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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127491
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】吸収性物品の収容体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/07 20170101AFI20220824BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220824BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B65D85/07
A61F13/15 200
B65D77/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025675
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 俊理
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴史
【テーマコード(参考)】
3B200
3E067
3E068
【Fターム(参考)】
3B200DF09
3E067AA12
3E067AB83
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067CA11
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB03
3E067EE02
3E067EE06
3E067EE09
3E067EE20
3E067EE59
3E067FA03
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD05
3E067GD07
3E067GD09
3E068AA40
3E068AB02
3E068AC07
3E068BB02
3E068BB17
3E068CC22
3E068CE03
3E068CE10
3E068DD04
3E068DD09
3E068DE11
3E068EE17
3E068EE25
3E068EE26
3E068EE28
3E068EE32
3E068EE34
(57)【要約】
【課題】袋体の透過性を高くしつつ、袋体に設けられた情報表示部の視認性を確保できる吸収性物品の収容体を提供する。
【解決手段】吸収性物品の収容体(100)は、吸収性物品(1)を包装シート(2)によって個別に包装した包装体(10)と、吸収性物品の厚み方向に複数積層された包装体(10)を収容した袋体(50)と、を備える。袋体の第1面(51)には、吸収性物品に関連する情報を示す情報表示部(70)が設けられている。包装シートは、第1面の情報表示部と対向して配置された対向領域(R10)を有する。情報表示部は、50%以上の光線透過率を有する。対向領域には、吸収性物品に関連する情報が設けられてなく、かつ60%以上の光線透過率の透過部(3)が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品を包装シートによって個別に包装した包装体と、
前記吸収性物品の厚み方向に複数積層された前記包装体を収容した袋体と、を備え、
前記袋体の第1面には、前記吸収性物品に関連する情報を示す情報表示部が設けられている、吸収性物品の収容体であって、
前記包装シートは、前記第1面の前記情報表示部と対向して配置された対向領域を有し、
前記情報表示部は、50%以上の光線透過率を有し、
前記対向領域には、前記吸収性物品に関連する情報が設けられてなく、かつ60%以上の光線透過率の透過部が設けられている、吸収性物品の収容体。
【請求項2】
前記包装体は、前記包装シート同士を接合した包装接合部を有し、
前記包装接合部は、前記対向領域に設けられている、請求項1に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項3】
前記袋体は、前記第1面と対向する第2面を有し、
前記第1面及び前記第2面は、前記吸収性物品の前記厚み方向に延びる前記包装体の側面と対向する面であり、
前記収容体は、前記第1面と前記第2面を繋ぐ奥行方向と、前記包装体の側面に沿って延びる縦方向と、前記縦方向及び前記奥行方向に直交する横方向と、を有し、
前記包装体内の前記吸収性物品の前記奥行方向の長さは、前記袋体の収容空間の前記奥行方向の長さよりも短い、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項4】
前記包装体の前記奥行方向の長さは、前記袋体の前記収容空間の前記奥行方向の長さよりも長い、請求項3に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項5】
前記透過部は、前記奥行方向において前記包装体の外端縁から内側に延びており、
前記透過部の前記奥行方向の長さは、前記包装体内の前記吸収性物品の厚み以上である、請求項3又は請求項4に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項6】
前記透過部の前記奥行方向の長さは、前記包装体内の前記吸収性物品の厚みに対する2倍以上である、請求項5に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項7】
前記包装体の前記奥行方向における外側部の厚みは、前記包装体の前記奥行方向における中央の厚みよりも薄く、
前記透過部は、前記包装体の前記奥行方向における外側部に設けられている、請求項5又は請求項6に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項8】
前記包装シートは、前記透過部よりも前記奥行方向の内側に配置された着色部を有し、
前記透過部の剛性は、前記着色部の剛性よりも低い、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項9】
前記着色部は、前記第1面及び前記第2面のうち、少なくとも一方と隣接する前記袋体の第3面に対向して配置されており、
