(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124709
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】剥離装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220819BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/304 622J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022492
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 玄太郎
【テーマコード(参考)】
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
5F057AA12
5F057AA32
5F057BB03
5F057CA02
5F057CA18
5F057DA11
5F057EC05
5F057EC07
5F057FA15
5F057FA30
5F057GB02
5F057GB31
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA33
5F131BA37
5F131BA60
5F131CA32
5F131DA14
5F131DA33
5F131DA54
5F131DB51
5F131DB62
5F131DB72
5F131EA07
5F131EA15
5F131EB03
5F131EB36
5F131EB63
5F131EC32
5F131EC34
5F131EC73
5F131EC77
5F131KA12
(57)【要約】
【課題】剥離装置において、保護部材を湾曲させるのに必要な力が変わっても、ゴミ箱に保護部材を適切に積み重ね廃棄する。
【解決手段】ウェーハ保護部材を剥離するユニット4と、保護部材廃棄ユニット5と、を備え、剥離ユニット4は、保護部材把持部40と保持ユニット2とをすれ違い移動させるユニット42と、を備え、廃棄ユニット5は、保護部材をゴミ箱7開口に傾斜落下させる傾斜落下部50と、傾斜落下する保護部材を上から見た進行方向に対し直交方向に対向配置される第1傾斜板51と第2傾斜板52と、を備え、両傾斜板51、52下辺の間に保護部材が通過可能な隙間57を備え、両傾斜板51、52下辺間距離より両傾斜板51、52上辺間距離が大きくなるように両傾斜板51、52を傾斜させ、傾斜落下した保護部材が両傾斜板51、52間に進入してゴミ箱7に凸状に湾曲し、ゴミ箱7開口を通過して落下しつつ水平姿勢になった後積み重ねられる、剥離装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの一方の面に形成されたシート状の保護部材をウェーハから剥離して上面に開口を備えるゴミ箱の中に積み重ねて廃棄する剥離装置であって、
ウェーハの他方の面を保持面で吸引保持する保持ユニットと、
該保持ユニットに保持されたウェーハに形成された該保護部材を剥離する剥離ユニットと、該ゴミ箱の中に該保護部材を積み重ねて廃棄する廃棄ユニットと、を備え、
該剥離ユニットは、該保護部材の外周縁を把持する把持部と、該保持面に平行にウェーハの外周から中央に向かう方向に該把持部と該保持ユニットとを相対的にすれ違うように移動させる移動ユニットと、を備え、
該廃棄ユニットは、
該把持部が把持していた該保護部材を該ゴミ箱の該開口に向かって傾斜落下させる傾斜落下部と、
該開口の上で傾斜落下する該保護部材を上から見た場合の進行方向に対し直交する方向において向かいあって配置される第1傾斜板と第2傾斜板と、を備え、
該第1傾斜板の下辺と該第2傾斜板の下辺との間に該保護部材が通過可能な隙間を備え、該第1傾斜板の下辺と該第2傾斜板の下辺との間の距離より該第1傾斜板の上辺と該第2傾斜板の上辺との間の距離が大きくなるように該第1傾斜板と該第2傾斜板とを傾斜させ、
傾斜落下した該保護部材が、該第1傾斜板と該第2傾斜板との間に進入することによって該保護部材の中央が該ゴミ箱に向かって凸状に湾曲し、該ゴミ箱の該開口を通過してさらに落下しつつ水平姿勢になった後、該ゴミ箱内において積み重ねられる、剥離装置。
【請求項2】
前記第1傾斜板及び前記第2傾斜板は、上面からエアを噴出する第1エア噴出口を備える請求項1記載の剥離装置。
【請求項3】
前記第1傾斜板及び前記第2傾斜板の下端側にそれぞれ配置し、エアを噴出する第2エア噴出口を有する2本の水平パイプを備え、
該第2エア噴出口から噴出したエアによって該第1傾斜板の上面と該第2傾斜板の上面とに下から上に向かう気流を生じさせる、請求項1、又は請求項2記載の剥離装置。
【請求項4】
前記第1傾斜板の下端と前記第2傾斜板の下端との間隔は、前記傾斜落下部に近い側より該傾斜落下部から遠い側に向かうにしたがって徐々に狭くしている請求項1、請求項2、又は請求項3記載の剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材をウェーハから剥離してゴミ箱に廃棄する剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ製造工程において平坦面を備えるウェーハを作製する場合には、例えば、シリコン等の円柱インゴットを、ワイヤーソー等で薄く切断して、円板状のアズスライスウェーハを得る。このウェーハの両面には、うねりや反りが存在しているため、ウェーハの切断面に対して、回転する研削砥石を当接させてうねりや反りを除去する。
