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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121782
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】熱供給システム及び熱供給方法
(51)【国際特許分類】
   F24D 12/02 20060101AFI20220815BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220815BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20220815BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20220815BHJP
   H01M 8/065 20160101ALI20220815BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20220815BHJP
   H01M 8/04007 20160101ALI20220815BHJP
   F24D 3/00 20220101ALI20220815BHJP
   F24H 15/305 20220101ALI20220815BHJP
【FI】
F24D12/02
H01M8/04 J
H01M8/0432
H01M8/04746
H01M8/065
H01M8/0438
H01M8/04007
F24D3/00 B
F24D3/00 M
F24H7/02 603B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018677
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 裕太
(72)【発明者】
【氏名】下田 英介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 成輝
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲彦
【テーマコード(参考)】
3L070
5H127
【Fターム(参考)】
3L070BB06
3L070BB16
3L070DF07
3L070DG06
5H127AC15
5H127AC20
5H127BA02
5H127BA23
5H127CC07
5H127DB72
5H127DB74
5H127DB82
5H127DB98
5H127DC76
5H127DC83
5H127DC85
5H127DC92
(57)【要約】
【課題】合金タンクへの熱供給や建物への熱回収を効率良く行い、空調や給湯に利用することができる熱供給システム及び熱供給方法を提供する。
【解決手段】合金タンク部10、蓄熱部20、冷却部30、及び発電部40のそれぞれにおいて、熱媒体の流れをバイパスする配管52、54、56、58と、各部のそれぞれにおいて、熱媒体を前記バイパス経路に導くバイパス制御バルブV2、V4、V6、V8と、各部の入口の温度を計測する温度計T1、T3、T5、T7と、温度計の計測結果と運転状況に基づいてバイパス制御バルブV2、V4、V6、V8の開閉を制御する制御部70とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金タンク部と、蓄熱部と、冷却部と、発電部とを有し、前記合金タンク部に水素を貯蔵し、前記合金タンク部からの水素により前記発電部で発電を行うとともに、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部の間を熱媒体を循環させ、前記蓄熱部で排熱を回収して利用するような熱供給システムであって、
前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、熱媒体の流れをバイパスするバイパス経路と、
前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、前記熱媒体を前記バイパス経路に導くバイパス制御バルブと、
前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれの入口の温度を計測する温度計と、
前記温度計の計測結果と運転状況に基づいて、前記バイパス制御バルブの開閉を制御する制御部と、
を備える熱供給システム。
【請求項2】
さらに、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、前記熱媒体を循環させる循環経路と、
前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、前記熱媒体を前記循環経路中に循環させる循環制御バルブ及び循環ポンプとを備え、
前記制御部は、前記温度計の計測結果と運転状況に基づいて、前記バイパス制御バルブの開閉とともに、前記循環制御バルブの開閉及び前記循環ポンプの作動を制御する
ようにした請求項1に記載の熱供給システム。
【請求項3】
さらに、前記合金タンク部は圧力センサを備え、
前記制御部は、前記温度計の計測結果と運転状況とともに前記圧力センサの計測値に基づいて、前記循環制御バルブの開閉を制御する
ようにした請求項2に記載の熱供給システム。
【請求項4】
前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部は、それぞれ、熱交換器を介して前記熱媒体と熱交換を行うようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の熱供給システム。
【請求項5】
さらに、前記蓄熱部からの熱媒体を前記冷却部及び前記発電部をバイパスして前記合金タンク部に送る経路を設けるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の熱供給システム。
【請求項6】
合金タンク部と、蓄熱部と、冷却部と、発電部とを有し、前記合金タンク部に水素を貯蔵し、前記合金タンク部からの水素により前記発電部で発電を行うとともに、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部の間を熱媒体を循環させ、前記蓄熱部で排熱を回収して利用するような熱供給方法であって、
前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、熱媒体の流れをバイパスするバイパス経路を形成するとともに、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、前記発電部のそれぞれにおいて、前記熱媒体を前記バイパス経路に導くバイパス制御バルブを設けておき、
温度計が前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれの入口の温度を計測し、
前記温度計の計測結果と運転状況に基づいて、前記バイパス制御バルブの開閉を制御する
