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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125086
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20220819BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20220819BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20220819BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/50
H01L33/54
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100258
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2020027238の分割
【原出願日】2020-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】宮入 洋
(72)【発明者】
【氏名】勝本 善巳
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴行
(72)【発明者】
【氏名】程野 祥文
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 慎哉
(57)【要約】
【課題】壁の上面からの光漏れを抑制できる発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置100の製造方法は、基板110上に発光素子120を載置する工程と、発光素子120上に波長変換層130を配置する工程と、波長変換層130上に型部材170を配置する工程と、未硬化の光反射材140Fを、硬化後の光反射材140Fの上面が基板110から離れる方向に向かって凸または基板110の上面に平行となるように、波長変換層130及び型部材170を囲むように設ける工程と、光反射材140Fを硬化し、壁140を形成する工程と、型部材170を除去し、壁140に波長変換層130の上面の少なくとも一部を露出する中空の開口部140kを形成する工程と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に発光素子を載置する工程と、
前記発光素子上に波長変換層を配置する工程と、
前記波長変換層上に型部材を配置する工程と、
未硬化の光反射材を、硬化後の前記光反射材の上面が前記基板から離れる方向に向かって凸または前記基板の上面に平行となるように、前記波長変換層及び前記型部材を囲むように設ける工程と、
前記光反射材を硬化させた壁を形成する工程と、
前記型部材を除去し、前記壁に前記波長変換層の上面の少なくとも一部を露出する中空の開口部を形成する工程と、
を備える発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記光反射材は、第1部材と、第2部材と、を含み、
前記光反射材を設ける工程は、
前記波長変換層を囲むように前記第1部材を設ける工程と、
前記第1部材上及び前記第1部材の周囲に前記第2部材を設ける工程と、
を有し、
前記第1部材の粘度は、前記第2部材の粘度よりも高い請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記光反射材は、第3部材を更に含み、
前記光反射材を設ける工程は、前記第2部材上及び前記第2部材の周囲に前記第3部材を設ける工程をさらに有し、
前記第3部材の粘度は、前記第2部材の粘度よりも低い請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記型部材は、透光材料からなる請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記型部材は、板部材である請求項1~4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記型部材の表面には、離型剤が設けられている請求項1~5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記型部材の表面には、金めっきが設けられている請求項1~5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記波長変換層を配置する工程は、
前記発光素子上に、ポリシラザン及び複数の波長変換粒子を含むスラリー材をスプレーする工程と、
前記スラリー材がスプレーされた基体を加熱又は常温放置することにより、前記ポリシラザンをシリカに転化させて、前記波長変換粒子を前記シリカを含むガラス層で被覆すると共に、前記波長変換粒子間に空気層を形成する工程と、
を有する請求項1~7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記型部材を配置する工程において、前記型部材と前記波長変換層との間に接着剤を設け、前記型部材を前記波長変換層に仮接着する請求項1~8のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記接着剤は、水溶性であり、
前記型部材を除去する工程の後に、前記接着剤を水又は水溶液で溶かして除去する工程を更に備える請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記型部材を配置する工程は、
前記型部材と前記波長変換層との間に接着剤を設け、前記型部材を前記波長変換層に仮接着する工程と、
前記型部材を前記波長変換層から一時的に取り外す工程と、
前記型部材と前記波長変換層を再度仮接着する工程と、
を有する請求項9または10に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板と、基板上に設けられた発光素子と、発光素子上に設けられた波長変換層と、波長変換層を囲む光反射性材料を含む壁と、を備える発光装置が知られている。このような発光装置において、壁の中に光が伝搬し、壁の中に伝搬した光が壁の上面から漏れることを抑制したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-195758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、壁の上面からの光漏れを抑制できる発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に設けられ、第1光を出射する発光素子と、前記発光素子上に設けられ、前記第1光の一部を波長変換して第2光を出射する波長変換層と、光反射性材料を含み、前記波長変換層を囲むとともに前記波長変換層の上面の少なくとも一部を露出する開口部が設けられた壁と、を備え、前記壁の表面は、前記波長変換層の上面よりも高い位置に設けられた上面と、前記開口部を形成する内面と、を含み、前記壁は、前記波長変換層を囲む第1部分と、前記第1部分上及び前記第1部分の周囲に設けられた第2部分と、を有し、前記開口部内は中空であり、前記壁の前記上面と前記内面との間の角部の角度は、90度以上かつ180度未満である。
【0006】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、基板上に発光素子を載置する工程と、前記発光素子上に波長変換層を配置する工程と、前記波長変換層上に型部材を配置する工程と、未硬化の光反射材を、硬化後の前記光反射材の上面が前記基板から離れる方向に向かって凸または前記基板の上面に平行となるように、前記波長変換層及び前記型部材を囲むように設ける工程と、前記光反射材を硬化させた壁を形成する工程と、前記型部材を除去し、前記壁に前記波長変換層の上面の少なくとも一部を露出する中空の開口部を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、壁の上面からの光漏れを抑制できる発光装置及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る発光装置を示す上面図である。
図2図1のII-II線における端面図である。
図3図2における発光素子の一部及び波長変換層の一部を拡大して示す端面図である。
図4A図1のII-II線における端面において、光の経路を例示する端面図である。
