(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123618
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】バンドクランプ及びバンドクランプを備えたワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20220817BHJP
F16L 3/137 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
F16B2/08 S
F16B2/08 U
F16L3/137
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021037
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岡 大智
(72)【発明者】
【氏名】山崎 晴美
(72)【発明者】
【氏名】保田 大地
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 憲二郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 玲遠
(72)【発明者】
【氏名】岩本 理穂
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AD08
3H023AD18
3H023AD53
3H023AE08
3J022DA19
3J022EA32
3J022EC14
3J022EC22
3J022FA05
3J022FA07
3J022FA08
3J022FB08
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB45
3J022GB56
3J022GB77
(57)【要約】
【課題】幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりしないバンドクランプ及びバンドクランプを備えたワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤーハーネス10を保持するハーネス保持部2が備えられたバンドクランプ1であって、前記ハーネス保持部2が、前記ワイヤーハーネス10の外周に巻き付けられるバンド部3と、前記ワイヤーハーネス10に巻き付けられた前記バンド部3を環状に連結するバックル部4とを有しており、少なくとも前記バンド部3の内周側に、当該バンド部3の長手方向に沿ってエラストマー5が配置された。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部が備えられたバンドクランプであって、
前記ハーネス保持部が、前記ワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるバンド部と、前記ワイヤーハーネスに巻き付けられた前記バンド部を環状に連結するバックル部とを有しており、
少なくとも前記バンド部の内周側に、当該バンド部の長手方向に沿って弾性樹脂材が配置された
バンドクランプ。
【請求項2】
前記バンド部の内周面に、当該バンド部の長手方向に沿って所定間隔を隔てて複数の凸部が設けられ、
前記弾性樹脂材が、前記凸部の頂部と前記バンド部の内周面を覆う範囲に配置された
請求項1に記載のバンドクランプ。
【請求項3】
前記バンド部の内周面に、当該バンド部の長手方向に沿って所定間隔を隔てて複数の凸部が設けられ、
前記弾性樹脂材が、前記バンド部の内周面のみを覆う範囲に配置された
請求項1に記載のバンドクランプ。
【請求項4】
前記バンド部及び前記バックル部の少なくとも一方と、前記弾性樹脂材とを固定する固定部が設けられた
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバンドクランプ。
【請求項5】
前記固定部が、前記バンド部及び前記バックル部の少なくとも一方と、前記弾性樹脂材とを接着する接着部である
請求項4に記載のバンドクランプ。
【請求項6】
前記固定部が、前記バンド部及び前記バックル部の少なくとも一方と、前記弾性樹脂材とを掛止する掛止部である
請求項4に記載のバンドクランプ。
【請求項7】
前記掛止部が、前記バンド部の長手方向に対して垂直となる掛止片を有し、
前記弾性樹脂材の内周面に、前記バンド部の長手方向に対して垂直となる掛止溝が設けられており、
前記掛止片と前記掛止溝が嵌合する
請求項6に記載のバンドクランプ。
【請求項8】
前記弾性樹脂材の内周面に、前記バンド部の長手方向に対して垂直となる曲げ溝が設けられた
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のバンドクランプ。
【請求項9】
前記弾性樹脂材が帯状に形成されており、