ようにした熱供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱供給システム及び熱供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素を合金タンクに貯蔵しておき、合金タンクから水素を取り出し、燃料電池にて発電するシステムが一般的に知られている。合金タンク内の温度及び圧力は、合金タンクから水素を放出するにつれて下降する。このため、合金タンクから水素を継続して取り出し、燃料電池で発電を行うためには、合金タンクを加熱して昇圧させる必要がある。また、合金タンクへ水素を充填する際には、合金タンクを冷却して減圧する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-170691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素を利用した発電システムでは、燃料電池を冷却したときの排熱を合金タンクの加熱に利用することができる。更に、燃料電池を冷却したときの排熱や、合金タンクを冷却したときの排熱を利用して、ビルの空調や給湯に利用できる。そこで、水やエチレングリコール、プロピレングリコール等の不凍液を熱媒体としてシステムに循環させ、蓄熱槽やコンクリート等の熱容量の大きい躯体を利用して排熱を回収して、空調や給湯に利用するシステムが提案されている。しかしながら、特許文献1に示されているシステムでは、そのための効率的な運用方法については開示されていない。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、合金タンクへの熱供給や建物への熱回収を効率良く行い、空調や給湯に利用することができる熱供給システム及び熱供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る熱供給システムは、合金タンク部と、蓄熱部と、冷却部と、発電部とを有し、前記合金タンク部に水素を貯蔵し、前記合金タンク部からの水素により前記発電部で発電を行うとともに、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部の間を熱媒体を循環させ、前記蓄熱部で排熱を回収して利用するような熱供給システムであって、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、熱媒体の流れをバイパスするバイパス経路と、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、前記熱媒体を前記バイパス経路に導くバイパス制御バルブと、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれの入口の温度を計測する温度計と、前記温度計の計測結果と運転状況に基づいて、前記バイパス制御バルブの開閉を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一形態に係る熱供給方法は、合金タンク部と、蓄熱部と、冷却部と、発電部とを有し、前記合金タンク部に水素を貯蔵し、前記合金タンク部からの水素により前記発電部で発電を行うとともに、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部の間を熱媒体を循環させ、前記蓄熱部で排熱を回収して利用するような熱供給方法であって、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれにおいて、熱媒体の流れをバイパスするバイパス経路を形成するとともに、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、前記発電部のそれぞれにおいて、前記熱媒体を前記バイパス経路に導くバイパス制御バルブを設けておき、前記合金タンク部、前記蓄熱部、前記冷却部、及び前記発電部のそれぞれの入口の温度を計測し、前記温度計の計測結果と運転状況に基づいて、前記バイパス制御バルブの開閉を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合金タンク部、蓄熱部、冷却部、及び発電部の各部にバイパス経路を設けておき、合金タンク部、蓄熱部、冷却部、及び発電部の各部を流れる熱媒体の入口の温度や、水素貯蔵時や燃料電池の発電時等の運転状況に応じて、バイパス経路に導くバルブやポンプを制御することで、合金タンクへの熱供給や、建物への熱回収を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る熱供給システムの概要を示すブロック図である。
図2A】本発明の第1の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図2B】本発明の第1の実施形態に係るシステムにおける発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る熱供給システムの概要を示すブロック図である。
図4A】本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図4B】本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る熱供給システムの概要を示すブロック図である。
図6A】本発明の第3の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図6B】本発明の第3の実施形態に係るシステムにおける発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図7】本発明の第4の実施形態に係る熱供給システムの概要を示すブロック図である。
図8A】本発明の第4の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図8B】本発明の第4の実施形態に係るシステムにおける発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
図9】本発明の第5の実施形態に係る熱供給システムの概要を示すブロック図である。
図10】本発明の第5の実施形態に係るシステムにおけるバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱供給システム1の概要を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る熱供給システム1は、合金タンク部10と、蓄熱部20と、冷却部30と、発電部40とから構成される。
【0011】
合金タンク部10は、水素吸蔵合金により水素を貯蔵する合金タンク群11を備える。合金タンク群11は、外部からの水素を貯蔵し、発電を行う際には、燃料電池41に水素を供給する。
【0012】
蓄熱部20は、蓄熱槽・躯体21からなる。蓄熱槽は、熱媒体を貯蔵して熱を蓄積する。躯体は、コンクリート等の熱容量の大きい部材からなり、熱を蓄積する。本実施形態では、蓄熱槽・躯体21に排熱を取り込むことで、空調や給湯等の建物用途に利用可能としている。また、蓄熱槽・躯体21に蓄積した熱は、合金タンク群11の加熱に利用することもできる。
【0013】
冷却部30は、ラジエータ・ファンやチラーユニット等による冷却装置31を備え、熱媒体の温度を燃料電池41が運用可能な温度にまで冷却する。また、冷却部30は、合金タンク群11で水素を吸蔵する際に、合金タンク群11の冷却を行う。
【0014】
発電部40は、燃料電池41を備え、合金タンク群11から送られてきた水素により発電を行う。
【0015】
配管51~58は、熱供給システム1内で熱媒体の流路を形成する。熱媒体としては、水やエチレングリコール、プロピレングリコール等の不凍液が用いられる。