【0003】
研削加工を行うために、円板状のウェーハの一方の面に液状樹脂で保護部材を形成する。これは、ウェーハのうねりや反りを保護部材で吸収して、研削装置のチャックテーブルで平坦に吸引保持するためである。即ち、ウェーハよりも大径の円形シート上に液状の樹脂等を所定量供給する。そして、保持ユニットでウェーハの他方の面を吸引保持し、ウェーハの一方の面に対向するように配設されたシート上で、ウェーハを液状樹脂に対して上側から押し付けることで、液状樹脂を押し広げてウェーハの一方の面全面が樹脂層で被覆された状態にする。その後、樹脂層を例えば紫外線照射により硬化させて、保護部材を形成する。該保護部材は、ウェーハの外周縁からシートがはみ出したはみ出し部を備えている。
【0004】
その後、保護部材が形成されていない他方の面が上側になるようにして、ウェーハを研削装置のチャックテーブルで平坦に吸引保持し、研削砥石で研削を行っていく。その後、テープ剥離装置(例えば、特許文献1参照)によりウェーハから保護部材を剥がし、保護部材で保護されていたウェーハの一方の面を研削することで、両面が平坦面となるウェーハを作製することができる。
【0005】
特許文献1に開示されているようなテープ剥離装置では、樹脂層を剥離し、剥離した保護部材をゴミ箱に廃棄している。即ち、剥離した保護部材を2本の傾斜したパイプ上で滑り落して、該パイプの下方に位置付けされたゴミ箱に2本の傾斜したパイプの間から湾曲させて落とし、ゴミ箱内で保護部材を適切に積み重ねて多くの保護部材をゴミ箱に入れることを可能としている。このように、ゴミ箱内に保護部材が重ねられて投入されることで、ゴミ箱から保護部材を取り出す作業の頻度を少なくして、作業者の負担を減らしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているようなテープ剥離装置では、アズスライスウェーハの凹凸、うねり、反りの大きさに対応して液状樹脂を使い分けて、硬化させた樹脂の硬さ、又は樹脂の厚みを変えている。そして、樹脂の硬さや厚みが異なる(例えば、硬く厚くなる)と、保護部材を2本のパイプ上で保護部材の自重で湾曲させるために必要となる力が異なり、2本のパイプだけでは湾曲具合が異なりパイプ間を通過させてゴミ箱内に保護部材を適切に積み重ねることができない場合が生じる。
【0008】
適切に保護部材がゴミ箱内で重なっていないため、ゴミ箱が保護部材で満杯になったことを検知するセンサが、ゴミ箱が満杯になっていないのにゴミ箱内の不適切に積み重なった保護部材を検知してしまい、作業者によるゴミ箱からの保護部材の取り出し頻度が増えて負担が大きくなるという問題がある。
【0009】
よって、保護部材をウェーハから剥離してゴミ箱に廃棄する剥離装置においては、樹脂の硬さが変わったり、又は樹脂の厚みが変わったりして、保護部材を湾曲させるために必要な力が変わることがあったとしても、ゴミ箱に保護部材を適切に積み重ねて廃棄できるようにするという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、ウェーハの一方の面に形成されたシート状の保護部材をウェーハから剥離して上面に開口を備えるゴミ箱の中に積み重ねて廃棄する剥離装置であって、ウェーハの他方の面を保持面で吸引保持する保持ユニットと、該保持ユニットに保持されたウェーハに形成された該保護部材を剥離する剥離ユニットと、該ゴミ箱の中に該保護部材を積み重ねて廃棄する廃棄ユニットと、を備え、該剥離ユニットは、該保護部材の外周縁を把持する把持部と、該保持面に平行にウェーハの外周から中央に向かう方向に該把持部と該保持ユニットとを相対的にすれ違うように移動させる移動ユニットと、を備え、該廃棄ユニットは、該把持部が把持していた該保護部材を該ゴミ箱の該開口に向かって傾斜落下させる傾斜落下部と、該開口の上で傾斜落下する該保護部材を上から見た場合の進行方向に対し直交する方向において向かいあって配置される第1傾斜板と第2傾斜板と、を備え、該第1傾斜板の下辺と該第2傾斜板の下辺との間に該保護部材が通過可能な隙間を備え、該第1傾斜板の下辺と該第2傾斜板の下辺との間の距離より該第1傾斜板の上辺と該第2傾斜板の上辺との間の距離が大きくなるように該第1傾斜板と該第2傾斜板とを傾斜させ、傾斜落下した該保護部材が、該第1傾斜板と該第2傾斜板との間に進入することによって該保護部材の中央が該ゴミ箱に向かって凸状に湾曲し、該ゴミ箱の該開口を通過してさらに落下しつつ水平姿勢になった後、該ゴミ箱内において積み重ねられる、剥離装置である。
【0011】
本発明に係る剥離装置において、前記第1傾斜板及び前記第2傾斜板は、上面からエアを噴出する第1エア噴出口を備えると好ましい。
【0012】
本発明に係る剥離装置において、前記第1傾斜板及び前記第2傾斜板の下端側にそれぞれ配置し、エアを噴出する第2エア噴出口を有する2本の水平パイプを備え、該第2エア噴出口から噴出したエアによって該第1傾斜板の上面と該第2傾斜板の上面とに下から上に向かう気流を生じさせると好ましい。
【0013】
