(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122449
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ハロオレフィン含有組成物の供給方法
(51)【国際特許分類】
F25B 45/00 20060101AFI20220816BHJP
C09K 5/04 20060101ALI20220816BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
F25B45/00 C
C09K5/04 E
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019689
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】速水 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】チン曽我 環
(72)【発明者】
【氏名】福島 正人
(57)【要約】
【課題】ハロオレフィンと二酸化炭素を含む組成物を、第1の収容設備から第2の収容設備へ供給する際の組成変動を抑制できる供給方法の提供。
【解決手段】ハロオレフィンと二酸化炭素を含むハロオレフィン含有組成物を、第1の収容設備から第2の収容設備へ供給する方法であって、供給開始から供給終了までの間、前記第1の収容設備内の前記ハロオレフィン含有組成物を一相状態に保持する、ハロオレフィン含有組成物の供給方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロオレフィンと二酸化炭素を含むハロオレフィン含有組成物を、第1の収容設備から第2の収容設備へ供給する方法であって、
供給開始から供給終了までの間、前記第1の収容設備内の前記ハロオレフィン含有組成物を一相状態に保持する、ハロオレフィン含有組成物の供給方法。
【請求項2】
前記一相状態が、過熱蒸気状態、超臨界状態又は過冷却状態である、請求項1に記載の供給方法。
【請求項3】
前記供給開始から供給終了までの間に、前記第1の収容設備内の前記ハロオレフィン含有組成物を加熱、加圧、又は冷却する工程を有する、請求項1又は2に記載の供給方法。
【請求項4】
前記供給開始から供給終了までの間に、過熱蒸気状態、超臨界状態及び過冷却状態から選ばれる1つの状態から、他の状態に変化する、請求項1~3のいずれか一項に記載の供給方法。
【請求項5】
前記ハロオレフィン含有組成物の圧力-比エンタルピー線図において、前記第1の収容設備の容積と、前記第1の収容設備内の前記ハロオレフィン含有組成物の質量wとから算出される密度dの等密度線と飽和線との交点における温度をtとするとき、供給開始から供給終了までの間、前記質量wをモニターし、前記密度dの経時変化に応じて、第1の収容設備内の温度が常に前記t以上となるように、第1の収容設備内の温度を制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の供給方法。
【請求項6】
前記ハロオレフィン含有組成物の圧力-比エンタルピー線図において、飽和線と等温線の接点における温度をTとするとき、
供給開始から供給終了までの間、前記第1の収容設備内の温度をT以上に保持する、請求項1~4のいずれか一項に記載の供給方法。
【請求項7】
前記第2の収容設備が、冷凍空調設備、熱輸送設備、電力設備、溶湯金属設備、洗浄装置、半導体装置、除菌殺菌設備、消火設備、エアゾール容器、又はボンベ容器である、請求項1~6のいずれか一項に記載の供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロオレフィン含有組成物の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱サイクル用の作動流体、発泡剤、希釈溶媒、洗浄剤、噴射剤、消火剤、気体誘電体、エッチングガス等に用いられるフッ素系流体として、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)等の、地球温暖化係数が低いハロオレフィンが期待されている。
【0003】
ハロオレフィンに二酸化炭素を混合すると、圧力調整、密度調整等の制御が容易になるほか、燃焼性の低減、拡散性の向上、溶解性の向上、環境性の向上等の効果が見込まれる。しかし、これらの混合物の多くは非共沸組成物であり、ハロオレフィンと二酸化炭素の沸点差が大きいほど、貯蔵容器から別の容器に移す際に組成変動が生じやすい。
【0004】
特許文献1は、トリフルオロエチレンとテトラフルオロプロペンを含む非共沸組成物に関するものであるが、供給用容器から供給先の容器等へ液状体で移充填するとともに、予め移充填による組成変動を予測し、供給先の容器内において目標組成が得られるように、供給用容器内における初期組成を設定する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法は、移充填による組成変動そのものを抑制する方法ではない。
本発明は、ハロオレフィンと二酸化炭素を含む組成物を、第1の収容設備から第2の収容設備へ供給する際の組成変動を抑制できる供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] ハロオレフィンと二酸化炭素を含むハロオレフィン含有組成物を、第1の収容設備から第2の収容設備へ供給する方法であって、供給開始から供給終了までの間、前記第1の収容設備内の前記ハロオレフィン含有組成物を一相状態に保持する、ハロオレフィン含有組成物の供給方法。
[2] 前記一相状態が、過熱蒸気状態、超臨界状態又は過冷却状態である、[1]の供給方法。
[3] 前記供給開始から供給終了までの間に、前記第1の収容設備内の前記ハロオレフィン含有組成物を加熱、加圧、又は冷却する工程を有する、[1]又は[2]の供給方法。
