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特開2022-121185計測装置、インライン型蒸着装置および調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121185
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】計測装置、インライン型蒸着装置および調整方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20220812BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
C23C14/56 G
H01L21/68 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018397
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 諭
(72)【発明者】
【氏名】古木 聡
(72)【発明者】
【氏名】須藤 孝司
(72)【発明者】
【氏名】石川 明
(72)【発明者】
【氏名】樽茶 友昭
【テーマコード(参考)】
4K029
5F131
【Fターム(参考)】
4K029CA01
4K029DA03
4K029EA00
4K029KA03
5F131BA03
5F131BB03
5F131BB13
5F131CA53
5F131DA07
5F131DA22
5F131DA42
5F131DC22
5F131KA02
5F131KA40
5F131KA43
5F131KA60
5F131KB12
5F131KB55
5F131KB56
(57)【要約】
【課題】 水平面に対する搬送装置の高さを調整する際の利便性を向上する計測装置を提供すること。
【解決手段】 真空チャンバの内部に配置された複数の搬送装置によって真空中を搬送される計測装置は、水平面に対する計測装置の傾きを検出する第1検出手段と、複数の搬送装置に対する計測装置の位置を検出する第2検出手段と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバの内部に配置された複数の搬送装置によって真空中を搬送される計測装置であって、
水平面に対する前記計測装置の傾きを検出する第1検出手段と、
前記複数の搬送装置に対する前記計測装置の位置を検出する第2検出手段と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記第1検出手段で検出した前記傾きに関する情報を送信するための通信ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記第1検出手段で検出した前記傾きに関する情報に基づいて前記水平面に沿った基準面に対する高さを特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した前記高さに関する情報を送信するための通信ユニットと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記第1検出手段でした前記傾きに基づいて、前記搬送装置の高さの調整量を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した前記調整量に関する情報を送信するための通信ユニットと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
前記通信ユニットは前記第2検出手段で検出した前記位置に関する情報をさらに送信することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記位置に関する情報は、前記計測装置が通過した搬送装置の数を示す情報であることを特徴とする請求項5に記載の計測装置。
【請求項7】
前記第2検出手段は搬送方向に沿って並ぶ複数の光学センサを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記複数の光学センサのそれぞれは、下方に物体が位置するか否かによって出力を変化させ、
前記複数の光学センサのそれぞれの出力が変化するタイミングに基づいて、前記計測装置の搬送方向を検出する方向検出手段をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
【請求項9】
前記複数の搬送装置のそれぞれは、
搬送ローラと、
前記搬送ローラの位置を調整するための調整ユニットと、
を含み、
前記計測装置は、搬送方向で前後に位置する2つの前記搬送ローラに当接する当接部を有することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項10】
前記搬送ローラが前記当接部に当接している個所を検出するための感圧センサを備えることを特徴とする請求項9に記載の計測装置。
【請求項11】
前記第1検出手段は、前記当接部の前記水平面に対する傾きを検出する水準器であることを特徴とする請求項9または10に記載の計測装置。
