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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120892
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】セメントクリンカー
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/02 20060101AFI20220812BHJP
   C04B 7/13 20060101ALI20220812BHJP
   C04B 7/19 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
C04B7/02
C04B7/13
C04B7/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017927
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】大田 将巳
(72)【発明者】
【氏名】茶林 敬司
(57)【要約】
【課題】
従来のセメントクリンカーに比べ、製造する際の焼成温度を低減することが可能であり、廃棄物使用量を増やすことが可能であり、かつ、初期から中長期に渡って良好な強度発現性を示すことができるセメントとできるクリンカーを提供する。
【解決手段】
ボーグ式により算出されるCAおよびCAFの合計量が22%以上、CS量が60%以上、鉄率(I.M.)が1.3以下のセメントクリンカーであり、該セメントクリンカーのMnO含有量を0.1~0.7wt%に調整することで、良好な強度発現性を示すことができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーグ式により算出されたCAおよびCAFの合計量が22%以上、CS量が60%以上、鉄率(I.M.)が1.3以下であり、かつMnO含有量が0.1~0.7wt%のポルトランドセメントクリンカー。
【請求項2】
AF量が15%以上である請求項1記載のポルトランドセメントクリンカー。
【請求項3】
SおよびCSの合計量が69%以上である請求項1または2記載のセメントクリンカー。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のセメントクリンカーに対して石こうが加えられたセメント組成物。
【請求項5】
更に、高炉スラグ、シリカ質混合材、フライアッシュおよび石灰石からなる群から選ばれるいずれか1種以上の混合材を含む請求項4記載のセメント組成物。
【請求項6】
ボーグ式により算出されるCAおよびCAFの合計量が22%以上、CS量が60%以上、鉄率(I.M.)が1.3以下であるポルトランドセメントクリンカーの製造に際し、さらにMnO含有量が0.1~0.7wt%となるように原料の配合を調整することを特徴とするポルトランドセメントクリンカーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なセメントクリンカーおよびセメント組成物に係る。詳しくは従来よりも低温で焼成可能な組成において、初期から中長期に渡って良好な強度発現性を示すセメントクリンカーおよびセメント組成物に係る。
【背景技術】
【0002】
セメント産業は、大量生産・大量消費型産業であり、近年のCO排出量などの環境問題から省資源・省エネルギーは最重要課題となっている。例えば、最も大量に製造されているポルドランドセメントは所定の化学組成に調整された原料を1450℃~1550℃もの高温で焼成してクリンカーとする必要があり、焼成工程が最もエネルギー消費の大きい工程である。すなわち、クリンカーの焼成温度を低減することができればエネルギー削減につながる。クリンカーの焼成温度低減にはクリンカーの主要鉱物であるCAF(4CaO・Al・Fe)を増加させる技術が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、資源循環の観点からも廃棄物・副産物等の有効利用は重要な課題となっている。セメント産業、セメント製造設備の特徴を生かし、セメント製造時に原料や熱エネルギー源として廃棄物を有効利用あるいは処理を行なうことは、安全かつ大量処分が可能という観点から有効とされている。廃棄物、副産物はAl含有量が高いものが多く、上記したCAFを増やす系においては、該セメントクリンカーのAl含有量が従来のポルトランドセメントクリンカーよりも増加することから、廃棄物・副産物を従来のポルトランドセメントクリンカーよりも多く使用することが可能となる。この点においても特許文献1記載のクリンカーは優れている。
【0004】
クリンカー鉱物のうちCAやCAFを多くしたクリンカーは、AlやFeの含有量が多くなるため、これら成分を含む廃棄物・副産物を多く使用可能であるという点でも有利である(例えば、特許文献2)。
【0005】
一方で廃棄物・副産物を活用することで、廃棄物・副産物に含有する成分がセメントクリンカー中に持ち込まれる。セメントクリンカーの主要成分であるCaO、SiO、Al、Feだけでなく、その他の少量成分もクリンカーの易焼成および実鉱物組成やセメントの物性に影響するため、少量成分の適切な管理が求められる。例えば、MnOの含有量を調整することで、流動性が良好となる技術も開発されている(特許文献3、4等)。これら文献には、マンガンの含有が強度に与える影響は開示されていない。