前記弾性樹脂材の先端部分と基端部分を連結する連結部が設けられた
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のバンドクランプ。
【請求項10】
前記バックル部の内周側に、前記弾性樹脂材が配置された
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のバンドクランプ。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のバンドクランプにて、電線群である幹線と、当該幹線から分岐した電線である枝線とをまとめて保持した
ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バンドクランプ及びバンドクランプを備えたワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気機器に対して接続されるワイヤーハーネスが知られている。ワイヤーハーネスは、複数の電線を束にしたものであり、主な電線群である幹線と、幹線から分岐した電線である枝線とを有するものが存在している。
【0003】
ところで、ワイヤーハーネスを保持するとともにワイヤーハーネスの配索経路を固定するバンドクランプが公知となっている。特許文献1に開示されたバンドクランプは、幹線に巻き付けられるバンド部の外周面に弾性片が設けられており、この弾性片によって枝線を保持するように構成したものである。しかし、このようなバンドクランプは、運搬や配索作業の振動によって枝線が外れてしまうという問題があった。
【0004】
そこで、幹線と枝線にバンド部を巻き付け、これらをまとめて保持するバンドクランプの使用態様が依然として一般的である。しかし、幹線と枝線をまとめてバンドクランプで保持する態様にあっては、幹線に対する枝線の姿勢(傾きや捻じれ)や少なくとも一方の潰れ変形に起因して拘束力が弱くなってしまうという問題があった。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりしてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりしないバンドクランプ及びバンドクランプを備えたワイヤーハーネスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部が備えられたバンドクランプであって、前記ハーネス保持部が、前記ワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるバンド部と、前記ワイヤーハーネスに巻き付けられた前記バンド部を環状に連結するバックル部とを有しており、少なくとも前記バンド部の内周側に、当該バンド部の長手方向に沿って弾性樹脂材が配置されたことを特徴としている。
【0008】
この発明により、幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
詳述すると、本願発明に係るバンドクランプにおいては、少なくともバンド部の内周側に、バンド部の長手方向に沿って弾性樹脂材が配置されている。そのため、弾性樹脂材が幹線及び枝線の形状に合わせて変形することにより、これらを包み込むようにして保持することができる。したがって、幹線及び枝線に対して強い拘束力が作用し、かつ強い拘束力を維持することができる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0009】
この発明の態様として、前記バンド部の内周面に、当該バンド部の長手方向に沿って所定間隔を隔てて複数の凸部が設けられ、前記弾性樹脂材が、前記凸部の頂部と前記バンド部の内周面を覆う範囲に配置されてもよい。
なお、凸部の頂部とバンド部の内周面を覆う範囲とは、凸部の頂部を含み、凸部の周囲におけるバンド部の内周面をも含んだ範囲を意味する。
【0010】
この発明により、弾性樹脂材が凸部に重なる部分において強く幹線及び枝線を圧迫するため、これらを確実に保持することができる。したがって、幹線及び枝線に対して強い拘束力が作用し、かつ強い拘束力を維持することができる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記バンド部の内周面に、当該バンド部の長手方向に沿って所定間隔を隔てて複数の凸部が設けられ、前記弾性樹脂材が、前記バンド部の内周面のみを覆う範囲に配置されてもよい。
なお、バンド部の内周面のみを覆う範囲とは、凸部の頂部を含まず、凸部の周囲におけるバンド部の内周面を含んだ範囲を意味する。
【0012】
この発明により、弾性樹脂材に覆われていない凸部が直接的に強く幹線及び枝線を圧迫してこれらの外装部分に食い込むため、これらを確実に保持することができる。したがって、幹線及び枝線に対して強い拘束力が作用し、かつ強い拘束力を維持することができる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記バンド部及び前記バックル部の少なくとも一方と、前記弾性樹脂材とを固定する固定部が設けられてもよい。