[4] 前記供給開始から供給終了までの間に、過熱蒸気状態、超臨界状態及び過冷却状態から選ばれる1つの状態から、他の状態に変化する、[1]~[3]のいずれかの供給方法。
[5] 前記ハロオレフィン含有組成物の圧力-比エンタルピー線図において、前記第1の収容設備の容積と、前記第1の収容設備内の前記ハロオレフィン含有組成物の質量wとから算出される密度dの等密度線と飽和線との交点における温度をtとするとき、供給開始から供給終了までの間、前記質量wをモニターし、前記密度dの経時変化に応じて、第1の収容設備内の温度が常に前記t以上となるように、第1の収容設備内の温度を制御する、[1]~[4]のいずれかの供給方法。
[6] 前記ハロオレフィン含有組成物の圧力-比エンタルピー線図において、飽和線と等温線の接点における温度をTとするとき、供給開始から供給終了までの間、前記第1の収容設備内の温度をT以上に保持する、[1]~[4]のいずれかの供給方法。
[7] 前記第2の収容設備が、冷凍空調設備、熱輸送設備、電力設備、溶湯金属設備、洗浄装置、半導体装置、除菌殺菌設備、消火設備、エアゾール容器、又はボンベ容器である、[1]~[6]のいずれかの供給方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の供給方法によれば、ハロオレフィンと二酸化炭素を含む組成物を、第1の収容設備から第2の収容設備へ供給する際の組成変動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】代表的な圧力-比エンタルピー線図の一例として、二酸化炭素の圧力-比エンタルピー線図を示したグラフである。
【
図2】ハロオレフィン含有組成物の圧力-比エンタルピー線図の一例を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
ハロオレフィンとは、不飽和炭化水素化合物の水素原子の一部又は全部を、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれる1種以上のハロゲン原子で置換した化合物の総称である。
化合物の名称の後の括弧内にその化合物の略称又は別名を記すことがある。化合物名に代えてその略称又は別名を用いることがある。
不飽和炭化水素化合物において、二重結合を有する炭素に結合された置換基の位置により、幾何異性体であるZ体(シス体)とE体(トランス体)が存在する。Z体とE体が存在する化合物について、特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合は、Z体もしくはE体、又はZ体とE体の任意の割合の混合物であることを意味する。化合物名や化合物の略称の後ろに(Z)又は(E)を付した場合は、それぞれの化合物のZ体又はE体であることを示す。
「~」で表した数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
一相状態とは、
図1に例示する圧力-比エンタルピー線図(以下、p-h図ともいう。)において、飽和線の外側の状態を意味する。飽和線の内側は液体と気体が存在する二相状態である。一相状態は、好ましくは流体であり、具体的には過冷却状態、超臨界状態、又は過熱蒸気状態が好ましい。
【0011】
本実施形態の供給方法は、ハロオレフィン含有組成物を第1の収容設備から第2の収容設備へ供給する方法である。
<ハロオレフィン含有組成物>
ハロオレフィン含有組成物は、ハロオレフィンと二酸化炭素を含む混合物である。ハロオレフィンは1種でもよく、2種以上でもよい。
ハロオレフィンにおける不飽和結合の数は1~2が好ましい。ハロオレフィンの炭素数は2~5が好ましい。
【0012】
ハロオレフィンとしては、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、クロロフルオロレフィン(CFO)、ハイドロクロロオレフィン(HCO)が例示できる。
【0013】
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)の具体例としては、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、1-フルオロプロペン(HFO-1261ze)、2-フルオロプロペン(HFO-1261yf)、3-フルオロプロペン(HFO-1261zf)、1,2-ジフルオロプロパン(HFO-1252ye)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,2,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yc)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(HFO-1225ye)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,2-トリフルオロプロペン(HFO-1243yc)、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、3,3-ジフルオロプロペン(HFO-1252zf)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)、2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(HFO-1336mcyf)、1,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(HFO-1336ze)、テトラフルオロブテン(HFO-1354)、1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンテン(HFO-1429myz)、1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロペンタ-2-エン(HFO-1438mzz)、1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-3-トリフルオロメチル-1-ブテン(HFO-1438ezy)、(C2F5)(CF3)C=CH2、(CF3)2CFCH=CF2、(CF3)2CFCF=CHFが挙げられる。
