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特開2022-124168通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124168
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/69 20130101AFI20220818BHJP
   H04B 10/077 20130101ALI20220818BHJP
   H04B 10/2575 20130101ALI20220818BHJP
【FI】
H04B10/69
H04B10/077
H04B10/2575
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021776
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 研介
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AA15
5K102AB13
5K102AD12
5K102AH21
5K102AH26
5K102KA01
5K102LA02
5K102LA21
5K102LA32
5K102LA52
5K102MA02
5K102MB17
5K102MC24
5K102MD03
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH19
5K102MH22
5K102PB01
5K102PH31
5K102PH49
5K102RD05
5K102RD12
5K102RD13
(57)【要約】
【課題】光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化させる通信制御装置及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】光検波器201は、所定の信号強度を有するリファレンス信号及び通信信号を含む光信号を受信して電気信号に変換する。増幅器202は、光検波器201により生成された電気信号を増幅する。利得調整部203は、増幅器202により増幅された電気信号の利得を調整する。アンテナ207は、利得調整部203により利得が調整された電気信号に含まれる通信信号を出力する。帯域通過フィルタ206は、光信号を基にリファレンス信号を取得する。制御部205は、リファレンス信号の信号強度を測定し、測定した信号強度と所定の信号強度とを比較して、比較結果を基に利得調整部203を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の信号強度を有するリファレンス信号及び通信信号を含む光信号を受信して電気信号に変換する第1光検波器と、
前記第1光検波器により生成された前記電気信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器により増幅された前記電気信号の利得を調整する利得調整部と、
前記利得調整部により利得が調整された前記電気信号に含まれる前記通信信号を出力する出力部と、
前記光信号を基に前記リファレンス信号を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記リファレンス信号の信号強度を測定し、測定した前記信号強度と前記所定の信号強度とを比較して、比較結果を基に前記利得調整部を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記利得調整部による利得調整後の利得調整後信号から前記リファレンス信号を取得することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記第1光検波器により生成された前記電気信号から前記リファレンス信号を取得することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記光信号を受信して、前記リファレンス信号を検出して電気信号に変換する第2光検波器を備え、
前記第1光検波器は、前記リファレンス信号及び前記通信信号を検出して前記光信号を電気信号に変換し、
前記取得部は、前記第2光検波器により生成された前記電気信号から前記リファレンス信号を取得することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記第1光検波器は、前記リファレンス信号と前記通信信号とを時間的に分離された状態で含む光信号を受信し、
前記利得調整部は、前記リファレンス信号を受信した場合、前記リファレンス信号の利得を調整して出力し、前記通信信号を受信した場合、前記通信信号の利得を調整して出力し、
