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特開2022-120735ダイシングテープの張力異常検知装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120735
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】ダイシングテープの張力異常検知装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220810BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017859
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 清貴
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA29
5F063AA31
5F063DG23
5F131AA02
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA42
5F131EA07
5F131EA22
5F131EB03
5F131EC33
5F131EC44
5F131EC62
5F131KA10
5F131KA40
5F131KB30
5F131KB45
(57)【要約】
【課題】ダイシングテープの張力の適否を定量的に判定して、ダイシングテープの張力異常を正確に検知可能なダイシングテープの張力異常検知装置及び方法を提供する。
【解決手段】張力異常検知装置4は、ダイシングテープDTのうちワークWが貼付されていない測定点Pに空気を吹き付けた際のダイシングテープDTの変位に基づいて、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力を測定する空気マイクロメータ41と、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力が、予め設定されたダイシングテープDTの張力の適正範囲内に属する場合には、ダイシングテープDTの張力が適切であると判定し、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力が、適正範囲に属しない場合には、ダイシングテープDTの張力が異常であると判定する判定部42と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが貼着されたダイシングテープの張力異常検知装置であって、
前記ダイシングテープの張力を測定する測定部と、
前記ダイシングテープの張力が、予め設定された前記ダイシングテープの張力の適正範囲内に属する場合には、前記ダイシングテープの張力が適切であると判定し、前記ダイシングテープの張力が、前記適正範囲に属しない場合には、前記ダイシングテープの張力が異常であると判定する判定部と、
を備えていることを特徴とするダイシングテープの張力異常検知装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記ダイシングテープのうち前記ワークが貼付されていない測定点に気体を吹き付けた際の前記ダイシングテープの変位に基づいて、前記測定点における前記ダイシングテープの張力を測定することを特徴とする請求項1に記載のダイシングテープの張力異常検知装置。
【請求項3】
前記測定点における前記ダイシングテープの張力が前記適正範囲から外れる場合に、前記ワークの次に前記ワークが貼着されるダイシングテープの張力を補正する補正部をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載のダイシングテープの張力異常検知装置。
【請求項4】
前記測定点は、平面視で前記ワークが前記測定部に対して相対的に移動する搬送方向において前記ワークの前方又は後方に設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のダイシングテープの張力異常検知装置。
【請求項5】
前記測定点は、平面視で前記ワークが前記測定部に対して相対的に移動する搬送方向に対して垂直な幅方向において前記ワークの側方に設定されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載のダイシングテープの張力異常検知装置。
【請求項6】
前記ダイシングテープの張力が異常であると前記判定部が判定した場合に、張力異常を報知する報知部をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のダイシングテープの張力異常検知装置。
【請求項7】
ワークが貼着されたダイシングテープの張力異常検知方法であって、
前記ダイシングテープの張力を測定する工程と、
前記ダイシングテープの張力が、予め設定された前記ダイシングテープの張力の適正範囲内に属する場合には、前記ダイシングテープの張力が適切であると判定し、前記ダイシングテープの張力が、前記適正範囲に属しない場合には、前記ダイシングテープの張力が異常であると判定する工程と、