図4B】参考例に係る発光装置の角部において光の経路を例示する拡大端面図である。
図4C図2における発光素子の一部及び波長変換層の一部を拡大して示す端面において、光の経路を例示する図である。
図5A】第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図5B】第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図5C】第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図5D】第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図5E】第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図5F】第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図6】第2の実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
図7】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図8】第3の実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
図9】第4の実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
図10A】第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図10B】第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図10C】第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図11】第5の実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
図12】第6の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図13】第7の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図14A】第8の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図14B】第8の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図14C】第8の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図14D】第8の実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
図15A】第9の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図15B】第9の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図15C】第9の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に設けられ、第1光を出射する発光素子と、前記発光素子上に設けられ、前記第1光の一部を波長変換して第2光を出射する波長変換層と、光反射性材料を含み、前記波長変換層を囲むとともに前記波長変換層の上面の少なくとも一部を露出する開口部が設けられた壁と、を備え、前記壁の表面は、前記波長変換層の上面よりも高い位置に設けられた上面と、前記開口部を形成する内面と、を含み、前記壁は、前記波長変換層を囲む第1部分と、前記第1部分上及び前記第1部分の周囲に設けられた第2部分と、を有し、前記開口部内は中空であり、前記壁の前記上面と前記内面との間の角部の角度は、90度以上かつ180度未満である。
【0010】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、基板上に発光素子を載置する工程と、前記発光素子上に波長変換層を配置する工程と、前記波長変換層上に型部材を配置する工程と、未硬化の光反射材を、硬化後の前記光反射材の上面が前記基板から離れる方向に向かって凸または前記基板の上面に平行となるように、前記波長変換層及び前記型部材を囲むように設ける工程と、前記光反射材を硬化し、壁を形成する工程と、前記型部材を除去し、前記壁に前記波長変換層の上面の少なくとも一部を露出する中空の開口部を形成する工程と、を備える。
【0011】
以下、各実施形態に係る発光装置の具体的な構成について説明する。以下、説明の便宜上、本明細書においては、XYZ直交座標系を採用する。図1及び図2に示すように、基板110から発光素子120に向かう方向を「Z方向」という。また、Z方向を「上方向」ともいう。また、Z方向の反対方向を「下方向」ともいう。Z方向と直交する一の方向を「X方向」という。また、Z方向及びX方向と直交する方向を「Y方向」という。また、X方向及びY方向等のZ方向と直交する方向を「横方向」ともいう。
【0012】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態に係る発光装置100について説明する。
図1は、本実施形態に係る発光装置を示す上面図である。
図2は、図1のII-II線における端面図である。
図1及び図2に示すように、発光装置100は、基板110と、発光素子120と、波長変換層130と、壁140と、を備える。
【0013】
図2に示すように、発光素子120は、基板110上に設けられ、第1光L1を出射する。波長変換層130は、発光素子120上に設けられ、第1光L1の一部を波長変換して第2光L2を出射する。壁140は、光反射性材料を含む。壁140は、波長変換層130を囲むとともに波長変換層130の上面130aの少なくとも一部を露出する開口部140kを形成している。
【0014】
壁140の表面は、波長変換層130の上面130aよりも高い位置に設けられた上面140aと、開口部140kを形成する内面140bと、を有している。また、壁140は、波長変換層130を囲む第1部分141と、第1部分141上及び第1部分141の周囲に設けられた第2部分142と、を有する。開口部140k内は中空である。「開口部140k」とは、波長変換層130の上面130aよりも上方に位置し、内面140bに囲まれた部分を意味する。壁140の上面140aと内面140bとの間の角部cの角度θは、90度以上かつ180度未満である。以下、発光装置100の各部について詳述する。
【0015】
基板110は、例えば、樹脂材料からなる母材中に、発光素子120の配線が設けられた配線基板である。ただし、基板110の母材はこれに限定されず、セラミックス等を用いてもよい。
【0016】
基板110の表面は、図2に示すように、上面110aと、下面110bと、を含む。上面110a及び下面110bは、平坦面であり、X方向及びY方向に略平行である。図1に示すように、上面視における基板110の形状は、矩形である。ただし、上面視における基板110の形状は、これに限定されない。
【0017】
基板110の上面110aには、3つの発光素子120が載置されている。3つの発光素子120は、X方向に沿って配列している。ただし、基板110に設ける発光素子120の数は、1以上であれば特に限定されない。また、発光装置100に複数の発光素子120が設けられている場合、複数の発光素子120は、X方向だけでなく、Y方向にも配列されていてもよい。上面視における各発光素子120の形状は、四角形である。ただし、発光素子120の形状はこれに限定されない。
【0018】
図2に示すように、発光素子120は、本実施形態では、発光素子120の成長基板上に積層した半導体層の表面側を基板110に実装(FD(Face Down)実装)されたLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。各発光素子120と基板110との間には、導電性の接合部材150が設けられている。各発光素子120は、接合部材150により基板110に接合されている。
【0019】
発光素子120は、第1光L1として青色光を出射する。ただし、第1光L1の色は、青色に限定されない。
【0020】