【請求項12】
前記第1検出手段で検出した前記傾きに関する情報と、前記第2検出手段で検出した前記位置に関する情報とが、互いに関連づけられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項13】
インライン型蒸着装置であって、
請求項1から12のいずれか1項に記載の計測装置を搬送する複数の搬送手段と、
前記複数の搬送手段のそれぞれの位置を調整する調整手段と、
前記複数の搬送手段によって搬送される前記計測装置から、前記傾きに関する情報を受信する無線通信手段と、
前記無線通信手段で受信した前記情報に基づいて前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするインライン型蒸着装置。
【請求項14】
前記複数の搬送手段は、第1の搬送手段と、搬送方向において前記第1の搬送手段の下流にある第2の搬送手段とを少なくとも含み、
前記無線通信手段は、前記第1の搬送手段と、前記第2の搬送手段との前記水平面に対する傾きを示す情報を受信し、
前記制御手段は、前記傾きを示す情報に基づいて、前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段との高さの差が、所定の範囲内にないと判定した場合に、前記調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項13に記載のインライン型蒸着装置。
【請求項15】
インライン型蒸着装置であって、
請求項1から12のいずれか1項に記載の計測装置を搬送する複数の搬送手段と、
前記複数の搬送手段のそれぞれの位置を調整する調整手段と、
前記複数の搬送手段によって搬送される前記計測装置から、前記搬送手段の前記水平面に対する高さに関する情報を受信する無線通信手段と、
前記無線通信手段で受信した前記情報に基づいて前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするインライン型蒸着装置。
【請求項16】
前記制御手段は、
前記無線通信手段で受信した前記情報に基づいて前記複数の搬送手段のそれぞれの基準面に対する高さが所定の範囲内であるか否かを判定し、
前記水平面に対する高さが所定の範囲内にないと判定した場合に、前記調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項15に記載のインライン型蒸着装置。
【請求項17】
インライン型蒸着装置であって、
請求項1から12のいずれか1項に記載の計測装置を搬送する複数の搬送手段と、
前記複数の搬送手段のそれぞれの位置を調整する調整手段と、
前記複数の搬送手段によって搬送される前記計測装置から、前記搬送手段の調整量に関する情報を受信する無線通信手段と、
前記無線通信手段で受信した前記情報に基づいて前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするインライン型蒸着装置。
【請求項18】
前記無線通信手段は、搬送方向における前記搬送手段の位置に関する情報を受信し、
前記制御手段は、前記搬送手段の位置に関する情報に基づいて調整対象の搬送手段を特定することを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載のインライン型蒸着装置。
【請求項19】
前記搬送手段によって前記計測装置を搬送する搬送路を減圧する真空チャンバを備えることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載のインライン型蒸着装置。
【請求項20】
真空チャンバの内部に配置された複数の搬送装置を備えるインライン型蒸着装置の調整方法であって、
前記複数の搬送装置によって真空中で計測装置を搬送する工程と、
前記計測装置によって、水平面に対する前記計測装置の傾きに関する情報と、前記複数の搬送装置に対する前記計測装置の位置に関する情報と、を取得する情報取得工程と、
前記位置に関する情報に基づいて、前記複数の搬送装置から調整対象を選択する選択工程と、
前記傾きに関する情報に基づいて、前記調整対象の位置を調整する調整工程と、
を有することを特徴とする調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置の高さを調整するための計測装置、インライン型蒸着装置および調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ローラなどの搬送装置で搬送される基板に機能膜を成膜するインライン式成膜装置において、成膜時の膜厚を均一にするために基板を搬送する搬送装置の高さの調整が重要である。しかしながら、大気環境下で高さを調整しても、真空環境下で真空チャンバに歪みが生じることで搬送装置の高さが変化してしまう場合があり、その変化量の計測を真空環境下で行うことは困難である。また、既に製品生産が開始された成膜装置においても、成膜装置の自重による床の沈み込み等で、搬送装置の高さにズレが発生した場合に、そのズレ量を真空状況下で計測することが困難であり、成膜が終了した基板の膜厚分布によってズレ量を推定していた。この場合にも、基板に成膜された機能膜の膜厚の評価をするまでわからないため調整に時間がかかっていた。
