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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126028
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】窒素無機化量算出装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20220823BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023856
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】501273886
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立環境研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】古賀 伸久
(72)【発明者】
【氏名】仁科 一哉
(72)【発明者】
【氏名】井原 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】新美 洋
(72)【発明者】
【氏名】山口 典子
(72)【発明者】
【氏名】山根 剛
(72)【発明者】
【氏名】草場 敬
(72)【発明者】
【氏名】渕山 律子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】窒素無機化量を正確に算出することが可能な窒素無機化量算出装置を提供する。
【解決手段】窒素無機化量算出装置1は、有機質資材に含まれる有機態窒素の土壌中での分解のし易さを示す指標、土壌の温度及び土壌の水分量を含む入力データを取得する取得部2と、指標の関数として表した窒素肥効率を含む式に入力データを入力することにより、有機質資材を土壌に投入したときの窒素無機化量を算出する算出部3と、算出した窒素無機化量を含む情報を出力する出力部4と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機質資材に含まれる有機態窒素の土壌中での分解のし易さを示す指標、前記土壌の温度、及び前記土壌の水分量を含む入力データを取得する取得部と、
前記指標の関数として表した窒素肥効率を含む式に前記入力データを入力することにより、前記有機質資材を前記土壌に投入したときの窒素無機化量を算出する算出部と、
算出した前記窒素無機化量を含む情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする窒素無機化量算出装置。
【請求項2】
前記式は、前記指標、前記土壌の温度、前記土壌の水分量、及び前記窒素無機化量の各々の実測値にフィッティングする式であることを特徴とする請求項1に記載の窒素無機化量算出装置。
【請求項3】
前記関数は、前記指標の二乗を、前記有機質資材の種類による定まる定数と前記指標の二乗との和で除した形を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の窒素無機化量算出装置。
【請求項4】
前記指標は、前記有機質資材のADSON、C/N比、及び全窒素量のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の窒素無機化量算出装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記有機質資材の種類と前記指標とを対応付けたテーブルを参照することにより、入力された前記有機質資材の種類に対応した前記指標を取得することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の窒素無機化量算出装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記有機質資材が入れられた袋に貼付された識別情報であって、該有機質資材の前記指標を示す識別情報をデコードすることにより前記指標を取得することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の窒素無機化量算出装置。
【請求項7】
前記窒素無機化量を含む情報は、作物の種類ごとに予め定められた前記窒素無機化量の基準値と比べて算出した前記窒素無機化量が多いときには前記有機質資材の施用量が過剰であることを示す情報と、前記基準値と比べて算出した前記窒素無機化量が少ないときには前記有機質資材の施用量が不足していることを示す情報とを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の窒素無機化量算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素無機化量算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肥料として使用される有機質資材には、家畜ふん堆肥、植物油粕、及び緑肥等がある。これらの有機質資材には有機態窒素が含まれており、その有機態窒素が土壌中で分解した無機態窒素によって植物の生長が促される。
【0003】
土壌に有機質資材を投入する前に無機態窒素の量(窒素無機化量)を把握できると、植物の生長に適切な量の有機質資材を土壌に投入することができるため、有機質資材の過剰施用を防止でき、過剰施用に伴う土壌養分の蓄積を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-197340号公報
【特許文献2】特開2006-61083号公報
【特許文献3】特開2019-175440号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「多様な土壌温度、土壌水分に対応した有機質資材由来窒素無機化のモデル予測 日本農業気象学会全国大会講演要旨」 Vol.2019 Page.73 (2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、窒素無機化量は、土壌温度等の様々な要因によって定まるため正確に求めるのは難しい。特に、土壌温度が低下する冬作での窒素無機化量を経験的に求めるのは難しい。また、暖地では、土壌中の有機物量が低下し易いため、土壌肥沃度を維持する観点からも窒素無機化量をなるべく正確に把握し、適切な施用量の有機質資材を土壌に投入できるようにするのが望まれる。
【0007】
本発明は、窒素無機化量を正確に算出することが可能な窒素無機化量算出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の窒素無機化量算出装置は、有機質資材に含まれる有機態窒素の土壌中での分解のし易さを示す指標、前記土壌の温度、及び前記土壌の水分量を含む入力データ を取得する取得部と、前記指標の関数として表した窒素肥効率を含む式に 前記入力データを入力することにより、前記有機質資材を前記土壌に投入したときの窒素無機化量を算出する算出部と、算出した前記窒素無機化量を含む情報を出力する出力部とを有する装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の窒素無機化量算出装置は、窒素無機化量を正確に算出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る算出装置が行う処理について示す模式図である。
図2図2は、土壌培養実験で用いた各パラメータと、実験で得られた窒素無機化量とを対応付けた実験結果データベースの模式図である。
図3図3は、本実施形態に係る窒素無機化量算出装置の機能構成図である。
図4図4は、本実施形態に係る窒素無機化量算出方法のフローチャートである。
図5図5は、資材テーブルの模式図である。
図6図6は、二次元バーコードについて示す模式図である。
図7図7は、窒素無機化量算出装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る算出装置が行う処理について示す模式図である。
【0012】
窒素無機化量算出装置1は、PC(Personal Computer)やサーバ等のコンピュータであって、有機質資材を土壌に投入したときの窒素無機化量Nmin (mg N/100g dry soil)を入力データPに基づいて算出する。有機質資材の種類は特に限定されないが、例えば家畜ふん堆肥、緑肥、作物収穫残さ、植物油粕、魚粕、米ぬか、汚泥肥料、及び生ごみたい肥等を有機質資材として使用し得る。
【0013】
以下では、作業者が、これから土壌に有機質資材をある投入量で投入したときに想定される窒素無機化量を予測するために、窒素無機化量算出装置1を使用する場合を想定する。
【0014】
この場合、入力データPは、有機質資材のADSON (mg N/100g dry soil)、有機質資材が投入される土壌の温度T (℃)、当該土壌の水分量Sm、有機物資材に含まれる有機態窒素の土壌への投入量Nin (mg N/100g dry soil)、及び土壌に有機物資材を投入してからの経過時間t (週)、及び有機質資材の種類を有する。なお、水分量Smは、土壌の最大容水量に対して水が占める割合(%)であるが、含水率など他の土壌水分指標でも構わない。また、投入量Ninは、ある投入量で有機質資材を土壌に投入した場合における、当該有機質資材に含まれる有機態質素の量である。
【0015】
