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特開2022-122958裏側の基板接触を減少させる基板移送機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122958
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】裏側の基板接触を減少させる基板移送機構
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220816BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089353
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2020542451の分割
【原出願日】2019-01-17
(31)【優先権主張番号】15/894,735
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イシイ, マサト
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, リチャード オー.
(72)【発明者】
【氏名】ギリュム, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】バーガー, アレクサンダー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板がツール上の特定の処理チャンバの内部で移動させられているときか又は基板がツールのあるチャンバからツールの別のチャンバへと移動させられているときに生じる基板へのパーティクルの付着を防止する基板処理システム及びロードロックチャンバを提供する。
【解決手段】基板処理システム100は、移送チャンバ136に連結された基板インプット/アウトプットチャンバ122及び移送チャンバに連結された1つ又は複数の処理チャンバ110、112、132、128、120を含む。基板インプット/アウトプットチャンバ122は、複数の積み重ねられたキャリアホルダを有し、そのうちの1つは、基板を支持する基板キャリアを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムであって、
移送チャンバ、
前記移送チャンバに連結された基板インプット/アウトプットチャンバ、及び
前記移送チャンバに連結された処理チャンバ
を備え、
前記基板インプット/アウトプットチャンバが、複数の積み重ねられたキャリアホルダを含み、前記複数の積み重ねられたキャリアホルダのうちの1つが、基板を支持する基板キャリアを含む、基板処理システム。
【請求項2】
前記積み重ねられたキャリアホルダがそれぞれ、前記キャリアを支持するために前記キャリアホルダから延在する複数の支持部材を含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記基板インプット/アウトプットチャンバが、複数のリフトピンを有するプラテンを含み、前記複数のリフトピンは、前記プラテンを貫通して移動可能に配置されている、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記各リフトピンが、先端部及びシャフトを含み、前記先端部が、前記シャフトの材料より柔らかい材料で作られている、請求項3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記各リフトピンが、専用アクチュエータに動作可能に連結されている、請求項3に記載の処理システム。
【請求項6】
前記各リフトピンが、前記プラテンにおいて形成された開口内に配置され、前記開口がそれぞれ真空システムに流体連結されている、請求項3に記載の処理システム。
【請求項7】
前記各リフトピンが、基部及びモータを備えた基板リフト機構に連結されている、請求項3に記載の処理システム。
【請求項8】
前記プラテンが、前記プラテン内に埋め込まれた熱伝達素子を含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項9】
前記プラテンが、前記キャリアを中央配置するための複数の位置合わせパッドを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項10】
前記処理チャンバがそれぞれ、溝を有するサセプタを含み、前記溝は、前記キャリアを受け入れるために前記サセプタにおいて形成されている、請求項1に記載の処理システム。
【請求項11】
前記サセプタが、基板支持構造体によって支持されている、請求項10に記載の処理システム。
【請求項12】
前記サセプタ支持構造体が、複数のキャリアリフトピンを含む、請求項11に記載の処理システム。
【請求項13】
前記キャリアリフトピンがそれぞれ、前記溝に隣接する開口内に受け入れられる、請求項12に記載の処理システム。
【請求項14】
ロードロックチャンバであって、
内部に熱伝達素子が埋め込まれたプラテン、
前記プラテンの周りに位置付けされた複数のキャリアホルダ、
積み重ねられた前記キャリアホルダのそれぞれから延在する複数の支持部材、及び
前記積み重ねられた複数のキャリアホルダのうちの1つの前記支持部材上に位置付けされたキャリア
を備えているロードロックチャンバ。
【請求項15】
前記キャリアホルダがそれぞれ、前記キャリアを支持するために前記キャリアホルダから延在する複数の支持部材を含む、請求項14に記載のロードロックチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、処理ツール内で基板を移送するための方法及び装置に関する。より具体的には、本開示は、処理ツールの1つ又は複数のチャンバ内で基板を移送するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]超大規模集積(ULSI)回路には、シリコン(Si)基板などの半導体基板上に形成され、協働してデバイス内で様々な機能を実行する100万個以上の電子デバイス(例えば、トランジスタ)が含まれ得る。
【0003】
[0003]多くの従来の熱処理は、トランジスタ及び他の電子デバイスの製造においてよく使用されている。これらの処理は、通常、複数のチャンバを有するツール(例えば、クラスタツール)内で実行される。所望の歩留まりを達成するためには、これらの処理中の粒子の発生及び/又は基板の損傷に対して最も関心が払われる。しかしながら、粒子及び/又は損傷の1つの要因は、基板の移送中、すなわち、基板がツール上の特定の処理チャンバの内部で移動させられているとき、又は、基板がツールのあるチャンバからツールの別のチャンバへと移動させられているときに生じる。
【0004】
[0004]移送中の基板の裏側(すなわち、堆積受容面の反対側の面)に接触する従来の基板リフトピンが、粒子及び/又は基板損傷の1つの原因であることが判明している。例えば、基板がリフトピンと接触することにより、基板が傷付き、かつ/又はその接触から粒子が生じることがある。接触により生じた粒子は、チャンバ、基板、又は後続の基板を汚染する可能性があり、これらすべてが歩留まりを減少させる。
【0005】
[0005]したがって、ツール内で基板を移送するための改善された方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示は、概して、処理ツール内で基板を移送するための方法及び装置に関する。より具体的には、本開示は、処理ツールの1つ又は複数のチャンバ内で基板を移送するための方法及び装置に関する。
