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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125388
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】紫外線照射機構の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
H01L21/78 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022959
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】ウォン カホー
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA22
5F063CA04
5F063DG34
5F063EE22
5F063EE43
5F063FF22
(57)【要約】
【課題】光源から被照射物に対し照射される紫外線の光量を確認することで、光量の低下に伴う不具合の発生を防ぐための新規な技術を提案する。
【解決手段】 被照射物を保持する保持部と、該保持部で保持された被照射物に照射する紫外光を発光する光源を有した照射ユニットと、を備えた紫外線照射機構2の検査方法であって、照射された紫外光の光量に応じて変色する感光層を表面に有した光量確認部材70を準備する準備ステップと、該光量確認部材70を該紫外線照射機構2の該保持部で保持する保持ステップと、該保持部で保持された該光量確認部材70の該感光層に該照射ユニット14で紫外光を照射する照射ステップと、該照射ステップを実施した後、該感光層の変色状態をもとに該照射ユニット14が照射する紫外線の光量を確認する確認ステップと、を備える紫外線照射機構の検査方法とする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射物を保持する保持部と、該保持部で保持された被照射物に照射する紫外光を発光する光源を有した照射ユニットと、を備えた紫外線照射機構の検査方法であって、
照射された紫外光の光量に応じて変色する感光層を表面に有した光量確認部材を準備する準備ステップと、
該光量確認部材を該紫外線照射機構の該保持部で保持する保持ステップと、
該保持部で保持された該光量確認部材の該感光層に該照射ユニットで紫外光を照射する照射ステップと、
該照射ステップを実施した後、該感光層の変色状態をもとに該照射ユニットが照射する紫外線の光量を確認する確認ステップと、を備える紫外線照射機構の検査方法。
【請求項2】
該照射ユニットは複数の光源を有し、
該確認ステップでは該光量確認部材の該感光層において照射された紫外線の光量が不足している領域を光量不足領域として特定し、
該確認ステップを実施した後、該光量不足領域に対応する該光源を交換する光源交換ステップを更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射機構の検査方法。
【請求項3】
該照射ユニットは、第1方向に伸長する同一線上に配置された複数の光源を有し、
該照射ステップでは、該第1方向に直交する第2方向に該照射ユニットが該光量確認部材に対して相対移動することで該感光層に紫外線を照射し、
該確認ステップでは該感光層において照射された紫外線の光量が不足している帯状領域を光量不足領域として特定し、
該確認ステップを実施した後、該帯状領域に対応する該光源を交換する光源交換ステップを更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射機構の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の被加工物に貼着されたテープに紫外線を照射し、テープの粘着力を低下させるための紫外線照射機構に関するものであり、より詳しくは、紫外線照射機構の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの製造工程では、ハンドリングを容易にするためにウェーハにテープを貼着している。テープは、紫外線硬化型の糊にて粘着層が形成された所謂UVテープ(粘着テープ)が用いられ、加工後のテープに紫外線を照射することで粘着層の粘着力が低下し、ウェーハを容易に剥離することができる。
【0003】
例えば、特許文献1では、半導体ウェーハ等のウェーハが貼着されたUVテープに紫外線を照射し、UVテープの粘着力を低下せしめる紫外線照射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-329300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光源から照射される紫外線の光量は、光源の経時劣化や装置の汚れなどにより低下することが懸念される。光量が低下すると、紫外線を照射したUVテープにおいて、粘着力が十分に低下しない領域が発生する不具合が生じてしまう。
【0006】
