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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127872
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220825BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
H01L21/68 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026093
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 良典
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良信
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸容
(72)【発明者】
【氏名】吉川 敏行
(72)【発明者】
【氏名】土屋 利夫
(72)【発明者】
【氏名】竹中 将信
(72)【発明者】
【氏名】本郷 智之
【テーマコード(参考)】
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
5F057AA12
5F057AA19
5F057AA53
5F057BA15
5F057CA16
5F057DA22
5F057EC05
5F057EC10
5F057GA13
5F057GB20
5F131AA02
5F131BA32
5F131CA32
5F131CA42
5F131EB02
5F131EB63
5F131EC32
5F131EC44
5F131EC63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リング状の補強部が凸状に形成されたウエーハの裏面にダイシングテープを貼着してフレームと一体にする作業と、補強部を切断してウエーハから除去することとが容易な加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置2は、ウエーハ搬出手段10と、搬出されたウエーハを支持するウエーハテーブル12と、フレーム搬出手段68と、搬出されたフレーム64を支持するフレームテーブル70と、フレームにテープ96を貼着するテープ貼着手段98と、テープ付フレーム搬送手段100と、テープ付フレームのテープをウエーハの裏面に圧着するテープ圧着手段102と、フレームユニット搬出手段192と、補強部の除去を検出する除去検出手段を有し、リング状の補強部を切断し除去する補強部除去手段194と、リング無しユニット搬出手段196と、リング無しユニットを収容するフレームカセット198が載置されるフレームカセットテーブル200とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部が凸状に形成されたウエーハから凸状の補強部を除去する加工装置であって、
複数のウエーハが収容されたウエーハカセットが載置されるウエーハカセットテーブルと、
該ウエーハカセットテーブルに載置されたウエーハカセットからウエーハを搬出するウエーハ搬出手段と、
該ウエーハ搬出手段によって搬出されたウエーハの表面側を支持するウエーハテーブルと、
ウエーハを収容する開口部が形成されたリング状のフレームを複数収容するフレーム収容手段と、
該フレーム収容手段からフレームを搬出するフレーム搬出手段と、
該フレーム搬出手段によって搬出されたフレームを支持するフレームテーブルと、
該フレームテーブルの上方に配設されフレームにテープを貼着するテープ貼着手段と、
テープが貼着されたフレームを該ウエーハテーブルまで搬送し該ウエーハテーブルに支持されたウエーハの裏面にフレームの開口部を位置づけてテープ付フレームを該ウエーハテーブルに載置するテープ付フレーム搬送手段と、
テープ付フレームのテープをウエーハの裏面に圧着するテープ圧着手段と、
該テープ圧着手段によってテープ付フレームのテープとウエーハの裏面とが圧着されたフレームユニットを該ウエーハテーブルから搬出するフレームユニット搬出手段と、
該フレームユニット搬出手段によって搬出されたフレームユニットのウエーハからリング状の補強部を切断し除去する補強部除去手段と、
リング状の補強部が除去されたリング無しユニットを該補強部除去手段から搬出するリング無しユニット搬出手段と、
該リング無しユニット搬出手段によって搬出されたリング無しユニットを収容するフレームカセットが載置されるフレームカセットテーブルと、
を含み、
該補強部除去手段は、リング状の補強部が除去されたか否かを検出する除去検出手段を有する加工装置。
【請求項2】
該フレームユニット搬出手段は、ウエーハを保持するウエーハ保持部およびフレームを保持するフレーム保持部を含むフレームユニット保持部と、該フレームユニット保持部を仮置きテーブルに搬送する搬送部と、を備える請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該補強部除去手段は、ウエーハの外周に形成されたリング状の補強部の付け根に向けてレーザー光線を照射して切断溝を形成するレーザー光線照射手段と、該仮置きテーブルに仮置きされたフレームユニットを保持し上昇させると共に該レーザー光線照射手段に位置づける第一の昇降テーブルと、該切断溝からリング状の補強部を分離する分離部とを備え、
該分離部は、該切断溝に対応するテープに紫外線を照射してテープの粘着力を低減させる紫外線照射部と、リング状の補強部を外周に露出させてウエーハの内側を吸引保持すると共にフレームを支持する第二の昇降テーブルと、リング状の補強部の外周に作用してリング状の補強部を分離する分離器と、分離されたリング状の補強部が廃棄される廃棄部とを備え、
該紫外線照射部に隣接して該除去手段が配設され、
該補強部除去手段は、該切断溝を検出する切断溝検出手段を有し、
