(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121908
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】反応性接着剤、積層体及び包装体
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20220815BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20220815BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20220815BHJP
B32B 23/00 20060101ALI20220815BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220815BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
C09J175/04 ZAB
C09J175/06
B32B7/12
B32B23/00
B32B27/00 H
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018893
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】細野 月子
(72)【発明者】
【氏名】廣田 安信
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸生
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
3E086AD01
3E086AD03
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4J040PA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、且つ、温室効果ガスである二酸化炭素排出削減に貢献する接着剤を提供する。
【解決手段】ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、前記ポリオール組成物(A)が再生されたポリエチレンテレフタレートを反応原料とし、二酸化炭素削減率が2%以上であることを特徴とする反応性接着剤、それを使用した積層体、包装体、及び反応性接着剤の二酸化炭素排出量を削減する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、
前記ポリオール組成物(A)が再生されたポリエチレンテレフタレートを反応原料とし、二酸化炭素削減率が2%以上であることを特徴とする反応性接着剤。
【請求項2】
前記ポリオール組成物(A)が、
再生されたポリエチレンテレフタレートと多価アルコールと多塩基酸との一括仕込みによる反応生成物であるポリエステルポリオール(A1)及び/またはポリエステルポリオール(A1)とイソシアネート化合物との反応生成物であるポリエステルポリウレタンポリオール(A2)である請求項1に記載の反応性接着剤。
【請求項3】
前記ポリエステルポリオール(A1)の仕込み原料中に占める再生されたポリエチレンテレフタレートの比率が5~50質量%である請求項1又は2に記載の反応性接着剤。
【請求項4】
ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤の二酸化炭素排出量を削減する方法であって、
前記ポリオール組成物(A)の反応原料として再生されたポリエチレンテレフタレートを使用することを特徴とする反応性接着剤の二酸化炭素排出量を削減する方法。
【請求項5】
複数のフィルムあるいは紙を接着剤で貼りあわせた積層体であって、前記接着剤が請求項1~4のいずれかに記載の反応性接着剤であることを特徴とする積層体。
【請求項6】
複数の印刷層が設けられたフィルムあるいは紙を接着剤で貼りあわせた積層体であって、前記接着剤が請求項1~5のいずれかに記載の反応性接着剤であることを特徴とする積層体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の積層体を袋状に成形してなる包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応性接着剤、それを使用してなる積層体及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種プラスチックフィルム同士の貼り合わせや、プラスチックフィルムと金属蒸着フィルムや金属箔とを積層(ラミネート)させた積層体が、様々な用途、例えば食品や医薬品、生活用品の包装材料や、防壁材、屋根材、太陽電池パネル材、電池用包装材、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板、ステッカー等の屋外産業用途、射出成形同時加飾方法等に使用する加飾用途等で使用されている。
このような積層体を積層させるために使用する接着剤として、水酸基とイソシアネートとを反応させる反応型接着剤(2液型接着剤ともいう)があり、例えばポリエチレンテレフタレートを原料とするポリエステルポリオールとイソシアネートとを反応させる反応性接着剤が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
一方、世界的な温室効果ガスである二酸化炭素量(以後、二酸化炭素を「CO2」あるいは「CO2」と表記する場合がある。)の削減に向けて、国内における自らの温室効果ガス排出削減を実現していくことはもとより、温室効果ガス削減に資する環境性能の優れた製品・サービス等を国内外に展開し、世界全体の大幅削減の実現に貢献していくことが産業界の責務になっている。前述のプラスチックフィルムを含む積層体は、現在その殆どが使用後に埋め立てや焼却により廃棄処分されているが、これについても温室効果ガスである二酸化炭素排出削減の手を打つことが急務となっている。
【0004】
プラスチックフィルムそのものの排出二酸化炭素量を削減する方法は、例えば特許文献3に記載されるように、0.1~10重量%の範囲の量の二酸化炭素吸収物質を含む熱可塑性樹脂組成物を使用する方法が提案されている。しかしながら、積層体に使用される接着剤に着目し、二酸化炭素を削減させる視点からの接着剤を提供することは、これまで試みられてこなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-3815号公報
【特許文献2】特開2010-248345号公報