この不具合が生じた状況でUVテープからウェーハを剥離しようとすると、ウェーハの破損を引き起こすおそれがある。さらに、ウェーハに糊が付着して残存する糊残りが生じるおそれもある。
【0007】
以上に鑑み、本願発明は、光源から被照射物に対し照射される紫外線の光量を確認することで、光量の低下に伴う不具合の発生を防ぐための新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
本発明の一態様によれば、被照射物を保持する保持部と、該保持部で保持された被照射物に照射する紫外光を発光する光源を有した照射ユニットと、を備えた紫外線照射機構の検査方法であって、照射された紫外光の光量に応じて変色する感光層を表面に有した光量確認部材を準備する準備ステップと、該光量確認部材を該紫外線照射機構の該保持部で保持する保持ステップと、該保持部で保持された該光量確認部材の該感光層に該照射ユニットで紫外光を照射する照射ステップと、該照射ステップを実施した後、該感光層の変色状態をもとに該照射ユニットが照射する紫外線の光量を確認する確認ステップと、を備える紫外線照射機構の検査方法とする。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、該照射ユニットは複数の光源を有し、該確認ステップでは該光量確認部材の該感光層において照射された紫外線の光量が不足している領域を光量不足領域として特定し、該確認ステップを実施した後、該光量不足領域に対応する該光源を交換する光源交換ステップを更に備える、こととする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、該照射ユニットは、第1方向に伸長する同一線上に配置された複数の光源を有し、該照射ステップでは、該第1方向に直交する第2方向に該照射ユニットが該光量確認部材に対して相対移動することで該感光層に紫外線を照射し、該確認ステップでは該感光層において照射された紫外線の光量が不足している帯状領域を光量不足領域として特定し、該確認ステップを実施した後、該帯状領域に対応する該光源を交換する光源交換ステップを更に備える、こととする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検査方法では、照射された紫外光の光量に応じて変色する感光層を表面に有した光量確認部材に対し、紫外線照射機構で紫外線を照射し、感光層の変色に基づいて照射ユニットの光量を確認するものである。これにより、光量が不足しているか否かが視認できるため、光量不足の場合は光源を交換する等の適宜対策を取ることができ、粘着力が低下しないことによる被加工物の破損や、糊残り等の不具合発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】フレームユニットと紫外線照射機構の構成について示す図。
図2】(A)は紫外線照射機構の内部構成について示す側面一部断面図。(B)は照射ユニットの構成について説明する図。
図3】保持板などを上方から見た図。
図4】フレームユニットに紫外線を照射する様子について示す側面一部断面図。
図5】保持板にセットされたフレームユニットなどを上側から見た図。
図6】紫外線照射機構を備える切削装置の例について示す図。
図7】検査方法のフローチャートである。
図8】(A)検査用ユニットの構成について示す斜視図。(B)検査用ユニットの構成について示す側面断面図。
図9】検査用ユニットに紫外線を照射する様子について示す側面一部断面図。
図10】検査用ユニットに紫外線を照射する様子を下側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、フレームユニット7と紫外線照射機構2の構成について示す図である。
フレームユニット7は、被加工物1と環状のフレーム5をテープ3に貼着して構成される。被加工物1は、例えば、シリコン、SiC(シリコンカーバイド)、若しくは、その他の半導体等の材料でなるウェーハ、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる円板状の基板である。被加工物1の表面には、互いに交差する複数のストリートと呼ばれる分割予定ラインが設定され、分割予定ラインにより区画された各領域にそれぞれIC(Integrated circuit)やLED(Light emitting diode)等のデバイスが形成される。
【0015】
図1に示すように、被加工物1は分割予定ラインに沿ってダイシング加工されてチップに分割され、各チップは後にテープ3から剥離されてピックアップされ、個々のチップとして利用される。図1では、切削装置(図6)によりダイシング加工された後の被加工物1が示されている。
【0016】
図1に示すように、テープ3は、例えば、ポリオレフィン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の合成樹脂からなる基材と、基材上に紫外線硬化型の樹脂を含む粘着層と、有して構成される。粘着層は、被加工物1に対して強力な粘着力を発揮する一方で、紫外線が照射されると硬化して粘着力が低下する、所謂UVテープとして構成されるものである。チップをテープ3から剥離させる際には、テープ3に紫外線を照射して粘着層の粘着力を低下させることで、各チップを容易にピックアップできる。
