(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124146
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】流体供給装置、推論装置、機械学習装置、圧力タンク診断方法、推論方法、機械学習方法、圧力タンク診断プログラム、推論プログラム、及び、機械学習プログラム
(51)【国際特許分類】
F04B 51/00 20060101AFI20220818BHJP
F04B 23/02 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
F04B51/00
F04B23/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021742
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝志
【テーマコード(参考)】
3H071
3H145
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071AA06
3H071AA07
3H071BB00
3H071CC17
3H071CC35
3H071DD14
3H071DD37
3H071DD72
3H071DD84
3H145AA01
3H145BA22
3H145CA03
3H145CA08
3H145CA15
3H145CA21
3H145DA04
3H145DA19
3H145DA46
3H145EA13
3H145EA15
3H145EA20
3H145EA26
3H145EA38
3H145EA43
3H145FA01
3H145FA19
3H145FA23
3H145FA25
(57)【要約】
【課題】診断用の圧力センサを新たに設けることなく、圧力タンクの健全性を診断するこ
とを可能とする流体供給装置を提供する。
【解決手段】流体供給装置3は、電動機310を駆動源として流体を移送するポンプ31
と、ポンプ31の吐出側に設けられ、流体の圧力を保持する圧力タンクと32、電動機3
10が発電機として動作したときの発電量を測定する発電量センサ313と、流体の供給
動作を制御する制御盤36とを備える。制御盤36は、圧力タンク32に貯留された流体
をポンプ31の吸込側に逆流させたとき、発電量センサ313により測定された発電量を
逆流時発電量のデータとして取得し、その逆流時発電量のデータに基づいて圧力タンク3
2の健全性を診断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプと、
前記ポンプの吐出側に設けられ、前記流体の圧力を保持する圧力タンクと、
前記電動機が発電機として動作したときの発電量を測定する発電量測定器と、
前記流体の供給動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させたとき、前記
発電量測定器により測定された前記発電量を逆流時発電量のデータとして取得し、前記逆
流時発電量のデータに基づいて前記圧力タンクの健全性を診断する、
流体供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記逆流時発電量に基づいて前記圧力タンクの封入圧力を推定し、前記封入圧力の健
全性を診断する、
請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記圧力タンクから前記流体が供給される流体供給先にて前記流体の使用予定がある
か否かを判定し、
前記使用予定があると判定した場合には、前記ポンプの吐出側圧力に基づいて前記ポ
ンプの運転を制御し、
前記使用予定がないと判定した場合には、前記圧力タンクに貯留された前記流体を前
記ポンプの吸込側に逆流させて、前記圧力タンクの健全性を診断する、
請求項1又は請求項2に記載の流体供給装置。
【請求項4】
前記ポンプと前記圧力タンクとを接続し、その途中に逆止弁が設けられた吐出側配管と
、
前記逆止弁をバイパスするように前記吐出側配管に接続され、その途中にバイパス弁が
設けられたバイパス配管と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記バイパス弁を開弁することにより、前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記
ポンプの吸込側に逆流させる、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流体供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記逆流時発電量のデータを少なくとも含む入力データと前記圧力タンクの診断情報
との相関関係を機械学習させた学習モデルに、前記発電量測定器により測定された前記発
電量から取得した前記逆流時発電量のデータを入力データとして入力することにより当該
逆流時発電量を取得しときの前記圧力タンクの健全性を診断する、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の流体供給装置。
【請求項6】
前記ポンプの吐出側圧力を測定する圧力測定器を備え、
前記制御部は、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させたとき、前記
圧力測定器により測定された前記吐出側圧力を逆流時吐出側圧力のデータとして取得し、
前記逆流時発電量のデータとともに、さらに前記逆流時吐出側圧力のデータに基づい
て前記圧力タンクの健全性を診断する、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の流体供給装置。
【請求項7】
前記ポンプは、
前記吸込側に、水位を測定する水位計を備える受水槽に接続され、
前記制御部は、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させたとき、前記
水位計により測定された前記水位を逆流時水位のデータとして取得し、
前記逆流時発電量のデータとともに、さらに前記逆流時水位のデータに基づいて前記
圧力タンクの健全性を診断する、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の流体供給装置。
【請求項8】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプの吐出側に設けられ、前記流体の圧力を保
持する圧力タンクの健全性を診断するために用いられる推論装置であって、
前記推論装置は、メモリと、プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させることで前記
電動機が発電機として動作したときの発電量に基づいて、逆流時発電量のデータを入力デ
ータとして取得する入力データ取得処理と、
前記入力データ取得処理にて前記入力データを取得すると、前記圧力タンクの診断情
報を推論する推論処理と、を実行する、
推論装置。
【請求項9】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプの吐出側に設けられ、前記流体の圧力を保
持する圧力タンクの健全性を診断するための学習モデルを生成する機械学習装置であって
、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させることで前記電
動機が発電機として動作したときの発電量に基づいて、逆流時発電量のデータを入力デー
タとして少なくとも含む学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習モデルに前記学習用データを複数組入力することで、前記入力データと前記圧
力タンクの診断情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、
を備える、
機械学習装置。
【請求項10】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプの吐出側に設けられ、前記流体の圧力を保
持する圧力タンクの健全性を診断する圧力タンク診断方法であって、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させる流体逆流工程
と、
前記流体逆流工程と並行して、前記電動機が発電機として動作したときの発電量を測定
し、その測定した前記発電量に基づいて逆流時発電量のデータを入力データとして取得す
る入力データ取得工程と、
前記入力データ取得工程により取得された前記逆流時発電量に基づいて前記圧力タンク
の健全性を診断する診断工程と、を備える、
圧力タンク診断方法。
【請求項11】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプの吐出側に設けられ、前記流体の圧力を保
持する圧力タンクの健全性を診断するために用いられる推論方法であって、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させることで前記
電動機が発電機として動作したときの発電量に基づいて、逆流時発電量のデータを入力デ
ータとして取得する入力データ取得工程と、
前記入力データ取得工程にて前記入力データを取得すると、前記圧力タンクの診断情
報を推論する推論工程と、を実行する、
推論方法。
【請求項12】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプの吐出側に設けられ、前記流体の圧力を保
持する圧力タンクの健全性を診断するための学習モデルを生成する機械学習方法であって
、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させることで前記電
動機が発電機として動作したときの発電量に基づいて、逆流時発電量のデータを入力デー
タとして少なくとも含む学習用データを学習用データ記憶部に複数組記憶する学習用デー
タ記憶工程と、
前記学習モデルに前記学習用データを複数組入力することで、前記入力データと前記圧
力タンクの診断情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する
学習済みモデル記憶工程と、を備える、
