(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123738
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、判定プログラムおよび判定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220817BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220817BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220817BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G06Q30/06 330
G06Q30/02 398
A61F13/49
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021244
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 友亮
(72)【発明者】
【氏名】川端 訓功
(72)【発明者】
【氏名】森 和隆
(72)【発明者】
【氏名】島津 健
【テーマコード(参考)】
3B200
4C038
5L049
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA12
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB01
4C038VC01
4C038VC05
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】利用者による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な吸収性物品を提案すること。
【解決手段】本願に係る判定装置は、利用者の歩行に関する分析結果を取得する取得部と、取得部により取得された分析結果に基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価する評価部と、評価部による評価結果に基づいて、利用者に提案する吸収性物品を判定する判定部とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の歩行に関する分析結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された分析結果に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する評価部と、
前記評価部による評価結果に基づいて、前記利用者に提案する吸収性物品を判定する判定部と
を有することを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記分析結果として、前記利用者の歩行状態を示す分析結果を取得し、
前記評価部は、前記取得部により取得された分析結果が示す歩行状態に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記利用者の歩行状態を示す分析結果として、前記利用者が歩行する様子が撮像された撮像画像に基づき前記利用者の歩行状態が分析された分析結果を取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記利用者の歩行状態を示す分析結果として、前記利用者が歩行する際の足圧の分布状況を示す分析結果を取得する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記評価部は、前記取得部により取得された分析結果から前記利用者が自立排泄する際の転倒リスクを推定し、推定した転倒リスクに基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記利用者の身体的状態を示す身体情報をさらに取得し、
前記評価部は、前記取得部により取得された分析結果および身体情報に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項7】
前記評価部は、前記身体情報に基づき前記利用者が吸収性物品を自身で着脱する難易度である着脱難易度を推定し、推定した着脱難易度と、前記分析結果から推定された転倒リスクとに基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を示す評価する
ことを特徴とする請求項6に記載の判定装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記身体情報として、吸収性物品を着脱する際に必要となる所定の動作を示す身体情報を取得する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の判定装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記所定の動作として、立ち上がる動作または座る動作を示す身体情報を取得する
ことを特徴とする請求項8に記載の判定装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記身体情報として、前記利用者の姿勢を示す情報、または、筋力を示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項11】
前記評価部による評価結果に基づいて、吸収性物品の種別のうち、前記利用者に応じた種別を推定する推定部をさらに有し、
前記判定部は、提案候補の吸収性物品のうち、前記推定部により推定された種別の吸収性物品を前記利用者に提案する吸収性物品として判定する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項12】
前記吸収性物品である大人用オムツは、着脱方式によってパンツタイプおよびテープタイプの少なくとも2つの形態種別で分けられ、
前記推定部は、前記評価結果が所定の条件を満たすか否かに基づいて、2つの形態種別のうちいずれの形態種別が前記利用者に応じた形態種別であるかを推定する
ことを特徴とする請求項11に記載の判定装置。
【請求項13】
前記推定部は、前記推定した種別に対して複数の詳細種別が紐付けられている場合には、複数の詳細種別のうち、前記利用者に応じた詳細種別を、前記評価結果を用いてさらに推定し、
前記判定部は、提案候補の吸収性物品のうち、前記推定部により推定された詳細種別の吸収性物品を前記利用者に提案する吸収性物品として判定する
ことを特徴とする請求項11または12に記載の判定装置。
【請求項14】
前記判定部により判定された吸収性物品を、前記利用者が着用する着用対象の製品として提案する提案部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項15】
前記提案部は、前記判定部により判定された吸収性物品の着脱方法を提案する
ことを特徴とする請求項14に記載の判定装置。
【請求項16】
前記提案部は、前記評価部による評価結果に基づき推定される、前記利用者の自立排泄の状況に基づいて、前記利用者をトイレへと誘導する誘導方法を提案する
ことを特徴とする請求項14または15に記載の判定装置。
【請求項17】
前記取得部により取得された分析結果に基づいて、前記利用者の状態の変化を推定する状態推定部をさらに有し、
前記提案部は、前記状態推定部による推定結果に応じた情報を提案する
ことを特徴とする請求項14~16のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項18】
前記状態推定部は、前記分析結果として、前記利用者の歩行に関して今回分析された現時点での分析結果と、前記利用者の歩行に関して過去に分析された過去の分析結果とを比較することにより、前記利用者の歩行状態の改善状況を推定し、
前記提案部は、前記改善状況を提示するとともに、前記改善状況から前記利用者の歩行状態が悪化していると判定される場合には歩行状態を改善可能な介護方法を提案する
ことを特徴とする請求項17に記載の判定装置。
【請求項19】
前記状態推定部は、前記取得部により取得された分析結果と類似する分析結果が得られた他の利用者に関する所定の統計データに基づいて、前記利用者が将来において所定の身体的状態になるリスクを推定し、
前記提案部は、前記リスクに基づき前記利用者が将来において所定の身体的状態になると推定される場合には当該リスクを軽減可能な介護方法を提案する
ことを特徴とする請求項17または18に記載の判定装置。
【請求項20】
判定装置が実行する判定方法であって、
利用者の歩行に関する分析結果を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された分析結果に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する評価工程と、
前記評価工程による評価結果に基づいて、前記利用者に提案する吸収性物品を判定する判定工程と
を含むことを特徴とする判定方法。
【請求項21】
