IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メタウォーター株式会社の特許一覧 ▶ 高知市の特許一覧 ▶ 国立大学法人高知大学の特許一覧

<>
  • 特開-ろ過装置 図1
  • 特開-ろ過装置 図2
  • 特開-ろ過装置 図3
  • 特開-ろ過装置 図4
  • 特開-ろ過装置 図5
  • 特開-ろ過装置 図6
  • 特開-ろ過装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122671
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ろ過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/00 20060101AFI20220816BHJP
   B01D 24/36 20060101ALI20220816BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20220816BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B01D29/08 520B
B01D29/08 510A
B01D29/38 510B
B01D29/38 520B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020050
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506239304
【氏名又は名称】高知市
(71)【出願人】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 篤
(72)【発明者】
【氏名】中沢 仁吾
(72)【発明者】
【氏名】大和 信大
(72)【発明者】
【氏名】米津 直紀
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 歩
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BA15
4D116DD02
4D116FF01A
4D116GG12
4D116GG24
4D116GG29
4D116GG40
4D116KK02
4D116QA06C
4D116QA06F
4D116QB37
4D116QC20A
4D116QC50
4D116RR01
4D116RR03
4D116RR04
4D116RR12
4D116RR16
4D116RR25
4D116TT05
4D116TT06
4D116VV07
(57)【要約】
【課題】流出したろ材を、迅速にろ材層に戻すことができるろ過装置を提供する。
【解決手段】ろ過装置100は、ろ材層13Aを有するろ過槽10Aと、処理水流出部14Aと、洗浄排水排出部16Aと、被処理水をろ材層13Aよりも下方に導入する導入路11bを有する調圧水槽11Aを備えている。調圧水槽11Aからろ過槽10Aに導入された被処理水は、ろ材層13Aを下方から上方に通過する。ろ過装置100は、さらに洗浄排水を貯留する洗浄排水槽20と、洗浄排水槽20に流入したろ材13を洗浄排水と共に吸い上げて、調圧水槽11Aに還流するフロートポンプ31及び還流配管32を備えており、還流配管32の流出口は導入路11b内に配置されている。導入路11bを通過する水流の速度は、ろ材13の浮上速度よりも速くなるように導入路11bの流路断面積が設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に対して浮遊性を有する複数のろ材が、スクリーンによって上方移動を規制されると共に下方移動は規制されない状態で所定の厚さで集積してなるろ材層を形成するろ過槽と、
前記ろ過槽の前記ろ材層よりも上方に設けられたろ過による処理水の流出部と、
前記ろ過槽の前記ろ材層よりも下方に設けられた洗浄排水の排出部と、
前記ろ過槽の前記ろ材層よりも下方に被処理水を導入する導入路を有する調圧水槽と、を備え、
前記調圧水槽に導入された被処理水の水面と前記ろ過槽の水面との水位差によって、前記調圧水槽から前記ろ過槽に導入された被処理水が、前記ろ材層を下方から上方に通過するように構成されたろ過装置において、
前記排出部から流出した洗浄排水を貯留する洗浄排水槽と、
前記洗浄排水槽に流入したろ材を前記洗浄排水と共に吸い上げて、前記調圧水槽に還流するポンプ及び還流配管と、を有し、
前記還流配管の流出口は、前記調圧水槽の前記導入路内に配置されており、
前記導入路を通過する水流の速度が前記ろ材の浮上速度よりも速くなるように、前記導入路の流路断面積が設定されていることを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
前記洗浄排水槽の水面に浮上しているろ材を検知するろ材検知手段と、
前記ろ材検知手段によりろ材が所定量以上検知されたときに、前記ポンプを作動させて前記ろ材の還流を行う制御手段とを有する、請求項1記載のろ過装置。
【請求項3】
前記ろ過槽及び前記調圧水槽を複数組備え、
各ろ過槽の前記排出部は、共通の洗浄排水槽に連結されており、
前記各ろ過槽の前記ろ材層から流出したろ材に関連する流出情報を取得する流出情報取得手段と、