【0003】
このような問題を解決するための従来技術として、特許文献1には、搬送装置内を走行するキャリア側に搬送高さの調整状況を測定するための距離センサを搭載させ、真空状況下でキャリアを走行させることで、搬送装置の高さを計測する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019-533896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されている技術では、隣接する2つの搬送装置までの距離をキャリアで測定し、隣接する2つの搬送装置までの距離の差を計測し搬送装置の整列を判断する。このため、搬送路自体に傾きがある場合にも、搬送装置とキャリアとの平行が確保されていれば調整完了となるため、水平面に対して搬送装置の高さを調整する際の利便性の低さが問題であった。
【0006】
上記の課題を鑑み、本発明は、水平面に対する搬送装置の高さを調整する際の利便性を向上する計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る計測装置は、真空チャンバの内部に配置された複数の搬送装置によって真空中を搬送される計測装置であって、水平面に対する前記計測装置の傾きを検出する第1検出手段と、前記複数の搬送装置に対する前記計測装置の位置を検出する第2検出手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
これによって、水平面に対する搬送装置の高さを調整する際の利便性を向上する計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る計測キャリアによる搬送ローラの高さの計測方法を示す図
図2】計測キャリアのセンサ配置を示す図
図3】計測キャリアの構成図
図4】搬送ローラの高さの計算方法を示す図
図5】搬送ローラの高さの計測結果の一例を示す図
図6】計測キャリアの位置検出方法を示す図
図7図6に示す位置検出方法のロジック図
図8】搬送ローラの高さの自動調整に係る調整システムを示す図
図9】調整システムが実行する処理の一例を示すフローチャート
図10】調整システムが実行する処理の別例を示すフローチャート
図11】(A)は調整前の搬送ローラの高さを示す図、(B)は調整後の搬送ローラの高さを示す図。
図12】計測キャリアの変形例を示す図
図13】計測キャリアの変形例を示す図
図14】第2実施形態に係る計測キャリアの側方図
図15】第2実施形態に係る計測キャリアを上方斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態では、インライン式の成膜装置に備えられた搬送装置によって搬送され、搬送中に搬送装置の高さを計測する計測装置(計測キャリアとも称する)を用いる計測方法、および計測方法を使用した搬送装置の高さの自動調整方法について説明する。
【0012】
図1に、基板やマスクを搬送する搬送装置によって形成される搬送路の水平面基準からのずれを計測するための計測キャリアによる搬送ローラの高さの計測方法を示す。図1では、成膜装置1が蒸着材料を基板に放出するための真空チャンバ2内に備えられた複数の搬送ローラ20によって形成される搬送路に沿って、計測装置である計測キャリア10が搬送方向(図1のX方向)4へ搬送される。隣接する二つの搬送ローラ20の上に、計測キャリア10の当接部11が当接する位置に計測キャリア10を停止させ、その時の計測キャリア10の傾きを角度測定板12にて計測し、二つの搬送ローラ20の距離から搬送ローラ20の高さの差を算出する。続いて計測キャリア10を次の搬送ローラ20までの距離に相当する1ピッチ分移動させ、次の搬送ローラ20に当接部11が当接すると、計測キャリア10の傾きを測定する。これを順次行うことでインライン式成膜装置1の複数の搬送ローラ20の高さを計測することができる。そして、搬送ローラ20の高さを調整するための調整ユニット21を制御することで、搬送ローラ20の高さを水平面基準で一定の高さに調整することができる。
【0013】
図2は、計測キャリア10の構成を示す上面図である。計測キャリア10は、搬送路に配された左右の搬送ローラ20にそれぞれ接触する左右の角度測定板12L、12Rを連結部材206で搬送方向前後において連結したフレーム構造になっている。なお、図2では、当接部11など、計測キャリア10の筐体は省略している。
【0014】
左右の角度測定板12L、12R(総称して角度測定板12と呼ぶ)には、それぞれ搬送方向における傾きを測定する左右の角度測定ユニット201L、201Rが配置される。連結部材206には左右の角度測定板12間の傾斜角と、搬送ローラ20間の傾きを測定するための角度測定ユニット201Cが配置されている。角度測定ユニット201L、201R、201Cを総称して角度測定ユニット201と呼ぶ。
【0015】