前記着色部は、前記第3面と同じ色を有する、請求項8に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項10】
前記着色部の前記奥行方向の長さは、前記包装体内の前記吸収性物品の前記奥行方向の長さよりも長い、請求項8又は請求項9に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項11】
前記着色部の前記奥行方向における外側部には、前記着色部の前記奥行方向における中央よりも薄い色を有する薄色部が設けられている、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項12】
前記包装シートの前記奥行方向における外側部における着色部の面積率は、前記包装シートの前記奥行方向における中央における前記着色部の面積率よりも低い、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項13】
前記袋体は、前記包装体を出し入れする開封口を形成するための孔部の集合体を有し、
前記透過部は、前記孔部の集合体に対向して配置されている、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項14】
前記包装シートは、フィルムによって構成されている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品を包装シートによって個別に包装した包装体と、包装体を複数収容した袋体と、を備える吸収性物品の収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性物品を包装シートによって個別に包装した包装体を袋体に収容した吸収性物品の収容体が開示されている。特許文献1の包装シートは、透明又は半透明である。吸収性物品と、透明又は半透明の包装シートと、のそれぞれに、吸収性物品に関する情報を設けており、包装体の外側から視認した使用者に、吸収性物品に関する情報を提供できる。また、特許文献1には、包装体を袋体内に横に並べて収納した状態において、袋体の表示を参照するまでもなく包装体の内容物に関する情報を容易に知ることができるが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-223757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、袋体の外面には、吸収性物品に関する情報が設けられている。しかし、吸収性物品に関する情報が、袋体と包装体の包装シートの両方に設けられていると、包装シートに設けられた情報が袋体を透けて見え、袋体の情報が見え難くなることがあった。また、近年、環境に対する配慮から、袋体の透過性が求められている。袋体の透過性を高くすると、環境に対する配慮ができるだけでなく、使用者は、袋体の内部に配置された包装体が収容体の外側から視認し易く、内容物の存在を外側から確認できる安心感を得やすい。しかし、袋体の透過性を高くすると、包装シートに設けられた情報の存在により、袋体の情報の視認性が更に低下することがあった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、袋体の透過性を高くしつつ、袋体に設けられた情報表示部の視認性を確保できる吸収性物品の収容体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品の収容体は、吸収性物品を包装シートによって個別に包装した包装体と、前記吸収性物品の厚み方向に複数積層された前記包装体を収容した袋体と、を備える。前記袋体の第1面には、前記吸収性物品に関連する情報を示す情報表示部が設けられている。前記包装シートは、前記第1面の前記情報表示部と対向して配置された対向領域を有する。前記情報表示部は、50%以上の光線透過率を有する。前記対向領域には、前記吸収性物品に関連する情報が設けられてなく、かつ60%以上の光線透過率の透過部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る吸収性物品の収容体及び包装体の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る吸収性物品の収容体の上面図である。
図3図3は、実施形態に係る吸収性物品の包装体の平面図である。
図4図4は、実施形態に係る吸収性物品の収容体及び包装体の模式断面図である。
図5図5は、袋体及び包装シートの光線透過率の比較評価結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品の収容体は、吸収性物品を包装シートによって個別に包装した包装体と、前記吸収性物品の厚み方向に複数積層された前記包装体を収容した袋体と、を備える。前記袋体の第1面には、前記吸収性物品に関連する情報を示す情報表示部が設けられている。前記包装シートは、前記第1面の前記情報表示部と対向して配置された対向領域を有する。前記情報表示部は、50%以上の光線透過率を有する。前記対向領域には、前記吸収性物品に関連する情報が設けられてなく、かつ60%以上の光線透過率の透過部が設けられている。本態様によれば、情報表示部の光線透過率が50%以上であり、情報表示部の透過性が高いため、使用者は、情報表示部を視認した際に、環境に対する配慮がなされた製品である心証や、隠蔽された製品でなく、かつ袋体の外側から内容物である吸収性物品の存在を確認できる製品である心証を得やすい。また、対向領域は、吸収性物品に関連する情報が設けられてなく、袋体の情報表示尾を介して袋体の外側から視認され難い。よって、使用者が情報表示部を視認した際に、包装シートの存在によって文字部を読み難くなる不具合を抑制し、使用者は、情報表示部による情報を把握し易くなる。また、対向領域は、60%以上の光線透過率を有し、透過度が高い。そのため、仮に、袋体を介して包装シートが透けた場合であっても、使用者は、袋体の外側から包装シートの陰影が把握し難く、包装シートの存在によって文字部を読み難くなる不具合を抑制できる。
【0009】