【0016】
配管51は、発電部40と合金タンク部10との間を連結する。配管51中には、ポンプP1が設けられる。合金タンク部10の入口にはバルブV1が設けられる。配管52は、合金タンク部10をバイパスする熱媒体の経路を形成する。配管52中には、バルブV2が設けられる。
【0017】
配管53は、合金タンク部10と蓄熱部20との間を連結する。蓄熱部20の入口にはバルブV3が設けられる。配管54は、蓄熱部20をバイパスする経路を形成する。配管54中には、バルブV4が設けられる。
【0018】
配管55は、蓄熱部20と冷却部30との間を連結する。冷却部30の入口にはバルブV5が設けられる。配管56は、冷却部30をバイパスする経路を形成する。配管56中には、バルブV6が設けられる。
【0019】
配管57は、冷却部30と発電部40との間を連結する。発電部40の入口にはバルブV7が設けられる。配管58は、発電部40をバイパスする経路を形成する。配管58中には、バルブV8が設けられる。
【0020】
水素配管81は外部からの水素を合金タンク群11に供給する水素の経路を形成する。水素配管82は合金タンク群11からの水素を燃料電池41に供給する水素の経路を形成する。
【0021】
温度計61は合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1を計測する。温度計62は合金タンク群11内の熱媒体の温度T2を計測する。圧力計71は合金タンク群11内の圧力を計測する。温度計63は蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3を計測する。温度計64は蓄熱槽・躯体21での熱媒体の温度T4を計測する。温度計65は冷却部30の入口での熱媒体の温度T5を計測する。温度計66は外気温度又は冷却温度T6を計測する。温度計67は発電部40の入口での熱媒体の温度T7を計測する。温度計68は発電部40の出口での熱媒体の温度T8を計測する。温度計61~68としては熱電対を用いることができる。
【0022】
制御部70は、空調、配電、照明、換気などの設備を総合的に管理する上位システムである。制御部70は、温度計61~68、圧力計71からの計測値を入力し、バルブV1~V8、ポンプP1の制御を行っている。制御部70は、例えばBEMS(Building and Energy Management System)を利用することができる。
【0023】
このように、本発明の第1の実施形態に係る熱供給システム1では、合金タンク部10、蓄熱部20、冷却部30、発電部40のそれぞれに対して、熱媒体のバイパス経路を形成する配管52、配管54、配管56、配管58が設けられる。また、合金タンク部10、蓄熱部20、冷却部30、発電部40の各部の入口には、それぞれ、バルブV1、バルブV3、バルブV5、バルブV7が設けられ、各部のバイパス経路を形成する配管52、配管54、配管56、配管58には、それぞれ、バルブV2、バルブV4、バルブV6、バルブV8が設けられる。バルブV2、バルブV4、バルブV6、バルブV8は、合金タンク部10、蓄熱部20、冷却部30、発電部40のそれぞれにおいて、熱媒体をバイパス経路に導くバイパス制御バルブとなる。
【0024】
バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とすると、配管51を介して送られてきた熱媒体は、合金タンク群11に送られ、合金タンク群11で熱交換が行われる。バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とすると、配管51を介して送られてきた熱媒体は、配管52に導かれ、合金タンク部10をバイパスし、次段の蓄熱部20に送られる。
【0025】
同様に、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とすると、配管53を介して送られてきた熱媒体は、蓄熱槽・躯体21に送られ、蓄熱槽・躯体21で熱交換が行われる。バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とすると、配管53を介して送られてきた熱媒体は、蓄熱部20をバイパスする。バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とすると、配管55を介して送られてきた熱媒体は、冷却装置31に送られ、冷却装置31で熱交換が行われる。バルブV5を閉状態とし、バルブV6を開状態とすると、配管55を介して送られてきた熱媒体は、冷却部30をバイパスする。バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とすると、配管57を介して送られてきた熱媒体は、燃料電池41に送られ、燃料電池41で熱交換が行われる。バルブV7を閉状態とし、バルブV8を開状態とすると、配管57を介して送られてきた熱媒体は、発電部40をバイパスする。
【0026】
次に、本発明の第1の実施形態に係るシステムにおけるバルブ及びポンプの制御について説明する。まず、外部からの水素を合金タンク群11に貯蔵する場合について説明する。なお、以下の説明で、合金タンク群11の冷却に必要な温度は、合金タンク群11の圧力を例えば1.000MPaG以下に保つ温度であり、例えば0℃以上40℃以下である。また、燃料電池41の運転に必要なタンク圧力は、例えば0.050MPaG以上1.000MPaG以下である。また、合金タンク群11の冷却に必要な温度は、例えば0℃以上40℃以下である。また、燃料電池41の冷却に必要な温度は、例えば0℃以上40℃以下である。
【0027】
図2Aは、本発明の第1の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0028】
外部から水素を合金タンク群11に貯蔵する際には、冷却することで合金タンク群11の圧力を所定圧力以下に保つ必要がある。また、蓄熱槽・躯体21は、合金タンク群11を加熱して残った熱を取り込んで、熱媒体の温度を維持する。
【0029】
図2Aに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口の熱媒体の温度T1と、合金タンク群11内の熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とする。これは、水素吸蔵時に合金タンク群11を冷却するためである。すなわち、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とすると、配管51を介して送られてくる熱媒体は、合金タンク群11に送られる。配管51の入口での熱媒体の温度(T1)は、合金タンク群11内の熱媒体の温度(T2)より低い(T1≦T2)ので、配管51からの熱媒体が合金タンク群11に送られることで、合金タンク群11は冷却される。
【0030】
また、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内の熱媒体の温度T2より高い(T1>T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンク群11の加熱を防止するためである。すなわち、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とすると、配管51を介して送られてきた熱媒体は、合金タンク部10をバイパスする。これにより、高い温度(T1)の熱媒体が合金タンク群11に入ることが防げ、合金タンク群11の加熱が防止できる。