【0007】
[0007]一実施形態では、基板処理システムが開示されており、当該基板処理システムは、移送チャンバに連結された基板インプット/アウトプットチャンバ、及び移送チャンバに連結された1つ又は複数の処理チャンバを含み、基板インプット/アウトプットチャンバは、複数の積み重ねられたキャリアホルダを含み、キャリアホルダのうちの1つは、基板を支持する基板キャリアを含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、ロードロックチャンバが開示されており、当該ロードロックチャンバは、内部に熱伝達素子が埋め込まれたプラテン、プラテンの周りに位置付けされた複数のキャリアホルダ、積み重ねられたキャリアホルダのそれぞれから延在する複数の支持部材、及び積み重ねられた複数のキャリアホルダのうちの1つの支持部材上に位置付けされたキャリアを含む。
【0009】
[0009]別の実施形態では、処理チャンバが開示されており、当該処理チャンバは、溝を有するサセプタであって、溝が、処理チャンバの外周に隣接して処理チャンバにおいて形成されている、サセプタ、及び複数のキャリアリフトピンを含む基板支持構造体であって、キャリアリフトピンがそれぞれ、溝に隣接する開口内に受け入れられる、基板支持構造体を含む。
【0010】
[0010]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、本開示は、他の同等に効果的な実施形態も許容し得ることから、添付の図面は、この開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示を実施するのに適した例示的な処理装置の概略図を示す。
図2】本開示の一実施形態に係るロードロックチャンバの断面図である。
図3A】ロードロックチャンバ内のキャリアホルダの一実施形態を示す。
図3B】第1のキャリアホルダ及び第2のキャリアホルダの別の実施形態の等角図である。
図4A図1のファクトリインターフェース、ロードロックチャンバ、及び移送チャンバの間の基板移送シーケンスを示す図である。
図4B図1のファクトリインターフェース、ロードロックチャンバ、及び移送チャンバの間の基板移送シーケンスを示す図である。
図4C図1のファクトリインターフェース、ロードロックチャンバ、及び移送チャンバの間の基板移送シーケンスを示す図である。
図4D図1のファクトリインターフェース、ロードロックチャンバ、及び移送チャンバの間の基板移送シーケンスを示す図である。
図4E図1のファクトリインターフェース、ロードロックチャンバ、及び移送チャンバの間の基板移送シーケンスを示す図である。
図4F図1のファクトリインターフェース、ロードロックチャンバ、及び移送チャンバの間の基板移送シーケンスを示す図である。
図4G図1のファクトリインターフェース、ロードロックチャンバ、及び移送チャンバの間の基板移送シーケンスを示す図である。
図5A】冷却プラテン、及びロードロックチャンバの冷却プラテンに関連付けられた他の構成要素の図である。
図5B】冷却プラテン、及びロードロックチャンバの冷却プラテンに関連付けられた他の構成要素の図である。
図5C】冷却プラテン、及びロードロックチャンバの冷却プラテンに関連付けられた他の構成要素の図である。
図6】冷却プラテン及びキャリアの一部の概略断面図である。
図7A】ロードロックチャンバの詳細を示す図である。
図7B】ロードロックチャンバの詳細を示す図である。
図7C】ロードロックチャンバの詳細を示す図である。
図7D】ロードロックチャンバの詳細を示す図である。
図8】フレキシブル接合部材を介して支持プレートに連結されたモータの拡大断面図である。
図9A】真空システムの詳細を示すロードロックチャンバの等角図である。
図9B】真空システムの詳細を示すロードロックチャンバの等角図である。
図10】一実施形態に係る処理チャンバの概略断面図である。
図11図10のサセプタの等角図である。
図12図10のサセプタ及びキャリアの一部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0024]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。さらなる記載がなくても、ある実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に有益に組み込むことができることが想定されている。
【0013】
[0025]本開示は、処理ツール内で基板を移送するための方法及び装置を提供する。具体的には、基板の主表面との接触を最小限にする基板移送機構を使用して基板を移送する。
【0014】
[0026]図1は、本開示を実施するのに適した基板移送機構の一実施形態を含む例示的な処理システム100の概略上面図である。処理システム100は、基板インプット/アウトプットチャンバ122、真空気密処理プラットフォーム104、ファクトリインターフェース102、及びシステムコントローラ144を含む。基板インプット/アウトプットチャンバ122は、ロードロックチャンバであってもよい。一実施形態では、処理チャンバ100は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から市販されているCENTRA(登録商標)一体型処理システムであってもよい。本開示から利点を得るために、他の処理システム(他の製造業者からのものを含む)が適合され得ると想定される。
【0015】
[0027]プラットフォーム104は、複数の処理チャンバ110、112、132、128、120、及び真空基板移送チャンバ136に連結された少なくとも1つの基板インプット/アウトプットチャンバ122を含む。2つの基板インプット/アウトプットチャンバ122が図1に示されている。ファクトリインターフェース102は、基板インプット/アウトプットチャンバ122によって、移送チャンバ136に接続されている。
【0016】
[0028]一実施形態では、ファクトリインターフェース102は、基板の移送を促進するために、少なくとも1つのドッキングステーション108、及び少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット114を備えている。ドッキングステーション108は、1つ又は複数の前方開口型統一ポッドを受け容れるように構成されている。2つのFOUP106A、106Bが、図1の実施形態に示されている。ロボット114の一端に配置されたブレード116を有するファクトリインターフェースロボット114は、基板インプット/アウトプットチャンバ122を通した処理のために、基板をFOUP106A、106Bから処理プラットフォーム104に移送するように構成されている。
【0017】
[0029]基板インプット/アウトプットチャンバ122は、ファクトリインターフェース102に連結された第1のポート、及び移送チャンバ136に結合された第2のポートを有する。基板インプット/アウトプットチャンバ122は、圧力制御システム(図示せず)に連結される。圧力制御システムは、基板インプット/アウトプットチャンバ122をポンプダウンし、かつ通気させて、移送チャンバ136の真空環境とファクトリインターフェース102の実質的な周囲(例えば、大気)環境との間で基板を通過させることを容易にする。
【0018】