該第一の昇降テーブルは該切断溝が形成されたフレームユニットを該仮置きテーブルに仮置きし、該仮置きテーブルは仮置きテーブル搬送部によって該分離部に位置づけられ、該第二の昇降テーブルが該仮置きテーブルに仮置きされたフレームユニットを支持する請求項2記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部が凸状に形成されたウエーハから凸状の補強部を除去する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されたデバイス領域と、デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とが表面に形成されたウエーハは、裏面が研削されて所望の厚みに形成された後、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
本出願人は、研削されたウエーハの搬送を容易にするために外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部を残存させ所定の加工を施した後、ウエーハの裏面にダイシングテープを貼着すると共にフレームでウエーハを支持し、ウエーハからリング状の補強部を除去する技術を提案した(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-62375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部が凸状に形成されたウエーハの裏面にダイシングテープを貼着してフレームと一体にする作業が困難であると共に、リング状の補強部を切断してウエーハから除去することが困難であり生産性が悪いという問題がある。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部が凸状に形成されたウエーハの裏面にダイシングテープを貼着してフレームと一体にする作業が容易であると共に、リング状の補強部を切断してウエーハから除去することが容易な加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記課題を解決する以下の加工装置が提供される。すなわち、外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部が凸状に形成されたウエーハから凸状の補強部を除去する加工装置であって、複数のウエーハが収容されたウエーハカセットが載置されるウエーハカセットテーブルと、該ウエーハカセットテーブルに載置されたウエーハカセットからウエーハを搬出するウエーハ搬出手段と、該ウエーハ搬出手段によって搬出されたウエーハの表面側を支持するウエーハテーブルと、ウエーハを収容する開口部が形成されたリング状のフレームを複数収容するフレーム収容手段と、該フレーム収容手段からフレームを搬出するフレーム搬出手段と、該フレーム搬出手段によって搬出されたフレームを支持するフレームテーブルと、該フレームテーブルの上方に配設されフレームにテープを貼着するテープ貼着手段と、テープが貼着されたフレームを該ウエーハテーブルまで搬送し該ウエーハテーブルに支持されたウエーハの裏面にフレームの開口部を位置づけてテープ付フレームを該ウエーハテーブルに載置するテープ付フレーム搬送手段と、テープ付フレームのテープをウエーハの裏面に圧着するテープ圧着手段と、該テープ圧着手段によってテープ付フレームのテープとウエーハの裏面とが圧着されたフレームユニットを該ウエーハテーブルから搬出するフレームユニット搬出手段と、該フレームユニット搬出手段によって搬出されたフレームユニットのウエーハからリング状の補強部を切断し除去する補強部除去手段と、リング状の補強部が除去されたリング無しユニットを該補強部除去手段から搬出するリング無しユニット搬出手段と、該リング無しユニット搬出手段によって搬出されたリング無しユニットを収容するフレームカセットが載置されるフレームカセットテーブルと、を含み、該補強部除去手段は、リング状の補強部が除去されたか否かを検出する除去検出手段を有する加工装置が提供される。
【0008】
好ましくは、該フレームユニット搬出手段は、ウエーハを保持するウエーハ保持部およびフレームを保持するフレーム保持部を含むフレームユニット保持部と、該フレームユニット保持部を仮置きテーブルに搬送する搬送部と、を備える。
該補強部除去手段は、ウエーハの外周に形成されたリング状の補強部の付け根に向けてレーザー光線を照射して切断溝を形成するレーザー光線照射手段と、該仮置きテーブルに仮置きされたフレームユニットを保持し上昇させると共に該レーザー光線照射手段に位置づける第一の昇降テーブルと、該切断溝からリング状の補強部を分離する分離部とを備え、該分離部は、該切断溝に対応するテープに紫外線を照射してテープの粘着力を低減させる紫外線照射部と、リング状の補強部を外周に露出させてウエーハの内側を吸引保持すると共にフレームを支持する第二の昇降テーブルと、リング状の補強部の外周に作用してリング状の補強部を分離する分離器と、分離されたリング状の補強部が廃棄される廃棄部とを備え、該紫外線照射部に隣接して該除去手段が配設され、該補強部除去手段は、該切断溝を検出する切断溝検出手段を有し、該第一の昇降テーブルは該切断溝が形成されたフレームユニットを該仮置きテーブルに仮置きし、該仮置きテーブルは仮置きテーブル搬送部によって該分離部に位置づけられ、該第二の昇降テーブルが該仮置きテーブルに仮置きされたフレームユニットを支持するのが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加工装置は、外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部が凸状に形成されたウエーハから凸状の補強部を除去する加工装置であって、複数のウエーハが収容されたウエーハカセットが載置されるウエーハカセットテーブルと、該ウエーハカセットテーブルに載置されたウエーハカセットからウエーハを搬出するウエーハ搬出手段と、該ウエーハ搬出手段によって搬出されたウエーハの表面側を支持するウエーハテーブルと、ウエーハを収容する開口部が形成されたリング状のフレームを複数収容するフレーム収容手段と、該フレーム収容手段からフレームを搬出するフレーム搬出手段と、該フレーム搬出手段によって搬出されたフレームを支持するフレームテーブルと、該フレームテーブルの上方に配設されフレームにテープを貼着するテープ貼着手段と、テープが貼着されたフレームを該ウエーハテーブルまで搬送し該ウエーハテーブルに支持されたウエーハの裏面にフレームの開口部を位置づけてテープ付フレームを該ウエーハテーブルに載置するテープ付フレーム搬送手段と、テープ付フレームのテープをウエーハの裏面に圧着するテープ圧着手段と、該テープ圧着手段によってテープ付フレームのテープとウエーハの裏面とが圧着されたフレームユニットを該ウエーハテーブルから搬出するフレームユニット搬出手段と、該フレームユニット搬出手段によって搬出されたフレームユニットのウエーハからリング状の補強部を切断し除去する補強部除去手段と、リング状の補強部が除去されたリング無しユニットを該補強部除去手段から搬出するリング無しユニット搬出手段と、該リング無しユニット搬出手段によって搬出されたリング無しユニットを収容するフレームカセットが載置されるフレームカセットテーブルと、を含み、該補強部除去手段は、リング状の補強部が除去されたか否かを検出する除去検出手段を有するので、外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部が凸状に形成されたウエーハの裏面にダイシングテープを貼着してフレームと一体にする作業が容易であると共に、リング状の補強部を切断してウエーハから除去することが容易であり生産性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成された加工装置の斜視図。
図2図1に示す加工装置によって加工が施されるウエーハの斜視図。
図3図1に示すウエーハカセットテーブル等の斜視図。
図4図1に示すハンドの斜視図。
図5図1に示すフレーム収容手段等の斜視図。
図6】(a)図1に示すフレームテーブルが下降位置に位置している状態におけるテープ貼着手段等の斜視図、(b)図1に示すフレームテーブルが上昇位置に位置している状態におけるテープ貼着手段等の斜視図。
図7図1に示すテープ圧着手段の分解斜視図。
図8】テープ圧着工程において押圧ローラによるテープの押圧を開始する状態を示す断面図。
図9】テープ圧着工程において押圧ローラによるテープの押圧が終了した状態を示す断面図。
図10図1に示す補強部除去手段の斜視図。
図11】補強部除去工程において補強部の付け根にレーザー光線を照射している状態を示す模式図。
図12】(a)図1に示す補強部除去手段の第一の昇降テーブルの斜視図、(b)(a)に示す保持部材を下方から見た斜視図、(c)切断溝を検出している状態を示す模式図。
図13】切断溝検出手段の受光部の受光量と、ウエーハの回転角度との関係の一例を示すグラフ。
図14】(a)図1に示す補強部除去手段の分離部の斜視図、(b)(a)に示す除去検出手段の模式図。
図15】補強部除去工程においてウエーハから補強部を分離している状態を示す模式図。
図16図1に示す補強部除去手段の廃棄部の斜視図。
図17図1に示すリング無しユニット搬出手段の反転機構の斜視図。
図18図1に示すリング無しユニット搬出手段のリング無しユニット支持部および押し込み部の斜視図。
図19】リング無しユニット収容工程を実施している状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された加工装置の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1を参照して説明すると、全体を符号2で示す加工装置は、複数のウエーハが収容されたウエーハカセット6が載置されるウエーハカセットテーブル8と、ウエーハカセットテーブル8に載置されたウエーハカセット6からウエーハを搬出するウエーハ搬出手段10と、ウエーハ搬出手段10によって搬出されたウエーハの表面側を支持するウエーハテーブル12とを備える。
【0013】
図2には、加工装置2によって加工が施されるウエーハ4が示されている。ウエーハ4の表面4aは、IC、LSI等の複数のデバイス14が格子状の分割予定ライン16によって区画されたデバイス領域18と、デバイス領域18を囲繞する外周余剰領域20とが形成されている。図2では、便宜的にデバイス領域18と外周余剰領域20との境界22を二点鎖線で示しているが、実際には境界22を示す線は存在しない。ウエーハ4の裏面4b側には、外周余剰領域20にリング状の補強部24が凸状に形成されており、外周余剰領域20の厚みはデバイス領域18の厚みよりも大きくなっている。また、ウエーハ4の周縁には、結晶方位を示す切り欠き26が形成されている。
【0014】
図3に示すとおり、ウエーハカセット6には、表面4aが上を向いた状態で複数枚のウエーハ4が上下方向に間隔をおいて収容される。図示の実施形態のウエーハカセットテーブル8は、ウエーハカセット6が載置される天板28と、天板28を支持する支持板30とを有する。なお、天板28が昇降自在であり、天板28を昇降させて任意の高さに位置づける昇降手段が設けられていてもよい。
【0015】
図3を参照して説明を続けると、ウエーハ搬出手段10は、図3に矢印Yで示すY軸方向に移動自在なY軸可動部材32と、Y軸可動部材32をY軸方向に移動させるY軸送り手段34とを備える。Y軸送り手段34は、Y軸可動部材32の下端に連結されY軸方向に延びるボールねじ36と、ボールねじ36を回転させるモータ38とを有する。Y軸送り手段34は、モータ38の回転運動をボールねじ36によって直線運動に変換してY軸可動部材32に伝達し、Y軸方向に延びる一対の案内レール40に沿ってY軸可動部材32をY軸方向に移動させる。なお、図3に矢印Xで示すX軸方向はY軸方向に直交する方向であり、図3に矢印Zで示すZ軸方向はX軸方向およびY軸方向に直交する上下方向である。X軸方向およびY軸方向が規定するXY平面は実質上水平である。