【0017】
図1に示すように、紫外線照射機構2は、フレームユニット7の径よりも大きな幅を有する箱型の筐体4を備える。筐体4の一側面には、筐体4の内外にフレームユニット7を移動させる経路となる搬出入口6が形成されており、フレームユニット7は、搬出入口6を経て筐体4の内部の空間に搬入される。なお、搬出入口6には、筐体4の外部と、内部の空間と、を隔てる開閉可能な扉(シャッター)が備えられてもよい。
【0018】
図2(A)に示すように、筐体4の内部の空間は、フレームユニット7が搬入される第1空間4aと、第1空間4aの下方に位置し照射ユニット14が配設される第2空間4bと、を有するように構成される。両空間は、被加工物1を保持する保持部として機能する保持板8によって上下に区画される。
【0019】
図1及び図2(A)に示すように、筐体4において搬出入口6が形成された側面に隣接する一対の側面の内壁には、保持板8の縁部分を下側から支持するための支持部4cが対向して形成されている。
【0020】
図1図2(A)、及び図3に示すように、保持板8は、被加工物1の直径よりも大きく、かつフレーム5の内径よりも小さい内径の透過領域10と、透過領域10の周辺の遮蔽領域12と、を有する。透過領域10には、紫外線を透過する樹脂等で形成される板材11が配設され、円形の穴状に構成される透過領域10が板材11により塞がれる。
【0021】
図3に示すように、フレームユニット7は、上側から見た場合に、被加工物1が透過領域10の内側に配置されるように保持板8の上にセットされるようになっている。
【0022】
なお、保持板8は交換可能であり、被加工物1の直径やフレーム5の形状等に対応して適切な大きさの透過領域10を有するものが使用される。
【0023】
図1及び図2(A)(B)に示すように、筐体4の第2空間4bには、フレームユニット7に紫外線を照射する照射ユニット14と、照射ユニット14を移動させる移動機構16と、照射ユニット14を冷却する冷却機構24と、が配設される。
【0024】
図2(B)に示すように、照射ユニット14は、例えば、直線状に並ぶ複数の光源14aと、複数の光源14aを覆うケース36と、を備える。複数の光源14aは、被加工物1の直径よりも長い範囲で直線状に配列される。ケース36には、光源から発せられる紫外線に対して透過性を有する材料が使用される。
【0025】
光源14aは、紫外線を発することができるLED(light emitting diode)であり、特に、テープ3(図1)の粘着層を硬化させる波長の紫外線を発する機能を有する。光源14aは、テープ3(図1)への紫外線の照射が必要となるときに瞬時に所定の照度で紫外線を出力できるように構成される。
【0026】
図3に示すように、照射ユニット14は、保持板8の透過領域10の下方を往復するように移動し、透過領域10を通過する際にテープ3の下面に対して紫外線が照射される。
【0027】
図2(B)に示すように、ケース36の内部の光源14aの下方には、複数の薄板状の冷却フィン38が配されており、複数の冷却フィン38の間に気体を流すことで光源14aが冷却される。冷却フィン38の側部には、各冷却フィン38の間に流す気体の流路となる背部通気路40が配設される。
【0028】
図2(B)及び図3に示すように、照射ユニット14の下部には、照射ユニット14を保持板8と平行を保ちつつ、光源14aが並ぶ方向と直交する方向に移動させる移動機構16が配設される。移動機構16は、移動方向に沿って伸長する一対のガイドレール16aと、照射ユニット14をベルト駆動する図示せぬアクチュエータを備え、照射ユニット14をガイドレール16aに沿ってスライド移動させる。
【0029】
図2(A)に示すように、照射ユニット14には、冷却機構24が接続される。この冷却機構24は、照射ユニット14のケース36の内部に窒素ガスを導入し、窒素ガスにより照射ユニット14を冷却するものである。冷却機構24は、窒素ガス源44と、一端が窒素ガス源44に接続されるパイプ状の窒素ガス導入路18と、を有して構成される。ケース36の内部を冷却した窒素ガスは、背部通気路40(図2(B))、窒素ガス排出路20を通じて第1空間4aに排気される。
【0030】
図1に示すように、窒素ガス導入路18と窒素ガス排出路20は、帯状シート22に固定される。帯状シート22は、照射ユニット14の移動に伴って変形し、照射ユニット14の移動を妨げないように窒素ガス導入路18と、窒素ガス排出路20と、を適切に変形させる機能を有する。照射ユニット14が移動しても、帯状シート22により窒素ガス導入路18及び窒素ガス排出路20と、照射ユニット14と、の間の接続が維持される。
【0031】