機械学習方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項10に記載の圧力タンク診断方法が備える各工程を実行させる
ための、
圧力タンク診断プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、請求項11に記載の推論方法が備える各工程を実行させるための、
推論プログラム。
【請求項15】
コンピュータに、請求項12に記載の機械学習方法が備える各工程を実行させるための
、
機械学習プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給装置、推論装置、機械学習装置、圧力タンク診断方法、推論方法、
機械学習方法、圧力タンク診断プログラム、推論プログラム、及び、機械学習プログラム
に関する。
【背景技術】
【0002】
流体供給装置の一例である給水装置は、例えば、マンションやオフィスビル等にて水(
流体)を供給するための装置として広く使用されている。給水装置は、一般に、水を移送
するポンプと、ポンプの運転を制御する制御部と、ポンプの吐出側の給水配管に設けられ
た圧力タンクとを備える。
【0003】
圧力タンクは、一般に、容器内部を空気室と水室とに分ける隔膜を有する。空気室の内
部には予め空気が封入されており、ポンプの運転により移送された水は、水室に流入し、
隔膜を介して空気を圧縮する。圧力タンクとポンプとの間には逆止弁が配置されており、
この逆止弁と圧力タンクとにより、ポンプが停止した後においても給水配管内の水圧が適
切に維持され、供給先に給水される。供給先にて水が使用されると、水室から水が流出し
、隔膜は空気室側から水室側へと押し戻される。
【0004】
給水装置では、供給先への給水に伴ってポンプの運転及び停止が切り替えられるため、
圧力タンクの隔膜は伸縮を繰り返し、徐々に劣化する。また、容器と隔膜の固定部位につ
いても同様に、屈伸を繰り返すことで徐々に劣化する。しかしながら、隔膜の劣化は、使
用状況により異なるので、最適なタイミングで隔膜の交換を行うことが困難であった。そ
こで、圧力タンクの健全性として、隔膜の劣化状態を診断することができる検査装置が提
案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3596909号公報
【特許文献2】特開平8-86278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2にそれぞれ開示された検査装置は、圧力タンクの健全性を診
断する際に用いる圧力センサ(特許文献1の「圧力スイッチ9」、特許文献2の「圧力セ
ンサ21」)を備える。一方、給水装置が、供給先への給水に伴ってポンプの運転及び停
止を切り替えるために、上記の診断用の圧力センサとは別の圧力センサ(特許文献1の「
圧力スイッチ6」、特許文献2の「圧力計6」)が、ポンプの吐出側に設けられる。その
ため、特許文献1及び特許文献2にそれぞれ開示された検査装置では、圧力タンクの健全
性を診断するためだけに、診断用の圧力センサを新たに設けなければならなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑み、診断用の圧力センサを新たに設けることなく、圧力タ
ンクの健全性を診断することを可能とする流体供給装置、推論装置、機械学習装置、圧力
タンク診断方法、推論方法、機械学習方法、圧力タンク診断プログラム、推論プログラム
、及び、機械学習プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の態様に係る流体供給装置は、
電動機を駆動源として流体を移送するポンプと、
前記ポンプの吐出側に設けられ、前記流体の圧力を保持する圧力タンクと、
前記電動機が発電機として動作したときの発電量を測定する発電量測定器と、
前記流体の供給動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記圧力タンクに貯留された前記流体を前記ポンプの吸込側に逆流させたとき、前記
発電量測定器により測定された前記発電量を逆流時発電量として取得し、前記逆流時発電
量に基づいて前記圧力タンクの健全性を診断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流体供給装置によれば、制御部が、圧力タンクに貯留された流体をポンプの吸
込側に逆流させることで電動機が発電機として動作したときの逆流時発電量のデータに基
づいて圧力タンクの健全性を診断する。そのため、診断用の圧力センサを新たに設けるこ
となく、圧力タンクの健全性を診断することができる。
【0010】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにさ
れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る流体供給装置3が適用された給水システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る流体供給装置3が適用された給水システム1の一例を示すブロック図である。
【
図3】流体供給装置3(主に制御盤36及び操作表示盤37の部分)及び機械学習装置4を構成するコンピュータ200の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図4】第1の実施形態に係る機械学習装置4の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるデータ(教師あり学習)の一例を示すデータ構成図である。
【
図6】第1の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるニューラルネットワークモデルの一例を示す模式図である。
【
図7】第1の実施形態に係る機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係る圧力タンク診断装置5(圧力タンク診断部363)の一例を示すブロック図である。
【
図9】第1の実施形態に係る圧力タンク診断部363(圧力タンク診断装置5)を備える流体供給装置3による圧力タンク診断方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるデータ(教師なし学習)の一例を示すデータ構成図である。
【
図11】第2の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるオートエンコーダモデルの一例を示す模式図である。
【
図12】第2の実施形態に係る機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施形態に係る圧力タンク診断部363(圧力タンク診断装置5)を備える流体供給装置3による圧力タンク診断方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、
本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説
明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術による
ものとする。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る流体供給装置3が適用された給水システム1の一例を示
す全体構成図である。
【0014】
給水システム1は、例えば、マンション、オフィスビル、公共施設、商業施設、工場等
の建物や施設に水(流体)を供給するシステムである。
図1に示す給水システム1は、受
水槽方式を採用し、水供給源となる水道本管11に接続された受水槽10と、給水装置と
しての流体供給装置3とを備える。
【0015】
なお、本実施形態では、流体供給装置3は、流体として水を供給する場合を例にして説
明するが、流体供給装置3は、燃料及び薬品等の水以外の液体、並びに、ガス、水素及び
酸素等の気体を含む流体を供給するものでもよい。
【0016】
受水槽10の上部には、水道本管11が配水管12を介して接続され、水道本管11か
ら水が流入する。また、受水槽10の下部には、流体供給装置3が接続配管13を介して
接続され、受水槽10に貯留された水が流体供給装置3に流出する。
【0017】
受水槽10には、その内部に、水位計100と、フロートスイッチ101とが設けられ
る。水位計100は、受水槽10に貯留された水の水位を段階的又は連続的に測定するた
めの水位測定器である。フロートスイッチ101は、受水槽10に貯留された水の水位が
所定の水位未満であることを検出するための水位検出器である。
【0018】
配水管12には、その途中に流入弁120が設けられる。流入弁120は、水位計10
0又はフロートスイッチ101により検出された水位(受水槽水位)に基づいて開弁又は
閉弁される。なお、配水管12及び接続配管13には、手動で開閉操作が可能な仕切弁(
不図示)が設けられてもよい。
【0019】
流体供給装置3は、水を移送するポンプ31と、ポンプ31の吸込側(上流側)に接続
された吸込側配管30aと、ポンプ31の吐出側(下流側)に接続された吐出側配管30
bと、吸込側配管30aに接続された分岐配管33と、吐出側配管30bに接続されたバ
イパス配管34とを備える。
【0020】
吸込側配管30aの流入口は、接続配管13を介して受水槽10と接続され、受水槽1
0内の水が吸込側配管30aに流入する。吸込側配管30aには、その途中に三方弁30
3が設けられる。
【0021】
吐出側配管30bの流出口は、給水管14を介して建物や施設に設けられた複数の給水
栓等に対応する複数の流体供給先15と接続され、ポンプ31により移送された水が流体
供給先15の各々に供給される。
【0022】
給水管14には、複数の流体供給先15にて使用された水の使用量を測定する使用流量
センサ140が設けられる。複数の流体供給先15が存在する場合、使用流量センサ14
0は、複数の流体供給先15の流量を合計した合計使用流量を測定すればよい。例えば、
使用流量センサ140は、
図1に示すように、複数の流体供給先15に供給される上流側
に設けられる。また、使用流量センサ140は、マンション等の各室を流体供給先15と
して、各室に設けられてもよく、例えば、水道メータを使用してもよい。
【0023】
なお、使用流量センサ140は、使用流量を直接計測する代わりに、他の計測データか
