補償回路OFFBIASが搭載されない場合に生じる逆流について説明するための図である。図5に示す複合電源1は、図1に示す複合電源1の電源REG1が電源REG1´に変更された構成を有する。ここで、電源REG1´は、電流補償回路OFFBIASを有していないこと以外は、電源REG1と同様である。図5に示すように、電流補償回路OFFBIASが搭載されない場合には、アンプAの出力にリーク経路が存在していると、リーク電流IA1-LEAKにより出力トランジスタQをOFFできず、電源REG1´の入出力間電位差の逆転に伴い、出力トランジスタQが動作する。
【0036】
具体的には、スイッチ回路Sが切断された場合、アンプAのVDD端子A1VDDの電圧はグランド電位と同電位になる。また、入力電圧が印可されていないため、図3に示すように、NMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMは、OFF状態となる。このとき、電源REG1の入出力間電位差の逆転により、出力トランジスタQのコレクタ電位がエミッタ電位より高く、かつ、アンプAの出力からのリーク電流IA1-LEAKにより、出力トランジスタQのベース電位が電源REG1´の出力端子OUTR1の電位(出力トランジスタQのコレクタ電位)より低くなる。このため、出力トランジスタQがON状態となり、外部入力端子VDD1からの入力電圧が電源REG1´に供給されている場合とは逆方向、すなわち出力トランジスタQのコレクタからエミッタへの逆流が生じる。逆流が生じた場合、電源REG1´の入力側(電源REG1´の入力端子INR1)の電圧が上昇し、スタンバイ状態の電源REG2が誤動作してしまう原因となり得る。
【0037】
また、電源REG3とノードAとの間にダイオードDが設けられている構成と同様に、電源REG1´の出力端子OUTR1とノードAとの間にダイオードを電気的に接続することで、上述したような逆流を防ぐことはできる。しかしながら、ダイオードを用いる構成とした場合、ダイオードの順方向降下電圧が発生するため、負荷4への高精度な電圧供給が困難になるという問題がある。
【0038】
一方で、第1の実施形態に係る複合電源1は、上述したように、電流補償回路OFFBIASを搭載する。電流補償回路OFFBIASは、アンプAの出力にOFFバイアス電流IOFFBIASを流し込むための回路である。OFFバイアス電流IOFFBIASの電流値は、おおよそ以下の式(2)により算出される。
OFFBIAS≒VTHM3/R ・・・(2)
【0039】
ここで、VTHM3は、NMOSトランジスタMの閾値である。また、Rは、抵抗Rの抵抗値である。また、OFFバイアス電流IOFFBIASは、以下の式(3)に示すように、アンプAのリーク電流IA1-LEAK以上の大きさの電流値に設定する。例えば、アンプAの出力のリーク電流IA1-LEAKが数十nAであれば、OFFバイアス電流IOFFBIASは、数百nA程度に設定され得る。
A1-LEAK<IOFFBIAS ・・・(3)
【0040】
なお、電源REG1に必要とされる電流供給能力やその耐圧によってアンプAの出力段のトランジスタサイズが変化する。このため、アンプA1の出力のリーク電流IA1-LEAKは、アンプAの出力段のトランジスタサイズに伴い変化する。実施形態に係る電流補償回路OFFBIASは、図2に例示する回路構成を有するため、電流制限抵抗としての抵抗Rの抵抗値を調整することにより、リーク電流IA1-LEAKに合わせてOFFバイアス電流IOFFBIASを容易に設定(調整)することができる。
【0041】
なお、電源REG2及び電源REG3の内部構成は、例えば電流補償回路OFFBIASが搭載されていない図5の電源REG1´の内部構成と同様である。
【0042】
なお、第1の実施形態に係る複合電源1において、負荷5及び電源REG2は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0043】
なお、第1の実施形態に係る複合電源1において、メインバッテリ2及びサブバッテリ3は、1つのバッテリにより実現されても構わない。また、電流補償回路OFFBIASへ電圧供給する電源REG1の電源端子OFFR1は、メインバッテリ2に限らず、サブバッテリ3や他のバッテリから入力電圧が供給されても構わない。
【0044】
このように、第1の実施形態に係る複合電源1は、アンプAの出力のリーク電流IA1-LEAK以上のOFFバイアス電流IOFFBIASを、電流補償回路OFFBIASにより出力トランジスタQのベースに流し込むように構成されている。この構成によれば、出力トランジスタQをOFF状態に保持することができるため、電源REG1での逆流を防ぐことができる。換言すれば、実施形態に係る複合電源1(電圧レギュレータ回路)によれば、電源REG1の入出力間の電位差が逆転した場合であっても、電源REG1の出力側から入力側への電流の逆流を防止することができる。
【0045】