【0014】
ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)の具体例としては、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd)、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xd)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)、ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2,3-トリクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1222xd)、2,3,3-トリクロロ-3-フルオロプロペン(HCFO-1231xf)、2,3-2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223xd)、2-クロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224xc)、2-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224xe)、1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテン(HCFO-1437dycc)、1,1-ジクロロ-2-フルオロエチレン(HCFO-1121a)、1,2-ジクロロ-1-フルオロエチレン(HCFO-1121)、1-クロロ-1-フルオロエチレン(HCFO-1131a)、1-クロロ-2-フルオロエチレン(HCFO-1131)、1-クロロ-2,2-ジフルオロエチレン(HCFO-1122)、1,1,2-トリフルオロ-2-クロロエチレン(HCFO-1113)が挙げられる。
【0015】
ハイドロクロロオレフィン(HCO)の具体例としては、クロロエチレン、1,2-ジクロロエチレンが挙げられる。
【0016】
クロロフルオロオレフィン(CFO)の具体例としては、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214ya)、1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214yb)、1,2-ジクロロ-1,2,ジフルオロエチレン(CFO-1112)、1,1,2-トリクロロ-2-フルオロエチレン、2-クロロ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CFO-1215xc)が挙げられる。
【0017】
ハロオレフィン含有組成物は、ハロオレフィン及び二酸化炭素以外の他の化合物を1種以上含んでもよい。
他の化合物としては、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロカーボン(HCC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、クロロフルオロカーボン(CFC)、クロロカーボン、フルオロカーボン(FC)、ハイドロカーボン(HC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、臭素原子又はヨウ素原子を含むハロゲン化メタン、フルオロニトリル、フルオロシラン、ケトン、アルキン、アルコール、有機酸、水が例示できる。
さらに、安定剤、蛍光剤、香料等の添加剤を必要に応じて含んでもよい。
【0018】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)の具体例としては、1,1,2,3-テトラフルオロブタン(HFC-374pee)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245ca)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HFC-254eb)、1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HFC-254fb)、1,1,1-トリフルオロプロパン(HFC-263fb)、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、2-フルオロプロパン(HFC-281ea)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、ジフルオロメタン(HFC-32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC-43-10mee)、トリフルオロメタン(HFC-23)、フルオロメタン(HFC-41)が挙げられる。
【0019】
ハイドロクロロカーボン(HCC)の具体例としては、クロロホルム、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、2-クロロプロパンが挙げられる。
【0020】
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の具体例としては、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)、クロロフルオロメタン(HCFC-31)、トリクロロジフルオロエタン(HCFC-122)、1,1,2-トリクロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-122a)、1,1,1-トリクロロ-2,2-ジフルオロエタン(HCFC-122b)、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-123)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124a)、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-133a)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)、1,1-ジフルオロ-2-クロロエタン(HCFC-142)、1-クロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-142a)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b)、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca)、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243ab)、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)が挙げられる。
【0021】
クロロフルオロカーボン(CFC)の具体例としては、トリクロロフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、クロロトリフルオロメタン(CFC-13)、トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113)、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(CFC-114)、1,1-ジクロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(CFC-114a)、クロロペンタフルオロエタン(CFC-115)、ジクロロヘキサフルオロプロパン(CFC-216)、2,2,3,3-テトラクロロヘキサフルオロブタン(CFC-316)、ジクロロオクタフルオロブタン(CFC-318)、が挙げられる。
【0022】
クロロカーボンの具体例としては、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロエタンが挙げられる。
【0023】
フルオロカーボン(FC)の具体例としては、1,1,1,2,2,2-ヘキサフルオロエタン(FC-116)、オクタフルオロプロパン(FC-218)1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン(FC-227ca)が挙げられる。
【0024】
ハイドロカーボン(HC)の具体例としては、メタン、エタン、エテン、プロパン、プロピレン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタンが挙げられる。
【0025】
ハイドロフルオロエーテル(HFE)の具体例としては、CHF2-O-CHF2、CHF2-O-CH2F、CH2F-O-CH2F、CH2F-O-CH3、cyclo-CF2-CH2-CF2-O、cyclo-CF2-CF2-CH2-O、CHF2-O-CF2-CHF2、CF3-CF2-O-CH2F、CHF2-O-CHF-CF3、CHF2-O-CF2-CHF2、CH2F-O-CF2-CHF2、CF3-O-CF2-CH3、CHF2-CHF-O-CHF2、CF3-O-CHF-CH2F、CF3-CHF-O-CH2F、CF3-O-CH2-CHF2、CHF2-O-CH2-CF3、CHF2-CF2-O-CH2F、CHF2-O-CF2-CH3、CHF2-CF2-O-CH3、CHF2-CF2-O-CH3、CH2F-O-CHF-CH2F、CHF2-CHF-O-CH2F、CF3-O-CHF-CH3、CF3-CHF-O-CH3、CHF2-O-CH2-CHF2、CF3-O-CH2-CH2F、CF3-CH2-O-CH2F、CF2H-CF2-CF2-O-CH3、CF3CF2CF2-O-CH3、C4H9-O-CH3が挙げられる。
【0026】
臭素原子又はヨウ素原子を含むハロゲン化メタンの具体例としては、(モノ)ヨードメタン(CH3I)、ジヨードメタン(CH2I2)、ジブロモメタン(CH2Br2)、ブロモメタン(CH3Br)、ジクロロメタン(CH2Cl2)、クロロヨードメタン(CH2ClI)、ジブロモクロロメタン(CHBr2Cl)、四ヨウ化メタン(CI4)、四臭化炭素(CBr4)、ブロモトリクロロメタン(CBrCl3)、ジブロモジクロロメタン(CBr2Cl2)、トリブロモフルオロメタン(CBr3F)、フルオロヨードメタン(CHFI2)、ジフルオロヨードメタン(CHF2I)、ジフルオロジヨードメタン(CF2I2)、ジブロモジフルオロメタン(CBr2F2)、トリフルオロヨードメタン(CF3I)が挙げられる。
【0027】
フルオロニトリルの具体例としては、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-プロパンニトリルが挙げられる。
フルオロシランの具体例としては、3~15個の炭素原子を有するパーフルオロオキシラン又はハイドロフルオロオキシランが挙げられる。
ケトンの具体例としては、ケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、フルオロケトンが挙げられる。
さらにフルオロケトンの具体例としては、パーフルオロエチルイソプロピルケトン、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-(トリフルオロメチル)-2-ブタノンが挙げられる。
アルキンの具体例としては、アルキン、フルオロアルキンが挙げられる。