【特許文献3】特開2016-11401号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】CO2排出削減貢献量算定のガイドライン 一般社団法人 日本化学工業協会 第1版 2012年2月27日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、且つ、温室効果ガスである二酸化炭素排出削減に貢献する接着剤を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、CO2排出削減貢献量算定のガイドライン(非特許文献1参照)で定義される手法である、カーボンライフサイクルアナリシス(carbon-Life Cycle Analysys 以後C-LCAと称する)評価に基づき、ソフトウェア「JEMAI-MiLCA ver.1.2.6(一般社団法人 産業環境管理協会製)」を用いて、ポリオール組成物1kg当たりのCO2排出量(kg-CO2e/kg)を算出した二酸化炭素排出量が削減された反応性接着剤を提供することで、前記課題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち本発明は、 ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、
前記ポリオール組成物(A)が再生されたポリエチレンテレフタレートを反応原料とし、二酸化炭素削減率が2%以上である反応性接着剤を提供する。
【0010】
また本発明は、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤の二酸化炭素排出量を削減する方法であって、
前記ポリオール組成物(A)の反応原料として再生されたポリエチレンテレフタレートを使用することを特徴とする反応性接着剤の二酸化炭素排出量を削減する方法を提供する。
【0011】
また本発明は、複数のフィルムあるいは紙を接着剤で貼りあわせた積層体であって、前記接着剤が前記記載の反応性接着剤である積層体を提供する。
【0012】
また本発明は、複数の印刷層が設けられたフィルムあるいは紙を接着剤で貼りあわせた積層体であって、前記接着剤が前記記載の反応性接着剤である積層体を提供する。
【0013】
また本発明は、前記記載の積層体を袋状に成形してなる包装体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の反応性接着剤は、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、且つカーボンライフサイクルアナリシス(carbon-Life Cycle Analysys 以後C-LCAと称する)手法による二酸化炭素排出量が削減された反応性接着剤を使用しているため、二酸化炭素排出量が削減された積層フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、前記ポリオール組成物(A)が、再生されたポリエチレンテレフタレートと多価アルコールと多塩基酸との一括仕込みによる反応生成物であるポリエステルポリオール(A1)を含有することを特徴とする。
【0016】
(ポリオール組成物(A))
前記ポリオール組成物(A)が含有するポリエステルポリオール(A1)は、再生されたポリエチレンテレフタレートと多価アルコールと多塩基酸との一括仕込みによる反応生成物である。
【0017】
(ポリエステルポリオール(A1))
本発明で使用する再生されたポリエチレンテレフタレート(以下再生PETと称する場合がある)は、市販の未使用のPETボトル、PETフィルム、その他PET製品の製造時の残品を粉砕したもの、廃棄物から回収し洗浄した再生PET等を使用することができる。これらは洗浄しペレット化されたものが市場から手に入れることができる。
再生PETは、主に、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールの重縮合により得られたPETや、イソフタル酸、無水フタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールのような物質で変性されたPETも存在する。本発明においては特に区別なく使用することができる。
【0018】
再生PETの固有粘度(IV)は、該再生PET含有ポリエステルポリオールを含む反応性接着剤の接着強度、耐久性、耐熱性の発現の観点において0.50-0.80dL/gであることが好ましい。
【0019】
本発明で使用する多価アルコールは、特に限定されず公知の多価アルコールを使用することが出来る。
例えば、1,2-プロパンジオール、1,2,2-トリメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-3-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール等の脂肪族ジオール;1,3-ビス(2-ヒドロキシプロピル)シクロペンタン、1,3-ビス(2-ヒドロキシブチル)シクロペンタン、1,4-ビス(2-ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4-ビス(2-ヒドロキシブチル)シクロヘキサン等の脂環族ジオール;1,4-ビス(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシブチル)ベンゼン等の芳香族ジオール;
【0020】
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と略記する)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(以下「ビスフェノールB」と略記する)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(以下「ビスフェノールF」と略記する)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(以下「ビスフェノールS」と略記する)等のビスフェノールに、1,2-プロピレンオキサイドや1,2-ブチレンオキサイド等の2級の水酸基を有するアルキレンオキサイドを付加して得られるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール; ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のエーテルグリコール;
【0021】