[0030]移送チャンバ136は、その中に真空ロボット130が配置されている。真空ロボット130は、基板インプット/アウトプットチャンバ122と処理チャンバ110、112、132、128、120との間で基板124を移送することが可能なブレード134を有する。
【0019】
[0031]システムコントローラ144は、処理システム100に連結される。システムコントローラ144は、システム100の処理チャンバ110、112、132、128、120の直接制御を使用して、又は代替的に、処理チャンバ110、112、132、128、120及びシステム100に関連付けられたコンピュータ(又はコントローラ)を制御することによって、システム100の動作を制御する。動作において、システムコントローラ144は、それぞれのチャンバ及びシステムコントローラ144からのデータ収集とフィードバックを可能にし、システム100の性能を最適化する。
【0020】
[0032]システムコントローラ144は、概して、中央処理装置(CPU)138、メモリ140、及び支持回路142を含む。CPU138は、産業用設定で使用できる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つであり得る。支持回路142は、従来、CPU138に連結され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等を含み得る。ソフトウェアルーチンは、CPU138によって実行されると、CPU138を特定用途コンピュータ(コントローラ)144に転換させる。ソフトウェアルーチンは、さらに、システム100から遠隔に位置する第2のコントローラ(図示せず)によって記憶かつ/又は実行され得る。
【0021】
[0033]図2は、本開示の一実施形態に係る基板インプット/アウトプットチャンバ 122の断面図である。基板インプット/アウトプットチャンバ122は、概して、チャンバ本体202、第1のキャリアホルダ204B、第2のキャリアホルダ204A、温度制御ペデスタル240、及び任意選択的なヒータモジュール270を備えている。第1のキャリアホルダ204B及び第2のキャリアホルダ204Aは、それぞれ、キャリア206によって支持された基板124を含む。チャンバ本体202は、アルミニウムなどの単体の材料から作成されてもよい。チャンバ本体202は、第1の側壁208、第2の側壁210、側方壁242(図2に1つだけ図示されている)、並びにチャンバ空間218を画定する上部214及び底部216を含む。窓(図示せず)をチャンバ本体の上部214に設けることができる。窓は、通常、石英から構成される。ヒータモジュール270が含まれる場合、チャンバ本体202の上部214は、少なくとも部分的にヒータモジュール270によって覆われる。
【0022】
[0034]チャンバ空間218の圧力を制御して、基板インプット/アウトプットチャンバ122を、移送チャンバ136の環境に実質的に適合するように排気し、ファクトリインターフェース102の環境に実質的に適合するように通気することができる。チャンバ本体202は、1つ又は複数の通風路230及びポンプ通路232を含む。通気中及び排気中の基板インプット/アウトプットチャンバ122内の流れは、通風路230及びポンプ通路232の位置により、実質的に層流であり、粒子汚染を最小限に抑えるように構成されている。
【0023】
[0035]ポンプ通路232は、真空ポンプ236に連結されている。真空ポンプ236は、低振動を有しており、それにより、基板インプット/アウトプットチャンバ122内のホルダ204B、204Aに位置付けされた基板124の乱れを最小化する一方で、基板インプット/アウトプットチャンバ122とポンプ236との間の流体経路を概して3フィート未満に最小化することにより、ポンプダウン効率及び時間を促進する。
【0024】
[0036]第1のローディングポート238がチャンバ本体202の第1の側壁208において配置されることにより、基板124を基板インプット/アウトプットチャンバ122とファクトリインターフェース102との間で移送することが可能になる。第1のスリットバルブ244は、第1のローディングポート238を選択的に封止して、基板インプット/アウトプットチャンバ122をファクトリインターフェース102から隔離する。第2のローディングポート239がチャンバ本体202の第2の側壁210において配置されることにより、基板124を基板インプット/アウトプットチャンバ122と移送チャンバ136との間で移送することが可能になる。第1のスリットバルブ244と実質的に同様な第2のスリットバルブ246は、第2のローディングポート239を選択的に封止し、基板インプット/アウトプットチャンバ122を移送チャンバ136の真空環境から隔離する。
【0025】
[0037]第1のキャリアホルダ204Bは、チャンバ底部216の上方に配置された第2のキャリアホルダ204Aに同心円状に連結される(すなわち、上部に重ねられる)。キャリアホルダ204B、204Aは、概して、チャンバ本体202の底部216を貫通して延在するシャフト282に連結された支持体220に取り付けられる。通常、各キャリアホルダ204B、204Aは、それぞれのキャリア206上に位置付けされた1つの基板を保持するように構成されている。シャフト282は、基板インプット/アウトプットチャンバ122の外側に配置されたリフト機構296に連結されている。リフト機構296は、チャンバ本体202内のキャリアホルダ204B及び204Aの上昇を制御する。ベローズ284は、支持体220とチャンバ本体202の底部216との間に連結され、シャフト282の周りに配置されることにより、第2のキャリアホルダ204Aと底部216との間にフレキシブルシールを設け、それにより、チャンバ本体202からの又はチャンバ本体202内への漏洩を防止し、基板インプット/アウトプットチャンバ122内の圧力を損なうことなく、キャリアホルダ204B、204Aの昇降を容易にする。
【0026】
[0038]第1のキャリアホルダ204Bが、ファクトリインターフェース102からの未処理基板を第1のキャリア206上で保持するように利用されると同時に、第2のキャリアホルダ204Aは、処理済み基板(例えば、エッチングされた基板)を、移送チャンバ136から戻ってきた第2のキャリア206上で保持するように利用される。
【0027】
[0039]図3Aは、基板インプット/アウトプットチャンバ122内のキャリアホルダ204B、204Aの一実施形態を示す。キャリア206は、明瞭性のために図3Aに図示されない。第2のキャリアホルダ204Aは、概して、支持体220によってチャンバ本体202の底部216の上方に保持される。第2のキャリアホルダ204Aを支持体220に対して離間関係に維持するために、第1のスタンドオフ308が各部材304、306の間に配置される。第2のスタンドオフ310が、第1のキャリアホルダ204Bと第2のキャリアホルダ204Aとの間に配置され、それらの間に離間関係が維持される。基板を回収してキャリアホルダ204B、204A上に堆積するとき、スタンドオフ308、310は、移送及びファクトリインターフェースロボット130、114のブレード134、116がそれらの間を通過することを可能にする。各ホルダ204B、204Aは、代替的に、ホルダ204B、204Aと基板インプット/アウトプットチャンバ122の隣接する構成要素との間の離間関係を維持する部分を組み込む「L字型」構成を有し得る。
【0028】