前記取得部は、前記利得調整部から出力された利得調整後の前記リファレンス信号を取得して前記制御部へ出力し、前記利得調整部から出力された利得調整後の前記通信信号は前記出力部に出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項6】
信号送信機、信号受信機及び前記信号送信機と前記信号受信機とを接続する光ファイバを備えた通信制御システムであって、
前記信号送信機は、通信信号に所定の信号強度を有するリファレンス信号を付加した電気信号を光信号に変換して前記光ファイバを用いて前記信号受信機へ送信し、
前記信号受信機は、
前記光信号を受信して電気信号に変換する第1光検波器と、
前記第1光検波器により生成された前記電気信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器により増幅された前記電気信号の利得を調整する利得調整部と、
前記利得調整部により利得が調整された前記電気信号に含まれる前記通信信号を出力する出力部と、
前記光信号を基に前記リファレンス信号を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記リファレンス信号の信号強度を測定し、測定した前記信号強度と前記所定の信号強度とを比較して、比較結果を基に前記利得調整部を制御する制御部とを備えた
ことを特徴とする通信制御システム。
【請求項7】
所定の信号強度を有するリファレンス信号及び通信信号を含む光信号を受信して、前記リファレンス信号及び前記通信信号を検出して電気信号に変換し、
前記電気信号を増幅器により増幅し、
前記光信号を基に前記リファレンス信号を取得し、
取得した前記リファレンス信号の信号強度を測定し、測定した前記信号強度と前記所定の信号強度とを比較して、比較結果を基に利得調整量を制御し
前記利得調整量を基に、前記増幅器により増幅された前記電気信号の利得を調整し、
利得を調整した前記電気信号に含まれる前記通信信号を出力する
ことを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の基地局を多数設置するための技術として光ファイバを活用したC-RAN(Centralized Radio Access Network)の実現が期待されている。C-RANとは、子局として多数のアンテナを設置してサービスエリアを形成し、各子局をCS(Central Station)の制御装置でまとめて制御する方式である。C-RANを用いることで、高速大容量の無線通信を低コストで実現するとともに電波のエリアが重なる複数のエリアの間の協調処理を基地局内部で容易に実現することが可能となる。
【0003】
上述したC-RANにおいて多数の子局とCSは光ファイバで接続されるが,その方式の1つとして、光アナログ信号を用いた伝送方式である光ファイバ無線(Radio on Fiber)がある。
【0004】
光ファイバ無線は、シンプルな構成で子局であるRAU(Radio Antenna Unit)と制御装置であるCSとの接続を可能とするメリットがある。光ファイバ無線では、CSにおいて符号化及び変調が行われてアナログ信号である無線信号が生成され、その無線信号がRAUに送られて送出される。また、RAUは外部装置から送信された無線信号を受信してアナログ信号のままCSへ送信し、CSは受信した無線信号に対して復調及び復号化などの信号処理を行う。
【0005】
無線機とアンテナの間の接続に光ファイバ無線を用いる構成では、アンテナからの無線信号出力が光ファイバ無線のリンクゲインの変動の影響を受ける。リンクゲインは、光ファイバ無線の出力信号の信号強度を入力信号の信号強度で除算することで算出できる。特に、無線信号の送信信号は、出力信号の信号強度を所望の範囲内に維持することが不可欠である。例えば、リンクゲインが変動することで、出力が半減したり倍増したりする可能性がある。そのため、リンクゲインを一定に保つことは無線の送信系では重要である。
【0006】
一般的なリンクゲインの安定化方法として、出力信号の信号強度をモニタして送信機側にその値を伝送し入力信号などの調整を行い、リンクゲインを一定に保つフィードバック制御の技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-280833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、光ファイバ無線では、光ファイバを用いたネットワークを介してCSとRAUとの間でアナログ信号が送受信される。そのため、光ファイバ無線では、光源、光ファイバ伝送路、光検波器及び増幅器の出力や利得等の変動の影響を受けてリンクゲインが時間的に変動するおそれがある。
【0009】