なお、固定部は、ハーネス保持部側に設けられてもよいし、弾性樹脂材側に設けられてもよい。
【0014】
この発明により、バンド部及びバックル部の少なくとも一方と、弾性樹脂材とを容易に固定することができる。また、バンド部の内周側から弾性樹脂材がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記固定部が、前記バンド部及び前記バックル部の少なくとも一方と、前記弾性樹脂材とを接着する接着部であってもよい。
なお、接着部は、ハーネス保持部側に設けられてもよいし、弾性樹脂材側に設けられてもよい。
【0016】
この発明により、ハーネス保持部に対して弾性樹脂材を一体化することができる。そのため、例えば幹線や枝線が引っ張られても弾性樹脂材のズレを抑えることができ、拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記固定部が、前記バンド部及び前記バックル部の少なくとも一方と、前記弾性樹脂材とを掛止する掛止部であってもよい。
なお、掛止部は、ハーネス保持部側に設けられてもよいし、弾性樹脂材側に設けられてもよい。
【0018】
この発明により、ハーネス保持部に対して弾性樹脂材を着脱可能に固定することができる。そのため、例えば弾性樹脂材が劣化しても弾性樹脂材のみを交換できるため、拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記掛止部が、前記バンド部の長手方向に対して垂直となる掛止片を有し、前記弾性樹脂材の内周面に、前記バンド部の長手方向に対して垂直となる掛止溝が設けられており、前記掛止片と前記掛止溝が嵌合してもよい。
【0020】
この発明により、掛止部に対して弾性樹脂材を固定する位置が明確になる。また、バンド部と弾性樹脂材のズレ止めとしても機能する。そのため、バンド部の内周側から弾性樹脂材がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記弾性樹脂材の内周面に、前記バンド部の長手方向に対して垂直となる曲げ溝が設けられてもよい。
なお、曲げ溝は、弾性樹脂材の柔軟性が向上すればよく、その断面形状について限定するものではない。
【0022】
この発明により、バンド部をワイヤーハーネスに巻き付ける際に、弾性樹脂材が環状に変形しやすくなる。また、バンド部をワイヤーハーネスに巻き付ける際に、弾性樹脂材が周方向に弛んでしまうことを防止できる。そのため、バンド部の内周側から弾性樹脂材の弛んだ部分がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記弾性樹脂材が帯状に形成されており、前記弾性樹脂材の先端部分と基端部分を連結する連結部が設けられてもよい。
なお、連結部は、ハーネス保持部側に設けられてもよいし、弾性樹脂材側に設けられてもよい。
【0024】
この発明により、弾性樹脂材の先端部分と基端部分とが連結されるため、帯状である弾性樹脂材が環状となる。そのため、バンド部の内周側から弾性樹脂材の先端部分あるいは基端部分がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記バックル部の内周側に、前記弾性樹脂材が配置されてもよい。
なお、バンド部の内周側に配置された弾性樹脂材がバックル部の内周側まで延設されてもよいし、他の弾性樹脂材がバックル部の内周側に配置されてもよい。
【0026】
この発明により、バックル部の内周側にも弾性樹脂材が配置されるため、バックル部に枝線を沿わせた状態で幹線とともにまとめて保持することができる。ひいては幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0027】
さらにこの発明は、前記バンドクランプにて、電線群である幹線と、当該幹線から分岐した電線である枝線とをまとめて保持したワイヤーハーネスであることを特徴としている。
なお、枝線は、一つ以上であればよく、その数について限定するものではない。
【0028】
この発明により、運搬や配索作業の振動によって枝線が外れることを心配せずに配索することができる。また、幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりすることを心配せずに配索することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、幹線に対して枝線が周方向にズレたり、バンドクランプに対して幹線及び枝線が軸方向にズレたりしないバンドクランプ及びバンドクランプを備えたワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図5】バックル部にエラストマーを固定する状況を示す説明図。