[0040]各キャリアホルダ204B、204Aは、第1の部材304及び第2の部材306を含む。各部材304、306は、そこから径方向内側に延びるリップ314を有する湾曲内側部分312を含む。湾曲内側部分312は、基板124がリップ314上に載ることを可能にするように構成される。湾曲内側部分312は、それらの間で基板124を捕捉し、それにより、基板124がリップ314から脱落するのを防止する。第1の部材304は、第2の部材306に面し、それぞれの湾曲内側部分312が他方に向いている。第1の部材304及び第2の部材306は、温度制御ペデスタル240の両側にある。温度制御ペデスタル240は、チャンバ122内の中央に配置され、チャンバ122の底部216から突出する。
【0029】
[0041]図3Bは、第1のキャリアホルダ204Bおよび第2のキャリアホルダ204Aの別の実施形態の等角図である。第1のキャリアホルダ204B及び第2のキャリアホルダ204Aは、それぞれ、キャリア206を支持するように示される。支持部材320は、キャリア206とスタンドオフ308、310との間に示されている。キャリア206は、システムを初期化するために手動で基板インプット/アウトプットチャンバ122内に移送されてもよい。例えば、キャリア206は、上部214(図2に図示)を開くことによって、又は第1のローディングポート238若しくは第2のローディングポート239のうちの1つを通して、スタンドオフ308、310上に配置され得る。位置付け処理については、以下で詳細に説明する。
【0030】
[0042]各支持部材320は、石英材料から作製され得る。各支持部材320は、締まり嵌め又はその他の適切な連結方法を介して、スタンドオフ308、310と接する。スタンドオフ308、310は、ステンレス鋼などの金属材料から作製され得る。スタンドオフ308、310は、約1インチのピッチ又は距離322だけ分離され得る。各キャリア206は、炭化ケイ素などのセラミック材料から作製され得る。温度制御ペデスタル240の上面とスタンドオフ308内のキャリア206の下面との間の距離324は、約0.75インチであり得る。
【0031】
[0043]再び図2を参照すると、温度制御ペデスタル240は、チャンバ202内の中央に位置する支持体278によって、チャンバ本体202の底部216に連結されている。支持体278は、中空であってもよく、又は、流体、電気信号、センサなどをペデスタル240につなぐことを可能にする通路を含んでもよい。シャフト282及びリフト機構296は、支持体278の周縁に位置付けされる。
【0032】
[0044]温度制御ペデスタル240は、近傍の基板の熱制御のための温度制御面292を有する。温度制御ペデスタル240は、循環水ジャケットであり得る熱伝達素子286、ペルチェ素子のような熱電デバイス、又は温度制御面292の温度の制御のために利用され得る他の構造体を含む。例えば、熱伝達素子286は、冷却プラテン280内に配置され、かつ冷却流体源(図示せず)に流体的に連結された1つ又は複数のチューブを含んでもよく、これにより、冷却プラテン280を通して冷却流体を循環させる。
【0033】
[0045]キャリアホルダ204B、204Aが連結された支持体220は、冷却プラテン280の上面292が近接する又は第2のキャリアホルダ204Aによって支持された基板に接触する第1の位置まで下降し得る。この第1の位置では、冷却プラテン280は、冷却プラテン280上に(又はその近傍に)配置された基板の温度を調節するために使用され得る。例えば、処理から戻ってくる基板は、冷却プラテン280の上面292で基板を支持することによって、基板インプット/アウトプットチャンバ122が排気されている間、基板インプット/アウトプットチャンバ122内で冷却され得る。熱エネルギーは、基板から、冷却プラテン280を通して熱伝達素子286に伝達され、基板が冷却される。基板を冷却した後、キャリアホルダ204B、204Aをチャンバ本体202の上部214に向けて上昇させることができ、それにより、ロボット130、114が、第2の基板支持体204Aに置かれた基板にアクセスすることが可能になる。任意選択的に、ホルダ204B、204Aは、上面292が、第1のキャリアホルダ204Bによって支持された基板に接触する又は近接する位置まで下降し得る。この位置では、冷却プラテン280は、基板を熱的に調節し、加熱するように使用され得る。
【0034】
[0046]図4Aから4Gは、図1のファクトリインターフェース102、基板インプット/アウトプットチャンバ122、及び移送チャンバ136の間の基板移送シーケンスを示す様々な図である。図4Aは、基板入出力チャンバ122の概略側面図であり、基板インプット/アウトプットチャンバ122の第1のローディングポート238を通って延びる第1のロボットブレード400を示す。第1のロボットブレード400は、図1のファクトリインターフェース102からの未処理の基板405を支持しているように示されている。第1のロボットブレード400は、図1に示すファクトリインターフェースロボット114のブレード116のうちの1つであり得る。
【0035】
[0047]第1のローディングポート238に加えて、基板インプット/アウトプットチャンバ122は、冷却プラテン280、第2のキャリアホルダ204A、第1のキャリアホルダ204B、及び支持部材320を介してホルダ204B、204A上に配置されたキャリア206を含む。さらに、リフトピン410は、そのうちの1つが断面で示されているが、冷却プラテン280を通って延びている。各々のリフトピン410は、リフトピン410をZ方向に動かすアクチュエータ411に連結される。冷却プラテン280とアクチュエータ411との間には、ベローズアセンブリ416が設けられている。冷却プラテン280内には複数のブッシング417も設けられており、内部でリフトピン410の垂直運動を促進する。
【0036】
[0048]各々のリフトピン410は、基板405の下面の端部に接触するように構成されている。各々のリフトピン410は、シャフト413の端に配置された先端部412を含む。先端部412は、シャフト413の材料より柔らかい材料で作られる。例えば、シャフト413は、ステンレス鋼などの金属材料から作製され得るが、先端部412は、ポリマー材料から作製され得る。先端部412のより柔らかい材料は、基板405の裏側のスクラッチが防止するか、又は最小限にする。先端部412の例示的な材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、又は他の適切なプラスチック材料を含むフルオロポリマーである。先端部412は、締まり嵌めを通してそれぞれのシャフト413に連結されるように設計され得る。図4Aに示す実施形態では、先端部412は、シャフト413に形成された窪み415にぴったりと嵌合する突出部分414を含む。
【0037】
[0049]第1のロボットブレード400は、X方向に第1のローディングポート238を通って基板インプット/アウトプットチャンバ122内に延在する。第1のロボットブレード400は、基板405を、第2のキャリアホルダ204A上に配置されたキャリア206と同心円上に位置付けするようにプログラミングされる。
【0038】
[0050]図4B及び図4Cは、第1のロボットブレード400が図4Aに示されるように配置された場合の基板インプット/アウトプットチャンバ122の概略断面図である。第1のロボットブレード400、キャリア206、及び基板405に加えて、熱伝達素子286が、冷却プラテン280の内部でより明瞭に示されている。カバープレート428を用いて、熱伝達素子286を冷却プラテン280内にシールすることができる。カバープレート428は、円形であってもよく、アルミニウム材料から作製され得る。