前記流出情報取得手段で取得された前記流出情報に基づいて、前記洗浄排水に流入したろ材の前記各ろ過槽への還流量を調整する調整手段とを有する、請求項1又は2記載のろ過装置。
【請求項4】
光により各々の前記ろ材層のろ材が配されている位置を検出する光検出手段を備え、
前記流出情報取得手段は、前記光検出手段によって検出された検出データから作成された流出情報を取得する、請求項3記載のろ過装置。
【請求項5】
逆洗処理後にろ過処理を再開し、被処理水の流入量を一定にしたときの前記調圧水槽に導入された被処理水の水面と前記ろ過槽の水面との水位差を検出する水位差検出手段を備え、
前記流出情報取得手段は、前記水位差検出手段によって検出された検出データから作成された流出情報を取得する、請求項3記載のろ過装置。
【請求項6】
前記ポンプがフロートポンプである、請求項1~4のいずれか1項に記載のろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水のろ過処理を行うことが可能なろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水に対して浮遊性を有するろ材を用いてろ材層を形成し、被処理水のろ過処理を行うろ過装置が知られている。このようなろ過装置においては、ろ過処理によってろ材に汚れが付着するため、定期的に逆洗を行ってろ材を洗浄するようにしている。しかし、逆洗時に洗浄排水と共にろ材が流出してろ材層の厚みが減少すると、ろ過性能は低下する。そこで、逆洗時に流出したろ材をろ過槽に戻す処理が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ろ過槽内にろ材層を形成して、供給された原水をろ材層中へ上方から下方へ通過させてろ過すると共に、ろ材の一部をろ材引抜き管によって原水と共にろ過槽外へ引き抜いて浄化した後、再びろ材をろ過槽内に戻すようにした移床式ろ過装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-7301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の移床式ろ過装置では、ろ材をろ過槽の下方から、ガイド壁の開口を介して戻しているため、少量ずつしか戻すことができず、戻し処理にある程度時間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、流出したろ材を迅速にろ材層に戻すことができるろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のろ過装置は、被処理水に対して浮遊性を有する複数のろ材が、スクリーンによって上方移動を規制されると共に下方移動は規制されない状態で所定の厚さで集積してなるろ材層を形成するろ過槽と、前記ろ過槽の前記ろ材層よりも上方に設けられたろ過による処理水の流出部と、前記ろ過槽の前記ろ材層よりも下方に設けられた洗浄排水の排出部と、前記ろ過槽の前記ろ材層よりも下方に被処理水を導入する導入路を有する調圧水槽と、を備え、
前記調圧水槽に導入された被処理水の水面と前記ろ過槽の水面との水位差によって、前記調圧水槽から前記ろ過槽に導入された被処理水が、前記ろ材層を下方から上方に通過するように構成されたろ過装置において、
前記排出部から流出した洗浄排水を貯留する洗浄排水槽と、前記洗浄排水槽に流入したろ材を前記洗浄排水と共に吸い上げて、前記調圧水槽に還流するポンプ及び還流配管と、を有し、前記還流配管の流出口は、前記調圧水槽の前記導入路内に配置されており、前記導入路を通過する水流の速度が前記ろ材の浮上速度よりも速くなるように、前記導入路の流路断面積が設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のろ過槽は、被処理水に対して浮遊性を有する複数のろ材が、スクリーンによって上方移動を規制されると共に、下方移動は規制されない状態で所定の厚さで集積してなるろ材層を形成しているので、下方にスクリーンを設けた場合に生じる下方のスクリーンの目詰まりを解消することができる。一方、ろ材層の下方にスクリーンがないため、逆洗時に洗浄排水と共にろ材が洗浄排水槽に流出することがあるが、ポンプ及び還流配管によって調圧水槽に返送することができる。
【0009】
また、還流配管の流出口は調圧水槽の導入路内に配置され、導入路を通過する水流の速度は、ろ材の浮上速度よりも速くなるように導入路の流路断面積が設定されている。このため、ろ材は浮上速度に打ち勝つ水流に乗って当該流出口から押し出され、ろ材を迅速にろ材層(下方)に戻すことができる。
【0010】
本発明のろ過装置において、前記洗浄排水槽の水面に浮上しているろ材を検知するろ材検知手段と、前記ろ材検知手段によりろ材が所定量以上検知されたときに、前記ポンプを作動させて前記ろ材の還流を行う制御手段とを有することが好ましい。
【0011】
ろ材検知手段によって洗浄排水槽の水面に浮上しているろ材が所定量以上検知されたときに、制御手段によってポンプを作動させることで、ろ材の還流がなされる。これにより、逆洗処理時に流出したろ材を適切に返送することができる。
【0012】