角度測定ユニット201はそれぞれ水平面(XY面)に対する傾斜角度を測定する角度計(水準器)を収納した金属製の筐体によって構成され、真空環境下でも傾斜角度を計測することができる。角度測定ユニット201は計測キャリア10の3か所に取り付けられている。左右の角度測定板12に取り付けられた角度測定ユニット201L、201Rは、左右の角度測定板12それぞれの搬送方向における傾斜角を計測する。角度測定ユニット201Cは、連結部材206に取り付けられ、左右の角度測定板12間の傾斜角を測定する。
【0016】
左右の角度測定板12間には、制御ユニット(PCユニットとも称する)202、角度測定ユニット201、電力を供給するバッテリユニット203、後述する位置検出ユニット205を含む回路ブロックが配置される。これらの回路ブロックはフレキ管204で接続される。
【0017】
フレキ管204はバッテリユニット203からPCユニット202、バッテリユニット203から各角度測定ユニット201、位置検出ユニット205からPCユニット202およびバッテリユニット203を接続する。フレキ管204は、さらに、各角度測定ユニット201、PCユニット202、位置検出ユニット205に電源を供給する電源ケーブルを収容する。また、フレキ管204には、各角度測定ユニット201および位置検出ユニット205からPCユニット202に測定データを送信するための通信ケーブルも収容される。
【0018】
PCユニット202は、金属製の筐体を有し、図3において計測処理PC2021、および入出力インタフェース(I/F)2022を含む。計測処理PC2021は、計算した結果を外部へと送信可能な無線通信ユニット2021aと、測定対象の搬送ローラ20を特定してその高さを計算するプロセッサ、メモリを含む処理ユニット2021bを備える。入出力I/F2022は、角度測定ユニット201に電源を供給するとともに、角度測定ユニット201によって取得した測定データを受け取る。位置検出ユニット205は、後述する位置検出方法によって、計測キャリア10がいずれの搬送ローラ20上に位置するかを検出するためのセンサを備える。位置検出ユニット205は入出力I/F2022を介して計測処理PC2021に接続される。
【0019】
バッテリユニット203内には、計測処理PC2021へと電力を供給するための充電式バッテリ2031、UPSコントローラ2032、およびUPSバッテリ2033が収納されている。
【0020】
UPSコントローラ2032は、バッテリ2031およびUPSバッテリ2033のいずれから電源供給を行うかを切り替える。UPSバッテリ2033は、バッテリ2031の充電容量不足や故障によって電源供給ができなくなった場合に計測処理PC2021を安全にシャットダウンするためのバックアップ用の電源である。
【0021】
図3は計測キャリア10の構成図である。PCユニット202は、入出力インタフェース2022を介して、角度測定ユニット201L、201R、201Cの角度計からの測定値及び位置検出ユニット205の測定値を取得する。そして、PCユニット202は測定結果から測定対象の搬送ローラ20を特定してその搬送ローラ20の高さを計算する計測処理PC2021を備える。また計測処理PC2021によって計算された測定結果は、内蔵の無線通信ユニット2021aへと送信され、搬送ローラ20および調整ユニット21を制御する制御装置へと無線送信される。
【0022】
計測キャリア10は、真空チャンバ内を搬送されるため、外部よりの電源供給が困難であったり、あるいは、非効率的であることがある。このため、計測キャリア10はバッテリ2031から電源の供給を受ける。バッテリ2031は、バッテリ2031の充電容量の監視のためのUPSコントローラ2032に接続される。UPSコントローラ2032はバッテリ2031のバッテリ容量または供給される電圧が閾値を下回ったことを検知し、電源供給をUPSバッテリ2033へ切換え、計測処理PC2021へシャットダウン信号を発報する。これによって、計測処理PC2021を安全にシャットダウンすることができる。
【0023】
各角度測定ユニット201のそれぞれとPCユニット202の入出力I/F2022は、バッテリユニット203を介してデータ線で接続されている。なお、PCユニット202、バッテリユニット203の筐体、角度測定ユニットの筐体は、金属製であり、非磁性体である。寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。例えば、位置検出ユニット205はPCユニット202に収容されず、計測処理PC2021とは別個の筐体に収容されてもよい。
【0024】
また、図3において、フレキ管204は電源線またはデータ線を保護するために配置されるが、寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。例えば、フレキ管204はPCユニット202と角度測定ユニット201とを直接接続してもよい。
【0025】