【
図6】エラストマーの先端部分と基端部分を連結する状況を示す説明図。
【
図7】バンド部の先端部分と基端部分を連結する状況を示す説明図。
【
図9】他の実施形態に係るバンドクランプの説明図。
【
図10】
図7におけるB-B矢視に相当する拡大断面図。
【
図11】他の実施形態に係るバンドクランプにおいてバンド部にエラストマーを固定する状況を示す説明図。
【
図12】他の実施形態に係るバンドクランプにおいてバックル部にエラストマーを固定する状況を示す説明図。
【
図13】他の実施形態に係るバンドクランプにおいてエラストマーの先端部分と基端部分を連結する状況を示す説明図。
【
図14】他の実施形態に係るバンドクランプにおいてエラストマーの先端部分と基端部分を連結する状況を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
図1はバンドクランプ1の使用態様を示す斜視図であり、
図2はバンドクランプ1の斜視図であり、
図3はバンドクランプ1の平面図であり、
図4は
図3におけるA-A矢視断面図である。
図5はバックル部4にエラストマー5を固定する状況を示す説明図であり、
図6はエラストマー5の先端部分と基端部分を連結する状況を示す説明図であり、
図7はバンド部3の先端部分と基端部分を連結する状況を示す説明図であり、
図8は
図7におけるB-B矢視の拡大断面図である。
【0032】
図1に示すように、ワイヤーハーネス10は、主な電線群である幹線11と、幹線11から分岐した電線である枝線12とを有している。ワイヤーハーネス10は、幹線11に対して平行に一つの枝線12を沿わせ、これらをバンドクランプ1にてまとめて保持した構成となっている。
なお、幹線11や枝線12には、コルゲートやプロテクタ等の外装部品が装着されていてもよい。
【0033】
図2から
図4に示すように、バンドクランプ1には、ワイヤーハーネス10を保持するハーネス保持部2が備えられている。ハーネス保持部2は、バンド部3と、バックル部4とを有している。そして、バンド部3とバックル部4の内周側には、弾性樹脂材であるエラストマー5が配置されている。
なお、バンドクランプ1には、ワイヤーハーネス10の配索経路を固定するハーネス固定部6が備えられている。ハーネス固定部6は、固定対象であるパネル20の孔部20hに挿入された状態で固定される(
図1参照)。
【0034】
バンド部3は、一方向に長い帯状に形成された部位である。バンド部3の先端部分における内周面3aには、バンド部3の長手方向に沿って係止帯31が設けられている。係止帯31は、凹形状と凸形状が交互に並んだ鋸刃形状に形成されている。バンド部3は、作業者によってワイヤーハーネス10の外周に巻き付けられる。
【0035】
また、バンド部3の中途部分及び基端部分における内周面3aには、バンド部3の長手方向に沿って所定間隔を隔てて複数の凸部32が設けられている。凸部32は、上方から視て矩形状となっており、その頂部32aがやや上方に湾曲した、いわゆるドーム型に形成されている。また、相対する二つの側面32bは、長手方向に対して垂直となっており、相対する二つの側面32cは、長手方向に対して平行となっている。
【0036】
バックル部4は、バンド部3の基端部分につながった略角筒状に形成された部位である。バックル部4におけるバンド部3側の内壁面4aには、対向する内壁面に向かって突出する係止片41が設けられている。係止片41は、前述した係止帯31に噛み合うように楔形状に形成されている。バックル部4は、作業者がワイヤーハーネス10に巻き付けたバンド部3の先端部分を通すことにより、帯状であったバンド部3を環状に連結する。
【0037】
また、バックル部4におけるバンド部3側の外壁面4bには、バンド部3の長手方向に対して垂直に延びる固定部42が設けられている。固定部42は、支持片421と、支持片421を折り曲げて形成された掛止片422とで片持ちのフック形状に形成されており、その掛止片422が外壁面4bに対して所定の隙間をあけて平行に配置されている。また、掛止片422の先端部分には、エラストマー5の側端部に引っ掛かる返し42fが設けられている。
【0038】
このように、バンドクランプ1のバックル部4における固定部42は、バックル部4にエラストマー5を掛止する掛止部42であるといえる。掛止部42は、前述したように片持ちのフック形状に形成されているが、これに限定するものではない。例えば周方向に開口されていないループ形状であってもよい。
なお、バンドクランプ1においては、バックル部4に片持ちのフック形状である掛止部42が設けられているが、バンド部3に設けられるとしてもよい。もちろんバンド部3とバックル部4の両方に設けられるとしてもよい。
【0039】