【0016】
図示の実施形態のウエーハ搬出手段10は、図3に示すとおり、搬送アーム42と、搬送アーム42の先端に配設されウエーハカセット6に収容されたウエーハ4の裏面4bを支持しウエーハ4の表裏を反転させるハンド44とを備える。搬送アーム42は、Y軸可動部材32の上面に設けられており、エアー駆動源または電動駆動源等の適宜の駆動源(図示していない。)によって駆動される。この駆動源は、搬送アーム42を駆動して、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの方向において任意の位置にハンド44を位置づけると共に、ハンド44を上下反転させる。
【0017】
図4を参照して説明すると、ハンド44は、エアーの噴出によって負圧が発生し非接触でウエーハ4を支持するベルヌーイパッドであるのが好ましい。図示の実施形態のハンド44は全体としてC形状であり、ハンド44の片面には、圧縮空気供給源(図示していない。)に接続された複数のエアー噴出口46が形成されている。ハンド44の外周縁には、周方向に間隔をおいて複数のガイドピン48が付設されている。各ガイドピン48は、ハンド44の径方向に移動自在に構成されている。
【0018】
図3および図4に示すとおり、ウエーハ搬出手段10は、ウエーハカセットテーブル8に載置されたウエーハカセット6内のウエーハ4の裏面4b側(下側)にハンド44を位置づけた後、ハンド44のエアー噴出口46から圧縮エアーを噴出してベルヌーイ効果によってハンド44の片面側に負圧を生成し、ハンド44によって非接触でウエーハ4を裏面4b側から吸引支持する。ハンド44に吸引支持されたウエーハ4の水平移動は、各ガイドピン48によって規制される。そして、ウエーハ搬出手段10は、Y軸可動部材32および搬送アーム42を移動させることにより、ハンド44で吸引支持したウエーハ4をウエーハカセット6から搬出する。
【0019】
図示の実施形態のウエーハ搬出手段10は、図4に示すとおり、ウエーハ4の切り欠き26の位置を検出する切り欠き検出手段50を備えている。切り欠き検出手段50は、たとえば、互いに上下方向に間隔をおいて配置された発光素子52および受光素子54、並びにハンド44のガイドピン48の少なくとも1個を回転させる駆動源(図示していない。)を含む構成でよい。
【0020】
発光素子52および受光素子54は、適宜のブラケット(図示していない。)を介してY軸可動部材32または搬送経路に付設され得る。また、上記駆動源によってガイドピン48が回転すると、ガイドピン48の回転に起因して、ハンド44で吸引支持したウエーハ4が回転するようになっている。ガイドピン48からウエーハ4に確実に回転を伝達させるべく、駆動源によって回転するガイドピン48の外周面は適宜の合成ゴムから形成されているのが好適である。
【0021】
切り欠き検出手段50は、ウエーハ4がハンド44によって吸引支持されると共に、発光素子52と受光素子54との間にウエーハ4の外周が位置づけられた状態において、駆動源でガイドピン48を介してウエーハ4を回転させることにより、切り欠き26の位置を検出することができる。これによって、ウエーハ4の向きを任意の向きに調整することが可能となる。
【0022】
図3に示すとおり、ウエーハテーブル12は、ウエーハ搬出手段10に隣接して配置されている。図示の実施形態のウエーハテーブル12は、ウエーハ4の外周余剰領域20を支持し外周余剰領域20よりも内側の部分を非接触とする環状支持部56と、環状支持部56の外周に配設され、後述のフレーム64(図5参照。)を支持するフレーム支持部58とを備える。環状支持部56の上面には、周方向に間隔をおいて配置された複数の吸引孔60が形成されており、各吸引孔60は吸引手段(図示していない。)に接続されている。ウエーハテーブル12における環状支持部56よりも径方向内側部分は下方に窪んだ円形の凹所62となっている。
【0023】
ハンド44が180°反転してウエーハ4の表裏を反転させて、ウエーハ4の表面4aが下を向いた状態でウエーハテーブル12にウエーハ4が載せられると、ウエーハ4の外周余剰領域20が環状支持部56によって支持され、ウエーハ4のデバイス領域18は凹所62に位置する。このため、デバイス14が形成されている表面4aが下を向いた状態でウエーハテーブル12にウエーハ4が載せられても、デバイス14とウエーハテーブル12とが接触することがないのでデバイス14の損傷が防止される。また、ウエーハテーブル12は、環状支持部56によって外周余剰領域20を支持した後、吸引手段を作動させて各吸引孔60に吸引力を生成し外周余剰領域20を吸引保持することによって、ウエーハ4の位置ずれを防止する。
【0024】
図5を参照して説明すると、加工装置2は、さらに、ウエーハ4を収容する開口部64aが形成されたリング状のフレーム64を複数収容するフレーム収容手段66と、フレーム収容手段66からフレーム64を搬出するフレーム搬出手段68と、フレーム搬出手段68によって搬出されたフレーム64を支持するフレームテーブル70とを備える。
【0025】
図5に示すとおり、図示の実施形態のフレーム収容手段66は、ハウジング72と、ハウジング72内に昇降自在に配置された昇降板74と、昇降板74を昇降させる昇降手段(図示していない。)とを備える。図5においてハウジング72のX軸方向奥側の側面には、Z軸方向に延びるZ軸ガイド部材78が配置されている。昇降板74は、Z軸ガイド部材78に昇降自在に支持されており、昇降板74を昇降させる昇降手段は、Z軸ガイド部材78の内部に配置されている。昇降手段は、たとえば、昇降板74に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。図5においてハウジング72のX軸方向手前側の側面には、取っ手76aが付設された扉76が設けられており、フレーム収容手段66においては、取っ手76aを把持して扉76を開けることにより、ハウジング72の内部にフレーム64を収容することができるようになっている。また、ハウジング72の上端には開口部80が設けられている。