図4は計測キャリア10による搬送ローラの高さの計算方法を示したものである。図4において、角度測定板12Rの下方には、搬送方向前後の搬送ローラ20の間隔に合わせて形成された当接部401、402が配置される。当接部401、402が二つの搬送ローラ20に接触した状態で、計測キャリア10が傾きθを有する状態で静止している。尚、図4は搬送方向に向かって右側の側面を示しているが、左側の側面にも同様の角度測定板12Lが同様の状態で位置している。
【0026】
この状態で、計測キャリアの角度測定ユニット201の角度計より出力される出力データを計測処理PC2021で処理することにより、搬送ローラの高さを特定する。すなわち計測キャリア10の搬送方向における傾き角度θと、搬送ローラ20の間隔すなわちローラ距離Dから、搬送ローラ20の高さの差H=D×tanθを特定することができる。このように、計測キャリア10を搬送しながら、当接部401、402が搬送ローラ20に当接する位置となるたびに停止させ、各搬送ローラ20において高さの計算を順次行う。
【0027】
これによって、計測キャリア10によれば、搬送路上に配列された複数の搬送ローラ20に対し、2つの搬送ローラ20間それぞれの高さの差を計測し、搬送路上のすべての搬送ローラ20に対して水平基準面に対する高さのばらつきを検出することができる。
【0028】
なお、図4の例では、測定を隣接する搬送ローラ20に対して行っているが、例えば図12に示すように、1個おきなど、所望の個数離れた2つの搬送ローラ20の高さの差を計測してもよい。これによって、隣接する搬送ローラ20の間隔が狭い場合であっても傾きを計測する搬送ローラ20間の距離Dを長くとることができるので、測定精度を高める効果がある。
【0029】
また、図13に示す例では、計測キャリア10は、角度測定板12Rの当接部11を凸形状にせず、平板状に形成されている。計測キャリア10の搬送方向における長さMLが隣接ローラ20の間隔よりも大きく、さらにその搬送方向外側に位置する2つの搬送ローラ20間よりも短ければ、この当接部11であっても搬送ローラ20間の高さの差を測定することができる。ローラ間隔が一定でないような場合に適用範囲が広がり、効果的である。
【0030】
いずれの場合でも、測定対象となる搬送ローラ20とその傾きあるいは高さ情報を対応させて計測し、図8のように搬送ローラ20の高さを調整するための情報を搬送制御装置800へと送信する点においては同様である。
【0031】
図5図4にて計測された搬送方向に配列された搬送ローラ20の高さの測定値をプロットしたものである。図4の例では、最初の搬送ローラ20、図5のX=0の搬送ローラ20の高さを0とする。続いて、2番目の搬送ローラ20(図5の左から2番目の黒丸)の高さを、最初の搬送ローラ20の高さとの差からZ方向の高さを判定する。このように、搬送方向で1つ上流側の搬送ローラ20のとの高さの差を足すことで、最初の搬送ローラ20に対する相対的な高さを判定することができる。
【0032】
また、システムの構成上許容可能な搬送ローラ20の高さの上限値501及び搬送ローラ20の高さの下限値502が予め計測処理PC2021に設定されており、上下限値より外れているローラを判断することができる。この上下限値より外れている搬送ローラ20を上下限値内に手動あるいは自動で調整することにより、全ての搬送ローラを垂直方向(Z方向)で一定の高さに揃えることができる。これによって、真空チャンバ内で蒸着等によって成膜を行った際にも、膜厚分布のむらを防ぎ、均一な膜厚の成膜を行うことが可能となる。
【0033】
図6は、計測キャリア10による位置検出動作を説明する図である。この位置検出動作は、搬送ローラ20と対向する角度測定板12の下面に配されたカウントセンサ2051a、2051b、2051c(総称してカウントセンサ2051とする)の出力を位置検出ユニット205によって処理することによって行われる。例えば、カウントセンサ2051aは、角度測定板12の下方に近接する物体を検出する光学式の測距センサである。この場合、角度測定板12の下方、測距センサに対応する位置に搬送ローラ20が位置すると、カウントセンサ2051は物体を検出したとして「1」を出力する。測距センサに対応する位置に何も物体が存在しない場合にはカウントセンサ2051は「0」を出力する。これによって、カウントセンサ2051の下方に搬送ローラ20が位置する間だけ、カウントセンサ2051は「1」を出力する。そして、後述するように3つのカウントセンサ2051の出力が変化するタイミングに基づいて計測キャリア10の移動方向や、通過した搬送ローラ20の個数を特定することができる。
【0034】
計測キャリア10が、カウントセンサ2051の出力に基づいて通過した搬送ローラ20の個数をカウントすることで、計測キャリア10の位置、すなわち当接部11が搬送路上のどの搬送ローラ20に当接する位置にあるかを把握することができる。
【0035】
カウントセンサ2051は、真空環境下で使用可能な、たとえば反射型のファイバーセンサによって構成される光学センサであり、計測処理PC2021に接続される。カウントセンサ2051の出力信号は、搬送方向検出用、ローラカウント用、搬送方向フラグリセット用に使用される。また搬送ローラ20の高さの測定値にローラカウント個数を付加することで、搬送路上の何個目の搬送ローラ測定値なのかを特定でき、調整が必要な搬送ローラ20の特定を容易に行うことが出来る。