前記脂肪族ポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;前記脂肪族ポリオールと、ε-カプロラクトン等の種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノールにエチレンオキサイドを付加して得られるビスフェノールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0022】
これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でもエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオールが好ましい。
【0023】
本発明で使用する多塩基酸は、特に限定されず公知の多塩基酸を使用することが出来る。
例えば、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、ジメチルマレイン酸、シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸、1-シクロへキセン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロへキセン-1,2-ジカルボン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸;1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸;トリメリット酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸等の芳香族トリカルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0024】
再生PETと多価アルコールと多塩基酸とを一括で仕込み反応させる製造方法は、既知の重縮合反応法により任意に製造することが可能であるが具体的には、再生PETと多価アルコールと多塩基酸とを製造装置に投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら180℃以上に昇温し、常圧脱水反応、減圧および真空脱水反応、溶液重縮合法、固相重縮合反応等いずれの製造法にて実施してもよい。重縮合反応の進行確認は、酸価、水酸基価、粘度または軟化点を測定することにより行うことができる。この際使用される製造装置としては、例えば、窒素導入口、温度計、攪拌装置、精留塔等を備えた反応容器の如き回分式の製造装置が好適に使用できるほか、脱気口を備えた押し出し機や連続式の反応装置、混練機等も使用できる。さらに必要に応じてエステル化触媒(錫化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等)を用いることでエステル化反応を促進することもできる。また脱水時の発泡を抑制するために公知の消泡剤、破泡剤の類を添加することができる。例えばBYK-chemie Gmbh社のBYKシリーズ(BYK-051NやBYK-1752など)やサンノプコ株式会社のダッポーシリーズ(ダッポーSN-348、SN-351、SN-357-LSなど)が挙げられ、添加量としては前記ポリエステルポリオール(A1)の仕込み総量に対して1ppm~1%が良い。
【0025】
また、前記再生PETは、前記ポリエステルポリオール(A1)の仕込み原料即ち多価アルコールと多塩基酸の総量に対する比率が、多価アルコールと多塩基酸の総量100%に対し5~50質量%であることが好ましく、より好ましくは12~48質量%である。
【0026】
(酸価、水酸基価)
前記ポリエステルポリオール(A1)は、耐加水分解性の観点から酸価が5.0以下であることが好ましく、接着剤の反応性の観点から3.0以下がより好ましい。また、高速塗工性の観点から水酸基価は50以下であることが好ましく、40以下がより好ましい。
なお本発明において、酸価と水酸基価は、以下の方法にて測定し、特に断りのない限り固形分に換算した値を示す。
【0027】
(酸価)
100mlの三角フラスコにポリエステルポリオールを5~10gを秤量する。秤量した量を(S)とする。これをテトラヒドロフラン30mlで溶解させる。これに指示薬としてフェノールフタレインを2~3滴加えたのち、0.1mol/L水酸化カリウムアルコール溶液で滴定を行う。30秒間持続する微紅色を呈した点を終点とし、その時の滴定量(V)から次式で酸価を算出する。なお0.1mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の力価を(F)とする。
酸価=(V×F×5.61)/S
【0028】
(水酸基価)
300mlの三角フラスコにポリエステルポリオールを6~10gを秤量する。秤量した量を(S)とする。これに予め作成したアセチル化剤25mlを加えて溶解させる。三角フラスコの口に冷却管を取り付け、100℃で1時間アセチル化反応を行う。イオン交換水10mlを加えて室温まで冷却する。これに指示薬としてフェノールフタレインを2~3滴加えたのち、0.5mol/L水酸化カリウムアルコール溶液で滴定を行う。30秒間持続する微紅色を呈した点を終点とし、その時の滴定量(V)から次式で水酸基価を算出する。なお同時に空試験を行いそのときの滴定量を(B)とする。0.5mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の力価を(F)とする。別途、酸価を測定しておく。
水酸基価=((B―V)×F×28.05)/S + 酸価
【0029】
(分子量)
前記ポリエステルポリオール(A1)の数平均分子量は、特に限定はないが、塗工時における適正な樹脂粘度の観点から通常は2000~12000の範囲で調整されることが好ましく、3000~8000がより好ましい。
【0030】
尚、本願発明において数平均分子量(Mn)や重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
【0031】
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC-8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK-GUARDCOLUMN SuperHZ-L
+東ソー株式会社製 TSK-GEL SuperHZM-M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC-8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0032】
(ポリエステルポリウレタンポリオール(A2))