例えば、光源に関しては、電源電圧変動による出力変動、温度による出力変動、バイアス電圧に変動による光変調度の変動及び経年劣化による出力低下などが考えられる。また、光ファイバ伝送路に関しては、コネクタ接続損失の変化、曲げなどによる伝送損失変化及び光スイッチがあればその損失値の差異などが考えられる。また、光検波器に関しては、入力光の偏波変化による変換効率の変動(偏波依存性)、温度や電源電圧の変動による変換効率の変動及び経年劣化による変換効率の低下などが考えられる。また、増幅器に関しては、温度依存性や経年劣化などが考えられる。これらの条件によりリンクゲインが時間的に変動することが考えられる。そして、リンクゲインが変動することで、出力が半減したり倍増したりする可能性がある。このように、光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化させることが困難となる。
【0010】
ここで、フィードバック制御によりリンクゲインを一定に保つ技術の適用も考えられるが、そのためにはフィードバック信号を送信するための戻りの通信回線の増設などが必要となりシステムの構成が煩雑になる課題がある。
【0011】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化させる通信制御装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の開示する通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法の一つの態様において、第1光検波器は、所定の信号強度を有するリファレンス信号及び通信信号を含む光信号を受信して電気信号に変換する。増幅器は、前記第1光検波器により生成された前記電気信号を増幅する。利得調整部は、前記増幅器により増幅された前記電気信号の利得を調整する。出力部は、前記利得調整部により利得が調整された前記電気信号に含まれる前記通信信号を出力する。取得部は、前記光信号を基に前記リファレンス信号を取得する。制御部は、前記取得部により取得された前記リファレンス信号の信号強度を測定し、測定した前記信号強度と前記所定の信号強度とを比較して、比較結果を基に前記利得調整部を制御する。
【発明の効果】
【0013】
1つの側面では、本発明は、光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、光ファイバ無線を用いた通信システムの概略図である。
図2図2は、実施例1に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。
図3図3は、実施例1に係る通信システムによる通信信号の送信における制御のフローチャートである。
図4図4は、実施例2に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。
図5図5は、実施例3に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。
図6図6は、実施例4に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。
図7図7は、実施例4で用いられる入力信号の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願の開示する通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法が限定されるものではない。
【実施例0016】
図1は、光ファイバ無線を用いた通信システムの概略図である。通信システム1は、複数のCS10及び複数のRAU20を有する。
【0017】
CS10は、ルータ6などを含む通信機器を介して光ファイババックフォールネットワーク3で相互に接続される。また、CS10は、それぞれが複数のRAU20を管理する。各CS10は、管理するRAU20に光ファイバフロントフォールネットワーク4を介して接続される。光ファイバフロントフォールネットワーク4は、光回線を用いてRAU20とCS10との間でデータの送受信を行わせるネットワークである。CS10は、データなどを送信する電気信号である通信信号を光信号に変換して、アナログ信号の状態で光ファイバフロントフォールネットワーク4を経由させてRAU20へ光信号に変換した通信信号を送信する。
【0018】
RAU20は、CS10から送信された光信号を電気信号に変換して無線信号として出力する。RAU20は、例えば、風力発電施設51、企業設備PV(Photo Voltaic)52、住居用電力設備のバッテリ53、EV(Electric Vehicle)54、送電設備に配置された各種のセンサ55、住居用PV56、メガソーラ施設のバッテリ57などと、モバイルコネクションといった無線回線により接続される。
【0019】