好ましい一態様によれば、前記包装体は、前記包装シート同士を接合した包装接合部を有する。前記包装接合部は、前記対向領域に設けられている。本態様によれば、包装接合部によって情報表示部を内側から支持し、袋体の形状を維持し易い。袋体が意図せずに変形し難く、袋体及び包装シートを介して吸収性物品の絵柄や陰影に起因して情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記袋体は、前記第1面と対向する第2面を有する。前記第1面及び前記第2面は、前記吸収性物品の厚み方向に延びる前記包装体の側面と対向する面である。前記収容体は、前記第1面と前記第2面を繋ぐ奥行方向と、前記包装体の側面に沿って延びる縦方向と、前記縦方向及び前記奥行方向に直交する横方向と、を有する。前記包装体内の前記吸収性物品の前記奥行方向の長さは、前記袋体の収容空間の前記奥行方向の長さよりも短い。本態様によれば、吸収性物品の奥行方向の長さが袋体の収容空間の奥行方向の長さよりも短いので、袋体内に包装体が収容された状態で、包装シートの対向領域と情報表示部との距離が設けられ易く、吸収性物品の絵柄や陰影によって、情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記包装体の前記奥行方向の長さは、前記袋体の前記収容区間の前記奥行方向の長さよりも長い。本態様によれば、袋体内に包装体が収容された状態で、包装体の一部が奥行方向にたくれ、包装シート同士の重なりが形成されやすい。包装シートが吸収性物品を隠蔽することで、吸収性物品の絵柄や陰影によって、情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記透過部は、前記奥行方向において前記包装体の外端縁から内側に延びている。前記透過部の前記奥行方向の長さは、前記包装体内の前記吸収性物品の厚み以上である。本態様によれば、包装シートの外側縁が厚み方向に曲がって包装体の側面に沿って配置された際に、透過部によって吸収性物品の側面を覆うことができる。より詳細には、透過部の根元(奥行方向における内端縁)が)吸収性物品の厚み方向の中央に位置し、当該透過部の根元から折れて袋体の内面に沿って透過部が配置された際に、折れた透過部を有する包装体内の吸収性物品の側面の半分を覆い、さらに隣接する包装体の吸収性物品の側面の半分を覆うことができる。透過部によって吸収性物品の側面を覆うことで、吸収性物品の絵柄や陰影に起因して情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記透過部の前記奥行方向の長さは、前記包装体内の前記吸収性物品の厚みに対する2倍以上である。本態様によれば、包装シートの外側縁が厚み方向に曲がって包装体の側面に配置された際に、透過部によって隣接する包装体の側面も覆うことができる。より詳細には、透過部の根元(奥行における内端縁)が吸収性物品の厚み方向の中央に位置し、当該透過部の根元から折れて袋体の内面に沿って透過部が配置された際に、折れた透過部を有する包装体の吸収性物品の側面の半分を覆い、隣接する包装体の吸収性物品の側面の全体、及び更に隣接する包装体の吸収性物品の側面の半分を覆うことができる。よって、収容体全体に亘って情報表示部の視認性の低下を抑制できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記包装体の前記奥行方向における外側部の厚みは、前記包装体の前記奥行方向における中央の厚みよりも薄い。前記透過部は、前記包装体の前記奥行方向における外側部に設けられている。本態様によれば、包装体の外側部は、その厚みが薄く、袋体内でたくれる等変形し易い。包装シートの外側部の透過部によって吸収性物品の側面を覆うことができる。吸収性物品の絵柄や陰影に起因して情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記包装シートは、前記透過部よりも前記奥行方向の内側に配置された着色部を有する。前記透過部の剛性は、前記着色部の剛性よりも低い。本態様によれば、着色部によって、包装体のデザイン性を向上させたり、包装体を持ち歩いた際の吸収性物品の隠蔽性を向上させたりできる。また、透過部は、その剛性が比較的低く、たくれやすい。透過部がたくれることで、透過部によって吸収性物品の側面を覆うことができる。吸収性物品の絵柄や陰影に起因して情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記着色部は、前記第1面及び前記第2面のうち、少なくとも一方と隣接する前記袋体の第3面に対向して配置されている。前記着色部は、前記第3面と同じ色を有する。本態様によれば、着色部が第3面と同色であることにより、着色部による収容体全体のデザインや世界観を崩すことを抑制できる。包装体の装飾効果と、収容体の包装効果と、を両立できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記着色部の前記奥行方向の長さは、前記包装体内の前記吸収性物品の前記奥行方向の長さよりも長い。本態様によれば、着色部によって吸収性物品の隠蔽性を高めることができる。また、着色部によって吸収性物品の奥行方向の全体を覆うことが可能となり、透過部を介して吸収性物品が収容体の外側から視認されることを抑制できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記着色部の前記奥行方向における外側部には、前記着色部の前記奥行方向における中央よりも薄い色を有する薄色部が設けられている。本態様によれば、薄色部を有することにより、着色部と透過部の境界が目立ち難くなる。複数の包装体を有する形態では、包装体内の吸収性物品の位置がずれ、収容体全体として統一感を得難いおそれがあった。しかし、個々の包装体における吸収性物品の位置のずれが目立ち難くなることで、収容体全体としての統一感を維持できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記包装シートの前記奥行方向における外側部における着色部の面積率は、前記包装シートの前記奥行方向における中央における前記着色部の面積率よりも低い。本態様によれば、包装シートの奥行方向における中央よりも外側部の着色部の面積率が低いため、包装シートの奥行方向における中央から外側部にかけて着色部が目立ち難くなり、着色部と透過部の境界が目立ち難くなる。よって、吸収性物品の位置のずれが目立ち難く、収容体全体としての統一感を維持できる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記袋体は、前記包装体を出し入れする開封口を形成するための孔部の集合体を有する。前記透過部は、前記孔部の集合体に対向して配置されている。使用者が収容体を外側から視認すると、袋体内の孔部を介して包装体の外面を視認可能となる。このとき、本態様によれば、孔部を介して着色部が見える形態と比較して、孔部を介して見える包装体が目立ち難くなり、収容体の外観のデザインを損ねる不具合を抑制できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記包装シートは、フィルムによって構成されている。フィルムによって構成された包装シートは、不織布によって構成された包装シートと比較して、平滑であり、袋体の第1面に沿って配置され易い。よって、包装シートによって吸収性物品の隠蔽性を高めることができる。また、フィルムは、不織布のような繊維間の空隙が形成されず、包装シート全体に亘って隠蔽性を維持できる。