また、前記ポリエステルポリオール(A1)は、ポリエチレンテレフタレートと多価アルコールと多塩基酸とを一括で仕込み反応させた後、後述のイソシアネート化合物と、さらに反応させた、ポリエステルポリウレタンポリオール(A2)であってもよい。
【0033】
前記ポリエステルポリウレタンポリオール(A2)は、耐加水分解性の観点から酸価が5.0以下であることが好ましく、接着剤の反応性の観点から3.0以下がより好ましい。また、耐熱性・耐内容物性の観点から水酸基価は30以下であることが好ましく、25以下がより好ましい。
【0034】
(その他のポリオール)
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリエステルポリオール(A1)以外に、前記多価アルコールそのものや、ポリエチレンテレフタレートを原料として使用しないポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油又はそれらの混合物から選ばれるポリマーポリオール等を併用してもよい。
【0035】
その他のポリオールを併用する場合は、ポリオール組成物(A)中の前記ポリエステルポリオール(A1)の割合が 1~50質量%であることが好ましく、1~40質量%であることがなお好ましい。
【0036】
(ポリイソシアネート組成物(B))
本発明で使用するポリイソシアネート組成物(B)は、主成分としてポリイソシアネート化合物を含有する組成物である。本発明で使用するポリイソシアネート化合物は、特に限定なく公知のものが使用でき、単独で使用しても複数を混合して使用することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;
【0037】
これらのポリイソシアネートに由来するアルファネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、及びこのアルファネート化合物;これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体;これらのポリイソシアネートに由来するアロファネート体;これらのポリイソシアネートに由来するビゥレット体;トリメチロールプロパン変性したアダクト体;
【0038】
前記した各種のポリイソシアネート化合物と、多価アルコールとの反応生成物であるポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0039】
前記した各種のポリイソシアネート化合物と、多価アルコールとの反応生成物であるポリイソシアネートにおいて、多価アルコールは、前記ポリオール組成物(A)の原料である多価アルコール、前記ポリエステルポリオール(A1)、ポリエステルポリウレタンポリオール(A2)、ポリエチレンテレフタレートを原料として使用しないポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油又はそれらの混合物から選ばれるポリマーポリオール等を使用することができる。中でも、前記した各種のポリイソシアネートと前記ポリエステルポリオール(A1)との反応生成物であるポリイソシアネートを使用することが、接着強度、耐熱性および耐内容物性の点から好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物と前記多価アルコールとの反応割合は、イソシアネート基と水酸基との当量比[イソシアネート基/水酸基]が1.0~5.0の範囲であることが、接着剤塗膜の凝集力と柔軟性のバランスの点から好ましい。
【0040】
前記ポリイソシアネート化合物は、平均分子量が100~1000の範囲であることが、接着強度、耐熱性および耐内容物性の点から好ましい。
【0041】
(溶剤)
本発明で使用する反応性接着剤は、イソシアネート基と水酸基との化学反応によって硬化する接着剤であり、溶剤型または無溶剤型の接着剤として使用することができる。なお本発明でいう無溶剤型の接着剤の「溶剤」とは、本発明で使用するポリイソシアネート化合物やポリオール化合物を溶解することの可能な、溶解性の高い有機溶剤を指し、「無溶剤」とは、これらの溶解性の高い有機溶剤を含まないことを指す。溶解性の高い有機溶剤とは、具体的には、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチルは特に溶解性の高い有機溶剤として知られている。
一方本発明の接着剤は、低粘度等の要求がある場合には、所望の粘度に応じて適宜前記溶解性の高い有機溶剤で希釈して使用してもよい。その場合は、ポリイソシアネート組成物(B)またはポリオール組成物(A)のいずれか1つを希釈してもよいし両方を希釈してもよい。このような場合に使用する有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも溶解性の点から酢酸エチルやメチルエチルケトン(MEK)が好ましく、特に酢酸エチルが好ましい。有機溶剤の使用量は所要される粘度によるが概ね20~50質量%の範囲で使用することが多い。
【0042】
本発明で使用する反応性接着剤において、前記ポリイソシアネート組成物(B)と前記ポリオール組成物(A)との配合割合は、前記ポリイソシアネート組成物(B)が含有する前記ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基と、前記ポリオール組成物(A)が含有する前記ポリオール化合物中の水酸基との当量比〔イソシアネート基/水酸基〕が0.6~5.0の範囲であることが、接着強度やヒートシール時の耐熱性に優れる点から好ましく、特に1.0~3.5の範囲であることがこれらの性能が顕著なものとなる点から好ましい。
【0043】
(脂肪族環状アミド化合物)
本発明の反応性接着剤は、詳述した通り、前記ポリオール組成物(A)と前記ポリイソシアネート組成物(B)とを必須成分とするものであるが、更に、脂肪族環状アミド化合物を、前記ポリオール組成物(A)と前記ポリイソシアネート組成物(B)とのどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗工時に配合することにより、ラミネート包装体において芳香族アミンに代表される有害な低分子化学物質の内容物への溶出が効果的に抑制できる。
【0044】
ここで用いる脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、ω-エナントールラクタム、η-カプリルラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でも低分子化学物質の溶出量低減の効果に優れる点からε-カプロラクタムが好ましい。また、その配合量は、ポリオール成分A100質量部あたり、脂肪族環状アミド化合物を0.1~5質量部の範囲で混合させることが好ましい。