【0036】
図7は、位置検出ロジック図を示す。計測キャリア10を正搬送方向(図1の搬送方向4)に移動させた時のロジック図である。まず、カウントセンサ2051aが搬送ローラ20を検知しカウントセンサ2051aの検出信号701の立ち上がりを計測処理PC2021が認識した時点で、計測処理PC2021の内部に、正搬送フラグ704をオンに設定する。さらに計測キャリア10が搬送ローラ20を検知し、カウントセンサ2051bによる検出信号702の立ち上がりで、正搬送フラグ704が1の時、正搬送方向の搬送ローラ20のカウントを1加算する。続いて、計測キャリア10が正搬送方向に移動し、カウントセンサ2051cが搬送ローラ20を検知して検出信号703の立ち上がりで、正搬送フラグ704を0に設定する。この一連のサイクルを繰り返すことにより、計測キャリア10の先端が通過した搬送ローラ20の個数をカウントし、計測キャリア10の計測位置が把握できる。
【0037】
なお、逆搬送の場合は、カウントセンサ2051cから検出が始まるので、正搬送フラグが0の状態でカウントセンサ2051cの検出信号703の立ち上がりを検出した場合に、逆搬送フラグを1に設定することで逆搬送を検出することができる。逆搬送フラグが1の状態でカウントセンサ2051bの検出信号702の立ち上がりを検出すると、順方向の搬送ローラ20のカウントを1減算する、または逆方向のローラカウントを1加算することで、逆搬送時の搬送ローラ20のカウントも行うことができる。
【0038】
<高さの自動調整>
図8は、計測キャリア10の計測結果に基づいて、搬送ローラ20の高さを自動調整する調整システムに係るブロック図である。搬送路を形成する各搬送ローラ20には、それぞれ調整ユニット21が取付けられる。また、搬送ローラ20および調整ユニット21を制御するコントローラ801と、計測キャリア10から送信された各搬送ローラ20の高さの計測値を受信する無線通信ユニット802を備えた搬送制御装置800が配置されている。
【0039】
これによって、計測キャリア10から送信されてきた搬送ローラ20の高さに関する情報を無線通信ユニット802で受信することができる。また、コントローラ801で高さ調整の必要な搬送ローラ20ごとに高さの調整量を計算し、調整ユニット21を制御することで搬送ローラ20の高さを自動で調整することができる。
【0040】
また計測キャリア10は、位置検出ユニット205の出力から計測対象の搬送ローラ20を特定するための情報、例えば通過した搬送ローラの数に関する情報(カウント)を送信する。また、計測キャリア10は角度測定ユニット201の検出結果から搬送ローラ20のカウントに対応する搬送ローラ20の高さ情報を、計測処理PC2021aによって計算し、無線通信ユニット2021cによって、搬送制御装置800へと送信する。
【0041】
図9は、調整システムが実行する処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、計測キャリア10が測定した搬送ローラ20の高さに関する情報に基づいて、搬送制御装置800が搬送ローラ20の高さの調整量を決定する。
【0042】
まず、手動あるいは自動で搬送ローラの高さを初期位置に調整する(S1)。手動で搬送ローラの高さを調整する場合は、搬送制御装置800が調整ユニット21を制御することで搬送ローラ20の高さを初期位置に設定する。続いて搬送路上に計測キャリア10を載置し、位置検出ユニット205を用いて、角度測定板12の当接部11が当接する最初の測定開始位置へと計測キャリア10を搬送する(S2)。続いて図4を参照して説明したように、計測キャリア10は、隣接する2つの搬送ローラ20の傾斜角度を測定し(S3)、測定した傾斜角度に基づいて搬送ローラの高さの差を計算する(S4)。なお、隣接する2つの搬送ローラ20間の傾斜角度の測定及び高さの差の計算は、左右の角度測定板12のそれぞれで行われ、また左右の角度測定板12間、すなわち搬送方向に交差する方向において行われてもよい。これによって搬送方向及び搬送方向に直交する左右の搬送ローラ20間の高さをそろえることができる。
【0043】
計測キャリア10は無線通信ユニット2021aを備えており、計測処理PC2021bによって計算された搬送ローラ20の高さデータを無線通信ユニット2021aを介して搬送ローラ20の高さデータを搬送制御装置800に送信する(S5)。
【0044】
搬送制御装置800は、無線通信ユニット802で受信した搬送ローラ20の高さデータをコントローラ801へ転送する。そしてコントローラ801は、計測結果すなわち搬送ローラ20の高さが許容範囲内か、許容範囲外かを判定する(S6)。その搬送ローラ20の高さが許容範囲外である場合は(S6でNo)、調整対象の搬送ローラ20に対して高さの調整量に対応する駆動信号を計算し、調整対象となる搬送ローラ20の調整ユニット21を駆動して搬送ローラ20の高さを調整する(S7)。調整対象の搬送ローラ20の高さが許容範囲内である場合は(S6でYes)、処理をS8に進める。