また、本発明のろ過装置において、前記ろ過槽及び前記調圧水槽を複数組備え、各ろ過槽の前記排出部は、共通の洗浄排水槽に連結されており、前記各ろ過槽の前記ろ材層から流出したろ材に関連する流出情報を取得する流出情報取得手段と、前記流出情報取得手段で取得された前記流出情報に基づいて、前記洗浄排水に流入したろ材の前記各ろ過槽への還流量を調整する調整手段とを有することが好ましい。
【0013】
流出情報取得手段は、各ろ過槽のろ材層から流出したろ材に関連する流出情報(例えば、流出量)を取得する。そして、調整手段は、当該流出情報に基づいて洗浄排水に流入したろ材の各ろ過槽への還流量を調整するので、各ろ過槽におけるろ材量を均等に保つことができる。
【0014】
また、本発明のろ過装置において、光により各々の前記ろ材層のろ材が配されている位置を検出する光検出手段を備え、前記流出情報取得手段は、前記光検出手段によって検出された検出データから作成された流出情報を取得することが好ましい。
【0015】
各ろ材層のろ材が配されている位置が光検出手段により検出され、その値はろ材層の厚みを反映したものとなる。したがって、流出情報取得手段が前記流出情報を受けると、ろ材層が薄いろ過槽ほど、ろ材の還流量が多くなるように制御される。これにより、各ろ過槽におけるろ材量を均等に保つことができる。
【0016】
また、本発明のろ過装置において、逆洗処理後にろ過処理を再開し、被処理水の流入量を一定にしたときの前記調圧水槽に導入された被処理水の水面と前記ろ過槽の水面との水位差を検出する水位差検出手段を備え、前記流出情報取得手段は、前記水位差検出手段によって検出された検出データから作成された流出情報を取得することが好ましい。
【0017】
逆洗処理後にろ過処理を再開し、被処理水の流入量を一定にしたときの調圧水槽に導入された被処理水の水面とろ過槽の水面との水位差は、水位差検出手段により検出され、当該水位差は洗浄処理されたろ材層のろ過損失抵抗(通水抵抗)を反映したものとなる。ろ過損失抵抗は、ろ材層の厚みに応じて大きくなるので、水位差が大きいほどろ材層が厚いことになる。
【0018】
したがって、流出情報取得手段が前記流出情報を受けると、水位差が小さいほどろ材層が薄いと推定され、水位差が小さいろ過槽ほど、ろ材の還流量が多くなるように制御される。これにより、各ろ過槽におけるろ材量を均等に保つことができる。
【0019】
また、本発明のろ過装置において、前記ポンプがフロートポンプであることが好ましい。
【0020】
フロートポンプを用いることにより、洗浄排水槽の水面に浮上しているろ材を効率よく吸い上げて返送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のろ過装置の第1実施形態を示す全体構成図である。
図2図1のろ過槽の1つを示す断面図である。
図3】第1実施形態のろ過装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図4】ろ過装置の全体処理を示すフローチャートである。
図5図4の還流処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
図6】第2実施形態のろ過装置(ろ過槽の1つ)を示す断面図である。
図7】第2実施形態のろ過装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しつつ、本発明に係るろ過装置の一実施形態について説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、本発明のろ過装置の第1実施形態を示す全体構成図である。また、図2は、図1のろ過槽のうちの1つの断面図を示している。
【0024】
図1に示すように、ろ過装置100は、3つのろ過槽10A,10B,10Cと、ろ過槽10A,10B,10Cの各々から排出された洗浄排水及びろ材13を貯留することができる洗浄排水槽20と、洗浄排水槽20のろ材13を洗浄排水と共に、ろ過槽10A、10B、10Cの各々が備える調圧水槽11A,11B,11Cに還流させる還流手段30とを有する。なお、本実施形態では、ろ過槽が3つの場合を説明するが、ろ過槽は1又は2以上あればよく、その数は限定されない。
【0025】
ろ過槽10A,10B,10Cの各々は、被処理水を流入させる調圧水槽11A,11B,11Cと、被処理水に対して浮遊性を有する複数のろ材13がスクリーン12A,12B,12Cによって上方移動を規制されて所定の厚さで集積してなるろ材層13A,13B,13Cと、調圧水槽11A,11B,11Cから流入した被処理水を、ろ材層13A,13B,13Cの下方から上方に通過させる上昇流路15A,15B,15Cと、被処理水がろ材層13A,13B,13Cを通過した処理水を取出す処理水流出部14A,14B,14Cと、ろ材層13A,13B,13Cよりも下方に配置された曝気手段18A,18B,18Cと、ろ材層13A,13B,13Cよりも下方に設けられた洗浄排水排出部16A,16B,16Cを有する。
【0026】
ろ過槽10A,10B,10Cの各々は、有底の槽状に形成されている。また、ろ過槽10A,10B,10Cの各々には、上方から下方に向かって形成され、かつ内部を2つに分割する隔壁が設けられている。さらに、ろ過槽10A,10B,10Cの各々は、その底部において隔壁によって分割された内部が連通するように形成されている。
【0027】