【0031】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。すなわち、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とすると、配管53を介して送られてきた熱媒体は、蓄熱部20をバイパスする。これにより、低い温度(T3)の熱媒体が蓄熱槽・躯体21に入ることが防げ、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止できる。
【0032】
また、制御部70は、蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4が蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3より低い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。すなわち、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とすると、配管53を介して送られてくる熱媒体は、蓄熱槽・躯体21に送られる。配管53を介して送られてくる熱媒体の温度(T3)は、蓄熱槽・躯体21内の熱媒体の温度(T4)より高いので、配管53からの熱媒体が蓄熱槽・躯体21に送られることで、蓄熱槽・躯体21は加熱される。
【0033】
また、制御部70は、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5と、冷却装置31での熱媒体の温度T6とを比較し、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5が冷却装置31の熱媒体の温度T6より高い(T5>T6)場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とする。これは、熱媒体を冷却するためである。すなわち、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とすると、配管55を介して送られてくる熱媒体は、冷却装置31に送られることで冷却される。
【0034】
また、ポンプP1は、燃料電池41と合金タンク群11とを連結する配管51内に設けられる。合金タンク部10の合金タンク群11に外部から水素吸蔵する際には、ポンプP1を稼働したときには、配管51内を流れる熱媒体の流れは確保する必要がある。このため、制御部70は、ポンプP1の稼働時には、バルブV7を閉状態としバルブV8を開状態とするか、又は、バルブV7を開状態としバルブV8を閉状態として、熱媒体の経路を確保する。
【0035】
図2Bは、本発明の第1の実施形態に係るシステムにおける発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0036】
合金タンク部10からの水素を発電部40に送り、燃料電池41で発電を行う際には、燃料電池41を冷却する必要がある。また、合金タンク群11の圧力は、燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力以上に保つために、加熱する必要がある。
【0037】
図2Bに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11内での熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンク群11の冷却を防止するためである。すなわち、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とすると、配管51を介して送られてきた熱媒体は、合金タンク部10をバイパスする。これにより、低い温度(T1)の熱媒体が合金タンク群11に入ることが防げ、合金タンク群11の冷却が防止できる。
【0038】
また、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内での熱媒体の温度T2より高い(T1>T2)場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とする。これは、合金タンクを加熱するためである。すなわち、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とすると、配管51を介して送られてくる熱媒体は、合金タンク群11に送られる。配管51を介して送られてくる熱媒体の温度(T1)は、合金タンク群11内での熱媒体の温度(T2)より高いので、配管51からの熱媒体が合金タンク群11に送られることで、合金タンク群11は加熱される。
【0039】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。すなわち、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とすると、配管53を介して送られてきた熱媒体は、蓄熱部20をバイパスする。これにより、低い温度(T3)の熱媒体が蓄熱槽・躯体21に入ることが防げ、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止できる。
【0040】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より高い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。すなわち、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とすると、配管53を介して送られてくる熱媒体は、蓄熱槽・躯体21に送られる。配管53を介して送られてくる熱媒体の温度(T3)は、蓄熱槽・躯体21内の熱媒体の温度(T4)温度より高い(T3>T4)ので、配管53からの熱媒体が蓄熱槽・躯体21に送られることで、蓄熱槽・躯体21は加熱される。
【0041】
また、制御部70は、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高いか否かを判定し、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高い場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とする。これは、燃料電池41を冷却するためである。すなわち、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とすると、配管55を介して送られてくる熱媒体は、冷却装置31に送られ、冷却されていく。この冷却された熱媒体が配管57を介して燃料電池41に送られ、燃料電池41が冷却される。
【0042】