図2(A)に示すように、窒素ガス排出路20の一端は、筐体4内に設けたパイプ状の窒素ガス供給路26の一端側に接続される。図1に示すように、窒素ガス供給路26の他端は、照射ユニット14の天板28に設けた窒素ガス分配部30に接続される。窒素ガス分配部30は、天板28に複数配置される窒素ガス噴出部34と窒素ガス供給路32を介して接続されている。
【0032】
図2(A)に示すように、各窒素ガス噴出部34は、筐体4の第1空間4aに通じており、各窒素ガス噴出部34から窒素ガスが供給されることで第1空間4aを窒素雰囲気にする。
【0033】
次に、紫外線照射機構によるフレームユニット7に対する紫外線の照射について説明する。
まず、図4及び図5に示すように、搬出入口6(図1)を経て筐体4の内部にフレームユニット7を搬入し、保持板8の上にフレームユニット7を載せる。このとき、保持板8の透過領域10と、被加工物1と、が重なるようにフレームユニット7が所定の位置に配設される。
【0034】
次に、図4及び図5に示すように、光源14aを点灯させながら照射ユニット14を移動させ、透過領域10を通して紫外線46(図4)をテープ3に照射する。照射ユニット14は往復移動され、透過領域10を通じてテープ3に一様に紫外線が照射される。テープ3に紫外線が照射されると、テープ3の粘着層が硬化し、被加工物1に対する貼着力が低下し、被加工物1(チップ)をテープ3から容易に剥離できることとなる。また、粘着層を確実に硬化させることで、被加工物1側への糊残りの発生を防ぐことができる。
【0035】
なお、テープ3においてフレーム5が接着されている領域は、保持板8の遮蔽領域12により遮られることにより、紫外線が照射されない。これにより、テープ3の外周領域における粘着力が維持され、フレーム5がテープ3から剥離し難い状態を維持することができる。
【0036】
図4に示すように、照射ユニット14を作動させる間は、冷却機構24により照射ユニット14が冷却される。照射ユニット14の冷却に使用された窒素ガスは、窒素ガス供給路26等を通じ、窒素ガス噴出部34から第1空間4a内へと供給される。第1空間4a内が窒素雰囲気となることで酸素濃度が低下し、テープ3の粘着層をより効果的に硬化させることができる。
【0037】
図6は、紫外線照射機構2を備える切削装置48の例について示す図である。
切削装置48は、フレームユニット7(図1)を保持するチャックテーブル54を有する。チャックテーブル54の上面は吸引保持面として構成され、テープ3を介して被加工物1(図1)を吸引保持する。
【0038】
チャックテーブル54は、X軸方向に加工送りされるとともに、垂直方向であるZ軸まわりに回転されるように構成される。
【0039】
装置基台44cの上面の角部には、フレームユニット7(図1)を収容するカセット52が載せられるカセット載置部50が配設される。カセット載置部50は図示せぬ昇降装置により昇降し、図示せぬ搬送ユニットにより所望のフレームユニット7(図1)の搬出入が行われる。
【0040】
カセット載置部50の下部には、紫外線照射機構2が組み込まれる。紫外線照射機構2には、切削装置48により切削加工が実施された被加工物を含むフレームユニット7(図1)が搬入される。
【0041】
加工位置に移動したチャックテーブル54の上方には、被加工物を切削する切削ユニット56が配設される。切削ユニット56は、装置基台44cの上面に設けた支持部60と、支持部60の前面に配設されたY軸移動機構61と、Z軸移動機構62と、により支持される。
【0042】
切削ユニット56には、切削ブレード56aが設けられる。切削加工時には、まず、切削ブレード56aを回転させるとともに、切削ユニット56を所定の高さ位置に位置づける。そして、切削液を切削ブレード56aに供給しつつ、チャックテーブル54を移動させ切削ブレード56aを被加工物に切り込ませることで、被加工物が切削される。
【0043】
装置基台44cの上面には、切削後の被加工物を洗浄するための洗浄装置64が配設されている。切削後の被加工物を含むフレームユニット7(図1)は、図示せぬ搬送ユニットにより洗浄装置64に搬送され、被加工物が洗浄される。
【0044】
洗浄装置64による洗浄を実施した後、フレームユニット7(図1)は図示せぬ搬送ユニットにより紫外線照射機構2に搬送される。そして、図4に示すように、紫外線照射機構2によりフレームユニット7に紫外線を照射することでテープ3の粘着層を硬化させる。その後、図示せぬ搬送ユニットによりフレームユニット7を紫外線照射機構2から搬出した後、カセット52を下降させてカセット52の所定の位置に搬入する。
【0045】
次に、紫外線照射機構の光源の検査方法について、図7に示す検査方法のフローチャートの順に説明する。
【0046】
<準備ステップ>
図8(A)(B)に示すように、照射された紫外光の光量に応じて変色する感光層72を表面に有した光量確認部材70を準備するステップである。
【0047】
光量確認部材70は、本実施例では、基材74の一側表面上に感光層72を積層してなる板状部材にて構成される。基材74は、例えば、紫外線を透過しない遮光部材にて構成し、遮光層を形成する。感光層72は、例えば、紫外線照射によって発色する発色剤が充填されたマイクロカプセルを含む塗料を塗布することで形成される。
【0048】