RAU20は、接続先の各種機器との間で無線回線を通じて通信を行い、各種機器からデータを収集して、収集したデータをCS10へ転送する。また、RAU20は、CS10から送信された制御命令を、接続先の各種機器へ送信して各種機器の制御を行う。
【0020】
次に、図2を参照して、本実施例に係る通信システム1における下り信号に対する処理の詳細について説明する。図2は、実施例1に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。CS10とRAU20とは、光ファイバ40により接続される。光ファイバ40は、光ファイバフロントフォールネットワーク4に含まれる通信経路である。
【0021】
CS10について説明する。CS10は、信号処理部101、送信機102、電気光変換器103及びリファレンス信号出力部104を有する。
【0022】
信号処理部101は、送信するデータに対して符号化処理及び変調処理を施してデータを送信する通信信号を生成する。信号処理部101は、生成した通信信号を送信機102へ出力する。
【0023】
送信機102は、通信信号の入力を信号処理部101から受ける。そして、送信機102は、取得した通信信号を増幅して所定の信号強度を有する信号にして、電気光変換器103及び光ファイバ40を介してRAU20へ届くように通信信号を送出する。
【0024】
リファレンス信号出力部104は、予め決められた所定の信号強度を有するリファレンス信号を送信機102と電気光変換器103とを結ぶ通信信号の伝送路へ出力する。これにより、リファレンス信号出力部104は、通信信号にリファレンス信号を混ぜた入力信号を生成して電気光変換器103へ入力する。
【0025】
ここで、リファレンス信号は、正弦波でもよい。また、リファレンス信号の周波数には、通信信号が用いる周波数と離れた周波数帯が使用されることが好ましい。例えば、通信信号の周波数が5GHzや2.4GHzであれば、リファレンス信号の周波数として800MHzなどを用いることができる。これにより、リファレンス信号と通信信号が混ざった信号である入力信号から、通信信号とリファレンス信号とを容易に分離することが可能となる。また、所定の信号強度としては、例えば、0.1mWとすることができる。
【0026】
電気光変換器103は、入力信号の入力を受ける。そして、電気光変換器103は、レーザーダイオードなどを用いて、取得した入力信号をレーザーを用いた光信号に変換する。その後、電気光変換器103は、光信号に変換した入力信号をRAU20へ向けて光ファイバ40を経由させて送出する。
【0027】
次に、RAU20について説明する。RAU20は、光検波器201、増幅器202、利得調整部203、帯域除去フィルタ204、制御部205、帯域通過フィルタ206及びアンテナ207を有する。
【0028】
光検波器201は、CS10から出力され光ファイバ40を経由して送られてきた光信号を受信する。そして、光検波器201は、受信した光信号を光検波により電気信号に変換して、電気信号である入力信号を生成する。そして、光検波器201は、電気信号に変換した入力信号を増幅器202へ出力する。この光検波器201が、「第1光検波器」の一例にあたる。
【0029】
増幅器202は、電気信号に変換後の受信した入力信号の入力を光検波器201から受ける。そして、増幅器202は、受信した入力信号を増幅して利得調整部203へ出力する。
【0030】
利得調整部203は、例えば、可変減衰器や増幅器202に搭載された利得調整機能である。利得調整部203は、増幅後の受信した入力信号の入力を増幅器202から受ける。また、利得調整部203は、利得の調整量を補正するための補正量を含む制御信号の入力を制御部205から受ける。制御信号は、例えば、利得調整部203における減衰量制御用の電圧である。そして、利得調整部203は、利得調整に受信した制御信号にしたがって減衰量の補正を加えて、補正を加えた減衰量で受信した入力信号の利得を調整する。その後、利得調整部203は、利得調整を行った受信した入力信号を帯域除去フィルタ204及び帯域通過フィルタ206へ出力する。
【0031】
帯域除去フィルタ204は、利得調整後の入力信号の入力を利得調整部203から受ける。そして、帯域除去フィルタ204は、リファレンス信号が使用する周波数帯域の信号を入力信号から除去して通信信号を取得する。その後、帯域除去フィルタ204は、アンテナ207を用いて通信信号を無線信号として出力する。帯域除去フィルタ204及びアンテナ207が、「出力部」の一例にあたる。
【0032】
帯域通過フィルタ206は、利得調整後の入力信号の入力を利得調整部203から受ける。そして、帯域通過フィルタ206は、リファレンス信号が使用する周波数帯域に制限して信号を通過させることで、利得調整後の受信した入力信号から利得調整後の受信したリファレンス信号を取得する。帯域通過フィルタ206は、利得調整後の受信したリファレンス信号を制御部205へ出力する。この帯域通過フィルタ206が、「取得部」の一例にあたる。