各発光素子120と基板110との間には、遮光層160が設けられている。遮光層160は、樹脂材料からなる母材と、母材中に分散された複数のフィラーと、を含む。樹脂材料としては、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。フィラーとしては、チタン酸化物(TiO)等の光反射性材料を用いることができる。ただし、各発光素子120と基板110との間には、遮光層160が設けられていなくてもよい。
【0021】
図3は、図2における発光素子の一部及び波長変換層の一部を拡大して示す端面図である。
各発光素子120の上面には、波長変換層130が設けられている。波長変換層130は、複数の波長変換粒子131を有する。波長変換層130の上面130aは、複数の波長変換粒子131による凹凸を有する。
【0022】
波長変換粒子131としては、青色の第1光L1を吸収して黄色の第2光L2を出射する黄色蛍光体を用いることができる。波長変換層130は、第2光L2を出射するとともに、第1光L1の一部を透過する。そのため、発光装置100は、第1光L1と第2光L2とが混色した白色光を出射する。
【0023】
ただし、波長変換粒子131は、黄色蛍光体でなくてもよい。波長変換粒子131として、第1光L1を波長変換して赤色の光を出射する赤色蛍光体及び第1光L1を波長変換して緑色の光を出射する緑色蛍光体等を用いてもよい。この場合、赤色蛍光体が出射する光の赤色と、緑色蛍光体が出射する光の緑色と、第1光L1の青色との混色により、発光装置100は白色の光を出射できる。また発光装置100は、白以外の単色を出射するようにしてもよい。
【0024】
波長変換粒子131は、ガラス層132によって被覆されている。ガラス層132はシリカ(SiO)からなる。ガラス層132は、波長変換粒子131同士、発光素子120と波長変換粒子131を結合させて、波長変換粒子131を波長変換層130内に保持している。また、ガラス層132は、波長変換粒子131を空気中の水分等から保護する。波長変換粒子131間、発光素子120と波長変換粒子131との間には、空気層130k(空隙)が形成されている。
【0025】
以下、各部の寸法の一例を示す。
波長変換層130の厚さは、例えば、20~200μmである。波長変換粒子131の直径は、例えば、2~23μmであり、例えば、5~15μmである。ガラス層132の厚さは、例えば、1~5μmである。
【0026】
波長変換層130の構成は、上記に限定されない。例えば、波長変換粒子131は、ガラス層132によって被覆されていなくてもよい。この場合、シリコーン樹脂等の樹脂材料からなるバインダにより、波長変換粒子131同士、発光素子120と波長変換粒子131を結合させて、波長変換粒子131を波長変換層130内に保持してもよい。また、例えば、バインダを用いずに静電気付着により、波長変換粒子131同士、発光素子120と波長変換粒子131を付着させて、波長変換粒子131を波長変換層130内に保持してもよい。また、波長変換層130の上面130aは平坦面であってもよい。例えば、波長変換層130は、複数の波長変換粒子131が内部に分散した透光板によって構成されていてもよい。
【0027】
図1に示すように、波長変換層130は、壁140によって囲まれている。壁140の形状は、筒状である。すなわち、壁140は、波長変換層130の上面130aの少なくとも一部を露出する開口部140kを形成している。
【0028】
壁140は、図2に示すように、第1部分141と、第2部分142と、を有する。第1部分141及び第2部分142のそれぞれは、樹脂材料からなる母材と、光反射性材料からなる複数のフィラーと、を含む。壁140の樹脂材料としては、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。壁140の光反射性材料としては、シリコン酸化物(SiO)、チタン酸化物(TiO)、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)等を用いることができる。
【0029】
第1部分141におけるフィラーの密度と、第2部分142におけるフィラーの密度は相互に異なる。「フィラーの密度」とは、各部分141、142の単位体積あたりに含まれるフィラーの質量を意味する。
【0030】
第1部分141は、本実施形態では、発光素子120及び波長変換層130の両方を囲んでいる。第1部分141の表面は、内面141aと、外面141bと、下面141cと、を含む。
【0031】
内面141aは、発光素子120及び波長変換層130を囲み、発光素子120の側面及び波長変換層130の横方向における端部に接している。内面141aのうち最も上方に位置する上端141tは、波長変換層130の上面130aよりも上方に位置する。内面141aにおいて上端141tと波長変換層130の上面130aとの間に位置する第1領域141sは、基板110の上面110aに対して垂直である。「垂直」とは、厳密に垂直であることを意味するのではなく、製造工程におけるばらつきを含むものであり、実質的に垂直であればよい。
【0032】
外面141bは、内面141aの周囲に設けられており、内面141a及び下面141cに接している。外面141bは、下方向に向かうほど、内面141aから離れる。ただし、内面141aと外面141bとの間には、上面が位置していてもよい。また、この場合、外面141bは、基板110の上面110aに垂直であってもよい。下面141cは、基板110の上面110aに接している。
【0033】
第2部分142は、第1部分141上及び第1部分141の周囲に設けられている。第1部分141に含まれるフィラーの密度は、第2部分142に含まれるフィラーの密度よりも高い。そのため、第1部分141の光の反射率は、第2部分142の光の反射率よりも高い。
【0034】
第2部分142の表面は、上面142aと、内面142bと、外面142cと、下面142dと、を含む。上面142aは、本実施形態では、基板110の上面110aに平行な平坦面である。「平行」とは、厳密に平行であることを意味するのではなく、製造工程におけるばらつきを含むものであり、実質的に平行であればよい。
【0035】
内面142bのうち最も上方に位置する上端142tは、第1部分141の上端141tよりも上方に位置する。内面142bは、上端141tと上端142tとの間に位置する第2領域142s1と、上端141tと下面142dとの間に位置する第3領域142s2と、を含む。第2領域142s1は、上面142aに接している。第2領域142s1は、基板110の上面110aに対して垂直である。第2領域142s1は、第1部分141の第1領域141sと面一である。第3領域142s2は、第1部分141の外面141bに接している。
【0036】
外面142cは、上面142aの周囲に設けられており、上面142a及び下面142dに接している。外面142cは、基板110の上面110aに垂直である。ただし、外面142cは、基板110の上面110aに対して傾斜していてもよい。下面142dは、基板110の上面110aに接している。
【0037】
このように、壁140全体の上面140aは、第2部分142の上面142aからなる。壁140全体の内面140bは、第1部分141の内面141a及び第2部分142の第2領域142s1からなる。壁140全体の外面140cは、第2部分142の外面142cからなる。壁140全体の下面140dは、第1部分141の下面141c及び第2部分142の下面142dからなる。
【0038】
したがって上面140aは、波長変換層130の上面130aよりも上方に位置する。波長変換層130の上面130aと、壁140の上面140aとの距離は、50μm以上2000μm以下であることが好ましい。「波長変換層130の上面130aと、壁140の上面140aとの距離」とは、波長変換層130の上面130aと、壁140の上面140aとのZ方向における最短距離を意味する。
【0039】
上面140aと内面140bとの間の角部cの角度θは、90度以上かつ180度未満である。特に、本実施形態では、上面140aは、基板110の上面110aに平行であり、内面140bのうち上端142tを含む領域(第2領域142s1)は、基板110の上面110aに垂直である。そのため、角度θは、90度である。
【0040】
次に、本実施形態に係る発光装置100の動作について説明する。
図4Aは、図1のII-II線における端面において、光の経路を例示する図である。
図4Bは、参考例に係る発光装置の角部において光の経路を例示する拡大端面図である。
【0041】
壁140は、発光素子120及び波長変換層130の周囲に設けられている。そのため、発光素子120を点灯させた場合、発光素子120から出射する第1光L1の一部及び波長変換層130から出射する第2光L2の一部が、壁140によって反射される。