【0022】
(2)吸収性物品の収容体の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の収容体(以下、収容体100とする)について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0023】
図1は、実施形態に係る収容体100及び包装体10の斜視図である。図2は、図1における上面側から見た収容体100を示しており、収容体100の上面図である。図3は、包装体10の平面図である。収容体100は、吸収性物品1を包装シート2によって個別に包装した包装体10と、吸収性物品1の厚み方向Tに複数積層された包装体10を収容した袋体50と、を有する。袋体50内の空間に、包装体10が複数収容されている。吸収性物品1としては、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナーを例示できる。袋体50の表面は、収容体100の外面を構成し、袋体50の裏面は、収容体100の内面を構成し、包装体10に接触してよい。袋体50は、直方形に成形されてよい。なお、変形例において、袋体50は、マチを有するガゼット袋、又は両サイドがシールされたパック袋であってもよい。袋体50は、情報表示部70を示す第1面51を有していればよく、その形状は限定されない。情報表示部70については、後述にて詳細に説明する。袋体50は、包装体10を出し入れする開封口を形成するための孔部の集合体58を有してよい。孔部の集合体は、ミシン目であってよく、使用者が孔部を連続して引き裂くことにより、開封口が形成される。
【0024】
本実施の形態の袋体50は、直方形に成形された状態で、第1面51から第6面56を有する六面体であってよい。第1面51から第6面56は、矩形の面である。袋体50は、互いに対向する第1面51及び第2面52と、互いに対向する第3面53及び第4面54と、互いに対向する第5面55及び第6面56を有する。第1面51には、吸収性物品1に関連する情報を示す情報表示部70が設けられている。第3面53には、孔部の集合体58と、袋体50を構成するシート同士を接合した袋シール部59と、が設けられている。
【0025】
収容体100は、袋体50の第1面51と第2面52を繋ぐ奥行方向D3と、縦方向D1と、横方向D2と、を有する。横方向D2は、包装体10の積層方向、すなわち、吸収性物品1の厚み方向Tに沿ってよい。また、縦方向D1は、包装体10の側面に沿って延びてよい。第1面51及び第2面52は、縦方向D1及び横方向D2に延びる面であり、吸収性物品の厚み方向に延びる包装体10の側面と対向する面であってよい。第1面51及び第2面52は、収容体100の正面と背面を構成してよい。第3面53及び第4面54は、横方向D2及び奥行方向D3に延びる面であり、収容体100の上面と底面を構成してよい。第3面53は、第1面51と第2面の少なくとも一方と隣接していればよく、本実施の形態では、第1面51及び第2面52の両方に隣接している。第5面55及び第6面56は、縦方向D1及び奥行方向D3に延びる面であり、収容体100の左右の側面を構成してよい。
【0026】
包装体10は、吸収性物品1を包装シート2によって個別に包装している。包装シート2は、不織布又はフィルムによって構成できる。本発明における包装シート2は、吸収性物品1を個別に包装し、その内側に吸収性物品1を内包するシートである。包装シート2は、吸収性物品1を着用物品に接合するための接合部を使用前に保護し、かつ使用時に接合部から離間される剥離シートを含まない。なお、以下において説明にする包装シートの剛性や厚み等の寸法や性質は、剥離シートが包装シートに接合されている形態にあっては、剥離シートを除き、包装シート2単体で観察される。吸収性物品1は、図示しない表面シート、裏面シート及び吸収コアを含んでおり、公知の吸収性物品であってよい。包装体10は、吸収性物品1及び包装シート2が共に折り畳まれることによって、吸収性物品1を包装シート2によって個別に包装してよい。本実施の形態では、吸収性物品1及び包装シート2は、奥行方向D3に沿う折り目を基点に折り畳まれている。包装体10は、包装シート2同士を接合した包装接合部15を有する。包装接合部15は、包装シート2の同士を熱溶着等によって接合した部分である。包装接合部15は、包装体10の奥行方向D3の両方の外端部に設けられてよい。
【0027】
第1面51は、第1面51から第6面56のうち最も大きい面積を有する面であってよい。第1面51は、収容体100が流通時に店舗等で陳列された状態で前側に向けて配置され、正面を構成してよい。なお、正面として使用できる面が2面以上ある形態にあっては、当該正面を構成する複数の面のうちいずれかの面が第1面51の構成を満たしていればよい。袋体50には、複数の画像が設けられてよい。画像は、袋体50を構成するシートに印刷が施されることによって設けられてよい。画像は、情報表示部70を有してよい。情報表示部70は、吸収性物品1に関連する情報を示す。吸収性物品1に関連する情報は、商品の名称、商品のブランド名等の名称の情報のみならず、商品の機能を示す情報及び製品の見た目に関する情報も含む。情報表示部70は、情報を示す文字又は図柄を有する文字部71と、文字部71の周囲に配置された背景部75と、を有する。文字部71は、図柄、マーク、記号、文字のうち少なくともいずれかを有する。背景部75は、文字部71の周囲に配置されている部分であり、文字部71全体を囲んでいてもよい。背景部75は、着色されていてもよいし、着色されていなくてもよい。背景部75は、文字部の周囲に配置された領域であればよく、その外縁が枠状のデザイン等で囲まれている場合には、当該枠が背景部の外縁を構成してよく、その外縁が枠状のデザイン等で囲まれていない場合には、文字部から10mmの範囲を背景部の外縁としてみなすことができる。