【0039】
[0051]再び図4Aを参照すると、第1のロボットブレード400と基板インプット/アウトプットチャンバ122内の任意の他の構成要素との間の最小クリアランスは、この移送プロセスの間、約0.12インチである。例えば、支持部材320の下面と基板405の上面との間の距離440は、約0.12インチであり、基板405の上面と第1のローディングポート238の表面との間の距離442は、約0.16インチであり、基板405の下面と先端部412の上面との間の距離444は、約0.2インチであり、先端部412の上面と冷却プラテン280の上面との間の距離446は、約0.60インチ、又はそれより大きい。
【0040】
[0052]図4Dは、図4Aから4Cの説明で論じた移送プロセスの別の部分を示す概略側面図である。図4Dは、第1のロボットブレード400からリフトピン410に移送された基板405を示す。リフトピン410への基板405の移送は、第1のロボットブレード400の垂直運動(Z方向)によって達成され得る。この位置では、第1のロボットブレード400の上面と基板405の下面との間の距離448は、約0.2インチであり得る。第1のロボットブレード400の下面とキャリア206の上面との間の距離450は、この位置では約0.13インチであり得る。この位置で、第1のロボットブレード400は、基板インプット/アウトプットチャンバ122から引き出され得る。
【0041】
[0053]図4Eは、図4Aから4Dの説明で論じた移送プロセスの別の部分を示す概略側面図である。図4Eは、リフトピン410から、第2のキャリアホルダ204A上に配置されたキャリア206に移送された基板405を示す。この図では、ホルダ204B、204AをZ方向に移動させる(図2に示す)支持体220は、その最も高い位置にある。支持体220の最も高い位置により、ホルダ204B、204Aの両方が上部214に向けて上昇させられる。さらに、リフトピン410が引き込まれる(Z方向に下げられる)ことにより、図2に示すように、第2のロボットブレード452が、移送チャンバ136から第2のローディングポート239に入ることが可能になる。第2のロボットブレード452は、図1に示す真空ロボット130のブレード134であってもよい。
【0042】
[0054]第2のロボットブレード452は、基板405、並びにキャリア206を、移送チャンバ136を介して、図1に示す処理チャンバ110、112、132、128、120のうちの1つ又は複数に移送するように利用される。図4Eに示す位置では、上部214の下面と第1のキャリアホルダ204B上に配置されたキャリア206との間の距離454は、約0.25インチであり、第2のロボットブレード452の上面とキャリア206の下面との間の距離456は、約0.19インチであり得る。基板405を第2のロボットブレード452に移送するために、支持体220(図2)は、距離456よりも大きいな距離にわたってZ方向に下降する。その後、キャリア206及び基板405が上部に載っている第2のロボットブレード452は、X方向に第2のローディングポート239から引き出され得る。
【0043】
[0055]図4Fは、図4Aから4Eの説明で論じた移送プロセスの別の部分を示す概略側面図である。図4Fは、キャリア206によって支持される、(図1に示される)移送チャンバ136からの処理済み基板458を示す。キャリア206は、第2のロボットブレード452によって支持されている。この移送プロセスでは、支持体220は、最も低い位置にあり、その結果、上部214と第1のキャリアホルダ204Bとの間に空間が設けられる。さらに、リフトピン410が引き込まれる。図4Fでは、キャリア206が第1のキャリアホルダ204Bと同心円状に整列している状態で基板458が示されている。
【0044】
[0056]図4Gは、図4Aから4Fの説明で議論された移送プロセスの別の部分を示す概略側面図である。図4F図4Gに示される両位置の間では、リフトピン410は、図4Fに示される位置から、リフトピン410が支持する基板458を示す図4Gに示される位置まで、垂直(Z方向)に作動する。さらに、キャリア206は、第1のキャリアホルダ204Bによって支持される。図4Gに示されるように、一旦基板458がリフトピン410によって支持されると、第1のロボットブレード400が、横方向(X方向)及び/又は縦方向(Z方向)に作動し、基板458をリフトピン410から取り除く。一旦、基板458が第1のロボットブレード400によって支持されると、基板458が載っている第1のロボットブレード400は、第1のローディングポート238を通って移動することができ、基板458は、ファクトリインターフェース102内に配置され得る。
【0045】
[0057]図5Aから図5Cは、冷却プラテン280、及び基板インプット/アウトプットチャンバ122の冷却プラテン280に関連付けられた他の構成要素の様々な図である。図5Aは、冷却プラテン280、並びに支持体220に連結された第1のキャリアホルダ204B及び第2のキャリアホルダ204Aの等角図である。図5Bは、冷却プラテン280、複数のキャリア206のうちの1つ、及び支持体220の等角部分断面図である。
【0046】
[0058]図5Aでは、複数の位置決めピン500が、冷却プラテン280の外周領域において冷却プラテン280に連結されているように示されている。位置決めピン500は、それぞれ、冷却プラテン280(図5Bに示す)の外周に形成された開口505内に一時的に位置付けされ、キャリア206を第1のキャリアホルダ204B及び第2のキャリアホルダ204A上に中央配置又は位置付けするために利用される。位置決めピン500は、第1の又は第2のキャリアホルダ204A又は204Bのうちの一方に位置付けされたとき、キャリア206の外縁位置を画定する。例えば、キャリア206は、手動で基板インプット/アウトプットチャンバ122内に移送され得、位置決めピン500は、キャリア206を冷却プラテン280に対して位置付けするために利用される。キャリア206が第1の又は第2のキャリアホルダ204A、204B上に位置付けされると、位置決めピン500は、各キャリア206の外縁を密接に閉じ込め、キャリア206を処理のために位置付けする。一旦キャリア206が位置付けされると、位置決めピン500を取り外すことができる。それぞれの位置決めピン500は、石英材料から作製され得る。
【0047】
[0059]図5Aは、冷却プラテン280に連結された複数の位置合わせパッド510をさらに示す。図5Aには2つのパッド510のみが示されているが、別のパッドが、第1のキャリアホルダ204B及び第2のキャリアホルダ204Aによって隠されている。
【0048】
[0060]パッド510の断面が図5B及び図5Cに示される。各パッド510は、キャリア206と冷却プラテン280との間の接触を防止するために利用され得る。さらに、冷却中にキャリア206がパッド510によって支持されるので、基板(図示せず)とプラテン280との接触が防止される。例えば、基板がキャリア206の基板受容面515に置かれると、パッド510は、冷却プラテン280の上面とキャリア206の基板受容面515との間に間隙520を設ける。キャリア206の基板受容面515は、その上に取り付けられる基板の下面と一致することになり、間隙520は、基板の下面から冷却プラテン280の上面まで延びることになる。位置決めピン500と同様に、パッド510は石英材料から作られる。