さらにフルオロアルキンの具体例としては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン(CF3-C≡CCl)が挙げられる。
アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが挙げられる。
有機酸の具体例としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸が挙げられる。
【0028】
蛍光剤の具体としては、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン(phenanthracene)、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン、及びこれらの誘導体が挙げられる。蛍光剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
ハロオレフィン含有組成物は不活性ガスを含んでもよい。不活性ガスの具体例としては、窒素、酸素、空気、アルゴン、ヘリウムが挙げられる。
ハロオレフィン含有組成物は水を含んでもよい。ハロオレフィン含有組成物の総質量に対して、水の含有量は200質量ppm以下でよく、150質量ppm以下が好ましく、100質量ppm以下がより好ましく、20質量ppm以下がさらに好ましい。
【0030】
ハロオレフィン含有組成物の総質量に対して、ハロオレフィンと二酸化炭素の合計の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上がより好ましい。100質量%でもよい。
ハロオレフィンと二酸化炭素の合計の含有量に対して、二酸化炭素の含有量は、例えば1~99.9質量%であり、10~99.9質量%が好ましく、50~99.9質量%がより好ましく、70~99.7質量%がさらに好ましい。
【0031】
ハロオレフィン含有組成物の用途は特に限定されない。例えば、作動流体、発泡剤、希釈溶媒、洗浄剤、噴射剤、消火剤、滅菌剤、気体誘電体、エッチングガス等が挙げられる。
作動媒体としては、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動媒体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体等の熱サイクル用の作動媒体が例示できる。
【0032】
<収容設備>
第1の収容設備は特に限定されない。例えば、貯蔵設備が挙げられる。
第2の収容設備は特に限定されない。例えば、貯蔵設備、ハロオレフィン含有組成物を使用する設備が挙げられる。
第2の収容設備の具体例として、例えば冷凍空調設備、熱輸送設備、電力設備、溶湯金属設備、洗浄装置、半導体装置、除菌殺菌設備、消火設備、エアゾール容器、ボンベ容器等が挙げられる。
前記電力設備は、ハロオレフィン含有組成物を収容する機器のほかに、例えば、開閉器、遮断器、断路器、変圧器、抵抗、リアクトル、コンデンサ、及び絶縁ケーブルからなる群から選択される1つ以上を有する。
【0033】
<供給方法>
本実施形態では、第1の収容設備に収容されたハロオレフィン含有組成物を第2の収容設備へ供給する。
供給開始から供給終了までの間(以下、供給中ともいう)、第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物を一相状態に保持する。
好ましくは、供給開始前に、第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物を一相状態にする。
供給中の一相状態は、過熱蒸気状態、超臨界状態、又は過冷却状態であることが好ましい。また、供給中に過熱蒸気状態、超臨界状態、及び過冷却状態から選ばれるいずれか1つの状態から過熱蒸気状態、超臨界状態、及び過冷却状態から選ばれる他の状態に変化してもよい。しかしながら、供給中に、二相状態とならないことが肝要である。
【0034】
供給中に、第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物の、温度及び圧力の一方又は両方を調整することによって、一相状態に保持できる。すなわち、必要に応じて、加熱する工程、加圧する工程、又は冷却する工程を設ける。加熱と加圧、冷却と加圧を同時に行ってもよい。
加熱を行う場合、ハロオレフィン含有組成物を一相状態に保持できる温度で加熱すればよい。例えば、第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物の温度が30℃以上となるように加熱することが好ましい。
冷却を行う場合、第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物の温度が凝固点以下とならないように冷却することが好ましい。
本実施形態で用いる第1の収容設備は、収容設備内の組成物に熱を加える加熱手段、収容設備内の組成物に圧力を加える加圧手段、及び収容設備内の組成物から熱を奪う冷却手段から選ばれる1つ以上を備えることが好ましい。また、第一収容設備内は、一時的に又は局所的に温度ムラなどがなく、均一な温度/圧力状態を維持した状態であること好ましい。
【0035】
第1の収容設備の容積が一定である場合、以下の方法で本実施形態を実施できる。
まず、ハロオレフィン含有組成物が所望の密度で充填された第1の収容設備を用意する。
ハロオレフィン含有組成物のp-h線図を算出し、第1の収容設備内の密度に応じて、超臨界状態、過熱蒸気状態、又は過冷却状態のいずれかとなるように、第1の収容設備内の温度及び圧力の一方又は両方を調整する。
次いで、第1の収容設備と第2の収容設備を気密に接続し、第1の収容設備から第2の収容設備へハロオレフィン含有組成物の供給を開始する。連続的に供給し、所望の供給量に達したら供給を終了する。
供給中は第1の収容設備内の密度が漸次低下するため、第1の収容設備内の温度及び圧力の一方又は両方を制御して一相状態に保持する。
【0036】