一方、ADSONは、酸性デタージェント(AD)分析法で有機質資材を分析して得られるAD可溶有機態窒素であって、その値が大きいほど土壌中で有機態窒素が速く分解する。このように、ADSONは、有機質資材に含まれる有機態窒素の土壌中での分解のし易さを示す指標である。そのような指標としては有機質資材のC/N比や全窒素含量もあり、これらをADSONに代えて用いてもよい。なお、C/N比は、有機質資材に含まれる全炭素量に対する全窒素量の比である。
【0016】
このような入力データPを用いて、窒素無機化量算出装置1は、以下の式(1)に従って窒素無機化量Nminを算出する。
【0017】
【数1】
なお、式(1)のetfは、土壌の温度Tによって窒素無機化量Nminが変化することを加味した項であり、次の式(2)で定義される。
【0018】
【数2】
なお、式(2)のQ10は、有機質資材の種類ごとに決まる定数である。
【0019】
更に、式(1)のemfは、土壌の水分量Smによって窒素無機化量Nminが変化することを加味した項であり、次の式(3)で定義される。
【0020】
【数3】
なお、式(1)、(3)のα1、ki、bsoilは、有機質資材の種類ごとに決まる定数である。窒素無機化量算出装置1は、有機質資材の複数の種類の各々に対応した複数の式(1)を自装置の記憶装置に格納しており、それらの式(1)のうちで入力された有機質資材の種類に対応した定数Q10、α1、ki、bsoilを備えた式を呼び出して計算を行う。
【0021】
式(1)は、次のような土壌培養実験で得られた実測値にフィットする式である。その土壌培養実験では、入力データPに含まれる各変数を変えたときに窒素無機化量Nminがどのように変わるのかを調べた。その結果を図2に示す。
【0022】
図2は、土壌培養実験で用いた各パラメータと、その実験で得られた窒素無機化量Nminとを対応付けた実験結果データベースの模式図である。
【0023】
図2に示すように、この実験結果データベースは、土壌の温度T、土壌の水分量Sm、経過時間t、土壌の種類、投入量Nin、ADSON、及び窒素無機化量Nminの各々の実測値を対応付けたデータベースである。
【0024】
なお、土壌の種類における「MIY_0」は宮崎県都城市で採取した黒ボク土であり、「MIY_12」は「MIY_0」に隣接する堆肥連用ほ場で採取した黒ボク土である。また、「CHI」は福岡県筑後市で採取した灰色低地土であり、「NAG」は長崎県諫早市で採取した赤色土である。黒ぼく土、灰色低地土、赤色土は、いずれも日本を代表する農耕地土壌である。
【0025】
また、Nin、ADSON、及び窒素無機化量Nminの各々の単位はいずれも「mg N/100g dry soil」である。
【0026】
実験の手順としては、まず、乾土(dry soil)10g相当の風乾細土を秤量し、それを容積が100mlのポリ瓶に入れた。次いで、そのポリ瓶に風乾した粗粉砕有機質資材を入れ、風乾細土と粗粉砕有機質資材とをガラス棒で攪拌した。
【0027】
次に、目的の土壌水分量になるようにポリ瓶に水を加水し、加水後のポリ瓶の重量を記録した。その後、ポリエチレンフィルムでポリ瓶の口を覆い、輪ゴムで留めた。以上により培養の準備が整った。
【0028】
次いで、目的の温度に設定したインキュベータ内にポリ瓶を入れ、培養を開始した。その後、2週間に1回の頻度で、減少した量の水を土壌に加え、この時の土壌を入れたポリ瓶の重量を記録した。
【0029】
そして、培養期間が終了した後に、土壌を入れたポリ瓶の重量を再び記録した。次いで、ポリ瓶に50mlの10%KCl溶液を入れて1時間振とうした。その後、土壌をろ過してろ液を抽出し、ろ液を冷蔵庫内に保管した。
【0030】
続いて、ろ液中のアンモニア態窒素と硝酸態窒素の各濃度を測定した。そして、添加したKCl溶液の量と土壌中の水の量とに基づいて、乾土当たりのアンモニア態窒素と硝酸態窒素のそれぞれを合計した含量(mg N/100 g 乾土)を窒素無機化量として算出した。この量は、資材投入なしで同期間培養した土壌中の窒素無機化量を差し引いた量である。
【0031】
この実験結果データベースの各実測値にフィットする式が前述の式(1)である。式(1)によれば、左辺にADSON2/(α1+ADSON2)で表される係数が含まれる。この係数は窒素肥効率を表しており、それを上記のようにADSONの二乗の有理関数で表すことにより土壌培養実験の実測値を式(1)で良好に再現できることが明らかとなった。そのため、式(1)を用いることにより、窒素無機化量算出装置1が窒素無機化量Nminを精度良く算出することができる。
【0032】
次に、窒素無機化量算出装置1の機能構成について説明する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る窒素無機化量算出装置1の機能構成図である。
【0034】
図3に示すように、窒素無機化量算出装置1は、取得部2、算出部3、及び出力部4を有する。