エラストマー5は、耐候性、耐油性、難燃性を備えた弾性特性を有する樹脂形成物である。エラストマー5は、一方向に長い帯状に形成されており、前述した掛止部42によって固定されている。つまり、エラストマー5は、バックル部4の外壁面4bに沿って配置され、掛止部42の掛止片422との間に挟まれた状態で固定されている。エラストマー5は、その幅寸法がバンド部3の幅寸法とほぼ同じに形成されており、前述した凸部32の頂部32aとバンド部3の内周面3aを覆っている。
【0040】
また、エラストマー5の先端部分から基端部分までの内周面5aには、バンド部3の長手方向に沿って所定間隔を隔てて複数の曲げ溝51が設けられている。曲げ溝51は、バンド部3の長手方向に対して垂直な直線状となっており、その底面51aが内周面5aに対して一定の深さとなっている。また、対向する二つの側面51bは、互いに対して平行であり、長手方向に対して垂直となっている。
なお、曲げ溝51の幅寸法を適宜に大きくすることで、曲げ溝51に枝線12を収容し、枝線12の位置を規制するとしてもよい。
【0041】
このように、バンドクランプ1のエラストマー5における曲げ溝51は、エラストマー5の柔軟性を向上させるだけでなく、枝線12の位置を規制することも可能である。曲げ溝51は、全て同じ直線形状となっているが、これに限定するものではない。例えば枝線12の位置を規制する曲げ溝51のみが直線形状であってもよい。また、枝線12の位置を規制する曲げ溝51のみが幅寸法あるいは深さ寸法が異なる直線形状であってもよい。さらには、曲げ溝51を湾曲形状とすることで、枝線12を任意の方向に案内するとしてもよい。
【0042】
続いて、バンドクランプ1の組立工程とバンドクランプ1の取付工程について説明する。以下においては、前後方向、左右方向、上下方向を規定して説明する。これらの方向は、
図5から
図8に示している。
【0043】
まず、バンドクランプ1の組立工程について説明する。ここでいうバンドクランプ1の組立工程とは、ハーネス保持部2におけるバックル部4にエラストマー5を掛止する工程である。
図5(a)は、エラストマー5を掛止する前の状態を図示し、
図5(b)は、エラストマー5を掛止した後の状態を図示している。
【0044】
前述したように、掛止部42は、片持ちのフック形状に形成されている。掛止部42の内側には、右方側に開口42oを有する隙間42gが形成されている。他方、前述したように、エラストマー5は、前後方向に長い帯状に形成されている。そのため、作業者は、エラストマー5を摘まんで、エラストマー5の左側端部を開口42oに嵌め合わせ、これをスライドさせて隙間42gに挟み込むことができる(
図5(a)における矢印X参照)。
【0045】
このとき、エラストマー5は、曲げ溝51が掛止片422に噛み合うことにより、掛止片422に沿って案内されることとなる。そして、支持片421がエラストマー5の左側端部に当接するとともに、掛止片422の先端部分に設けられた返し42fがエラストマー5の右側端部に引っ掛かることで、同工程が完了する。このように、バンドクランプ1における曲げ溝51は、掛止溝として機能する。掛止部42の掛止片422とエラストマー5の曲げ溝51は、互いに隙間なく嵌合することにより、バンド部3とエラストマー5のズレ止めとしても機能する。
【0046】
次に、バンドクランプ1の取付工程について説明する。ここでいうバンドクランプ1の取付工程とは、バンドクランプ1にて、電線群である幹線11と、幹線11から分岐した電線である枝線12とをまとめて保持する工程である。
図6(a)は、エラストマー5の先端部分と基端部分を連結する前の状態を図示し、
図6(b)は、エラストマー5の先端部分と基端部分を連結した後の状態を図示している。また、
図7(a)は、バンド部3の先端部分と基端部分を連結する前の状態を図示し、
図7(b)は、バンド部3の先端部分と基端部分を連結した後の状態を図示している。
【0047】
前述したように、掛止部42の掛止片422とエラストマー5の曲げ溝51は、互いに隙間なく嵌合する。しかしながら、バンドクランプ1においては、バックル部4の外壁面4bと、エラストマー5の外周面5bとの間に僅かな隙間が設けられている。エラストマー5は、自身が弾性特性を有するため、この隙間を広げることにより、エラストマー5の先端部分を収めることが可能である。そのため、作業者は、エラストマー5を摘まんで、エラストマー5の先端部分を隙間に挿入することができる(
図6(a)における矢印Y参照)。
【0048】
こうして、エラストマー5は、その先端部分と基端部分が共に掛止部42に挟まれ、環状に連結されることとなる。このように、バンドクランプ1における掛止部42は、エラストマー5の先端部分と基端部分を連結する連結部として機能する。隙間に挿入されたエラストマー5の先端部分は、エラストマー5の自身の弾性特性によって押圧されるため、ある程度の引っ張り荷重がかかっても先端部分が抜けてしまうことがない。したがって、エラストマー5の先端部分と基端部分を強固に連結することが可能となる。