ら推測してもよい。例えば、複数の流体供給先15における人の入退室記録を計測し、そ
の入退室記録から使用流量を推測してもよい。また、各室のトイレ、浴室、キッチン等に
人感センサを取り付け、その人感センサの検出結果から使用流量を推測してもよい。さら
に、各室に設けられた電気メータによる電気使用量又はガスメータによるガス使用量から
使用流量を推測してもよい。
【0024】
吐出側配管30bには、上流側から下流側に向かって、逆止弁300と、フローセンサ
301と、ポンプ二次圧センサ302と、圧力タンク32とが設けられる。なお、
図1で
は、流体供給装置3は、1組のポンプ31、逆止弁300及びフローセンサ301を備え
るものであるが、吸込側配管30a及び吐出側配管30bを複数に分岐・合流することで
、複数組のポンプ31、逆止弁300及びフローセンサ301を並列に備えるものでもよ
い。
【0025】
逆止弁300は、ポンプ31が停止したときの水の逆流を防止する。フローセンサ30
1は、吐出側配管30bを流れる水の流量を測定するための流量測定器である。ポンプ二
次圧センサ302は、吐出側配管30bを流れる水の圧力、すなわち、ポンプ31の吐出
側圧力を測定するための圧力測定器である。
【0026】
圧力タンク32は、流体供給先15に供給される水の圧力を保持する圧力保持器である
。圧力タンク32は、容器内部を空気室と水室とに分ける隔膜320を有する。空気室は
、その内部に空気が予め封入されており、水室は、吐出側配管30bに連通される。
【0027】
ポンプ31が運転されてポンプ31の吐出側に吐出された水が、吐出側配管30bを介
して圧力タンク32の水室に流入すると、隔膜320を介して空気室の空気が圧縮される
。このとき、圧力タンク32とポンプ31との間には逆止弁300が配置されているため
、ポンプ31が停止した場合でも、逆止弁300から下流側の吐出側配管30b及び給水
管14の水圧が適切に維持される。
【0028】
分岐配管33は、吸込側配管30aから三方弁303を介して分岐し、受水槽10の上
部に接続される。三方弁303は、接続配管13とポンプ31の吸込側とを連通する第1
の連通状態(
図1の実線で示す矢印)と、分岐配管33とポンプ31の吸込側とを連通す
る第2の連通状態(
図1の破線で示す矢印)とを切替可能に構成される。
【0029】
バイパス配管34は、逆止弁300をバイパスするように吐出側配管30bに接続され
、その途中にバイパス弁340が設けられる。
【0030】
また、流体供給装置3は、ポンプ31を駆動する駆動源としての電動機310と、電動
機310に駆動電力を供給するインバータ311と、ポンプ31の運転状況を取得するポ
ンプ運転状況センサ312と、電動機310が発電機として動作したときの発電量を測定
する発電量センサ313と、給水(流体の供給動作)を制御する制御部として機能する制
御盤36と、ユーザの操作を受け付けるとともに、各種の情報を表示する操作表示盤37
とを備える。なお、流体供給装置3の各部には、商用電源(不図示)からの電力が供給さ
れる。
【0031】
ポンプ運転状況センサ312は、ポンプ31の運転状況を取得するポンプ運転状況取得
部であり、ポンプ31の運転状況として、例えば、ポンプ31の運転状態(例えば、運転
中(ON)又は停止中(OFF)のいずれか)、ポンプ31の回転数、又は、電動機31
0に供給されるモータ電流値等を取得する。ポンプ運転状況センサ312は、ポンプ31
、電動機310、インバータ311又は制御盤36に設けられる。
【0032】
ポンプ運転状況センサ312は、例えば、電動機310に設けられたロータリエンコー
ダ等の回転角検出器、電動機310に供給されるモータ電流値を測定する電流測定器等で
構成される。なお、ポンプ運転状況センサ312は、例えば、制御盤36からインバータ
311への制御信号(ポンプ31のON又はOFFの制御指令値、電動機310の回転数
の制御指令値等)に基づいてポンプ31の運転状況を取得してもよいし、インバータ31
1の出力周波数からポンプ31の運転状況を取得してもよい。
【0033】
発電量センサ313は、電動機310による発電量を測定する発電量測定器であり、電
動機310又はインバータ311に設けられる。発電量センサ313は、例えば、電動機
310に流れるモータ電流値を測定する電流測定器と、電動機310に印加されるモータ
電圧値を測定する電圧測定器とから構成される。なお、発電量センサ313は、ポンプ運
転状況センサ312と兼用されてもよい。
【0034】
図2は、第1の実施形態に係る流体供給装置3が適用された給水システム1の一例を示
すブロック図である。
【0035】
流体供給装置3が備える制御盤36及び操作表示盤37は、例えば、汎用又は専用のコ
ンピュータ(後述の
図3参照)で構成される。
【0036】
制御盤36には、給水システム1及び流体供給装置3の各部の物理量や状態量を測定す
るセンサ群3aとして、上記のフローセンサ301、ポンプ二次圧センサ302、ポンプ
運転状況センサ312、発電量センサ313、水位計100、フロートスイッチ101及
び使用流量センサ140が電気的に接続される。なお、センサ群3aには、水位計100
、フロートスイッチ101及び使用流量センサ140が含まれなくてもよい。
【0037】
制御盤36には、流体供給装置3の各部を物理的又は電気的に動作させる制御機器群3
bとして、インバータ311、三方弁303、バイパス弁340及び流入弁120が電気
的に接続される。なお、制御機器群3bには、流入弁120が含まれなくてもよい。
【0038】
制御盤36は、センサ群3aによる検出信号が示す測定値に応じて制御機器群3bに制
御信号を送ることで給水動作を制御する。なお、検出信号及び制御信号は、アナログ信号
及びデジタル信号のいずれでもよい。
【0039】
制御盤36は、具体的な構成として、モード切替部360と、通常モード実行部361
と、逆流モード実行部362と、圧力タンク診断部363とを備える。
【0040】
モード切替部360は、圧力タンク32の健全性を診断する必要性の有無、及び、流体
供給先15にて流体の使用予定の有無を判定し、その判定結果に基づいて運転モードを切
り替える。運転モードは、例えば、通常運転モードと、逆流運転モードとを少なくとも含
む。モード切替部360は、診断の必要性がない、又は、使用予定があると判定した場合
には、通常運転モードに切り替え、診断の必要性がある、かつ、使用予定がないと判定し
た場合には、逆流運転モードに切り替える。
【0041】
モード切替部360が診断の必要性の有無を判定する手法としては、種々の手法を作用
することが可能である。モード切替部360は、例えば、流体供給装置3の据付から所定
の期間が経過したり、前回の診断から所定の期間が経過したり、作業者による診断の予約
操作を受け付けたりしたとき、診断の必要性があると判定する。
【0042】
モード切替部360が流体の使用予定の有無を判定する手法としては、種々の手法を作
用することが可能である。モード切替部360は、例えば、現在時刻が、深夜の時間帯で
あったり、過去の使用実績がない時間帯であったりするとき、使用予定がないと判定する
。過去の使用実績は、例えば、ポンプ運転状況センサ312又は使用流量センサ140に
おける過去の測定値を統計的に解析することで求められる。
【0043】
通常モード実行部361は、通常運転モードとして、ポンプ31の吐出側圧力に基づい
てポンプ31の運転状態を制御する。具体的には、通常モード実行部361は、ポンプ3
1の吐出側圧力が所定の始動圧力まで低下したとき、ポンプ31の運転を開始する旨の制
御信号をインバータ311に送る。そして、通常モード実行部361は、ポンプ31の吐
出側圧力が所定の停止圧力に達したとき、ポンプ31の運転を停止する旨の制御信号をイ
ンバータ311に送る。通常運転モードでは、バイパス弁340は閉弁状態、三方弁30
3は第1の連通状態に制御され、
図1の実線で示す矢印の方向に水が流れる。
【0044】
逆流モード実行部362は、逆流運転モードとして、圧力タンク32に貯留された水を
ポンプ31の吸込側に逆流させる。具体的に、逆流モード実行部362は、バイパス弁3
40を開弁する旨の制御信号をバイパス弁340に送るとともに、三方弁303を第2の
連通状態に切り替える旨の制御信号を三方弁303に送る。これにより、ポンプ31の吸
込側が開放されて、圧力タンク32の残存圧力により圧力タンク32に貯留された水がポ
ンプ31の吸込側に逆流するため、
図1の破線で示す矢印の方向に水が流れる。このとき
、ポンプ31の羽根車が回転することに応じて電動機310が発電機として動作すること
で、インバータ311側に発電電流が流れる。そして、発電量センサ313では、インバ
ータ311側に流れる発電電流に基づいて発電量が測定される。
【0045】
圧力タンク診断部363は、逆流運転モードにより圧力タンク32に貯留された水をポ
ンプ31の吸込側に逆流させたとき、発電量センサ313により測定された発電量を逆流
時発電量のデータとして取得する。そして、圧力タンク診断部363は、その逆流時発電
量のデータに基づいて圧力タンク32の健全性を診断する。
【0046】
なお、圧力タンク診断部363は、逆流時発電量のデータの他に、ポンプ二次圧センサ
302により測定された吐出側圧力を逆流時吐出側圧力のデータとして取得し、逆流時発
電量のデータとともに、さらに逆流時吐出側圧力のデータに基づいて圧力タンク32の健
全性を診断してもよい。これにより、逆流時の吐出側配管30bにおける圧力も考慮され
るので、圧力タンク32の健全性をより高精度に診断することが可能となる。
【0047】
また、圧力タンク診断部363は、逆流時発電量のデータの他に、水位計100により
測定された受水槽10の水位を逆流時水位のデータとして取得し、逆流時発電量のデータ
とともに、さらに逆流時水位のデータに基づいて圧力タンク32の健全性を診断してもよ
い。これにより、逆流時に受水槽10に貯留された水が吸込側配管30aに与える影響も
考慮されるので、圧力タンク32の健全性をより高精度に診断することが可能となる。こ
れは、流体供給装置3が分岐配管33及び三方弁303を備えていない装置構成を採用し
た場合に特に有効である。
【0048】
本実施形態では、機械学習による学習モデル2を用いて圧力タンク32の健全性を診断
する圧力タンク診断装置5が、圧力タンク診断部363として、制御盤36に組み込まれ
た場合について説明する。したがって、制御盤36(圧力タンク診断部363)が、機械