【0035】
このうち、取得部2は、入力データPを取得する処理部である。算出部3は、式(1)に入力データPを入力することにより有機物資材の窒素無機化量Nminを算出する処理部である。また、出力部4は、算出した窒素無機化量Nminや、有機質資材の施用量に過不足があるか等の情報を出力する処理部である。
【0036】
図4は、本実施形態に係る窒素無機化量算出方法のフローチャートである。
【0037】
まず、取得部2が入力データPを取得する(ステップS1)。一例として、これから有機質資材を圃場に投入しようとする作業者がキーボード等の入力デバイスを操作することにより窒素無機化量算出装置1に入力データPを入力し、該入力データPを取得部2が取得する。
【0038】
なお、入力データPにはADSONが含まれているが、作業者が圃場に投入する予定の有機質資材のADSONを該作業者が特定するのが難しい場合がある。その場合は、作業者の入力を補助するために、予め有機質資材の種類とADSONとを対応付けた資材テーブルを用意しておいてもよい。
【0039】
図5は、その資材テーブル7の模式図である。
【0040】
図5に示すように、資材テーブル7は、「有機物資材の種類」、「全炭素量」、「全窒素量」、「C/N比」、及び「ADSON」を対応付けた情報である。
【0041】
このうち、「有機物資材の種類」は、家畜ふん堆肥や緑肥等といった有機物資材の種類である。なお、家畜ふん堆肥には組成が異なる複数の種類があるため、それらを「家畜ふん堆肥1」、「家畜ふん堆肥2」等で区別している。
【0042】
また、「全炭素量」と「全窒素量」は、それぞれ有機物資材に含まれる全炭素量と全窒素量である。また、「C/N比」は、これらの全炭素量と全窒素量の比である。そして、「ADSON」は、有機質資材に含まれるADSONである。
【0043】
作業者がこの資材テーブル7を参照することにより、作業者が使用する予定の有機質資材のADSONを簡単に特定することができ、それを入力パラメータPに含めて窒素無機化量算出装置1に入力することができる。
【0044】
なお、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介して窒素無機化量算出装置1と接続された記憶装置に資材テーブル7を記憶させてもよい。この場合は、取得部2は、作業者が入力した有機質資材に対応したADSONを資材テーブル7から取得する。また、窒素無機化量算出装置1の記憶装置に資材テーブル7を記憶させ、取得部2がその資材テーブル7に含まれるADSONを読み出してもよい。更に、ADSONに代えて、資材テーブル7のC/N比を取得部2が取得してもよい。
【0045】
また、以下のようにADSONをエンコードした二次元バーコードを用いてもよい。
【0046】
図6は、その二次元バーコードについて示す模式図である。
【0047】
二次元バーコード10は、ADSONをエンコードした識別情報であって、例えば有機質資材の肥料袋11に貼付される。この場合、窒素無機化量算出装置1としてスマートフォン等の携帯端末を利用し、作業者がその携帯端末のカメラで二次元バーコード10を撮影する。これにより、取得部2が二次元バーコード10をデコードし、肥料袋11に入れられている有機質資材のADSONを取得する。
【0048】
再び図4を参照する。
【0049】
次いで、算出部3が式(1)に入力データPを入力することにより有機物資材の窒素無機化量Nminを算出する(ステップS2)。
【0050】
その後、出力部4が、算出部3が算出した窒素無機化量Nminを出力する(ステップS3)。一例として、出力部4は、窒素無機化量Nminを表示する指示を液晶ディスプレイ等の表示装置に出力する。
【0051】
窒素無機化量Nminが大きいと有機質資材の肥料としての効果が大きくなり、窒素無機化量Nminが小さい場合と比較して減肥できる。また、肥料としての効果が最も高くなる窒素無機化量Nminは作物の種類によって異なる。
【0052】
そこで、肥料としての効果が最も高くなる窒素無機化量Nminを作物の種類ごとに基準値として予め定めておき、その基準値と作物の種類とを対応付けたデータベースを窒素無機化量算出装置1の記憶装置に格納してもよい。この場合は、作業者が窒素無機化量算出装置1に作物の種類を入力し、それを取得部2が取得する。その後、算出部3が、算出した窒素無機化量Nminがデータベースの基準値よりも多いか少ないかを判定する。
【0053】
そして、算出した窒素無機化量Nminが基準値よりも多い場合には、有機質資材の施用量が過剰であることを示す文字情報を出力部4が出力してもよい。また、算出した窒素無機化量Nminが基準値よりも少ない場合には、有機質資材の施用量が不足していることを示す文字情報を出力部4が出力してもよい。
【0054】