隔壁で分割された一方の側は、調圧水槽11A,11B,11Cとなっている。図2に示すように、調圧水槽11A(11B,11C)は、ろ材13の浮力に抗して、ろ材13を底部側に移動させることが可能な被処理水の流速が得られるように形成されている。
【0028】
本実施形態においては、調圧水槽11Aは、底部に向かって開口径が狭まるように、すり鉢状に形成されている。具体的には、調圧水槽11Aは、すり鉢状の受水部11a(流速1~2m/分)と、受水部11aの下方に接続された円筒状の導入路11b(流速約20m/分)から構成されている。
【0029】
導入路11bは、通過する水流の速度がろ材13の浮上速度よりも速くなるように流路断面積が設定されており(ろ過槽10Aの底面積の1/10~1/20)、ろ過槽10A(10B,10C)のろ材層13A(13B,13C)よりも下方の位置で、ろ過槽10Aに被処理水を導入する。すなわち、流入部19A(19B,19C)から流入する被処理水の流量と同じ流量で、処理水が処理水流出部14A(14B,14C)から流出するため、導入路11bの流路断面積を小さくするほど、下降流の流速は速くなる。そして、下降流の流速がろ材13の浮上速度よりも速くなることにより、ろ材13が導入路11bを下降する。
【0030】
図1に戻り、調圧水槽11A,11B,11Cの各々には、被処理水が流入する流入部19A,19B,19Cが設けられている。また、調圧水槽11A,11B,11Cには、流入部19A,19B,19Cから流入した被処理水と合流可能に還流手段30の還流配管32が配されている。
【0031】
特に、還流配管32の流出口(先端部)は、それぞれ調圧水槽11A,11B,11Cの導入路11b内に配置されている。還流配管32の流出口を受水部11aに配置して還流させると、ろ材13の浮遊性によってろ材13がろ過槽10A,10B,10Cまで到達しないためである。これにより、ろ材13は浮上速度に打ち勝つ水流に乗って押し出され、ろ材13を迅速にろ過槽10A,10B,10Cの下方に戻すことができる。
【0032】
隔壁で分割された他方の側は、上方に処理水流出部14A,14B,14Cが設けられている。また、処理水流出部14A,14B,14Cと底部との間には、スクリーン12A,12B,12Cが配されている。
【0033】
スクリーン12A,12B,12Cは、ろ材13の上方への移動を規制可能なものであれば特に制限はされず、例えば、ろ材13よりも小さい孔が多数形成されているパンチングメタル等を用いることができる。
【0034】
ろ材13は、被処理水に対して浮遊性を有するものであって、被処理水が通過する際に、被処理水に含まれる固形物を捕捉可能な形態を有する。ろ材13は筒状又は板状に形成され、外周に複数の突起、突片等を形成することによって、広い表面積を有するものが好ましい。ろ材13は、例えば、中心軸部から外周に向けて互いに直交して4方向に突出する羽根状の突片を有する風車型に形成されたものを用いることができる。ろ材13は、このような形状に限られず、例えば、円筒状をなすもの等を用いることができる。
【0035】
ろ材13の大きさは、ろ過処理の対象となる物質に応じて適宜選択でき、例えば、その対象がSS(Suspended Solid)の場合には、最大径が5~50mm程度が好ましい。例えば、風車型は、7.5mm(縦)×7.5mm(横)×4mm(厚さ)の大きさのものが好ましい。ろ材13は、被処理水に対して浮遊性を有する材質のものであればよく、例えば、発泡樹脂等が採用される。ろ材13の比重は、1.0よりも低いものであればよいが、好ましくは0.1以上0.8未満である。
【0036】
したがって、ろ材13は、スクリーン12A,12B,12Cによって上方への移動を規制される。複数のろ材13は、スクリーン12A,12B,12Cの下方において集積され、ろ材層13A,13B,13Cを形成する。
【0037】
ろ材層13A,13B,13Cの厚さは、特に限定されないが、20~120cm程度が好ましく、最も好ましくは70cmである。ろ材層13A,13B,13Cの空隙率(ろ材層全体の体積に対する、ろ材13の隙間によって形成される空隙の体積の割合)は、20~80%程度が好ましく、最も好ましくは50%程度である。なお、上記空隙率は、水量置換法で測定することができる。
【0038】
処理水流出部14A,14B,14Cは、スクリーン12A,12B,12Cが設けられている位置から上方に所定の距離を有して設けられている。スクリーン12A,12B,12Cの高さから処理水流出部14A,14B,14までの所定の距離は、逆洗時においてろ材層13A,13B,13Cのろ材13の汚れを底部の方向に流すために必要な水圧を有するように設定される。当該所定の距離は、0.5~1.5m程度が好ましく、最も好ましくは1m程度である。
【0039】
流入部19A,19B,19Cは、処理水流出部14A,14B,14よりも高い位置に設けられている。両者の高低差は、調圧水槽11A,11B,11Cに流入した被処理水が、上昇流路15A,15B,15Cを上昇し、ろ材層13A,13B,13Cを通過できる程度の水圧が得られるように設定されている。すなわち、ろ過槽10A,10B,10Cのろ材層13A,13B,13Cを通過した処理水は、処理水流出部14A,14B,14Cから流出するため、ろ過槽10A,10B,10Cの水面は、処理水流出部14A,14B,14Cの高さとなる。
【0040】