【0049】
[0061]図5Cは、冷却プラテン280、複数のパッド510のうちの1つのパッド510、及びキャリア206の拡大断面図である。それぞれのパッド510は、断面が概して「T」字形であり、各パッド510は、平坦な肩部530を含む。肩部530は、そこから延びる突出部535を取り囲む。肩部530と突出部535との間には、傾斜面540が設けられている。ここでは、突出部535は円錐台状である。傾斜面540を利用して、キャリア206を冷却プラテン280に対して中央配置することができる。それぞれのパッド510は、冷却プラテン280に形成された開口550内に挿入されるピン部分545をさらに含む。肩部530は、冷却プラテン280の凹状フランジ555内に嵌合する。肩部530の高さ560は、間隙520を設けるために、凹状フランジ555の深さよりもわずかに大きい。
【0050】
[0062]図6は、冷却プラテン280及びキャリア206の一部の概略断面図である。キャリア206は、基板受容面515上に支持された基板600を有する。キャリア206は、円形本体605を含み、円形本体605には、基板受容面515の反対側に形成された凹溝610がある。ここでは、円形本体605は、環状である。凹溝610に隣接する周縁部615が、パッド510の肩部530に接触する(いずれも図5Cに示される)。周縁部615と肩部530(図5Cに示される)との間の接触が、間隙520を設ける。斜面縁部620が、周縁部615のうちの1つ(例えば、外周縁)を外壁625と接続させる。斜面縁部620は、パッド510の傾斜面540と接触し得る(両方とも図5Cに示される)。
【0051】
[0063]図7Aから7Dは、基板インプット/アウトプットチャンバ122の詳細を示す様々な図である。図7Aは、リフトピン410を動かす基板リフト機構700を示す、基板インプット/アウトプットチャンバ122の等角底面図である。基板リフト機構700は、冷却プラテン280に連結されたモータ704と、複数のリフトピンアセンブリ706とを支持する支持プレート702を含む。複数の一次真空チューブ710を有する真空システム708もさらに示されている。一次真空チューブ710は、冷却プラテン280に連結され、冷却プラテン280内に配置されたリフトピン410に関連付けられた通路を排気するために利用される。真空システム708と一次真空チューブ710は互いに流体連通しており、図9Aでより詳細に説明される。
【0052】
[0064]図7B及び図7Cは、基板リフト機構700によってもたらされる運動を示す、冷却プラテン280の一部の側断面図である。図7Bは、伸張位置のリフトピン410を示し、図7Cは、引っ込み位置のリフトピン410を示す。図7Dは、図7Bの基板リフト機構700の拡大断面図である。図7Bから7Dには、1つのリフトピン410及び関連付けられた基板リフト機構700のみが示されているが、支持プレート702上の複数のリフトピン410の各リフトピン410は、関連付けられた基板リフト機構700を有することに留意されたい。
【0053】
[0065]図7Bから図7Dに示すように、リフトピンアセンブリ706は、冷却プラテン280と支持プレート702に連結されたベースハウジング711との間に配置されたベローズ708を含む。ベローズ708は、低熱膨張係数及び高強度有する金属合金から作製されてもよい。一例では、ベローズ708は、Ni-Mo-Cr合金(例えば、商品名HAYNES(登録商標)242(登録商標)で販売されている合金材料)であってもよい。ベースハウジング711と支持プレート702との間の界面には、Oリングのようなシール709が設けられ得る。取り付けプレート713が、冷却プラテン280とベローズ708との間に連結され得る。取り付けプレート713は、ファスナを介して冷却プラテン280に連結され得る。
【0054】
[0066]リフトピン410のシャフト413の一部が、ベースハウジング711内に配置される。例えば、図7B及び図7Dに最も良く示されるように、先端部412の反対側のシャフト413の端部が把持部材712に連結される。把持部材712は、高熱環境で使用可能なプラスチック材料(例えば、商品名VESPEL(登録商標)で販売されているポリイミド系ポリマー)から作製され得る。把持部材712は、リテーナハウジング714に連結されている。リテーナハウジング714は、その一端で把持部材712のリップ716を受け入れる。リテーナハウジング714の反対側の端部は、ベースピン718に連結される。ベースピン718は、支持プレート702に連結され得る。ベースピン718、ベースハウジング711、及びリテーナハウジング714のための材料は、ステンレス鋼などの金属を含む。
【0055】
[0067]再び図7B及び図7Cを参照すると、リフターピン410のうちの1つの周りに配置されたブッシング417が示されている。それぞれのブッシング417は、高熱環境で使用可能なプラスチック材料から作製され得る。それぞれのブッシング417は、内部リテーナ724(例えば、スナップリングリテーナ)によって固定され得る。ボルト又はネジ軸であり得る制限部材726が、支持プレート702に連結されているように示されている。図7Bに示すように、制限部材726の高さを例えばZ方向に調整して、リフトピン410の運動をZ方向に制限することができる。
【0056】
[0068]図8は、フレキシブル接合部材800を介して支持プレート702に連結されたモータ704の拡大断面図である。フレキシブル接合部材800は、複数のベースファスナ810によって支持プレート702に連結された基部805を含む。それぞれの基部ファスナ810は、支持プレート702に形成されたオーバーサイズ孔815を通過する。それぞれのオーバーサイズ孔815は、基部ファスナ810の直径よりも大きい直径を有し、これにより、基部ファスナ810が孔815を通り、基部805に固定されることが可能になる。基部805は、中央ファスナ825の一部を受け入れる貫通スロット820を含む。中央ファスナ825は、モータ704を基部805に連結する。貫通スロット820は、中央ファスナ825の頭部830の少なくとも一部を露出させ、これにより、中央ファスナ825の回転が中央ファスナ825をZ方向に沿って移動させることが可能になる。作動すると、フレキシブル接合部材800は、支持プレート702と基部805の外周領域との間に数ミリメートルの間隙835を設ける。
【0057】
[0069]図9A及び図9Bは、真空システム708の詳細を示す、基板インプット/アウトプットチャンバ122の等角図である。図9Aは、基板インプット/アウトプットチャンバ122の等角底面図であり、図9Bは、基板インプット/アウトプットチャンバ122の底部の等角断面図である。
【0058】
[0070]図9A及び図9Bでは、支持プレート702が、冷却プラテン280の下方に配置され、モータ704及び複数のリフトピンアセンブリ706が、それらの間に連結されている。複数の一次真空チューブ710が図9Aに示されている。各一次真空チューブ710は、それぞれのリフトピンアセンブリ706に関連付けられ、1つ又は複数の二次真空チューブ905によって前方ライン900に連結されている。隔離弁910が、一次真空チューブ710と前方ライン900との間に配置されているよう示されている。
【0059】