【0045】
(触媒)
本発明では触媒を使用することにより、ラミネート包装体において芳香族アミンに代表される有害な低分子化学物質の内容物への溶出が効果的に抑制できる。
本発明で使用する触媒は、ウレタン化反応を促進するためのものであれば特に制限はないが、例えば、金属系触媒、アミン系触媒、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、脂肪族環状アミド化合物、チタンキレート錯体等の触媒を用いることができる。
【0046】
金属系触媒としては、金属錯体系、無機金属系、有機金属系を挙げることができ、金属錯体系として具体的には、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Bi(ビスマス)及びCo(コバルト)からなる群より選ばれる金属のアセチルアセトナート塩であり、例えば、鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、ジルコニアアセチルアセトネート等が挙げられるが、これらのうち、毒性と触媒活性の点から、鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)3)又はマンガンアセチルアセトネート(Mn(acac)2)が好ましい。
【0047】
無機金属系触媒としては、Fe、Mn、Cu、Zr、Th、Ti、Al、Sn、Zn、Bi及びCo等から選ばれる触媒を挙げることができる。
【0048】
有機金属系触媒としては、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス等が挙げられる。これらのうち好ましい化合物としては有機錫触媒であり、更に好ましくはスタナスジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートである。
【0049】
第3級アミン触媒は、上記構造を有する化合物であれば良く特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ工業的に入手可能なことからトリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミンが好ましい。
【0050】
その他の第3級アミン触媒としては、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0051】
脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、ω-エナントールラクタム、η-カプリルラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でもε-カプロラクタムが硬化促進により効果的である。
【0052】
チタンキレート錯体は、紫外線照射により触媒活性が高められる化合物であり、脂肪族又は芳香族ジケトンをリガンドとするチタンキレート錯体であることが硬化促進効果に優れる点から好ましい。又、本発明ではリガンドとして芳香族又は脂肪族ジケトンに加え、炭素原子数2~10のアルコールを持つものがより本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
【0053】
本発明においては、前記触媒を単独でも併用して使用してもよい。
【0054】
。
前記触媒の質量比は、ポリイソシアネート組成物(B)とポリオール組成物(A)の混合液を100部としたとき0.001~80部の範囲が好ましく、0.01~70部の範囲がより好ましい。
【0055】
本発明の反応性接着剤は、必要に応じて、顔料を併用してもよい。この場合使用可能な顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
【0056】
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
【0057】
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
【0058】
さらに、プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製「グランドールPP-1000」、「PP-2000S」等が挙げられる。
【0059】
本発明で用いる顔料としては、耐久性、耐侯性、意匠性に優れることから、白色顔料としての酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物、黒色顔料としてのカーボンブラックがより好ましい。
【0060】
本発明で用いる顔料の質量割合は、イソシアネート成分Bとポリオール成分Aの合計100質量部に対して、1~400質量部、中でも10~300質量部とすることが、接着性、耐ブロッキング性などに優れることからより好ましい。
【0061】
(接着促進剤)
また、本発明で使用する反応性接着剤には、接着促進剤を併用することもできる。接着促進剤にはシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0062】
シランカップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0063】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等を挙げることが出来る。
【0064】
また、アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げることが出来る。
【0065】
エポキシ樹脂としては、一般的に市販されているエピービス型、ノボラック型、βーメチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂や、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p-t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等の化合物等が挙げられる。
【0066】
(その他の添加剤)