また、制御部70は、燃料電池41を運転するときには、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とする。これは、燃料電池41を冷却し、且つ、排熱を回収するためである。すなわち、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とすると、燃料電池41からの熱が熱媒体により回収され、燃料電池41が冷却される。この排熱を回収して上昇した熱媒体は、合金タンク群11の加熱や蓄熱槽・躯体21において温水の生成等に利用できる。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る熱供給システムについて説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る熱供給システム101の概要を示すブロック図である。図3に示すように、本発明の第2の実施形態に係る熱供給システム101は、システム全体を流れる熱媒体を各部毎にポンプで循環させることで、熱回収効率を高めるようにしている。なお、第1の実施形態と同一部分に対しては、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
図3において、配管111は合金タンク部10の出口と合金タンク部10の入口とを連結しており、合金タンク部10内で熱媒体を循環させる経路を形成する。配管111には、ポンプP2及びバルブV9が設けられる。ポンプP2及びバルブV9は、熱媒体を配管111中を循環させるか否かを決定する循環制御バルブ及び循環ポンプとなる。バルブV9を開状態としてポンプP2をオンすると、矢印A1で示すように、合金タンク部10の出口からの熱媒体は配管111を介して合金タンク部10の入口に戻り、合金タンク部10内で熱媒体が循環する。ポンプP2の駆動量は、ポンプP2を駆動するインバータの周波数により調整できる。
【0045】
同様に、配管112は蓄熱部20の出口と蓄熱部20の入口とを連結しており、蓄熱部20内で熱媒体を循環させる経路を形成する。配管112には、ポンプP3及びバルブV10が設けられる。バルブV10を開状態としてポンプP3をオンすると、矢印A2で示すように、蓄熱部20の出口からの熱媒体は配管112を介して蓄熱部20の入口に戻り、蓄熱部20内で熱媒体が循環する。
【0046】
配管113は冷却部30の出口と冷却部30の入口とを連結しており、冷却装置31内で熱媒体を循環させる経路を形成する。配管113には、ポンプP4及びバルブV11が設けられる。バルブV11を開状態としてポンプP4をオンすると、矢印A3で示すように、冷却部30の出口からの熱媒体は配管113を介して冷却部30の入口に戻り、冷却部30内で熱媒体が循環する。
【0047】
配管114は発電部40の出口と発電部40の入口とを連結しており、発電部40内で熱媒体を循環させる経路を形成する。配管114には、ポンプP5及びバルブV12が設けられる。バルブV12を開状態としてポンプP5をオンすると、矢印A4で示すように、発電部40の出口からの熱媒体は配管114を介して発電部40の入口に戻り、発電部40内で熱媒体が循環する。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態に係る熱供給システム101におけるバルブ及びポンプの制御について説明する。まず、外部より合金タンク部10に水素を貯蔵する場合について説明する。
【0049】
図4Aは、本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0050】
図4Aに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11内の熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とする。これは、水素吸蔵時に合金タンク群11を冷却するためである。
【0051】
また、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の熱媒体の温度T2より高い(T1>T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンク群11の加熱を防止するためである。
【0052】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。
【0053】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21内の熱媒体の温度T4より高い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。
【0054】
また、制御部70は、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5と、冷却装置31の熱媒体の温度T6とを比較し、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5が冷却装置31の熱媒体の温度T6より高い(T5>T6)場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とする。これは、熱媒体を冷却するためである。
【0055】
更に、制御部70は、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5が冷却装置31の熱媒体の温度T6より高く(T5>T6)、かつ、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の冷却に必要な温度より高い場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とするとともに、バルブV11を開状態とし、ポンプP4を稼働状態とする。バルブV11を開状態とし、ポンプP4を稼働状態とすることで、矢印A3で示すように、熱媒体が冷却部30で循環する。これにより、合金タンク群11の冷却に必要な温度より低い温度まで、熱媒体の温度が冷却される。
【0056】
また、ポンプP1は、燃料電池41と合金タンク群11とを連結する配管51内に設けられる。合金タンク部10の合金タンク群11に外部から水素吸蔵する際には、ポンプP1を稼働したときには、配管51内を流れる熱媒体の流れは確保する必要がある。このため、制御部70は、ポンプP1の稼働時には、バルブV7を閉状態としバルブV8を開状態とするか、又は、バルブV7を開状態としバルブV8を閉状態として、熱媒体の経路を確保する。
【0057】
図4Bは、本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0058】
図4Bに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11内の熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンク群11の冷却を防止するためである。
【0059】
また、制御部70は、合金タンク群11の圧力が燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力に達しているか否かを判定する。合金タンク群11の圧力が燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力に達していない場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とするとともに、バルブV9を開状態とし、ポンプP2を稼働状態とする。これは、合金タンク群11を燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力となるまで加熱するためである。このとき、本実施形態では、バルブV9を開状態とし、ポンプP2を稼働状態とすることで、矢印A1で示すように、熱媒体が合金タンク部10で循環する。これにより、燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力に達するまで、合金タンク群11を加熱できる。