利用者の歩行に関する分析結果を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された分析結果に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する評価手順と、
前記評価手順による評価結果に基づいて、前記利用者に提案する吸収性物品を判定する判定手順と
をコンピュータに実行させるための判定プログラム。
【請求項22】
判定装置と、利用者の歩行に関して分析する分析プログラムが搭載された端末装置とを含む判定システムであって、
前記判定装置は、
利用者の歩行に関する分析結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された分析結果に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する評価部と、
前記評価部による評価結果に基づいて、前記利用者に提案する吸収性物品を判定する判定部と
を有することを特徴とする判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、判定方法、判定プログラムおよび判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の身体能力を測定し、測定結果を健康管理に活用する術が知られている。例えば、特許文献1には、被験者に対して移動能力やバランス能力を評価し、評価結果を転倒予防の運動や生活指導をサポートする技術が開示されている。また、特許文献2には、被験者に対して転倒リスクを測定することで転倒予防をサポートする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-102462号公報
【特許文献2】特開2016-93347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、利用者による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な吸収性物品を提案することができるとは限らない。
【0005】
例えば、上記の従来技術では、利用者の生活改善を目的として、利用者の身体能力から転倒リスクを評価しているに過ぎないため、利用者による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な吸収性物品を提案することができるとはいえない。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な吸収性物品を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る判定装置は、利用者の歩行に関する分析結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された分析結果に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する評価部と、前記評価部による評価結果に基づいて、前記利用者に提案する吸収性物品を判定する判定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、例えば、利用者による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な吸収性物品を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の全体像を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る分析結果記憶部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る身体情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る製品情報記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、転倒リスクとおよび着脱難易度に基づき、自立排泄の状況を評価する評価手法の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
利用者の歩行に関する分析結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された分析結果に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する評価部と、前記評価部による評価結果に基づいて、前記利用者に提案する吸収性物品を判定する判定部とを有することを特徴とする判定装置。
【0012】
このような判定装置によれば、利用者による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な吸収性物品を提案することができる。
【0013】
また、判定装置は、前記分析結果として、前記利用者の歩行状態を示す分析結果を取得し、取得した分析結果が示す歩行状態に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する。
【0014】
このような判定装置によれば、分析結果として、利用者の歩行状態を示す分析結果を取得し、取得した分析結果が示す歩行状態に基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価するため、利用者の歩行状態を解析するだけで容易に自立排泄の状況を評価することができる。
【0015】
また、判定装置は、前記利用者の歩行状態を示す分析結果として、前記利用者が歩行する様子が撮像された撮像画像に基づき前記利用者の歩行状態が分析された分析結果を取得する。
【0016】
このような判定装置によれば、利用者の歩行状態を示す分析結果として、利用者が歩行する様子が撮像された撮像画像に基づき利用者の歩行状態が分析された分析結果を取得するため、例えば、利用者を介護する介護者は利用者が歩く様子を動画撮影するだけで容易に自立排泄の状況を知ることができるようになる。
【0017】
また、判定装置は、前記利用者の歩行状態を示す分析結果として、前記利用者が歩行する際の足圧の分布状況を示す分析結果を取得する。
【0018】
このような判定装置によれば、利用者の歩行状態を示す分析結果として、利用者が歩行する際の足圧の分布状況を示す分析結果を取得するため、利用者の歩行状態の特徴より高精度に分析することができるようになる。
【0019】
また、判定装置は、取得した分析結果から前記利用者が自立排泄する際の転倒リスクを推定し、推定した転倒リスクに基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する。
【0020】
このような判定装置によれば、取得した分析結果から利用者が自立排泄する際の転倒リスクを推定し、推定した転倒リスクに基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価するため、利用者による自立排泄の状況を例えば介護者による経験則に基づく判断に頼らず客観的に判断することができるようになる。
【0021】
また、判定装置は、前記利用者の身体的状態を示す身体情報をさらに取得し、取得した分析結果および身体情報に基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を評価する。
【0022】
このような判定装置によれば、利用者の身体的状態を示す身体情報をさらに取得することで、分析結果および身体情報に基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価するため、将来的に自立排泄ができるように改善される余地が残されている被介護者を適切に見極めることができ、この結果、介護者に頼りきりになり自力で行動する機会が失われてしまうことを防止することができる。
【0023】
また、判定装置は、前記身体情報に基づき前記利用者が吸収性物品を自身で着脱する難易度である着脱難易度を推定し、推定した着脱難易度と、前記分析結果から推定された転倒リスクとに基づいて、前記利用者による自立排泄の状況を示す評価する。
【0024】
このような判定装置によれば、身体情報に基づき利用者が吸収性物品を自身で着脱する難易度である着脱難易度を推定し、推定した着脱難易度と、分析結果から推定された転倒リスクとに基づいて、利用者による自立排泄の状況を示す評価するため、例えば、安全にトイレに行きそして安全に用を足すことができるかという観点、吸収性物品を着脱する際に必要となる各種動作を自身で行うことができる能力があるかどうかという観点、この2つの観点から利用者による自立排泄の状況を適切に判断することができる。
【0025】
また、判定装置は、前記身体情報として、吸収性物品を着脱する際に必要となる所定の動作を示す身体情報を取得する。
【0026】
このような判定装置によれば、身体情報として、吸収性物品を着脱する際に必要となる所定の動作を示す身体情報を取得するため、用者が吸収性物品を自身で着脱する難易度である着脱難易度を高精度に推定することができる。
【0027】
また、判定装置は、前記所定の動作として、立ち上がる動作または座る動作を示す身体情報を取得する。
【0028】
このような判定装置によれば、所定の動作として、立ち上がる動作または座る動作を示す身体情報を取得するため、着脱難易度を高精度に推定することができる。