これに対して、流入部19A,19B,19Cは、処理水流出部14A,14B,14よりも高い位置に設けられているので、調圧水槽11A,11B,11Cの水面は、ろ過槽10A,10B,10Cの水面よりも高くなり、その水位差によって上昇流路15A,15B,15Cを上昇する水圧が得られるようになっている。
【0041】
そして、流入部19A,19B,19Cから流入する被処理水の流量と同じ流量で、処理水が処理水流出部14A,14B,14Cから流出するため、ろ材層13A,13B,13Cのろ過損失抵抗が高くなるほど、上記水位差が大きくなり、調圧水槽11A,11B,11Cの水面が上昇する。したがって、流入部19A,19B,19Cの高さは、上記調圧水槽11A,11B,11Cの水面の上昇が可能な高さになければならないので、処理水流出部14A,14B,14Cよりも、好ましくは50~300cm程度高い位置に設定される。
【0042】
上記水位差によって水流が生じ、被処理水は、流入部19A,19B,19Cから流入すると、調圧水槽11A,11B,11Cを通過し、ろ過槽10A,10B,10Cの底部から上方に向かって移動する。すなわち、ろ過槽10A,10B,10Cの底部から、処理水流出部14A,14B,14Cまでが上昇流路15A,15B,15Cとなる。
【0043】
したがって、流入部19A,19B,19Cから流入した被処理水は、最終的にろ材層13A,13B,13Cでろ過処理され、処理水となる。そして、当該処理水は、処理水流出部14A,14B,14Cから外部に排出される。
【0044】
洗浄排水排出部16A,16B,16Cは、ろ過槽10A,10B,10Cの底部の近傍に設けられている。また、洗浄排水排出部16A,16B,16Cの各々には、洗浄排水弁17A,17B,17Cが設けられている。
【0045】
洗浄排水弁17A,17B,17Cの各々は、逆洗時におけるろ過槽10A,10B,10Cからの洗浄排水の排出を制御する。また、洗浄排水弁17A,17B,17Cの各々は、コントロールユニット(図示せず)からの信号を受けて開閉可能となっている。洗浄排水排出部16A,16B,16Cの各々は、配管17により洗浄排水槽20に接続されている。
【0046】
曝気手段18A,18B,18Cの各々は、空気を噴出することが可能な噴出孔(図示せず)を先端部に備えた配管、開閉弁(図示せず)及びコンプレッサ(図示せず)を備えている。曝気手段18A,18B,18Cの各々は、ろ材層13A,13B,13Cのろ過損失抵抗(ろ過損失水頭ともいい、調圧水槽11A,11B,11Cの水面と、ろ過槽10A,10B,10Cの水面との水位差に相当する)が所定値に達したときに、開閉弁を開にして曝気し、ろ材13を流動撹拌させることにより、ろ材13に付着した捕捉されたSS(Suspended Solid)を剥離脱落させることができる。
【0047】
また、曝気手段18A,18B,18Cの各々は、ろ過槽10A,10B,10Cを逆洗する際に、開閉弁を断続的に開閉させて、コンプレッサから供給される圧縮空気を噴出孔から断続的に噴出させるパルス曝気を行う。これにより、ろ材層13A,13B,13Cの下方に位置するろ材13を攪拌し分散させて、ろ材13の表面に付着したSS(Suspended Solid)を剥離しやすくすることができる。また、ろ材13を分散させてならし、洗浄排水排出部16A,16B,16Cから流出し難くすることができる。
【0048】
洗浄排水槽20は、3つのろ過槽10A,10B,10Cの逆洗時に各洗浄排水排出部16A,16B,16Cから流出された洗浄排水及びろ材13を貯留することができるように槽状に形成されている。また、洗浄排水槽20には、各ろ過槽10A,10B,10Cから流出されたろ材13を撮像可能なカメラ60が設けられている。
【0049】
さらに、洗浄排水槽20には、底部側に外部に洗浄排水を排水することが可能な流出口21を設けられている。このような構成とすることで、洗浄排水槽20の底部に沈降し、溜まった固形物を洗浄排水と共に外部に排出することができる。
【0050】
したがって、洗浄排水弁17A,17B,17Cが開となると、上昇流路15A,15B,15C内の水が流下して、ろ材層13A,13B,13Cの逆洗がなされる。ろ材層13A,13B,13Cの上方から下方に通過した洗浄排水は、ろ材13と共に洗浄排水排出部16A,16B,16Cから流出され、配管17を通じて洗浄排水槽20に貯留される。
【0051】
還流手段30は、洗浄排水排出部16A,16B,16Cから流出されたろ材13を、洗浄排水と共に3つの調圧水槽11A,11B,11Cの各々に還流させることができる。
【0052】
還流手段30は、洗浄排水槽20に設けられているフロートポンプ31と、フロートポンプ31と調圧水槽11A,11B,11Cとを接続する還流配管32と、還流配管32の接続方向を調圧水槽11A,11B,11Cのいずれかに切替え可能なバルブ33とで構成されている。
【0053】
フロートポンプ31は、洗浄排水槽20に貯留された洗浄排水上に浮遊可能に設けられる。フロートポンプ31は、洗浄排水槽20の洗浄排水及びろ材13を吸入可能であり、吸入された洗浄排水及びろ材13を還流配管32に送出する。
【0054】