を含むことを特徴とするダイシングテープの張力異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングテープの張力異常検知装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、シリコンウェハ等の半導体基板(以下、「ワーク」という)をチップに割断する工程があり、その工程では、ワークに貼着されたダイシングテープが個々のチップの位置を拘束することにより、チップの割断を効率よく行うことができる。
【0003】
特許文献1には、テーブル211に吸着固定されたウェーハWにエキスパンドテープEを貼着用ローラの加圧力により貼り付けることが記載されている。なお、符号は、特許文献1のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-4584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、新しいダイシングテープを使用する場合には、サンプルワークをダイシングテープに貼着させて、その貼り付け状態をオペレータが目視で確認することで、ダイシングテープの張力を含むパラメータの調整を行っているのが現状である。また、生産プロセスにおいても、オペレータは、ワークが貼着されたダイシングテープの貼り付け状態から、パラメータが適切に保たれていることを定期的に目視で確認している。
【0006】
このようにオペレータの目視によってダイシングテープの張力を確認すると、オペレータの熟練度等によってはダイシングテープの張力が不十分になる虞があり、ダイシングテープの張力が適切でない場合には、エキスパンド時にチップ間の適正な間隔が確保できず、チップの位置検知が困難になるという問題があった。
【0007】
そこで、ダイシングテープの張力の適否を定量的に判定して、ダイシングテープの張力異常を正確に検知するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るダイシングテープの張力異常検知装置は、ワークが貼着されたダイシングテープの張力異常検知装置であって、前記ダイシングテープの張力を測定する測定部と、前記ダイシングテープの張力が、予め設定された前記ダイシングテープの張力の適正範囲内に属する場合には、前記ダイシングテープの張力が適切であると判定し、前記ダイシングテープの張力が、前記適正範囲に属しない場合には、前記ダイシングテープの張力が異常であると判定する判定部と、を備えている。
【0009】
この構成によれば、測定部が、ダイシングテープの張力を測定し、判定部が、ダイシングテープの張力に基づいてダイシングテープの張力の適否を定量的に判定するため、ダイシングテープの張力異常を正確に検知することができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るダイシングテープの張力異常検知方法は、ワークが貼着されたダイシングテープの張力異常検知方法であって、前記ダイシングテープの張力を測定する工程と、前記ダイシングテープの張力が、予め設定された前記ダイシングテープの張力の適正範囲内に属する場合には、前記ダイシングテープの張力が適切であると判定し、前記ダイシングテープの張力が、前記適正範囲に属しない場合には、前記ダイシングテープの張力が異常であると判定する工程と、を含む。
【0011】
この構成によれば、測定部が、ダイシングテープの張力を測定し、判定部が、ダイシングテープの張力に基づいてダイシングテープの張力の適否を定量的に判定するため、ダイシングテープの張力異常を正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ダイシングテープの張力の適否を定量的に判定して、ダイシングテープの張力異常を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る張力異常検知装置を適用したテープ貼付システムを示す斜視図。
図2】ダイシングテープ内に4カ所設定された測定点の位置関係を示す平面図及び側面図。
図3】空気マイクロメータの構成を示す模式図。
図4】テープ貼付システムの主要構成を示すブロック図。
図5】ワークにダイシングテープを貼り付ける様子を示す斜視図。
図6】ダイシングテープの張力を測定する様子を示す斜視図。
図7】変形例に係る張力異常検知装置における測定部の構成を示す模式図。
図8】ダイシングテープ内に8カ所設定された測定点の位置関係を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0015】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0016】
また、図面は、特徴を分かり易くするために一部の構成要素を省略したり、特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。なお、本実施形態において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、各構成要素が図面に描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0017】
図1は、テープ貼付システム1を示す斜視図である。テープ貼付システム1は、ダイシングテープDTをワークW及びダイシングフレームDFに一体で貼着するものである。ワークWは、例えば、シリコンウェハ等の半導体基板であるが、これに限定されるものではない。ダイシングテープDTは、紫外線硬化テープ等である。
【0018】
テープ貼付システム1は、搬送装置2と、貼付装置3と、ダイシングテープDTの張力異常検知装置(以下、単に「張力異常検知装置」と称します)4と、を備えている。