【0029】
また、判定装置は、前記身体情報として、前記利用者の姿勢を示す情報、または、筋力を示す情報を取得する。
【0030】
このような判定装置によれば、身体情報として、利用者の姿勢を示す情報、または、筋力を示す情報を取得するため、着脱難易度をより高精度に推定することができる。
【0031】
また、判定装置は、前記評価部による評価結果に基づいて、吸収性物品の種別のうち、前記利用者に応じた種別を推定する推定部をさらに有し、提案候補の吸収性物品のうち、前記推定部により推定された種別の吸収性物品を前記利用者に提案する吸収性物品として判定する。
【0032】
このような判定装置によれば、提案候補の吸収性物品のうち、利用者に適していると推定される種別の吸収性物品を利用者に提案する吸収性物品として判定するため、利用者が自立排泄する機会を損なわないよう適切に吸収性物品を判定することができる。
【0033】
また、判定装置は、前記吸収性物品である大人用オムツが着脱方式によってパンツタイプおよびテープタイプの少なくとも2つの形態種別で分けられている場合には、前記評価結果が所定の条件を満たすか否かに基づいて、2つの形態種別のうちいずれの形態種別が前記利用者に応じた形態種別であるかを推定する。
【0034】
このような判定装置によれば、評価結果が所定の条件を満たすか否かに基づいて、パンツタイプおよびテープタイプという2つの形態種別のうちいずれの形態種別が利用者に応じた形態種別であるかを推定するため、利用者が自立排泄する機会を損なわないように適切な大人用オムツを提案することができるようになる。
【0035】
また、判定装置は、前記推定した種別に対して複数の詳細種別が紐付けられている場合には、複数の詳細種別のうち、前記利用者に応じた詳細種別を、前記評価結果を用いてさらに推定し、提案候補の吸収性物品のうち、前記推定部により推定された詳細種別の吸収性物品を前記利用者に提案する吸収性物品として判定する。
【0036】
このような判定装置によれば、推定した種別に対して複数の詳細種別が紐付けられている場合には、複数の詳細種別のうち、利用者に応じた詳細種別を、評価結果を用いてさらに推定し、提案候補の吸収性物品のうち、この推定された詳細種別の吸収性物品を利用者に提案する吸収性物品として判定するため、同一種別の吸収性物品がさらに複数の種別で分けられる場合であっても、最適な吸収性物品を提案することができる。
【0037】
また、判定装置は、前記判定部により判定された吸収性物品を、前記利用者が着用する着用対象の製品として提案する提案部をさらに有する。
【0038】
このような判定装置によれば、判定結果が示す吸収性物品を、利用者が着用する着用対象の製品として提案するため、介護者は利用者に着用させるべき吸収性物品を適切に購入することができるようになる。
【0039】
また、判定装置は、前記判定部により判定された吸収性物品の着脱方法を提案する。
【0040】
このような判定装置によれば、判定結果が示す吸収性物品の着脱方法を提案するため、介護者を適切にサポートすることで介護業務に係る負担を軽減させることができる。
【0041】
また、判定装置は、前記評価部による評価結果に基づき推定される、前記利用者の自立排泄の状況に基づいて、前記利用者をトイレへと誘導する誘導方法を提案する。
【0042】
このような判定装置によれば、評価結果に基づき推定される、利用者の自立排泄の状況に基づいて、利用者をトイレへと誘導する誘導方法を提案するため、介護者を適切にサポートすることで介護業務に係る負担を軽減させることができる。
【0043】
また、判定装置は、前記取得部により取得された分析結果に基づいて、前記利用者の状態の変化を推定する状態推定部をさらに有し、前記提案部は、前記状態推定部による推定結果に応じた情報を提案する。
【0044】
このような判定装置によれば、取得した分析結果に基づいて、利用者の状態の変化を推定し、推定結果に応じた情報を提案するため、利用者に対して改善状況を可視化することができるため、歩行状態が改善している場合にはさらに改善できるよう意欲を高めることができ、歩行状態が悪化している場合には歩行状態が改善するようサポートすることができる。
【0045】
また、判定装置は、前記分析結果として、前記利用者の歩行に関して今回分析された現時点での分析結果と、前記利用者の歩行に関して過去に分析された過去の分析結果とを比較することにより、前記利用者の歩行状態の改善状況を推定し、前記改善状況を提示するとともに、前記改善状況から前記利用者の歩行状態が悪化していると判定される場合には歩行状態を改善可能な介護方法を提案する。
【0046】
このような判定装置によれば、利用者の歩行に関して今回分析された現時点での分析結果と、利用者の歩行に関して過去に分析された過去の分析結果とを比較することにより、利用者の歩行状態の改善状況を推定し、推定した改善状況を提示するとともに、改善状況から利用者の歩行状態が悪化していると判定される場合には歩行状態を改善可能な介護方法を提案するため、歩行状態が改善している場合にはさらに改善できるよう意欲を高めることができ、歩行状態が悪化している場合には歩行状態が改善するようサポートすることができる。
【0047】
また、判定装置は、取得した分析結果と類似する分析結果が得られた他の利用者に関する所定の統計データに基づいて、前記利用者が将来において所定の身体的状態になるリスクを推定し、推定したリスクに基づき前記利用者が将来において所定の身体的状態になると推定される場合には当該リスクを軽減可能な介護方法を提案する。
【0048】
このような判定装置によれば、取得した分析結果と類似する分析結果が得られた他の利用者に関する所定の統計データに基づいて、利用者が将来において所定の身体的状態になるリスクを推定し、推定したリスクに基づき利用者が将来において所定の身体的状態になると推定される場合には当該リスクを軽減可能な介護方法を提案するため、将来的なリスクを可視化することができるため、例えば将来において寝たきり状態になるリスクを軽減できるよう事前に対策させることができる。
【0049】
以下に、判定装置、判定方法、判定プログラムおよび判定システムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により判定装置、判定方法、判定プログラムおよび判定システムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
[実施形態]
〔1.はじめに〕
介護現場では、被介護者に対して大人用オムツが利用されることがあるが、この大人用オムツは、着脱方式によって複数の種別に分けられる。例えば、大人用オムツの種別には、パンツタイプ、テープタイプといったものが存在し、被介護者の自立排泄の状況に応じて、パンツタイプのオムツとテープタイプのオムツとが使い分けられる。
【0051】
例えば、パンツタイプのオムツは下着感覚で上げ下げができる構造となっていることが特徴であり、テープタイプのオムツは着用者が寝たままであっても着脱しやすいようにテープ止めできる構造となっていることが特徴である。
【0052】
このようなことから、パンツタイプのオムツは、トイレでの自立排泄が可能な被介護者に対して主に用いられることが多い。なお、ここでいう自立排泄とは、自己にてトイレまで移動し、用を足し後始末までするという一連の排泄動作を示す。一方、テープタイプのオムツは、寝て過ごすことが多く排泄処理を介護者に頼らざるを得ないような被介護者に対して主に用いられる。
【0053】
ここで、現状では、被介護者に対してパンツタイプのオムツまたはテープタイプのオムツのいずれを使用すべきかの判断は、介護者による経験則によって行われていることが多い。例えば、介護者は、被介護者の歩行状況を目視で確認し、転倒のリスクが低いと考える場合には、安全にトイレに行きそして安全に用を足すことができる、すなわち自立排泄可能と判断し、パンツタイプのオムツを使うべきと判断する。これに対して、転倒のリスクが高いと考える場合には、トイレに行く途中やトイレにて用を足す際に転倒してしまう恐れがあることから自立排泄は困難と判断し、結果、テープタイプのオムツを使うべきと判断する。
【0054】
しかしながら、このような経験則による判断では、介護者の主観が中心となることから、安全性が考慮され過ぎるあまり、本来であれば自立排泄可能な被介護者や、多少の介助があればトイレまで行くことができトイレでの排泄行為自体は自力でできるという準自立排泄可能な被介護者(例えば、リハビリ次第では、将来的に自立排泄できるようになるまで改善される余地のある被介護者)までが、テープタイプのオムツを使うべきと判断されてしまうといった問題がある。
【0055】
また、このような自立排泄できる能力のある被介護者にテープタイプのオムツが使用されてしまった場合、排泄するうえでより多くの援助を介護者から受けることになり、この結果、自力で行動する機会が失われてしまうことになる。そうすると、体力や、やる気の低下によりQOL(Quality of Life)が低下してしまう恐れがある。また、テープタイプのオムツが使用される場合、被介護者は、オムツ交換の世話を受けることで自尊心を傷つけられてしまうといった問題も発生する。
【0056】
そこで、本発明は、介護者による経験則では自立排泄の状況を適切に判断できない点をデジタル技術で解消することで、自立排泄の状況に応じた最適な大人用オムツ(吸収性物品)を提案することに至った。