【0060】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。
【0061】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より高い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とするとともに、バルブV10を開状態とし、ポンプP3を稼働状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。このとき、本実施形態では、バルブV10を開状態とし、ポンプP3を稼働状態とすることで、矢印A2で示すように、熱媒体が蓄熱部20で循環する。これにより、蓄熱槽・躯体21は更に効率的に加熱される。
【0062】
また、制御部70は、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高いか否かを判定し、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高い場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とするとともに、バルブV11を開状態とし、ポンプP4を稼働状態とする。これは、燃料電池41の冷却に必要な温度以下まで熱媒体を冷却するためである。このとき、本実施形態では、バルブV11を開状態とし、ポンプP4を稼働状態とすることで、矢印A3で示すように、熱媒体が冷却部30で循環する。これにより、熱媒体が燃料電池41の冷却に必要な温度以下まで効率的に冷却される。
【0063】
また、制御部70は、燃料電池41を運転しているときには、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とする。これは、燃料電池41を冷却し、且つ、排熱を回収するためである。
【0064】
また、制御部70は、発電部40の出口での熱媒体の温度T8が燃料電池41の冷却に必要な温度以下であるか否かを判定し、発電部40の出口での熱媒体の温度T8が燃料電池41の冷却に必要な温度以下である場合には、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とするとともに、バルブV12を開状態とし、ポンプP5を稼働状態とする。これは、更に、効率的に、燃料電池41を冷却し、且つ、排熱を回収するためである。このとき、本実施形態では、バルブV12を開状態とし、ポンプP5を稼働状態とする。これにより、矢印A4で示すように、熱媒体が循環し、燃料電池41により発生した排熱を効率的に熱媒体に移動させることができる。
【0065】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る熱供給システムについて説明する。図5は、本発明の第3の実施形態に係る熱供給システム201の概要を示すブロック図である。本発明の第3の実施形態に係る熱供給システム201は、システム全体を流れる熱媒体は各部の装置を直接通らず、熱交換器を介して熱交換するようにしている。各装置側のポンプにより熱媒体流量を調整することで、熱交換量の調整が可能である。なお、第1の実施形態と同一部分に対しては、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
図5において、合金タンク部10、蓄熱部20、冷却部30、発電部40には、それぞれ、熱交換器211、熱交換器212、熱交換器213、熱交換器214が設けられる。
【0067】
熱交換器211は、配管221及び222を介して合金タンク群11と連結される。配管222には、ポンプP6が設けられる。ポンプP6を作動させると、熱交換器211を介して熱交換が行われる。ポンプP6の駆動量は、ポンプP6を駆動するインバータの周波数により調整できる。
【0068】
熱交換器212は、配管223及び224を介して蓄熱槽・躯体21と連結される。配管224には、ポンプP7が設けられる。ポンプP7を作動させると、熱交換器212を介して熱交換が行われる。ポンプP7の駆動量は、ポンプP7を駆動するインバータの周波数により調整できる。
【0069】
熱交換器213は、配管225及び226を介して冷却装置31と連結される。配管226には、ポンプP8が設けられる。ポンプP8を作動させると、熱交換器213を介して熱交換が行われる。ポンプP7の駆動量は、ポンプP7を駆動するインバータの周波数により調整できる。
【0070】
熱交換器214は、配管227及び228を介して燃料電池41と連結される。配管228には、ポンプP9が設けられる。ポンプP9を作動させると、熱交換器213を介して熱交換が行われる。ポンプP9の駆動量は、ポンプP9を駆動するインバータの周波数により調整できる。
【0071】
次に、本発明の第3の実施形態に係る熱供給システム201におけるバルブ及びポンプの制御について説明する。まず、外部より合金タンク部10に水素を貯蔵する場合について説明する。
【0072】
図6Aは、本発明の第3の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0073】
図6Aに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11の熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とするとともに、ポンプP6をオンする。これは、水素吸蔵時に合金タンク群11を冷却するためである。また、ポンプP6のインバータ周波数を制御することで、熱交換量の調整が可能である。
【0074】
また、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の熱媒体の温度T2より高い(T1>T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンクの加熱を防止するためである。
【0075】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21での熱媒体の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。
【0076】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より高い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とするとともに、ポンプP7を稼働状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。この例では、ポンプP7のインバータ周波数を制御することで、熱交換量の調整が可能である。
【0077】
また、制御部70は、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5と、冷却装置31内の熱媒体の温度T6とを比較し、冷却部30の入口の熱媒体の温度T5が冷却装置31の熱媒体の温度T6より高い(T5>T6)場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とする。これは、熱媒体を冷却するためである。