前記第1傾斜板の下端と前記第2傾斜板の下端との間隔は、前記傾斜落下部に近い側より該傾斜落下部から遠い側に向かうにしたがって徐々に狭くすると好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る剥離装置においては、ゴミ箱の中に保護部材を積み重ねて廃棄する廃棄ユニットは、把持部が把持していた保護部材をゴミ箱の開口に向かって傾斜落下させる傾斜落下部と、開口の上で傾斜落下する保護部材を上から見た場合の進行方向に対し直交する方向において向かいあって配置される第1傾斜板と第2傾斜板と、を備え、第1傾斜板の下辺と第2傾斜板の下辺との間に保護部材が通過可能な隙間を備え、第1傾斜板の下辺と第2傾斜板の下辺との間の距離より第1傾斜板の上辺と第2傾斜板の上辺との間の距離が大きくなるように第1傾斜板と第2傾斜板とを傾斜させることで、保護部材の硬さが変わったり、又は保護部材の厚みが変わったりして保護部材を湾曲させるために必要な力が変わることがあったとしても、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間に進入することによって第1傾斜板及び第2傾斜板に接触した保護部材の中央がゴミ箱に向かって凸状に湾曲せしめられ、さらに傾斜落下している位置に応じて湾曲している部分を第1傾斜板及び第2傾斜板によって広げていく。即ち、従来の2本のパイプのみで保護部材をゴミ箱の開口に向かって凸状にさせていた剥離装置よりも、保護部材がゴミ箱の開口からより高い位置にある状態から第1傾斜板と第2傾斜板とによって保護部材がゴミ箱の開口に向かって凸状となるようにサポート可能となる。そして、凸状となった保護部材がゴミ箱の開口を通過して、ゴミ箱内をさらに落下しつつ自身の弾性によって水平姿勢になった後、ゴミ箱内に積み重ねられるため、ゴミ箱に保護部材を適切に積み重ねて十分な枚数を廃棄することが可能となる。
【0015】
本発明に係る剥離装置において、第1傾斜板、及び第2傾斜板は、その上面に形成された第1エア噴出口からエアを噴出することで、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間に進入することによって保護部材の中央がゴミ箱に向かって凸状に湾曲する際に、第1傾斜板及び第2傾斜板の上面と保護部材との間の摩擦をエアによって少なくすることができるため、保護部材がゴミ箱上でより抵抗なくゴミ箱に向かって凸状に湾曲することが可能となる。
【0016】
本発明に係る剥離装置は、第1傾斜板、及び第2傾斜板の下端側にそれぞれ配置し、エアを噴出する第2エア噴出口を有する2本の水平パイプを備えているため、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間に進入することによって保護部材の中央がゴミ箱に向かって凸状に湾曲する際に、第2エア噴出口から噴出したエアによって第1傾斜板の上面と第2傾斜板の上面とに下から上に向かう気流を生じさせることで、第1傾斜板及び第2傾斜板の上面と保護部材との間の摩擦をエアにより少なくすることができるため、より保護部材がゴミ箱上で抵抗なくゴミ箱に向かって凸状に湾曲することが可能となる。
【0017】
本発明に係る剥離装置においては、第1傾斜板の下端と第2傾斜板の下端との間隔は、傾斜落下部に近い側より傾斜落下部から遠い側に向かうにしたがって徐々に狭くしていることで、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間隔の狭まりにより速度が弱まりゴミ箱上で停止させることが可能となり、ゴミ箱上を通過してしまうことが防がれ、さらに、凸状に湾曲させてゴミ箱内に落下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】把持部で保護部材のはみ出し部を把持した状態を説明する断面図である。
【
図3】剥離ユニットによって把持部と保持ユニットとを相対的にすれ違うように移動させて保護部材をウェーハの外周側から中央に向かう方向に剥離し始めた状態を説明する断面図である。
【
図4】剥離ユニットによって把持部と保持ユニットとを相対的にすれ違うように移動させてウェーハからの保護部材の剥離を進行させた状態を説明する断面図である。
【
図5】剥離ユニットによって把持部と保持ユニットとを相対的にすれ違うように移動させて保護部材をウェーハから剥離し終えた状態を説明する断面図である。
【
図6】
図6(A)は、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間に進入しその中央がゴミ箱に向かって凸状に湾曲し、ゴミ箱の開口を通過してさらに落下しつつ水平姿勢になった後、ゴミ箱内で積み重ねられる状態を説明する断面図である。
図6(B)は、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間に進入しその中央がゴミ箱に向かって凸状に湾曲し、ゴミ箱の開口を通過してさらに落下しつつ水平姿勢になった後、ゴミ箱内で積み重ねられる状態を説明する平面図の一例である。
【
図7】
図7(A)は、第1傾斜板の下端と第2傾斜板の下端との間隔が傾斜落下部に近い側より傾斜落下部から遠い側に向かうにしたがって徐々に狭くなっている場合に、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間に進入しその中央がゴミ箱に向かって凸状に湾曲し、ゴミ箱の開口を通過してさらに落下しつつ水平姿勢になった後、ゴミ箱内で積み重ねられる状態を側方から説明する断面図の一例である。