光量確認部材70は、感光層72が露出するように基材74側がテープ81に貼着される。光量確認部材70を取り囲むように環状のフレーム82がテープ81に貼着される。このようにして、光量確認部材70と、テープ81と、フレーム82と、を一体化した検査用ユニット80が構成される。
【0049】
なお、光量確認部材70の具体的な構成は上記構成に限定されるものではなく、例えば、基材74の両面に感光層72を構成することや、基材72を省略してテープに感光層72が直接形成されることとしてもよい。また、検査用ユニット80のテープ81と、フレーム82は、図1に示すフレームユニット7のテープ3と、フレーム5と同じものを利用することができる。なお、検査用ユニット80のテープ81については、紫外線硬化型の糊を使用したものの他、感圧式の糊を使用したものでもよい。
【0050】
また、本実施例では、光量確認部材70は円板状に構成され、直径が保持板8の透過領域10(図1)の直径よりも小さく構成され、透過領域10を通じて感光層72の全面に紫外線が照射されるものである。
【0051】
<保持ステップ>
図9に示すように、光量確認部材70を紫外線照射機構2の保持部(保持板8)で保持するステップである。
【0052】
図9に示すように、検査用ユニット80の感光層72を下側にするとともに、透過領域10の内側に感光層72が位置するように、検査用ユニット80を保持板8に設置する。
【0053】
<照射ステップ>
図9及び図10に示すように、保持部(保持板8)で保持された光量確認部材70の感光層72に照射ユニット14で紫外光を照射するステップである。
【0054】
照射ユニット14による紫外線46の照射は、図4及び図5に示す被加工物1への紫外線の照射と同様に行われる。図10に示すように、照射ユニット14は、第1方向D1に伸長する同一線上に配置された複数の光源14aを有し、照射ステップでは、第1方向D1に直交する第2方向D2に照射ユニットが光量確認部材70に対して相対移動することで感光層72に紫外線が照射される。図10は、検査用ユニット80を下側から見た図であり、感光層72が紫外線により濃い色に発色した様子を示している。
【0055】
なお、本実施例の照射ユニット14では、第1方向D1に伸長する同一線上に配置された複数の光源14aを有するものとし、照射ユニット14を第2方向D2に走査させるように移動させることとしたが、このような走査型の照射ユニットとする他、同一面に複数の光源を配置する面状の固定型の照射ユニットにより紫外線を照射することとしてもよい。
【0056】
<確認ステップ>
照射ステップを実施した後、感光層72の変色状態をもとに照射ユニット14が照射する紫外線の光量を確認するステップである。
【0057】
図10では、感光層72の領域A及び領域Eにおいて発色が濃く、領域B乃至Dにおいて発色が薄い状況が示している。このことは、領域A及び領域Eに照射された紫外線の光量が多く、領域B乃至Dに照射された紫外線の光量が多いことを示している。
【0058】
作業者は、照射ステップを実施した後、検査用ユニット80を取り出し、発色が薄い領域、即ち、紫外線の光量が少ない領域B乃至領域Dを特定する。
【0059】
<光源交換ステップ>
図10に示すように、光量確認部材70の感光層72において照射された紫外線の光量が不足している領域B乃至領域Dを光量不足領域として特定し、光量不足領域に対応する光源14b~14dを交換するステップである。
【0060】
光源交換の際には、紫外線の光量が少ない領域B乃至領域Dが特定されているため、交換が必要となる光源14b~14dのみを交換することができる。これにより、すべての光源を交換する必要がなく、正常に機能する光源を寿命に至るまで有効に活用することができ、また、交換作業を短時間で行うことが可能となる。
【0061】
なお、光源の経時劣化による光量不足の他、光源の汚れによる光量不足が懸念される場合には、光源14b~14dの箇所をクリーニングした後、再度紫外線を照射し直して確認ステップを実行することとしてもよい。
【0062】
以上のように、本発明の検索方法では、照射された紫外光の光量に応じて変色する感光層を表面に有した光量確認部材に対し、紫外線照射機構で紫外線を照射し、感光層の変色に基づいて照射ユニットの光量を確認するものである。これにより、光量が不足しているか否かが視認できるため、光量不足の場合は光源を交換する等の適宜対策を取ることができ、粘着力が低下しないことによる被加工物の破損や、糊残り等の不具合発生を防止できる。
【符号の説明】
【0063】
1 被加工物
2 紫外線照射機構
3 テープ
4 筐体
4a 第1空間
4b 第2空間
4c 支持部
5 フレーム
7 フレームユニット
8 保持板
10 透過領域
12 遮蔽領域
14 照射ユニット
14a 光源
16 移動機構
60 支持部
61 軸移動機構
62 軸移動機構
64 洗浄装置
70 光量確認部材
72 感光層
74 基材
80 検査用ユニット
81 テープ
82 フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10