【0026】
図5に示すとおり、フレーム64は、ハウジング72の内部において昇降板74の上面に積層されて収容される。積層された複数枚のフレーム64のうち最上段のフレーム64がハウジング72の開口部80からフレーム搬出手段68によって搬出される。また、フレーム収容手段66は、開口部80からフレーム64が搬出されると、昇降手段によって昇降板74を適宜上昇させ、フレーム搬出手段68によって搬出可能な位置に最上段のフレーム64を位置づける。
【0027】
図5を参照して説明を続けると、フレーム搬出手段68は、適宜のブラケット(図示していない。)に固定されX軸方向に延びるX軸ガイド部材82と、X軸方向に移動自在にX軸ガイド部材82に支持されたX軸可動部材84と、X軸可動部材84をX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にX軸可動部材84に支持されたZ軸可動部材86と、Z軸可動部材86をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。フレーム搬出手段68のX軸送り手段は、X軸可動部材84に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよく、Z軸送り手段は、Z軸可動部材86に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0028】
フレーム搬出手段68のZ軸可動部材86は、フレーム64を保持する保持部88を有する。図示の実施形態の保持部88は、矩形状の基板90と、基板90の下面に設けられた複数の吸引パッド92とを有し、各吸引パッド92は吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0029】
フレーム搬出手段68は、フレーム収容手段66に収容されている最上段のフレーム64を保持部88の吸引パッド92で吸引保持した後、X軸可動部材84およびZ軸可動部材86を移動させることにより、吸引保持した最上段のフレーム64をフレーム収容手段66から搬出する。
【0030】
図5に示すとおり、フレームテーブル70は、実線で示す下降位置と、二点鎖線で示す上昇位置との間で昇降自在にZ軸ガイド部材94に支持されている。Z軸ガイド部材94には、下降位置と上昇位置との間でフレームテーブル70を昇降させる適宜の駆動源(たとえばエアー駆動源または電動駆動源)が付設されている。フレームテーブル70においては、フレーム搬出手段68によって搬出されたフレーム64を下降位置において受け取るようになっている。
【0031】
図1および図5に示すとおり、加工装置2は、フレームテーブル70の上方に配設されフレーム64にテープ96を貼着するテープ貼着手段98(図1参照。)と、テープ96が貼着されたフレーム64(以下「テープ付フレーム64’」ということがある。)をウエーハテーブル12まで搬送しウエーハテーブル12に支持されたウエーハ4の裏面4bにフレーム64の開口部64aを位置づけてテープ付フレーム64’をウエーハテーブル12に載置するテープ付フレーム搬送手段100(図5参照。)と、テープ付フレーム64’のテープ96をウエーハ4の裏面4bに圧着するテープ圧着手段102(図1参照。)とを含む。
【0032】
図6を参照して説明すると、図示の実施形態のテープ貼着手段98は、使用前のテープ96が巻かれたロールテープ96Rを支持するロールテープ支持部104と、使用済みのテープ96を巻き取るテープ巻き取り部106と、ロールテープ96Rからテープ96を引き出すテープ引き出し部108と、引き出されたテープ96をフレーム64に圧着する圧着部110と、フレーム64の外周にはみ出したテープ96をフレーム64に沿って切断する切断部112とを備える。
【0033】
図6に示すとおり、ロールテープ支持部104は、X軸方向に延びる軸線を中心として回転自在に適宜のブラケット(図示していない。)に支持された支持ローラ114を含む。支持ローラ114には、テープ96の粘着面を保護するための剥離紙116がテープ96の粘着面に付設されて円筒状に巻かれたロールテープ96Rが支持されている。
【0034】
テープ巻き取り部106は、X軸方向に延びる軸線を中心として回転自在に適宜のブラケット(図示していない。)に支持された巻き取りローラ118と、巻き取りローラ118を回転させるモータ(図示していない。)とを含む。図6に示すとおり、テープ巻き取り部106は、モータによって巻き取りローラ118を回転させることにより、フレーム64に貼り付けた部分に当たる円形の開口部120が形成された使用済みのテープ96を巻き取る。
【0035】
図6を参照して説明を続けると、テープ引き出し部108は、ロールテープ支持部104の支持ローラ114の下方に配置された引き出しローラ122と、引き出しローラ122を回転させるモータ(図示していない。)と、引き出しローラ122の回転に伴って回転する従動ローラ124とを含む。テープ引き出し部108は、モータによって引き出しローラ122と共に従動ローラ124を回転させることによって、引き出しローラ122と従動ローラ124とで挟み込んだテープ96をロールテープ96Rから引き出す。
【0036】
引き出しローラ122と従動ローラ124との間を通過したテープ96からは剥離紙116が剥離され、剥離された剥離紙116は剥離紙巻き取り部126によって巻き取られるようになっている。図示の実施形態の剥離紙巻き取り部126は、従動ローラ124の上方に配置された剥離紙巻き取りローラ128と、剥離紙巻き取りローラ128を回転させるモータ(図示していない。)とを有する。また、剥離紙116が剥離されたテープ96は、引き出しローラ122とY軸方向に間隔をおいて配置されたガイドローラ130を経て巻き取りローラ118に導かれるようになっている。