さらに、第1の実施形態に係る複合電源1は、電流補償回路OFFBIASの動作により電源REG1の入出力間の電位差が逆転した場合の逆流を防止できるため、電源REG1の出力端子OUTR1とノードAとの間への逆流防止のためのダイオードの挿入(接続)は、不要とすることができる。これにより、ダイオードの順方向降下電圧が発生しないため、負荷4への高精度な電圧供給を実現することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る複合電源1(電圧レギュレータ回路)の構成の別の一例を示す図である。図6に示す複合電源1は、図1に示す電源REG1に代えて、スイッチ回路Sを有する。スイッチ回路Sは、電源REG1と同様に、図2に示す電流補償回路OFFBIASを有する。一方で、スイッチ回路Sは、アンプAに代えて、ゲートドライバ回路DRを有する。
【0047】
スイッチ回路Sは、メインバッテリ2(あるいは外部入力端子VDD1)と負荷4(あるいは外部出力端子OUT1)との間の電源ラインの導通/非導通を切り替える。このことから、スイッチ回路Sは、負荷4への電源電圧の供給を制御する電源であると表現することができる。ここで、スイッチ回路Sは、電源REG1と同様に、第1の電源回路の一例である。また、スイッチ回路Sの入力端子INR1は、第1の入力端子の一例である。また、スイッチ回路Sの出力端子OUTR1は、第1の出力端子の一例である。また、ゲートドライバ回路DRは、ドライバ回路の一例である。
【0048】
スイッチ回路Sの入力端子INR1は、図1に示す電源REG1と同様に、スイッチ回路Sを介して外部入力端子VDD1に電気的に接続される。また、スイッチ回路Sの出力端子OUTR1は、図1に示す電源REG1と同様に、ノードAを介して、外部出力端子OUT1に電気的に接続される。また、スイッチ回路Sの電源端子OFFR1は、図1に示す電源REG1と同様に、スイッチ回路Sを介さずに外部入力端子VDD1に電気的に接続されるとともに、電流補償回路OFFBIASの入力端子INOFFに電気的に接続される。つまり、スイッチ回路Sの電源端子OFFR1は、図1に示す電源REG1と同様に、電流補償回路OFFBIASへ外部入力端子VDD1からの入力電圧を入力するためにスイッチ回路Sに設けられた電源端子である。
【0049】
ゲートドライバ回路DRの入力端子ON/OFFは、複合電源1のON/OFF信号の外部入力端子に電気的に接続される。ゲートドライバ回路DRの入力端子ON/OFFには、ゲートドライバ回路DRの駆動を制御するための信号が外部入力端子から供給される。ゲートドライバ回路DRの出力端子DR1OUTには、出力トランジスタQに代えて、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMが設けられている。スイッチ回路Sには、電源REG1における抵抗R及び抵抗Rは設けられていない。
【0050】
ゲートドライバ回路DRの出力端子DR1OUTは、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ゲートに電気的に接続される。PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ソースは、互いに電気的に接続される。PMOSトランジスタMのドレインは、電源REG1の出力トランジスタQのエミッタと同様にスイッチ回路Sの入力端子INR1及びゲートドライバ回路DRのVDD端子DR1VDDに電気的に接続される。PMOSトランジスタMのドレインは、スイッチ回路Sの出力端子OUTR1に電気的に接続される。
【0051】
図7は、図6の複合電源1(電圧レギュレータ回路)に搭載されるゲートドライバ回路DRの内部回路の構成の一例を示す図である。図7に示す例では、ゲートドライバ回路DRの入力段については、ゲートドライバ入力段DR11として簡略化して図示している。なお、NMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMは、それぞれ、図3のNMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMに対応する。ゲートドライバ入力段DR11の入力側は、ゲートドライバ回路DRの入力端子ON/OFFに電気的に接続される。また、ゲートドライバ入力段DR11の出力側は、NMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ゲートに電気的に接続される。PMOSトランジスタMのソースは、ゲートドライバ回路DRのVDD端子DR1VDDに電気的に接続される。PMOSトランジスタM及びNMOSトランジスタMの各ドレインと、ゲートドライバ回路DRの出力端子DR1OUTとは、電気的に接続される。NMOSトランジスタMのソースは、ゲートドライバ回路DR1のVSS端子DR1VSSを介してグランド電位となるノード(接地線)に電気的に接続される。
【0052】