【0019】
搬送装置2は、中央にワークWを上面に保持する内周側テーブル21と、ダイシングフレームDFを載置する外周側テーブル22と、内周側テーブル21及び外周側テーブル22を搬送方向D1に沿ってスライドさせるスライダ23と、を備えている。
【0020】
内周側テーブル21の表面には、無数の気孔を有する多孔質材料からなる吸着体が埋設されている。吸着体の気孔の粗さは、例えば、#400又は#800等である。
【0021】
内周側テーブル21は、図示しない真空源及び圧縮空気源に切換自在に接続されている。真空源が起動すると、内周側テーブル21に載置されたワークWと吸着体の上面(吸着面)との間に負圧が供給されて、ワークWが吸着面に吸着保持される。また、圧縮空気源が起動すると、ワークWと吸着面との間に圧縮空気(リリースエアー)が供給されて、ワークWと吸着面との吸着が解除される。
【0022】
貼付装置3は、公知の構成から成るダイシングテープDTのテープ貼付装置である。貼付装置3は、ダイシングテープDTを繰り出し可能に支持する送りローラ31と、ダイシングテープDTに繰出力を付与して巻き取る巻取ローラ32と、ダイシングテープDTに張力を作用させるとともにダイシングテープDTの軌道を規制する第1~第6のガイドローラ33a~33fと、ダイシングテープDTをワークWに貼付する押圧ローラ34と、ダイシングテープDTから剥離されたセパレータSの軌道を規制するナイフプレート35と、を備えている。
【0023】
張力異常検知装置4は、ダイシングテープDTの張力を測定する測定部としての空気マイクロメータ41を備えている。
【0024】
空気マイクロメータ41は、スライダ23の通過領域の上方に配置されている。空気マイクロメータ41は、空気マイクロメータ41を搬送方向D1に対して垂直な幅方向D2にスライド可能な図示しないスライド機構に接続されている。空気マイクロメータ41は、例えば、株式会社東京精密製の空気マイクロメータ(デルテア22H)等である。
【0025】
図2に示すように、空気マイクロメータ41が張力測定を行う測定点Pは、ダイシングテープDTのうちワークWが貼付されていない箇所に4カ所設定される。以下、各測定点Pを区別する場合には、符号P1,P2,P3,P4を付して区別する。測定点P1は、搬送方向D1においてワークWの前方に設定されており、測定点P2は、搬送方向D1においてワークWの後方に設定されている。また、測定点P3,P4は、幅方向D2においてワークWの側方にそれぞれ設定されている。
【0026】
図3に示すように、空気マイクロメータ41は、エアーノズル41aから測定点Pに向けて一定圧力の空気を噴出させてダイシングテープDTを撓ませて、エアーノズル41aとダイシングテープDTとの間隙寸法の変化によって空気の流量が変化してフロート41bの位置が変わる。そして、予め実験等により得られたダイシングテープDTの張力とダイシングテープDTの張力に応じて昇降するフロート41bの位置との関係に基づいて、フロート41bの位置からダイシングテープDTの張力を測定する。
【0027】
テープ貼付システム1の動作は、図4に示すコントローラ5を介して制御される。コントローラ5は、テープ貼付システム1を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。コントローラ5は、例えばコンピュータであり、CPU、メモリ等により構成される。なお、コントローラ5の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作するものにより実現されても良い。
【0028】
次に、テープ貼付システム1の動作について図面に基づいて説明する。
【0029】
<ワーク搬送>
まず、ダイシングフレームDFが、図示しない搬送ハンド等により外周側テーブル22上に移載される。
【0030】
次に、ワークWが、図示しない搬送ハンド等により内周側テーブル21上に移載される。その後、圧縮空気源からワークWと吸着面との間に負圧が供給されると、ワークWが内周側テーブル21に吸着される。ワークWの上面とダイシングフレームDFの上面とは、略面一に設定される。
【0031】
<テープ貼付>
次に、図5に示すように、スライダ23を駆動して、貼付装置3の下方にダイシングフレームDFの一方端(貼り付け開始位置)が配置されるように、内周側テーブル21及び外周側テーブル22を移動させる。内周側テーブル21及び外周側テーブル22の移動速度は、例えば10mm/秒に設定される。
【0032】
次に、巻取ローラ32が回転してダイシングテープDTを繰り出すとともに、押圧ローラ34がダイシングテープDTをダイシングフレームDFの一方端に押し当てて所定の押圧力で貼着する。なお、巻取ローラ32の回転速度は、例えば10mm/秒に設定される。
【0033】
その後、内周側テーブル21及び外周側テーブル22が搬送方向D1に沿って移動し、ダイシングテープDTが徐々に貼り進められ、ダイシングテープDTがダイシングフレームDFの他方端(貼り終わり位置)まで達すると、ワークWとダイシングフレームDFとが、ダイシングテープDTを介して一体に貼着される。
【0034】
<張力判定>
次に、図6に示すように、スライダ23を駆動して、空気マイクロメータ41の下方にダイシングテープDTが位置するように、内周側テーブル21及び外周側テーブル22を移動させる。
【0035】