【0037】
圧着部110は、Y軸方向に移動自在に配置された押圧ローラ132と、押圧ローラ132をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)とを含む。圧着部110のY軸送り手段は、適宜の駆動源(たとえばエアー駆動源または電動駆動源)から構成され得る。
【0038】
図6に示すとおり、切断部112は、適宜のブラケット(図示していない。)に固定されZ軸方向に延びるZ軸ガイド部材134と、Z軸方向に移動自在にZ軸ガイド部材134に支持されたZ軸可動部材136と、Z軸可動部材136をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。切断部112のZ軸送り手段は、Z軸可動部材136に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0039】
また、切断部112は、Z軸可動部材136の先端下面に固定されたモータ138と、Z軸方向に延びる軸線を中心としてモータ138によって回転されるアーム片140とを含む。アーム片140の下面には、互いに間隔をおいて第一・第二の垂下片142a、142bが付設されている。第一の垂下片142aには、Z軸方向と直交する軸線を中心として回転自在に円形のカッター144が支持され、第二の垂下片142bには、Z軸方向と直交する軸線を中心として回転自在に押さえローラ146が支持されている。
【0040】
フレーム搬出手段68からフレーム64を受け取ったフレームテーブル70が下降位置(図6(a)に示す位置)から上昇位置(図6(b)に示す位置)に位置づけられる前に、テープ貼着手段98は、引き出しローラ122と従動ローラ124とによって未使用のテープ96を引き出す。そして、圧着部110の押圧ローラ132によってテープ96をフレーム64に押圧できる程度にフレームテーブル70を上昇位置に位置づけ、押圧ローラ132にテープ96を介してフレーム64を接触させる。そして、押圧ローラ132でテープ96の粘着面をフレーム64に押し付けながら押圧ローラ132をY軸方向に転がす。これによって、テープ引き出し部108によってロールテープ96Rから引き出されたテープ96をフレーム64に圧着することができる。
【0041】
テープ96をフレーム64に圧着した後、テープ貼着手段98は、切断部112のZ軸可動部材136をZ軸送り手段により下降させ、フレーム64上のテープ96にカッター144を押し当てると共に押さえローラ146でテープ96の上からフレーム64を押さえる。次いで、モータ138によってアーム片140を回転させ、カッター144および押さえローラ146をフレーム64に沿って円を描くように移動させる。これによって、フレーム64の外周にはみ出したテープ96をフレーム64に沿って切断することができる。また、押さえローラ146でテープ96の上からフレーム64を押さえているので、テープ96を切断している際にフレーム64やテープ96の位置ずれが防止される。そして、フレームテーブル70を下降させた後、フレーム64に貼り付けた部分に当たる円形の開口部120が形成された使用済みのテープ96は、テープ巻き取り部106によって巻き取られる。
【0042】
図5に示すとおり、テープ付フレーム搬送手段100は、適宜のブラケット(図示していない。)に固定されY軸方向に延びるY軸ガイド部材148と、Y軸方向に移動自在にY軸ガイド部材148に支持されたY軸可動部材150と、Y軸可動部材150をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にY軸可動部材150に支持されたZ軸可動部材152と、Z軸可動部材152をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。テープ付フレーム搬送手段100のY軸送り手段は、Y軸可動部材150に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよく、Z軸送り手段は、Z軸可動部材152に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0043】
テープ付フレーム搬送手段100のZ軸可動部材152は、テープ付フレーム64’を保持する保持部154を有する。図示の実施形態の保持部154は、矩形状の基板156と、基板156の下面に設けられた複数の吸引パッド158とを有し、各吸引パッド158は吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0044】
テープ付フレーム搬送手段100は、テープ96の粘着面が下を向いた状態でフレームテーブル70に支持されているテープ付フレーム64’の上面を保持部154の各吸引パッド158で吸引保持し、Y軸可動部材150およびZ軸可動部材152を移動させることにより、保持部154で吸引保持したテープ付フレーム64’をフレームテーブル70からウエーハテーブル12まで搬送し、ウエーハテーブル12に支持されたウエーハ4の裏面4bにフレーム64の開口部64aを位置づけてテープ付フレーム64’をウエーハテーブル12に載置する。
【0045】
図7ないし図9を参照してテープ圧着手段102について説明する。図7に示すとおり、テープ圧着手段102は、ウエーハテーブル12の上方に配設された上部チャンバー160と、ウエーハテーブル12を収容した下部チャンバー162と、上部チャンバー160を昇降させ下部チャンバー162に接触させた閉塞状態と下部チャンバー162から離反させた開放状態とを生成する昇降機構164と、閉塞状態で上部チャンバー160および下部チャンバー162を真空にする真空部166と、上部チャンバー160および下部チャンバー162を大気に開放する大気開放部168とを備える。
【0046】