スイッチ回路Sの入出力間電位差が逆転した場合にPMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの逆流を防止するためには、すなわちPMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMのOFF状態を保持するためには、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ゲート電圧をPMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMのソース電圧より高くする必要がある。
【0053】
図6の複合電源1に電流補償回路OFFBIASが搭載されない場合には、図5を参照して説明した場合と同様に、ゲートドライバ回路DRの出力にリーク経路が存在していると、リーク電流IDR1-LEAKによりPMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMをOFFできず、スイッチ回路Sの入出力間電位差の逆転に伴い、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMがオンすることになる。
【0054】
具体的には、スイッチ回路Sが切断された場合、ゲートドライバ回路DRのVDD端子DR1VDDの電位はグランド電位と同電位になる。また、入力電圧が印可されていないため、図7のNMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMは、OFF状態になる。このとき、図5を参照して説明した場合と同様に、NMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMのリーク電流IDR1-LEAKによりゲートドライバ回路DRの出力端子DR1OUTの電位は、各トランジスタのソース電位、すなわちグランド電位に推移する。その結果、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMのソース電圧よりゲート電圧が低くなるため、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMがON状態となり、スイッチ回路S2の出力端子OUTR1から入力端子INR1への電流の逆流が発生する。
【0055】
一方で、図6に示す第2の実施形態に係る複合電源1は、第1の実施形態と同様に、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ゲートにOFFバイアス電流IOFFBIASを流し込むための回路として、電流補償回路OFFBIASを搭載する。具体的には、電流補償回路OFFBIASの出力端子OUTOFFは、図6に示すように、ゲートドライバ回路DRの出力端子DR1OUTに電気的に接続されるとともに、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ゲートに電気的に接続される。本実施形態に係る電流補償回路OFFBIASにおいても、第1の実施形態と同様に、OFFバイアス電流IOFFBIASの値を、ゲートドライバ回路DRの出力のリーク電流IDR1-LEAK対して充分に大きい値に設定する。これにより、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMのゲート電位が低下することなく、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMをOFF状態に保持することができる。
【0056】
このように、第2の実施形態に係る複合電源1(電圧レギュレータ回路)によれば、電源REG1のような電源回路に限らず、導通/非導通を切り替えるスイッチ回路Sにおいても、入出力間の電位差が逆転した場合の電流の逆流を防止することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図8は、第1の実施形態に係る複合電源1(電圧レギュレータ回路)に搭載されるリーク電流遮断回路の構成の一例を示す図である。図8は、図3のアンプAの出力段部の回路にリーク電流遮断回路を追加している。図8に示すように、アンプAは、出力段部において、PMOSトランジスタM、NMOSトランジスタM、抵抗R及び電流源Iをさらに有する。
【0058】
PMOSトランジスタMは、逆流防止の用途として、PMOSトランジスタMのソースと、アンプAのVDD端子A1VDDとの間に、PMOSトランジスタMに対して背中合わせに接続される。したがって、PMOSトランジスタMのドレインは、アンプAのVDD端子A1VDDに電気的に接続される。PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ソースは、互いに電気的に接続される。また、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ソースと、PMOSトランジスタMのゲートとの間には、抵抗Rが電気的に接続される。ここで、PMOSトランジスタMは、トランジスタスイッチの一例である。
【0059】