【0042】
特に、壁140の内面140bにおいて波長変換層130に隣接する領域ほど、入射する第2光L2の輝度が高くなる。そのため、壁140において波長変換層130に隣接する部分の中には、第2光L2が伝搬し易い。本実施形態では、波長変換層130に隣接する第1部分141の反射率は、第2部分142の反射率よりも高い。そのため、図4Aに示すように、波長変換層130に隣接する第1部分141の中に第2光L2が伝搬することを抑制できる。
【0043】
更に、本実施形態では、壁140の上面140aは、波長変換層130の上面130aよりも上方に位置している。そのため、第1部分141の中に第2光L2が伝搬したとしても、伝搬した第2光L2を壁140の中で減衰させ、第2光L2が壁140の上面140aから出射することを抑制できる。その結果、壁140の中に伝搬した第2光L2が、壁140の上面140aから漏れることを抑制できる。
【0044】
更に、本実施形態では、角部cの角度θは、90度以上かつ180度未満である。そのため、角部cの肉厚t(角部cの近傍の上面140aと内面140bとの距離)を厚くできる。その結果、壁140の内面140bのうち角部cの近辺の領域から壁140の中に第2光L2が伝搬したとしても、伝搬した第2光L2を壁140の中で減衰させ、第2光L2が上面140aから漏れ出ることを抑制できる。これに対し、参考例に係る発光装置100hのように壁140hの上面140haと内面140hbとの間の角部hcの角度hθが90度未満である場合、角部hcの肉厚htが薄くなる。そのため、壁140hの内面140hbのうち角部hcの近辺の領域から壁140hの中に第2光L2が伝搬した場合、本実施形態と比較すると伝搬した第2光L2が上面140haから漏れ出やすい。
【0045】
このように壁140の上面140aからの光漏れを抑制することで、発光素子120及び波長変換層130の直上の領域S1を囲む周辺領域S2が明るくなることを抑制できる。これにより、発光素子120及び波長変換層130の直上の領域S1と周辺領域S2のコントラストを高くできる。
【0046】
更に、本実施形態では、壁140において上端142tを含む領域(第2領域142s1)は、基板110の上面110aに垂直である。これにより、配光角を狭角にできるため、発光装置100の輝度を向上できる。
【0047】
更に、開口部140kは、中空である。そのため、発光装置100の光の取出し効率を向上させることができる。
【0048】
図4Cは、図2における発光素子の一部及び波長変換層の一部を拡大して示す端面において、光の経路を例示する図である。
本実施形態では、波長変換粒子131はガラス層132によって被覆されている。そのため、波長変換層130内において、発光素子120から出射した第1光L1及び波長変換層130から出射した第2光L2が空気層130kからガラス層132に入射しようとすると、これらの光が空気層130kとガラス層132との界面で反射される確率が高い。このため、波長変換層130内における光の横方向への伝播が阻害され、発光素子120及び波長変換層130の直上の領域S1から出射する。これにより、発光素子120及び波長変換層130の直上の領域S1と周辺領域S2のコントラストを高くできる。
【0049】
次に、本実施形態に係る発光装置100の製造方法について説明する。
図5A~5Fは、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【0050】
先ず、図5Aに示すように、基板110上に発光素子120を載置する。本実施形態では、発光素子120を導電性の接合部材150により基板110に接合する。また、本実施形態では、発光素子120と基板110の間に遮光層160を設ける。
【0051】
次に、図5Bに示すように、発光素子120上に波長変換層130を配置する。波長変換層130は、複数の波長変換粒子131を含むスラリー材をスプレーすることによって配置される。
【0052】
具体的には、発光素子120の周囲にマスク材を設け、発光素子120上にスラリー材をスプレーし、マスク材を除去する。スラリー材は、ポリシラザン、複数の波長変換粒子131、及び有機溶媒を含む。有機溶媒には、例えば、ヘプタン又はジブチルエーテルを使用する。なお、有機溶媒は含有させなくてもよい。スラリー材には、樹脂材料は含有されていない。次に、スラリー材がスプレーされた基体を加熱又は常温放置することにより、ポリシラザンをシリカに転化させて、波長変換粒子131をシリカを含むガラス層132で被覆すると共に、波長変換粒子131間に空気層130kを形成する。これにより、波長変換層130が発光素子120上に形成される。
【0053】
なお、波長変換層を配置する方法は、上記に限定されない。例えば、スプレーするスラリー材は、ポリシラザンを含まず、シリコーン樹脂等の樹脂材料からなるバインダを含んでいてもよい。また、波長変換層は、波長変換粒子同士及び波長変換粒子と発光素子を静電気付着させることによって配置されてもよい。また、複数の波長変換粒子が内部に分散された透光板によって構成された波長変換層130を、発光素子120の上面に載置してもよい。
【0054】
次に、図5Cに示すように、波長変換層130上に型部材170を配置する。型部材170は、例えば、保持具171によって保持されている。型部材170は板部材である。型部材170の表面は、上面170aと、下面170bと、側面170cと、を有する。
【0055】
上面170a及び下面170bは、平坦面である。下面170bは、上面170aの反対側に位置し、波長変換層130と対向する面である。側面170cは、上面170aと下面170bとに接し、上面170a及び下面170bに対して垂直である。型部材170は、上面170a及び下面170bが、基板110の上面110aに平行となるように配置される。
【0056】
型部材170は、3つの発光素子120と上面視で重なる位置に配置される。型部材170は、透光材料であることが好ましく、例えばガラス又はテフロン(登録商標)シートからなる。型部材170が透光材料からなる場合、型部材170を波長変換層130上に配置した状態で、型部材170の上方から発光素子120及び波長変換層130を視認することができる。そのため、型部材170を配置する際に、発光素子120及び波長変換層130に対して容易に位置決めできる。ただし、型部材170は、金属材料からなってもよい。
【0057】
次に、図5D及び図5Eに示すように、未硬化の光反射材140Fを、波長変換層130及び型部材170を囲むように設ける。この際、未硬化の光反射材140Fは、図5Fに示す硬化後の光反射材140Fの上面140aが基板110の上面110aに平行となるように設ける。
【0058】
未硬化の光反射材140Fは、未硬化の樹脂材料からなる母材と、光反射性材料からなるフィラーと、を含む。光反射材140Fの樹脂材料としては、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。光反射材140Fの光反射性材料としては、シリコン酸化物(SiO)、チタン酸化物(TiO)、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)等を用いることができる。光反射材140Fは、増粘剤を更に含んでもよい。「未硬化」とは、少なくとも完全には硬化しておらず、光反射材140Fが型部材170の形状に合わせて変形できる程度に柔軟であることを意味する。「硬化後の光反射材140F」とは、光反射材140Fが完全に硬化したものを意味し、壁140に相当する。
【0059】
以下では、未硬化の光反射材140Fが、第1部材141Fと、第2部材142Fと、を含む場合を例に、未硬化の光反射材140Fを設ける工程について詳述する。第1部材141F及び第2部材142Fのそれぞれは、未硬化の樹脂材料からなる母材と、光反射性材料からなるフィラーと、を含み、フィラーの濃度が相互に異なる。なお、第1部材141Fは、硬化すると壁140の第1部分141となる部分である。また、第2部材142Fは、硬化すると壁140の第2部分142となる部分である。
【0060】
先ず、図5Dに示すように、波長変換層130及び型部材170の側面170cの下側領域を囲み、型部材170の側面170cの下側領域に接触するように第1部材141Fを設ける。未硬化の第1部材141Fの粘度は、波長変換層130及び型部材170の周囲に設けられた後に波長変換層130に流入しない程度であることが好ましい。未硬化の第1部材141Fの粘度は、例えば、450Pa・s以上1000Pa・s以下であることが好ましい。これにより、未硬化の第1部材141Fの内面141Fbを型部材170の側面170cの下側領域に接触させつつ、第1部材141Fが波長変換層130に流入することを抑制できる。