本発明で使用する反応性接着剤には、必要であれば、前記以外のその他の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、レベリング剤、コロイド状シリカやアルミナゾルなどの無機微粒子、ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子、消泡剤、タレ性防止剤、湿潤分散剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、難燃剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防錆剤、蛍光性増白剤、無機系熱線吸収剤、防炎剤、帯電防止剤、脱水剤、公知慣用の熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、燐酸化合物、メラミン樹脂、又は反応性エラストマーを用いることができる。これらの添加剤の含有量は、本発明で使用する反応性接着剤の機能を損なわない範囲内で適宜調整して用いることができる。
【0067】
これらの接着促進剤、添加剤は、ポリイソシアネート組成物(B)又はポリオール組成物(A)のどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗布時に配合して使用することができる。通常は、ポリオール組成物(A)に、ポリイソシアネート組成物(B)以外の成分をあらかじめ配合したプレミックスを調製しておき、施工直前に、該プレミックスとポリイソシアネート組成物(B)とを混合して調製する。
【0068】
(二酸化炭素排出量、二酸化炭素削減率)
本発明においては、前記反応性接着剤の二酸化炭素削減率が2%以上であることを特徴とする。
本発明において、二酸化炭素削減率は二酸化炭素排出量を元に計算される。
二酸化炭素排出量は、式(1)で計算される値であり、単位はkg-CO2e/kgである。
【0069】
【0070】
本発明において、ポリオール組成物(A)反応原料の二酸化炭素排出量の合計は、前述の通り非特許文献1に記載のカーボンライフサイクルアナリシス(carbon-Life Cycle Analysys 以後C-LCAと称する)評価に基づき、ソフトウェア「JEMAI-MiLCA ver.1.2.6(一般社団法人 産業環境管理協会製)」を用いて、ポリオール組成物1kg当たりのCO2排出量(「kg-CO2e/kg」)を算出した値である。
【0071】
また、二酸化炭素削減率は式(2)で計算される値であり、単位は%である。
【0072】
【0073】
本発明においては、少なくとも前記ポリオール組成物(A)の反応原料として、少なくとも再生PETを使用することで、得られる反応性接着剤の二酸化炭素削減率を2%以上とすることができる。
【0074】
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムは、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に前記反応性接着剤からなる接着剤層を積層してなる。具体的には、前記反応性接着剤を第一のプラスチックフィルムに塗布、次いで塗布面に第二のプラスチックフィルムを積層し、該接着剤層を硬化させて得られるものである。例えば前記反応性接着剤が無溶剤型の場合、ロールコーター塗工方式で第一のプラスチックフィルムに塗布し、次いで、乾燥工程を経ることなく、他の基材を貼り合わせる方法が挙げられる。前記反応性接着剤が溶剤を含む場合、ロールコーター塗工方式で第一のプラスチックフィルムに塗布し、60℃の乾燥炉を通した後、他の基材を貼り合わせる方法が挙げられる。塗工条件は、通常のロールコーターでは、30℃~90℃まで加熱した状態で、接着剤の配合液粘度が40℃で300~3000mPa・s程度が好ましいが、本発明の接着剤は配合し40℃雰囲気下で30分放置後の粘度が5000mPa・s以下であるので問題なく塗工できる。また塗布量は、0.5~5g/m2が好ましく、より好ましくは、0.5~3g/m2程度で使用するのがよい。
【0075】
また、前記第一のプラスチックフィルム上に、印刷インキをグラビア又はフレキソ印刷したものを用いてもよく、この場合であっても良好なラミネート外観を呈することができる。前述の印刷インキは溶剤型、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを使用することがきる。
【0076】
本発明で使用する反応性接着剤を用いた場合、ラミネートした後、常温または加温下で、12~72時間で接着剤が硬化し、実用物性を発現する。
また本発明で使用する反応性接着剤は二酸化炭素削減率が2%以上であるので、従来よりも二酸化炭素が削減された積層フィルムを得ることができる。
【0077】
ここで用いる、第一のプラスチックフィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ナイロンフィルム、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のKコートフィルム、各種蒸着フィルム等のベースフィルムやアルミ箔等が挙げられ、第二のプラスチックフィルムとしては、前記他の基材としては、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、VMLDPE(アルミ蒸着無低密度ポリエチレンフィルム)フィルム等のシーラントフィルムが挙げられる。
【0078】
前記プラスチックフィルムとして、更に二酸化炭素排出量が削減されたフィルムを使用することで、更に二酸化炭素排出量が削減された積層フィルムを得ることができる。
このような二酸化炭素排出量が削減されたフィルムとして市販品は、例えば、東洋紡株式会社の「登録商標バイオプラーナの二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)」や、大日本印刷株式会社の「バイオマテックフィルムシリーズ『バイオマテックPETフィルム』『バイオマテックIB-PETフィルム』『バイオマテックVM-PET』」等が挙げられる。
【0079】
本発明においては、接着剤中の有機溶剤の乾燥工程を有するドライラミネート機で高速ラミネート加工した場合だけでなく、無溶剤型ラミネート機で高速ラミネート加工しても優れた積層フィルム外観が得られるが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム/VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム)のフィルム構成の場合200m/分以上、OPP/CPPのフィルム構成の場合200m/分以上の高速加工であっても良好な外観を呈することできる。
【0080】
(包装体)