学習の推論フェーズの主体として動作する。
【0049】
機械学習装置4は、機械学習の学習フェーズの主体として動作し、圧力タンク32の健
全性を診断する際に用いられる学習モデル2を機械学習により生成する。学習済みの学習
モデル2は、任意の通信網や記録媒体等を介して制御盤36に提供される。機械学習装置
4は、機械学習の手法として、「教師あり学習」及び「教師なし学習」のいずれも採用す
ることができる。本実施形態では、「教師あり学習」を採用し、後述する第2の実施形態
では、「教師なし学習」を採用する場合について説明する。
【0050】
センサ群3aは、機械学習の学習フェーズでは、機械学習装置4に接続されて学習用の
データ測定に用いられ、機械学習の推論フェーズでは、制御盤36に接続されて推論用の
データ測定に用いられる。
【0051】
センサ群3aは、例えば、所定の測定周期が経過する毎に、その測定時点での測定値を
検出信号として制御盤36及び機械学習装置4に出力可能に構成される。なお、センサ群
3aを構成するセンサの各々における測定周期は同一でもよいし、異なるものでもよい。
また、センサ群3aは、上記のように、測定周期が経過する毎に離散的な測定値を出力す
ることに代えて、アナログ信号のように連続的な測定値を出力してもよい。
【0052】
図3は、流体供給装置3(主に制御盤36及び操作表示盤37の部分)及び機械学習装
置4を構成するコンピュータ200の一例を示すハードウエア構成図である。
【0053】
流体供給装置3(主に制御盤36及び操作表示盤37の部分)、及び、機械学習装置4
のそれぞれは、汎用又は専用のコンピュータ200により構成される。コンピュータ20
0は、
図2に示すように、その主要な構成要素として、バス210、プロセッサ212、
メモリ214、入力デバイス216、表示デバイス218、ストレージ装置220、通信
I/F(インターフェース)部222、外部機器I/F部224、I/O(入出力)デバ
イスI/F部226、及び、メディア入出力部228を備える。なお、上記の構成要素は
、コンピュータ200が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0054】
プロセッサ212は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU、MPU、GPU、DSP
等)で構成され、コンピュータ200全体を統括する制御部として動作する。メモリ21
4は、各種のデータ及びプログラム230を記憶し、例えば、メインメモリとして機能す
る揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモ
リ等)とで構成される。
【0055】
入力デバイス216は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成さ
れる。表示デバイス218は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子
ペーパー、プロジェクタ等で構成される。入力デバイス216及び表示デバイス218は
、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置
220は、例えば、HDD、SSD等で構成され、オペレーティングシステムやプログラ
ム230の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0056】
通信I/F部222は、インターネットやイントラネット等のネットワーク240に有
線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの
送受信を行う。外部機器I/F部224は、プリンタ、スキャナ等の外部機器250に有
線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器250との間でデータの送
受信を行う。無線通信の手段は、典型的には国際規格の通信手段が用いられる。国際規格
の通信手段として、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1、IEEE8
02.15.11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、ISO/IEC1
4513-3-10、IEEE802.15.4g等の方式がある。また、Blueto
oth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-Fi、ZigBe
e(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)等を用いることもできる
。
【0057】
I/OデバイスI/F部226は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス
260に接続され、I/Oデバイス260との間で、例えば、センサによる検出信号やア
クチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う。メディア入出力部2
28は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、
CD等のメディア270に対してデータの読み書きを行う。
【0058】
上記構成を有するコンピュータ200において、プロセッサ212は、プログラム23
0をメモリ214のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス210を介してコンピュ
ータ200の各部を制御する。なお、プログラム230は、メモリ214の代わりに、ス
トレージ装置220に記憶されていてもよい。プログラム230は、インストール可能な
ファイル形式又は実行可能なファイル形式でCD、DVD等の非一時的な記録媒体に記録
され、メディア入出力部228を介してコンピュータ200に提供されてもよい。プログ
ラム230は、通信I/F部222を介してネットワーク240経由でダウンロードする
ことによりコンピュータ200に提供されてもよい。また、コンピュータ200は、プロ
セッサ212がプログラム230を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FP
GA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0059】
コンピュータ200は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され
、任意の形態の電子機器である。コンピュータ200は、クライアント型コンピュータで
もよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ20
0は、流体供給装置3及び機械学習装置4以外の他の装置に適用されてもよい。
【0060】
(機械学習装置4)
図4は、第1の実施形態に係る機械学習装置4の一例を示すブロック図である。
【0061】
機械学習装置4は、学習用データ取得部40と、学習用データ記憶部41と、機械学習
部42と、学習済みモデル記憶部43とを備える。機械学習装置4は、例えば、
図3に示
すコンピュータ200で構成される。その場合、学習用データ取得部40は、通信I/F
部222又はI/OデバイスI/F部226で構成され、機械学習部42は、プロセッサ
212で構成され、学習用データ記憶部41及び学習済みモデル記憶部43は、ストレー
ジ装置220で構成される。
【0062】
学習用データ取得部40は、各種の外部装置と通信網を介して接続され、入力データを
少なくとも含む学習用データを取得するインタフェースユニットである。外部装置は、流
体供給装置3に設けられたセンサ群3a、流体供給装置3を模擬した試験装置7に設けら
れたセンサ群3a、及び、作業者が使用する作業者用端末8等である。なお、学習用デー
タ取得部40は、健全性の診断対象である流体供給装置3に設けられたセンサ群3aから
学習用データを取得するようにしてもよい。
【0063】
試験装置7の各部には、センサ群3aとして、フローセンサ301、ポンプ二次圧セン
サ302、ポンプ運転状況センサ312、発電量センサ313、使用流量センサ140、
水位計100、及び、フロートスイッチ101が設けられる。なお、試験装置7は、圧力
タンク32の封入圧力を測定するタンク封入圧センサ321を備えるものでもよい。
【0064】
学習用データ記憶部41は、学習用データ取得部40で取得した学習用データを複数組
記憶するデータベースである。なお、学習用データ記憶部41を構成するデータベースの
具体的な構成は適宜設計すればよい。
【0065】
機械学習部42は、学習用データ記憶部41に記憶された学習用データを用いて機械学
習を実施する。すなわち、機械学習部42は、学習モデル2に学習用データを複数組入力
することで、学習用データに含まれる入力データと、圧力タンク32の診断情報との相関
関係を学習モデル2に学習させることで、学習済みの学習モデル2を生成する。本実施形
態では、機械学習部42による教師あり学習の具体的な手法として、ニューラルネットワ
ークを採用する場合について説明する。
【0066】
学習済みモデル記憶部43は、機械学習部42により生成された学習済みの学習モデル
2を記憶するデータベースである。学習済みモデル記憶部43に記憶された学習済みの学
習モデル2は、任意の通信網や記録媒体等を介して実システム(例えば、流体供給装置3
の制御盤36)に提供される。なお、
図4では、学習用データ記憶部41と、学習済みモ
デル記憶部43とが別々の記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成さ
れてもよい。
【0067】
図5は、第1の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるデータ(教師あり学習)の
一例を示すデータ構成図である。
【0068】
学習用データは、入力データとして、逆流時発電量のデータを少なくとも含む。入力デ
ータは、ポンプ31の逆流時吐出側圧力、及び、受水槽10の逆流時水位のデータの少な
くとも一方をさらに含むものでもよい。なお、入力データは、上記以外に他のデータをさ
らに含むものでもよい。
【0069】
入力データが、例えば、逆流時発電量のデータ、逆流時吐出側圧力のデータ、及び、逆