図7(B)は、第1傾斜板の下端と第2傾斜板の下端との間隔が傾斜落下部に近い側より傾斜落下部から遠い側に向かうにしたがって徐々に狭くなっている場合に、傾斜落下した保護部材が、第1傾斜板と第2傾斜板との間に進入しその中央がゴミ箱に向かって凸状に湾曲し、ゴミ箱の開口を通過してさらに落下しつつ水平姿勢になった後、ゴミ箱内で積み重ねられる状態を側方から説明する平面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す剥離装置1は、シート状の保護部材91をアズスライスウェーハ等のウェーハ90から剥離する装置である。
図1、
図2に示す保護部材91は、ウェーハ90よりも大径、即ち広い面積に形成され、ウェーハ90の一方の面900(
図2参照)に樹脂層92を介してシート93が固着されて形成されている。シート93は、例えばポリオレフィン系樹脂からなるシートであり、樹脂層92は例えば紫外線の照射により硬化された樹脂層である。
図2に示すように、樹脂層92は、ウェーハ90の一方の面900全面、及びウェーハ90の外周面の一部を覆っている。また、シート93は、ウェーハ90の外周よりも外側にはみ出したはみ出し部930を備えている。
【0020】
図1に示す剥離装置1のベース10上の後方側(-X方向側)には、コラム11が立設されており、コラム11の+X方向側の前面の上部には、モータ122によりボールネジ120を回動させることで、一対のガイドレール123上を可動板121を摺動させて、可動板121に配設された保持ユニット2をY軸方向に往復移動させる保持ユニット移動機構12が配設されている。
【0021】
可動板121には、Z軸方向に保持ユニット2を往復移動させる保持ユニット上下動機構13が配設されている。保持ユニット上下動機構13は、モータ132によりボールネジ130を回動させることで、Z軸方向(鉛直方向)に延びる一対のガイドレール133上を摺動する可動板131に配設された保持ユニット2を、Z軸方向に往復移動させる。
【0022】
図2に示す保護部材91を形成したウェーハ90の一方の面900の反対面である他方の面903を吸引保持する保持ユニット2は、
図1に示す可動板131上に根元側の一端が固定されたアーム部20と、アーム部20の+X方向側の先端の下面に配設されウェーハ90を吸引保持することができる保持パッド21とを備えている。
図2に示すように、保持パッド21は、ポーラス板等からなり図示しない吸引源に連通する吸着部210と、吸着部210を支持する枠体211とを備え、吸着部210の露出面であり枠体211の下面と面一の保持面213でウェーハ90の他方の面903を吸引保持する。
【0023】
図1に示すコラム11の+X方向側前面の中間部、即ち、保持パッド21の移動経路の下方には、上から順に、X軸方向の軸心を有する回転ローラ18と、保持ユニット2が保持したウェーハ90に貼着された保護部材91の外周縁であるはみ出し部930を把持する把持部40、及び把持部40を保持ユニット2の保持面213に平行にY軸方向に移動させることでウェーハ90の外周から中央に向かう方向に把持部40と保持ユニット2とを相対的にすれ違うように移動させる移動ユニット42と、が配設されている。そして、該把持部40と該移動ユニット42とによって、保持ユニット2に保持されたウェーハ90に形成された保護部材91を剥離する剥離ユニット4が構成される。
【0024】
移動ユニット42は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ420と、ボールネジ420と平行に配設された一対のガイドレール421と、ボールネジ420を回動させるモータ422と、内部のナットがボールネジ420に螺合し側部がガイドレール421に摺接する可動ブロック423とから構成される。そして、モータ422がボールネジ420を回動させると、これに伴い可動ブロック423がガイドレール421にガイドされてY軸方向に移動し、可動ブロック423に配設された把持部40が可動ブロック423の移動に伴いY軸方向に移動する。
【0025】
把持部40は、軸方向がX軸方向であるスピンドル400と、スピンドル400を回転可能に支持するハウジング401と、スピンドル400の+X方向側の先端に配設された把持クランプ402とを備えている。把持クランプ402は、互いが接近及び離間可能な一対の把持板の間に把持対象を挟み込むことができ、スピンドル400が回転することで、把持対象に対する角度を変えることができる。なお、例えば、把持部40は、可動ブロック423の前面を上下方向に移動可能となっていてもよい。
【0026】
回転ローラ18は、例えば、図示しないモータによりX軸方向の軸心を軸として回転する。回転ローラ18は、保護部材91に当接することにより、例えば、保護部材91の剥離の際に起き得る
図2に示す樹脂層92の折れを防止する役割を果たす。なお、回転ローラ18は、Y軸方向に移動可能であってもよい。
【0027】
ベース10上には、剥離された保護部材91を収容するゴミ箱7が配設されている。ゴミ箱7は、例えば、外形が略直方体状に形成されており、後述する廃棄ユニット5の第1傾斜板51と第2傾斜板52の下方に、上面に形成された開口700が位置している。
