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特開2022-125017流れ制御リングを有する基板処理装置、および基板処理方法
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  • 特開-流れ制御リングを有する基板処理装置、および基板処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125017
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】流れ制御リングを有する基板処理装置、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220819BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220819BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220819BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
C23C16/44 J
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022019545
(22)【出願日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/150,082
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 直人
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030FA01
4K030GA02
4K030KA45
4K030LA15
5F004AA14
5F004BA04
5F004BB18
5F004BB28
5F004BD04
5F045AA08
5F045AA15
5F045BB15
5F045DP03
5F045EE19
5F045EE20
5F045EF05
5F045EF15
5F045EH14
(57)【要約】
【課題】流れ制御リングを有する基板処理装置、および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置の実施例は、チャンバーと、当該チャンバー内に設けられたサセプタと、当該サセプタの上方に設けられたシャワーヘッドと、当該サセプタを囲む形状を有する流れ制御リングであって、当該流れ制御リングが第一の上面および第二の上面を有し、当該第二の上面が環状形状を有し、かつ当該第二の上面が当該第一の上面よりも高い位置で、当該第一の上面よりも当該流れ制御リングの内縁により近く設けられていて、当該第二の上面が傾斜面であり、当該傾斜面の高さが当該第一の上面に向かって減少している、流れ制御リングとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
チャンバーと、
前記チャンバー内に設けられたサセプタと、
前記サセプタの上方に設けられたシャワーヘッドと、
前記サセプタを囲む形状を有する流れ制御リングであって、前記流れ制御リングが第一の上面および第二の上面を有し、前記第二の上面が環状形状を有し、かつ前記第二の上面が前記第一の上面よりも高い位置で、前記第一の上面よりも前記流れ制御リングの内縁により近く設けられていて、前記第二の上面が傾斜面であり、前記傾斜面の高さが前記第一の上面に向かって減少している、流れ制御リングと、を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記第二の上面が平坦面である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第二の上面が曲面である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第一の上面および前記第二の上面が高低差なく接続されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記サセプタの上面の高さと、前記第二の上面の最も高い部分の高さとが、ほぼ同じである、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
平面図における環状構成で前記流れ制御リングの上方に設けられた排出ダクトをさらに備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記サセプタの前記上面の外縁を含む環状部分が勾配面であり、前記勾配面の高さが前記外縁に向かって減少している、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記勾配面が平坦面または曲面である、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記シャワーヘッドが前記サセプタの上方にスリットを有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板処理方法であって、
サセプタの上面の高さと、前記サセプタを囲んでいる流れ制御リングの上面の傾斜面の最も高い部分の高さとを互いにほぼ一致させることであって、前記傾斜面が前記流れ制御リングの内縁により近く設けられている、一致させることと、
処理空間にガスを供給することによって、前記サセプタ上の基板に処理を受けさせることであって、前記処理空間が前記サセプタと、前記サセプタの上方に設けられたシャワーヘッドとの間の空間である、受けさせることと、
前記処理空間内の前記ガスを、平面図において放射状に流れさせて、前記流れ制御リングによって排出ダクトに導かれるようにすることと、を含む、方法。
【請求項11】
顕著な渦の形成が、前記サセプタと前記流れ制御リングの間の境界の付近で低減される、請求項10に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
流れ制御リングを有する基板処理装置に関する実施例が記載されている。
【背景技術】
【0002】
プラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)において、例えば流れ制御リング(FCR)が使用される。FCRは、サセプタを囲むように設けられたリングである。サセプタ上の基板の処理に使用されるガスは、FCRによって排出ダクトに導かれる。プロセス中にサセプタとFCRの間の高低差に一定の渦がある場合、粒子は捕捉されることができ、次いでプロセスが終了した後に周囲の表面に堆積されることができる。例えば、粒子はチャンバーの内壁、サセプタ、FCR、排出ダクト、またはシャワーヘッドに堆積される。こうした粒子は、ゲート弁が開いている時にかき混ぜられることができ、ウエハ上に堆積されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書に記載の一部の実施例は、上記の問題に対処しうる。本明細書に記載の一部の実施例は、基板の汚染を低減することができる基板処理装置および基板処理方法を提供しうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一部の実施例において、基板処理装置は、チャンバーと、当該チャンバー内に設けられたサセプタと、当該サセプタの上方に設けられたシャワーヘッドと、当該サセプタを囲む形状を有する流れ制御リングであって、当該流れ制御リングが第一の上面および第二の上面を有し、当該第二の上面が環状形状を有し、かつ当該第二の上面が当該第一の上面よりも高い位置で、当該第一の上面よりも当該流れ制御リングの内縁により近く設けられていて、当該第二の上面が傾斜面であり、当該傾斜面の高さが当該第一の上面に向かって減少している、流れ制御リングとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、基板処理装置の構成の一実施例を示す断面図である。
図2図2は、図1に示す、FCRおよび他の構成要素の拡大図である。
図3図3は、FCRの第一の上面および第二の上面の平面図である。
図4図4は、ガス流のシミュレーション結果を示す図である。
図5図5は、一比較実施例による基板処理装置についてのシミュレーション結果を示す図である。
図6図6は、4つの異なるレシピによる基板処理における粒子発生を示す表である。
図7図7は、別の実施例を示す部分断面図である。
図8図8は、別の実施例を示す部分断面図である。
図9図9は、別の実施例を示す部分断面図である。
図10図10は、別の実施例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
基板処理装置および基板処理方法は、図面を参照して説明される。同じまたは対応する構成要素は、同じ参照番号によって示され、その冗長な説明は省略される場合がある。
【0007】
図1は、一実施形態による基板処理装置10の構成の一実施例を示す断面図である。一実施例において、基板処理装置10は、例えば基板上でPEALDを実行する膜堆積装置として構成されている。基板処理装置10は、チャンバー(反応器チャンバー)12を含む。チャンバー12内には、RF電力が印加されるシャワーヘッド14が設けられている。ガスが通過できる穴14aが、シャワーヘッド14内に形成されている。
【0008】
チャンバー12内には、サセプタ16がシャワーヘッド14に向かい合うように設けられている。サセプタ16は摺動軸18によって支持されている。一実施例において、摺動軸18およびサセプタ16は、原動機19によって持ち上げられ、下ろされる。シャワーヘッド14およびサセプタ16は平行平板構造を形成する。シャワーヘッド14とサセプタ16の間のギャップである処理空間17の厚さは、サセプタ16を持ち上げる、および下ろすことによって調節される。
【0009】
ガス供給部22はシャワーヘッド14に接続されていて、それらの間には絶縁構成要素20が配置されている。ガス供給部22は、シャワーヘッド14とサセプタ16の間に原料ガスを供給するための部分である。上記の処理空間17は、サセプタ16上に定置された基板が、膜堆積または他の処理を受ける空間である。
【0010】
シャワーヘッド14とチャンバー12の間に、排出ダクト30が設けられている。排出ダクト30は、例えばセラミックで作られている。排出ダクト30とシャワーヘッド14の間に、適切に圧縮されたOリング32が設けられている。排出ダクト30とチャンバー12の間に、適切に圧縮されたOリング34が設けられている。一実施例において、排出ダクト30は、平面図における環状構成で、流れ制御リング31の上方に設けられている。
【0011】
排出ダクト30は、平面図における環状構成で形成されていて、サセプタ16を囲んでいる。排出ダクト30は、サセプタ16の上方の処理空間17を囲む環状流路30bを提供する。処理空間17から環状流路30bにガスを導くために、流れ制御リング(FCR)31が設けられている。例えば、FCR31はチャンバー12上に定置されていて、Oリングはそれらの間に配置されている。FCR31および排出ダクト30はスリット30aを提供し、処理空間17に供給されたガスは、スリット30aを通して環状流路30bに導かれる。環状流路30b内のガスを外部に放出するために、排出ポート30cが排出ダクト30内に形成されている。
【0012】
排出ポート30cは、例えばチャンバー12の側面上に設けられたガス排出部40に接続されている。ガス排出部40は、基板処理に使用された原料ガスを放出するために設けられている。弁42および真空ポンプ44はガス排出部40に接続されている。チャンバー12内の圧力は、弁42および真空ポンプ44で排出ガスの量を調節することによって調節されることができる。
【0013】
図2は、図1に示すFCR31および他の構成要素の拡大図である。FCR31は、第一の上面31aおよび第二の上面31bを含む。一実施例において、第一の上面31aは平坦面であり、第二の上面31bは傾斜面である。第二の上面31bは、第一の上面31aよりも高い位置にある面である。図2に示す実施例において、第二の上面31bは傾斜面であり、当該傾斜面の高さは第一の上面31aに向かって減少している。言い換えれば、第二の上面31bの高さは、サセプタ16に向かって増大している。図2に示す実施例において、第二の上面31bは平坦面である。
【0014】
図3は、FCR31の第一の上面および第二の上面の平面図である。FCR31はサセプタ16を囲んでいる。第二の上面31bは、第一の上面31aよりも、FCR31の内縁により近く位置する環状面である。
【0015】