【0049】
その後、作業者は、バンド部3を摘まんで、バンド部3の先端部分をバックル部4に挿入することができる(
図7(a)における矢印Z参照)。こうして、ワイヤーハーネス10の幹線11と枝線12に巻き付けられたエラストマー5を全周にわたってバンド部3が取り囲むこととなる。バンド部3に設けられた係止帯31に対してバックル部4に設けられた係止片41が引っ掛かるため、かなり大きな引っ張り荷重がかかっても先端部分が抜けてしまうことがない。したがって、エラストマー5の外周側において、バンド部3の先端部分と基端部分を強固に連結することが可能となる。
【0050】
このようにすることで、
図8に示すように、エラストマー5が凸部32に重なる部分において強く幹線11及び枝線12を圧迫するため、これらを確実に保持することができる。したがって、幹線11及び枝線12に対して強い拘束力が作用し、かつ強い拘束力を維持することができる。さらに、バンドクランプ1においては、凸部32における相対する二つの側面32bが長手方向に対して垂直となっているため、この側面32bと頂部32aの角部が幹線11及び枝線12の軸方向(配索方向)に対して平行に強く圧迫することとなる。このため、幹線11に対して枝線12が周方向にズレにくくなるという効果がより顕著なものとなる。また、バンドクランプ1においては、凸部32における相対する二つの側面32cが長手方向に対して平行となっているため、この側面32cと頂部32aの角部が幹線11及び枝線12の軸方向(配索方向)に対して垂直に強く圧迫することとなる。このため、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレにくくなるという効果がより顕著なものとなる。
【0051】
このように、本実施形態に係るバンドクランプ1においては、バックル部4に一つの掛止部42が設けられた構成となっている。しかしながら、バンド部3及びバックル部4に関わらず複数の掛止部42が設けられた構成であってもよい。また、本実施形態に係るバンドクランプ1においては、掛止部42の掛止片422がエラストマー5の曲げ溝51に嵌合する構成となっている。しかしながら、掛止片422が幅広に形成され、エラストマー5の内周面5aに対して広い面積で挟み込む構成であってもよい。さらに、本実施形態に係るバンドクランプ1においては、バンド部3の全長に対してエラストマー5の長さを適宜に設定した構成となっている。しかしながら、バンド部3の全長に対してエラストマー5を長めに設定しておき、ワイヤーハーネス10の周囲長さに合わせてエラストマー5の先端部分あるいは基端部分を切断する構成であってもよい。このとき、曲げ溝51を切断線とし、曲げ溝51に沿って切断するとしてもよい。
【0052】
以上のように、バンドクランプ1は、ワイヤーハーネス10を保持するハーネス保持部2が備えられている。ハーネス保持部2は、ワイヤーハーネス10の外周に巻き付けられるバンド部3と、ワイヤーハーネス10に巻き付けられたバンド部3を環状に連結するバックル部4とを有している。そして、バンド部3及びバックル部4の内周側に、バンド部3の長手方向に沿ってエラストマー5が配置されている。
【0053】
このようなバンドクランプ1によれば、幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
詳述すると、本願発明に係るバンドクランプ1においては、バンド部3の内周側に、バンド部3の長手方向に沿ってエラストマー5が配置されている。そのため、エラストマー5が幹線11及び枝線12の形状に合わせて変形することにより、これらを包み込むようにして保持することができる。したがって、幹線11及び枝線12に対して強い拘束力が作用し、かつ強い拘束力を維持することができる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0054】
また、バンドクランプ1においては、バンド部3の内周面3aに、バンド部3の長手方向に沿って所定間隔を隔てて複数の凸部32が設けられている。そして、エラストマー5が、凸部32の頂部32aを含み、凸部32の周囲におけるバンド部3の内周面3aをも含んだ範囲に配置されている。
【0055】
このようなバンドクランプ1によれば、エラストマー5が凸部32に重なる部分において強く幹線11及び枝線12を圧迫するため、これらを確実に保持することができる。したがって、幹線11及び枝線12に対して強い拘束力が作用し、かつ強い拘束力を維持することができる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0056】
また、バンドクランプ1においては、バックル部4とエラストマー5とを固定する固定部42が設けられている。
なお、バンドクランプ1における固定部42は、バックル部4のみに設けられている。
【0057】