[0071]図9Bに示されるように、それぞれの一次真空チューブ710(図9Bでは1つのみが示される)は、ボア920によってリフトピン通路915に流体的に連結される。ボア920とリフトピン通路915の両方が、冷却プラテン280内に形成される。例えば、リフトピン通路915は、冷却プラテン280の2つの主要面間に形成された貫通孔であり、ボア920は、リフトピン通路915の長さに沿って、一次真空チューブ710と接続する冷却プラテン280の片方の主要面へと形成された通路であり得る。作動中、真空システム708は、真空ポンプ236(図2に示される)に連結された前方ライン900に連結される。真空ポンプ236は、リフトピン通路915を排気するために利用されるが、基板インプット/アウトプットチャンバ122のチャンバ空間218を排気するためにも利用される。
【0060】
[0072]図10は、一実施形態に係る処理チャンバ1000の概略断面図である。処理チャンバ1000は、図1に示す処理チャンバ110、112、132、128、120のうちの1つ又は複数であってもよい。
【0061】
[0073]サセプタ1006は、処理チャンバ1000内部で、上方ドーム1028と下方ドーム1014との間に位置する。処理チャンバ1000は、基板124の上面への材料の堆積を含む、1つ又は複数の基板の処理のために使用され得る。処理チャンバ1000は、他の構成要素の中でもとりわけ処理チャンバ1000内に配置されたサセプタ1006の背面1004を加熱するための放射加熱ランプ1002のアレイを含み得る。ここで使用される「サセプタ」は、放射エネルギーを吸収し、吸収した放射エネルギーを熱エネルギーに変換する物体として定義される。この熱エネルギーは、サセプタの上又は近傍に置かれた別の物体を加熱する。処理チャンバ1000は、サセプタ1006を含むが、ここに記載されたキャリア206の実施形態が、他の種類の基板支持体又はペデスタルと共に使用されてもよく、サセプタ1006と同様に構成されてもよい。上方ドーム1028、下方ドーム1014、及び上方ドーム1028と下方ドーム1014との間に配置された基部リング1036は、概して、処理チャンバ1000の内部領域を画定する。ここに記載されるように、デバイス側1016が上を向き、キャリア206上のサセプタ1006の前側1010に位置付けされる基板124は、処理チャンバ1000内に持ち込まれ、ローディングポート1003を通してサセプタ1006上に位置付けされ得る。サセプタ1006は、サセプタ支持構造体1090によって支持され得る。サセプタ支持構造体1090は、中心シャフト1032によって支持された少なくとも3つの第1の支持アーム1092(2つだけが示されている)を含む。一実施形態では、中心シャフト1032上のサセプタ1006を下降させることにより、キャリアリフトピン1005がキャリア206と接触することが可能になる。キャリアリフトピン1005は、第1の支持アーム1092の孔及びサセプタ1006の孔を通過し、キャリア206及び基板124をサセプタ1006から引き上げる。キャリア206は、サセプタ1006の前側1010に形成された凹部又は溝1025内に配置され得る。サセプタ1006は、図示されているように処理位置に配置されている間、処理チャンバ1000の内部空間を、基板124の上方の処理ガス領域1056とサセプタ1006の下方のパージガス領域1058とに分割する。サセプタ1006は、回転させることができ、さらに基板124及びキャリア206を上下方向1034に移動させる。ランプ1002は、電球1041を含むように構成されてもよく、基板124を加熱するために使用される。基板124の温度測定/制御のために、光高温計1018が使用され得る。ランプ1002は、ランプヘッド1045の内部に含まれ得る。ランプヘッド1045は、例えば、複数のランプ1002間に位置するチャネル1049内に導入される冷却流体によって、処理中又は処理後に冷却され得る。処理ガス供給源1072から供給される処理ガスは、基部リング1036に形成された処理ガス注入口1074を通じて、処理ガス領域1056内に導入される。処理ガスは、処理ガス領域1056から(流路1075に沿って)、処理チャンバ1000の、処理ガス注入口1074とは反対側に位置するガス排出口1078を通って排出される。ガス排出口1078を通る処理ガスの除去は、そこに連結された真空ポンプ1080によって促進され得る。円形シールド1067又は予熱リングが、サセプタ1006の周囲に任意選択的に配置されてもよい。サセプタ1006は、さらにライナアセンブリ1063によって囲まれてもよい。シールド1067は、処理ガスのための予熱ゾーンを設けながら、ランプ1002から基板124のデバイス側1016への熱/光ノイズの漏出を防止又は最小化する。ライナアセンブリ1063は、処理チャンバ1000の金属壁から処理空間(すなわち、処理ガス領域1056及びパージガス領域1058)を遮蔽する。金属壁は、前駆体と反応して、処理空間内に汚染を生じさせ得る。シールド1067及び/又はライナアセンブリ1063は、CVD SiC、SiCでコーティングされた焼結グラファイト、成長SiC、不透明石英、コーティングされた石英、又は処理ガス及びパージガスによる化学分解に対して耐性を有する任意の類似した適切な材料から作製されてもよい。クランプリング1030を用いて上方ドーム1028に固定されるリフレクタ1022が、上方ドーム1028の外側に任意選択的に配置されてもよい。冷却源(図示せず)に接続するために、リフレクタ1022は、1つ又は複数のチャネル1026を有し得る。チャネル1026は、リフレクタ1022の側面に形成された通路(図示せず)に接続される。
【0062】
[0074]図11は、図10のサセプタ1006の等角図である。キャリア206は、キャリアリフトピン1005によって支持されて、基板124(キャリア206によって支持されている部分が示される)をサセプタ1006の前側1010から離間させる。図11に示すキャリア206と基板124の位置は、ロボット(図示せず)がサセプタ1006の前側1010と基板124との間の空間に入り得る移送位置であり得る。
【0063】
[0075]基板支持体190は、中央シャフト1032、及び中央シャフト1032の周囲に配置された外側シャフト1100を含む。中央シャフト1032及び外側シャフト1100の一方又は両方は、他方に対して直線的に移動可能である。一実施形態では、サセプタ1006をキャリアリフトピン1005に対して上下させるために、外側シャフト1100が静止している間、中央シャフト1032をZ方向に移動させることが可能である。キャリアリフトピン1005は、第1の支持アーム1092と略平行である第2の支持アーム1105上に配置される。第2の支持アーム1105の端部は、キャリア206の移送中にキャリアリフトピン1005が支持されるパッド1110を含む。第1の支持アーム1092は、サセプタ1006の外周1120においてサセプタ1006の裏側1004に接触する角度付けられた延長部1115を含む。キャリアリフトピン1005は、第1の支持アーム1092に形成された開口1125を通して移動可能に配置され、これにより、キャリアリフトピン1005は、第1の支持アーム1092に対してZ方向に動くことが可能になる。
【0064】
