(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120687
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】磁気テープカートリッジ、磁気テープドライブ、磁気テープシステム、並びに磁気テープドライブの作動方法
(51)【国際特許分類】
G11B 23/30 20060101AFI20220810BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20220810BHJP
G11B 23/027 20060101ALI20220810BHJP
G11B 33/14 20060101ALI20220810BHJP
G11B 33/12 20060101ALI20220810BHJP
G11B 15/43 20060101ALI20220810BHJP
G11B 27/10 20060101ALI20220810BHJP
G11B 27/00 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
G11B23/30 E
G06K19/07 230
G11B23/027
G11B23/027 Z
G11B33/14 Z
G11B33/12 313A
G11B15/43
G11B27/10 L
G11B27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017747
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】中尾 徹
(72)【発明者】
【氏名】武者 敦史
(72)【発明者】
【氏名】笠田 成人
【テーマコード(参考)】
5D110
【Fターム(参考)】
5D110AA02
5D110BB11
5D110DA04
5D110DA11
5D110DA17
5D110DB09
(57)【要約】
【課題】磁気テープに対して適切な制御を行うための情報を得ることが可能な磁気テープカートリッジ、磁気テープドライブ、磁気テープシステム、並びに磁気テープドライブの作動方法を提供する。
【解決手段】磁気テープカートリッジは、磁気テープが収容されるケースと、ケースに設けられたカートリッジメモリのNVMとを備える。NVMは、磁気テープの使用時の温湿度の許容範囲、磁気テープの保存期間の上限、および磁気テープの使用回数の上限に関する識別IDを含むカートリッジ情報を記憶する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープが収容されるケースと、
前記ケースに設けられた記憶媒体と、
を備え、
前記記憶媒体は、前記磁気テープの使用時の温湿度の許容範囲に関する温湿度許容範囲関連情報、前記磁気テープの保存期間の上限に関する保存期間上限関連情報、および前記磁気テープの使用回数の上限に関する使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを記憶する、
磁気テープカートリッジ。
【請求項2】
前記温湿度許容範囲関連情報は、前記温湿度の許容範囲を表す数値自体、または前記温湿度の許容範囲を表す数値に対応する第1識別情報である請求項1に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項3】
前記保存期間上限関連情報は、前記保存期間の上限を表す数値自体、または前記保存期間の上限を表す数値に対応する第2識別情報である請求項1または請求項2に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項4】
前記使用回数上限関連情報は、前記使用回数の上限を表す数値自体、または前記使用回数の上限を表す数値に対応する第3識別情報である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項5】
前記記憶媒体は、非接触式読み書き装置により情報の読み出しおよび書き込みが行われる非接触式通信媒体に内蔵された内蔵メモリを含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項6】
前記温湿度許容範囲関連情報、前記保存期間上限関連情報、および前記使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つは、前記内蔵メモリの記憶ブロックであって、情報の書き換えが不可とされる記憶ブロックに記憶されている請求項5に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項7】
前記記憶媒体は、前記磁気テープの一部の領域を含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項8】
前記記憶媒体は、前記磁気テープに掛けられる張力の許容範囲に関する張力許容範囲関連情報も記憶する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項9】
前記張力許容範囲関連情報は、前記張力の許容範囲を表す数値自体、または前記張力の許容範囲を表す数値に対応する第4識別情報である請求項8に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の磁気テープカートリッジが装填される磁気テープドライブであって、
前記記憶媒体に記憶されている、前記温湿度許容範囲関連情報、前記保存期間上限関連情報、および前記使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを読み出す読出装置と、
温湿度センサが検出した温湿度を取得する温湿度取得部、装填された磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間、または前記磁気テープにデータを記録してからの経過時間を取得する経過時間取得部、および装填された磁気テープカートリッジに収容された磁気テープのそれまでの使用回数を取得する使用回数取得部のうちの少なくとも1つと、
前記温湿度取得部が取得した温湿度と前記温湿度の許容範囲、前記経過時間取得部が取得した前記経過時間と前記保存期間の上限、および前記使用回数取得部が取得した前記使用回数と前記使用回数の上限のうちの少なくとも1つに基づく制御を行う制御部と、
を備える磁気テープドライブ。
【請求項11】
前記制御部は、
前記温湿度取得部が取得した温湿度が前記温湿度の許容範囲内であった場合、
前記経過時間取得部が取得した前記経過時間が前記保存期間の上限を下回っていた場合、
および前記使用回数取得部が取得した前記使用回数が前記使用回数の上限を下回っていた場合のうちの少なくとも1つの場合は、前記磁気テープの使用を許可する制御を行い、
前記温湿度取得部が取得した温湿度が前記温湿度の許容範囲外であった場合、
前記経過時間取得部が取得した前記経過時間が前記保存期間の上限以上であった場合、
および前記使用回数取得部が取得した前記使用回数が前記使用回数の上限以上であった場合のうちの少なくとも1つの場合は、前記磁気テープの使用を禁止する制御、および前記磁気テープが使用不可である旨の警告を報知する制御のうちの少なくとも1つを行う請求項10に記載の磁気テープドライブ。
【請求項12】
前記記憶媒体に前記張力許容範囲関連情報も記憶される場合、
前記制御部は、
張力付与機構の動作を制御することで、前記張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を前記磁気テープに付与させる請求項10または請求項11に記載の磁気テープドライブ。
【請求項13】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の磁気テープカートリッジに含まれる前記記憶媒体に記憶されている、前記温湿度許容範囲関連情報、前記保存期間上限関連情報、および前記使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを読み出すこと、および、
温湿度センサが検出した温湿度と前記温湿度の許容範囲、装填された磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間、または前記磁気テープにデータを記録してからの経過時間と前記保存期間の上限、および装填された磁気テープカートリッジに収容された磁気テープのそれまでの使用回数と前記使用回数の上限のうちの少なくとも1つに基づく制御を行うこと、
を含む磁気テープドライブの作動方法。
【請求項14】
前記制御は、
前記温湿度センサが検出した温湿度が前記温湿度の許容範囲内であった場合、
前記経過時間が前記保存期間の上限を下回っていた場合、
および前記使用回数が前記使用回数の上限を下回っていた場合のうちの少なくとも1つの場合に、前記磁気テープの使用を許可する制御と、
前記温湿度センサが検出した温湿度が前記温湿度の許容範囲外であった場合、
前記経過時間が前記保存期間の上限以上であった場合、
および前記使用回数が前記使用回数の上限以上であった場合のうちの少なくとも1つの場合に、前記磁気テープの使用を禁止する制御、および前記磁気テープが使用不可である旨の警告を報知する制御のうちの少なくとも1つとを含む請求項13に記載の磁気テープドライブの作動方法。
【請求項15】
前記記憶媒体に前記張力許容範囲関連情報も記憶される場合、
前記制御は、
張力付与機構の動作を制御することで、前記張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を前記磁気テープに付与させることを含む請求項13または請求項14に記載の磁気テープドライブの作動方法。
【請求項16】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の磁気テープカートリッジと、
前記記憶媒体に記憶されている、前記温湿度許容範囲関連情報、前記保存期間上限関連情報、および前記使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを読み出す読出装置と、
温湿度センサが検出した温湿度と前記温湿度の許容範囲、装填された磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間、または前記磁気テープにデータを記録してからの経過時間と前記保存期間の上限、および装填された磁気テープカートリッジに収容された磁気テープのそれまでの使用回数と前記使用回数の上限のうちの少なくとも1つに基づく制御を行う制御装置と、
を備える磁気テープシステム。
【請求項17】
前記制御装置は、
前記温湿度センサが検出した温湿度が前記温湿度の許容範囲内であった場合、
前記経過時間が前記保存期間の上限を下回っていた場合、
および前記使用回数が前記使用回数の上限を下回っていた場合のうちの少なくとも1つの場合は、前記磁気テープの使用を許可する制御を行い、
前記温湿度センサが検出した温湿度が前記温湿度の許容範囲外であった場合、
前記経過時間が前記保存期間の上限以上であった場合、
および前記使用回数が前記使用回数の上限以上であった場合のうちの少なくとも1つの場合は、前記磁気テープの使用を禁止する制御、および前記磁気テープが使用不可である旨の警告を報知する制御のうちの少なくとも1つを行う請求項16に記載の磁気テープシステム。
【請求項18】
前記記憶媒体に前記張力許容範囲関連情報も記憶される場合、
前記制御装置は、