このようなバンドクランプ1によれば、バックル部4とエラストマー5とを容易に固定することができる。また、バンド部3の内周側からエラストマー5がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0058】
また、バンドクランプ1においては、固定部42が、バックル部4とエラストマー5とを掛止する掛止部42である。
なお、バンドクランプ1における掛止部42は、片持ちのフック形状に形成されている。
【0059】
このようなバンドクランプ1によれば、ハーネス保持部2に対してエラストマー5を着脱可能に固定することができる。そのため、例えばエラストマー5が劣化してもエラストマー5のみを交換できるため、拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0060】
また、バンドクランプ1においては、掛止部42が、バンド部3の長手方向に対して垂直となる掛止片422を有し、エラストマー5の内周面5aに、バンド部3の長手方向に対して垂直となる曲げ溝(掛止溝)51が設けられており、掛止片422と曲げ溝51が嵌合している。
なお、本願における掛止溝は、曲げ溝51と同じものを指している。
【0061】
このようなバンドクランプ1によれば、掛止部42に対してエラストマー5を固定する位置が明確になる。また、バンド部3とエラストマー5のズレ止めとしても機能する。そのため、バンド部3の内周側からエラストマー5がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0062】
また、バンドクランプ1においては、エラストマー5の内周面5aに、バンド部3の長手方向に対して垂直となる曲げ溝51が設けられている。
なお、バンドクランプ1における曲げ溝51は、バンド部3の長手方向に対して垂直な直線形状である。
【0063】
このようなバンドクランプ1によれば、バンド部3をワイヤーハーネス10に巻き付ける際に、エラストマー5が環状に変形しやすくなる。また、バンド部3をワイヤーハーネス10に巻き付ける際に、エラストマー5が周方向に弛んでしまうことを防止できる。そのため、バンド部3の内周側からエラストマー5の弛んだ部分がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0064】
また、バンドクランプ1においては、エラストマー5が帯状に形成されている。そして、エラストマー5の先端部分と基端部分を連結する掛止部(連結部)42が設けられている。
なお、本願における連結部は、掛止部42と同じものを指している。
【0065】
このようなバンドクランプ1によれば、エラストマー5の先端部分と基端部分とが連結されるため、帯状であるエラストマー5が環状となる。そのため、バンド部3の内周側からエラストマー5の先端部分あるいは基端部分がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0066】
また、バンドクランプ1においては、バックル部4の内周側に、エラストマー5が配置されている。
なお、バンドクランプ1におけるエラストマー5は、バンド部3の内周側からバックル部4の内周側まで延設されたものである。
【0067】
このようなバンドクランプ1によれば、バックル部4の内周側にもエラストマー5が配置されるため、バックル部4に枝線12を沿わせた状態で幹線11とともにまとめて保持することができる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0068】
さらに加えて、本願におけるワイヤーハーネス10は、前述した特徴を有するバンドクランプ1にて、電線群である幹線11と、幹線11から分岐した電線である枝線12とをまとめて保持したものを指す。
【0069】
このようなワイヤーハーネス10によれば、運搬や配索作業の振動によって枝線12が外れることを心配せずに配索することができる。また、幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを心配せずに配索することができる。
【0070】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明のバンドクランプはバンドクランプ1に対応し、
以下同様に、
ハーネス保持部はハーネス保持部2に対応し、
バンド部はバンド部3に対応し、
バックル部はバックル部4に対応し、
弾性樹脂材はエラストマー5に対応し、
ワイヤーハーネスはワイヤーハーネス10に対応し、
幹線は幹線11に対応し、
枝線は枝線12に対応し、
凸部は凸部32に対応し、
固定部は固定部42に対応し、
掛止部は掛止部42に対応し、
連結部は掛止部42に対応し、
掛止片は掛止片422に対応し、
曲げ溝は曲げ溝51に対応し、
掛止溝は曲げ溝51に対応し、
バンド部の内周面は内周面3aに対応し、