流時水位のデータを含む場合には、これらの各データは、逆流運転モードにより圧力タン
ク32に貯留された水をポンプ31の吸込側に逆流させたときの所定期間において、発電
量センサ313、ポンプ二次圧センサ302、及び、水位計100によりそれぞれ測定さ
れた測定値に基づくものである。所定期間の開始時点は、例えば、逆流モード実行部36
2によりバイパス弁340の開弁と、三方弁303の第2の連通状態への切替が行われた
時点である。所定期間の終了時点は、例えば、圧力タンク32の残存圧力が開放されるの
に十分な時間が経過した後に設定された時点である。なお、各データ間に時間差が生じる
関係が認められる場合には、各データの所定期間は当該時間差に対応する期間に設定され
てもよい。
【0070】
逆流時発電量のデータは、所定期間内の複数の測定時点において発電量センサ313に
より測定された複数の測定値(電流値、電圧値)からなる時系列データ、又は、複数の測
定値から算出された代表データで構成される。時系列データは、例えば、各想定値が測定
時点を示す測定時刻順に並べられた配列のデータであり、経時変化を示すデータとして構
成される。代表データは、複数の測定値に基づいて、例えば、所定期間における発電量の
積算値(積算電力値)を算出したデータや、発電量の最大値(最大電流値)を算出したデ
ータとして構成される。
【0071】
逆流時吐出側圧力のデータは、所定期間内の複数の測定時点においてポンプ二次圧セン
サ302により測定された複数の測定値(ポンプ31の吐出側圧力)からなる時系列デー
タ、又は、複数の測定値から算出された代表データで構成される。時系列データは、例え
ば、各想定値が測定時点を示す測定時刻順に並べられた配列のデータであり、経時変化を
示すデータとして構成される。代表データは、複数の測定値に基づいて、例えば、開始時
点における吐出側圧力を示すデータや、所定期間における吐出側圧力の変化量を算出した
データとして構成される。
【0072】
逆流時水位のデータは、所定期間内の複数の測定時点において水位計100により測定
された複数の測定値(受水槽10の水位)からなる時系列データ、又は、複数の測定値か
ら算出された代表データで構成される。時系列データは、例えば、各想定値が測定時点を
示す測定時刻順に並べられた配列のデータであり、経時変化を示すデータとして構成され
る。代表データは、複数の測定値に基づいて、例えば、開始時点における水位を示すデー
タや、所定期間における水位の変化量を算出したデータとして構成される。
【0073】
機械学習として「教師あり学習」を採用する場合、学習用データは、入力データに対応
付けられた出力データとして、圧力タンク32の状態が複数の状態のうちのいずれかであ
ることを表す診断情報をさらに含む。出力データは、教師あり学習において、例えば、教
師データや正解ラベルと称される。
【0074】
圧力タンク32の状態として、圧力タンク32の健全性を診断する場合には、診断情報
は、圧力タンク32の状態が正常及び異常のいずれかであることを表す情報として構成さ
れる。この場合、診断情報は、2値に分類され、例えば、圧力タンク32が正常な状態で
あることを示す値を「0」とし、圧力タンク32が異常な状態であることを示す値を「1
」として定義される。本実施形態では、診断情報は、正常及び異常のいずれかであること
を表すものとして説明する。
【0075】
したがって、本実施形態に係る学習用データは、
図5に示すように、逆流時発電量のデ
ータを含む入力データと、正常及び異常のいずれかであることを表す診断情報を含む出力
データとが対応付けられて構成される。ここでの異常は、診断時点において異常の発生が
判明したような事後的な異常だけなく、診断時点では正常と判断される許容範囲ではある
が、将来的な異常の発生が予見されたような異常の兆候も含むものでもよい。
【0076】
なお、診断情報のうち異常を表す情報は、
図5に示す異常1/異常2/…/異常nに対
応するように、例えば、異常の具体的な内容や度合いに応じた複数の異常を含んでいても
よい。
【0077】
異常の具体的な内容としては、例えば、圧力タンク32の封入圧力に関する異常、又は
、圧力タンク32の隔膜320に関する異常が含まれる。この場合、診断情報は、多値(
3以上の整数)に分類され、例えば、圧力タンク32が正常な状態であることを示す値を
「0」とし、封入圧力に関する異常であることを示す値を「1」とし、隔膜320に関す
る異常であることを示す値を「2」とし、以下同様に各異常の内容に合わせた値として定
義される。
【0078】
異常の具体的な度合いとしては、例えば、封入圧力に関する異常であれば、封入圧力の
低下の度合いを複数のレベルで分類したものが含まれる。この場合、診断情報は、多値(
3以上の整数)に分類され、例えば、圧力タンク32が正常な状態であることを示す値を
「0」とし、封入圧力の低下の度合いが低レベルの異常であることを示す値を「1」とし
、封入圧力の低下の度合いが中レベルの異常であることを示す値を「2」とし、以下同様
に各異常の度合いに合わせた値として定義される。
【0079】
ここで、学習用データに含まれる入力データと、圧力タンク32の診断情報との間の相
関関係について説明する。
【0080】
入力データとして含まれる逆流時発電量のデータは、圧力タンク32の残存圧力により
生じる発電量が測定されたものであるから、圧力タンク32の残存圧力の大きさや残存圧
力の経時変化を捉えたものである。隔膜320に破損や劣化が生じているような場合には
、その破損度合いや劣化度合いが、残存圧力の大きさや残存圧力の経時変化に反映される
と考えられる。したがって、学習用データが、入力データとして逆流時発電量のデータを
含むことで、圧力タンク32の健全性を診断することが可能となる。
【0081】
なお、入力データが、ポンプ31の逆流時吐出側圧力のデータをさらに含む場合、逆流
時の吐出側配管30bにおける圧力も考慮されるので、圧力タンク32の健全性をより高
精度に診断することが可能となる。
【0082】
また、入力データが、ポンプ31の逆流時水位のデータをさらに含む場合、逆流時に受
水槽10に貯留された水が吸込側配管30aに与える影響も考慮されるので、圧力タンク
32の健全性をより高精度に診断することが可能となる。これは、流体供給装置3が分岐
配管33及び三方弁303を備えていない装置構成を採用した場合に特に有効である。
【0083】
学習用データ取得部40は、上記の学習用データを取得する場合、流体供給装置3又は
試験装置7に設けられたセンサ群3a(発電量センサ313)にて測定された逆流時発電
量のデータを入力データとして、センサ群3aから取得する。
【0084】
また、作業者が、センサ群3aにて入力データが測定されたときの圧力タンク32の状
態を診断し、その診断値を作業者用端末8に入力すると、学習用データ取得部40は、作
業者用端末8にて入力された診断値を出力データ(教師データ)として、作業者用端末8
から取得する。そして、学習用データ取得部40は、これらの入力データと出力データと
を対応付けられることで一の学習用データを構成し、学習用データ記憶部41に記憶する
。
【0085】
図6は、第1の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるニューラルネットワークモ
デルの一例を示す模式図である。
【0086】
学習モデル2は、
図6に示すニューラルネットワークモデルとして構成される。ニュー
ラルネットワークモデルは、入力層にあるl個のニューロン(x1~xl)、第1中間層
にあるm個のニューロン(y11~y1m)、第2中間層にあるn個のニューロン(y2
1~y2n)、及び、出力層にあるo個のニューロン(z1~zo)から構成される。
【0087】
入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データのそれぞれが対応付け
られる。出力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる出力データのそれぞれが対
応付けられる。なお、入力層に入力する前の入力データに対して所定の前処理を施しもよ
いし、出力層から出力された後の出力データに対して所定の後処理を施しもてもよい。
【0088】
第1中間層及び第2中間層は、隠れ層とも呼ばれており、ニューラルネットワークとし
ては、第1中間層及び第2中間層の他に、さらに複数の隠れ層を有するものでもよいし、
第1中間層のみを隠れ層とするものでもよい。また、入力層と第1中間層との間、第1中
間層と第2中間層との間、第2中間層と出力層との間には、各層のニューロンの間を接続
するシナプスが張られており、それぞれのシナプスには、重みwi(iは自然数)が対応
付けられる。
【0089】
ニューラルネットワークモデルは、学習用データを用いて、当該学習用データに含まれ
る入力データを入力層に入力し、その推論結果として出力層から出力された出力データと
、当該学習用データに含まれる出力データ(教師データ)とを比較することで、入力デー
タと出力データとの相関関係を学習する。
【0090】
具体的には、入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データのそれぞ
れが入力される。そして、出力層の各ニューロンの値は、当該ニューロンに接続される入
力側のニューロンの値と、出力側のニューロンと入力側のニューロンとを接続するシナプ
スに対応付けられた重みwiとの乗算値の数列の和として算出する処理を、入力層以外の
全てのニューロンに対して行うことで算出される。
【0091】
そして、推論結果として出力層の各ニューロンに出力された値(z1~zo)と、学習
用データに含まれる出力データのそれぞれに対応する教師データの値(t1~to)とを
それぞれ比較して誤差を求め、その誤差が小さくなるように、各シナプスに対応付けられ
た重みwiを調整する処理(バックプロバケーション)が実施される。
【0092】
上記の一連の工程を所定回数反復実施すること、又は、上記の誤差が許容値より小さく
なること等の所定の学習終了条件が満たされた場合には、機械学習を終了し、学習済みの
ニューラルネットワークモデル(シナプスのそれぞれに対応付けられた全ての重みwi)
として生成される。
【0093】
(機械学習方法)
図7は、第1の実施形態に係る機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフロー
チャートである。なお、機械学習方法は、
図5の学習フェーズに該当する。
【0094】
まず、ステップS100において、学習用データ取得部40は、機械学習を開始するた
めの事前準備として、所望の数の学習用データを準備し、その準備した学習用データを学
習用データ記憶部41に記憶する。ここで準備する学習用データの数については、最終的
に得られる学習モデル2に求められる推論精度を考慮して設定すればよい。
【0095】
学習用データを準備する方法には、いくつかの方法を採用することができる。例えば、
特定の流体供給装置3や試験装置7における圧力タンク32に異常が発生した場合、又は
、作業者が異常の兆候を認識した場合に、圧力タンク32に貯留された水をポンプ31の
吸込側に逆流させることで、そのときの所定期間における各種の測定値をセンサ群3aに
より取得する。そして、作業者が作業者用端末8を用いて、これらの測定値に対応付ける
形で診断結果を入力することで、学習データを構成する入力データ(逆流時発電量のデー
タを少なくとも含む)と出力データ(例えば、この場合の出力データの値は「1」)とを
準備する。そして、このような作業を繰り返すことで学習用データを複数組準備すること
が可能である。また、他の方法として、例えば、流体供給装置3や試験装置7の圧力タン
ク32に異常な状態を意図的に発生させることで学習用データを取得することも可能であ
る。さらに、学習用データとしては、異常が発生した場合だけでなく、異常が発生してい
ないとき、すなわち、流体供給装置3や試験装置7が正常な状態であるときの入力データ
及び出力データ(例えば、この場合の出力データの値は「0」)で構成された学習用デー
タを複数組準備する。
【0096】
次に、ステップS110において、機械学習部42は、機械学習を開始すべく、学習前
の学習モデル2を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル2は、
図6に例示したニ
ューラルネットワークモデルで構成されており、各シナプスの重みが初期値に設定されて
いる。入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データとしての逆流時発
電量のデータのそれぞれが対応付けられる。出力層の各ニューロンには、学習用データに
含まれる出力データとしての診断情報のそれぞれが対応付けられる。
【0097】
次に、ステップS120において、機械学習部42は、学習用データ記憶部41に記憶
された複数組の学習用データから、例えば、ランダムに一の学習用データを取得する。
【0098】
次に、ステップS130において、機械学習部42は、一の学習用データに含まれる入
力データを、準備された学習前(又は学習中)の学習モデル2の入力層に入力する。その
結果、学習モデル2の出力層から推論結果として出力データが出力されるが、当該出力デ
ータは、学習前(又は学習中)の学習モデル2によって生成されたものである。そのため
、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された出力データは、学習用デ
ータに含まれる出力データ(教師データ)とは異なる情報を示す。
【0099】
次に、ステップS140において、機械学習部42は、ステップS120において取得
された一の学習用データに含まれる出力データ(教師データ)と、ステップS130にお
いて出力層から推論結果として出力された出力データとを比較し、各シナプスの重みを調
整することで、機械学習を実施する。これにより、機械学習部42は、入力データと出力
データ(圧力タンク32の診断情報)との相関関係を学習モデル2に学習させる。
【0100】
例えば、教師データを構成する診断情報が、正常の状態を「0」で示し、異常の状態を
「1」で示す2値分類として定義された場合において、ステップS120で選択された一
の学習用データセットに含まれる出力データの値が「1」であるが、出力層から出力され
た出力データの値は、0~1の所定の値、具体的に、例えば「0.63」といった値が出
力されたものとする。この場合、ステップS140では、仮に同様の入力データが学習中
の学習モデル2の入力層に入力された場合に出力層から出力される値が「1」に近づくよ
うに、当該学習中の学習モデル2の各シナプスに対応付けられた重みを調整する。
【0101】
次に、ステップS150において、機械学習部42は、機械学習を継続する必要がある
か否かを、例えば、出力データと教師データとの誤差や、学習用データ記憶部41内に記
憶された未学習の学習用データの残数に基づいて判定する。
【0102】
ステップS150において、機械学習部42が機械学習を継続すると判定した場合(ス
テップS150でNo)、ステップS120に戻り、学習中の学習モデル2に対してステ
ップS120~S140の工程を未学習の学習用データを用いて複数回実施する。一方、
ステップS150において、機械学習部42が機械学習を終了すると判定した場合(ステ
ップS150でYes)、ステップS160に進む。
【0103】
そして、ステップS160において、機械学習部42は、各シナプスに対応付けられた
重みが調整されることで生成された学習済みの学習モデル2を学習済みモデル記憶部43
に記憶し、
図7に示す一連の機械学習方法を終了する。機械学習方法において、ステップ
S100が学習用データ記憶工程、ステップS110~S150が機械学習工程、ステッ
プS160が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0104】
以上のように、本実施形態に係る機械学習装置4及び機械学習方法によれば、逆流時発
電量のデータから、圧力タンク32の診断情報を高精度に推論(推定)することが可能な
学習モデル2を提供することができる。
【0105】
(圧力タンク診断装置5)
図8は、第1の実施形態に係る圧力タンク診断装置5(圧力タンク診断部363)の一
例を示すブロック図である。
【0106】
圧力タンク診断装置5は、入力データ取得部50と、推論部51と、学習済みモデル記
憶部52と、出力処理部53とを備える。圧力タンク診断装置5は、例えば、
図3に示す
コンピュータ200で構成される。その場合、入力データ取得部50は、通信I/F部2
22又はI/OデバイスI/F部226で構成され、推論部51及び出力処理部53は、
プロセッサ212で構成され、学習済みモデル記憶部52は、ストレージ装置220で構
成される。本実施形態では、圧力タンク診断装置5は、流体供給装置3の制御盤36に組
み込まれたものであるが、流体供給装置3とは別体の装置として、例えば、汎用又は専用
のコンピュータ(
図3参照)で構成されてもよい。
【0107】
入力データ取得部50は、流体供給装置3に設けられたセンサ群3aに接続され、セン
サ群3aにより測定された測定値に基づく入力データ(逆流時発電量のデータ)を取得す
るインタフェースユニットである。入力データは、逆流時発電量のデータを少なくとも含
む。
【0108】
推論部51は、入力データ取得部50により取得された入力データを学習モデル2に入
力し、圧力タンク32の診断情報を推論する推論処理を行う。推論処理には、機械学習装
置4及び機械学習方法にて教師あり学習が実施された学習済みの学習モデル2が用いられ
る。
【0109】
推論部51は、学習モデル2を用いた推論処理を行う機能のみならず、推論処理の前処
理として、入力データ取得部50により取得された入力データを所望の形式等に調整して
学習モデル2に入力する前処理機能や、推論処理の後処理として、学習モデル2から出力
された出力データの値に所定の論理式や計算式を適用することで、圧力タンク32の状態
を最終的に判断する後処理機能をも含んでいる。なお、推論部51の推論結果は、学習済
みモデル記憶部52や他の記憶装置(不図示)に記憶することが好ましく、過去の推論結
果は、例えば、学習モデル2の推論精度の更なる向上のため、オンライン学習や再学習に
用いられる学習用データとして利用することが可能である。
【0110】
学習済みモデル記憶部52は、推論部51の推論処理にて用いられる学習済みの学習モ
デル2を記憶するデータベースである。なお、学習済みモデル記憶部52に記憶される学
習モデル2の数は1つに限定されない。例えば、入力データの数が異なる、又は、機械学
習の手法が異なる複数の学習モデル2が記憶され、選択的に利用可能としてもよい。
【0111】
出力処理部53は、推論部51の推論結果、すなわち、圧力タンク32の診断情報を出
力する出力処理を行う。具体的な出力手段は、種々の手段を採用することが可能である。
出力処理部53は、例えば、操作表示盤37を介して表示や音で作業者に診断情報を報知
したり、圧力タンク32の診断履歴として、制御盤36の記憶部に診断情報を記憶したり
、流体供給装置3の上位の管理装置(不図示)に診断情報を送信したり、流体供給装置3
の給水制御に診断情報を利用したりしてもよい。
【0112】
(圧力タンク診断方法)
図9は、第1の実施形態に係る圧力タンク診断部363(圧力タンク診断装置5)を備
える流体供給装置3による圧力タンク診断方法の一例を示すフローチャートである。
図9
では、圧力タンク32の診断情報が、正常「0」及び異常「1」のいずれかを表す2値分
類として定義されたものとして説明する。なお、圧力タンク診断方法は、
図5の推論フェ
ーズに該当する。
【0113】
流体供給装置3の電源が投入され、作業者が操作表示盤37により自動運転の開始操作
を行うことにより、
図9に示す一連の圧力タンク診断方法が、圧力タンク診断装置5にて
実行される。
【0114】
まず、ステップS200において、制御盤36のモード切替部360は、圧力タンク3
2の健全性を診断する必要性の有無を判定する。その結果、モード切替部360が、診断
の必要性があると判定した場合には(ステップS200でYes)、ステップS210に
進み、診断の必要性がないと判定した場合には(ステップS200でNo)、ステップS
220に進む。
【0115】
次に、ステップS210において、モード切替部360は、流体供給先15にて流体の
使用予定の有無を判定する。その結果、モード切替部360が、流体の使用予定がないと
判定した場合には(ステップS210でNo)、ステップS230に進み、使用予定があ
ると判定した場合には(ステップS210でYes)、ステップS220に進む。
【0116】
そして、ステップS220では、モード切替部360が、運転モードを通常運転モード