上記の基板処理装置を使用する基板処理方法を説明する。最初に、原動機19が起動されて、サセプタ16が持ち上げられ、または下ろされ、それによってサセプタ16の上面と、FCR31の第二の上面31bの最も高い部分とを互いに整列させる。このようにして、サセプタ16の上面とFCR31の上面との間の高低差が解消または低減される。
【0016】
次いで、サセプタ16上の基板は、サセプタの上方のシャワーヘッド14のスリット14aを通して処理空間17にガスを供給することによって、および同時にシャワーヘッド14に高周波電力を印加することによって、処理を受ける。処理は、例えば膜堆積、エッチング、または膜の質を改善するためのプラズマ処理である。
【0017】
基板処理において、処理空間17内のガスは、平面図において放射状に流れて、流れ制御リング31によって排出ダクト30に導かれる。サセプタ16の上面とFCR31の上面との間の高低差が解消または低減されるため、顕著な渦の形成はサセプタ16とFCR31の間の境界の付近で低減される。
【0018】
図4は、ガスの流れのシミュレーション結果を示す図である。第二の上面31bを設けることの結果として、サセプタ16の上方のガスは、高低差を越えることなく、FCR31の上方に流れる。このようにして、顕著な渦の形成は、サセプタ16とFCR31の間の境界の付近で低減される。
【0019】
図5は、一比較実施例による基板処理装置についてのシミュレーション結果を示す図である。この比較実施例におけるFCR31の構成は、サセプタ16により近く設けられた第一の上面31aよりも高い位置に面がないという点で、この実施形態による基板処理装置のFCR31の構成と異なる。図5に示す実施例において、図面における矢印によって示される通り、第一の上面31aとサセプタ16の間に、第一の上面31aよりも低い位置に面がある。従って、サセプタ16の上面とFCR31の上面との間に高低差がある。基板処理において、高低差にてガス中に渦が発生する。渦は粒子を捕捉し、当該粒子はチャンバーの内部の汚染を引き起こす。一実施例において、上記の渦は、シャワーヘッド14とサセプタ16の間のギャップが10.5mm未満である場合に発生する可能性が高い。
【0020】
図4および図5に示すシミュレーションは、サセプタとFCRの間のギャップにて上向きにシールガスを流すことによって実行される。シールガスは、プロセスガスがサセプタとFCRの間のギャップを介してサセプタより下に流れることを防止するために供給されるガスである。シールガスは例えばHeである。
【0021】
図6は、4つの異なるレシピR1~R4による基板処理における粒子発生を示す表である。シャワーヘッドとサセプタの間のギャップは、レシピR1およびR3において7.5mmと狭く、その一方でギャップは、レシピR2およびR4において10.5mmと幅広い。図6において、「R1」および「R3」の上に示された「粒子」は、これらの条件の下で顕著な粒子が発生することを示す。粒子発生は、図6の下部に示すウエハマップに示されている。この実験結果は、シャワーヘッドとサセプタの間のギャップが小さい場合に、粒子の問題が生じる可能性が高いことを示す。顕著な粒子の存在または不在は、シャワーヘッドとサセプタの間のギャップのサイズだけでなく、ガス流量などの他の様々な要因にも依存する。しかしながら一般的に、ギャップが減少するにつれて、粒子は発生する可能性がより高くなる。しかしながら、ギャップがそのように小さくても、サセプタ16の上面とFCR31の上面との間の高低差を低減することによって、問題を抑制することができる。
【0022】
図7は、基板処理装置の別の実施例を示す部分断面図である。この実施例において、基板処理において、サセプタ16の上面の高さは、第二の上面31cの最も高い部分の高さと同じではない。この実施例において、サセプタ16の上面は、第二の上面31cの最も高い部分よりも高い。しかしながら、FCR31は第二の上面31cを有するため、サセプタとFCRの間の高低差は、FCR31が第二の上面31cを有しない場合よりも小さく、その結果、サセプタとFCRの間のギャップの付近での渦の発生を低減されることができる。
【0023】
図8は、基板処理装置の別の実施例を示す部分断面図である。FCR31の第二の上面31dは曲面である。曲面は、サセプタ16の上方からFCR31の上方にガスが流れる時に生じる、基板処理に使用されるガスの摩擦を低減することができる。曲がった形状を有する第二の上面31dは、渦の発生を低減することに寄与する。
【0024】
上記のすべての実施例において、FCRの第一の上面と第二の上面の間での渦の発生は、第一の上面と第二の上面とを高低差なく接続することによって低減されることができる。
【0025】
図9は、基板処理装置の別の実施例を示す部分断面図である。この実施例において、サセプタ16の上面は、サセプタ16の上面の中央部分を形成する中央上面16aと、サセプタ16の上面の周囲部分を形成する周囲上面16bとを含む。周囲上面16bは、サセプタ16の外縁を含む環状部分である。周囲上面16bは勾配面であり、当該勾配面の高さは、サセプタの外縁に向かって減少している。
【0026】
FCR31は第一の上面31aおよび第二の上面31eを有する。この実施例において、第一の上面31aの高さと第二の上面31eの高さは同じである。
【0027】
図9に示す通り、基板は、周囲上面16bの最も外側の部分の高さと、FCR31の上面の高さとがほぼ同じである状態で、処理を受ける。従って、ガスは、サセプタ16およびFCR31の上を流れ、サセプタ16とFCR31の間には高低差がなく、その結果、サセプタ16とFCR31の間のギャップの付近での渦の発生を低減することができる。
【0028】
図10は、基板処理装置の別の実施例を示す部分断面図である。この実施例において、サセプタは周囲上面16bを有し、FCR31は第二の上面31fを有する。周囲上面16bおよび第二の上面31fは、高低差なく接続されていて、従って、サセプタ16とFCR31の間のギャップの付近での渦の発生を低減することができる。
【0029】
図9および図10に示す実施例において、サセプタは傾斜面を有する。サセプタだけでなくFCRも傾斜面を有する場合、渦の発生を低減する効果を増大させることができる。サセプタの傾斜面は平坦面または曲面であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】