張力付与機構の動作を制御することで、前記張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を前記磁気テープに付与させる請求項16または請求項17に記載の磁気テープシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、磁気テープカートリッジ、磁気テープドライブ、磁気テープシステム、並びに磁気テープドライブの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープが収容される磁気テープカートリッジには、情報を記憶するカートリッジメモリが搭載されている。特許文献1には、磁気テープドライブによる磁気テープへのデータの記録時の情報をカートリッジメモリに記憶しておき、データの読み取り時にカートリッジメモリから情報を読み出して参照することが記載されている。情報は、データの記録時の温湿度の情報、データの記録時に走行中の磁気テープに掛けられた張力の情報等を含む。
【0003】
また、磁気テープカートリッジではなく磁気テープカセットであるが、特許文献2および3には、磁気テープの使用回数および/または使用累積時間を記憶しておくことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6669326号
【特許文献2】特開2000-285634号公報
【特許文献3】特開平05-290445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気テープは各メーカーから多くの種類がリリースされており、これら複数種の磁気テープはそれぞれ特性が異なる。例えば、磁気テープの使用時の温湿度の許容範囲が、磁気テープAは15℃20%~35℃80%、磁気テープBは10℃10%~40℃90%、等である。あるいは、磁気テープの保存期間の上限および使用回数の上限が、磁気テープCは100000時間および10000回、磁気テープDは150000時間および15000回、等である。こうした様々な特性を有する磁気テープに対して、特性に応じた適切な制御が行われないと、データの書き込みおよび/または読み取りに支障を来すおそれがある。
【0006】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、磁気テープに対して適切な制御を行うための情報を得ることが可能な磁気テープカートリッジ、磁気テープドライブ、磁気テープシステム、並びに磁気テープドライブの作動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の磁気テープカートリッジは、磁気テープが収容されるケースと、ケースに設けられた記憶媒体と、を備え、記憶媒体は、磁気テープの使用時の温湿度の許容範囲に関する温湿度許容範囲関連情報、磁気テープの保存期間の上限に関する保存期間上限関連情報、および磁気テープの使用回数の上限に関する使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを記憶する。
【0008】
温湿度許容範囲関連情報は、温湿度の許容範囲を表す数値自体、または温湿度の許容範囲を表す数値に対応する第1識別情報であることが好ましい。
【0009】
保存期間上限関連情報は、保存期間の上限を表す数値自体、または保存期間の上限を表す数値に対応する第2識別情報であることが好ましい。
【0010】
使用回数上限関連情報は、使用回数の上限を表す数値自体、または使用回数の上限を表す数値に対応する第3識別情報であることが好ましい。
【0011】
記憶媒体は、非接触式読み書き装置により情報の読み出しおよび書き込みが行われる非接触式通信媒体に内蔵された内蔵メモリを含むことが好ましい。
【0012】
温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つは、内蔵メモリの記憶ブロックであって、情報の書き換えが不可とされる記憶ブロックに記憶されていることが好ましい。
【0013】
記憶媒体は、磁気テープの一部の領域を含むことが好ましい。
【0014】
記憶媒体は、磁気テープに掛けられる張力の許容範囲に関する張力許容範囲関連情報も記憶することが好ましい。この場合、張力許容範囲関連情報は、張力の許容範囲を表す数値自体、または張力の許容範囲を表す数値に対応する第4識別情報であることが好ましい。
【0015】
本開示の磁気テープドライブは、上記のいずれかに記載の磁気テープカートリッジが装填される磁気テープドライブであって、記憶媒体に記憶されている、温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを読み出す読出装置と、温湿度センサが検出した温湿度を取得する温湿度取得部、装填された磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間、または磁気テープにデータを記録してからの経過時間を取得する経過時間取得部、および装填された磁気テープカートリッジに収容された磁気テープのそれまでの使用回数を取得する使用回数取得部のうちの少なくとも1つと、温湿度取得部が取得した温湿度と温湿度の許容範囲、経過時間取得部が取得した経過時間と保存期間の上限、および使用回数取得部が取得した使用回数と使用回数の上限のうちの少なくとも1つに基づく制御を行う制御部と、を備える。
【0016】
制御部は、温湿度取得部が取得した温湿度が温湿度の許容範囲内であった場合、経過時間取得部が取得した経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合、および使用回数取得部が取得した使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合のうちの少なくとも1つの場合は、磁気テープの使用を許可する制御を行い、温湿度取得部が取得した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合、経過時間取得部が取得した経過時間が保存期間の上限以上であった場合、および使用回数取得部が取得した使用回数が使用回数の上限以上であった場合のうちの少なくとも1つの場合は、磁気テープの使用を禁止する制御、および磁気テープが使用不可である旨の警告を報知する制御のうちの少なくとも1つを行うことが好ましい。
【0017】
記憶媒体に張力許容範囲関連情報も記憶される場合、制御部は、張力付与機構の動作を制御することで、張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を磁気テープに付与させることが好ましい。
【0018】
本開示の磁気テープドライブの作動方法は、上記のいずれかに記載の磁気テープカートリッジに含まれる記憶媒体に記憶されている、温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを読み出すこと、および、温湿度センサが検出した温湿度と温湿度の許容範囲、装填された磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間、または磁気テープにデータを記録してからの経過時間と保存期間の上限、および装填された磁気テープカートリッジに収容された磁気テープのそれまでの使用回数と使用回数の上限のうちの少なくとも1つに基づく制御を行うこと、を含む。
【0019】
制御は、温湿度センサが検出した温湿度が温湿度の許容範囲内であった場合、経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合、および使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合のうちの少なくとも1つの場合に、磁気テープの使用を許可する制御と、温湿度センサが検出した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合、経過時間が保存期間の上限以上であった場合、および使用回数が使用回数の上限以上であった場合のうちの少なくとも1つの場合に、磁気テープの使用を禁止する制御、および磁気テープが使用不可である旨の警告を報知する制御のうちの少なくとも1つとを含むことが好ましい。
【0020】
記憶媒体に張力許容範囲関連情報も記憶される場合、制御は、張力付与機構の動作を制御することで、張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を磁気テープに付与させることを含むことが好ましい。
【0021】
本開示の磁気テープシステムは、上記のいずれかに記載の磁気テープカートリッジと、記憶媒体に記憶されている、温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つを読み出す読出装置と、温湿度センサが検出した温湿度と温湿度の許容範囲、装填された磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間、または磁気テープにデータを記録してからの経過時間と保存期間の上限、および装填された磁気テープカートリッジに収容された磁気テープのそれまでの使用回数と使用回数の上限のうちの少なくとも1つに基づく制御を行う制御装置と、を備える。
【0022】
制御装置は、温湿度センサが検出した温湿度が温湿度の許容範囲内であった場合、経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合、および使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合のうちの少なくとも1つの場合は、磁気テープの使用を許可する制御を行い、温湿度センサが検出した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合、経過時間が保存期間の上限以上であった場合、および使用回数が使用回数の上限以上であった場合のうちの少なくとも1つの場合は、磁気テープの使用を禁止する制御、および磁気テープが使用不可である旨の警告を報知する制御のうちの少なくとも1つを行うことが好ましい。
【0023】
記憶媒体に張力許容範囲関連情報も記憶される場合、制御装置は、張力付与機構の動作を制御することで、張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を磁気テープに付与させることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本開示の技術によれば、磁気テープに対して適切な制御を行うための情報を得ることが可能な磁気テープカートリッジ、磁気テープドライブ、磁気テープシステム、並びに磁気テープドライブの作動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】磁気テープカートリッジの外観の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】磁気テープカートリッジの下ケースの内側の右後端部の構造の一例を示す概略斜視図である。
【
図3】磁気テープカートリッジの下ケースの内面に設けられた支持部材の一例を示す側面視断面図である。
【
図4】磁気テープドライブのハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
【
図5】磁気テープカートリッジの下側から非接触式読み書き装置によって磁界が放出されている態様の一例を示す概略斜視図である。
【
図6】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリに対して非接触式読み書き装置から磁界が付与されている態様の一例を示す概念図である。