NMOSトランジスタMのドレインは、PMOSトランジスタMのゲート及び抵抗Rに電気的に接続される。NMOSトランジスタMのソースは、電流源Iに電気的に接続される。NMOSトランジスタMのゲートは、アンプAのスタンバイ制御端子A1STANDBYに電気的に接続される。アンプAのスタンバイ制御端子A1STANDBYには、例えば複合電源1のスイッチ回路Sを非導通状態にする際に、外部入力端子からNMOSトランジスタMをOFF状態とするための信号が供給される。なお、スタンバイ制御端子A1STANDBYに供給される信号は、電源REG1がスタンバイ状態のときにNMOSトランジスタMをOFF状態とするような信号であればよい。スタンバイ制御端子A1STANDBYには、例えば、電源REG1の入力電圧が低下したことを検出する低電圧誤動作防止(UVLO)回路(図示なし)の出力信号を供給してもよい。
【0060】
電流源Iは、一端がNMOSトランジスタMのソースに電気的に接続され、他の一端がグランド電位となるVSS端子A1VSS及びNMOSトランジスタMのソースに電気的に接続される。
【0061】
上述したように、電源REG1(電源回路)の入出力間電位差が逆転したとき、出力トランジスタQのベースにリーク電流経路が存在すると、出力トランジスタQにおいて逆流電流が発生する。すなわち、図5の構成において、図8に例示するアンプAがPMOSトランジスタMを有しておらず、PMOSトランジスタMのソースと、アンプAのVDD端子A1VDDとが直接接続されており、アンプA1のVDD端子A1VDDの電位がアンプAの出力端子A1OUTの電位よりも低い場合、PMOSトランジスタMのゲートの電位によらず、PMOSトランジスタMのボディダイオードを介して、アンプAのVDD端子A1VDDへの逆流電流が発生する。
【0062】
一方で、第3の実施形態に係る複合電源1は、図8を参照して上述したように、PMOSトランジスタMをPMOSトランジスタMに対して背中合わせに電気的に接続し、アンプAのVDD端子A1VDDからアンプAの出力端子A1OUTへの片方向のみ電流が流れるように構成されている。
【0063】
また、通常動作時にPMOSトランジスタMのボディダイオードにて順方向降下電圧が発生すると、負荷4への高精度な電圧供給が困難になるという問題がある。そこで、実施形態に係る複合電源1は、図8を参照して上述したように、電流源Iを有し、抵抗Rに電流を流すことによりPMOSトランジスタMのゲート・ソース間に電圧を発生させて、PMOSトランジスタMをON状態にするように構成されている。
【0064】
また、アンプAのVDD端子A1VDDに入力電圧が入力されていないとき、すなわち電源REG1がスタンバイ状態のときには、抵抗Rへの電流供給は停止する。これにより、電源REG1がスタンバイ状態のときには、PMOSトランジスタMは、ゲート・ソース間に電圧が発生せずOFF状態になる。このため、PMOSトランジスタMにおいては寄生ダイオードの順方向にのみ電流を流すことができる。この構成によれば、アンプAの出力端子A1OUTからアンプAのVDD端子A1VDDへのリーク電流IA1-LEAKを遮断することができる。このように、出力トランジスタQのベースからの逆流経路を遮断することでより確実に電源REG1における逆流電流の発生を防ぐことができる。
【0065】
さらに、OFFバイアス電流IOFFBIASの値は、図4を参照して上述したように、3つのリーク経路L1,L2,L3を流れる3つのリーク電流IA1-LEAKの和以上の大きさに設定される。したがって、リーク電流遮断回路が搭載された複合電源1(電圧レギュレータ回路)によれば、リーク電流IA1-LEAKを大幅に低減できるため、OFFバイアス電流IOFFBIASの値を低く設定することができる。これにより、複合電源1による消費電力を削減できるという効果が得られる。
【0066】
なお、第1の実施形態に係る複合電源1にリーク電流遮断回路が搭載された場合を例として説明したが、これに限らない。図9は、第2の実施形態に係る複合電源1(電圧レギュレータ回路)に搭載されるリーク電流遮断回路の構成の一例を示す図である。本実施形態に係るリーク電流遮断回路は、図9に示すように第2の実施形態に係る複合電源1に搭載することもできる。図9に示すゲートドライバ回路DRは、図7に示すゲートドライバ回路DRの内部構成に、図8に示すリーク電流遮断回路の構成を追加した構成であると表現することができる。このため、図7又は図8に示す各要素と同様の要素については、適宜説明を省略する。図9に示すゲートドライバ回路DRは、出力段部において、リーク電流遮断回路としてのPMOSトランジスタM、NMOSトランジスタM、抵抗R及び電流源Iをさらに有する。
【0067】
図9に示すリーク電流遮断回路のPMOSトランジスタMは、図8に示すリーク電流遮断回路と同様に、PMOSトランジスタMのソースと、VDD端子DR1VDDとの間に、PMOSトランジスタMに対して背中合わせに接続される。また、PMOSトランジスタM及びPMOSトランジスタMの各ソースと、PMOSトランジスタMのゲートとの間には、抵抗Rが電気的に接続される。また、電流源Iは、一端がNMOSトランジスタMのソースに電気的に接続され、他の一端がグランド電位となるVSS端子DR1VSS及びNMOSトランジスタMのソースに電気的に接続される。