に切り替えることで、通常モード実行部361が、ポンプ31の吐出側圧力に基づいてポ
ンプ31の運転状態を制御する。
【0117】
一方、ステップS230では、モード切替部360が、運転モードを逆流運転モードに
切り替えることで、逆流モード実行部362が、バイパス弁340の開弁と、三方弁30
3の第2の連通状態への切替を行い、圧力タンク32に貯留された水をポンプ31の吸込
側に逆流させる。
【0118】
このとき、ステップS240では、ステップS230と並行して、発電量センサ313
が、電動機310が発電機として動作したときの発電量を測定する。そして、圧力タンク
診断部363(入力データ取得部50)が、その測定した発電量に基づいて逆流時発電量
のデータを入力データとして取得する。
【0119】
次に、ステップS250において、圧力タンク診断部363(推論部51)は、入力デ
ータに前処理を施して学習モデル2の入力層に入力し、その学習モデル2の出力層から出
力された出力データを取得する。
【0120】
次に、ステップS260において、圧力タンク診断部363(推論部51)は、教師あ
り学習の後処理の一例として、出力データの値(0~1の間の数)と、所定の閾値とを比
較し、例えば、出力データの値が、所定の閾値未満であれば、診断情報は「正常」である
と判断し、所定の閾値以上であれば、診断情報は「異常」であると判断することで、その
判断結果を推論結果として出力する。
【0121】
次に、ステップS270において、圧力タンク診断部363(推論部51)は、推論部
51の推論結果である圧力タンク32の診断情報が「正常」及び「異常」のいずれを表す
かを判定し、「正常」と判定した場合には、ステップS280に進み、「異常」と判定し
た場合には、ステップS290に進む。
【0122】
そして、ステップS280において、圧力タンク診断部363(出力処理部53)は、
「正常」を表す情報を出力する。なお、ステップS280は省略されてもよい。
【0123】
また、ステップS290において、圧力タンク診断部363(出力処理部53)は、「
異常」を表す情報を出力し、
図9に示す一連の圧力タンク診断方法を終了する。圧力タン
ク診断方法において、ステップS230が流体逆流工程、ステップS240が入力データ
取得工程、ステップS250~S260が診断工程、ステップS270~S290が出力
処理工程に相当する。
【0124】
以上のように、本実施形態に係る流体供給装置3及び圧力タンク診断方法によれば、診
断用の圧力センサを新たに設けることなく、圧力タンク32の健全性を診断することがで
きる。
【0125】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、機械学習の手法として、「教師あり学習」を採用した場合につい
て説明したが、本実施形態では、「教師なし学習」を採用した場合について説明する。な
お、第2の実施形態に係る給水システム1、機械学習装置4及び圧力タンク診断装置5(
圧力タンク診断部363)の基本的な構成や動作は、第1の実施形態と同様であるため、
以下では第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0126】
(機械学習装置4)
機械学習装置4は、第1の実施形態(
図4参照)と同様に、学習用データ取得部40と
、学習用データ記憶部41と、機械学習部42と、学習済みモデル記憶部43とを備える
。
【0127】
図10は、第2の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるデータ(教師なし学習)
の一例を示すデータ構成図である。
【0128】
機械学習として「教師なし学習」を採用する場合、学習データは、診断情報が圧力タン
ク32の状態が所定の状態であることを表すときの入力データのみを含む。すなわち、学
習データは、出力データを含まない構成としてもよく、機械学習装置4が採用する機械学
習の手法に応じて出力データの有無や出力データの形式を適宜選択することができる。
【0129】
圧力タンク32の状態として、圧力タンク32の健全性を診断する場合には、診断情報
は、圧力タンク32の状態が正常及び異常のいずれかであることを表す情報として構成さ
れる。この場合に、本実施形態に係る学習用データは、
図10に示すように、圧力タンク
32の状態が正常であるときの逆流時発電量のデータのみで構成される。
【0130】
学習用データ取得部40は、上記の学習用データを取得する場合、流体供給装置3又は
試験装置7に設けられたセンサ群3a(発電量センサ313)にて測定された逆流時発電
量のデータを入力データとして、センサ群3aから取得する。そして、作業者が、センサ
群3aにて入力データが測定された圧力タンク32の健全性を診断し、その診断した診断
結果が正常であることを作業者用端末8に入力すると、学習用データ取得部40は、その
入力データのみで一の学習用データを構成し、学習用データ記憶部41に記憶する。
【0131】
機械学習部42は、学習モデル2に学習用データを一又は複数組入力することで、学習
用データに含まれる入力データと圧力タンク32の状態が正常であることを表す診断情報
との相関関係を学習モデル2に学習させることで、学習済みの学習モデル2を生成する。
本実施形態では、機械学習部42による教師なし学習の具体的な手法として、オートエン
コーダを採用する場合について説明する。
【0132】
図11は、第2の実施形態に係る機械学習装置4で使用されるオートエンコーダモデル
の一例を示す模式図である。
【0133】
学習モデル2は、
図10に示すオートエンコーダモデルとして構成される。オートエン
コーダモデルは、入力層にあるl個のニューロン(x1~xl)、中間層にあるm個のニ
ューロン(y1~ym)、及び、出力層にあるo個のニューロン(z1~zo)から構成
される。入力層と出力層のニューロンの個数は同じであり、中間層のニューロンの個数よ
りも多い。
【0134】
入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データのそれぞれが対応付け
られる。中間層は、隠れ層とも呼ばれており、複数の隠れ層を有するものでもよい。また
、入力層と中間層との間、中間層と出力層との間には、各層のニューロンの間を接続する
シナプスが張られており、それぞれのシナプスには、重みwi(iは自然数)が対応付け
られる。
【0135】
オートエンコーダモデルは、学習用データを用いて、当該学習用データに含まれる入力
データを入力層に入力し、その推論結果として出力層から出力された出力データと、当該
学習用データに含まれる入力データとを比較し、重みwiを調整する処理を実施すること
で、入力データが有するパターンや傾向を学習する。
【0136】
上記の一連の工程を所定回数反復実施すること、又は、上記の誤差が許容値より小さく
なること等の所定の学習終了条件が満たされた場合には、機械学習を終了し、学習済みの
オートエンコーダモデル(シナプスのそれぞれに対応付けられた全ての重みwi)として
生成される。
【0137】
(機械学習方法)
図12は、第2の実施形態に係る機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフロ
ーチャートである。
【0138】
まず、ステップS300において、学習用データ取得部40は、機械学習を開始するた
めの事前準備として、所望の数の学習用データを準備し、その準備した学習用データを学
習用データ記憶部41に記憶する。
【0139】
学習用データを準備する方法には、いくつかの方法を採用することができる。例えば、
特定の流体供給装置3や試験装置7における圧力タンク32が正常な状態である場合の各
種の測定値をセンサ群3aにより取得することで、学習データを構成する入力データ(逆
流時発電量のデータを少なくとも含む)を準備する。そして、このような作業を繰り返す
ことで学習用データを複数組準備することが可能である。
【0140】
次に、ステップS310において、機械学習部42は、機械学習を開始すべく、学習前
の学習モデル2を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル2は、
図11に例示した
オートエンコーダモデルで構成されており、各シナプスの重みが初期値に設定されている
。入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データとしての逆流時発電量
のデータのそれぞれが対応付けられる。
【0141】
次に、ステップS320において、機械学習部42は、学習用データ記憶部41に記憶
された複数組の学習用データから、例えば、ランダムに一の学習用データを取得する。
【0142】
次に、ステップS330において、機械学習部42は、一の学習用データに含まれる入
力データを、準備された学習前(又は学習中)の学習モデル2の入力層に入力する。その
結果、学習モデル2の出力層から推論結果として出力データが出力されるが、当該出力デ
ータは、学習前(又は学習中)の学習モデル2によって生成されたものである。そのため
、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された出力データは、学習用デ
ータに含まれる入力データとは異なる情報を示す。
【0143】
次に、ステップS340において、機械学習部42は、ステップS320において取得
された一の学習用データに含まれる入力データと、ステップS330において出力層から
推論結果として出力された出力データとを比較し、各シナプスの重みを調整することで、
機械学習を実施する。
【0144】
次に、ステップS350において、機械学習部42は、機械学習を継続する必要がある
か否かを判定する。その結果、継続すると判定した場合(ステップS350でNo)、ス
テップS320に戻り、学習中の学習モデル2に対してステップS320~S340の工
程を実施し、機械学習を終了すると判定した場合(ステップS350でYes)、ステッ
プS360に進む。
【0145】
そして、機械学習部42は、ステップS360において、各シナプスに対応付けられた
重みが調整されることで生成された学習済みの学習モデル2を学習済みモデル記憶部43
に記憶し、
図12に示す一連の機械学習方法を終了する。機械学習方法において、ステッ
プS300が学習用データ記憶工程、ステップS310~S350が機械学習工程、ステ