【0006】
さらに廃棄物を利用する技術の一つとして、シリコマンガンスラグを原料とする技術が提案されている(特許文献5)。この文献によれば、シリコマンガンスラグの使用量が多すぎると強度が低下するとされ、実施例の項に記載のデータを参照すると、CAおよびCAFの合計量が20%のクリンカーにおいて、MnO含有量が2.44質量%のものは、同0.05質量%のもの(基準値)に比して材齢1日、3日、7日のいずれでも圧縮強度が低くなっている。一方、MnO含有量が0.87質量%、1.67質量%のものは、基準値と遜色ない強度を示しているが、それよりもMnO含有量が少ない場合あるいは長期の場合にどうなるかは開示がない。
【0007】
特許文献6には、MnO等がクリンカー(セメント)の色調に影響を与えることが開示され、実施例の項にはCAおよびCAFの合計量が20%~21%のクリンカーにおいて、様々なMnO含有量のクリンカーの色調のデータが開示されているが、強度については沈黙している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5665638号公報
【特許文献2】特開2004-352515号公報
【特許文献3】特開2014-214038号公報
【特許文献4】特開2014-224033号公報
【特許文献5】特開2015-78111号公報
【特許文献6】特開2016-190751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のクリンカーは低温で焼成でき、AlやFeを含有する廃棄物の使用量も多くできる。しかしながら、従来から汎用されてきたCAとCAFの合計量が20%以下程度のポルトランドセメントクリンカーに比べて、中長期の強度が若干低い傾向があった。そこで本発明は廃棄物・副産物を多く使用することが可能であり、かつセメント強度発現性が良好なクリンカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討を進め、前記組成のクリンカーにおいて、MnO含有量を0.1~0.7wt%に調整することで、MnO含有量が従来程度のものに比べて良好な強度発現性を示すことを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
即ち本発明は、ボーグ式により算出されたCAおよびCAFの合計量が22%以上、CS量が60%以上、鉄率(I.M.)が1.3以下であり、かつMnO含有量が0.1~0.7wt%であるポルトランドセメントクリンカーである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のセメントクリンカーよりも低温で焼成することが可能であり、かつ廃棄物使用量を増大させることが可能であり、さらにはMnO含有量以外が従来と同等の組成をもつものに比べて良好な強度発現性を示すクリンカーが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のポルトランドセメントクリンカー(以下、単に「セメントクリンカー」と記す)におけるCA、CAFおよびCS量は、ボーグ(Bogue)式によって求められるものである。
【0014】
ボーグ式は、係数・諸比率とならんで利用され、主要化学分析値を用いておよその主要化合物組成を算出する計算式であり、当業者には周知の式であるが、念のため、以下にボーグ式によるセメントクリンカー中の各鉱物量の求め方を記しておく。
【0015】
S量 = (4.07×CaO)-(7.60×SiO)-(6.72×Al)-(1.43×Fe
S量 = (2.87×SiO)-(0.754×CS)
A量 = (2.65×Al)-(1.69×Fe
AF量 = 3.04×Fe
【0016】
また鉄率(I.M.)は、水硬率(H.M.)ケイ率(S.M.)、活動係数(A.I.)および石灰飽和度(L.S.D.)とならんで、主要化学成分値を用いて求められ、セメントクリンカー製造管理のための特性値として、回数・諸比率の一つとして利用されており、当業者には周知の係数であるが、念のため、以下に当該鉄率の計算方法を他の係数値と併せて記しておく。
【0017】
水硬率(H.M.) = CaO/(SiO+Al+Fe
ケイ酸率(S.M.) = SiO/(Al+Fe
鉄率(I.M.) = Al/Fe
活動係数(A.I.) = SiO/Al
石灰飽和度(L.S.D.) = CaO/(2.8×SiO+1.2×Al+0.65×Fe
【0018】
なお、上記中の「CaO」、「SiO」、「Al」および「Fe」は、それぞれJIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析法」やJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析法」などに準拠した方法により測定できる。
【0019】