【0068】
図9に示すリーク電流遮断回路のNMOSトランジスタMのゲートは、図8に示すリーク電流遮断回路と同様に、ゲートドライバ回路DRのスタンバイ制御端子DR1STANDBYに電気的に接続される。ゲートドライバ回路DRのスタンバイ制御端子DR1STANDBYには、例えば複合電源1のスイッチ回路Sを非導通状態にする際に、外部入力端子からNMOSトランジスタMをOFF状態とするための信号が供給される。なお、スタンバイ制御端子DR1STANDBYに供給される信号は、スイッチ回路Sがスタンバイ状態のときにNMOSトランジスタMをOFF状態とするような信号であればよい。
【0069】
これにより、スイッチ回路Sがスタンバイ状態のときには、図8に示すリーク電流遮断回路と同様に、PMOSトランジスタMはOFF状態になり、寄生ダイオードの順方向にのみ電流を流すことができる。この構成であっても、ゲートドライバ回路DRの出力端子DR1OUTからゲートドライバ回路DRのVDD端子DR1VDDへのリーク電流IDR1-LEAKを遮断することができ、より確実にスイッチ回路Sにおける逆流電流の発生を防ぐことができる。
【0070】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る複合電源1(電圧レギュレータ回路)に搭載される逆流電流遮断回路Bの構成の一例を示す図である。逆流電流遮断回路Bの入力端子B1INは、図1に例示する複合電源1において、アンプA及び電源REG1の入力端子INR1に電気的に接続される。逆流電流遮断回路Bの出力端子B1OUTは、図1に例示する複合電源1において、出力トランジスタQのエミッタに電気的に接続される。図10に示すように、逆流電流遮断回路Bは、PMOSトランジスタM、NMOSトランジスタM、抵抗R及び電流源Iを有する。PMOSトランジスタM、NMOSトランジスタM、抵抗R及び電流源Iは、それぞれ、図8のPMOSトランジスタM、NMOSトランジスタM、抵抗R及び電流源Iに相当する。
【0071】
PMOSトランジスタMのドレインは、逆流電流遮断回路Bの入力端子B1INに電気的に接続される。PMOSトランジスタMのソースは、逆流電流遮断回路Bの出力端子B1OUTに電気的に接続される。また、PMOSトランジスタMのソース(あるいは逆流電流遮断回路Bの出力端子B1OUT)と、PMOSトランジスタMのゲートとの間には、抵抗Rが電気的に接続される。また、電流源Iは、一端がNMOSトランジスタMのソースに電気的に接続され、他の一端がグランド電位となるVSS端子B1VSSに電気的に接続される。NMOSトランジスタMのゲートは、図8又は図9に示すリーク電流遮断回路と同様に、逆流電流遮断回路Bのスタンバイ制御端子B1STANDBYに電気的に接続される。逆流電流遮断回路Bのスタンバイ制御端子B1STANDBYには、例えば複合電源1のスイッチ回路Sを非導通状態にする際に、外部入力端子からNMOSトランジスタMをOFF状態とするための信号が供給される。なお、スタンバイ制御端子B1STANDBYに供給される信号は、電源REG1がスタンバイ状態のときにNMOSトランジスタMをOFF状態とするような信号であればよい。
【0072】
これにより、電源REG1がスタンバイ状態のときには、図8又は図9に示すリーク電流遮断回路と同様に、PMOSトランジスタMにおいては、寄生ダイオードの順方向にのみ電流が流れることになる。したがって、この構成によれば、第3の実施形態でリーク電流IA1-LEAKを遮断したのと同様にして、逆流電流そのものを遮断することができる。
【0073】
なお、第1の実施形態に係る複合電源1に逆流電流遮断回路Bが搭載された場合を例として説明したが、本実施形態に係る逆流電流遮断回路Bは、第2の実施形態に係る複合電源1に搭載することもできる。この場合、逆流電流遮断回路Bの入力端子B1INは、図6に例示する複合電源1において、ゲートドライバ回路DR及びスイッチ回路Sの入力端子INR1に電気的に接続される。逆流電流遮断回路Bの出力端子B1OUTは、図6に例示する複合電源1において、PMOSトランジスタMのドレインに電気的に接続される。この構成であっても、上述の効果が得られる。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 複合電源
2 メインバッテリ
3 サブバッテリ
4,5 負荷
アンプ
A11 アンプ入力段/利得段
ダイオード
DR11 ゲートドライバ入力段
E1,E2,E3,E4 回路素子
,I 電流源
L1,L2,L3 リーク経路
,M,M,M,M,M PMOSトランジスタ
,M,M,M,M NMOSトランジスタ
OFFBIAS 電流補償回路
出力トランジスタ
,R,R,R,R 抵抗
REG1,REG1´,REG2,REG3 電源
,S スイッチ回路
REF1 参照電圧源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10