フロートポンプ31は、後述するコントロールユニットからの信号を受けて起動される。ろ材検知手段として洗浄排水槽20の水面を撮像可能なカメラ60が設置されているため、撮像データを他装置で解析し、所定量のろ材13が蓄積されたと判断されたとき、フロートポンプ31を起動するシステムとすることができる。ろ材検知手段として他のセンサを採用してもよいし、1日の適当なタイミング(例えば、午後5時)でフロートポンプ31を起動するようにしてもよい。
【0055】
なお、洗浄排水槽20の底部にろ材13の塊が沈降した場合は、回収が困難である。すなわち、洗浄排水槽20の水面に浮遊しているろ材13のみを回収することになり、還流処理によって洗浄排水槽20の水面は清浄な状態に保たれる。
【0056】
分配制御手段としてのバルブ33は、後述するコントロールユニットからの信号を受けて、還流配管32の接続先をろ過槽10A,10B,10C(調圧水槽11A,11B,11C)のいずれかに切り替えることができる。また、バルブ33は、予め定めた所定時間の経過に基づいて、還流配管32の接続先を切り替えることもできる。
【0057】
バルブ33は、各ろ過槽10A,10B,10Cに流入させる洗浄排水の流量を調整することができればよく、例えば、各ろ過槽10A,10B,10Cに向かう流路の開閉度合いを独立して調整することが可能な複数のバルブを有するようにしてもよい。
【0058】
図2に示すように、ろ過槽10A(10B,10C)は、ろ材層13A(13B,13C)の厚さを検出することが可能な検出手段40を有する。検出手段40は特に限定されないが、本実施形態では、出射光を出射することが可能な発光素子41A,41Bと、発光素子41A,41Bから出射された出射光Lを受光することが可能な受光素子42A,42Bとからなる。
【0059】
検出手段40は光センサに限られず、例えば、超音波を用いたセンサによって構成されていてもよい。また、ろ過槽10Aを一部ガラス張りとし、目視でろ材層13Aの厚さを把握できるようにしてもよい。なお、ろ材13を、ろ材層13A,13B,13Cの各々で異なる色に着色することで、いずれのろ過槽から流出したかを容易に確認することができる。ろ材層13A,13B,13Cの厚さや流出量の情報(流出情報)は、ろ材13を還流する還流処理においても活用される。
【0060】
発光素子41A,41Bは、例えば、発光ダイオード、レーザダイオード等を用いて構成することができる。発光素子41A,41Bは、ろ過槽10Aの内壁において、鉛直方向の互いに異なる位置に設けられている。なお、発光素子41A,41Bは、スクリーン12A(12B,12C)よりも下方に設けられている。
【0061】
また、受光素子42A,42Bは、例えば、フォトダイオードを用いて構成することができる。受光素子42A,42Bは、ろ過槽10Aの内壁において、鉛直方向の互いに異なる位置に設けられ、かつ発光素子41A,41Bに対向して設けられている。
【0062】
発光素子41A,41B及び受光素子42A,42Bは、鉛直方向の位置に応じて設けられている。言い換えれば、受光素子42A,42Bは、ろ材層13Aの厚さに応じて出射光Lを受光することが可能となる。
【0063】
図2においては、受光素子42Bは、発光素子41Bから出射された出射光Lを受光している。また、受光素子42Aは、発光素子41Aから出射された出射光Lがろ材13によって遮光されるため、出射光Lを受光することができない。したがって、この例では、ろ材層13Aの厚さは、受光素子42Bが設けられている位置よりも薄く、受光素子42Aが設けられている位置よりも厚いことがわかる。
【0064】
発光素子41A,41B及び受光素子42A,42Bは、便宜上2組しか記載されていないが、実際には鉛直方向に所定間隔を置いて複数組設置されており、どの組の受光素子において透過光が受光できたかによって、最下部に位置するろ材13の、スクリーン12Aからの距離、すなわち、ろ材13の厚さが求められるようになっている。
【0065】
図3は、ろ過装置100のコントロールユニット50の機能ブロックを示している。図示するように、コントロールユニット50の入力部51は、カメラ60、検出手段40及び洗浄排水弁17A,17B,17Cに接続されるインターフェース部である。
【0066】
記憶部52は、例えば、フラッシュメモリ等の記憶装置により構成されている。記憶部52は、BIOS(Basic Input Output System)、ソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。また、記憶部52は、カメラ60から送信された撮像データ及び検出手段40から送信された検出データ、すなわち、流出したろ材13に関連する流出情報を格納することができる。流出情報は、検出手段40から送信された流出情報と流出情報を受信した時刻を紐付けしたデータを含む。流出情報は、例えば、受光素子42A,42Bが出射光Lを受光した時刻が記録されている。
【0067】
出力部53は、洗浄排水弁17A,17B,17C、バルブ33及び曝気手段18A,18B,18Cに接続されるインターフェース部である。ろ過装置100は、出力部53を介して洗浄排水弁17A,17B,17C、バルブ33及び曝気手段18A,18B,18Cの動作を制御することができる。
【0068】
制御部54は、演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を有するコンピュータによって実現される。CPUは、ROMや記憶部52から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して、各種機能を実現する。