【0033】
制御部205は、パワーディテクタ及び小型マイコン(マイクロコンピュータ:microcomputer)を有する。制御部205は、利得調整後の受信したリファレンス信号の入力を帯域通過フィルタ206から受ける。次に、制御部205は、パワーディテクタを用いて受信したリファレンス信号の利得調整後の信号強度を求める。
【0034】
さらに、制御部205は、以下の処理を小型マイコンで実行する。制御部205は、予め決められた所定の信号強度の情報を保持する。そして、制御部205は、受信したリファレンス信号の利得調整後の信号強度と、リファレンス信号の基準信号強度とを比較する。そして、制御部205は、受信したリファレンス信号の利得調整後の信号強度と基準信号強度との差分を求め、求めた大小関係や信号強度の差分情報を元に減衰量制御用電圧を生成する。その後、制御部205は、生成した減衰量制御用電圧を制御信号として利得調整部203へ出力する。
【0035】
次に、図3を参照して、本実施例に係る通信システム1による通信信号の送信における制御の流れについて説明する。図3は、実施例1に係る通信システムによる通信信号の送信における制御のフローチャートである。図3では、紙面に向かって左側のフローチャートが信号送信処理の流れを表し、右側のフローチャートが利得制御処理の流れを表す。また、2つのフローチャートの間を結ぶ破線矢印はそれぞれの処理間の信号の送受信を表す。
【0036】
CS10のリファレンス信号出力部104は、予め決められた信号強度を有するリファレンス信号を送信機102から出力された通信信号に付加して入力信号を作成し(ステップS1)、電気光変換器103へ入力する。
【0037】
CS10の電気光変換器103は、入力信号を光信号に変換して光ファイバ40を経由させてRAU20へ送信する(ステップS2)。
【0038】
RAU20の光検波器201は、光ファイバ40を経由させて送られてきた光信号を受信する。次に、光検波器201は、光検波により光信号を電気信号に変換する(ステップS3)。
【0039】
RAU20の増幅器202は、電気信号に変換された入力信号を増幅する(ステップS4)。
【0040】
RAU20の利得調整部203は、利得制御処理のフローチャートから延びる点線矢印で表されるように、前回の信号送信時に利得調整部203から出力されたリファレンス信号の信号強度を用いて決定された制御信号の入力を受ける。また、利得調整部203は、増幅後の入力信号の入力を増幅器202から受ける。そして、利得調整部203は、制御信号にしたがって減衰量に補正を加え、補正を加えた減衰量で増幅後の入力信号の利得を調整する(ステップS5)。
【0041】
その後、利得調整部203は、利得調整後の入力信号を帯域除去フィルタ204及び帯域通過フィルタ206へ出力する(ステップS6)。帯域通過フィルタ206へ出力された入力信号は、信号送信処理のフローチャートから延びる点線矢印で表されるように、利得制御処理で用いられる。
【0042】
帯域除去フィルタ204は、利得調整後の入力信号からリファレンス信号を除去して通信信号を取得する(ステップS7)。
【0043】
その後、帯域除去フィルタ204から出力された通信信号は、無線信号としてアンテナ207から出力される(ステップS8)。
【0044】
一方、帯域通過フィルタ206は、利得調整後の入力信号のうちリファレンス信号の周波数帯域に制限して信号を通過させることで、リファレンス信号を取得する(ステップS11)。
【0045】
制御部205は、帯域通過フィルタ206から出力されたリファレンス信号を取得する。そして、制御部205は、リファレンス信号の利得調整後の信号強度を測定する(ステップS12)。
【0046】
次に、制御部205は、受信したリファレンス信号の利得調整後の信号強度と基準信号強度とを比較して減衰量制御用電圧を生成する(ステップS13)。
【0047】
次に、制御部205は、利得調整部203減衰量を制御するための制御信号として減衰量制御用電圧を利得調整部203へ出力する(ステップS14)。この制御信号は、次の通信信号の送信時に用いられる利得の調整量の補正に使用される。
【0048】
以上に説明したように、本実施例では、CSが通信信号に所定の信号強度のリファレンス信号を付加して送信し、RAUにおいて受信したリファレンス信号の利得調整後の信号強度と所定の信号強度とを比較して利得の調整量を補正する。これにより、送信側の装置を用いずに受信側の装置で利得制御を行うことができ、フィードバックのための通信を用いない単純なシステム構成で光ファイバ無線における利得制御を行うことができる。したがって、単純なシステム構成で、光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化させることが可能となる。