【0028】
本実施の形態の包装体10は、袋体50の透過性を高くしつつ、袋体50に設けられた情報表示部70の視認性を確保できるように構成されている。次いで、袋体50の透過性を高くしつつ、袋体50に設けられた情報表示部70の視認性を確保するための構成について詳細に説明する。袋体50の情報表示部70は、50%以上の光線透過率を有する。一般的に、使用者は、吸収性物品1の購入時に、吸収性物品1の製品名等の情報を視認する。そのため、情報表示部70は、袋体50において、特に使用者が着目する部分である。当該情報表示部70の光線透過率が50%以上であるため、使用者は、情報表示部70を視認した際に、環境に対する配慮がなされた製品である心証や、隠蔽された製品でなく、袋体50の外側から内容物である吸収性物品1の存在を確認できる製品である心証を得やすい。なお、情報表示部70の全域の光線透過率が50%以上でなくてよく、文字部71の光線透過率が50%以上であってもよいし、背景部75の光線透過率が50%以上であってもよい。または、情報表示部70の全域の光線透過率が50%以上でなくてよく、情報表示部70の少なくとも一部の光線透過率が50%以上であればよい。好適には、情報表示部70の50%以上の面積の光線透過率が50%以上であってよく、より好適には、情報表示部70の全域の光線透過率が50%以上であってよい。また、情報表示部70を構成する背景部75の光線透過率と、文字部71の光線透過率と、は異なっていることが好ましい。当該光線透過率の違いによって、使用者が文字部71と背景部75を区別して認識し易く、情報を把握し易い。その光線透過率の差は、10%以上20%以下であってよい。ここで、「光線透過率」は、JIS K7105-7136に従って測定される。光線透過率は、例えば、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター(型式NDH700P2)を用いて測定することができる。測定センサーは、直径20mmの円となっている。測定したい領域が測定センサーよりも大きい場合は、そのまま測定する。測定したい領域がセンサーよりも小さい場合は、例えば、光線透過率0%の板に直径20mm以下の穴をあけてその穴をセンサー内の任意の場所に固定し、その穴を測定範囲とする。そして、この測定範囲にサンプルを設置し、光線透過率を測定する。光線透過率の換算方法は、サンプル無しの光線透過率「A」とサンプル有の光線透過率「B」を測定し、サンプル無しの光線透過率を100%として光線透過率を換算する。換算式は、「B×100/A=換算後サンプル光線透過率」とする。
【0029】
包装シート2は、袋体50の第1面51の情報表示部70と対向して配置された対向領域R10を有する。図4(A)は、図1に示す収容体100及び包装体10の模式断面図である。図4の模式断面図は、収容体100の縦方向の中心を通る面に沿った断面を上面側から見た図である。図4(A)は、収容体100の断面図であり、図4(B)は、包装体10の断面図である。図4は、対向領域R10が設けられた面における断面図である。対向領域R10は、包装シート2において情報表示部70と重なって配置された領域のうち、袋体50の内面と対向している領域である。図4において、対向領域R10の横方向D2の範囲を示している。対向領域R10には、吸収性物品1に関連する情報が設けられていない。すなわち、対向領域R10には、情報表示部の文字部71を構成する文字や絵柄等が設けられていない。情報表示部70と対向する対向領域R10は、吸収性物品1に関連する情報が設けられてなく、文字等が着色されている形態と比較して、袋体50の情報表示部70を介して袋体50の外側から視認され難い。よって、使用者が袋体50の情報表示部を視認した際に、包装シート2の存在によって文字部を読み難くなる不具合を抑制し、使用者は、文字部による情報を把握し易くなる。
【0030】
また、対向領域R10には、透過部3が設けられている。ここで、「透過部」は、60%以上の光線透過率の部分である。透過部3は、60%以上の光線透過率を有するため、透明又は半透明である。一般的に、使用者は、60%以上の光線透過率のシートを半透明と認識し、80%以上の光線透過率のシートを透明と認識し易い。よって、より好ましくは、透過部3の光線透過率は、80%以上であってよい。包装シート2の対向領域R10は、60%以上の光線透過率を有し、透過度が高い。そのため、仮に、袋体50を介して包装シート2が透けた場合であっても、使用者は、袋体50の外側から包装シート2の陰影が把握し難く、包装シート2の存在によって文字部71を読み難くなる不具合を抑制できる。なお、光線透過率50%のシートは、当該シートを介して、僅かでも背面側の物体が視認可能な状態となり、光線透過率60%のシートは、当該シートを介して、背面側の物体が外形を明確に視認可能な状態となる。なお、本発明における「視認可能」とは、昼白色(色温度目安 4600~5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750 lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する被験者が対象物を見たときに視認できる事を意味している。光線透過率によるシートの見え方の違いの評価は、後述する評価結果において詳細に説明する。また、包装シートの光線透過率は、対向領域R10の透過部3において60%以上であればよく、透過部の全域に亘って60%以上でなくてもよい。また、後述する着色部5の光線透過率は、透過部の光線透過率よりも低くてよく、60%未満であってよい。
【0031】