【0069】
コントロールユニット50の入力部51、記憶部52、出力部53及び制御部54の各々は、システムバス55を介して互いに接続されている。
【0070】
流出情報取得手段54aは、制御部54の機能ブロックの1つである。流出情報取得手段54aは、記憶部52に格納された流出情報を取得することができる。したがって、制御部54は、ろ過槽10A,10B,10Cの各々の洗浄排水排出部16A,16B,16Cから流出されたろ材13に関係する流出情報を取得する。
【0071】
調整手段54bも制御部54の機能ブロックの1つであり、上述の流出情報に基づいて、バルブ33の動作を調整することができる。したがって、制御部54は、還流手段30からろ過槽10A,10B,10C(調圧水槽11A,11B,11C)の各々に還流させるろ材13の量を、流出情報に基づいて調整する。調整手段54bは、例えば、各接続先の切り替え、又は各接続先の開閉度合い(流量)を調整することができる。
【0072】
動作制御部54cも制御部54の機能ブロックの1つであり、洗浄排水弁17A,17B,17C及び曝気手段18A,18B,18Cの制御を行うことができる。
【0073】
次に、上述のろ過装置100の全体処理について説明する。図4は、ろ過装置100の全体処理を示すフローチャートである。全体処理は、ろ材層13A,13B,13Cのろ過損失抵抗の値が所定値に達したことをトリガーとして実行される。
【0074】
ろ材層13A,13B,13Cのろ過損失抵抗は、前述したように、調圧水槽11A,11B,11Cの水面と、ろ過槽10A,10B,10Cの水面との水位差に相当するので、この水位差が所定値に達したときに、逆洗を含む本処理が開始されるようにすることができる。
【0075】
本処理が開始されると、まず、ろ過装置100の動作制御部54c(図3参照)は、洗浄排水弁17A,17B,17Cの開動作を開始する信号を送信し、かつ曝気手段18A,18B,18Cを起動する信号を送信して逆洗を実行する(ステップS101)。言い換えれば、所定の時間間隔で、ろ過槽10A,10B,10Cの各ろ材層13A,13B,13Cに下方からパルス曝気をしながら、処理水をろ材層13A,13B,13Cの上方から下方に通過させて逆洗を行う。
【0076】
次に、ろ過装置100の動作制御部54cは、洗浄排水槽20に洗浄排水を貯留する(ステップS102)。言い換えれば、動作制御部54cは、ろ材層13A,13B,13Cを通過した洗浄排水を外部に排出し、洗浄排水槽20に貯留する。なお、動作制御部54cは、所定時間経過後に洗浄排水弁17A,17B,17Cの閉動作を開始する信号を送信する。
【0077】
次に、ろ過装置100の動作制御部54cは、洗浄排水弁17A、17B,17Cの開閉動作に基づいて、逆洗が終了したか否かを判定する(ステップS103)。本判定は、例えば、洗浄排水弁17A,17B,17Cから送信された閉動作が完了した旨の信号を受信したことに基づいて行われる。本判定は、例えば、洗浄排水弁17A、17B,17Cを開とする信号を送信してからの経過時間、ろ過槽10A,10B,10Cのスクリーン12A,12B,12Cが配されている側の水面の位置等によって行ってもよい。
【0078】
動作制御部54cは、ステップS103において、逆洗が終了していないと判定した場合(ステップS103:NO)、逆洗の終了まで待機する。
【0079】
一方、動作制御部54cは、ステップS103において、逆洗が終了したと判定した場合(ステップS103:YES)、ろ材の還流が必要か否かを判定する(ステップS104)。本判定は、例えば、カメラ60によって撮像された撮像データにおいて、洗浄排水槽20に所定量以上のろ材13が確認されたか否かに基づいて行われる。
【0080】
動作制御部54cは、ステップS104の判定において、ろ材の還流が不要である、すなわち、確認されたろ材13が所定量未満である場合(ステップS104:NO)、全体処理を終了する。
【0081】
一方、動作制御部54cは、ステップS104の判定において、ろ材の還流が必要である、すなわち、確認されたろ材13が所定量以上である場合(ステップS104:YES)、還流処理が行われる(ステップS105)。還流処理の詳細は、後述する。その後、全体処理を終了する。
【0082】
図5は、図4のステップS105の還流処理のサブルーチンを示している。図5に示すように、流出情報取得手段54aは、記憶部52からろ材に関する流出情報を読み出して、当該流出情報を取得する(ステップS201)。
【0083】
調整手段54bは、ステップS201において取得した流出情報に基づいて、各々のろ材層の厚さに偏りがあるか否かを判定する(ステップS202)。本判定は、例えば、ろ材層13A,13B,13Cの厚みの差の絶対値が、所定値以上であるか否かによって行われる。
【0084】
調整手段54bは、ステップS202の判定において、各々のろ材層13A,13B,13Cの厚さに偏りがあると判定した場合(ステップS202:YES)、ろ材層の厚みが薄い順に順位付けを行う(ステップS203)。
【0085】