【0057】
具体的には、実施形態に係る情報処理によれば、被介護者(利用者)の歩行に関する分析結果に基づいて、被介護者による自立排泄の状況を評価し、その評価結果に基づいて、被介護者に提案する大人用オムツを判定する。このような情報処理により、被介護者による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な大人用オムツを提案することができるようになるため、介護者に対しては介護業務に係る負担を軽減し、被介護者に対してはQOLを向上させることのできる機会を効果的に増やすことができるようになると考えられる。以下では、実施形態に係る情報処理について詳細に説明する。
【0058】
〔2.システム構成について〕
ここからは。
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システムの一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の全体像を示す図である。
図1に示す情報処理システム1は、判定システムの一例であり、端末装置10と、情報処理装置100とを含む。端末装置10、情報処理装置100は、ネットワークを介して有線または無線により通信可能に接続される。
【0059】
端末装置10は、エンドユーザによって利用される情報処理端末である。端末装置10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。
【0060】
また、端末装置10には、人物の歩行に関して分析するプログラムである分析プログラムに対応するアプリケーションAP(以下「アプリAP」と略す)が予め導入されている。したがって、端末装置10は、アプリAPの制御に従って、人物の歩行に関して分析する。例えば、端末装置10は、被験者がどのような歩行の特徴であるか歩行状態を分析する。例えば、端末装置10は、被験者が歩行する様子が撮像された撮像画像に基づいて、被験者の歩行を分析する。また、端末装置10は、分析結果を情報処理装置100に送信する。また、端末装置10は、情報処理装置100が分析結果に基づき判定した吸収性物品に関する提案情報をアプリAPに対応する画面内に表示する。
【0061】
なお、以下の実施形態では、分析プログラムであるアプリAPによって端末装置10と情報処理装置100との間での情報の送受信が実現されるものとして説明するが、端末装置10と情報処理装置100との間での情報の送受信自体は汎用的なアプリケーション(ブラウザアプリ)によって行われてもよい。
【0062】
情報処理装置100は、判定装置の一例であり、上述した実施形態に係る情報処理を行う。具体的には、情報処理装置100は、利用者の歩行に関する分析結果を取得し、取得した分析結果に基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価する。そして、情報処理装置100は、評価結果に基づいて、利用者に提案する吸収性物品を判定する。
【0063】
〔3.情報処理の一例について〕
ここからは、引き続き
図1を用いて、実施形態に係る提案処理の全体的な流れの一例について説明する。
図1の例では、介護施設FC1において介護者HP1の介護を受けている利用者である被介護者U1を対象として、歩行分析および分析結果に基づく情報提案が行われる場面が示される。また、
図1に示す端末装置10は、介護者HP1によって利用されるスマートフォンであり、アプリAPがインストールされているものとする。
【0064】
図1の例では、まず、介護者HP1が、端末装置10を用いて被介護者U1が歩行する様子を動画撮影する(ステップS11)。例えば、介護者HP1は、被介護者U1が歩行する様子を任意の方向から撮影してよい。例えば、介護者HP1は、被介護者U1が特定の方向に向かって歩行する様子を、被介護者U1の正面、被介護者U1の側面、あるいは、被介護者U1の背後から撮影する。
【0065】
また、ステップS11では、端末装置10は、介護者HP1の動画撮影に応じて、被介護者U1を撮像することにより撮像動画を取得する。
【0066】
次に、端末装置10は、取得した撮像動画に基づいて、被介護者U1がどのような歩行の特徴であるか歩行状態を分析する歩行分析を実行する(ステップS12)。例えば、端末装置10は、撮像動画に基づく歩行分析として、歩行を総合的に評価する項目(例えば、歩行速度、歩幅、歩行率、足圧)の算出、歩行に関する安定性を評価する項目(頭の揺れ、体幹の揺れ、足の揺れ)の算出、左右差を評価する項目(頭の傾きの左右差、体幹の傾きの左右差)の算出を行う。
【0067】
また、端末装置10は、歩行分析による分析結果を情報処理装置100に送信する(ステップS13)。そうすると、情報処理装置100は、分析結果を取得する(ステップS14)。具体的には、情報処理装置100は、端末装置10の歩行分析による分析結果を端末装置10から取得する。
【0068】
また、情報処理装置100は、分析結果が示す歩行状態に基づいて、被介護者U1が自立排泄する際の転倒リスクを推定する(ステップS15)。例えば、情報処理装置100は、分析結果が示す歩行状態として、歩行を総合的に評価する項目、歩行に関する安定性を評価する項目、および、左右差を評価する項目に基づいて、被介護者U1が大人用オムツを自身で着脱する際の転倒リスクを推定する。なお、ここでいう転倒リスクとは、転倒する可能性を指標するスコアであってよい。
【0069】
次に、情報処理装置100は、転倒リスクに基づいて、被介護者U1による自立排泄の状況を評価する(ステップS16)。例えば、情報処理装置100は、転倒リスクに基づいて、被介護者U1による自立排泄の状況を示す評価値を算出してもよいし、被介護者U1による自立排泄の状況をランクで評価してもよい。情報処理装置100は、評価値を算出する場合には、転倒リスクが低い程自立排泄できる可能性が高いとの観点から、転倒リスクが低い程高い評価値を算出することができる。
【0070】
例えば、情報処理装置100は、ステップS14において転倒リスク「10」(転倒する確率10%)と推定していたとすると、転倒リスク「10」に基づき、評価値「90」を算出することができる。
【0071】
次に、情報処理装置100は、評価結果に基づいて、被介護者U1に提案する大人用オムツを判定する(ステップS17)。例えば、情報処理装置100は、評価結果が所定の条件を満たすか否かに基づいて、パンツタイプおよびテープタイプといった2つの形態種別のうちいずれの形態種別が被介護者U1に応じた形態種別であるかを推定する。例えば、情報処理装置100は、評価値が所定閾値より高いことから自立排泄可能と判断できる場合には、パンツタイプが被介護者U1に応じた形態種別であると推定する。一方、情報処理装置100は、評価値が所定閾値より低いことから自立排泄不可能と判断できる場合には、テープタイプが被介護者U1に応じた形態種別であると推定する。そして、情報処理装置100は、提案候補の大人用オムツのうち、推定した形態種別の大人用オムツを、被介護者U1に提案する大人用オムツとして判定する。例えば、情報処理装置100は、提案候補の大人用オムツを示す製品情報が記憶される製品情報記憶部123(
図5)と、推定結果とを照らし合わせることにより、被介護者U1に提案する大人用オムツがどの製品であるかを判定する。
【0072】
図1の例では、情報処理装置100は、被介護者U1に応じた形態種別はパンツタイプであると推定したことに応じて、パンツタイプの大人用オムツを被介護者U1に提案する大人用オムツとして判定したものとする。
【0073】
そして、情報処理装置100は、判定結果が示す大人用オムツを、被介護者U1による着用対象の製品として提案する(ステップS18)。例えば、情報処理装置100は、判定結果が示す大人用オムツが着用対象の製品として提案される提案コンテンツを生成し、これを端末装置10に送信する。
図1の例では、情報処理装置100が、判定結果が示す大人用オムツが着用対象の製品として提案される画面である提案コンテンツC1を生成し、提案コンテンツC1を端末装置10に送信する例が示される。
【0074】
図1の例によれば、提案コンテンツC1には、判定結果が示す大人用オムツに対応する製品情報PD1が表示される。また、
図1に示すように、製品情報PD1は、判定結果が示す大人用オムツがパンツタイプであることを示すテキストと、この大人用オムツのパッケージ画像とで構成されてよい。また、提案コンテンツC1には、製品情報PD1が示す製品の詳細画面へと遷移させるリンク情報(URL)が張られてもよい。
【0075】
ここまで
図1を用いて、情報処理装置100によって行われる実施形態に係る情報処理の一例を示した。このような情報処理装置100によれば、被介護者U1による自立排泄の状況を適切に判断し、判断結果に応じた最適な大人用オムツを提案することができるようになるため、介護者HP1に対しては介護業務に係る負担を軽減し、被介護者U1に対してはQOLを向上させることのできる機会を効果的に増やすことができるようになる。
【0076】
なお、
図1の例では、端末装置10がアプリAPの制御に従って歩行解析する例を示したが、情報処理装置100側で歩行解析が行われてもよい。係る場合、情報処理装置100には、利用者の歩行に関して分析する分析プログラムが搭載された状態で、例えば端末装置10から撮像動画を取得するように構成されることが考えられる。