ップS360が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0146】
以上のように、本実施形態に係る機械学習装置4及び機械学習方法によれば、逆流時発
電量のデータから、圧力タンク32の診断情報を高精度に推論(推定)することが可能な
学習モデル2を提供することができる。
【0147】
(圧力タンク診断装置5)
圧力タンク診断装置5は、第1の実施形態(
図8参照)と同様に、入力データ取得部5
0と、推論部51と、学習済みモデル記憶部52と、出力処理部53とを備える。
【0148】
推論部51は、入力データ取得部50により取得された入力データを学習モデル2に入
力し、圧力タンク32の診断情報を推論する推論処理を行う。推論処理には、機械学習装
置4及び機械学習方法にて教師なし学習が実施された学習済みの学習モデル2が用いられ
る。
【0149】
(圧力タンク診断方法)
図13は、第2の実施形態に係る圧力タンク診断部363(圧力タンク診断装置5)を
備える流体供給装置3による圧力タンク診断方法の一例を示すフローチャートである。図
13では、圧力タンク32の診断情報が、正常及び異常のいずれかであることを表す2値
分類として定義されたものとして説明する。また、
図13のステップS400~S440
は、
図9のステップS200~S240と同様であるため、以下では、ステップ450以
降を中心に説明する。
【0150】
ステップS450において、圧力タンク診断部363(推論部51)は、入力データに
前処理を施して学習モデル2の入力層に入力し、その学習モデル2の出力層から出力され
た出力データを取得する。
【0151】
次に、ステップS460において、圧力タンク診断部363(推論部51)は、教師な
し学習の後処理の一例として、入力データに基づく特徴量と、出力データに基づく特徴量
との差を求める。特徴量は、例えば、多次元空間上の特徴ベクトルとして表現されるパラ
メータであり、差は、特徴ベクトル間の距離として表現される。そして、推論部51は、
その差が所定の閾値未満であれば、診断情報は「正常」であると判断し、所定の閾値以上
であれば、診断情報は「異常」であると判断することで、その判断結果を推論結果として
出力する。
【0152】
次に、ステップS470において、圧力タンク診断部363(出力処理部53)は、推
論部51の推論結果である圧力タンク32の診断情報が「正常」及び「異常」のいずれを
表すかを判定する。その結果、「正常」と判定した場合には、ステップS480に進み、
「異常」と判定した場合には、ステップS490(省略可能)に進み、
図13に示す一連
の圧力タンク診断方法を終了する。圧力タンク診断方法において、ステップS430が流
体逆流工程、ステップS440が入力データ取得工程、ステップS450~S460が診
断工程、ステップS470~S490が出力処理工程に相当する。
【0153】
以上のように、本実施形態に係る流体供給装置3及び圧力タンク診断方法によれば、診
断用の圧力センサを新たに設けることなく、圧力タンク32の健全性を診断することがで
きる。
【0154】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲
内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思
想に含まれるものである。
【0155】
上記実施形態では、給水システム1が、受水槽10を備える受水槽方式を採用した場合
について説明したが、受水槽10を備えない直結給水方式を採用してもよい。直結給水方
式では、吸込側配管30aに逆流防止装置が設けられるのが一般的である。そのため、流
体供給装置3は、圧力タンク32に貯留された水をポンプ31の吸込側に逆流させる際、
逆流防止装置を迂回しつつ水道本管11側に逆流させることなく、ポンプ31の吸込側を
開放する配管系統を備えるのが好ましい。
【0156】
上記実施形態では、流体供給装置3が、モード切替部360にて逆流運転モードに切り
替えたとき、圧力タンク32の健全性を診断する場合について説明したが、例えば、作業
者による診断の実行操作を受け付けたとき、圧力タンク32の健全性を診断するようにし
てもよい。この場合、
図9のステップS200、S210、
図13のステップS400、
S410の判定が省略されればよい。
【0157】
上記実施形態では、圧力タンク診断部363が、学習モデル2を用いて圧力タンク32
の健全性を診断する場合について説明したが、学習モデル2を用いずに、他の手法により
圧力タンク32の健全性を診断するようにしてもよい。圧力タンク診断部363は、例え
ば、逆流時発電量のデータから最大値、最小値、平均値、微分値、積分値等の評価値を算
出し、その評価値と、上限値、下限値等の基準値とを比較することで、圧力タンク32の
健全性を診断するようにしてもよい。
【0158】
上記実施形態では、圧力タンク診断部363が、圧力タンク32の健全性を診断する場
合について説明したが、圧力タンク32のより詳細な事象に関する健全性を診断するよう
にしてもよい。圧力タンク診断部363は、例えば、逆流時発電量のデータに基づいて圧
力タンク32の封入圧力を推定し、封入圧力の健全性を診断するようにしてもよい。その
際、圧力タンク診断部363は、入力データと圧力タンク32の封入圧力との間の相関関
係を機械学習させた学習モデル2を用いて封入圧力を推定してもよいし、逆流時発電量の
データから算出された評価値に基づいて圧力タンク32の封入圧力を換算するための所定
の換算式を用いて封入圧力を推定してもよい。
【0159】
上記実施形態では、機械学習部42による機械学習の具体的な手法として、ニューラル
ネットワーク(第1の実施形態)及びオートエンコーダ(第2の実施形態)をそれぞれ採
用した場合について説明したが、機械学習部42は、任意の他の機械学習の手法を採用し
てもよい。他の機械学習の手法としては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギン
グ、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニ
ューラルネットワーク等のニューラルネット型(ディープラーニングを含む)、階層型クラ
スタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラスタリング型、主成
分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げ
られる。
【0160】
(機械学習プログラム)
本発明は、
図3に示すコンピュータ200に、上記実施形態に係る機械学習方法が備え
る各工程を実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)230の態様で提供する
こともできる。
【0161】
(圧力タンク診断プログラム)
本発明は、
図3に示すコンピュータ200に、上記実施形態に係る圧力タンク診断方法
が備える各工程を実行させるためのプログラム(圧力タンク診断プログラム)230の態
様で提供することもできる。
【0162】
(推論装置、推論方法及び推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係る圧力タンク診断装置5(圧力タンク診断方法又は圧力タ
ンク診断プログラム)の態様によるもののみならず、圧力タンク32の健全性を診断する
ために用いられる推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することもでき
る。その場合、推論装置(推論方法又は推論プログラム)としては、メモリと、プロセッ
サとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものとすることができる。
当該一連の処理とは、逆流時発電量のデータ(さらに、逆流時吐出側圧力のデータ及び逆
流時水位のデータの少なくとも一方を含むものでもよい)を入力データとして取得する入
力データ取得処理(入力データ取得工程)と、入力データ取得処理にて入力データを取得
すると、圧力タンク32の診断情報を推論する推論処理(推論工程)とを含む。
【0163】
推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することで、圧力タンク診断装
置5を実装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置(推論方
法又は推論プログラム)が圧力タンク32の健全性を推論する際、上記実施形態に係る機
械学習装置4及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデル2を用いて、圧力
タンク診断装置5の推論部51が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にと
って当然に理解され得るものである。
【符号の説明】
【0164】
1…給水システム、2…学習モデル、
3…流体供給装置、3a…センサ群、3b…制御機器群、
4…機械学習装置、5…圧力タンク診断装置、7…試験装置、8…作業者用端末、
10…受水槽、11…水道本管、12…配水管、13…接続配管、
14…給水管、15…流体供給先、
30a…吸込側配管、30b…吐出側配管、31…ポンプ、32…圧力タンク、
33…分岐配管、34…バイパス配管、36…制御盤、37…操作表示盤
40…学習用データ取得部、41…学習用データ記憶部、
42…機械学習部、43…モデル記憶部、
100…水位計、101…フロートスイッチ、
120…流入弁、140…使用流量センサ、
200…コンピュータ、210…バス、212…プロセッサ、214…メモリ、
216…入力デバイス、218…表示デバイス、220…ストレージ装置、
222…通信I/F部、224…外部機器I/F部、226…I/OデバイスI/F部、
228…メディア入出力部、230…プログラム、240…ネットワーク、
250…外部機器、260…I/Oデバイス、270…メディア、
300…逆止弁、301…フローセンサ、302…ポンプ二次圧センサ、
303…三方弁、310…電動機、311…インバータ、
312…ポンプ運転状況センサ、313…発電量センサ、320…隔膜、
321…タンク封入圧センサ、340…バイパス弁、
360…モード切替部、361…通常モード実行部、
362…逆流運転モード実行部、363…圧力タンク診断部