【
図7】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリの基板の裏面の構造の一例を示す概略底面図である。
【
図8】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリの基板の表面の構造の一例を示す概略平面図である。
【
図9】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリの回路構成の一例を示す概略回路図である。
【
図10】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリに搭載されているICチップのコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】カートリッジ情報が記憶された記憶ブロックの一例を示す図である。
【
図12】使用回数情報が記憶された記憶ブロックの一例を示す図である。
【
図13】記憶ブロックにカートリッジ情報を書き込む態様の一例を示す図である。
【
図14】カートリッジ情報が記憶された記憶ブロックに対してロック処理を行う態様の一例を示す図である。
【
図15】制御装置の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】記憶ブロックからカートリッジ情報を読み出して、カートリッジ情報に対応する温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限をASICに入力する様子の一例を示す図である。
【
図17】ASICの詳細構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】温湿度センサが検出した温湿度が温湿度の許容範囲内であった場合の制御の一例を示す図である。
【
図19】温湿度センサが検出した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合の制御の一例を示す図である。
【
図20】磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合の制御の一例を示す図である。
【
図21】磁気テープカートリッジの製造年月日からの経過時間が保存期間の上限以上であった場合の制御の一例を示す図である。
【
図22】磁気テープのそれまでの使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合の制御の一例を示す図である。
【
図23】磁気テープのそれまでの使用回数が使用回数の上限以上であった場合の制御の一例を示す図である。
【
図24】カートリッジメモリのCPUの動作手順の一例を示すフローチャートである。
【
図25】磁気テープドライブの動作手順の一例を示すフローチャートである。
【
図26】温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報の別の例を示す図である。
【
図27】温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限に加えて、張力の許容範囲が情報テーブルに登録された態様の一例を示す図である。
【
図28】記憶ブロックから張力許容範囲関連情報を読み出して、読み出した張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を磁気テープに付与する態様の一例を示す図である。
【
図29】温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、使用回数上限関連情報、および張力許容範囲関連情報の別の例を示す図である。
【
図30】張力許容範囲関連情報が磁気テープのBOT領域に書き込まれる態様の一例を示す図である。
【
図31】張力許容範囲関連情報が磁気テープのBOT領域に書き込まれる態様の別の例を示す図である。
【
図32】磁気テープにデータを記録してからの経過時間を取得する例を示す図である。
【
図33】経過時間が保存期間の上限に近付いた場合の制御の一例を示す図である。
【
図34】磁気テープのそれまでの使用回数が使用回数の上限に近付いた場合の制御の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る磁気テープカートリッジ、磁気テープドライブ、磁気テープシステム、並びに磁気テープドライブの作動方法の実施形態の一例について説明する。
【0027】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0028】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。DRAMとは、“Dynamic Random Access Memory”の略称を指す。SRAMとは、“Static Random Access Memory”の略称を指す。NVMとは、“Non-Volatile Memory”の略称を指す。ROMとは、“Read Only Memory”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-Chip”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。RFIDとは、“Radio Frequency Identifier”の略称を指す。LTOとは、“Linear Tape-Open”の略称を指す。IBMとは、“International Business Machines Corporation”の略称を指す。IDとは、“Identification Data”の略称を指す。BOTとは、“Beginning Of Tape”の略称を指す。EOTとは、“End Of Tape”の略称を指す。ISOとは、“International Organization for Standardization”の略称を指す。ECMAとは、“European Computer Manufacturers Association”の略称を指す。
【0029】
[第1実施形態]
図1~
図3を参照しながら、磁気テープカートリッジ10の構成の一例について説明する。以下の説明では、説明の便宜上、
図1~
図3において、磁気テープカートリッジ10の磁気テープドライブ30(
図4参照)への装填方向を矢印Aで示し、矢印A方向を磁気テープカートリッジ10の前方向とし、磁気テープカートリッジ10の前方向の側を磁気テープカートリッジ10の前側とする。以下に示す構造の説明において、「前」とは、磁気テープカートリッジ10の前側を指す。
【0030】
また、以下の説明では、説明の便宜上、
図1~
図3において、矢印A方向と直交する矢印B方向を右方向とし、磁気テープカートリッジ10の右方向の側を磁気テープカートリッジ10の右側とする。以下に示す構造の説明において、「右」とは、磁気テープカートリッジ10の右側を指す。
【0031】
また、以下の説明では、説明の便宜上、
図1~
図3において、矢印A方向および矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、矢印C方向を磁気テープカートリッジ10の上方向とし、磁気テープカートリッジ10の上方向の側を磁気テープカートリッジ10の上側とする。以下に示す構造の説明において、「上」とは、磁気テープカートリッジ10の上側を指す。
【0032】
また、以下の説明では、説明の便宜上、
図1~
図3において、磁気テープカートリッジ10の前方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の後方向とし、磁気テープカートリッジ10の後方向の側を磁気テープカートリッジ10の後側とする。以下に示す構造の説明において、「後」とは、磁気テープカートリッジ10の後側を指す。
【0033】
また、以下の説明では、説明の便宜上、
図1~
図3において、磁気テープカートリッジ10の右方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の左方向とし、磁気テープカートリッジ10の左方向の側を磁気テープカートリッジ10の左側とする。以下に示す構造の説明において、「左」とは、磁気テープカートリッジ10の左側を指す。
【0034】
また、以下の説明では、説明の便宜上、
図1~
図3において、磁気テープカートリッジ10の上方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の下方向とし、磁気テープカートリッジ10の下方向の側を磁気テープカートリッジ10の下側とする。以下に示す構造の説明において、「下」とは、磁気テープカートリッジ10の下側を指す。
【0035】
また、以下の説明では、磁気テープカートリッジ10の仕様としてLTOを例に挙げて説明するが、これはあくまでも一例に過ぎず、IBM3592等の仕様に準じていてもよい。
【0036】
一例として
図1に示すように、磁気テープカートリッジ10は、平面視略矩形であり、かつ、箱状のケース12を備えている。ケース12には、磁気テープMTが収容される。ケース12は、ポリカーボネート等の樹脂製であり、上ケース14および下ケース16を備えている。上ケース14および下ケース16は、上ケース14の下周縁面と下ケース16の上周縁面とを接触させた状態で、溶着(例えば、超音波溶着)およびビス止めによって接合されている。接合方法は、溶着およびビス止めに限らず、他の接合方法であってもよい。
【0037】
ケース12の内部には、カートリッジリール18が回転可能に収容されている。カートリッジリール18は、リールハブ18A、上フランジ18B1、および下フランジ18B2を備えている。リールハブ18Aは、円筒状に形成されている。リールハブ18Aは、カートリッジリール18の軸心部であり、軸心方向がケース12の上下方向に沿っており、ケース12の中央部に配置されている。上フランジ18B1および下フランジ18B2の各々は円環状に形成されている。リールハブ18Aの上端部には上フランジ18B1の平面視中央部が固定されており、リールハブ18Aの下端部には下フランジ18B2の平面視中央部が固定されている。リールハブ18Aの外周面には、磁気テープMTが巻き回されており、磁気テープMTの幅方向の端部は上フランジ18B1および下フランジ18B2によって保持されている。なお、リールハブ18Aと上フランジ18B1および/または下フランジ18B2とが一体成型されていてもよい。
【0038】
ケース12の右壁12Aの前側には、開口12Bが形成されている。磁気テープMTは、開口12Bから引き出される。
【0039】
一例として
図2に示すように、下ケース16の右後端部には、カートリッジメモリ19が収容されている。カートリッジメモリ19は、本開示の技術に係る「非接触式通信媒体」の一例である。本実施形態では、いわゆるパッシブ型のRFIDタグがカートリッジメモリ19として採用されている。
【0040】
カートリッジメモリ19には、磁気テープMTに関する情報が記憶されている。磁気テープMTに関する情報とは、例えば、磁気テープカートリッジ10を管理する管理情報を指す。管理情報には、例えば、カートリッジメモリ19に関する情報、磁気テープカートリッジ10を特定可能な情報、磁気テープMTの記録容量、磁気テープMTに記録されているデータの概要、データの項目、およびデータの記録形式等を示す情報が含まれている。
【0041】