【0049】
本実施例の場合、電気光変換器から出力される信号のレーザー光、光ファイバ、光検波器及び増幅器によるリンクゲイン変動を補償することができる。本実施例に係る構成は、電気回路での信号分岐が可能であり、且つ、光検波器や増幅器がリファレンス信号の周波数帯域にも対応している場合に用いることが好ましい。
【実施例0050】
図4は、実施例2に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。本実施例に係るRAU20は、光検波器201から出力された信号を用いて利得制御を行うことが実施例1と異なる。以下の説明では、実施例1と同じ各部の機能については説明を省略する。
【0051】
本実施例に係るRAU20は、実施例1で示した各部と同様の各部を有する。ただし、本実施例に係るRAU20では、帯域通過フィルタ206は、光検波器201と制御部205との間に配置される。
【0052】
光検波器201は、光検波により電気信号に変換した入力信号を増幅器202及び帯域通過フィルタ206へ出力する。
【0053】
帯域通過フィルタ206は、電気信号に変換された入力信号の入力を光検波器201から受ける。そして、帯域通過フィルタ206は、リファレンス信号が使用する周波数帯域に制限して信号を通過させることで、電気信号に変換された入力信号から受信したリファレンス信号を取得する。帯域通過フィルタ206は、受信したリファレンス信号を制御部205へ出力する。
【0054】
制御部205は、受信したリファレンス信号の信号強度と、リファレンス信号の基準信号強度との差分を求め、求めた大小関係や信号強度の差分情報を元に減衰量制御用電圧を生成する。その後、制御部205は、生成した減衰量制御用電圧を制御信号として利得調整部203へ出力する。
【0055】
利得調整部203は、制御部205から入力された制御信号にしたがって利得の調整量を補正し、補正した調整量で増幅器202から入力された入力信号の利得を調整する。その後、利得調整部203は、利得調整後の入力信号を帯域除去フィルタ204へ出力する。
【0056】
以上に説明したように、本実施例に係るRAUは、光検波器から出力される入力信号の経路を分岐させて受信したリファレンス信号を取得し、取得したリファレンス信号の信号強度を用いて利得の調整量の補正を行う。これにより、送信側の装置を用いずに受信側の装置で利得制御を行うことができ、フィードバックのための通信を用いない単純なシステム構成で光ファイバ無線における利得制御を行うことができる。したがって、単純なシステム構成で、光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化させることが可能となる。
【0057】
本実施例の場合、電気光変換器から出力されるレーザー光、光ファイバ及び光検波器によるリンクゲイン変動を補償することができる。本実施例に係る構成は、増幅器の利得安定度が十分であり、電気光変換器から出力されるレーザー、光ファイバ伝送路及び光検波器における変動がリンクゲイン変動の主要因の場合に適用することが好ましい。また、例えば、通信信号とリファレンス信号との周波数が大きく離れるなどして増幅器によるリファレンス信号の増幅が困難な場合などに使うことも可能である。
【実施例0058】
図5は、実施例3に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。本実施例に係るRAU20は、実施例1で示した各部に加えて、光検波器208を有する。本実施例に係るRAU20は、光ファイバ40を経由して送られてきた光信号を分岐させて通信信号送信用の光検波器201と利得調整量制御用の光検波器208へ入力し、光検波器208から出力された信号を用いて利得制御を行うことが実施例1と異なる。以下の説明では、実施例1と同じ各部の機能については説明を省略する。
【0059】
光検波器208は、利得の調整量の制御に用いるリファレンス信号を取得するための検波器である。そのため、光検波器208は、リファレンス信号以外の信号を検出しなくてもよい。したがって、リファレンス信号が遅い場合、早い信号の検出を行わなくてもよいため、光検波器208には安価な検波器を用いることができる。
【0060】
光検波器208は、光ファイバ40を経由して送られてきた光信号を受信する。そして、光検波器208は、光検波により光信号を電気信号に変換して、利得調整量制御用の信号を生成する。この光検波器208から出力される利得調整量制御用の信号には、少なくともリファレンス信号が含まれていればよい。光検波器208は、利得調整量制御用の信号を帯域通過フィルタ206へ出力する。
【0061】