供給中の第1の収容設備内を一相状態に保持することにより、第2の収容設備へ供給されるハロオレフィン含有組成物の組成変動を抑制できる。
第1の収容設備内が均一な一相状態であれば、第2の収容設備へ供給されるハロオレフィン含有組成物の組成は一定となり、供給開始前の第1の収容設備内の組成と、供給終了後の第2の収容設備内の組成とが同じになる。
【0037】
[好ましい態様(1)]
図2は、ハロオレフィン含有組成物のp-h線図の一例である。p-h図は、例えばNIST(アメリカ国立標準技術研究所)の冷媒熱物性データベースソフトウェア(製品名:REFPROP ver.10.0)により求めることができる。
第1の収容設備の容積と、第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物の質量wとから密度dを算出できる。p-h線図において、密度dの等密度線と飽和線の交点における温度(交点温度)をtとするとき、第1の収容設備内の温度がt以上あれば、第1の収容設備内は一相状態となる。
第1の収容設備の容積が一定である場合、供給中、第1の収容設備内の密度dは漸次低下し、それに応じて前記交点温度tも変化する。
具体的には、供給開始から供給終了までの間、第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物の質量wをモニターして密度dを算出する。密度dの経時変化に応じて、第1の収容設備内の温度が常にt以上となるように、第1の収容設備内の温度を制御することにより、第1の収容設備内を一相状態に保持できる。
【0038】
[好ましい態様(2)]
p-h線図において、飽和線と等温線の接点における温度(接点温度)をTとすると、第1の収容設備内の温度がT以上あれば、第1の収容設備内の密度及び圧力にかかわらず、第1の収容設備内は一相状態に保持される。
例えば、供給開始前に第1の収容設備内の温度をT1℃(T1≧T℃)に調整し、供給中もT1℃に保持する。第1の収容設備内の一相状態を安定に保持する点では、T1≧T+1℃が好ましく、T1≧T+3℃がより好ましく、T1≧T+5℃がさらに好ましく、T1≧T+7℃が特に好ましい。
【実施例0039】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
<例1-1~1-3>
第1の収容設備として、内容積20Lのステンレス製耐圧容器を用い、第2の収容設備として、内容積1Lのステンレス製耐圧容器を用いる。
第1の収容設備内のハロオレフィン含有組成物の組成(供給元組成)は、HCFO-1224yd(Z)0.5質量%及びCO299.5質量%とする。
本例のハロオレフィン含有組成物のp-h線図を、前記REFPROP ver.10.0により求めた。得られたp-h線図において、臨界温度は31.6℃、飽和線と等温線の接点における、温度(接点温度)は31.7℃、密度は444.4kg/m3である。
まず、第1の収容設備内を真空にし、HCFO-1224yd(Z)とCO2を、前記供給元組成となるように充填する。充填量は、容器内の密度(供給開始前の密度)が前記接点における密度(本例は444.4kg/m3)となるように調整する。
充填後、第1の収容設備を、表に示す保持温度の恒温槽内に1時間保持することによって、第1の収容設備内を前記保持温度に加熱する。第1の収容設備内の密度及び保持温度から求められる圧力(供給開始前)を表に示す(以下、同様)。
一方、第2の収容設備には、断熱材を巻いたステンレス製ホースの一端を接続する。第2の収容設備内及びホース内を真空にし、第2の収容設備を20℃の恒温槽内に設置する。
次いで、第1の収容設備を前記恒温槽内に保持したまま、前記ステンレス製ホースの他端を第1の収容設備の末端バルブに接続し、末端バルブを開けて、第1の収容設備から第2の収容設備へ、ハロオレフィン含有組成物を供給開始する。第2の収容設備内の圧力が0.5MPaに到達した時点で供給を終了する。
【0041】
(組成変動の評価)
供給終了後の第2の収容設備内を、必要に応じて加熱して一相状態とした後、第2の収容設備内の組成物を採取する。ガスクロマトグラフ法により、採取した組成物(ハロオレフィン含有組成物)中のCO2の含有量を測定し、ハロオレフィンの含有量を算出する。
供給元組成におけるハロオレフィンの含有量(単位:質量%)と、第2の収容設備内の組成物におけるハロオレフィンの含有量(単位:質量%)との差の絶対値が小さい方が好ましい。例えば、前記差の絶対値は5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
【0042】
<例1-4~例5-21>
ハロオレフィン含有組成物の組成(供給元組成)及び保持温度を表1~5に示す通りに変更する。
各例のハロオレフィン含有組成物のp-h線図における、臨界温度、接点温度を表に示す。表に示す供給開始前の密度は、p-h線図の接点における密度である。
それ以外は例1-1と同様にして、第1の収容設備から第2の収容設備へハロオレフィン含有組成物を供給し、組成変動を評価する。
【0043】
供給元組成及び供給開始前密度の測定誤差を考慮して、接点温度の推算誤差を3%程度と見積もり、下記の基準で組成変動を評価した結果を表に示す。
A:充填による温度低下や保持温度の変動が多少生じても、加温供給開始から供給終了までの間、第1の収容設備内が一相状態であると推定できる。前記差の絶対値は2質量%以下になると推測される。
B:充填による温度低下や保持温度の変動によって、第1の収容設備内が一相状態又は二相状態に変化しやすい。前記差の絶対値は2質量%超5質量%以下になると推測される。
C:充填による温度低下や保持温度の変動の有無にかかわらず、加温供給開始から供給終了までの間、第1の収容設備内が二相状態であると推定できる。前記差の絶対値は5質量%を超えると推測される。
【0044】
【0045】
【0046】
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【0048】