凸部の頂部は頂部32aに対応するも、この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0071】
例えばバンドクランプ1においては、バンド部3の先端部分における内周面3aに係止帯31が設けられ、バックル部4におけるバンド部3側の内壁面4aに係止片41が設けられた構成となっている。しかし、
図9から
図14に示すように、バンド部3の先端部分における外周面3bに係止帯31が設けられ、バックル部4におけるハーネス固定部6側の内壁面4cに係止片41が設けられた構成であってもよい。
【0072】
このようにすることで、前述のバンドクランプ1のように、バンド部3の内周側に配置されたエラストマー5が係止帯31を覆ってしまうことがなくなるので、バンド部3の先端部分をバックル部4に挿入して環状に連結する作業が容易となる。また、このような構成にあっては、エラストマー5の先端部分をバンド部3の内周面3aとバックル部4におけるバンド部3側の内壁面4aとの間に挿入するとしてもよい。
【0073】
また、バンドクランプ1においては、エラストマー5が凸部32の頂部32aとバンド部3の内周面3aを覆う範囲に配置された構成となっている。しかし、
図9に示すように、エラストマー5が、凸部32の頂部32aを含まず、凸部32の周囲におけるバンド部3の内周面3aを含んだ範囲に配置されていてもよい。本実施形態においては、エラストマー5の中央に設けられたスリット5sに各凸部32が収まり、凸部32の両側の内周面3aを覆う構成となっている。
【0074】
このようにすることで、
図10に示すように、エラストマー5に覆われていない凸部32が直接的に強く幹線11及び枝線12を圧迫してこれらの外装部分に食い込むため、これらを確実に保持することができる。したがって、幹線11及び枝線12に対して強い拘束力が作用し、かつ強い拘束力を維持することができる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0075】
また、バンドクランプ1においては、バックル部4に掛止部42を設けた構成となっているが、エラストマー5に掛止部52を設けた構成であってもよい。すなわち、
図11に示すように、エラストマー5に片持ちのフック形状である掛止部52を設けた構成であってもよい。あるいはループ形状である掛止部52を設けた構成であってもよい。
【0076】
加えて、
図12に示すように、他の実施形態に係るバンドクランプ1においては、バックル部4とエラストマー5を固定する固定部42が両者を接着する接着部42であってもよい。この場合において接着部42は、バンド部3に設けられてもよいし、バックル部4に設けられてもよい。もちろんバンド部3とバックル部4の両方に設けられるとしてもよい。あるいはエラストマー5に設けられるとしてもよい。
【0077】
このようにすれば、ハーネス保持部2に対してエラストマー5を一体化することができる。そのため、例えば幹線11や枝線12が引っ張られてもエラストマー5のズレを抑えることができ、拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【0078】
さらに、バンドクランプ1においては、バックル部4の外壁面4bとエラストマー5の外周面5bとの隙間に、エラストマー5の先端部分を挿入して環状に連結する構成となっているが、エラストマー5の先端部分又は基端部分に連結部53を設けた構成であってもよい。すなわち、
図13に示すように、エラストマー5の基端部分にエラストマー5の先端部分を通す連結部53を設けた構成であってもよい。あるいはエラストマー5の先端部分にエラストマー5の基端部分を通す連結部53を設けた構成であってもよい。
【0079】
加えて、
図14に示すように、他の実施形態に係るバンドクランプ1においては、エラストマー5の先端部分と基端部分を連結する連結部53が両者を接着する接着部53であってもよい。この場合において接着部53は、エラストマー5の先端部分に設けられるとしてもよいし、エラストマー5の基端部分に設けられるとしてもよい。もちろん、エラストマー5の先端部分と基端部分の両方に設けられるとしてもよい。
【0080】
このようにしても、エラストマー5の先端部分と基端部分とが連結されるため、帯状であるエラストマー5が環状となる。そのため、バンド部3の内周側からエラストマー5の先端部分あるいは基端部分がズレて拘束力が低下してしまうことを防止できる。ひいては幹線11に対して枝線12が周方向にズレたり、バンドクランプ1に対して幹線11及び枝線12が軸方向にズレたりすることを防止できる。
【符号の説明】
【0081】
1…バンドクランプ
2…ハーネス保持部
3…バンド部
4…バックル部
5…エラストマー
10…ワイヤーハーネス
11…幹線
12…枝線
32…凸部
42…固定部、掛止部、連結部
422…掛止片
51…曲げ溝、掛止溝
3a…バンド部の内周面
32a…凸部の頂部