さらに、内周側テーブル21及び外周側テーブル22の搬送方向D1へ移動させながら、空気マイクロメータ41を幅方向D2へ移動させることにより、空気マイクロメータ41が、測定点P1,P2,P3,P4におけるダイシングテープDTの張力を測定する。空気マイクロメータ41の測定データは、図4に示す判定部42に送られる。
【0036】
ところで、ダイシングテープDT内の張力分布は、幅方向D2の中央が最も高く、幅方向D2の外側に向かって徐々に低下するように形成される。すなわち、ダイシングテープDT内の張力分布において、測定点P1,P2における張力が最大であり、測定点P3,P4における張力は測定点P1,P2よりも小さい。
【0037】
次に、判定部42は、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力の各測定値が適正範囲内に属するか否かを判定する。
【0038】
具体的には、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力が適正範囲内の場合には、ダイシングテープDTの張力が適切であると判定し、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力が適正範囲に属しない場合には、ダイシングテープDTの張力が異常であると判定する。なお、ダイシングテープDTの張力の適正範囲は、予め実験等により算出されて図4に示す記憶部43に記憶されている。
【0039】
また、ダイシングテープDTの張力が異常であると判定された場合には、張力異常検知装置4が、図4に示す報知部44を介して張力異常を報知しても構わない。報知部44による報知は、光、音声又はテキストメッセージ等の何れであっても構わない。
【0040】
また、ダイシングテープDTの張力が異常であると判定された場合には、張力異常検知装置4が、図4に示す補正部45により張力を測定したワークWの次のワークWに貼り付けるダイシングテープDTの張力が適正範囲内に収まるように、スライダ23の移動速度及び巻取ローラ32の巻取速度を制御しても構わない。
【0041】
一般的に、ダイシングテープDTの張力は、スライダ23と巻取ローラ32との相対速度に応じて設定される。すなわち、スライダ23の移動速度が巻取ローラ32の巻取速度に対して相対的に高速である場合には、ダイシングテープDTに作用する張力は高くなる。一方、スライダ23の移動速度が巻取ローラ32の巻取速度に対して相対的に低速である場合には、ダイシングテープDTに作用する張力は低くなる。
【0042】
そこで、判定部42が、ダイシングテープDTの張力が適正範囲を下回ると判定した場合には、補正部45は、ダイシングテープDTの張力が増すように、スライダ23の移動速度を高速化させる、又は巻取ローラ32の巻取速度を低速化させる。
【0043】
一方、判定部42が、ダイシングテープDTの張力が適正範囲を上回ると判定した場合には、補正部45は、ダイシングテープDTの張力が低下するように、スライダ23の移動速度を低速化させる、又は巻取ローラ32の巻取速度を高速化させる。
【0044】
また、上述した実施形態に係る張力異常検知装置4は、測定部として空気マイクロメータ41を用いた構成を例に説明したが、測定部は、ダイシングテープDTに気体を吹き付けた際のダイシングテープDTの変位量に基づいてダイシングテープDTの張力を非接触で測定するものであれば如何なるものであっても構わず、例えば、図7に示すように、エアーノズル46aと、レーザー変位計46bと、を備えている測定器46であっても構わない。
【0045】
図7に示す測定部としての測定器46は、エアーノズル46aから測定点Pに向けて一定圧力の空気を噴出させてダイシングテープDTを撓ませて、予め実験等により得られたダイシングテープDTの張力とダイシングテープDTの変位量との関係に基づいて、レーザー変位計46bがダイシングテープDTの変位量からダイシングテープDTの張力を測定する。
【0046】
また、上述した実施形態に係る張力異常検知装置4は、判定部42が、測定点P1,P2,P3,P4におけるダイシングテープDTの張力の各測定値が適正範囲内に属するか否かを判定する場合を例に説明したが、測定点P1,P2におけるダイシングテープDTの張力の最大値が適正範囲内に属するか否かのみを判定して、ダイシングテープDTに過大な張力が作用しないように構成しても構わないし、測定点P3,P4におけるダイシングテープDTの張力の最小値が適正範囲内に属するか否かのみを判定して、ダイシングテープDTに過小な張力が作用しないように構成しても構わない。
【0047】
また、上述した実施形態に係る張力異常検知装置4は、空気マイクロメータ41の測定点Pを4点に設定したが、測定点Pの数や位置は、ダイシングテープDT内の張力を合理的に把握可能であれば、任意に変更可能である。例えば、測定点Pは、図8に示すように、同心円上で互いに等間隔に離間するように配置された8点に設定しても構わない。この場合には、図8に示した測定点Pが4点の場合と比較して、ダイシングテープDT内の細かい張力分布を得ることができる。
【0048】
このようにして、本実施形態に係る張力異常検知装置4は、ダイシングテープDTの張力を測定する空気マイクロメータ41と、ダイシングテープDTの張力が、予め設定されたダイシングテープDTの張力の適正範囲内に属する場合には、ダイシングテープDTの張力が適切であると判定し、ダイシングテープDTの張力が、適正範囲に属しない場合には、ダイシングテープDTの張力が異常であると判定する判定部42と、を備えている構成とした。