【0061】
なお、未硬化の第1部材141Fの内面141Fbのうち、最も上方に位置する上端141Ftと波長変換層130の上面130aとの間に位置する領域は、型部材170の側面170cの下側領域に接触している。そのため、硬化後の第1部材141Fである第1部分141には、図2に示すように基板110の上面110aに垂直な第1領域141sが形成される。
【0062】
次に、第1部材141Fを半硬化させる。なお、第1部材141Fは半硬化させなくてもよい。
【0063】
次に、図5Eに示すように、第1部材141F上及び第1部材141Fの周囲に第2部材142Fを設ける。未硬化の第2部材142Fの粘度は、未硬化の第1部材141Fの粘度よりも低い。第2部材142Fの粘度を第1部材141Fの粘度よりも低くする方法は特に限定されないが、例えば、第2部材142Fに含まれるフィラーの濃度を第1部材141Fに含まれるフィラーの濃度より低くする方法、第2部材142Fに添加する増粘剤の添加量を第1部材141Fへの増粘剤の添加量よりも少なくする方法等が挙げられる。
【0064】
未硬化の第2部材142Fの粘度は、第2部材142Fが型部材170の側面170cに合わせて流動可能である程度であることが好ましい。第2部材142Fの粘度は、例えば、5Pa・s以上250Pa・s以下であることが好ましい。なお、第2部材142Fを設ける際は、型部材170及び第1部材141Fから離れた位置に、型部材170及び第1部材141Fを囲む枠部材180を設け、型部材170と枠部材180との間に第2部材142Fを設けてもよい。
【0065】
本実施形態では、第2部材142Fは、硬化後の上面140aが基板110の上面110aに平行となるように設けられる。例えば、未硬化の第2部材142Fの上面142Faが、型部材170の上面170a及び枠部材180の上面180aよりも下方に位置している場合、表面張力により第2部材142Fが型部材170の上面170a、180a上に濡れ広がり、未硬化の第2部材142Fの上面142Faは、基板110に近づく方向に凹となる。
【0066】
これに対し、本実施形態では、未硬化の第2部材142Fは、未硬化の第2部材142Fの上面142Faが上面170a、180aと面一になるように設けられる。そのため、未硬化の第2部材142Fの上面142Faは、基板110の上面110aに平行となる。これにより、硬化後の上面140aが、基板110の上面110aに平行となる。これにより、硬化後の光反射材140F(すなわち壁140)の角部cの角度θを90度にできる。なお、硬化した第2部材142Fの上面140aが、未硬化の第2部材142Fの上面142Faよりも引けて基板110に近づく方向に凹となることが見込まれる場合、未硬化の第2部材142Fの上面142Faが基板110から離れる方向に凸となるように未硬化の第2部材142Fを設けてもよい。この場合、第2部材142Fの硬化後に研磨等を実施し、上面142Faを平坦化してもよい。
【0067】
前述したように、第1部材141Fが型部材170の側面170cの下側領域に接し、波長変換層130を囲んでいる。そのため、第1部材141Fにより第2部材142Fの波長変換層130への流入を抑制しつつ、第2部材142Fを型部材170の側面170cに合わせて流動させることができる。
【0068】
次に、光反射材140Fを硬化させる。光反射材140Fを構成する母材が熱硬化性樹脂である場合、光反射材140Fは加熱されることにより硬化する。加熱温度は、例えば150℃以上200℃以下である。ただし、硬化方法は光反射材140Fを構成する材料に応じて適宜選択できる。例えば、光反射材140Fにおける樹脂を紫外線硬化性樹脂により構成し、紫外線により硬化させてもよい。
【0069】
次に、図5Fに示すように、型部材170及び枠部材180を基板110上から除去する。具体的には、型部材170と硬化後の光反射材140Fとを相対的に引き離す方向に力を付加し、硬化後の光反射材140Fから型部材170を取り外す。これにより、壁140の角部cの角度θが90度以上、180度未満である発光装置100が形成される。
【0070】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光装置100においては、壁140の上面140aは、波長変換層130の上面130aよりも高い位置に設けられている。更に、壁140の上面140aと内面140bとの間の角部cの角度θは、90度以上かつ180度未満である。そのため、壁140の中に第2光L2が伝搬したとしても、伝搬した第2光L2が上面140aから出射することを抑制できる。これにより、壁140の上面140aからの光漏れを抑制できる発光装置100を実現できる。またこれにより、発光素子120及び波長変換層130の直上の領域S1と周辺領域S2のコントラストを高くできる。
【0071】
また、開口部140k内は中空である。そのため、発光装置100の光の取出し効率を向上させることができる。
【0072】
また、壁140は、樹脂材料からなる母材と、母材内に分散し、光反射性材料からなるフィラーと、を含む。第1部分141に含まれるフィラーの密度は、第2部分142に含まれるフィラーの密度よりも高い。そのため、第1部分141の反射率を第2部分142の反射率よりも高くできる。その結果、波長変換層130に隣接する第1部分141中に、第2光L2が伝搬することを抑制できる。
【0073】
また、このような構成においては、製造時の未硬化の第1部材141Fの粘度は、未硬化の第2部材142Fの粘度よりも高い。そのため、第1部材141Fにより第2部材142Fの波長変換層130への流入を抑制しつつ、第2部材142Fを型部材170の側面170cの形状に合わせて容易に流動させることができる。
【0074】
また、壁140の内面140bのうち上端142tを含む領域(第2領域142s1)は、基板110の上面110aに対し垂直である。これにより、発光素子120及び波長変換層130の直上の領域S1と周辺領域S2のコントラストをより一層高くできる。
【0075】
また、波長変換層130の上面130aと、壁140の上面140aとの距離は50μm以上2000μm以下である。このように、波長変換層130の上面130aと、壁140の上面140aとを十分に離すことで、壁140の内面140bにおいて波長変換層130に隣接する領域から壁140の中に第2光L2が伝搬したとしても、伝搬した第2光L2を減衰させ、壁140の上面140aから第2光L2が漏れ出ることを抑制できる。
【0076】
また、壁140の上面140aは、基板110の上面110aに平行である。そのため、壁140の上面140aが基板110の上面110aに近づく方向に凹である場合と比較して、角部cの肉厚tを厚くできる。これにより、壁140の上面140aからの光漏れを抑制できる。
【0077】
また、波長変換層130は、複数の波長変換粒子131を有し、波長変換層130の上面130aは、複数の波長変換粒子131による凹凸を有する。これにより、配光角を狭角にでき、発光装置100の輝度を向上できる。
【0078】
また、波長変換層130は、波長変換粒子131の表面を被覆するガラス層132を更に有する。波長変換粒子131同士はガラス層132を介して結合しており、波長変換粒子131間には空気層130kが形成されている。これにより、発光素子120及び波長変換層130の直上の領域S1と周辺領域S2のコントラストをより一層高くできる。
【0079】
また、本実施形態に係る発光装置100の製造方法においては、まず、基板110上に発光素子120を載置する。次に、発光素子120上に波長変換層130を配置する。次に、波長変換層130上に型部材170を配置する。次に、未硬化の光反射材140Fを、硬化後の光反射材140Fの上面140aが基板110の上面110aに平行となるように、波長変換層130及び型部材170を囲むように設ける。次に、光反射材140Fを硬化し、壁140を形成する。次に、型部材170を除去し、壁140に波長変換層130の上面130aの少なくとも一部を露出する中空の開口部140kを形成する。このような製造方法によれば、壁140の上面140aからの光漏れを抑制できる発光装置100を製造できる。
【0080】