【0077】
〔4.情報処理装置の構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置100について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0078】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えば、端末装置10との間で情報の送受信を行う。
【0079】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、分析結果記憶部121と、身体情報記憶部122と、製品情報記憶部123とを有する。
【0080】
(分析結果記憶部121について)
分析結果記憶部121は、利用者(例えば、被介護者の立場にある利用者)の歩行に関する分析結果を記憶する。ここで、
図3に実施形態に係る分析結果記憶部121の一例を示す。
図3の例では、分析結果記憶部121は、「利用者ID」と、「総合評価」と、「安定性」、「左右差」と、「転倒リスク」といった項目を有する。
【0081】
「利用者ID」は、利用者を識別する識別情報を示す。例えば、「利用者ID」は、被介護者の立場にある利用者を識別する識別情報を示す。
【0082】
「総合評価」は、分析結果が示す歩行状態の一例であり、歩行を総合的に評価する項目に相当する。また、「総合評価」は、
図3に示すように、「歩行速度」、「歩幅」、「歩行率」といった詳細な歩行状態を示す項目によって構成されてよい。
【0083】
「安定性」は、分析結果が示す歩行状態の一例であり、歩行に関する安定性を評価する項目に相当する。また、「安定性」は、
図3に示すように、「頭の揺れ」、「体幹の揺れ」、「足の揺れ」といった詳細な歩行状態を示す項目によって構成されてよい。
【0084】
「左右差」は、分析結果が示す歩行状態の一例であり、歩行に関する左右差を評価する項目に相当する。また、「左右差」は、
図3に示すように、「頭の傾きの左右差」、「体幹の傾きの左右差」、「骨盤の傾きの左右差」、「肘の動きの傾きの左右差」、「ピッチの左右差」といった詳細な歩行状態を示す項目によって構成されてよい。
【0085】
「転倒リスク」は、利用者が自立排泄する際に転倒してしまうリスクを示す。例えば、「転倒リスク」は、利用者が大人用オムツを自身で着脱する際に転倒してしまうリスクを示す。
【0086】
すなわち、
図3の例では、利用者ID「U1」によって識別される利用者(被介護者U1)に対する歩行分析により、被介護者U1の歩行状態として、「歩行速度♯1」、「歩幅♯1」、「歩行率♯1」、「頭の揺れ♯1」、「体幹の揺れ♯1」、「足の揺れ♯1」、「頭の傾きの左右差♯1」、「体幹の傾きの左右差♯1」、「骨盤の傾きの左右差♯1」、「肘の動きの傾きの左右差♯1」、「ピッチの左右差♯1」、が算出された例を示す。なお、
図3の例では、分析結果が示す歩行状態を「歩行速度♯1」等のように記号を用いて概念的に表記しているが、実際には分析結果を示す正当な情報が記憶される。
【0087】
また、
図3の例では、対応付けられる各項目が示す分析結果に基づき、被介護者U1の転倒リスクは「転倒リスク♯1」であると推定された例を示す。「転倒リスク」についても、実際には
図3のような概念表記ではなく、正当な情報が記憶される。
【0088】
(身体情報記憶部122について)
身体情報記憶部122は、利用者(例えば、被介護者の立場にある利用者)の身体情報を記憶する。ここで、
図4に実施形態に係る身体情報記憶部122の一例を示す。
図4の例では、身体情報記憶部122は、「利用者ID」と、「身体情報」と、「着脱難易度」といった項目を有する。また、
図4に示すように、「身体情報」の一例としては、「動作情報」、「可動域情報」、「姿勢情報」、「筋力情報」が挙げられる。
【0089】
「利用者ID」は、利用者を識別する識別情報を示す。例えば、「利用者ID」は、被介護者の立場にある利用者を識別する識別情報を示す。
【0090】
「動作情報」は、大人用オムツを着脱する際に必要となる所定の動作がどれだけできるかを示す情報である。また、ここでいう所定の動作とは、例えば、座った状態から立ち上がる動作、立った状態から座る動作、大人用オムツを引き上げる際の腕の動作、大人用オムツを下げる際の腕の動作等である。また、「動作情報」は、大人用オムツを着脱する際に必要となる上記所定の動作がどれだけできるか実際に撮像された撮像動画に基づき分析された分析結果であってもよいし、例えば介護者によって登録されてもよい。
【0091】
「可動域情報」は、利用者の股関節もしくは体幹に関する可動域を示す情報である。「可動域情報」は、例えば、利用者の主要関節(例えば、股関節、膝関節、股関節、足首関節等の下肢関節、腰から背中にかけての胸腰部の関節等の体幹の関節、腕、肩、肘等の上肢関節)の可動域が推定された推定結果を示す情報であってよい。また、「可動域情報」は、股関節の可動域、体幹前屈の可動域、体幹旋回の可動域が推定された推定結果であってもよい。また、これらの可動域は、利用者が動作する様子を示す撮像動画に基づき推定されてもよいし、例えば介護者によって登録されてもよい。
【0092】
「姿勢情報」は、利用者の姿勢を示す情報である。「姿勢情報」は、例えば、利用者が動作する様子を示す撮像動画に基づき、利用者の姿勢の状態が分析された分析結果であってよいし、介護者によって登録されてもよい。
【0093】
「筋力情報」は、利用者の筋力を示す情報である。「筋力情報」は、例えば、握力検査の結果を示す情報であってもよいし、大人用オムツを自力で破ることができるか否か調査された調査結果であってもよい。
【0094】
「着脱難易度」は、利用者が吸収性物品を自身で着脱することの難易度を示す情報である。「着脱難易度」は、「身体情報」に基づき推定される。例えば、「着脱難易度」は、「動作情報」、「可動域情報」、「姿勢情報」、「筋力情報」の全て、または、いずれかの組合せに基づき推定されてよい。
【0095】
すなわち、
図4の例では、利用者ID「U1」によって識別される利用者(被介護者U1)の「身体情報」は、「動作情報♯1」、「可動域情報♯1」、「姿勢情報♯1」、「筋力情報♯1」である例を示す。なお、
図4の例では、身体情報を「動作情報♯1」等のように記号を用いて概念的に表記しているが、実際には身体情報を示す正当な情報が記憶される。
【0096】
また、
図4の例では、被介護者U1の着脱難易度は「着脱難易度♯1」であると推定された例を示す。「着脱難易度」についても、実際には4のような概念表記ではなく、正当な情報が記憶される。
【0097】
(製品情報記憶部123について)
製品情報記憶部123は、製品として販売されている吸収性物品に関する情報を記憶する。ここで、
図5に実施形態に係る製品情報記憶部123の一例を示す。
図5の例では、製品情報記憶部123は、「評価結果」と、「形態種別」と、「サイズ」、「時間帯」と、「吸収性能」、「製品情報」といった項目を有する。
【0098】
「評価結果」は、利用者による自立排泄の状況が評価された評価結果に対応する情報を示す。「形態種別」は、大人用オムツの形態が着脱方式に応じて分けられる種別を示す。「サイズ」は、大人用オムツに関するサイズを示す情報である。また、「形態種別」は、対応する「評価結果」に応じて判定対象となるものであり、例えば、パンツタイプとテープタイプとが存在する。なお、「形態種別」は、パンツタイプおよびテープタイプに限定されず、例えば、パンツタイプの特徴とテープタイプの特徴の双方を兼ね備える2Wayタイプがさらに存在する。本実施形態では、2Wayタイプはパンツタイプ側に属するものとする。
【0099】
「時間帯」は、昼用の製品であるか、夜用の製品であるかを規定する情報である。「吸収性能」は、どれだけの尿を吸収可能な性能(キャパシティ)を有する製品であるかを規定する情報である。「製品情報」は、吸収性物品に関する製品情報を示す。なお、「製品情報」が示す吸収性物品は、大人用オムツであってもよいし、尿取りパッドであってもよい。また、「製品情報」が示す吸収性物品は、大人用オムツと、この大人用オムツと併用すべき尿取りパッドとの組合せであってもよい。
【0100】
すなわち、
図5の例では、情報処理装置100は、利用者による自立排泄の状況を評価した結果、「A判定」(例えば、自立排泄可能)と評価できる場合には、この利用者に応じた形態種別は「パンツタイプ」であると推定する例を示す。
【0101】
また、
図5の例では、「パンツタイプ」の吸収性物品は、「Sサイズ」、「Mサイズ」、「Lサイズ」、といった「サイズ種別」でさらに分けられ、情報処理装置100は、「パンツタイプ」に属する吸収性物品の中から、利用者の体型に応じたサイズ種別の吸収性物品を絞り込むことができる例を示す。
【0102】
また、
図5の例では、「パンツタイプ」および「Sサイズ」の吸収性物品は、「昼用」、「夜用」、といった用途別の「時間帯」でさらに分けられ、情報処理装置100は、どの時間帯において着用させるかといった都合に合わせて、「パンツタイプ」および「Sサイズ」の吸収性物品の中からさらに絞り込むことができる例を示す。
【0103】
また、