【0049】
この構成によれば、空気マイクロメータ41が、ダイシングテープDTの張力を非接触で測定し、判定部42が、ダイシングテープDTの張力に基づいてダイシングテープDTの張力の適否を定量的に判定可能なため、ダイシングテープDTの張力異常を正確に検知することができる。
【0050】
さらに、空気マイクロメータ41が、ダイシングテープDTに非接触で張力を測定可能なため、ダイシングテープDT及びワークWにダメージを与えることなく、ダイシングテープDTの張力異常を検知することができる。
【0051】
また、張力異常検知装置4は、空気マイクロメータ41が、ダイシングテープDTのうちワークWが貼付されていない測定点Pに空気を吹き付けた際のダイシングテープDTの変位に基づいて、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力を測定する構成とした。
【0052】
この構成によれば、空気マイクロメータ41が、測定点PにおいてダイシングテープDTの張力を非接触で直接測定するため、ダイシングテープDTの張力異常を正確に検知することができる。
【0053】
また、張力異常検知装置4は、測定点PにおけるダイシングテープDTの張力が適正範囲から外れる場合に、ワークWの次にワークWが貼着されるダイシングテープDTの張力を補正する補正部45をさらに備えている構成とした。
【0054】
この構成によれば、ダイシングテープDTの張力異常を検知した場合に、補正部45がそれ以後のワークWを貼着するダイシングテープDTの張力を補正するため、張力異常のダイシングテープDTが流出することを抑制できる。
【0055】
また、張力異常検知装置4は、測定点P1,P2が、平面視でダイシングテープDTがワークWに対して相対的に移動する搬送方向D1においてワークWの前方又は後方に設定されている構成とした。
【0056】
この構成によれば、ダイシングテープDTに作用する張力が最も高い場所に測定点P1,P2が設定されるため、ダイシングテープDTに作用する張力の最大値が適正範囲内に属するか否かを判定することにより、ダイシングテープDTに作用する張力が過大になることを抑制できる。
【0057】
また、張力異常検知装置4は、測定点P3,P4が、平面視でダイシングテープDTが幅方向D2においてワークWの側方に設定されている構成とした。
【0058】
この構成によれば、ダイシングテープDTに作用する張力が低くなりがちな場所に測定点P3,P4が設定されるため、ダイシングテープDTに作用する張力の最小値が適正範囲内に属するか否かを判定することにより、ダイシングテープDTに作用する張力が過小になることを抑制できる。
【0059】
また、張力異常検知装置4は、ダイシングテープDTの張力が異常であると判定部42が判定した場合に、張力異常を報知する報知部44をさらに備えている構成とした。
【0060】
この構成によれば、ダイシングテープDTの張力異常を検知した場合に、報知部44がダイシングテープDTの張力異常を報知するため、張力異常のダイシングテープDTが流出することを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態に係るワークWが貼着されたダイシングテープDTの張力異常検知方法は、空気マイクロメータ41が、ダイシングテープDTの張力を測定する工程と、ダイシングテープDTの張力が、予め設定されたダイシングテープDTの張力の適正範囲内に属する場合には、ダイシングテープDTの張力が適切であると判定し、ダイシングテープDTの張力が、適正範囲に属しない場合には、ダイシングテープDTの張力が異常であると判定部42が判定する工程と、を含む構成した。
【0062】
この構成によれば、空気マイクロメータ41が、ダイシングテープDTの張力を非接触で測定し、判定部42が、ダイシングテープDTの張力に基づいてダイシングテープDTの張力の適否を定量的に判定可能なため、ダイシングテープDTの張力異常を正確に検知することができる。
【0063】
さらに、空気マイクロメータ41が、ダイシングテープDTに非接触で張力を測定可能なため、ダイシングテープDT及びワークWにダメージを与えることなく、ダイシングテープDTの張力異常を検知することができる。
【0064】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0065】
また、測定部は、上述したようにダイシングテープの変位に基づいてダイシングテープの張力を直接的に測定するものに限定されるものではなく、ダイシングテープの張力を間接的に測定するものであっても構わない。
【符号の説明】
【0066】
1 :テープ貼付システム
2 :搬送装置
21 :内周側テーブル
22 :外周側テーブル
23 :スライダ
3 :貼付装置
31 :送りローラ
32 :巻取ローラ
33a~33f:ガイドローラ
34 :押圧ローラ
35 :ナイフプレート
4 :張力異常検知装置
41 :空気マイクロメータ(測定部)
41a:エアーノズル
41b:フロート
42 :判定部
43 :記憶部
44 :報知部
45 :補正部
46 :測定器(測定部)
46a:エアーノズル
46b:レーザー変位計
D1 :搬送方向
D2 :幅方向
DF :ダイシングフレーム
DT :ダイシングテープ
W :ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8