図1に示すように、ゴミ箱7の上部には、例えば、一対の発光部790(-Y方向側)と受光部791(+Y方向側)とを備える透過型の光センサ79が配設されている。ウェーハ90から剥離された保護部材91が、廃棄ユニット5によりゴミ箱7内に落とされていき、ゴミ箱7内に保護部材91が所定の高さまで積み上がり、発光部790と受光部791との間の検査光が保護部材91により遮られ受光部791の受光量が減少することで、光センサ79はゴミ箱7内が保護部材91で満たされたことを検出する。
【0028】
剥離装置1は、ゴミ箱7の中に保護部材91を積み重ねて廃棄する廃棄ユニット5を備えている。そして、廃棄ユニット5は、把持部40が把持していた保護部材91をゴミ箱7の開口700に向かって傾斜落下させる傾斜落下部50と、開口700の上で傾斜落下する保護部材91を上方(+Z方向側)から見た場合の進行方向(-Y方向)に対し直交する方向(X軸方向)において向かいあって配置される第1傾斜板51と第2傾斜板52と、を備えている。
【0029】
傾斜落下部50は、例えば、ゴミ箱7の後上方において、把持部40及び保持ユニット2の保持パッド21の移動経路下方に設けられており、前方に向かうにつれて下方に傾斜する一対のガイドレール501、ガイドレール502を備えている。
【0030】
一対のガイドレール501、ガイドレール502は、例えば円形断面を有する棒状に形成され、保護部材91の外径と略同一の長さを有している。例えば、一対のガイドレール501、ガイドレール502の先端部分は、ゴミ箱7の後方側(+Y方向側)の一辺の上方に位置している。また、一対のガイドレール501、ガイドレール502は、ゴミ箱7のX軸方向における中心線を挟んで対称に、保護部材91の直径より十分に小さい間隔で平行に配置されている。
なお、一対のガイドレール501、ガイドレール502は棒状ではなく板状であってもよいし、傾斜落下部50が傾斜する一枚板で形成されていてもよい。
【0031】
図1、及び
図6(A)、(B)に示す第1傾斜板51(第2傾斜板52)は、例えば、平面視矩形に形成されており、ゴミ箱7の開口700の上方のY軸方向の一端から他端までを跨ぐように延在している。第1傾斜板51(第2傾斜板52)は、例えば、ゴミ箱7の開口700のX軸方向における中央の領域に下辺側が位置づけされており、第1傾斜板51の下辺と第2傾斜板52の下辺との間に保護部材91が通過可能な所定幅の隙間57が形成されている。そして、隙間57の下方には平面視矩形状となった開口700が位置している。
【0032】
図6(B)の第1傾斜板51の下辺と第2傾斜板52の下辺との間の距離D1より第1傾斜板51の上辺と第2傾斜板52の上辺との間の距離D2が大きくなるように第1傾斜板51と第2傾斜板52とが傾斜している。即ち、第1傾斜板51と第2傾斜板52との間の空間が+Z方向に向かうにつれて徐々に広くなっている。
【0033】
本実施形態の剥離装置1は、例えば、
図1、
図6(A)、(B)に示すように、第1傾斜板51及び第2傾斜板52の下端側にそれぞれ配置され、エアを噴出する第2エア噴出口63を有する2本の水平パイプ61、水平パイプ62を備えている。
【0034】
2本の水平パイプ61、水平パイプ62は、ゴミ箱7の開口700の上方のY軸方向の端から端までを跨ぐように水平に延びており、例えば円形断面を有する棒状に形成され、保護部材91の外径より大きい長さで延在している。水平パイプ61及び水平パイプ62の一端(後端)は、ゴミ箱7のY軸方向後方側における一辺の上端部分に固定され、他端(先端)がゴミ箱7のY軸方向前方側における一辺の上端部分に固定されている。また、本実施形態においては、水平パイプ61の外周面に第1傾斜板51の下辺が接続されており、水平パイプ62の外周面に第2傾斜板52の下辺が接続されている。なお、剥離装置1が水平パイプ61、及び水平パイプ62を備えていない場合等においては、第1傾斜板51及び第2傾斜板52はゴミ箱7の側板上面に直に接続されていてもよい。
【0035】
また、水平パイプ61及び水平パイプ62は、保護部材91の外径より小さい間隔で、ゴミ箱7のX軸方向における中心線を挟んで対称に配置されており、例えば、Y軸方向に平行に延在している。第1傾斜板51の下辺と第2傾斜板52の下辺との間の隙間57は、水平パイプ61と水平パイプ62との間の隙間でもあり、該隙間57を通り保護部材91はゴミ箱7内に落下する。
【0036】
上方にエアを噴出する第2エア噴出口63は、例えば、水平パイプ61、及び水平パイプ62の上面側に複数長手方向に整列して設けられている。第2エア噴出口63は、丸穴状に形成されているが、細幅のスリット状に形成されていてもよいし、または、2本の水平パイプ61、水平パイプ62の上面側において略端から略端まで一本の連続的に延びるスリット状に第2エア噴出口63は形成されていてもよい。そして、各第2エア噴出口63には、図示しないコンプレッサー等で構成されるエア供給源が連通している。第2エア噴出口63から噴出したエアは、第1傾斜板51の上面511(第2傾斜板52の上面523)に沿って上方に流れていく。