包装接合部15は、対向領域R10に配置されている。包装接合部15は、包装シート2の透過部3同士が接合されてよい。包装接合部15は、包装シート2同士が接合されており、その剛性が比較的高い。包装接合部15が対向領域R10に設けられているため、包装接合部15によって袋体50の情報表示部70を内側から支持し、袋体50の形状を維持し易い。袋体50が意図せずに変形し難く、袋体50及び包装シート2を介して吸収性物品1の絵柄や陰影に起因して情報表示部70の視認性が低下することを抑制できる。また、包装接合部15は、包装シート2内に吸収性物品1を収容した状態で包装シート2同士を接合するため、その製造の都合上、吸収性物品1から一定の長さ離間する。よって、包装接合部15が対向領域R10に設けられていることにより、袋体50と吸収性物品1の距離が設けられる。袋体50及び包装シート2を介して吸収性物品1の絵柄や陰影によって、情報表示部70の視認性が低下することを抑制できる。
【0032】
図4に示すように、包装体10内の吸収性物品1の奥行方向D3の長さL20は、袋体50の収容空間の奥行方向D3の長さL30よりも短い。袋体50の収容空間の奥行方向D3の長さL30は、第1面51の内面と、第2面52の内面と、の奥行方向D3に沿った間隔である。吸収性物品1の奥行方向D3の長さL20が袋体50の収容空間の奥行方向D3の長さL30よりも短いので、袋体50内に包装体10が収容された状態で、包装シート2の対向領域R10と情報表示部70との距離が設けられ易く、吸収性物品1の絵柄や陰影によって、情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。ここで、上記の長さは、以下の方法によって測定できる。袋体50の収容空間の奥行方向D3の長さL30は、未開封の収容体100をアクリル板上に置き、アクリル板と収容体100が50%以上接するように、収容体100の上から加重した際の収容体100の寸法を測定することで算出できる。なお、袋体50の厚みは、収容体の奥行方向D3の寸法に対してきわめて小さいため、当該袋体50の厚みを考慮せずに、袋体の収容空間の寸法としてみなすことができる。包装体10内の吸収性物品1の奥行方向D3の長さL20は、未開封の収容体100を3g/cm加重した直後に、包装体10を取り出し、包装体10から透けて見える吸収性物品1の長さを測定し、当該長さとすることができる。
【0033】
包装体10の奥行方向D3の長さL10は、袋体50の収容空間の奥行方向D3の長さL30よりも長くてよい。ここで、包装体10の奥行方向D3の長さL10は、袋体50内の収容された状態の包装体10の長さでなく、袋体50内に収容されてなく、図4に示すように包装体10を広げた状態における長さである。包装体10の奥行方向D3の長さが袋体50の収容空間の奥行方向D3の長さよりも長いので、袋体50内に包装体10が収容された状態で、包装体10の一部が奥行方向D3にたくれ、包装シート2同士の重なりが形成されやすい。よって、包装シート2が吸収性物品1を隠蔽し、吸収性物品1の絵柄や陰影によって、情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。包装体10の奥行方向D3の長さL10は、収容体100から包装体10を取り出し、包装体10を奥行方向に引っ張って、当該引っ張った状態で包装体10の長さを測定し、当該長さとすることができる。
【0034】
透過部3は、包装シート2の全域に設けられてよいし、包装シート2の一部に設けられてよい。透過部3は、奥行方向D3において包装体10の外端縁から内側に延びてよい。当該構成によれば、透過部3が奥行方向D3に延びる長さを有するため、透過部3が対向領域R10により配置され易い。本実施の形態の透過部3は、包装シート2の奥行方向D3の両端部において、包装体10の縦方向D1の全域に設けられている。透過部3の奥行方向D3の長さL40(図3参照)は、包装体10内の吸収性物品1の厚みT20(図4参照)以上であってよい。透過部3の奥行方向D3の長さL40は、包装体10の奥行方向D3の長さL10と同様に、包装体10を広げた状態の長さであり、同様に測定できる。包装体10の奥行方向D3の外側縁は、袋体50内に収容された状態で第1面51に当接し、たくれたり、厚み方向に曲がるように変形したりする。このとき、透過部3の奥行方向D3の長さが吸収性物品1の厚み以上であるため、包装シート2の外側縁が厚み方向に曲がって包装体10の側面に配置された際に、透過部3によって吸収性物品1の側面を覆うことができる。より詳細には、透過部3の根元(奥行方向D3における内端縁)が吸収性物品の厚み方向Tの中央に位置し、当該透過部の根元から折れて袋体50の内面に沿って透過部が配置された際に、折れた透過部3を有する包装体10内の吸収性物品1の側面の半分を覆い、隣接する包装体10の吸収性物品1の側面の半分を覆うことができる。透過部3によって吸収性物品1の側面を覆うことで、吸収性物品1の絵柄や陰影に起因して情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0035】
好適には、透過部3の奥行方向D3の長さは、包装体10内の吸収性物品1の厚みに対する2倍以上であってよい。本態様によれば、包装シート2の外側縁が厚み方向に曲がって包装体10の側面に配置された際に、透過部3によって隣接する包装体10の側面も覆うことができる。より詳細には、透過部3の根元(奥行方向D3における内端縁)が吸収性物品の厚み方向Tの中央に位置し、当該透過部の根元から折れて袋体50の内面に沿って透過部が配置された際に、折れた透過部3を有する包装体10内の吸収性物品1の側面の半分を覆い、隣接する包装体10の吸収性物品1の側面の全体、及び更に隣接する包装体の吸収性物品の側面の半分を覆うことができる。また、包装シート2の外側縁は、吸収性物品1と比較して剛性が低く、透過部3全体が袋体50の内面に沿って配置されずに、部分的にたくれてしまうことがある。包装シート2がたくれたりして、包装シート2の透過部3全体が袋体50の内面に沿って配置されない形態にあっても、透過部3の奥行方向D3の長さが吸収性物品1の厚みの2倍以上であるため、透過部3によって隣接する包装体10の側面を覆い易い。よって、積層された包装体10のうち一番端の包装体10以外は全て透過部3で覆われている状態になり、また隣接する包装体10の透過部3が重なって配置された状態になり易い。よって、収容体100全体に亘って情報表示部70の視認性の低下を抑制できる。
【0036】