カートリッジメモリ19は、非接触式読み書き装置との間で非接触通信を行う。非接触式読み書き装置としては、例えば、磁気テープカートリッジ10の生産工程で使用される非接触式読み書き装置(例えば、
図13に示す非接触式読み書き装置50B)、および、磁気テープドライブ(例えば、
図4に示す磁気テープドライブ30)内で使用される非接触式読み書き装置(例えば、
図4~
図6、および
図16に示す非接触式読み書き装置50A)が挙げられる。
【0042】
非接触式読み書き装置は、カートリッジメモリ19に対して、非接触式で各種情報の読み書きを行う。詳しくは後述するが、カートリッジメモリ19は、非接触式読み書き装置から与えられた磁界MF(
図5等参照)に対して電磁的に作用することで電力を生成する。そして、カートリッジメモリ19は、生成した電力を用いて作動し、磁界MFを介して非接触式読み書き装置と通信を行うことで非接触式読み書き装置との間で各種情報の授受を行う。なお、非接触式読み書き装置とカートリッジメモリ19との通信方式としては、例えば、ISO14443、またはISO18092等の公知の規格に準じる方式を採用することができる。あるいは、ECMA319といったLTOの仕様に準じる方式を採用することができる
【0043】
一例として
図2に示すように、下ケース16の右後端部の底板16Aの内面には、支持部材20が設けられている。支持部材20は、カートリッジメモリ19を傾斜させた状態で下方から支持する一対の傾斜台である。一対の傾斜台は、第1傾斜台20Aおよび第2傾斜台20Bである。第1傾斜台20Aおよび第2傾斜台20Bは、ケース12の左右方向に間隔を隔てて配置されており、下ケース16の後壁16Bの内面および底板16Aの内面に一体化されている。第1傾斜台20Aは、傾斜面20A1を有しており、傾斜面20A1は、後壁16Bの内面から底板16Aの内面に向けて下り傾斜している。また、第2傾斜台20Bは、傾斜面20B1を有しており、傾斜面20B1も、後壁16Bの内面から底板16Aの内面に向けて下り傾斜している。
【0044】
支持部材20の前方側には、一対の位置規制リブ22が左右方向に間隔を隔てて配置されている。一対の位置規制リブ22は、底板16Aの内面に立設されており、支持部材20に配置された状態のカートリッジメモリ19の下端部の位置を規制する。
【0045】
一例として
図3に示すように、底板16Aの外面には基準面16A1が形成されている。基準面16A1は、平面である。ここで、平面とは、底板16Aを下側にして下ケース16を水平面に置いた場合において、水平面に対して平行な面を指す。ここで、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの平行を指す。支持部材20の傾斜角度θ、すなわち、傾斜面20A1および傾斜面20B1(
図2参照)の傾斜角度は、基準面16A1に対して45度である。なお、45度は、あくまでも一例に過ぎず、“0度<傾斜角度θ<45度”であってもよいし、“45度≦傾斜角度θ”であってもよい。
【0046】
カートリッジメモリ19は、基板26を備えている。基板26は、基板26の裏面26Aを下側に向けて支持部材20上に置かれ、支持部材20は、基板26の裏面26Aを下方から支持する。基板26の裏面26Aの一部は、支持部材20の傾斜面、すなわち、傾斜面20A1および20B1(
図2参照)に接触しており、基板26の表面26Bは、上ケース14の天板14Aの内面14A1側に露出している。
【0047】
上ケース14は、複数のリブ24を備えている。複数のリブ24は、ケース12の左右方向に間隔を隔てて配置されている。複数のリブ24は、上ケース14の天板14Aの内面14A1から下側に突設されており、各リブ24の先端面24Aは、傾斜面20A1および20B1(
図2参照)に対応した傾斜面を有する。すなわち、各リブ24の先端面24Aは、基準面16A1に対して45度に傾斜している。
【0048】
カートリッジメモリ19が支持部材20に配置された状態で、上述したように上ケース14が下ケース16に接合されると、各リブ24の先端面24Aは、基板26に対して表面26B側から接触し、基板26は、各リブ24の先端面24Aと支持部材20の傾斜面20A1および20B1(
図2参照)とで挟み込まれる。これにより、カートリッジメモリ19の上下方向の位置がリブ24によって規制される。
【0049】
一例として
図4に示すように、磁気テープドライブ30は、搬送装置34、磁気ヘッド36、および制御装置38を備えている。磁気テープドライブ30には、磁気テープカートリッジ10が装填される。磁気テープドライブ30は、磁気テープカートリッジ10から磁気テープMTを引き出し、引き出した磁気テープMTに磁気ヘッド36を用いてデータを記録し、かつ、引き出した磁気テープMTから磁気ヘッド36を用いてデータをリニア・サーペンタイン方式で読み取る装置である。なお、本実施形態において、データの読み取りとは、換言すると、データの再生を指す。
【0050】
制御装置38は、磁気テープドライブ30の全体の動作を制御する。本実施形態において、制御装置38は、ASIC120(
図15参照)によって実現されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、制御装置38は、FPGAによって実現されるようにしてもよい。また、制御装置38は、CPU、ROM、およびRAMを含むコンピュータによって実現されるようにしてもよい。また、ASIC120、FPGA、およびコンピュータのうちの2つ以上を組み合わせて実現されるようにしてもよい。すなわち、制御装置38は、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現されるようにしてもよい。
【0051】
搬送装置34は、磁気テープMTを順方向および逆方向に選択的に搬送する装置であり、送出モータ40、巻取リール42、巻取モータ44、複数のガイドローラGR、および制御装置38を備えている。なお、ここで、順方向とは、磁気テープMTの送り出し方向を指し、逆方向とは、磁気テープMTの巻き戻し方向を指す。
【0052】
送出モータ40は、制御装置38の制御下で、磁気テープカートリッジ10内のカートリッジリール18を回転させる。制御装置38は、送出モータ40を制御することで、カートリッジリール18の回転方向、回転速度、および回転トルク等を制御する。
【0053】
磁気テープMTが巻取リール42によって巻き取られる場合(ロードされる場合)には、制御装置38は、磁気テープMTが順方向に走行するように送出モータ40を回転させる。送出モータ40の回転速度および回転トルク等は、巻取リール42によって巻き取られる磁気テープMTの速度に応じて調整される。
【0054】
巻取モータ44は、制御装置38の制御下で、巻取リール42を回転させる。制御装置38は、巻取モータ44を制御することで、巻取リール42の回転方向、回転速度、および回転トルク等を制御する。
【0055】
磁気テープMTが巻取リール42によって巻き取られる場合には、制御装置38は、磁気テープMTが順方向に走行するように巻取モータ44を回転させる。巻取モータ44の回転速度および回転トルク等は、巻取リール42によって巻き取られる磁気テープMTの速度に応じて調整される。このようにして送出モータ40および巻取モータ44の各々の回転速度および回転トルク等が調整されることで、磁気テープMTに張力が付与される。すなわち、送出モータ40および巻取モータ44は、本開示の技術に係る「張力付与機構」の一例である。
【0056】
なお、磁気テープMTをカートリッジリール18に巻き戻す場合(アンロードする場合)には、制御装置38は、磁気テープMTが逆方向に走行するように送出モータ40および巻取モータ44を回転させる。
【0057】
本実施形態では、送出モータ40および巻取モータ44の回転速度および回転トルク等が制御されることにより磁気テープMTに掛けられる張力が制御されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープMTに掛けられる張力は、ダンサローラを用いて制御されるようにしてもよいし、バキュームチャンバに磁気テープMTを引き込むことによって制御されるようにしてもよい。
【0058】
複数のガイドローラGRの各々は、磁気テープMTを案内するローラである。磁気テープMTの走行経路は、複数のガイドローラGRが磁気テープカートリッジ10と巻取リール42との間において磁気ヘッド36を跨ぐ位置に分けて配置されることによって定められている。
【0059】
磁気ヘッド36は、記録読取素子46およびホルダ47を備えている。記録読取素子46は、走行中の磁気テープMTに接触するようにホルダ47によって保持されており、搬送装置34によって搬送される磁気テープMTにデータを記録し、かつ磁気テープMTからデータを読み取る。
【0060】
磁気テープドライブ30は、非接触式読み書き装置50を備えている。非接触式読み書き装置50は、磁気テープカートリッジ10が装填された状態の磁気テープカートリッジ10の下側にてカートリッジメモリ19の裏面26Aに正対するように配置されている。なお、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填された状態とは、例えば、磁気ヘッド36による磁気テープMTに対するデータの読み取りを開始する位置として事前に定められた位置に、磁気テープカートリッジ10が到達した状態を指す。
【0061】
図4に示す例では、非接触式読み書き装置50が磁気テープドライブ30に搭載されている態様例が示されているが、本開示の技術はこれに限定されない。非接触式読み書き装置50は、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、または磁気テープカートリッジ10が出荷される段階においても使用される。この場合、例えば、据え置き型または携帯型の非接触式読み書き装置50が用いられる。なお、以下の説明では、区別する必要がある場合に限り、磁気テープドライブ30に搭載された非接触式読み書き装置50を非接触式読み書き装置50Aと表記し、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、または磁気テープカートリッジ10が出荷される段階において使用される据え置き型または携帯型の非接触式読み書き装置50を非接触式読み書き装置50Bと表記する。
【0062】
制御装置38には、温湿度センサ48および表示部49が接続されている。温湿度センサ48は、磁気テープドライブ30内の温湿度を検出する。温湿度センサ48は、検出した温湿度を制御装置38に出力する。表示部49は、例えば液晶ディスプレイ等であり、制御装置38の制御下で、磁気テープドライブ30の動作状態を表示する。
【0063】
一例として
図5に示すように、非接触式読み書き装置50Aは、磁気テープカートリッジ10の下側からカートリッジメモリ19に向けて磁界MFを放出する。磁界MFは、カートリッジメモリ19を貫通する。
【0064】
一例として
図6に示すように、非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38に接続されている。制御装置38は、カートリッジメモリ19を制御する制御信号を非接触式読み書き装置50Aに出力する。非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38から入力された制御信号に従って、磁界MFをカートリッジメモリ19に向けて放出する。磁界MFは、カートリッジメモリ19の裏面26A側から表面26B側に貫通する。
【0065】