また、第2エア噴出口63から噴出させるエア量を多くして、一対のガイドレール501、ガイドレール502でガイドされ第1傾斜板51と第2傾斜板52との間に保護部材91が進入する部分を大きく形成して、保護部材91を湾曲しやすくしてもよい。
【0037】
例えば、第1傾斜板51(第2傾斜板52)は、傾斜面となっている上面511(上面523)に上面511(上面523)からエアを噴出する第1エア噴出口512(第1エア噴出口524)を備えている。第1エア噴出口512(第1エア噴出口524)は、上面511(上面523)に例えば縦横に複数整列して開口している。
図6(B)に示す例において、第1エア噴出口512(第1エア噴出口524)は、丸穴状に形成されているが、細幅のスリット状に形成されていてもよいし、または、第1傾斜板51(第2傾斜板52)の上面511(上面523)においてY軸方向における略端から略端まで一本の連続的に延びるスリット状に第1エア噴出口512(第1エア噴出口524)は形成されていてもよい。第1エア噴出口512(第1エア噴出口524)は、例えば、第1傾斜板51(第2傾斜板52)の内部で1つの流路に合流した後、該流路に継手等や樹脂チューブ等を介して図示しないコンプレッサー等で構成されるエア供給源と連通している。
なお、第1エア噴出口512は第2エア噴出口63と同じくらいの大きさで形成されているとよい。
【0038】
以下に、
図1に示す剥離装置1によりウェーハ90から保護部材91を剥離して廃棄する場合の剥離装置1の動作について説明する。
まず、
図1に示すように、研削後のウェーハ90が、すでに研削された面である他方の面903が上側になるように、剥離装置1の図示しない受け渡しテーブル上に載置される。保持ユニット移動機構12により保持ユニット2がY軸方向に移動し、
図2に示すように、保持パッド21の保持面213の中心がウェーハ90の他方の面903の中心に略合致するように、ウェーハ90の上方に位置付けられる。さらに、保持ユニット2が保持ユニット上下動機構13によって降下して保持面213をウェーハ90の他方の面903に接触させ、吸引力が伝達された保持面213によって、保護部材91を下方に向けたウェーハ90の他方の面903が吸引保持される。
【0039】
図2に示すように、ウェーハ90を吸引保持した保持ユニット2が、保持ユニット移動機構12によって回転ローラ18の上方に位置するまでY軸方向に移動する。さらに、保持ユニット2が下降して、保護部材91のシート93の下面の+Y方向側の外周部付近に回転ローラ18の側面を当接させる。また、把持部40が、移動ユニット42によって-Y方向に移動し、把持クランプ402がはみ出し部930を把持する。
【0040】
例えば、把持クランプ402がはみ出し部930を把持した後、
図2に示すようにはみ出し部930が+X方向側から見て時計回り方向に90度回転することで、回転ローラ18が保護部材91の下面側を支持した状態で、保護部材91の樹脂層92が回転ローラ18の側面にならって緩やかに曲げられつつ、保護部材91が-Z方向に向かって把持クランプ402により引っ張られることにより、ウェーハ90の一方の面900から保護部材91の一部が剥離される。即ち、保護部材91は、
図3に示すように回転ローラ18に当接しながら略直角に屈曲される。
【0041】
次いで、
図1に示した剥離ユニット4により、把持部40と保持ユニット2とを相対的にY軸方向にすれ違うように移動させて、ウェーハ90の外周から中心に向かって保護部材91を剥離する。即ち、
図3に示すように、移動ユニット42によって把持部40を-Y方向側に移動させるとともに、保持ユニット移動機構12(
図1参照)により保持ユニット2を+Y方向に移動させ、さらに、回転ローラ18がX軸方向の軸心を軸に回転し、保護部材91の樹脂層92が回転ローラ18の側面にならって緩やかに曲げられ急激な樹脂折れが抑制された状態を維持しつつ、ウェーハ90の+Y方向側の外周縁から-Y方向側に向かって保護部材91を剥離していく。なお、保持ユニット2、又は把持部40のいずれか一方を停止させた状態で、Y軸方向に移動するもう一方によって、ウェーハ90から保護部材91を剥離していってもよい。または、例えば、把持部40をY軸方向に移動させず下方に移動させ続け、保護部材91を直角に屈曲させた状態で剥離を進行させていってもよい。
【0042】
図4に示すように、把持部40がウェーハ90の-Y方向側の外周縁近くまで移動すると、把持部40が+X方向側からみて時計回り方向に90度回転することで、保護部材91の樹脂層92側が下に向けられた状態になる。さらに、剥離ユニット4によって把持部40、及び保持ユニット2をY軸方向に相対的に移動させることで、
図5に示すように、ウェーハ90から保護部材91が完全に剥離される。そして、把持部40によって把持されている保護部材91は、把持部40から下方に垂れ下がった状態になる。
【0043】
上記のように、保護部材91がウェーハ90から完全に剥離されると、
図6(A)に示すように、はみ出し部930を把持する把持部40は、移動ユニット42(
図1参照)によって傾斜落下部50の近傍に位置付けられ、保護部材91のシート93側が傾斜落下部50の一対のガイドレール501、ガイドレール502の傾斜面に当接される。これにより、保護部材91は、一対のガイドレール501、ガイドレール502に沿うようにしてZ軸方向に対して傾斜される。
【0044】