次に、調整手段54bは、ステップS203において行った順位付けに応じて、洗浄排水と共にろ材13をろ過槽10A,10B,10C(調圧水槽11A,11B,11C)に還流させる(ステップS204)。具体的には、調整手段54bは、各ろ過槽10A,10B,10Cに還流させるバルブ33の開時間をろ材層13A,13B,13Cの厚さ(順位付けの順位)に応じて制御することにより、ろ材13の還流量を調整することができる。
【0086】
一方、調整手段54bは、ステップS202の判定において、各々のろ材層13A,13B,13Cの厚さに偏りがないと判定した場合(ステップS202:NO)、各ろ過槽10A,10B,10Cに対して均等に還流を行う(ステップS205)。すなわち、調整手段54bは、各調圧水槽11A,11B,11Cに対してバルブ33の開時間が同じになるように制御する。
【0087】
以上のように、第1実施形態のろ過装置100によれば、流出情報に基づいて複数のろ過槽10A,10B,10Cの各々に還流するろ材13の量を調整することができるため、複数のろ過槽10A,10B,10Cにおけるろ材層13A,13B,13Cの厚さに偏りが生じることを防止できる。すなわち、ろ過装置100は、ろ過槽10A,10B,10Cにおけるろ過性能の偏りを防止することができる。
【0088】
[第2実施形態]
上述の第1実施形態においては、検出手段40によってろ材層13A,13B,13Cの厚さを検出する例を説明した。ろ材層13A,13B,13Cの各々の厚さは、ろ過槽10A,10B,10Cのろ過損失抵抗に基づいて算出されるようにしてもよい。以下では、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
図6は、第2実施形態に係るろ過装置200のろ過槽10A(10B,10C)を示している。ろ過槽10A,10B,10Cの各々には、ろ過損失抵抗を検出するため、調圧水槽11A,11B,11Cの水位を測定する水位センサ70(水位差検出手段)が設けられている。
【0090】
調圧水槽11A,11B,11Cに流入させる被処理水の流量をそれぞれ同じにしたとき、この水位センサ70で測定された水位と、処理水流出部14A,14B,14Cの高さとの水位差は、上記処理水の流量における各ろ過槽10A,10B,10Cのろ過損失抵抗を表す値となる。
【0091】
図7は、実施形態4に係るろ過装置200のコントロールユニット50’の機能ブロックを示している。図示するように、水位センサ70は、調圧水槽11A,11B,11Cに流入させる処理水の流量をそれぞれ同じにしたときの、各ろ過槽10A,10B,10Cの調圧水槽11A,11B,11Cの水位を測定し、当該測定値をコントロールユニット50’に出力する。当該測定値は、記憶部52に格納される。
【0092】
制御部54’の算出手段54dは、水位センサ70で測定された水位と、処理水流出部14A,14B,14Cの高さとの水位差によって、上記処理水の流量における各ろ過槽10A,10B,10Cのろ過損失抵抗を算出する。
【0093】
算出手段54dは、逆洗が終了した直後に計測された各ろ過槽10A,10B,10Cのろ過損失抵抗に基づいて、ろ材層13A,13B,13Cの厚さを算出することが可能である。すなわち、逆洗によってSS(Suspended Solid)等の付着量が同じ条件になったと仮定すると、ろ過損失抵抗は、ろ材層13A,13B,13Cの厚さに比例し、ろ過損失抵抗が大きいほど、ろ材層13A,13B,13Cの厚さが厚いことを意味する。
【0094】
したがって、ろ過損失抵抗と、ろ材層13A,13B,13Cの厚さとの関係を予め求めておくことにより、算出手段54dは、各ろ材層13A,13B,13Cの厚さを算出することが可能である。
【0095】
このように、第2実施形態のろ過装置200においても、ろ過槽10A,10B,10Cの各ろ材層13A,13B,13Cの厚さに偏りが生じることを防止できる。これにより、複数のろ過槽10A,10B,10Cにおけるろ過性能の偏りを防止することができる。
【0096】
また、上記方法によれば、各ろ過槽10A,10B,10Cのろ材層13A,13B,13Cの厚みを均等に保つことができるため、各ろ過槽のろ過槽10A,10B,10Cにおけるろ過能力を均等に保つことができる。なお、図4及び図5に示したフローチャートは、ろ過装置100で行われる処理の一実施形態であって、本発明におけるろ材還流処理の手順は、上記フローチャートに示される手順に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
10A,10B,10C ろ過槽
11A,11B,11C 調圧水槽
11a 受水部
11b 導入路
12A,12B,12C スクリーン
13 ろ材
13A,13B,13C ろ材層
14A,14B,14C 処理水流出部
15A,15B,15C 上昇流路
16A,16B,16C 洗浄排水排出部
17A,17B,17C 洗浄排水弁
18A,18B,18C 曝気手段
19A,19B,19C 流入部
20 洗浄排水槽
31 フロートポンプ
32 還流配管
33 バルブ
40 検出手段
41A,41B 発光素子
42A,42B 受光素子
50,50’ コントロールユニット
60 カメラ
70 水位センサ
100,200 ろ過装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7