非接触式読み書き装置50Aは、カートリッジメモリ19との間で非接触通信を行うことで、制御信号に応じたコマンド信号をカートリッジメモリ19に与える。より詳しく説明すると、非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38の制御下で、コマンド信号をカートリッジメモリ19に空間伝送する。詳しくは後述するが、コマンド信号は、カートリッジメモリ19に対する指令を示す信号である。
【0066】
なお、ここでは、制御装置38の制御下で、非接触式読み書き装置50Aがコマンド信号をカートリッジメモリ19に空間伝送する形態例を挙げて説明しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、または磁気テープカートリッジ10が出荷される段階では、非接触式読み書き装置50Bが、制御装置38とは異なる制御装置の制御下で、コマンド信号をカートリッジメモリ19に空間伝送する。
【0067】
コマンド信号が非接触式読み書き装置50Aからカートリッジメモリ19に空間伝送される場合、磁界MFには、非接触式読み書き装置50Aによって、制御装置38からの指示に応じたコマンド信号が含まれる。換言すると、磁界MFには、非接触式読み書き装置50Aによってコマンド信号が重畳される。すなわち、非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38の制御下で、磁界MFを介してコマンド信号をカートリッジメモリ19に送信する。
【0068】
カートリッジメモリ19の表面26Bには、ICチップ52およびコンデンサ54が搭載されている。ICチップ52およびコンデンサ54は、表面26Bに接着されている。また、カートリッジメモリ19の表面26Bにおいて、ICチップ52およびコンデンサ54は封止材56によって封止されている。ここでは、封止材56として、紫外線に反応して硬化する紫外線硬化樹脂が採用されている。なお、紫外線硬化樹脂は、あくまでも一例に過ぎず、紫外線以外の波長域の光に反応して硬化する光硬化樹脂を封止材56として使用してもよいし、熱硬化性樹脂を封止材56として使用してもよいし、他の接着剤を封止材56として使用してもよい。
【0069】
一例として
図7に示すように、カートリッジメモリ19の裏面26Aには、コイル60がループ状に形成されている。ここでは、コイル60の素材として、銅箔が採用されている。銅箔は、あくまでも一例に過ぎず、例えば、アルミニウム箔等の他種類の導電性素材であってもよい。コイル60は、非接触式読み書き装置50から与えられた磁界MF(
図5および
図6参照)が作用することで誘導電流を誘起する。
【0070】
カートリッジメモリ19の裏面26Aには、第1導通部62Aおよび第2導通部62Bが設けられている。第1導通部62Aおよび第2導通部62Bは、はんだを有しており、表面26BのICチップ52(
図6および
図8参照)およびコンデンサ54(
図6および
図8参照)に対してコイル60の両端部を電気的に接続している。
【0071】
一例として
図8に示すように、カートリッジメモリ19の表面26Bにおいて、ICチップ52およびコンデンサ54は、ワイヤ接続方式で互いに電気的に接続されている。具体的には、ICチップ52の正極端子および負極端子のうちの一方の端子が配線64Aを介して第1導通部62Aに接続されており、他方の端子が配線64Bを介して第2導通部62Bに接続されている。また、コンデンサ54は、一対の電極を有する。
図8に示す例では、一対の電極は、電極54Aおよび54Bである。電極54Aは、配線64Cを介して第1導通部62Aに接続されており、電極54Bは、配線64Dを介して第2導通部62Bに接続されている。これにより、コイル60に対して、ICチップ52およびコンデンサ54は並列に接続される。
【0072】
一例として
図9に示すように、ICチップ52は、内蔵コンデンサ80、電源回路82、コンピュータ84、クロック信号生成器86、および信号処理回路88を備えている。ICチップ52は、磁気テープカートリッジ10以外の用途にも使用可能な汎用タイプのICチップである。
【0073】
カートリッジメモリ19は、電力生成器70を備えている。電力生成器70は、非接触式読み書き装置50から与えられた磁界MFがコイル60に対して作用することで電力を生成する。具体的には、電力生成器70は、共振回路92を用いて交流電力を生成し、生成した交流電力を直流電力に変換して出力する。
【0074】
電力生成器70は、共振回路92および電源回路82を有する。共振回路92は、コンデンサ54、コイル60、および内蔵コンデンサ80を備えている。内蔵コンデンサ80は、ICチップ52に内蔵されているコンデンサであり、電源回路82もICチップ52に内蔵されている回路である。内蔵コンデンサ80は、コイル60に対して並列に接続されている。
【0075】
コンデンサ54は、ICチップ52に対して外付けされたコンデンサである。ICチップ52は、本来、磁気テープカートリッジ10とは異なる用途でも用いることが可能な汎用のICチップである。そのため、内蔵コンデンサ80の容量は、磁気テープカートリッジ10で用いられるカートリッジメモリ19で要求される共振周波数を実現するには不足する場合がある。そこで、カートリッジメモリ19では、磁界MFが作用することで共振回路92を予め定められた共振周波数で共振させる上で必要な容量値を有するコンデンサとして、ICチップ52に対してコンデンサ54が後付けされている。内蔵コンデンサ80が、磁気テープカートリッジ10で用いられるカートリッジメモリ19で要求される共振周波数を実現するために十分な容量を有していた場合は、当然ながらコンデンサ54は不要である。なお、予め定められた共振周波数は、磁界MFの周波数に相当する周波数(例えば13.56MHz)であり、カートリッジメモリ19および/または非接触式読み書き装置50の仕様等によって適宜決定されればよい。また、コンデンサ54の容量は、内蔵コンデンサ80の容量の実測値に基づいて定められている。また、ここでは、コンデンサ54が外付けされている形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されず、ICチップ52に対してコンデンサ54が事前に組み込まれていてもよい。
【0076】
共振回路92は、磁界MFがコイル60を貫通することでコイル60によって誘起された誘導電流を用いて、予め定められた共振周波数の共振現象を発生させることで交流電力を生成し、生成した交流電力を電源回路82に出力する。
【0077】
電源回路82は、整流回路および平滑回路等を有する。整流回路は、複数のダイオードを有する全波整流回路である。全波整流回路は、あくまでも一例に過ぎず、半波整流回路であってもよい。平滑回路は、コンデンサおよび抵抗を含んで構成されている。電源回路82は、共振回路92から入力された交流電力を直流電力に変換し、変換して得た直流電力(以下、単に「電力」とも称する)をICチップ52内の各種の駆動素子に供給する。各種の駆動素子としては、コンピュータ84、クロック信号生成器86、および信号処理回路88が挙げられる。このように、電力生成器70によってICチップ52内の各種の駆動素子に対して電力が供給されることで、ICチップ52は、電力生成器70によって生成された電力を用いて動作する。
【0078】
コンピュータ84は、カートリッジメモリ19の全体の動作を制御する。クロック信号生成器86は、クロック信号を生成して信号処理回路88等に出力する。信号処理回路88等は、クロック信号生成器86から入力されたクロック信号に従って動作する。クロック信号生成器86は、コンピュータ84の指示に従って、クロック信号の周波数を変更する。
【0079】
信号処理回路88は、共振回路92に接続されている。信号処理回路88は、復号回路(図示省略)および符号化回路(図示省略)を有する。信号処理回路88の復号回路は、コイル60によって受信された磁界MFからのコマンド信号を抽出して復号し、コンピュータ84に出力する。コンピュータ84は、コマンド信号に対する応答信号を信号処理回路88に出力する。すなわち、コンピュータ84は、信号処理回路88から入力されたコマンド信号に応じた処理を実行し、処理結果を応答信号として信号処理回路88に出力する。コンピュータ84から応答信号が入力されると、信号処理回路88の符号化回路は、応答信号を符号化することで変調して共振回路92に出力する。共振回路92は、信号処理回路88の符号化回路から入力された応答信号を、磁界MFを介して非接触式読み書き装置50に送信する。
【0080】
一例として
図10に示すように、コンピュータ84は、CPU94、NVM96、およびRAM98を備えている。CPU94、NVM96、およびRAM98は、バス100に接続されている。
【0081】
CPU94は、コンピュータ84の動作を制御する。NVM96は、本開示の技術に係る「記憶媒体」および「内蔵メモリ」の一例である。NVM96の一例としては、EEPROMが挙げられる。EEPROMは、これはあくまでも一例に過ぎず、例えば、EEPROMに代えて強誘電体メモリであってもよく、ICチップ52に搭載可能な不揮発性メモリであれば如何なるメモリであってもよい。NVM96は、複数の記憶ブロック104を有する。複数の記憶ブロック104には、管理情報等が記憶されている。RAM98は、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。RAM98の一例としては、DRAMまたはSRAM等が挙げられる。
【0082】
CPU94は、信号処理回路88から入力されたコマンド信号に応じて、ポーリング処理、読出処理、書込処理、およびロック処理等を選択的に行う。ポーリング処理は、非接触式読み書き装置50との間で通信を確立する処理であり、例えば、読出処理および書込処理の前段階の準備処理として行われる。読出処理は、NVM96から管理情報等を読み出す処理である。書込処理は、NVM96に管理情報等を書き込む処理である。ロック処理は、記憶ブロック104をロックする処理、換言すると、記憶ブロック104に記憶されている情報の書き換えを不可にする処理である。ここで、「情報の書き換え」の意味には、「情報の消去」の意味も含まれる。
【0083】
一例として
図11に示すように、複数の記憶ブロック104のうちの1つである記憶ブロック104Aには、カートリッジ情報110が記憶されている。カートリッジ情報110は、磁気テープカートリッジ10の種類を一意に識別するための識別IDと、磁気テープMTの製造年月日とを含む。識別IDは、例えば、「FS」等の磁気テープカートリッジ10の製造メーカーを表すアルファベットと、「1000」等の磁気テープカートリッジ10の製造番号あるいは型番を表す数字との組み合わせである。
【0084】
一例として
図12に示すように、記憶ブロック104Aとは別の記憶ブロック104Bには、使用回数情報112が記憶されている。使用回数情報112は、磁気テープMTの使用回数を含む。使用回数は、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填されて、磁気テープMTが使用される度に、非接触式読み書き装置50Aによってインクリメントされる。
【0085】
一例として
図13に示すように、非接触式読み書き装置50Bは、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、または磁気テープカートリッジ10が出荷される段階のいずれかのタイミングで、カートリッジ情報110の書込指令を、コマンド信号としてカートリッジメモリ19に空間伝送する。CPU94は、非接触式読み書き装置50Bからのコマンド信号に応じて、カートリッジ情報110を記憶ブロック104Aに記憶する書込処理を行う。これにより、カートリッジ情報110が記憶ブロック104Aに記憶される。