図示の実施形態の上部チャンバー160は、図7に示すとおり、円形の天板170と、天板170の周縁から垂下する円筒状の側壁172とを含む。天板170の上面には、エアシリンダ等の適宜のアクチュエータから構成され得る昇降機構164が装着されている。天板170の下面と側壁172の内周面とによって規定される収容空間には、ウエーハテーブル12に支持されたウエーハ4の裏面4bにテープ付フレーム64’のテープ96を押し付けるための押圧ローラ174と、押圧ローラ174を回転自在に支持する支持片176と、支持片176をY軸方向に移動させるY軸送り手段178とが配設されている。
【0047】
Y軸送り手段178は、支持片176に連結されY軸方向に延びるボールねじ180と、ボールねじ180を回転させるモータ182とを有する。そして、Y軸送り手段178は、モータ182の回転運動をボールねじ180によって直線運動に変換して支持片176に伝達し、Y軸方向に延びる一対の案内レール184に沿って支持片176を移動させる。
【0048】
図7に示すとおり、下部チャンバー162は円筒状の側壁186を有し、側壁186の上部は開放され、側壁186の下部は閉塞されている。側壁186には接続開口188が形成されている。接続開口188には、適宜の真空ポンプから構成され得る真空部166が流路190を介して接続されている。流路190には、流路190を大気に開放可能な適宜のバルブから構成され得る大気開放部168が設けられている。
【0049】
テープ圧着手段102は、ウエーハテーブル12に支持されたウエーハ4の裏面4bにテープ付フレーム64’のテープ96が位置づけられた状態で、昇降機構164によって上部チャンバー160を下降させ、上部チャンバー160の側壁172の下端を下部チャンバー162の側壁186の上端に接触させて、上部チャンバー160および下部チャンバー162を閉塞状態にすると共に、押圧ローラ174をテープ付フレーム64’に接触させる。
【0050】
次いで、テープ圧着手段102は、大気開放部168を構成するバルブを閉じた状態で真空部166を構成する真空ポンプを作動させ、上部チャンバー160および下部チャンバー162の内部を真空にした後、図8および図9に示すとおり、Y軸送り手段178で押圧ローラ174をY軸方向に転がすことにより、ウエーハ4の裏面4bにテープ96を圧着してフレームユニットUを生成する。
【0051】
押圧ローラ174によってウエーハ4の裏面4bにテープ96を圧着すると、リング状の補強部24の付け根において、ウエーハ4とテープ96との間に僅かな隙間が形成されるが、上部チャンバー160および下部チャンバー162の内部を真空にした状態でウエーハ4とテープ96とを圧着するので、ウエーハ4とテープ96との間の僅かな隙間の圧力が大気圧より低く、テープ96を圧着した後に大気開放部168を開放すると、大気圧によってテープ96がウエーハ4に押し付けられる。これによって、補強部24の付け根におけるウエーハ4とテープ96との隙間がなくなり、補強部24の付け根に沿ってテープ96がウエーハ4の裏面4bに密着する。
【0052】
図1および図10に示すとおり、加工装置2は、さらに、テープ圧着手段102によってテープ付フレーム64’のテープ96とウエーハ4の裏面4bとが圧着されたフレームユニットUをウエーハテーブル12から搬出するフレームユニット搬出手段192と、フレームユニット搬出手段192によって搬出されたフレームユニットUのウエーハ4からリング状の補強部24を切断し除去する補強部除去手段194と、リング状の補強部24が除去されたリング無しユニットを補強部除去手段194から搬出するリング無しユニット搬出手段196(図1参照。)と、リング無しユニット搬出手段196によって搬出されたリング無しユニットを収容するフレームカセット198が載置されるフレームカセットテーブル200(図1参照。)とを含む。
【0053】
図示の実施形態のフレームユニット搬出手段192は、図10に示すとおり、ウエーハ4を保持するウエーハ保持部202aおよびフレーム64を保持するフレーム保持部202bを含むフレームユニット保持部202と、フレームユニット保持部202を仮置きテーブル204に搬送する搬送部206とを備える。
【0054】
フレームユニット保持部202のウエーハ保持部202aは、円形状の基板208と、基板208の下面に装着された円形状の吸着片210とを含む。吸着片210の下面には複数の吸引孔(図示していない。)が形成され、各吸引孔は吸引手段(図示していない。)に接続されている。フレーム保持部202bは、ウエーハ保持部202aの基板208の周縁から周方向に間隔をおいて径方向外側に突出する複数(図示の実施形態では4個)の突出片212と、突出片212の下面に付設された吸引パッド214とを含み、各吸引パッド214は吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0055】
搬送部206は、適宜のブラケット(図示していない。)に固定されX軸方向に延びるX軸ガイド部材216と、X軸方向に移動自在にX軸ガイド部材216に支持されたX軸可動部材218と、X軸可動部材218をX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にX軸可動部材218に支持されたZ軸可動部材220と、Z軸可動部材220をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)と、Y軸方向に移動自在にZ軸可動部材220に支持されたY軸可動部材222と、Y軸可動部材222をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)とを含む。Y軸可動部材222の先端には、ウエーハ保持部202aの基板208が連結されている。搬送部206のX軸・Y軸・Z軸送り手段のそれぞれは、ボールねじと、ボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0056】