図5の例では、「パンツタイプ」、「Sサイズ」および「昼用」の吸収性物品は、「排尿2回分を吸収可能な吸収体を有する」、「排尿4回分を吸収可能な吸収体を有する」…といった「吸収性能」でさらに分けられ、情報処理装置100は、「パンツタイプ」、「Sサイズ」および「昼用」の吸収性物品の中から、利用者の排泄状況に応じた吸収性能を有する吸収性物品を絞り込むことができる例を示す。
【0104】
また、
図5の例では、「パンツタイプ」、「Sサイズ」および「昼用」であって「排尿2回分を吸収可能な吸収体を有する」吸収性物品は、製品情報「PD1-SD2」によって示される製品である例を示す。
【0105】
(制御部130について)
図2に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0106】
図2に示すように、制御部130は、取得部131と、評価部132と、推定部133と、判定部134と、提案部135と、状態推定部136とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0107】
(取得部131について)
取得部131は、利用者の歩行に関する分析結果を取得する。例えば、取得部131は、分析結果として、利用者の歩行状態を示す分析結果を取得する。例えば、取得部131は、利用者の歩行状態を示す分析結果として、利用者が歩行する様子が撮像された撮像画像に基づき利用者の歩行状態が分析された分析結果を取得する。
【0108】
図1の例では、端末装置10が、利用者の歩行に関して分析する分析プログラムに対応するアプリAPの制御に従って、利用者が歩行する様子が示される撮像動画を解析することで、利用者の歩行状態を分析している。したがって、
図1の例では、取得部131は、端末装置10がアプリAPの制御に従い撮像動画に対して実行した歩行分析による分析結果を取得する。
【0109】
また、取得部131が取得した分析結果には、例えば、歩行を総合的に評価する項目(例えば、歩行速度、歩幅、歩行率)、歩行に関する安定性を評価する項目(頭の揺れ、体幹の揺れ、足の揺れ)の算出、左右差を評価する項目(例えば、頭の傾きの左右差、体幹の傾きの左右差等)が含まれ、このような分析結果を分析結果記憶部121に格納する。
【0110】
また、取得部131は、利用者の歩行状態を示す分析結果として、利用者が歩行する際の足圧の分布状況を示す分析結果を取得してもよい。
【0111】
また、取得部131は、利用者の身体的状態を示す身体情報をさらに取得してもよい。例えば、取得部131は、身体情報として、吸収性物品を着脱する際に必要となる所定の動作を示す身体情報を取得する。一例として、取得部131は、吸収性物品を着脱する際に必要となる所定の動作(例えば、座った状態から立ち上がる動作、立った状態から座る動作、大人用オムツを引き上げる際の腕の動作、大人用オムツを下げる際の腕の動作等)がどれだけできるかが分析された分析結果を示す情報を取得する。
【0112】
また、取得部131は、身体情報として、利用者の姿勢を示す情報、または、筋力を示す情報も取得してよい。さらに取得部131は、利用者の股関節もしくは体幹に関する可動域を示す情報も取得してよい。
【0113】
また、取得部131は、取得した身体情報を身体情報記憶部122に格納する。
【0114】
(評価部132について)
評価部132は、取得部131により取得された分析結果に基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価する。例えば、評価部132は、取得部131により取得された分析結果が示す歩行状態に基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価する。
【0115】
また、評価部132は、取得部131により取得された分析結果から利用者が自立排泄する際の転倒リスクを推定し、推定した転倒リスクに基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価する。この点について、
図1の例によれば、評価部132は、歩行を総合的に評価する項目、歩行に関する安定性を評価する項目、および、左右差を評価する項目に基づいて、利用者である被介護者U1が大人用オムツを自身で着脱する際の転倒リスクを推定する。そして、評価部132は、推定した転倒リスクに基づいて、被介護者U1による自立排泄の状況を評価する。例えば、評価部132は、転倒リスクに基づいて、被介護者U1による自立排泄の状況を示す評価値を算出する。
【0116】
また、評価部132は、取得部131により取得された分析結果および身体情報に基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価してもよい。例えば、評価部132は、身体情報に基づき利用者が吸収性物品を自身で着脱する難易度である着脱難易度を推定し、推定した着脱難易度と、分析結果から推定された転倒リスクとに基づいて、利用者による自立排泄の状況を評価する。例えば、評価部132は、身体情報記憶部122に記憶される「動作情報」、「可動域情報」、「姿勢情報」、「筋力情報」の全て、または、いずれかの組合せに基づき、着脱難易度を推定する。一例として、評価部132は、これら身体情報に基づいて、吸収性物品を着脱する際に必要とされる所定の動作(例えば、座った状態から立ち上がる動作、立った状態から座る動作、大人用オムツを引き上げる際の腕の動作、大人用オムツを下げる際の腕の動作等)がどれだけできるかを分析する。そして、評価部132は、分析結果に基づき着脱難易度を推定する。例えば、評価部132は、分析結果に基づき吸収性物品を着脱する際に必要とされる所定の動作をよりスムーズに行えると判断される程、より低い着脱難易度を推定する。例えば、情報処理装置100は、どのような分析結果が得られたときどれだけの着脱難易度と推定するか予め規定された記憶部を有してよく、係る場合には、評価部132は、この記憶部と実際の分析結果と照らし合わせて着脱難易度を推定することができる。
【0117】
(推定部133について)
推定部133は、評価部132による評価結果に基づいて、吸収性物品の種別のうち、利用者に応じた種別を推定する。上述した通り、吸収性物品である大人用オムツは、着脱方式によってパンツタイプおよびテープタイプの少なくとも2つの形態種別で分けられる。したがって、推定部133は、評価結果が所定の条件を満たすか否かに基づいて、2つの形態種別のうちいずれの形態種別が利用者に応じた形態種別であるかを推定する。
【0118】
図1の例によれば、推定部133は、評価結果が示す評価値が所定閾値より高いことから自立排泄可能と判断できる場合には、パンツタイプが被介護者U1に応じた形態種別であると推定する。一方、推定部133は、評価結果が示す評価値が所定閾値より低いことから自立排泄不可能と判断できる場合には、テープタイプが被介護者U1に応じた形態種別であると推定する。
【0119】
なお、推定部133は、推定した種別に対して複数の詳細種別が紐付けられている場合には、複数の詳細種別のうち、利用者に応じた詳細種別を、評価結果を用いてさらに推定してもよい。例えば、推定部133は、推定した形態種別に対して複数の詳細種別が紐付けられている場合には、複数の詳細種別のうち、利用者に応じた詳細種別を、評価結果に基づきさらに推定する。この点について、例えば、推定部133は、被介護者U1に応じた形態種別はパンツタイプであると推定したとして、パンツタイプの大人用オムツが操作性に応じた複数種別に分けられる場合には、評価結果に基づいて、複数の詳細種別のうちいずれの詳細種別が利用者に応じた詳細種別であるかを推定する。
【0120】
(判定部134について)
判定部134は、評価部132による評価結果に基づいて、利用者に提案する吸収性物品を判定する。より具体的には、判定部134は、提案候補の吸収性物品のうち、評価結果に基づき推定部133が推定した種別の吸収性物品を、利用者に提案する吸収性物品として判定する。
【0121】
図1の例によれば、判定部134は、提案候補の大人用オムツを示す製品情報が記憶される製品情報記憶部123(
図5)と、推定結果とを照らし合わせることにより、被介護者U1に提案する大人用オムツがどの製品であるかを判定する。
【0122】
(提案部135について)
提案部135は、利用者に関する各種の提案を行う。具体的には、提案部135は、吸収性物品に関する提案を行う。
【0123】
例えば、提案部135は、判定部134により判定された吸収性物品を、利用者が着用する着用対象の製品として提案する。
図1の例によれば、提案部135は、判定結果が示す大人用オムツが着用対象の製品として提案される提案コンテンツを生成し、これを端末装置10に送信する。
【0124】
また、提案部135は、判定部134により判定された吸収性物品の着脱方法をさらに提案してもよい。例えば、提案部135は、判定部134により判定された吸収性物品の交換を担当する介護者の介護スキルに応じた着脱方法を提案する。一例として、提案部135は、判定部134により判定された吸収性物品の交換を担当する介護者の介護スキルが所定値に満たず例えば介助経験が浅いと判定される場合には、詳細な着脱方法をこの介護者の端末装置10に送信する。一方、提案部135は、判定部134により判定された吸収性物品の交換を担当する介護者の介護スキルが所定値以上であり例えば介助経験が十分と判定される場合には、簡単な着脱方法をこの介護者の端末装置10に送信する、または、着脱方法の提案を行わない。
【0125】