帯域通過フィルタ206は、利得調整量制御用の信号の入力を光検波器208から受ける。そして、帯域通過フィルタ206は、リファレンス信号が使用する周波数帯域に制限して信号を通過させることで、利得調整量制御用の信号から受信したリファレンス信号を取得する。帯域通過フィルタ206は、受信したリファレンス信号を制御部205へ出力する。
【0062】
制御部205は、受信したリファレンス信号の電圧値と、リファレンス信号の基準電圧値とを比較する。これにより、制御部205は、光ファイバ40を介して送られてきたリファレンス信号の信号強度と予め決められたリファレンス信号の所定の信号強度とを比較する。そして、制御部205は、受信したリファレンス信号の電圧値と基準電圧値との差分を求め、求めた電圧値の差分をAD変換してデジタル信号に変えて減衰量制御用電圧を生成する。その後、制御部205は、生成した減衰量制御用電圧を制御信号として利得調整部203へ出力する。
【0063】
利得調整部203は、制御部205から入力された制御信号にしたがって利得の調整量を補正し、補正した調整量で増幅器2002から入力された入力信号の利得を調整する。その後、利得調整部203は、利得調整後の入力信号を帯域除去フィルタ204へ出力する。
【0064】
以上に説明したように、本実施例に係るRAUは、光ファイバを経由させて送られてきた光信号の経路を分岐させて利得調整量制御用の信号を取得し、利得調整量制御用の信号から取得したリファレンス信号の電圧値を用いて利得の調整量の補正を行う。これにより、送信側の装置を用いずに受信側の装置で利得制御を行うことができ、フィードバックのための通信を用いない単純なシステム構成で光ファイバ無線における利得制御を行うことができる。したがって、単純なシステム構成で、光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化させることが可能となる。
【0065】
本実施例の場合、電気光変換器から出力されるレーザー及び光ファイバによるリンクゲイン変動を補償することができる。本実施例に係る構成は、光検波器や増幅器の利得安定度が十分であり、増幅器の利得安定度が十分であり、電気光変換器から出力されるレーザー及び光ファイバ伝送路での変動がリンクゲイン変動の主要因の場合に適用することが好ましい。また、例えば、通信信号とリファレンス信号との周波数が大きく離れるなどして、電気信号での分岐が難しい場合や、光検波器や増幅器がリファレンス信号の周波数に対応していない場合などに使うことも可能である。
【実施例0066】
図6は、実施例4に係る通信システムの詳細を表すブロック図である。本実施例に係る通信システム1では、時間的に通信信号とリファレンス信号とを分離してCS10からRAU20へ送信することが実施例1と異なる。以下の説明では、実施例1と同じ各部の機能については説明を省略する。
【0067】
本実施例に係るCS10は、信号処理部101、送信機102及び電気光変換器103を有する。
【0068】
信号処理部101は、時間的に分離された通信信号とリファレンス信号とを含む入力信号を生成する。図7は、実施例4で用いられる入力信号の一例を示す図である。図7の横軸は時間経過を表す。図7に示すように、本実施例で用いられる入力信号300は、時間T1に通信信号301を含み、時間T1と重ならない時間T2にリファレンス信号302を含む。このように、入力信号300では、通信信号301とリファレンス信号302とが時間的に分離される。信号処理部101は、時間的に分離された通信信号とリファレンス信号とを含む入力信号を送信機102へ出力する。
【0069】
送信機102は、時間的に分離された通信信号とリファレンス信号とを含む入力信号の入力を信号処理部101から受ける。そして、送信機102は、取得した入力信号を増幅して所定の信号強度を有する信号にして、電気光変換器103及び光ファイバ40を介してRAU20へ届くように通信信号を送出する。
【0070】
電気光変換器103は、電気信号である入力信号の入力を送信機102から受ける。そして、電気光変換器103は、入力された電気信号をレーザー光を用いた光信号に入力信号を変換して光ファイバ40を経由させてRAU20へ向けて送信する。
【0071】
RAU20は、光検波器201、増幅器202、利得調整部203、制御部205、スイッチ209及びアンテナ207を有する。
【0072】
光検波器201は、光ファイバ40を経由させて送られてきた光信号である入力信号を受信する。そして、光検波器201は、光検波により入力信号を電気信号に変換する。例えば、図7の入力信号300を用いる場合、光検波器201は、時間T1で通信信号301を受信して電気信号に変換して増幅器202へ送り、時間T2でリファレンス信号を受信して電気信号に変換して増幅器202へ送る。
【0073】