上述の通り、本発明のセメントクリンカーにおいては、CA、CAFの量はその合計が22%以上でなくてはならない。これらの量が22%を下回ると強度発現性などの物性の良好なセメントクリンカーを低温の温度で焼成して得ることが困難になる。より好ましい合計量は24%以上である。なお、後述するように高い強度発現性を得るためにはCSが60%以上必要である。よって、CAおよびCAFの合計量は40%が上限となる。好ましくは35%以下、より好ましくは32%以下、特に好ましくは28%以下である。またこの両成分のうち、CAFは、低温でも十分に焼結させることができ、かつセメントクリンカー中のf-CaO量を少なくできる点で、単独で15%以上存在することが好ましい。
【0020】
S量は本発明のセメントクリンカーを用いたセメント組成物(以下、単に「セメント」)の強度発現性に対して極めて重要である。この量が60%を下回るとCAおよびCAFの合計量および後述する鉄率を所定の範囲にしても良好な強度発現性を得られない。CS量は62%以上であることが好ましく、63% 以上であることが特に好ましい。なお上述したCAおよびCAFの合計量は少なくとも22%であるから、CS量の上限は78%となる。凝結の開始から終結までの時間をある程度確保するために、70%以下が好ましく、65%以下がより好ましい。
【0021】
本発明のセメントクリンカーにはさらにCSが含まれていてもよい。その量は18%以下であり、3%以上であることが好ましい。長期強度を得るという観点から、特に好ましくはCS量との合計量が69%以上となる量である。
【0022】
本発明のセメントクリンカーの鉄率(I.M)は1.3以下である。鉄率が1.3を超えると、本発明のセメントクリンカーにおける他の要件を満足していても十分な強度発現性(より具体的には、例えばモルタル強さ発現)を得ることができない。さらに鉄率が1.3を超える場合、凝結開始から終結までの時間が長くなりすぎる傾向にあり、この点からも鉄率は1.3以下とする。より好ましい鉄率の範囲は1.0~1.3であり、特に好ましくは1.14~1.27である。
【0023】
水硬率およびケイ酸率は特に限定されるものではないが、各種物性のバランスに優れたものとするために、水硬率は好ましくは1.8~2.2、特に好ましくは1.9~2.1であり、またケイ酸率は好ましくは1.0~2.0、特に好ましくは1.1~1.7である。
【0024】
本発明のセメントクリンカーにおいて最も重要なことは、MnOの含有量を0.1~0.7wt%とすることである。なお、セメントクリンカー中のMnOは、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析法」やJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析法」などに準拠した方法により測定できる。
【0025】
上記組成のセメントクリンカーを一般的な原料で調整すると、該セメントクリンカーはMnOを最大でも0.04wt%程度しか含まない。それに対し、その機構は明らかではないが、MnOが0.1~0.7wt%となるように調整することにより、MnO含有量が従来程度のものに比べて良好な強度発現性を示す。MnO含有量が増加するとセメントの初期強度の低下が懸念されることから、より好ましいMnO含有量は、0.1~0.5wt%であり、特に好ましいMnO含有量は、0.2~0.5wt%である。
【0026】
上記のようにMnOを多く含む本発明のセメントクリンカーは、MnO含有量が従来程度のセメントクリンカーに比べて良好な強度発現性を示すという特徴を有する。
【0027】
本発明のセメントクリンカーは、従来の一般的なポルトランドランドセメントクリンカーに比べて低温での焼成で製造できる。即ち、従来、普通ポルトランドセメントクリンカーは焼成に1450℃前後の温度を必要としたが、本発明のセメントクリンカーは1300~1400℃の温度で焼成して得ることが可能である。
【0028】
本発明でのセメントクリンカーを製造する方法は特に限定されることがなく、公知のセメント(クリンカー)原料を、上記各鉱物比率および係数となるように所定の割合で調製混合し、公知の方法(例えば、SPキルンやNSPキルン等)で焼成することにより容易に得ることができる。
【0029】
当該セメント原料の調製混合方法も公知の方法を適宜採用すればよい。例えば、事前に廃棄物、副産物およびその他の原料(石灰石、生石灰、消石灰等のCaO源、珪石等のSiO源、粘土等のAl源、鉄源等のFe源など)の組成を測定し、これら原料中の各成分割合から上記範囲になるように各原料の調合割合を計算し、その割合で原料を調合すればよい。
【0030】
なお、本発明のセメントクリンカーの製造に用いる原料は、従来セメントクリンカーの製造において使用される原料と同様なものが特に制限なく使用される。廃棄物、副産物等を利用することも、無論可能である。
【0031】
本発明で使用するセメントクリンカーの製造において、廃棄物、副産物等から一種以上を使用することは、廃棄物、副産物等の有効利用を促進する観点から好ましいことである。使用可能な廃棄物・副産物をより具体的に例示すると、高炉スラグ、製鋼スラグ、非鉄鉱滓、石炭灰、下水汚泥、浄水汚泥、製紙スラッジ、建設発生土、鋳物砂、ばいじん、焼却飛灰、溶融飛灰、塩素バイパスダスト、木屑、廃白土、ボタ、廃タイヤ、貝殻、都市ごみやその焼却灰等が挙げられる(なお、これらの中には、セメント原料になるとともに熱エネルギー源となるものもある)。
【0032】