このような提案手法によれば、情報処理装置100は、介護者を適切にサポートすることで介護業務に係る負担を軽減させることができる。また、情報処理装置100は、介護者の介護スキルに応じて着脱方法の提案の仕方を変えることができるため、介護スキルが十分でない介護者に対しては適切にサポートすることができ、介護スキルが十分な介護者に対しては介護者のやり方を優先した提案を行うことができる。
【0126】
なお、提案部135は、着脱方法の提案には任意の手法を採用することができる。例えば、提案部135は、着脱方法を示すコンテンツを、吸収性物品に関する所定のオブジェクトに重畳した状態で表示させることができる。例えば、提案部135は、端末装置10から吸収性物品が撮像された撮影画像を取得した場合に、端末装置10の画面に表示されるこの撮像画像内の吸収性物品に対して着脱方法を示すコンテンツが重畳して表示されるよう制御する。
【0127】
また、提案部135は、吸収性物品に関する提案として、大人用オムツに対する尿取りパッドの装着方法も提案してよい。
【0128】
また、提案部135は、評価部132による評価結果に基づき推定される、利用者の自立排泄の状況に基づいて、利用者をトイレへと誘導する誘導方法を提案してもよい。例えば、提案部135は、誘導方法として、トイレへと誘導する際に利用者に声掛けする内容や、どのようなトーンで声掛けするかといった声掛けの方法を提案する。一例を示すと、提案部135は、「目を合わせて話しかけながら笑顔で声掛けしましょう」といった声掛けの方法を提案することができる。また、提案部135は、着脱方法の提案と同様に、介護者の介護スキルに応じて誘導方法の提案の仕方を変えてもよい。
【0129】
このような提案手法によれば、情報処理装置100は、介護者を適切にサポートすることで介護業務に係る負担を軽減させることができる。また、情報処理装置100は、介護者の介護スキルに応じて着脱方法の提案の仕方を変えることができるため、介護スキルが十分でない介護者に対しては適切にサポートすることができ、介護スキルが十分な介護者に対しては介護者のやり方を優先した提案を行うことができる。
【0130】
また、提案部135は、着脱方法や誘導方法を提案するだけでなく、介護者の介護業務に対するモチベーションを高めるような情報提供を行ってもよい。例えば、提案部135は、トイレへの誘導等をはじめとした各種の介護業務が開始されるタイミングにおいて「がんばりましょうね!」を出力するよう介護者の端末装置10に対して出力制御する。また、例えば、提案部135は、各種の介護業務が終了したことを検知した場合には、「お疲れさまでした」を出力するよう介護者の端末装置10に対して出力制御する。なお、このような出力制御は、図示しない提案部135以外の処理部(例えば、提供部)によって行われてもよい。
【0131】
(状態推定部136について)
状態推定部136は、取得部131により取得された分析結果に基づいて、利用者の状態の変化を推定する。そして、提案部135は、状態推定部136による推定結果に応じた情報を提案する。
【0132】
例えば、状態推定部136は、分析結果として、利用者の歩行に関して今回分析された現時点での分析結果と、利用者の歩行に関して過去に分析された過去の分析結果とを比較することにより、利用者の歩行状態の改善状況を推定する。例えば、状態推定部136は、現時点での分析結果と、利用者の歩行に関して過去に分析された過去の分析結果とを比較することにより、利用者の歩行状態が改善しているか否かを判定する。そして、状態推定部136は、歩行状態が改善していると判定した場合には、改善状況として改善度合いを推定する。一方、状態推定部136は、歩行状態が改善していない(すなわち悪化している)と判定した場合には、改善状況として悪化度合いを推定する。
【0133】
係る場合、提案部135は、改善状況を提示するとともに、改善状況から利用者の歩行状態が悪化していると判定される場合には歩行状態を改善可能な介護方法を提案する。このような情報処理装置100によれば、利用者に対して改善状況を可視化することができるため、歩行状態が改善している場合にはさらに改善できるよう意欲を高めることができ、歩行状態が悪化している場合には歩行状態が改善するようサポートすることができる。
【0134】
また、提案部135は、他の介護施設の改善状況に基づく提案を行ってもよい。例えば、介護施設FC1に入居している被介護者U1と属性が類似する被介護者U11が、他の介護施設FC11に入居しているとする。係る場合、状態推定部136は、被介護者U1の歩行状態の改善状況と、被介護者U11の歩行状態の改善状況とを比較することにより、どちらがどの程度上回って改善しているかを推定する。
【0135】
係る場合、提案部135は、介護施設FC1側には「介護施設FC11のAさんはこの半年間で〇〇だけ改善しました。Bさん××分だけ負けております。次回は追い越せるように頑張りましょう!」といった提案内容の出力を行う。一方、提案部135は、介護施設FC11側には「介護施設FC1のBさんよりも××分勝ちました!次も勝てるようさらに努力しましょう」」といった提案内容の出力を行う。
【0136】
このような情報処理装置100によれば、例えば、介護施設間で改善状況の競い合いを実現することができるようになるため、利用者に対してリハビリに取り組むモチベーションを効果的に高めることができるようになる。
【0137】
また、状態推定部136は、取得部により取得された分析結果と類似する分析結果が得られた他の利用者に関する所定の統計データに基づいて、利用者が将来において所定の身体的状態になるリスクを推定してもよい。例えば、状態推定部136は、被介護者U1に対する分析結果と類似する分析結果が得られた他の利用者についての介護に関する情報に基づいて、統計データを取得する。ここで、状態推定部136は、類似する分析結果が得られた他の利用者は数年後寝たきり状態になってしまっているとの統計を得たとする。係る場合、状態推定部136は、このような統計データに基づいて、被介護者U1も将来的に寝たきり状態になってしまうリスクを推定する。
【0138】
また、提案部135は、推定されたリスクに基づき被介護者U1が将来において寝たきり状態になると推定される場合には、当該リスクを軽減可能な介護方法を提案する。このような情報処理装置100によれば、将来的なリスクを可視化することができるため、寝たきり状態になるリスクを軽減できるよう事前に対策させることができる。
【0139】
〔5.処理手順〕
次に、
図6を用いて、実施形態に係る情報処理の手順について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。
図6の例では、端末装置10が、アプリAPの制御に従って、被介護者が歩行する様子を示す撮像動画に基づき、被介護者の歩行を分析するものとする。また、
図6の例では、吸収性物品を大人用オムツとして説明する。
【0140】
このような場合、取得部131は、被介護者がどのような歩行の特徴であるか歩行状態が分析された分析結果を取得できたか否かを判定する(ステップS101)。取得部131は、分析結果を取得できていないと判定している間は(ステップS101;No)、分析結果を取得できたと判定できるまで待機する。
【0141】
一方、取得部131は、分析結果を取得できたと判定された場合には(ステップS101;Yes)、被介護者の身体的状態を示す身体情報をさらに取得する(ステップS102)。
【0142】
次に、評価部132は、取得された分析結果が示す歩行状態に基づいて、被介護者が自立排泄する際の転倒リスクを推定する(ステップS103)。例えば、評価部132は、分析結果が示す歩行状態として、歩行を総合的に評価する項目、歩行に関する安定性を評価する項目、および、左右差を評価する項目に基づいて、被介護者が大人用オムツを自身で着脱する際の転倒リスクを推定する。
【0143】
また、評価部132は、身体情報に基づいて、被介護者が大人用オムツを自身で着脱する難易度である着脱難易度を推定する(ステップS104)。例えば、評価部132は、身体情報記憶部122に記憶される「動作情報」、「可動域情報」、「姿勢情報」、「筋力情報」の全て、または、いずれかの組合せに基づき、着脱難易度を推定する。
【0144】
そして、評価部132は、推定した転倒リスクと着脱難易度とに基づいて、被介護者による自立排泄の状況を評価する(ステップS105)。例えば、評価部132は、推転倒リスクが所定の条件を満たすか否か、また、着脱難易度が所定の条件を満たすか否かに基づいて、転倒リスクおよび着脱難易度の双方の観点から、自立排泄の状況を総合的に評価する。
【0145】
次に、推定部133は、評価部132による評価結果に基づいて、大人用オムツの形態種別(パンツタイプ、テープタイプ)のうち、被介護者に応じた形態種別を推定する(ステップS106)。
【0146】
判定部134は、推定部133による推定結果に基づいて、被介護者に提案する吸収性物品を判定する(ステップS107)。例えば、判定部134は、提案候補の大人用オムツのうち、評価結果に基づき推定部133が推定した形態種別の大人用オムツを、被介護者に提案する吸収性物品として判定する。
【0147】
最後に、提案部135は、判定部134により判定された大人用オムツを、被介護者が着用する着用対象の製品として提案する(ステップS108)。
【0148】
〔6.評価手法〕