本発明の包装体は、前記積層フィルムを袋状に成形してなり、具体的には前記積層フィルムをヒートシールすることにより包装体の形態となる。また、包装体としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装体として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)などを考慮した場合、必要に応じて他の層を積層することもできる。通常は基材層、紙層、第2のシーラント層、不職布層などを伴って使用される。他の層を積層する方法としては、公知の方法を用いることができる。たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法、押出しラミネート法などにより積層すればよい。接着剤としては、前記反応性接着剤を使用してもよいし、他の1液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィンの水性分散体などを用いてもよい。
【0081】
具体的な積層体構成としては、一般の包装体や蓋材、詰め替え容器などに好適に用いることが可能な、第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層、第一のプラスチック層をバリア層にした、基材層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層や紙容器、紙カップなどに好適に用いることが可能な、第二のプラスチック層/紙層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック、第二のプラスチック層/紙層/ポリオレフィン樹脂層/基材層/第一のプラスチック層/接着層/第二のプラスチック層、紙層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/シーラント層やチューブ容器などに好適に用いることが可能な、第二のプラスチック層/接着層/第一のプラスチック層/接着層/第二のプラスチック層などが挙げられる。これら積層体は、必要に応じて、印刷層やトップコート層などを有していても構わない。
【0082】
第一のプラスチックフィルム層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂フィルム;ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体などが用いられる。なかでも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。
【0083】
また、第一のプラスチックフィルム層は、バリア機能を付与するためにアルミニウム箔などの軟質金属箔の他、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ2元蒸着などの蒸着層;塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層などを採用できる。
【0084】
第二のプラスチックフィルム層としては、従来から知られたシーラント樹脂を使用できる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などがあげられる。なかでも低温シール性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。シーラント層の厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性やヒートシール性などを考慮して10~60μmの範囲が好ましく、15~40μmの範囲がより好ましい。また、シーラント層に高低差5~20μmの凸凹を設けることで、シーラント層に滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
【0085】
紙層としては、天然紙や合成紙などが挙げられる。第1および第2のシーラント層は、上述のシーラント層と同様の材料で形成することができる。基材層および紙層の外表面または内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。
【0086】
「他の層」は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また「他の層」は、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしたものであってもよい。
【0087】
本発明の包装体の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラッシク、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ、蓋材、など種々ある。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
【0088】
この様にして得られる包装体は、様々な用途、例えば食品や医薬品、生活用品の包装材料や、防壁材、屋根材、太陽電池パネル材、電池用包装材、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板、ステッカー等の屋外産業用途、射出成形同時加飾方法等に使用する加飾用シート、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー等包装材料等として、好適に使用することができる。
また本発明で使用する反応性接着剤は二酸化炭素削減率が2%以上であるので、前述積層体と同様に、二酸化炭素排出量が削減された包装体を得ることができる。
【実施例0089】
以下に、本発明の内容及び効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。尚、例中「部」とあるのは「重量部」を示す。
【0090】
合成例1~8、比較合成例1~3 ポリオール組成物(A)の製造方法
(合成例1)
ポリエステルポリオール(a1-1)の合成方法
撹拌翼、温度センサー、窒素ガス導入管および精留塔を備えたガラス製の四つ口フラスコに、再生PETペレット73.1部、エチレングルコール35.3部、1,4ブタンジオール152.5部、アジピン酸151.2部、イソフタル酸126.4部、テレフタル酸63.2部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら260℃まで昇温し、260℃にて2時間反応させた後、内容物が透明になったことを確認し、かつ精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら精留塔を取り外してガラス製コンデンサーに切替え、窒素ガス導入管から真空ポンプにラインをつなぎ50Torrの減圧下で5時間縮合反応を行った。所定の酸価と粘度まで反応を継続した後、ポリエステルポリオール(a1-1)を得た。原料仕込み時の再生PETペレットの重量分率およびポリエステルポリオール(a1-1)の酸価、水酸基価、CO2排出量を表1に示す。