また、光反射材140Fは、第1部材141Fと、第2部材142Fと、を含み、光反射材140Fを設ける工程は、波長変換層130を囲むように第1部材141Fを設ける工程と、第1部材141F上及び第1部材141Fの周囲に第2部材142Fを設ける工程と、を有する。そして、第2部材142Fの粘度は、第1部材141Fの粘度よりも低い。そのため、第1部材141Fにより第2部材142Fの波長変換層130への流入を抑制しつつ、第2部材142Fを型部材170の側面170cの形状に合わせて容易に流動させることができる。
【0081】
また、型部材170を透光材料により形成すれば、型部材170を発光素子120及び波長変換層130に対して容易に位置決めし、配置できる。
【0082】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
本実施形態に係る発光装置200は、壁240の第2部分242の上面242aが基板110の上面110aに平行でない点において、第1の実施形態に係る発光装置100と相違する。なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。
【0083】
壁240は、第1部分241と、第2部分242と、を有する。第1部分241の構成は、第1の実施形態における第1部分141の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0084】
第2部分242の構成は、上面242aの形状を除いて第1の実施形態における第2部分142の構成と同様である。第2部分242の上面242aは、基板110から離れる方向に向かって凸状の湾曲面である。
【0085】
壁240全体の上面240aは、第2部分242の上面242aからなる。したがって、壁240の上面240aと内面240bとの間の角部cの角度θは、90度より大きく180未満である。ここで、角度θは、内面240bと、内面240bの上端242tを通る上面242aの接線Lと、のなす角度である。このように、角度θは、90度より大きくてもよい。このような場合、角部cの肉厚tをより一層厚くすることができる。そのため、壁240の内面240bのうち角部cの近辺の領域から壁240の中に第2光L2が伝搬したとしても、伝搬した第2光L2を減衰させ、第2光L2が上面240aから漏れ出ることを抑制できる。
【0086】
次に、本実施形態に係る発光装置200の製造方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る製造方法では、光反射材240Fを構成する第2部材242Fを設ける工程が、第1の実施形態に係る発光装置100の製造方法と相違する。
【0087】
光反射材240Fは、第1部材241Fと、第2部材242Fと、を有する。第1部材241F及び第2部材242Fのそれぞれは、未硬化の樹脂材料からなる母材と、光反射性材料からなるフィラーと、を含む。第1部材241Fは、硬化すると壁240の第1部分241となる部分である。第2部材242Fは、硬化すると壁240の第2部分242となる部分である。
【0088】
第1部材241Fを設ける工程までは、第1の実施形態に係る発光装置100の製造方法における第1部材141Fを設ける工程までと同様であるため、その説明を省略する。
【0089】
第1部材241Fを設けた後、図7に示すように、第2部材242Fを、硬化後の上面240aが基板110の上面110aから離れる方向に凸となるように設ける。具体的には、未硬化の第2部材242Fは、上面242Faが表面張力により基板110の上面110aから離れる方向に凸となるように設けられる。これにより、硬化後の第2部材242Fの上面242aが、基板110の上面110aから離れる方向に凸となる。以降の手順は、第1の実施形態と同様である。
【0090】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態では、壁240の上面242aは、基板110から離れる方向に向かって凸である。そのため、角部cの肉厚tをより一層厚くすることができる。その結果、壁240の内面240bのうち角部cの近辺の領域から壁240の中に第2光L2が伝搬したとしても、伝搬した第2光L2を減衰させ、第2光L2が上面242aから漏れ出ることを抑制できる。
【0091】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
本実施形態に係る発光装置300は、壁340の構成において、第1の実施形態に係る発光装置100と相違する。
【0092】
壁340は、第1部分341と、第2部分342と、充填部343と、を有する。第1部分341の構成は、第1の実施形態における第1部分141の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0093】
第2部分342の構成は、上面342aの形状を除き、第1実施形態における第2部分142の構成と同様である。第2部分342の上面342aは、基板110に近づく方向に凹である。
【0094】
充填部343は、第2部分342の上面342aの凹みに充填されている。充填部343は、樹脂材料からなる母材と、母材中に分散されたフィラーと、を含む。樹脂材料としては、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。フィラーとしては、シリコン酸化物(SiO)、チタン酸化物(TiO)、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)等の光反射性材料、又は、炭素粉からなるカーボン粒子等の光吸収性材料を用いることができる。
【0095】
充填部343の上面343aは、基板110の上面110aに平行である。ただし、充填部343は、基板110から離れる方向に凸であってもよい。壁340全体の上面340aは、充填部343の上面343aからなる。したがって、壁340の上面340aと内面340bとの間の角部cの角度θを90度以上180度未満とできる。
【0096】
充填部343におけるフィラーが光反射性材料である場合、充填部343に含まれるフィラーの密度は、第2部分342に含まれるフィラーの密度よりも高いことが好ましい。これにより、壁340の中に伝搬した第2光L2が上面343aから漏れ出ることをより一層抑制できる。
【0097】
また、充填部343におけるフィラーが光吸収性材料である場合、充填部343におけるフィラーは、壁340の中に伝搬した第2光L2を吸収できる。これにより、壁340の中に伝搬した第2光L2が上面343aから漏れ出ることをより一層抑制できる。
【0098】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
本実施形態に係る発光装置400は、壁440の構成において、第1の実施形態に係る発光装置100と相違する。
【0099】
壁440は、第1部分441と、第2部分442と、第3部分443と、を有する。第1部分441は、発光素子120及び波長変換層130の周囲に設けられている。第2部分442は、第1部分441上及び第1部分441の周囲に設けられている。第3部分443は、第2部分442上及び第2部分442の周囲に設けられている。
【0100】
第1部分441、第2部分442及び第3部分443は、それぞれ、樹脂材料からなる母材と、光反射性材料からなるフィラーと、を含む。第1部分441に含まれるフィラーの密度は、第2部分442に含まれるフィラーの密度よりも高い。第2部分442に含まれるフィラーの密度は、第3部分443に含まれるフィラーの密度よりも高い。そのため、第1部分441の光の反射率が第2部分442の光の反射率より高く、第2部分442の光の反射率が第3部分443の光の反射率よりも高い。
【0101】
第1部分441の表面は、内面441aと、外面441bと、下面441cと、を含む。内面441aは、発光素子120及び波長変換層130を囲み、発光素子120の側面及び波長変換層130の横方向における端部に接している。内面441aのうち最も上方に位置する上端441tは、波長変換層130の上面130aよりも上方に位置する。内面441aにおいて上端441tと波長変換層130の上面130aとの間に位置する第1領域441sは、基板110の上面110aに対して垂直である。
【0102】
外面441bは、内面441aの周囲に設けられており、内面441a及び下面441cに接している。外面441bは、下方向に向かうほど、内面441aから離れる。ただし、内面441aと外面441bとの間には、上面が位置していてもよい。また、この場合、外面441bは、基板110の上面110aに垂直であってもよい。下面441cは、基板110の上面110aに接している。
【0103】
第2部分442の表面は、内面442aと、外面242bと、下面442cと、を含む。