包装体10の奥行方向D3の外側部の厚みは、包装体10の奥行方向D3の中央の厚みよりも薄くてよい。より詳細には、図4に示すように、包装体10の奥行方向D3の外側部には、吸収性物品1が配置されてなく、包装体10の奥行方向D3の中央には、吸収性物品1が配置されている形態において、包装体10の吸収性物品1が配置されていない領域の包装体10の厚みT11は、吸収性物品1が配置されている領域の包装体10の厚みT12よりも薄くてよい。透過部3は、包装体10の奥行方向D3の外側部に設けられている。本態様によれば、包装体10の外側部は、その厚みが薄く、袋体50内でたくれる等変形し易い。包装シート2の外側部の透過部3によって吸収性物品1の側面を覆うことができる。吸収性物品1の絵柄や陰影に起因して情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0037】
包装シート2は、透過部3よりも奥行方向D3の内側に配置された着色部5を有してよい。着色部5の光線透過率は、透過部3の光線透過率よりも低くてよい。透過部3と着色部5の光線透過率の差は、10%以上であってよく、着色部5の光線透過率は、50%未満であってよい。本実施の形態の包装シート2の着色部5は、奥行方向D3の両端部に設けられており、左右の透過部3によって挟まれている。本態様によれば、着色部5によって、包装体10のデザイン性を向上させたり、包装体10を持ち歩いた際の吸収性物品1の隠蔽性を向上させたりできる。また、透過部3の剛性は、着色部5の剛性よりも低くてよい。なお、透過部3の剛性と着色部5の剛性の比較は、包装接合部15が設けられていない領域において比較される。透過部3の少なくとも一部の領域の包装シート2の剛性が、着色部5の包装シート2の剛性よりも低く構成されていればよく、例えば、包装接合部15が設けられていない領域の透過部3の剛性が着色部5の剛性よりも低くてよい。透過部3は、その剛性が比較的低く、たくれやすい。透過部3がたくれることで、透過部3によって吸収性物品1の側面を覆うように透過部3が配置され易い。吸収性物品1の絵柄や陰影に起因して情報表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0038】
ここで、包装シート2の剛性は、KES法による曲げ剛性によって比較できる。KES法による曲げ剛性の測定は、カトーテック(株)製KES-FB2-AUTO-A曲げ測定試験機を用いて行うことができる。具体的には、透過部及び着色部のそれぞれを10cm×10cmにカットしてサンプルとする。次に、測定試験機のチャック間に各サンプルを固定する。最大曲率+2.5cm-1まで表側に曲げ、次に、最大曲率-2.5cm-1まで裏側に曲げた後に元に戻す。曲げ剛性値は、表側に曲げはじめて曲率に対する曲げモーメントの傾きがほぼ一定になったときの傾きと、裏側に曲げはじめて曲率に対する曲げモーメントの傾きがほぼ一定になったときの傾きとの平均値から算出する。各サンプルにつき5回繰り返し、その平均値を曲げ剛性とする。
【0039】
着色部5は、第3面53に対向して配置されてよい。着色部5は、第3面と同じ色を有してよい。より詳細には、着色部5は、第3面53の少なくとも一部の領域と同じ色を有してよい。本実施の形態の第3面53には、装飾部80が設けられている。装飾部80は、着色部5と同じ色を有する。着色部5が複数の色を有する形態にあっては、着色部5の少なくとも一色と第3面53の色とが同じであればよい。着色部5が第3面53と同色であることにより、着色部5による収容体100全体のデザインや世界観を崩すことを抑制できる。包装体10の装飾効果と、収容体100の包装効果と、を両立できる。ここで、同じ色とは、2つの色の式差ΔEが6.5以下であってよく、より好適には、式差ΔEが3.2以下であってよい。
【0040】
着色部5の奥行方向D3の長さL50(図3参照)は、包装体10内の吸収性物品1の奥行方向D3の長さよりも長くてよい。当該構成によれば、着色部5によって吸収性物品1の隠蔽性を高めることができる。着色部5の奥行方向D3の長さL50は、包装体10内の吸収性物品1の奥行方向D3の長さL20と同様の測定方法によって得られ、未開封の収容体100を3g/cm加重した直後に、包装体10を取り出し、包装体10の着色部5の長さを測定し、当該長さとすることができる。また、着色部5によって吸収性物品1全体を覆うことが可能となり、透過部3を介して吸収性物品1が収容体100の外側から視認されることを抑制できる。包装体10内の吸収性物品1の奥行方向D3の外側縁は、包装シート2の着色部5によって覆われてよい。当該構成によれば、吸収性物品1の外形が目立ち難くなり、吸収性物品1の隠蔽性を更に向上できる。
【0041】
着色部5の奥行方向D3における外側部には、着色部5の奥行方向D3における中央よりも薄い色を有する薄色部が設けられてよい。着色部5と透過部3の色差が大きい場合、着色部5と透過部3の見た目の違いから着色部5が目立ち、着色部5に対する吸収性物品1の位置のずれが目立つことがある。しかし、薄色部を有することにより、着色部5と透過部3の境界が目立ち難くなり、吸収性物品1の位置のずれが目立ち難く、収容体100全体としての統一感を維持できる。薄色部は、着色部5の外側部の少なくとも一部に設けられていればよく、着色部5の外側部の縦方向D1の全域に設けられていてもよい。ここで、薄い色とは、着色部5の奥行方向D3の中央の色よりの高い明度の色である。また、着色部は、原反フィルムに印刷された部分であって、薄色部は、原反フィルムに印刷された部分以外で着色された部分であってよい。本実施の形態の着色部5は、第1着色部6と、第1着色部6よりも薄い色を有する第2着色部7と、を有する。第2着色部7は、薄色部を構成する。第1着色部6の奥行方向D3の長さは、第2着色部7の奥行方向D3の長さよりも長くてよい。包装体10内の吸収性物品1の奥行方向D3の外側縁は、第2着色部7によって覆われてよい。当該構成によれば、吸収性物品1の外形を隠蔽しつつ、使用者が注意深く見ることで吸収性物品1の外形を把握でき、使用者が内容物を確認でき、内容物に対する安心感を得ることができる。
【0042】
包装シート2の奥行方向D3の外側部における着色部5の面積率は、包装シート2の奥行方向D3における中央における着色部5の面積率よりも低くてよい。包装シート2の奥行方向D3における中央よりも側部の着色部5の面積率が低いため、包装シート2の奥行方向D3における中央から側部にかけて着色部5が目立ち難くなり、着色部5と透過部3の境界が目立ち難くなる。よって、吸収性物品1の位置のずれが目立ち難く、収容体100全体としての統一感を維持できる。また、薄色部を有する形態にあっては、包装シート2の奥行方向D3における外側部における薄色部の面積率が包装シート2の奥行方向D3における中央における薄色部の面積率よりも高くてよい。当該構成によっても、包装シート2の奥行方向D3の中央から側部にかけて着色部5が目立ち難くなり、着色部5と透過部3の境界が目立ち難くなる。