【0086】
一例として
図14に示すように、CPU94は、カートリッジ情報110が記憶された記憶ブロック104Aに対してロック処理を行う。こうして記憶ブロック104Aにロック処理が行われることで、カートリッジ情報110が書き換え不可となる。すなわち、記憶ブロック104Aは、本開示の技術に係る「情報の書き換えが不可とされる記憶ブロック」の一例である。なお、ロック処理は、記憶ブロック104Aにカートリッジ情報110が記憶された直後でもよいし、磁気テープカートリッジ10が最初に磁気テープドライブ30に装填され、磁気テープMTが初期化された場合でもよい。
【0087】
一例として
図15に示すように、制御装置38は、ASIC120およびストレージ122を有する。ASIC120およびストレージ122は、バス124に接続されている。
【0088】
ストレージ122には、情報テーブル126が記憶されている。情報テーブル126には、カートリッジ情報110の識別IDに対応する磁気テープMTの使用時の温湿度の許容範囲、磁気テープMTの保存期間の上限、および磁気テープMTの使用回数の上限が登録されている。温湿度の許容範囲は、具体的には、16℃および32℃等の温度の上下限値(温度下限および温度上限)と、20%および80%等の湿度の上下限値(湿度下限および湿度上限)である。保存期間の上限は、120000時間等の時間で表される数値である。使用回数の上限は、10000回等の回数で表される数値である。情報テーブル126は、磁気テープカートリッジ10の新製品がリリースされる度に更新される。なお、ここでいう湿度とは、相対湿度のことである。
【0089】
識別IDは、温湿度の許容範囲を表す数値、保存期間の上限を表す数値、および使用回数の上限を表す数値に対応する。つまり、識別IDは、本開示の技術に係る「温湿度許容範囲関連情報」、「保存期間上限関連情報」、および「使用回数上限関連情報」の一例である。また、識別IDは、本開示の技術に係る「第1識別情報」、「第2識別情報」、および「第3識別情報」の一例である。
【0090】
温湿度の許容範囲は、磁気ヘッド36によるデータの記録および/または読み取りを問題なく行うことが可能な温湿度の範囲として、コンピュータ・シミュレーションおよび/または実機による試験等により得られた範囲である。保存期間の上限と使用回数の上限も同様に、磁気ヘッド36によるデータの記録および/または読み取りを問題なく行うことが可能な保存期間の上限と使用回数の上限として、コンピュータ・シミュレーションおよび/または実機による試験等により得られた値である。
【0091】
一例として
図16に示すように、非接触式読み書き装置50Aは、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填されたタイミングで、カートリッジ情報110および使用回数情報112の読出指令を、コマンド信号としてカートリッジメモリ19に空間伝送する。CPU94は、非接触式読み書き装置50Aからのコマンド信号に応じて、カートリッジ情報110を記憶ブロック104Aから読み出す読出処理、並びに使用回数情報112を記憶ブロック104Bから読み出す読出処理を行う。そして、CPU94は、読み出したカートリッジ情報110および使用回数情報112を、応答信号として非接触式読み書き装置50Aに空間伝送する。非接触式読み書き装置50Aは、本開示の技術に係る「読出装置」の一例である。また、この非接触式読み書き装置50Aと、磁気テープカートリッジ10および制御装置38等とは、磁気テープシステム51を構成する(
図4参照)。
【0092】
非接触式読み書き装置50Aは、カートリッジメモリ19からのカートリッジ情報110および使用回数情報112を制御装置38に出力する。制御装置38のASIC120は、カートリッジ情報110の識別IDに対応する温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限を情報テーブル126から読み出す。また、ASIC120には、カートリッジメモリ19からのカートリッジ情報110および使用回数情報112が入力される。
【0093】
図16は、カートリッジ情報110の識別IDに「FS-1000」が記憶されていた場合を例示している。この場合、ASIC120は、識別ID「FS-1000」に対応する温湿度の許容範囲の16℃および32℃と20%および80%、保存期間の上限の120000時間、並びに使用回数の上限の10000回を情報テーブル126から読み出す。なお、
図16では、バス124の図示を省略している。
【0094】
一例として
図17に示すように、ASIC120は、温湿度取得部130、経過時間算出部132、経過時間取得部134、使用回数取得部136、および制御部138として機能する。
【0095】
温湿度取得部130は、温湿度センサ48が検出した温湿度の情報である温湿度情報140を取得する。温湿度取得部130は、取得した温湿度情報140を制御部138に出力する。
【0096】
経過時間算出部132には、カートリッジ情報110と時計情報142が入力される。時計情報142は、制御装置38に内蔵された時計機能により計時された現在の日付を含む。経過時間算出部132は、カートリッジ情報110に含まれる磁気テープカートリッジ10の製造年月日と、時計情報142に含まれる現在の日付とから、磁気テープカートリッジ10の製造年月日からの経過時間を算出する。経過時間算出部132は、算出した経過時間の情報である経過時間情報144を経過時間取得部134に出力する。経過時間取得部134は、経過時間算出部132からの経過時間情報144を取得する。経過時間取得部134は、取得した経過時間情報144を制御部138に出力する。
図17においては、磁気テープカートリッジ10の製造年月日が2015.11.11、現在の日付が2020.11.11で、経過時間が43800時間(=5年)であった場合を例示している。なお、
図17においては、カートリッジ情報110の識別IDを省略している。
【0097】
使用回数取得部136は、使用回数情報112を取得する。使用回数取得部136は、取得した使用回数情報112を制御部138に出力する。
【0098】
制御部138は、温湿度取得部130からの温湿度情報140、経過時間取得部134からの経過時間情報144、および使用回数取得部136からの使用回数情報112と、情報テーブル126から読み出した温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限とに基づいて、磁気ヘッド36、送出モータ40、巻取モータ44、および表示部49の動作を制御する。
【0099】
一例として
図18に示すように、温湿度センサ48が検出した温湿度、すなわち温湿度取得部130が温湿度情報140として取得した温湿度が温湿度の許容範囲内であった場合、制御部138は、磁気テープMTの使用を許可する制御を行う。具体的には、制御部138は、送出モータ40および巻取モータ44の動作を制御することで、磁気テープMTを磁気ヘッド36に向けて搬送させる。また、制御部138は、磁気ヘッド36の動作を制御することで、磁気テープMTへのデータの記録および/または磁気テープMTからのデータの読み取りを行わせる。
【0100】
対して、一例として
図19に示すように、温湿度センサ48が検出した温湿度、すなわち温湿度取得部130が温湿度情報140として取得した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合、制御部138は、磁気テープMTの使用を禁止する制御を行う。具体的には、制御部138は、送出モータ40および巻取モータ44と、磁気ヘッド36とを動作させない。また、制御部138は、磁気テープMTが使用不可である旨の警告を表示部49に表示する。なお、
図18および
図19においては、温度の上下限値が16℃および32℃、湿度の上下限値が20%および80%の場合を例示している。
【0101】
一例として
図20に示すように、経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合、制御部138は、
図18の場合と同様に、磁気テープMTの使用を許可する制御を行う。対して、一例として
図21に示すように、経過時間が保存期間の上限以上であった場合、制御部138は、
図19の場合と同様に、磁気テープMTの使用を禁止する制御を行う。また、制御部138は、磁気テープMTが使用不可である旨の警告を表示部49に表示する。なお、
図20および
図21においては、保存期間の上限が120000時間の場合を例示している。
【0102】
一例として
図22に示すように、磁気テープMTのそれまでの使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合、制御部138は、
図18および
図20の場合と同様に、磁気テープMTの使用を許可する制御を行う。対して、一例として
図23に示すように、磁気テープMTのそれまでの使用回数が使用回数の上限以上であった場合、制御部138は、
図19および
図21の場合と同様に、磁気テープMTの使用を禁止する制御を行う。また、制御部138は、磁気テープMTが使用不可である旨の警告を表示部49に表示する。なお、
図22および
図23においては、使用回数の上限が10000回である場合を例示している。
【0103】
警告表示の方法としては、例えば、「温湿度が許容範囲外であるため、磁気テープを使用できません。」、「保存期間を過ぎているため、磁気テープを使用できません。」、あるいは「使用回数の上限を超えているため、磁気テープを使用できません。」といったメッセージを表示部49に表示する方法を採用することができる。また、「NG」または「ERROR」といった文字を赤字で点滅させて表示部49に表示する方法等も採用することができる。さらに、ビープ音等の音声、あるいは警告灯等で警告を報知してもよい。
【0104】
次に、上記構成による作用について、
図24および
図25のフローチャートを参照して説明する。まず、一例として
図24に示すように、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、または磁気テープカートリッジ10が出荷される段階のいずれかのタイミングで、
図13で示したように、CPU94により、非接触式読み書き装置50Bからのカートリッジ情報110がカートリッジメモリ19の記憶ブロック104Aに書き込まれる(ステップST100)。次いで、
図14で示したように、CPU94により、カートリッジ情報110が記憶された記憶ブロック104Aに対してロック処理が行われる(ステップST110)。これによりカートリッジ情報110が書き換え不可とされる。
【0105】
磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填されたタイミング(ステップST120でYES)で、
図16で示したように、CPU94により、カートリッジ情報110が記憶ブロック104Aから読み出され、使用回数情報112が記憶ブロック104Bから読み出される。そして、CPU94により、カートリッジ情報110および使用回数情報112が非接触式読み書き装置50Aに空間伝送される(ステップST130)。
【0106】
一例として
図25に示すように、カートリッジ情報110および使用回数情報112は、