保護部材91が傾斜落下部50の一対のガイドレール501、ガイドレール502に沿った状態で、把持部40によるはみ出し部930の把持が解除される。保護部材91は、自重により一対のガイドレール501、ガイドレール502に沿って斜め下方に傾斜落下する。一対のガイドレール501、ガイドレール502の先端側でゴミ箱7の開口700上方となる位置にはX軸方向において対向する2枚の第1傾斜板51及び第2傾斜板52が位置しているため、第1傾斜板51の上面511及び第2傾斜板52の上面523にシート93が接触した保護部材91は、傾斜落下時の勢いにより、移動方向が斜め下方から水平方向(-Y方向)に徐々に変換されていく。
【0045】
また、第1傾斜板51の上面511及び第2傾斜板52の上面523に接触した保護部材91が、傾斜落下する際に、所定の角度で傾斜している第1傾斜板51の上面511及び第2傾斜板52の上面523に沿って、X軸方向における中央部分が自重によって落ち込み、-Y方向側から見た正面視U字状、即ち、ゴミ箱7に向かって凸状に湾曲される。
【0046】
本実施形態においては、例えば、第1傾斜板51の上面511の第1エア噴出口512及び第2傾斜板52の上面523の第1エア噴出口524からエアを噴出させることで、第1傾斜板51の上面511と保護部材91との間に働く摩擦、及び第2傾斜板52の上面523と保護部材91との間に働く摩擦が間に流れるエアで低減されるため、保護部材91がゴミ箱7に向かって凸状により湾曲されやすくなる。
【0047】
本実施形態においては、例えば、
図6(A)、(B)に示す水平パイプ61の第2エア噴出口63、及び水平パイプ62の第2エア噴出口63からエアを噴出させることで、該エアが第1傾斜板51の上面511及び第2傾斜板52の上面523に沿って上方に流れていくため、第1傾斜板51の上面511と保護部材91との間に働く摩擦、及び第2傾斜板52の上面523と保護部材91との間に働く摩擦が間を流れるエアによって低減されるため、保護部材91がゴミ箱7に向かって凸状により湾曲されやすくなる。また、上面511及び上面523に沿って上方に流れていくエアによって、保護部材91の外周部分が噴き上げられることによって、保護部材91のゴミ箱7に向かって凸状になる湾曲がさらに促される。
なお、第1傾斜板51の上面511の第1エア噴出口512、及び第2傾斜板52の上面523の第1エア噴出口524からエアを噴出させつつ、水平パイプ61及び水平パイプ62の第2エア噴出口63からエアを噴出させてもよい。
【0048】
図6(A)、(B)に示すように、第1傾斜板51上及び第2傾斜板52上に全体が載った保護部材91は、ゴミ箱7の開口700に向かってX軸方向における中央が凸状に湾曲しつつ落下する。そして、第1傾斜板51の下辺と第2傾斜板52の下辺との間の隙間57、即ち、第1傾斜板51の下辺と接続されている水平パイプ61及び第2傾斜板52の下辺と接続されている水平パイプ62との間のゴミ箱7の開口700を通過する。そして、ゴミ箱7内において落下しつつ、弾性によってX軸方向における中央の凸状を元の水平形状、即ち、ゴミ箱7の平坦な底面に平行な水平姿勢に徐々に戻していく。その結果、複数の保護部材91を水平姿勢でゴミ箱7内に積層することができる。
【0049】
上記のように、ウェーハ90の一方の面900に形成されたシート状の保護部材91をウェーハ90から剥離して上面に開口700を備えるゴミ箱7の中に積み重ねて廃棄する本発明に係る剥離装置1においては、ゴミ箱7の中に保護部材91を積み重ねて廃棄する廃棄ユニット5は、把持部40が把持していた保護部材91をゴミ箱7の開口700に向かって傾斜落下させる傾斜落下部50と、開口700の上で傾斜落下する保護部材91を上から見た場合の進行方向に対し直交する方向において向かいあって配置される第1傾斜板51と第2傾斜板52と、を備え、第1傾斜板51の下辺と第2傾斜板52の下辺との間に保護部材91が通過可能な隙間57を備え、第1傾斜板51の下辺と第2傾斜板52の下辺との間の距離より第1傾斜板51の上辺と第2傾斜板52の上辺との間の距離が大きくなるように第1傾斜板51と第2傾斜板52とを傾斜させることで、保護部材91の硬さが変わったり、又は保護部材91の厚みが変わったりして、保護部材91を湾曲させるために必要な力が変わることがあったとしても、傾斜落下した保護部材91が、第1傾斜板51と第2傾斜板52との間に進入することによって第1傾斜板51及び第2傾斜板52に接触した保護部材91の中央がゴミ箱7に向かって凸状に湾曲せしめられ、さらに傾斜落下している位置に応じて湾曲している部分を第1傾斜板51及び第2傾斜板52によって広くしていく。即ち、従来のゴミ箱上の2本のパイプのみで保護部材91をゴミ箱の開口に向かって凸状にさせていた剥離装置よりも、保護部材91が開口700からより高い位置にある状態から第1傾斜板51と第2傾斜板52とによって保護部材91をゴミ箱7の開口700に向かって凸状となるようにサポート可能となる。そして、凸状となった保護部材91がゴミ箱7の開口700を通過して、ゴミ箱7内をさらに落下しつつ自身の弾性によって水平姿勢になった後、ゴミ箱7内に積み重ねられるため、ゴミ箱7に保護部材91を適切に積み重ねて十分な枚数を廃棄することが可能となる。
【0050】