【0078】
また、ポンプP1は、燃料電池41と合金タンク群11とを連結する配管51内に設けられる。合金タンク部10の合金タンク群11に外部から水素吸蔵する際には、ポンプP1を稼働したときには、配管51内を流れる熱媒体の流れは確保する必要がある。このため、制御部70は、ポンプP1の稼働時には、バルブV7を閉状態としバルブV8を開状態とするか、又は、バルブV7を開状態としバルブV8を閉状態として、熱媒体の経路を確保する。
【0079】
図6Bは、本発明の第3の実施形態に係る熱供給システム201における発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0080】
図6Bに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11内の熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンク群11の冷却を防止するためである。
【0081】
また、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の熱媒体の温度T2より高い(T1>T2)場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とするとともに、ポンプP6を稼働状態とする。これは、合金タンク群11を加熱するためである。この例では、ポンプP6のインバータ周波数を制御することで、熱交換量の調整が可能である。
【0082】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。
【0083】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4より高い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とするとともに、ポンプP7を稼働状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。この例では、ポンプP7のインバータ周波数を制御することで、熱交換量の調整が可能である。
【0084】
また、制御部70は、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高いか否かを判定し、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高い場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とするとともに、ポンプP8を稼働状態とする。これは、燃料電池41に送られる熱媒体を冷却するためである。この例では、ポンプP8のインバータ周波数を制御することで、熱交換量の調整が可能である。
【0085】
また、制御部70は、燃料電池41を運転しているときには、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とするとともに、ポンプP9を稼働状態とする。これは、燃料電池41を冷却し、且つ、排熱を回収するためである。この例では、ポンプP9のインバータ周波数を制御することで、熱交換量の調整が可能である。
【0086】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係る熱供給システムについて説明する。図7は、本発明の第4の実施形態に係る熱供給システム301の概要を示すブロック図である。本発明の第4の実施形態に係る熱供給システム301は、第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせたもので、システム全体を流れる熱媒体を各部毎にポンプで循環させることで、熱回収効率を高めるとともに、システム全体を流れる熱媒体は各部の装置を直接通らず、熱交換器を介して熱交換することで、熱交換量の調整を可能としている。なお、第1から第3の実施形態と同一部分に対しては、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0087】
次に、本発明の第4の実施形態に係る熱供給システム301におけるバルブ及びポンプの制御について説明する。まず、外部からの水素を合金タンク部10に貯蔵する場合について説明する。
【0088】
図8Aは、本発明の第4の実施形態に係るシステムにおける水素貯蔵時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0089】
図8Aに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11内の熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とするとともに、ポンプP6を稼働状態とする。これは、水素吸蔵時に合金タンク群11を冷却するためである。
【0090】
また、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の熱媒体の温度T2より高い(T1>T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンクの加熱を防止するためである。
【0091】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21での熱媒体の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21での熱媒体の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。
【0092】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21での熱媒体の温度T4より高い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とするとともに、ポンプP7を稼働状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。
【0093】
また、制御部70は、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5と、冷却装置31の熱媒体の温度T6とを比較し、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5が冷却装置31の熱媒体の温度T6より高い(T5>T6)場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とする。これは、熱媒体を冷却するためである。
【0094】
更に、制御部70は、冷却部30の入口での熱媒体の温度T5が冷却装置31の熱媒体の温度T6より高く(T5>T6)、更に、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の冷却に必要な温度より高い場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とするとともに、バルブV11を開状態とし、ポンプP4を稼働状態とする。これは、熱媒体の温度を合金タンク群11の冷却に必要な温度以下まで冷却するためである。