図16で示したように、非接触式読み書き装置50Aから制御装置38に出力される(ステップST200)。続いて、ASIC120により、カートリッジ情報110の識別IDに対応する温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限が情報テーブル126から読み出される(ステップST210)。
【0107】
図17で示したように、ASIC120においては、温湿度センサ48からの温湿度情報140が温湿度取得部130で取得される。また、カートリッジ情報110および時計情報142に基づいて、経過時間算出部132により経過時間が算出され、その結果である経過時間情報144が経過時間取得部134に出力される。さらに、使用回数情報112が使用回数取得部136で取得される。温湿度情報140、経過時間情報144、および使用回数情報112は、制御部138に出力される。
【0108】
温湿度センサ48が検出した温湿度が温湿度の許容範囲内で、かつ経過時間が保存期間の上限を下回っており、さらに磁気テープMTのそれまでの使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合(ステップST220、ST230、およびST240でともにYES)、制御部138により磁気テープMTの使用が許可される(ステップST250)。具体的には、制御部138の制御下で送出モータ40および巻取モータ44が回転され、磁気テープMTが順方向または逆方向に搬送される(ステップST260)。また、制御部138の制御下で磁気ヘッド36が動作され、走行中の磁気テープMTにデータが記録される、および/または、走行中の磁気テープMTに記録されたデータが読み取られる(ステップST270)。
【0109】
温湿度センサ48が検出した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合(ステップST220でNO)、経過時間が保存期間の上限以上であった場合(ステップST230でNO)、および磁気テープMTのそれまでの使用回数が使用回数の上限以上であった場合(ステップST240でNO)は、制御部138により磁気テープMTの使用が禁止される(ステップST280)。また、制御部138の制御下で、磁気テープMTが使用不可である旨の警告が表示部49に表示される(ステップST290)。
【0110】
以上説明したように、磁気テープカートリッジ10は、磁気テープMTが収容されるケース12と、ケース12に設けられたカートリッジメモリ19のNVM96とを備える。NVM96は、磁気テープMTの使用時の温湿度の許容範囲、磁気テープMTの保存期間の上限、および磁気テープMTの使用回数の上限に関する識別IDを含むカートリッジ情報110を記憶する。従って、磁気テープMTに対して適切な制御を行うための情報を得ることが可能となる。
【0111】
図15で示したように、識別IDは、温湿度の許容範囲を表す数値、保存期間の上限を表す数値、および使用回数の上限を表す数値に対応している。このため、温湿度の許容範囲を表す数値自体、保存期間の上限を表す数値自体、および使用回数の上限を表す数値自体をNVM96に記憶する場合に比べて、これらの数値の秘匿性を高めることができる。
【0112】
本実施形態においては、記憶媒体としてNVM96が用いられている。NVM96は、非接触式読み書き装置50により情報の読み出しおよび書き込みが行われるカートリッジメモリ19に内蔵されている。このため、カートリッジ情報110、ひいては識別IDの読み出しおよび書き込みを簡単に行うことができる。
【0113】
カートリッジ情報110、ひいては識別IDは、情報の書き換えが不可とされる記憶ブロック104Aに記憶されている。このため、不用意な識別IDの書き換えを防止することができる。
【0114】
磁気テープドライブ30は、カートリッジメモリ19のNVM96に記憶されている、識別IDを含むカートリッジ情報110を読み出す非接触式読み書き装置50Aと、温湿度センサ48が検出した温湿度を取得する温湿度取得部130、装填された磁気テープカートリッジ10の製造年月日からの経過時間を取得する経過時間取得部134、および装填された磁気テープカートリッジ10に収容された磁気テープMTのそれまでの使用回数を取得する使用回数取得部136を備える。また、磁気テープドライブ30は、温湿度取得部130が取得した温湿度と温湿度の許容範囲、経過時間取得部134が取得した経過時間と保存期間の上限、および使用回数取得部136が取得した使用回数と使用回数の上限に基づく制御を行う制御部138を備える。このため、磁気テープMTに対して適切な制御を行うことができる。
【0115】
図18、
図20、および
図22で示したように、制御部138は、温湿度取得部130が取得した温湿度が温湿度の許容範囲内であった場合、経過時間取得部134が取得した経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合、および使用回数取得部136が取得した使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合は、磁気テープMTの使用を許可する制御を行う。対して、
図19、
図21、および
図23で示したように、制御部138は、温湿度取得部130が取得した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合、経過時間取得部134が取得した経過時間が保存期間の上限以上であった場合、および使用回数取得部136が取得した使用回数が使用回数の上限以上であった場合は、磁気テープMTの使用を禁止する制御、および磁気テープMTが使用不可である旨の警告を報知する制御を行う。従って、磁気テープMTへのデータの記録および/または磁気テープMTに記録されたデータの読み取りに支障を来すおそれを低減することができる。
【0116】
磁気テープシステム51は、磁気テープカートリッジ10と、カートリッジメモリ19のNVM96に記憶されている、識別IDを含むカートリッジ情報110を読み出す非接触式読み書き装置50Aと、温湿度センサ48が検出した温湿度と温湿度の許容範囲、装填された磁気テープカートリッジ10の製造年月日からの経過時間と保存期間の上限、および装填された磁気テープカートリッジ10に収容された磁気テープMTのそれまでの使用回数と使用回数の上限に基づく制御を行う制御装置38とを備える。このため、磁気テープMTに対して適切な制御を行うことができる。
【0117】
図18、
図20、および
図22で示したように、制御装置38は、温湿度センサ48が検出した温湿度が温湿度の許容範囲内であった場合、経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合、および使用回数が使用回数の上限を下回っていた場合は、磁気テープMTの使用を許可する制御を行う。対して、
図19、
図21、および
図23で示したように、制御装置38は、温湿度センサ48が検出した温湿度が温湿度の許容範囲外であった場合、経過時間が保存期間の上限以上であった場合、および使用回数が使用回数の上限以上であった場合は、磁気テープMTの使用を禁止する制御、および磁気テープが使用不可である旨の警告を報知する制御を行う。従って、磁気テープMTへのデータの記録および/または磁気テープMTに記録されたデータの読み取りに支障を来すおそれを低減することができる。
【0118】
温湿度の許容範囲の表現方法は、例示の上下限値に限らない。許容範囲の中央値と、中央値に対する許容範囲の上下限値の差とのペアであってもよい。例えば温度の許容範囲が16℃~32℃で合った場合は、中央値の24℃と差の±8℃とで表現する。
【0119】
温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報は、例示の識別IDに限らない。一例として
図26の温湿度許容範囲関連情報150、保存期間上限関連情報152、および使用回数上限関連情報154に示すように、温湿度の許容範囲を表す数値自体、保存期間の上限を表す数値自体、および使用回数の上限を表す数値自体であってもよい。こうすれば、制御装置38のストレージ122に情報テーブル126を用意しなくて済む。
【0120】
[第2実施形態]
図27~
図29に示す第2実施形態では、磁気テープMTに掛けられる張力の許容範囲に関する張力許容範囲関連情報も記憶する。
【0121】
一例として
図27に示すように、第2実施形態の情報テーブル160には、温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限に加えて、張力の許容範囲が識別ID毎に登録されている。張力の許容範囲は、具体的には、0.6Nおよび1.2N等の張力の上下限値(張力下限および張力上限)である。この場合、識別IDは、温湿度の許容範囲を表す数値、保存期間の上限を表す数値、および使用回数の上限を表す数値に加えて、張力の許容範囲を表す数値に対応する。つまり、識別IDは、本開示の技術に係る「張力許容範囲関連情報」の一例である。また、識別IDは、本開示の技術に係る「第4識別情報」の一例である。
【0122】
一例として
図28に示すように、制御装置38のASIC120は、カートリッジ情報110の識別IDに対応する温湿度の許容範囲、保存期間の上限、使用回数の上限、および張力の許容範囲を情報テーブル160から読み出す。温湿度の許容範囲、保存期間の上限、使用回数の上限、および張力の許容範囲は、制御部138に入力される。制御部138は、送出モータ40および巻取モータ44の動作を制御することで、許容範囲内の張力を磁気テープMTに付与させる。制御部138は、例えば、許容範囲の中央値の張力を磁気テープMTに付与させる。
【0123】
図28は、カートリッジ情報110の識別IDに「FS-1000」が記憶されていた場合を例示している。この場合、ASIC120は、識別ID「FS-1000」に対応する張力の許容範囲の上下限値の0.6Nおよび1.2Nを情報テーブル160から読み出す。制御部138は、送出モータ40および巻取モータ44の動作を制御することで、0.6N~1.2N内の張力、例えば0.6N~1.2Nの中央値の0.9Nの張力を磁気テープMTに付与させる。なお、
図28では、
図16と同じくバス124の図示を省略している。また、
図28においては、カートリッジ情報110の製造年月日を省略している。さらに、情報テーブル160の温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限を省略している。
【0124】
このように、第2実施形態では、磁気テープMTに掛けられる張力の許容範囲に関する張力許容範囲関連情報も記憶する。従って、温湿度の許容範囲、保存期間の上限、および使用回数の上限に加えて、磁気テープMTに掛けられる張力の許容範囲に関する情報を得ることも可能となる。
【0125】
制御部138は、送出モータ40および巻取モータ44の動作を制御することで、張力許容範囲関連情報で表される許容範囲内の張力を磁気テープMTに付与させる。このため、許容範囲の上限値を上回る張力が磁気テープMTに掛けられ、塑性変形といった不可逆的なダメージが磁気テープMTに与えられるおそれがない。また、許容範囲の下限値を下回る張力が磁気テープMTに掛けられ、走行中の磁気テープMTがばたつくおそれもない。従って、安定した磁気テープMTへのデータの記録および/または磁気テープMTに記録されたデータの読み取りが可能となる。
【0126】
識別IDは、温湿度の許容範囲を表す数値、保存期間の上限を表す数値、および使用回数の上限を表す数値に加えて、張力の許容範囲を表す数値に対応している。このため、張力の許容範囲を表す数値自体をNVM96に記憶する場合に比べて、張力の許容範囲を表す数値の秘匿性を高めることができる。
【0127】