内面442aは、第1部分441を囲んでいる。内面442aのうち最も上方に位置する上端442tは、第1部分441の上端441tよりも上方に位置する。内面442aは、上端442tと第1部分441の上端441tとの間に位置する第2領域442s1と、上端441tと下面442cとの間に位置する第3領域442s2と、を有する。第2領域442s1は、基板110の上面110aに対して垂直であり、第1部分441の内面441aと面一である。
【0104】
外面442bは、内面442aの周囲に設けられており、内面442a及び下面442cに接している。なお、内面442aと外面442bとの間に上面が位置していてもよい。下面442cは、基板110の上面110aに接している。
【0105】
第3部分443は、第2部分442上及び第2部分442の周囲に設けられている。
第3部分443の表面は、上面443aと、内面443bと、外面443cと、下面443dと、を含む。上面443aは、基板110の上面110aに平行である。ただし、上面443aは、基板110から離れる方向に凸であってもよい。
【0106】
内面443bのうち最も上方に位置する上端443tは、第2部分の442の上端442tよりも上方に位置する。内面443bは、上端443tと上端442tとの間に位置する第4領域443s1と、上端442tと下面443dとの間に位置する第5領域443s2と、を含む。第4領域443s1は、上面443aに接している。第4領域443s1は、基板110の上面110aに対して垂直である。第4領域443s1は、第2部分442の第2領域442s1と面一である。第5領域443s2は、第2部分442の外面442bに接している。
【0107】
外面443cは、上面443aの周囲に設けられており、上面443a及び下面443dに接している。外面443cは、基板110の上面110aに垂直である。ただし、外面443cは、基板110の上面110aに対して傾斜していてもよい。下面443dは、基板110の上面110aに接している。
【0108】
このように、壁440全体の上面440aは、第3部分443の上面443aからなる。壁440全体の内面440bは、第1部分441の内面441a、第2部分442の第2領域442s1、及び第3部分443の第2領域442s1からなる。壁440全体の外面440cは、第3部分443の外面443cからなる。壁440全体の下面440dは、第1部分441の下面441c、第2部分442の下面442c、及び第3部分443の外面443cからなる。そして、壁440の上面440aと内面440bとの間の角部cの角度θは、90度以上180度未満である。
【0109】
次に、本実施形態に係る発光装置400の製造方法について説明する。
図10A図10Cは、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る製造方法では、光反射材440Fを設ける工程が、第1の実施形態に係る発光装置100の製造方法と相違する。
【0110】
光反射材440Fは、第1部材441Fと、第2部材442Fと、第3部材443Fと、を有する。第1部材441F、第2部材442F、及び第3部材443Fのそれぞれは、未硬化の樹脂材料からなる母材と、光反射性材料からなるフィラーと、を含み、フィラーの濃度が相互に異なる。第1部材441Fは、硬化すると壁440の第1部分441となる部分である。また、第2部材442Fは、硬化すると壁440の第2部分442となる部分である。また、第3部材443Fは、硬化すると壁440の第3部分443となる部分である。以下、光反射材440Fを設ける方法について詳述する。
【0111】
先ず、図10Aに示すように、第1の実施形態と同様に、波長変換層130及び型部材170の側面170cの下側領域を囲み、型部材170の側面170cの下側領域に接するように第1部材441Fを設ける。
【0112】
次に、第1部材441Fを半硬化させる。なお、第1部材441Fは、半硬化させなくてもよい。
【0113】
次に、図10Bに示すように、第1部材441F上及び第1部材441Fの周囲に第2部材442Fを設ける。未硬化の第2部材442Fの粘度は、未硬化の第1部材441Fの粘度よりも低い。そのため、第1部材441Fにより第2部材442Fの波長変換層130への流入を抑制しつつ、第2部材442Fを型部材170の側面170cに十分に接触させることができる。
【0114】
次に、第2部材442Fを半硬化させる。なお、第2部材442Fは、半硬化させなくてもよい。
【0115】
次に、図10Cに示すように、第2部材442F上及び第2部材442Fの周囲に第3部材443Fを設ける。この際、第3部材443Fは、硬化後の上面440aが基板110の上面110aに平行となるように設ける。なお、第3部材443Fは、硬化後の上面440aが基板110の上面110aから離れる方向に凸となるように設けてもよい。
未硬化の第3部材443Fの粘度は、未硬化の第2部材442Fの粘度よりも低い。そのため、第3部材443Fは、型部材170の側面170cの形状に合わせて流動する。
【0116】
前述したように、第3部材443Fを設ける前に、第1部材441F及び第2部材442Fが型部材170の側面170cに接触するとともに波長変換層130を覆っている。そのため、第1部材441F及び第2部材442Fの両方により、第3部材443Fの波長変換層130への流入を抑制しつつ、第3部材443Fを型部材170の側面170cに合わせて変形させることができる。
【0117】
次に、第1部材441F、第2部材442F及び第3部材443Fを硬化させる。以降の手順は、第1の実施形態と同様である。
【0118】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光装置400においては、壁440は、第2部分442上及び第2部分442の周囲に設けられた第3部分443を更に有する。第3部分443に含まれるフィラーの密度は、第2部分442に含まれるフィラーの密度よりも低い。そのため、第2部分442の反射率を第3部分443の反射率よりも高くできる。そのため、壁440中に第2光L2が伝搬することをより一層抑制できる。
【0119】
また、製造時の未硬化の第2部材442Fの粘度は、未硬化の第3部材443Fの粘度よりも高い。そのため、第1部材441F及び第2部材442Fの両方により、第3部材443Fの波長変換層130への流入を抑制しつつ、第3部材443Fを型部材170の側面170cに合わせて変形させることができる。
【0120】
なお、上記実施形態では、壁440がフィラーの密度が相互に異なる3つの部分441、442、443を有する例を説明したが、壁440は、フィラーの密度が相互に異なる4以上の部分を有していてもよい。
【0121】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
本実施形態に係る発光装置500は、発光素子520は、発光素子520の成長基板側が基板110に実装(FU(Face-up)実装)されたLEDである点で、第1の実施形態に係る発光装置100と相違する。
【0122】
発光素子520は、基板110上に載置されている。発光素子520の上面の電極とワイヤ550の一端とが接続されている。ワイヤ550の他端は、図示省略する基板110上の電極に接続されている。発光素子520の周囲には、遮光層560が設けられている。
【0123】
遮光層560は、基板110の上面110aに接している。遮光層560は、樹脂材料かなる母材と、母材中に分散したフィラーと、を含む。遮光層560の母材としては、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。遮光層560のフィラーとしては、チタン酸化物(TiO)等の光反射性材料を用いることができる。壁540は、遮光層560上に設けられており、ワイヤ550の一部を埋設している。
【0124】
壁540は、第1部分541と、第2部分542と、を有する。第1部分541及び第2部分542の構成は、第1部分541及び第2部分542が、遮光層560に接している点を除き、第1の実施形態における第1部分141及び第2部分142と同様である。
【0125】
このように発光素子520は、FU実装されていてもよい。また、壁540は少なくとも波長変換層130を囲んでいればよく、発光素子520を囲んでいなくてもよい。
【0126】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る発光装置100の製造方法は、型部材170の側面170cに膜671が配置されている点で、第1の実施形態に係る発光装置100の製造方法と相違する。