特に本発明のセメントクリンカーは、CAおよびCAFというAlをその構成元素とする鉱物を多く含む。そのため、従来のセメントクリンカーに比べて、Al分の多い廃棄物・副産物をより多く使用して製造できるという利点を有する。
【0033】
セメントクリンカー中のMnO含有量の調整は、上記した廃棄物、副産物や天然原料をそれぞれ分析し、所定のMnO含有量となるように各原料の配合比率を調整すればよい。
【0034】
なお上記のような天然原料、廃棄物・副産物原料を用いてボーグ式による化合物組成や三率を調整すると、そのままでは焼成後に得られるセメントクリンカー中のMnO含有率は0.1%に達することがない。そこで本発明のセメントクリンカーは、MnO含有率が高い廃棄物や副産物を従来より若干多めに使用して製造する。天然原料として軟マンガン鉱や菱マンガン鉱などのマンガン鉱物を使用することも可能だが、鉱物資源として利用可能なこれら鉱物を利用するメリットは少ない。
【0035】
MnO含有率が高い廃棄物や副産物としては、シリコマンガンスラグ、電解二酸化マンガンスラグ、フェロマンガンスラグ等の鉱滓、廃棄乾電池やリチウム電池などが挙げられる。
【0036】
なお、原料に含まれるMn成分は、酸化物や複合酸化物、場合によりマンガン合金や金属マンガンといったクリンカー焼成温度では揮発性のほとんど無い形で含まれる。したがって、原料中に含まれるMn成分は全量がクリンカー中に移行するとして配合比率を決定するための計算を行えばよい。原料粉砕工程や焼成工程で揮発してクリンカー中に移行しないMn成分があることが分かっている場合には、その分を考慮に入れて計算する必要がある。
【0037】
ただし、クリンカーの焼成条件によっては若干のズレが生じることもあるから、最終的には焼成後のクリンカーを分析して化学組成を決定する必要がある。
【0038】
本発明のセメントクリンカーは、従来公知のセメントクリンカーと同様、石こうと共に粉砕または個別に粉砕した後、混合することにより、セメントとすることができる。当該セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメントが挙げられる。またポルトランドセメントとする以外にも、各種混合セメントや、土壌固化材等の固化材の構成成分として使用することも可能である。
【0039】
石こうを加えてセメント組成物とする場合、使用する石こうについては、二水石こう、半水石こう、無水石こう等のセメント製造原料として公知の石こうが特に制限なく使用できる。石こうの添加量は、ポルトランドセメントの場合、そのなかのSO量が1.5~5.0質量%となるように添加することが好ましく、1.8~3質量%となるような添加量がより好ましい。上記セメントクリンカーおよび石こうの粉砕方法については、公知の技術が特に制限なく使用できる。
【0040】
また、当該セメント組成物には、高炉スラグ、シリカ質混合材、フライアッシュ、炭酸カルシウム、石灰石等の混合材や粉砕助剤を適宜添加して混合粉砕するか、粉砕後に混合材と混合してもよい。また塩素バイパスダスト等を混合してもよい。
【0041】
セメント組成物の粉末度は、特に制限されないが、ブレーン比表面積で2800~4500cm/gに調整されることが好ましい。
【0042】
さらに必要に応じ、粉砕後に高炉スラグ、フライアッシュ等を混合し、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント等にすることも可能である。
【実施例0043】
以下、実施例により本発明の構成および効果を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
廃棄物を含む工業原料および試薬のMnOを用いて、原料を調整し、1360℃で100分間焼成し、セメントクリンカーを得た。焼成後に得られたクリンカーの化学組成、f-CaOを表1に、ボーグ式による鉱物組成および係数・諸比率を表2に示す。このセメントクリンカー100質量部に対して2水石こう2.2質量部、半水石こう1.8質量部を混合し、ブレーン比表面積が3200±100cm/gとなるように粉砕し、各セメントを製造した。各セメントのモルタル圧縮強さの測定結果を表3に示す。
【0045】
なお、各種測定方法は以下の方法による。
(1)原料およびセメントクリンカーのMnOおよびその他化学組成の測定:JIS R 5204に準拠する蛍光X線分析法により測定した。
(2)f-CaOの測定:セメント協会標準試験方法I-01 遊離酸化カルシウムの定量方法に準拠して測定した。
(4)モルタル圧縮強さの測定:JIS R 5201に準拠する方法により測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
参考例は、MnO含有量が従来程度の0.1wt%未満のものである。即ち、各実施例・比較例の結果の良否は、この参考例の結果を基準として論じることになる。
【0049】
実施例1~3は本発明に係るものであり、セメントの28日後および56日後のモルタル圧縮強さは、参考例を超える値を示している。また、MnO含有量が従来のものに比べて高いが、7日後のモルタル圧縮強さに影響を及ぼさないことがわかる。
【0050】
比較例2および3は、MnO含有量が0.7wt%を超えるものであり、28日後および56日後のモルタル圧縮強さは実施例と同等の値まで高くなるが、7日後のモルタル圧縮強さが実施例より小さい。