以上により、本実施形態に係る算出方法の基本的な処理を終える。
【0055】
上記した本実施形態によれば、入力データPに土壌の温度、水分量、及びADSONが含まれるため、これらのパラメータによって変動し得る窒素無機化量Nminを窒素無機化量算出装置1が算出できる。これにより、土壌に有機質資材を投入したときの窒素肥料としての効き具合を作業者が予め予測することができ、土壌に適した有機質資材の施用量を作業者が把握することができる。
【0056】
しかも、本実施形態では入力データP中の各パラメータと窒素無機化量の各々の実測値(図2参照)にフィッティングする式(1)を採用する。そのため、算出部3が実測値に近い値の窒素無機化量Nminを算出することができる。
【0057】
特に、有機質資材に含まれる有機態窒素の土壌中での分解のし易さを示す指標としてADSONを採用することで、式(1)において窒素肥効率を表す係数がADSON2/(α1+ADSON2)というADSONの二乗の有理関数となり、これにより式(1)が実測値に良好にフィッティングするようになる。
【0058】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0059】
(ハードウェア構成)
次に、本実施形態に係る窒素無機化量算出装置1のハードウェア構成について説明する。
【0060】
図7は、窒素無機化量算出装置1のハードウェア構成図である。
【0061】
図7に示すように、窒素無機化量算出装置1は、記憶装置1a、メモリ1b、プロセッサ1c、通信インターフェース1d、表示装置1e、入力装置1f、及び媒体読取装置1gを有する。これらの各部は、バス1hにより相互に接続される。
【0062】
このうち、記憶装置1aは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性のストレージであって、本実施形態に係る窒素無機化量算出プログラム100を記憶する。
【0063】
なお、窒素無機化量算出プログラム100をコンピュータが読み取り可能な記録媒体1kに記録し、媒体読取装置1gを介してプロセッサ1cにその窒素無機化量算出プログラム100を読み取らせるようにしてもよい。
【0064】
そのような記録媒体1kとしては、例えばCD-ROM(Compact Disc Read only memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の物理的な可搬型記録媒体がある。また、フラッシュメモリ等の半導体メモリやハードディスクドライブを記録媒体1kとして使用してもよい。これらの記録媒体1kは、物理的な形態を持たない搬送波のような一時的な媒体ではない。
【0065】
更に、公衆回線、インターネット、及びLAN等に接続された装置に窒素無機化量算出プログラム100を記憶させてもよい。その場合は、プロセッサ1cがその窒素無機化量算出プログラム100を読み出して実行すればよい。
【0066】
一方、メモリ1bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のようにデータを一時的に記憶するハードウェアであって、その上に窒素無機化量算出プログラム100が展開される。
【0067】
プロセッサ1cは、窒素無機化量算出装置1の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphical Processing Unit)等のハードウェアである。また、プロセッサ1cは、メモリ1bと協働して窒素無機化量算出プログラム100を実行する。
【0068】
このようにメモリ1bとプロセッサ1cとが協働して窒素無機化量算出プログラム100を実行することにより、図3の取得部2、算出部3、及び出力部4が実現される。
【0069】
更に、通信インターフェース1dは、窒素無機化量算出装置1をLANやインターネット等のネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等のハードウェアである。
【0070】
そして、表示装置1eは、算出した窒素無機化量Nminを表示するための液晶ディスプレイやタッチパネル等のハードウェアである。
【0071】
また、入力装置1fは、作業者が窒素無機化量算出装置1に入力パラメータPを入力するためのキーボードやマウス等のハードウェアである。
【0072】
媒体読取装置1gは、記録媒体1kを読み取るためのCDドライブ、DVDドライブ、及びUSBインターフェース等のハードウェアである。
【符号の説明】
【0073】
1…窒素無機化量算出装置、2…取得部、3…算出部、4…出力部、7…資材テーブル、10…二次元バーコード、11…肥料袋。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7