張力の許容範囲の表現方法は、温湿度の許容範囲の場合と同様に、例示の上下限値に限らない。許容範囲の中央値と、中央値に対する許容範囲の上下限値の差とのペアであってもよい。例えば張力の許容範囲が0.6N~1.2Nで合った場合は、中央値の0.9Nと差の±0.3Nとで表現する。
【0128】
張力許容範囲関連情報は、温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報の場合と同様に、例示の識別IDに限らない。一例として
図29の張力許容範囲関連情報165に示すように、張力の許容範囲を表す数値自体であってもよい。こうすれば、制御装置38のストレージ122に情報テーブル160を用意しなくて済む。
【0129】
[第3実施形態]
上記各実施形態では、記憶媒体としてカートリッジメモリ19のNVM96を例示したが、これに限らない。
【0130】
一例として
図30に示すように、磁気テープカートリッジ10が最初に装填された場合、または磁気テープMTが初期化された場合のいずれかのタイミングで、制御装置38のASIC120(制御部138)は、磁気ヘッド36の動作を制御することで、カートリッジ情報110を磁気テープMTの先頭に設けられたBOT領域170に書き込む。また、図示は省略したが、ASIC120は、磁気ヘッド36の動作を制御することで、BOT領域170からカートリッジ情報110を読み取る。この場合、カートリッジ情報110は、例えば図示省略した操作入力部を介して、ユーザにより入力される。BOT領域170は、本開示の技術に係る「磁気テープの一部の領域」の一例である。
【0131】
このように、第2実施形態では、記憶媒体として、磁気テープMTのBOT領域170が用いられる。このため、カートリッジメモリ19を用意したり、記憶ブロック104Aにカートリッジ情報110を記憶したりといった手間を省くことができる。
【0132】
なお、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、または磁気テープカートリッジ10が出荷される段階のいずれかのタイミングで、工場に配置された磁気テープドライブの磁気ヘッドにより、カートリッジ情報110をBOT領域170に記憶してもよい。
【0133】
また、一例として
図31に示すように、非接触式読み書き装置50Aによりカートリッジメモリ19から読み出したカートリッジ情報110が、ASIC120(制御部138)によりBOT領域170に書き込まれる態様でもよい。この場合、記憶ブロック104AとBOT領域170の両方にカートリッジ情報110が記憶されることになる。このため、記憶ブロック104Aに記憶されたカートリッジ情報110と、BOT領域170に記憶されたカートリッジ情報110とを突き合わせて、カートリッジ情報110の信頼性を確かめることができる。また、記憶ブロック104AとBOT領域170のいずれか一方に不具合が生じたとしても、他方からカートリッジ情報110を得ることができる。BOT領域170に代えて、あるいは加えて、磁気テープMTの後尾に設けられたEOT領域(図示省略)にカートリッジ情報110を記憶してもよい。なお、
図30および
図31においては、カートリッジ情報110の製造年月日を省略している。
【0134】
上記各実施形態では、磁気テープカートリッジ10の製造年月日からの経過時間を取得する例を記載したが、これに限らない。一例として
図32に示すように、磁気テープMTにデータを記録してからの経過時間を取得してもよい。
【0135】
図32においては、磁気テープMTにデータを記録した年月日であるデータ記録年月日を含むカートリッジ情報180を用いる。上記第1実施形態の場合と同様に、経過時間算出部132は、カートリッジ情報180に含まれるデータ記録年月日と、時計情報142に含まれる現在の日付とから、データ記録年月日からの経過時間を算出する。経過時間算出部132は、算出した経過時間の情報である経過時間情報144を経過時間取得部134に出力する。経過時間取得部134は、経過時間算出部132からの経過時間情報144を取得する。経過時間取得部134は、取得した経過時間情報144を制御部138に出力する。
【0136】
経過時間が保存期間の上限を下回っていた場合、制御部138は、
図20の場合と同様に、磁気テープMTの使用を許可する制御を行う。対して、経過時間が保存期間の上限以上であった場合、制御部138は、
図21の場合と同様に、磁気テープMTの使用を禁止する制御を行う。また、制御部138は、磁気テープMTが使用不可である旨の警告を表示部49に表示する。
【0137】
このように、磁気テープMTにデータを記録してからの経過時間と保存期間の上限に基づく制御を行ってもよい。磁気テープカートリッジ10自体の寿命ではなく、記録したデータが無事かどうかという基準で磁気テープMTの使用可否を判断するので、磁気テープカートリッジ10の製造年月日からの経過時間に基づく制御を行う場合と比べて、磁気テープに対してより適切な制御を行うことができる。
【0138】
なお、一例として
図33に示すように、経過時間が保存期間の上限に達するまでの時間が100時間を切った場合等、経過時間が保存期間の上限に近付いた場合に、制御部138が、磁気テープMTの使用を許可するとともに、経過時間が保存期間の上限に近付いた旨の警告を表示部49に表示してもよい。また、一例として
図34に示すように、磁気テープMTのそれまでの使用回数が使用回数の上限に達するまでの回数が10回を切った場合等、磁気テープMTのそれまでの使用回数が使用回数の上限に近付いた場合に、制御部138が、磁気テープMTの使用を許可するとともに、磁気テープMTのそれまでの使用回数が使用回数の上限に近付いた旨の警告を表示部49に表示してもよい。こうすれば、磁気テープMTの寿命が迫っていることをユーザが知ることができ、データを新品の磁気テープカートリッジ10の磁気テープMTに移し替える等の対応をとることができる。
【0139】
カートリッジメモリ19は、ケース12に内蔵される例示の態様に限らない。カートリッジメモリ19は、ケース12の外面に貼り付けられていてもよい。
【0140】
第1~第4識別情報は、例示の識別IDに限らない。磁気テープカートリッジ10の製品名自体を識別情報としてもよい。また、記憶媒体は、例示のカートリッジメモリ19のNVM96、および磁気テープMTのBOT領域170に限らない。例えば二次元バーコード等を記憶媒体として用いてもよい。
【0141】
上記各実施形態では、温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報を記憶媒体に記憶する態様を例示したが、これに限らない。温湿度許容範囲関連情報、保存期間上限関連情報、および使用回数上限関連情報のうちの少なくとも1つが記憶媒体に記憶されていればよい。
【0142】
また、上記各実施形態では、磁気テープMTの使用を禁止する制御、および磁気テープMTが使用不可である旨の警告を報知する制御の両方の制御を行っているが、これに限らない。磁気テープMTの使用を禁止する制御、および磁気テープMTが使用不可である旨の警告を報知する制御のうちの少なくとも1つを行えばよい。
【0143】
制御装置38の処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、または例示のASIC120等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。いずれのプロセッサにもメモリが内蔵または接続されており、いずれのプロセッサもメモリを使用することで処理を実行する。
【0144】
制御装置38の処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、またはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、制御装置38の処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0145】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoC等に代表されるように、処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、制御装置38の処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0146】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の制御装置38の処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0147】
カートリッジメモリ19についても同様に、例示のCPU94に代えて、あるいは加えて、FPGA、PLD、またはASIC等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路を用いてもよい。
【0148】
本開示の技術は、上述の種々の実施形態および/または種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0149】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0150】
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
【0151】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0152】
10 磁気テープカートリッジ
12 ケース
12A 右壁
12B 開口
14 上ケース
14A 天板
14A1 内面
16 下ケース
16A 底板
16A1 基準面
16B 後壁
18 カートリッジリール
18A リールハブ
18B1 上フランジ
18B2 下フランジ
19 カートリッジメモリ
20 支持部材
20A 第1傾斜台
20A1、20B1 傾斜面
20B 第2傾斜台
22 位置規制リブ
24 リブ
24A 先端面
26 基板
26A 裏面
26B 表面
30 磁気テープドライブ
34 搬送装置
36 磁気ヘッド
38 制御装置
40 送出モータ
42 巻取リール
44 巻取モータ
46 記録読取素子
47 ホルダ
48 温湿度センサ
49 表示部
50、50A、50B 非接触式読み書き装置
51 磁気テープシステム
52 ICチップ
54 コンデンサ
54A、54B 電極
56 封止材
60 コイル
62A 第1導通部
62B 第2導通部
64A、64B、64C、64D 配線
70 電力生成器
80 内蔵コンデンサ
82 電源回路
84 コンピュータ
86 クロック信号生成器
88 信号処理回路
92 共振回路
94 CPU
96 NVM
98 RAM
100、124 バス
104、104A、104B 記憶ブロック
110、180 カートリッジ情報
112 使用回数情報
120 ASIC
122 ストレージ
126、160 情報テーブル
130 温湿度取得部
132 経過時間算出部
134 経過時間取得部
136 使用回数取得部
138 制御部
140 温湿度情報
142 時計情報
144 経過時間情報
150 温湿度許容範囲関連情報
152 保存期間上限関連情報
154 使用回数上限関連情報
165 張力許容範囲関連情報
170 BOT領域
GR ガイドローラ
MF 磁界
MT 磁気テープ
ST100、ST110、ST120、ST130、ST200、ST210、ST220、ST230、ST240、ST250、ST260、ST270、ST280、ST290 ステップ
θ 傾斜角度