【0095】
また、制御部70は、ポンプP1の稼働時には、バルブV7を閉状態としバルブV8を開状態とするか、又は、バルブV7を開状態としバルブV8を閉状態として、熱媒体の経路を確保する。
【0096】
図8Bは、本発明の第4の実施形態に係る熱供給システム301における発電時のバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0097】
図8Bに示すように、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11の熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11の熱媒体の温度T2より低い(T1≦T2)場合には、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。これは、合金タンク群11の冷却を防止するためである。
【0098】
また、制御部70は、合金タンク群11の圧力が燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力に達しているか否かを判定する。合金タンク群11の圧力が燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力に達しない場合には、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とし、バルブV9を開状態とし、ポンプP2を稼働状態とするとともに、ポンプP6を稼働状態とする。これは、合金タンク群11を燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力となるまで加熱するためである。
【0099】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3と、蓄熱槽・躯体21の熱媒体の温度T4とを比較し、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21での熱媒体の温度T4より低い(T3≦T4)場合には、バルブV3を閉状態とし、バルブV4を開状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21の冷却を防止するためである。
【0100】
また、制御部70は、蓄熱部20の入口での熱媒体の温度T3が蓄熱槽・躯体21での熱媒体の温度T4より高い(T3>T4)場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV4を閉状態とし、バルブV10を開状態とし、ポンプP3を稼働状態とするとともに、ポンプP7を稼働状態とする。これは、蓄熱槽・躯体21を加熱するためである。
【0101】
また、制御部70は、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高いか否かを判定し、発電部40の入口での熱媒体の温度T7が燃料電池41の冷却に必要な温度より高い場合には、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とし、バルブV11を開状態とし、ポンプP4を稼働状態とするとともに、ポンプP8を稼働状態とする。これは、熱媒体を燃料電池41の冷却に必要な温度以下まで冷却するためである。
【0102】
また、制御部70は、燃料電池41を運転しているときには、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とするとともに、ポンプP9を稼働状態とする。これは、燃料電池41を冷却し、且つ、排熱を回収するためである。
【0103】
また、制御部70は、発電部40の出口での熱媒体の温度T8が燃料電池41の冷却に必要な温度以下であるか否かを判定し、発電部40の出口での熱媒体の温度T8が燃料電池41の冷却に必要な温度以下である場合には、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とし、バルブV12を開状態とし、ポンプP5を稼働状態とするとともに、ポンプP9を稼働状態とする。これは、更に、効率的に、燃料電池41を冷却し、且つ、排熱を回収するためである。
【0104】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に係る熱供給システムについて説明する。図9は、本発明の第5の実施形態に係る熱供給システム401の概要を示すブロック図である。本発明の第5の実施形態に係る熱供給システム401は、蓄熱部20からの熱媒体を、冷却部30、発電部40をバイパスして、合金タンク部10に送るための経路を設けたものである。
【0105】
配管411は、蓄熱部20の出口とポンプP1の入口とを連結する。配管411には、バルブV13が設けられる。バルブV13を開状態とすると、蓄熱部20からの熱媒体は、冷却部30、発電部40をバイパスし、配管411、配管51を介して、合金タンク部10に送られる。これにより、燃料電池41による排熱が利用できない場合にも、蓄熱部20からの熱を用いて合金タンク群11の加熱が行える。他の構成については、第1の実施形態と同様であり、同一部分に対しては、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
図10は、本発明の第5の実施形態に係るシステムにおけるバルブ及びポンプの制御の説明図である。
【0107】
蓄熱部20により合金タンク群11を加熱する場合、制御部70は、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1と、合金タンク群11内での熱媒体の温度T2とを比較し、合金タンク部10の入口での熱媒体の温度T1が合金タンク群11内での熱媒体の温度T2より高い(T1>T2)場合には、合金タンク群11を加熱するために、バルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とする。
【0108】
合金タンク群11の圧力が燃料電池41の運転に必要なタンクの圧力に達しない場合には、バルブV3を開状態とし、バルブV13を開状態とする。この場合、蓄熱部20からの熱媒体は、冷却部30及び発電部40をバイパスして、合金タンク部10に送られる。そして、蓄熱槽・躯体21からの排熱により合金タンク群11が加熱される。
【0109】
燃料電池41の運転時には、バルブV4を開状態とし、バルブV5を開状態とし、バルブV6を閉状態とし、バルブV7を開状態とし、バルブV8を閉状態とする。この場合、燃料電池41による排熱に加熱された熱媒体が合金タンク部10に送られ、合金タンク群11の加熱が行える。
【0110】
なお、上述の実施形態では、ポンプを駆動するインバータの周波数により流量調整を行っているが、マスフローコントローラを用いるようにしても良い。
【0111】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0112】
10…合金タンク部、11…合金タンク群、20…蓄熱部、21…蓄熱槽・躯体、30…冷却部、31…冷却装置、40…発電部、41…燃料電池、51~58…配管、61~65…温度計、71…圧力計、P1~P9…ポンプ、V1~V13…バルブ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10