【0091】
(合成例2)~(合成例5)、(比較合成例1、2)
表に示した原料を用いた以外は(合成例1)と同様に合成し、ポリエステルポリオール(a1-2)~(a1-5)、(h1-1)、(h1-2)を得た。原料仕込み時の再生PETペレットの重量分率およびポリエステルポリオール(a1-2)~(a1-5)、(h1-1)、(h1-2)の酸価、水酸基価、CO2排出量をそれぞれ表1に示す。
【0092】
(合成例6)
ポリエステルポリウレタンポリオール(a2-1)の合成方法
撹拌翼、温度センサー、窒素ガス導入管およびガラス製冷却管を備えたガラス製の四つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(a1-1)300部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて60℃まで昇温したらヘキサメチレンジイソシアネート6.8部を仕込み80℃まで昇温し80℃で5時間ウレタン化反応を行った。所定の粘度到達と残留イソシアネート分が0.05%以下であることを確認し、ポリエステルウレタンポリオール(a2-1)を得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオール(a2-1)の再生PETペレットの重量分率、酸価、水酸基価、CO2排出量を表2に示す。
【0093】
(合成例7)、(合成例8)、(比較合成例3)
表に示した原料を用いた以外は(合成例6)と同様に合成し、ポリエステルポリウレタンポリオール(a2-2)、(a2-3)、(h2-1)を得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオール(a2-2)、(a2-3)、(h2-1)の再生PETペレットの重量分率、酸価、水酸基価、CO2排出量をそれぞれ表2に示す。
【0094】
表1、表2において、空欄は未配合である。
【0095】
【0096】
【0097】
(実施例及び比較例)
実施例及び比較例用の反応性接着剤は、表3~5に示すポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)の比率で配合して作成した。配合液は、加工に適した粘度になるように、適宜酢酸エチルで希釈した。なお、ポリイソシアネート組成物(B)は、トリメチロールプロパンにトリレンジイソシアネートを付加した3官能のポリイソシアネート(DIC社製ディックドライKW-75、固形分75%)を使用した。評価は以下に示す基準に従って実施した。結果を表3~5に各々示す。
【0098】
(高速加工性)
ラミネート機としてドライラミネーター((株)武蔵野機械設計事務所、ドライラミテストコーター)を使用し、加工速度は200m/minで、第一のプラスチックフィルム層としてPETフィルム(市販のポリエチレンテレフタレートフィルム)に、実施例または比較例の接着剤を塗布量3g/m2となるように塗布後、第二のプラスチックフィルム層としてVMCPP(市販のアルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム)をラミネートし、積層フィルムを得た。ラミネートした直後のフィルム外観(シワや気泡によるウキ、フィルム間のズレにより発生するトンネリングなどの不具合がないか)を目視およびスケールルーペを用いて下記評価基準に基づき判断した。なお、スケールルーペによる評価は1cm2スケール内の気泡数で行った。
評価基準
◎:気泡数0個で、シワやトンネリングが全くない
○:気泡数1~4個で、シワやトンネリングが全くない
○-:気泡数5~9個で、シワやトンネリングが全くない
△:気泡数10~16個で、部分的にシワやトンネリングが発生している
×:気泡数17個以上で、多くの箇所でシワやトンネリングが発生している
【0099】
(ボイル耐性試験用 積層体の作成方法)
表の配合に従い接着剤を配合した後、膜厚15μmのナイロン(Ny)フィルムに、塗布量が固形分3.0g/m2程度となるように接着剤を塗布し、ラミネーターで、該接着剤の塗布面と、膜厚60μmの直鎖低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)と貼合せ接着させ積層させた。この後40℃の恒温槽に3日間保存し、積層体を得た。
【0100】
(ボイル処理後の外観)
ボイル耐性試験用の積層体を120mm×220mmで切り取り、LLDPEが内側になるように折り曲げ、1atm、180℃、1秒間でヒートシールしてパウチを作製した。内容物として1/1/1ソース(ミートソース:植物油:食酢=1:1:1)を加えた。充填したパウチは煮沸処理を98℃-60分にて実施した。取り出し後のそれぞれのパウチの外観を観察し、デラミの発生の有無により、以下の評価を行った。
評価○:デラミなし
評価△:デラミ箇所が5点以下
評価×:デラミ箇所が6点以上
【0101】
(レトルト耐性試験用積層体の作成方法)
表の配合に従い接着剤を配合した後、膜厚15umのナイロン(Ny)フィルムに、塗布量が固形分3.0g/m2程度となるように接着剤を塗布し、ラミネーターで、該接着剤の塗布面と膜厚70umの耐熱無延伸ポリプロピレンフィルム(耐熱CPP)と貼合せ接着させ積層させた。この後40℃の恒温槽に3日間保存し、積層体を得た。
【0102】
(レトルト処理後の外観)
レトルト耐性試験用の積層体を120mm×220mmで切り取り、耐熱CPPが内側になるように折り曲げ、1atm、180℃、1秒間でヒートシールしてパウチを作製した。内容物として1/1/1ソース(ミートソース:植物油:食酢=1:1:1)を加えた。充填したパウチはレトルト処理を125℃-30分(蒸気式)にて実施した。取り出し後のそれぞれのパウチの外観を観察し、デラミの発生の有無により、以下の評価を行った。
評価○:デラミなし
評価△:デラミ箇所が5点以下
評価×:デラミ箇所が6点以上
【0103】
(二酸化炭素排出量)
表中CO2排出量で表される二酸化炭素排出量は、前述の通り式(1)で計算される値(単位はkg-CO2e/kg)とした。
【0104】
【0105】
(二酸化炭素削減率)
表中CO2削減% で表される二酸化炭素削減率は、前述の通り式(2)で計算される値で(単位は%)とした。
【0106】
【0107】
表3~5において、空欄は未配合である。
【0108】
【0109】
【0110】