【0127】
先ず、光反射材140Fを設ける前に、型部材170の側面170cに膜671を配置する。膜671は、型部材170を硬化後の光反射材140Fから除去することを補助する離型剤からなる。離型剤としては、フッ素系やシリコーン系のコーティング剤等を用いることができる。ただし、膜671は、金めっき膜であってもよい。樹脂と金は接着し難い。そのため、膜671を金めっき膜とすることにより、型部材170を硬化後の光反射材140Fから容易に除去することができる。
【0128】
次に、図12に示すように、第1の実施形態と同様に、光反射材140Fを設ける。以降の手順は、第1の実施形態と同様である。
【0129】
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態について説明する。
図13は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る発光装置100の製造方法は、型部材770が板部材ではない点で、第1の実施形態に係る発光装置100の製造方法と相違する。
【0130】
型部材770は、筒状部材であってもよい。型部材770形状は、中空の直方体である。型部材770は、樹脂材料からなってもよいし、金属材料からなってもよい。また、型部材770の側面には離型剤又は金めっきが設けられていてもよい。
【0131】
型部材770は、第1の実施形態における型部材170と同様に、光反射材140Fを硬化させた後、除去される。
【0132】
<第8の実施形態>
次に、第8の実施形態について説明する。
図14A図14Dは、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る発光装置800の製造方法は、型部材170を波長変換層130に仮接着する点において、第1の実施形態に係る発光装置100の製造方法と相違する。
【0133】
図14Aに示すように、型部材170を配置する工程において、型部材170と波長変換層130との間に接着剤880を設け、型部材170を波長変換層130に仮接着する。
「仮接着」とは、光反射材140Fの硬化後に型部材170と波長変換層130とを相対的に離す力が付加された際に、型部材170及び波長変換層130を破壊することなく型部材170と波長変換層130との接着を解除できる程度の接着力で型部材170と波長変換層130を接着していることを意味する。
【0134】
接着剤880としては、フェニル系の接着剤を用いることができる。接着剤880をフェニル系の接着剤により構成した場合、型部材170と波長変換層130とを容易に引きはがすことができる。ただし、接着剤880は、水溶性の接着剤であってもよい。
【0135】
次に、図14Bに示すように、光反射材140Fの第1部材141Fを設ける。次に、図14Cに示すように、光反射材140Fの第2部材142Fを設ける。これらの工程において、型部材170は波長変換層130に仮接着されている。そのため、光反射材140Fを設ける際に、型部材170が発光素子120及び波長変換層130に対して相対的に位置ずれすることを抑制できる。
【0136】
次に、光反射材140Fを硬化させる。
次に、図14Dに示すように、型部材170を除去する。これにより、発光装置800が形成される。図14Dでは、型部材170の除去後、波長変換層130の上部に接着剤880が残存しているが、接着剤880が波長変換層130よりも型部材170に強固に接着されている場合は、接着剤880は、型部材170とともに除去される。また、接着剤880が水溶性の接着剤である場合、型部材170を除去する工程の後に、接着剤880を水又は水溶液で溶かして除去してもよい。
【0137】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光装置800の製造方法では、型部材170を配置する工程において、型部材170と波長変換層130との間に接着剤880を設け、型部材170を波長変換層130に仮接着する。このため、光反射材140Fを設ける際に型部材170の位置ずれを抑制できる。
【0138】
また、本実施形態に係る発光装置800の製造方法では、接着剤880は、水溶性であり、型部材170を除去する工程の後に、接着剤880を水又は水溶液で溶かして除去する。そのため、波長変換層130上に接着剤880が残存することを抑制できる。これにより、発光装置800の光の取出し効率を向上させることができる。
【0139】
<第9の実施形態>
次に、第9の実施形態について説明する。
図15A図15Cは、本実施形態の変形例に係る発光装置の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る発光装置800の製造方法は、型部材170を仮接着した後に、型部材170を波長変換層130から一時的に取り外す点において、第8の実施形態に係る発光装置800の製造方法と相違する。
【0140】
図15Aに示すように、型部材170を配置する工程において、型部材170と波長変換層130との間に接着剤880を設け、型部材170を波長変換層130に仮接着する。
【0141】
次に、図15Bに示すように、型部材170を波長変換層130から一時的に取り外す。
次に、図15Cに示すように、型部材170と波長変換層130を再度仮接着する。これにより、型部材170と波長変換層130の接着力を低減できる。
以降の手順は、第8の実施形態と同様である。
【0142】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光装置800の製造方法においては、型部材170を配置する工程において、型部材170と波長変換層130との間に接着剤880を設け、型部材170を波長変換層130に仮接着する。次に、型部材170を波長変換層130から一時的に取り外す。次に、型部材170と波長変換層130を再度仮接着する。これにより、型部材170と波長変換層130の接着力を低減できる。そのため、光反射材140Fの硬化後に、型部材170を容易に除去できる。
【0143】
上記複数の実施形態では、型部材を取り外すことによって除去する例を説明した。しかし、型部材を加熱により昇華する材料により構成し、型部材を加熱することによって除去してもよい。光反射材を加熱により硬化する場合、型部材を昇華する工程は、光反射材を加熱して硬化させる工程と同時に行うことが好ましい。型部材は、例えば、150℃以上200℃以下で昇華することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本開示の実施形態は、各種照明用光源、車載用光源等に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0145】
100、200、300、400、500、800:発光装置
110:基板
110a:上面
110b:下面
120、520:発光素子
130:波長変換層
130a:上面
130k:空気層
131:波長変換粒子
132:ガラス層
140、240、340、440、540:壁
140a、240a、340a、440a:上面
140b、240b、340b、440b:内面
140c、440c:外面
140d、440d:下面
140k:開口部
141、241、341、441、541:第1部分
141a、441a:内面
141b、441b:外面
141c、441c:下面
141s、441s:第1領域
141t、441t:上端
142、242、342、442、542:第2部分
142a、242a、342a:上面
142b、442a:内面
142c、442b:外面
142d、442c:下面
142s1、442s1:第2領域
142s2、442s2:第3領域
142t、242t、442t:上端
140F、240F、440F:光反射材
141F、241F、441F:第1部材
142F、242F、442F:第2部材
142Fa、242Fa:上面
150:接合部材
160、560:遮光層
170、770:型部材
170a:上面
170b:下面
170c:側面
171:保持具
180:枠部材
343:充填部
443:第3部分
443a:上面
443b:内面
443c:外面
443d:下面
443s1:第4領域
443s2:第5領域
443F:第3部材
550:ワイヤ
880:接着剤
L1:第1光
L2:第2光
c:角部
t:肉厚
θ:角度
S1:発光素子及び波長変換層の直上の領域
S2:周辺領域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C