【0043】
透過部3は、孔部の集合体58に対向して配置されてよい。本実施の形態の孔部の集合体58は、袋体50の第3面53に設けられている。使用者が収容体100を外側から視認すると、袋体50内の孔部を介して包装体10の外面を視認可能となる。このとき、孔部を介して着色部5が見える形態と比較して、孔部を介して見える包装体10が目立ち難くなり、収容体100の外観のデザインを損ねる不具合を抑制できる。
【0044】
包装シート2は、フィルムによって構成されてよい。フィルムによって構成された包装シート2は、不織布によって構成された包装シート2と比較して、平滑であり、袋体50の第1面51に沿って配置され易い。よって、包装シート2によって吸収性物品1の隠蔽性を高めることができる。また、フィルムは、不織布のような繊維間の空隙が形成されず、包装シート2全体に亘って隠蔽性を維持できる。
【0045】
本発明の包装シート及び袋体は、印刷されたフィルムによって構成されてよい。当該フィルムの構造は、特に制限されず、周知の構造を採用できる。例えば、フィルムは、乳白色のフィルムをベースとして、当該ベースのフィルムの外側に印刷を施してもよいし、透明のフィルムをベースとして、当該ベースのフィルムの外側に印刷を施してもよいし、内側に配置した乳白色のフィルムと外側に配置した透明のフィルムの間に、いずれかのフィルムに対して印刷を施してもよいし、透明のフィルムをベースとして、当該ベースのフィルムの内側に印刷を施してもよい。
【0046】
次いで、光線透過率に基づく見え方の評価について詳細に説明する。実施例1から実施例5及び比較例1から比較例4に係る包装シートと、実施例11から実施例16及び比較例11から比較例12に係る袋体と、を用いて、袋体の背面側に包装シートを配置し、袋体の正面側からの見え方を評価した。評価は、昼白色(色温度目安 4600~5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750 lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する7人の被験者が行い、その過半数を占めた結果を測定結果とした。評価は、2つの指標に基づいて行った。評価(1)は、袋体の正面側から包装シートの存在を確認できるか否か。包装シートの存在が分かる場合には、「〇」、かろうじて包装シートの存在がわかる場合には、「△」、包装シートの有無が判別できない場合には、「×」にて評価した。評価(2)は、情報表示部を構成する背面部の背面側に包装シートを配置し、包装シートの存在によって情報表示部の情報の視認性に影響があるか否か、すなわち、包装シートの存在によって情報が見にくくないかを評価した。包装シートの存在によって情報表示部の視認性が邪魔されずに、情報表示部の文字情報を把握できる場合には、「〇」、背面側の包装シートがはっきりみえて情報の視認性を阻害するおそれがあるが、情報表示部の文字情報を把握できる場合には、「△」、包装シートの存在によって情報表示部の視認性が少し邪魔される場合には、「×」と評価した。評価結果を図5に示す。図5に示すように、評価(1)においては、実施例11から実施例16の袋体において好適な結果を得ており、袋体の光線透過率が52.39以上86.1以下において好適な結果を得ることがわかった。光線透過率の値が高ければ高いほど、透過率が高くなるため、評価(1)において、好適な結果を得るためには、袋体の光線透過率が52.39以上であればよいといえる。評価(2)においては、実施例1から実施例5において好適な結果を得ており、包装シートの光線透過率が61.1以上91.0以下において好適な結果を得ることがわかった。光線透過率の値が高ければ高いほど、透過率が高くなるため、評価(2)において、好適な結果を得るためには、包装シートの光線透過率が52.39以上であればよいといえる。なお、比較例1から比較例4の包装シート2と、比較例11及び比較例12の袋体50と、の組み合わせによる評価2は、「〇(*)」としている。比較例1から比較例4の包装シート2は、光線透過率が46.8から57.4であり、その光線透過率が低い。しかし、比較例11及び比較例12の組み合わせによる評価にあっては、比較例11及び比較例12の袋体の光線透過率が低く、袋体を介して包装シートの存在が分かりにくいため、包装シートによって情報表示部の視認性を低下させなかったと推測できる。また、実施例3と実施例11の組み合わせにおける評価(2)は、「〇」であり、実施例4と実施例11の組み合わせにおける評価(2)は、「△」である。当該評価結果から、実施例3の包装シートの光線透過率(82.2)以上であると、包装シートの存在がより把握され難くなることがわかる。包装シートの透明度が高く、使用者が包装シートを透明であると認識するためであると推測できる。加えて、また、実施例3と実施例12(又は実施例13)の組み合わせにおける評価(1)は、「△」であり、実施例4と実施例12(又は実施例13)の組み合わせにおける評価(1)は、「〇」である。当該評価結果から、実施例3の包装シートの光線透過率(82.2)以上であると、包装シートの存在がより把握され難くなることがわかる。包装シートの透明度が高く、使用者が包装シートを透明であると認識するためであると推測できる。よって、当該評価結果からも、包装シートの光線透過率は、82.2以上であることがより好ましい。
【0047】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、袋体の透過性を高くしつつ、袋体に設けられた情報表示部の視認性を確保できる吸収性物品の収容体を提供できる。
【符号の説明】
【0049】
1:吸収性物品、2:包装シート、3:透過部、5:着色部、6:第1着色部、7:第2着色部(薄色部)、10:包装体、15:包装接合部、50:袋体、58:孔部の集合体、59:袋シール部、70:情報表示部、71:文字部、75:背景部、80:装飾部、100:収容体、D1:縦方向、D2:横方向、D3:奥行方向、R10:対向領域、T :厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5