[0076]図12は、図10のサセプタ1006及びキャリア206の一部の拡大断面図である。図10で説明されたように、キャリア206は、サセプタ1006の前側1010に形成された溝1025内に配置される。キャリアリフトピン1005のうちの1つは、溝1025に隣接してサセプタ1006に形成された開口1200を通して設けられる。図10及び図12に示す処理位置では、キャリア206が溝1025内に静止するか又は受け入れられるように、キャリアリフトピン1005がキャリア206から離脱する。例えば、溝1025は、キャリア206の周縁部615が支持され得る基準面1205を含む。図示の処理位置では、溝1025及びキャリア206は、キャリア206の上面1210が、サセプタ1006の前側1010及び基板124の上面の平面の一方又は両方の平面の下方にあるように構築される。キャリアリフトピン1005は、フレア状ヘッド1215を含む。フレア状ヘッド1215は、キャリアリフトピン1005が、サセプタ1006内で吊り下げられ、キャリア206から離間されることを可能にする。例えば、キャリアリフトピン1005は、開口1200の角度付けられた側壁1225に適合する円形の角度付けられた側壁1220を含む。
【0065】
[0077]しかしながら、移送中、基板124が載っているキャリア206は、サセプタ1006から持ち上げられて離されてもよい。例えば、フレア状ヘッド1215の凸部1230がキャリア206の凹溝610に接触するように、サセプタ1006が下向きに(Z方向に)付勢され得る。リフトピン1005をZ方向に継続的に持ち上げることにより、図11に示すように、基板124をサセプタ1006の前側1010から離間させる。基板124及びキャリア206をサセプタ1006から離間させることによって、ロボットブレード(図示せず。例えば、図1に示す真空ロボット130のブレード134)が、それらの間に入ることが可能になる。
【0066】
[0078]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱しない限り、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案してもよい。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバであって、
第1の面、および前記第1の面と反対側の第2の面を有する、サセプタと、
前記第1の面の外周近くにおいて前記第1の面に形成された溝であって、前記第1の面の平面から陥凹させられた基準面を有する溝と、
複数のキャリアリフトピンを含む基板支持構造体であって、前記キャリアリフトピンの各々が、前記第2の面と前記基準面との間に形成された開口内に移動可能に配されており、前記開口は、前記基準面からある距離をおいて開始するように陥凹させられた、角度付けられた開口側壁を含み、前記複数のキャリアリフトピンの各々は、基板キャリアの凹部に接触するように構成された凸部を含む、基板支持構造体と
を備え、
前記複数のキャリアリフトピンは、前記サセプタに対して、上昇位置と下降位置との間で相対移動可能であり、前記上昇位置では前記凸部が前記基板キャリアの前記凹部と接触し、前記下降位置では前記凸部が前記基板キャリアから離隔させられる、処理チャンバ。
【請求項2】
前記下降位置は、前記複数のキャリアリフトピンが前記サセプタから吊り下げられる吊下位置である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
前記基準面が、前記基板キャリアを支持するように構成されている、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記基準面が、前記基板キャリアを支持するように構成されており、かつ前記基準面が、前記第1の面と平行である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
前記複数のキャリアリフトピンの各々がフレア状ヘッドを含み、前記フレア状ヘッドが、
前記角度付けられた開口側壁と適合するように構成された、角度付けられたヘッド側壁と、
前記凸部と
を含む、請求項4に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
前記下降位置は、前記複数のキャリアリフトピンが前記サセプタから吊り下げられる吊下位置である、請求項5に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記基板支持構造体が、複数の第1の支持アームと、複数の第2の支持アームとを含む、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
前記第1の支持アームの各々が、前記サセプタの前記第2の面と接触している、請求項7に記載の処理チャンバ。
【請求項9】
前記第2の支持アームの各々が、前記複数のキャリアリフトピンのうちの1つのキャリアリフトピンを支持する、請求項7に記載の処理チャンバ。
【請求項10】
前記複数のキャリアリフトピンの各々が、前記第1の支持アームのうちの1つに形成されたリフトピン用開口を通って延在するように配置されている、請求項7に記載の処理チャンバ。
【請求項11】
処理チャンバであって、
第1の面および前記第1の面と反対側の第2の面を持つ本体を有するサセプタと、
前記第1の面の外周近くにおいて前記第1の面に形成された溝であって、前記第1の面の平面から陥凹させられた陥凹面を有する溝と、
複数のキャリアリフトピンを含む基板支持構造体であって、前記キャリアリフトピンの各々が、前記溝の中に位置する開口内に移動可能に配されており、前記開口は、前記本体を通って形成されており、かつ前記開口は、前記溝の前記陥凹面からある距離をおいて開始するように陥凹させられた、角度付けられた開口側壁を含み、前記複数のキャリアリフトピンの各々は、基板キャリアの凹部に接触するように構成された凸部を含む、基板支持構造体と
を備え、
前記複数のキャリアリフトピンは、前記サセプタに対して、上昇位置と下降位置との間で相対移動可能であり、前記上昇位置では前記凸部が前記基板キャリアの前記凹部と接触し、前記下降位置では前記凸部が前記基板キャリアから離隔させられる、処理チャンバ。
【請求項12】
前記基板支持構造体が、複数の第1の支持アームと、複数の第2の支持アームとを含む、請求項11に記載の処理チャンバ。
【請求項13】
前記第1の支持アームの各々が、前記サセプタの前記第2の面と接触している、請求項12に記載の処理チャンバ。
【請求項14】
前記第2の支持アームの各々が、前記複数のキャリアリフトピンのうちの1つのキャリアリフトピンを支持する、請求項12に記載の処理チャンバ。
【請求項15】
前記複数のキャリアリフトピンの各々が、前記第1の支持アームのうちの1つに形成されたリフトピン用開口を通って延在するように配置されている、請求項12に記載の処理チャンバ。
【請求項16】
前記陥凹面が、前記基板キャリアを支持するように構成されており、かつ前記陥凹面が、前記第1の面と平行である、請求項11に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記複数のキャリアリフトピンの各々がフレア状ヘッドを含み、前記フレア状ヘッドが、
前記角度付けられた開口側壁と適合するように構成された、角度付けられたヘッド側壁と、
前記凸部と
を含む、請求項16に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記下降位置は、前記複数のキャリアリフトピンが前記サセプタから吊り下げられる吊下位置である、請求項17に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
前記下降位置は、前記複数のキャリアリフトピンが前記サセプタから吊り下げられる吊下位置である、請求項11に記載の処理チャンバ。
【請求項20】
前記陥凹面が、前記基板キャリアを支持するように構成されている、請求項11に記載の処理チャンバ。
【外国語明細書】