増幅器202は、電気信号に変換された入力信号を増幅して利得調整部203へ出力する。増幅器202も、異なる時間に応答信号とリファレンス信号とを受信してそれぞれ増幅して出力する。
【0074】
利得調整部203は、入力信号の入力を増幅器202から受ける。そして、利得調整部203は、制御部205から入力された制御信号にしたがい利得の調整量を補正して、補正した調整量で入力信号の利得調整を行う。その後、利得調整部203は、利得調整後の入力信号をスイッチ209へ出力する。利得調整部203も、異なる時間に応答信号とリファレンス信号とを受信して、補正した調整量でそれぞれの利得を調整して出力する。
【0075】
スイッチ209は、入力信号に含まれる応答信号を受信する期間では、利得調整部203からの出力経路をアンテナ207に接続する。例えば、図7に示す入力信号300の場合、スイッチ209は、時間T1において利得調整部203からの出力経路をアンテナ207に切り替える。これにより、アンテナ207から通信信号が無線信号として送信される。
【0076】
また、スイッチ209は、入力信号に含まれるリファレンス信号を受信する期間では、利得調整部203からの出力経路を制御部205に接続する。例えば、図7に示す入力信号300の場合、スイッチ209は、時間T2において利得調整部203からの出力経路を制御部205に切り替える。これにより、リファレンス信号が制御部205へ入力される。
【0077】
制御部205は、利得調整部203から出力された利得調整後の入力信号のうちのリファレンス信号の入力を受ける。制御部205は、利得調整後の受信したリファレンス信号の信号強度と、リファレンス信号の基準信号強度との差分を求め、求めた大小関係や信号強度の差分情報を元に減衰量制御用電圧を生成する。その後、制御部205は、生成した減衰量制御用電圧を制御信号として利得調整部203へ出力する。
【0078】
以上に説明したように、本実施例に係るCSは、通信信号とリファレンス信号とを時間的に分離して送信する。RAUは、光ファイバを経由させて送られてきたリファレンス信号を取得し、取得したリファレンス信号の信号強度を用いて利得の調整量の補正を行う。これにより、送信側の装置を用いずに受信側の装置で利得制御を行うことができ、フィードバックのための通信を用いない単純なシステム構成で光ファイバ無線における利得制御を行うことができる。したがって、単純なシステム構成で、光ファイバ無線を用いた通信システムを安定化させることが可能となる。
【0079】
本実施例の場合、同じ無線周波数をリファレンス信号と通信信号との双方に用いることができる。ただし、リンクゲインの調整のために通信信号の送信が停止される。
【0080】
以上の各実施例で説明した通信システムでは、リファレンス信号のリンクゲインを安定化させることで通信信号のリンクゲインを安定化させるため、リファレンス信号のリンクゲインと通信信号のリンクゲインとの比率が一定であることが好ましい。そして、リファレンス信号と通信信号とが多重されるため、光変調、光検波、増幅器などの線形領域で、多重した状態の入力信号に対しての処理を行うことで、リファレンス信号のリンクゲインと通信信号のリンクゲインとの比率を一定にすることが可能である。
【0081】
また、信号強度が過大な場合には信号が歪むおそれがある。そのため、入力信号の信号強度が過大にならないようにすることが好ましい。そのうえで、通信信号の信号強度に制限を与えないために、リファレンス信号の信号強度を必要以上に大きくすることは避けることが好ましい。光ファイバの波長分散により光ファイバの長さの影響を受けるため、各実施例に係る通信システムでは、使用する光ファイバの長さに応じたリファレンス信号と通信信号との利得差のキャリブレーションが最初に行われる。
【0082】
また、以上の説明では、光ファイバ無線を用いた通信システムを例に説明したが、各実施例で説明した構成は、光ファイバを用いた通信を行う通信システムであれば、他のシステムに適用することも可能である。例えば、光ファイバを用いて計測データを送信するシステムに各実施例で説明した構成を用いてシステムを安定化させることも可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 通信システム
3 光ファイババックフォールネットワーク
4 光ファイバフロントフォールネットワーク
6 ルータ
10 CS
20 RAU
40 光ファイバ
101 信号処理部
102 送信機
103 電気光変換器
104 リファレンス信号出力部
201 光検波器
202 増幅器
203 利得調整部
204 帯域除去フィルタ
205 制御部
206 帯域通過フィルタ
207 アンテナ
208 光検波器
209 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7