なお、本発明に係る剥離装置1は上記実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている剥離装置1の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【0051】
例えば
図1、
図6(A)、(B)に示す傾斜落下部50の一対のガイドレール501、ガイドレール502にエアを噴射する噴射孔を形成して、保護部材91をガイドレール501、ガイドレール502に沿って落下しやすくしてもよい。
また、例えば、第1傾斜板51の上面511の第1エア噴出口512、及び第2傾斜板52の上面523の第1エア噴出口524の径の大きさ、又は水平パイプ61及び水平パイプ62の第2エア噴出口63の径の大きさを、傾斜落下部50から遠くなるほど大きくするようにして、傾斜落下部50から遠くなるほど徐々に強まるエアによって保護部材91がゴミ箱7を通過することが無いように停止させてもよい。
【0052】
例えば、第1傾斜板51の下端と第2傾斜板52の下端との間隔は、傾斜落下部50に近い+Y方向側より傾斜落下部50から遠い-Y方向側に向かうにしたがって徐々に狭く設定されていてもよい。即ち、例えば、
図7(B)に示すように、第1傾斜板51の下辺が接続されている水平パイプ61及び第2傾斜板52の下辺が接続されている水平パイプ62は、後端側(傾斜落下部50に近い+Y方向側)の間隔D4より先端側(傾斜落下部50から遠い-Y方向側)の間隔D5が小さくなるように配置される。
【0053】
図7(A)に示すように、保護部材91が傾斜落下部50の一対のガイドレール501、ガイドレール502に沿わされた状態で、保護部材91を把持していた把持部40によるはみ出し部930の把持が解除され、保護部材91は、自重により一対のガイドレール501、ガイドレール502に沿って斜め下方に傾斜落下する。一対のガイドレール501、ガイドレール502の先端側にはX軸方向において対向する2枚の第1傾斜板51及び第2傾斜板52が位置しているため、第1傾斜板51の上面511及び第2傾斜板52の上面523にシート93が接触した保護部材91は、傾斜落下時の勢いにより、移動方向が斜め下方から水平方向に徐々に変換されていく。
【0054】
また、第1傾斜板51の上面511及び第2傾斜板52の上面523に接触した保護部材91が、傾斜落下する際に所定の角度で傾斜している第1傾斜板51の上面511及び第2傾斜板52の上面523に沿って、X軸方向における中央部分が自重で落ち込みゴミ箱7に向かって凸状に湾曲される。なお、第1傾斜板51の上面511の第1エア噴出口512及び第2傾斜板52の上面523の第1エア噴出口524からエアを噴出させて、エアによって保護部材91と上面511及び上面523との摩擦を低減させてもよい。また、
図7(A)、(B)に示す水平パイプ61及び水平パイプ62のそれぞれの第2エア噴出口63からエアを噴出させて、エアによって保護部材91と上面511及び上面523との摩擦を低減させてもよい。
【0055】
そして、第1傾斜板51の下端と第2傾斜板52の下端との間隔が、傾斜落下部50に近い側より傾斜落下部50から遠い側に向かうにしたがって徐々に狭くされていることで、第1傾斜板51と第2傾斜板52との間の該狭まりにより保護部材91の水平面における進行方向(-Y方向)の速度が弱まり、保護部材91がゴミ箱7上を通過してしまうことが防がれ、さらに、保護部材91を凸状に湾曲させてゴミ箱7内に落下させることが可能となる。
【0056】
ゴミ箱7に向かって凸状に湾曲しつつ落下する保護部材91は、第1傾斜板51の下端と第2傾斜板52の下端との間隔が傾斜落下部50に近い側より傾斜落下部50から遠い側に向かうにしたがって徐々に狭くしていることで、上側から保護部材91を見た場合の進行方向における後側(+Y方向側)が先に水平パイプ61及び水平パイプ62の間の開口700の下方に落ち込んだら、次いで先側(-Y方向側)が2本の水平パイプ61、水平パイプ62の間の開口700の下方に落ち込む。そして、保護部材91はゴミ箱7内において弾性によって凸状を元の水平形状に徐々に戻しつつゴミ箱7内を落下していくため、複数の保護部材91を水平姿勢でゴミ箱7内に積層することが可能である。
なお、一対のガイドレール501、ガイドレール502の距離は
図6(B)に示す距離D1または
図7(B)に示す距離D4と同じ距離で離間していてもよい。また、一対のガイドレールでは無く一枚の傾斜板で保護部材91をゴミ箱7上方までガイドしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
90:ウェーハ 900:一方の面 91:保護部材 92:樹脂層 93:シート
930:はみ出し部
1:剥離装置 10:ベース 11:コラム 18:回転ローラ
40:把持部 400:スピンドル 402:把持クランプ
42:移動ユニット 420:ボールネジ 422:モータ 423:可動ブロック
12:保持ユニット移動機構 120:ボールネジ 121:可動板 122:モータ
13:保持ユニット上下動機構
2:保持ユニット 20:アーム部 21:保持パッド 210:吸着部 211:枠体
213:保持面 7:ゴミ箱 79:光センサ
5:廃棄ユニット 50:傾斜落下部 501、502:一対のガイドレール
51:第1傾斜板 512:第1エア噴出口
52:第2傾斜板 524:第2エア噴出口
61、62:水平パイプ 63:第2エア噴出口