【0045】
搬送ローラ20の高さを調整した後、まだ計測あるいは調整すべき搬送ローラ20が残っているか否かを判定し(S8)、すべての搬送ローラ20の計測/調整が完了していれば(YES)フローを終了する。一方、まだ計測すべき搬送ローラ20が残っている場合は、計測キャリア10を搬送ローラ20の1つ分の距離を移動し(S9)、次の搬送ローラ20の高さ測定を行う(S3へと復帰)。このサイクルを繰り返すことにより搬送路全体の搬送ローラ20の高さの調整を行う。
【0046】
なお、図9の例では搬送ローラ20の測定と、調整とを並行して進めるものとして説明を行った。しかしながら、全ての搬送ローラ20の測定を行い、全ての搬送ローラ20の高さの測定を行った後に、搬送ローラ20の高さの調整を行ってもよい。
【0047】
図10は調整システムが実行する処理の別例を示すフローチャートである。図10に示す処理では、計測キャリア10が搬送ローラ20の高さを計測して高さの調整量を決定し、搬送制御装置800に調整量を送信する。搬送制御装置800は、受信した高さの調整量に基づいて搬送ローラ20の高さを調整する。
【0048】
図10において、S1~S4までの処理と、S7~S9の処理は、図9と同様であるため説明を省略する。図10の処理では、S4で搬送ローラ20の高さを計算した後、計測キャリア10がS51で計測結果に基づいて搬送ローラ20の高さが許容範囲内か、許容範囲外かを判定する。計測キャリア10は、搬送ローラ20の高さが許容範囲外で調整が必要と判定した場合は(S51でNG)、調整対象の搬送ローラ20に対する調整量を算出する(S61)。また搬送ローラ20の高さが許容範囲内で調整が不要と判定した場合は(S51でOK)、計測キャリア10はその搬送ローラ20について調整量0を設定する(S62)。その後、処理をS63に進め、計測キャリア10はそれぞれ搬送制御装置800に調整量を示す情報を送信する(S63)。一例では、搬送ローラ20のインデックスに対応する情報を合わせて搬送制御装置800に送信する。
【0049】
そして、搬送制御装置800は、受信した搬送ローラ20の調整量の情報に基づいて、対象となる搬送ローラ20の調整ユニット21を動作させ、搬送ローラ20の高さを調整する(S7)。これによって、搬送制御装置800の計算量を軽減することができる。
【0050】
図11(A)は調整前の搬送ローラ20の高さを示し、図11(B)は調整後の搬送ローラ20の高さを示している。
【0051】
図11(A)において、2、5、6、7、8、9番目の搬送ローラ20の高さが許容範囲外である。このため、調整システムは2、5、6、7、8、9番目の搬送ローラ20の高さが許容範囲内となるように調整する。調整量は、基準の高さ(Z=0)との差分であってもよい。あるいは、調整対象の搬送ローラ20の搬送方向で上流の所定個の搬送ローラ20であって、許容範囲内に位置する搬送ローラに基づいて決められてもよい。例えば、調整対象の搬送ローラ20の高さがHtであり、搬送方向で1つ上流の搬送ローラ20の高さをHとすると、調整量をH-Htとしてもよい。
【0052】
これによって、図11(B)に示すように、全ての搬送ローラ20の高さが許容範囲内に含まれるように調整することができる。
【0053】
なお、搬送ローラ20の搬送方向における間隔は、図11(A)、(B)においては等間隔であるものとして図示されている。この場合、計測キャリア10または搬送制御装置800は、搬送ローラ20の間隔に関する情報を保持し、2つの搬送ローラ20間の傾きに基づいて、搬送ローラ20の高さの差を特定してもよい。
【0054】
一方、防着板やフレームなどの、真空チャンバ内に設置される部材との位置を調整するため、搬送ローラ20の搬送方向における間隔は等間隔でないことがある。このような場合、計測キャリア10または搬送制御装置800は、搬送ローラ20の搬送方向における間隔を示すデータを有していてもよい。
【0055】
別の例では、計測キャリア10は、搬送ローラ20の搬送方向における間隔を検出してもよい。例えば、計測キャリア10は、加速度センサの出力を保存し、1つの搬送ローラ20を検出してから次の搬送ローラ20を検出するまでの期間の加速度センサの出力を積分することで、1つの搬送ローラ20から次の搬送ローラ20までの距離を計算してもよい。あるいは、計測キャリア10は、角度測定板12に、搬送ローラ20に当接している個所を特定するための複数の感圧センサを備えてもよい。この場合、複数の感圧センサ間の距離に関する情報を計測キャリア10または搬送制御装置800が有し、搬送ローラ20に当接している個所を特定することで、搬送方向で前後の搬送ローラ20の間隔を測定してもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る計測装置によれば、水平面に対する搬送装置の高さを特定することができるため、搬送装置の水平面に対する高さを調整する際の利便性を向上することができる。
【0057】