次に、
図7を用いて、
図6のステップS105で行われる評価の手法について説明する。
図7は、転倒リスクとおよび着脱難易度に基づき、自立排泄の状況を評価する評価手法の一例を示す図である。
【0149】
まず、評価部132は、分析結果が示す歩行状態に基づき推定した転倒リスクが所定の条件を満たすか否かを判定する。
図7の例によれば、評価部132は、転倒リスクが所定閾値N1より高いか低いかを判定する(ステップS201)。ステップS201での判定処理は、安全にトイレに行きそして安全に用を足すことができるという自立排泄に求められる1つの条件(以下「条件CD1」とする)を被介護者が満たしているかどうかを判定する目的で行われる。
【0150】
例えば、評価部132は、転倒リスクが所定閾値N1より低いと判定した場合には(ステップS201;Yes)、被介護者が自立排泄に求められる1つの条件である条件CD1をまずは満たしていると判断し、次に、身体情報に基づき推定した着脱難易度が所定の条件を満たすか否かを判定する。
図7の例によれば、評価部132は、着脱難易度が所定閾値N2より高いか低いかを判定する(ステップS202a)。ステップS202aでの判定処理は、トイレまで行き着いた被介護者が、便座への着座・着座した状態からの立ち上がり、あるいは、大人用オムツの上げ下ろし等といった大人用オムツを着脱する際に必要となる各種動作を自身で行うことができる能力がある、という自立排泄に求められる1つの条件(以下「条件CD2」とする)を被介護者が満たしているかどうかを判定する目的で行われる。
【0151】
例えば、評価部132は、着脱難易度が所定閾値N2より低いと判定した場合には(ステップS202a;Yes)、被介護者が自立排泄に求められる1つの条件である条件CD2をさらに満たしていると判断する。
【0152】
また、このようにして条件CD1およびCD2の双方を満たすと判断された被介護者は、自己にてトイレまで移動し、用を足し後始末までするという一連の排泄動作を行うことができると考えられる。したがって、評価部132は、条件CD1およびCD2の双方を満たす被介護者に対して自立排泄が可能なことを示す「評価A」の判定を下す。また、推定部133は、評価結果「評価A」と、製品情報記憶部123とを照らし合わせて、「評価A」の被介護者に応じた形態種別はパンツタイプであると推定する。
【0153】
次に、他の例として、評価部132は、転倒リスクが所定閾値N1より低いと判定した一方で(ステップS201;Yes)、着脱難易度が所定閾値N2より高いと判定したとする(ステップS202a;No)。係る例は、条件CD1を満たすが条件CD2を満たさないことを意味し、このように判定された被介護者は、自己にてトイレまで移動することはできるが、移動してからのトイレでの動作を自己で行うことには不安があると考えられる。とはいえ、自己にてトイレまで移動する能力があるのであればリハビリ次第では、移動してからのトイレでの動作も改善される可能性も示唆される。したがって、評価部132は、条件CD1を満たすが条件CD2を満たさない被介護者に対して準自立排泄可能なことを示す「評価B」の判定を下す。また、推定部133は、評価結果「評価B」と、製品情報記憶部123とを照らし合わせて、「評価B」の被介護者に応じた形態種別はパンツタイプであると推定する。
【0154】
例えば、介護者が、自身の経験則に従って条件CD1を満たすが条件CD2を満たさないと判断した場合には、安全性を考慮してテープタイプの大人用オムツを用いようとする可能性が高い。しかしながら、
図6の評価手法によれば、将来的に自立排泄ができるように改善される余地が残されているか否かを高精度に判定することができるため、改善の余地が残されている準自立排泄可能な被介護者を適切に見極め、介護者に頼りきりになり自力で行動する機会が失われてしまうことを防止することができる。
【0155】
さらに他の例として、評価部132は、転倒リスクが所定閾値N1より高いと判定した一方で(ステップS201;No)、着脱難易度が所定閾値N2より低いと判定したとする(ステップS202a;Yes)。係る例は、条件CD1を満たさないが条件CD2を満たすことを意味し、このように判定された被介護者は、自己にてトイレまで移動することには不安があるが、移動してからのトイレでの動作を自己で行うことは可能であると考えられる。つまり、補助ありでもトイレに行きさえすれば後の動作は自己で行う能力があり、リハビリ次第では、自己にてトイレまで移動することもできるようにもなる可能性が示唆される。したがって、評価部132は、条件CD1を満たさないが条件CD2を満たす被介護者に対して準自立排泄可能なことを示す「評価B」の判定を下す。また、推定部133は、評価結果「評価B」と、製品情報記憶部123とを照らし合わせて、「評価B」の被介護者に応じた形態種別はパンツタイプであると推定する。
【0156】
例えば、介護者が、自身の経験則に従って条件CD1を満たさないが条件CD2を満たすと判断した場合には、安全性を考慮してテープタイプの大人用オムツを用いようとする可能性が高い。しかしながら、
図6の評価手法によれば、将来的に自立排泄ができるように改善される余地が残されているか否かを高精度に判定することができるため、改善の余地が残されている準自立排泄可能な被介護者を適切に見極め、介護者に頼りきりになり自力で行動する機会が失われてしまうことを防止することができる。
【0157】
また、さらに他の例として、評価部132は、転倒リスクが所定閾値N1より高いと判定し(ステップS201;No)、着脱難易度が所定閾値N2より高いと判定したとする(ステップS202a;No)。係る例は、条件CD1および条件CD2の双方を満たさないことを意味し、このように判定された被介護者は、一日を寝て過ごすことが多く、自立排泄は不可能と考えられる。したがって、評価部132は、条件CD1およびCD2の双方を満たさない被介護者に対して自立排泄不可能なことを示す「評価C」の判定を下す。また、推定部133は、評価結果「評価C」と、製品情報記憶部123とを照らし合わせて、「評価C」の被介護者に応じた形態種別はテープタイプであると推定する。
【0158】
〔7.その他〕
上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0159】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0160】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【0161】
〔8.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る情報処理装置100は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図8は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、キャッシュ1040、メモリ1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続される。
【0162】
演算装置1030は、キャッシュ1040やメモリ1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。キャッシュ1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するキャッシュである。また、メモリ1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現されるメモリである。
【0163】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現されてよい。一方、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0164】
例えば、入力装置1020は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置により実現されてもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体により実現されてもよい。
【0165】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する機能を有する。
【0166】
ここで、演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行うこととなる。例えば、演算装置1030は、入力装置1020やメモリ1050からプログラムをキャッシュ1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。例えば、コンピュータ1000が情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現することとなる。
【符号の説明】
【0167】
1 情報処理システム
10 端末装置
100 情報処理装置
120 記憶部
121 分析結果記憶部
122 身体情報記憶部
123 製品情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 評価部
133 推定部
134 判定部
135 提案部
136 状態推定部