また、例えば数10チャンバを超えるような大型の循環式搬送装置の場合、循環最初のチャンバと循環最後のチャンバとの繋ぎ合わせで搬送高さが不一致となり、搬送高さ調整に手戻りが発生してしまう場合があった。これに対して、本実施形態によれば、チャンバ間の搬送ローラの水平面に対する高さを特定する循環最初のチャンバと循環最後のチャンバとのつなぎ合わせで搬送ローラの高さを一致させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る基板の搬送装置は、成膜源を有し、蒸着であれば蒸着源、スパッタであればターゲット、化学蒸着法(CVD)であれば電極と成膜ガスの流路が設けられたインライン型蒸着装置に設けられた搬送ローラの調整に使用することができる。この場合、インライン型蒸着装置は、真空チャンバ内に搬送ローラ20を備え、搬送路を減圧した状態で計測キャリア10を搬送することで搬送ローラ20の高さの調整を行う。
【0059】
なお、本実施形態に係る計測キャリア10は大気及び真空環境下のいずれでも使用することができ、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0060】
<第2実施形態>
第1実施形態によれば、計測キャリアは、リジッドで変形しない角度計測板を有し、搬送方向で前後の搬送ローラに対する傾きを測定することで搬送ローラの水平面に対する高さを測定する方法について説明した。第2実施形態では、角度測定板にある程度の柔軟性(可撓性)持たせ、搬送方向及び左右の搬送ローラ間で高さにばらつきがあっても、それぞれの搬送ローラに接触し、搬送ローラ間の水平面に対する高さを測定する方法について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成、処理、機能については同一の参照符号を使用し、説明を省略する。
【0061】
図14は本実施形態に係る計測キャリア200の搬送方向に向かって右側からみた側面図、図15は、上方斜視図である。本実施形態に係る計測キャリア200は、複数の搬送ローラ20の高さのばらつきによる凹凸にフィットして当接するよう、柔軟性を有する角度測定板1400を有する。具体的にはステンレス鋼(SUS)の板金を断面L字状に折り曲げ加工して、ある程度の剛性を持たせつつ、搬送路方向には長尺状の形状をなし、搬送路の凹凸(搬送ローラの高さのばらつき)には柔軟性をもってフィットする構造となっている。また角度測定板1400の前後端部下面には、搬送ローラ20に対してぶつかることなく、円滑に乗り上げて搬送が行われるように傾斜面1401が形成されている。
【0062】
図14に示すように、計測キャリア200は搬送路に載置した状態で、各複数の搬送ローラ20のそれぞれに自重で変形しながら当接し、角度測定ユニット201の両側に位置する搬送ローラ20の高さを測定する。言い換えれば、角度測定ユニット201)は、測定対象となる2つの搬送ローラの中間位置に、位置検出ユニット205によって正確に位置決めする必要がある。そして測定対象の搬送ローラ20に当接する位置が当接部11として機能し、搬送ローラ20の間隔(ピッチ)によって変化する。
【0063】
この方法によれば、搬送ローラ20のピッチ(間隔)が変化しても、計測キャリア200の変形自体には再現性があるため、補正係数を適用すれば、搬送ローラ20間の間隔の変化による計測値の誤差、すなわち角度測定板の撓みによる計測のずれ、誤差をキャンセルすることができる。
【0064】
また図15に示すように、左右の角度測定板12は、連結部材206によって搬送方向前後において連結されており、その連結部材206の中間位置にも左右の搬送ローラ20の傾き角度、すなわち高さのばらつきを検出する角度測定ユニット201Cが配されている。なお、図15では、PCユニット202、バッテリユニット203、フレキ管204は省略されている。左右の角度測定板12による搬送方向における傾き(高さばらつき)とともに、左右2列の搬送ローラ20群に対しても傾き(高さばらつき)を測定することが可能になる。
【0065】
そして、第1実施形態のように、角度測定板12がリジッドな構造でなく、柔軟性(可撓性)を備えているので、角度測定板12が互いの角度の差異によるねじれの影響を受けずに測定することが可能である。すなわち左右4個の搬送ローラ20の位置関係、によって形成される2次元平面の高さのばらつきを搬送方向及び搬送方向に交差する方向の両方に対して同時に計算することができる。この高さのばらつきをなくすように調整ユニット21を制御することで、個々の搬送ローラ20を逐次調整することなく、全体の傾斜を面として水平面に合わせて調整することが可能となる。
【0066】
なお、第2実施形態に係る計測キャリア200は、間隔が短い複数の搬送ローラ20など、搬送方向で2つの搬送ローラ20によって計測キャリアを搬送することが難しい場合にも搬送ローラ20の水平面に対する高さを計測することができる。
【符号の説明】
【0067】
10:計測キャリア、20:搬送ローラ、21:調整ユニット、12:角度測定板、201:角度測定ユニット、202:PCユニット、203:バッテリユニット、204:フレキ管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15