フレームユニット搬出手段192は、フレームユニット保持部202を水平方向に二次元で移動する二次元移動機構と、フレームユニット保持部202に保持されたフレームユニットUのウエーハ4の外周を撮像する撮像部224とを備えるのが好ましく、図示の実施形態では、搬送部206のX軸送り手段およびY軸送り手段によってXY平面においてフレームユニット保持部202が水平方向に二次元で移動するようになっており、搬送部206によって二次元移動機構が構成されている。また、図示の実施形態の撮像部224は、ウエーハテーブル12と仮置きテーブル204との間に配置されており、フレームユニット保持部202に保持されたフレームユニットUのウエーハ4の外周を、ウエーハ4の下方から撮像するようになっている。
【0057】
フレームユニット搬出手段192は、ウエーハ保持部202aの吸着片210でウエーハ4を裏面4b側(テープ96側)から吸引保持すると共に、フレーム保持部202bの吸引パッド214でフレーム64を吸引保持した状態で、搬送部206を作動させることにより、フレームユニット保持部202で保持したフレームユニットUをウエーハテーブル12から搬出する。
【0058】
また、図示の実施形態のフレームユニット搬出手段192は、二次元移動機構を構成する搬送部206を作動させて、フレームユニット保持部202で保持したフレームユニットUのウエーハ4の外周の少なくとも三ヶ所を撮像部224で撮像することによってウエーハ4の外周における少なくとも三点の座標を計測し、計測した三点の座標に基づいてウエーハ4の中心座標を求める。そして、フレームユニット搬出手段192は、ウエーハ4の中心を仮置きテーブル204の中心と一致させて、フレームユニットUを仮置きテーブル204に仮置きする。
【0059】
図10に示すとおり、仮置きテーブル204は、ウエーハテーブル12とX軸方向に間隔をおいて配置されている。図示の実施形態の仮置きテーブル204は、フレームユニットUのウエーハ4の外周余剰領域20を支持し外周余剰領域20よりも内側の部分を非接触とする環状支持部226と、環状支持部226の外周に配設され、フレーム64を支持するフレーム支持部228とを備える。
【0060】
環状支持部226よりも径方向内側部分は、下方に窪んだ円形の凹所230となっている。仮置きテーブル204のフレーム支持部228はヒーター(図示していない。)を備えており、仮置きテーブル204に仮置きされたフレームユニットUのテープ96をヒーターによって加熱することによりテープ96を軟化させて、リング状の補強部24の付け根にテープ96を大気圧により一層密着させるようになっているのが好ましい。
【0061】
図示の実施形態の加工装置2は、仮置きテーブル204をY軸方向に搬送する仮置きテーブル搬送部232を含む。仮置きテーブル搬送部232は、Y軸方向に延びるY軸ガイド部材234と、Y軸方向に移動自在にY軸ガイド部材234に支持されたY軸可動部材236と、Y軸可動部材236をY軸方向に移動させるY軸送り手段238とを備える。Y軸可動部材236の上部には仮置きテーブル204が固定されている。Y軸送り手段238は、Y軸可動部材236に連結されY軸方向に延びるボールねじ240と、ボールねじ240を回転させるモータ242とを有する。そして、仮置きテーブル搬送部232は、モータ242の回転運動をボールねじ240によって直線運動に変換してY軸可動部材236に伝達し、Y軸可動部材236と共に仮置きテーブル204をY軸方向に搬送する。
【0062】
図1および図10に示すとおり、補強部除去手段194は、ウエーハ4の外周に形成されたリング状の補強部24の付け根に向けてレーザー光線を照射して切断溝を形成するレーザー光線照射手段244と、仮置きテーブル204に仮置きされたフレームユニットUを保持し上昇させると共にX軸方向に移動してレーザー光線照射手段244に位置づける第一の昇降テーブル246(図1参照。)と、切断溝からリング状の補強部24を分離する分離部248とを備える。
【0063】
図10に示すとおり、レーザー光線照射手段244は、X軸方向において仮置きテーブル204に隣接して配置されたハウジング250と、ハウジング250に収容されレーザー光線を発振する発振器(図示していない。)と、発振器が発振したレーザー光線を集光してウエーハ4の外周に形成されたリング状の補強部24の付け根に照射する集光器252と、ウエーハ4にレーザー光線が照射された際に生じるデブリを吸引する吸引ノズル254と、吸引ノズル254に接続された吸引手段(図示していない。)とを含む。
【0064】
集光器252は、ハウジング250の上面から上方に向かって吸引ノズル254側に傾斜して延びており、これによってレーザー光線の照射の際に生じたデブリが集光器252に落下するのが抑制されている。また、吸引ノズル254は、ハウジング250の上面から上方に向かって集光器252側に傾斜して延びている。
【0065】
レーザー光線照射手段244は、図11に示すとおり、第一の昇降テーブル246によって保持したフレームユニットUを回転させながら、ウエーハ4の外周に形成されたリング状の補強部24の付け根に向けてレーザー光線LBを照射して、アブレーション加工により補強部24の付け根に沿ってリング状の切断溝256を形成する。また、レーザー光線照射手段244は、アブレーション加工によって生じたデブリを吸引ノズル254によって吸引する。
【0066】
図1に示すとおり、第一の昇降テーブル246は、仮置きテーブル204の上方においてX軸方向に移動自在かつZ軸方向に移動自在に配置されている。図12を参照して説明すると、第一の昇降テーブル246は、適宜のブラケット(図示していない。)に固定されX軸方向に延びるX軸ガイド部材258と、X軸方向に移動自在にX軸ガイド部材258に支持されたX軸可動部材260と、X軸可動部材260をX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にX軸可動部材260に支持されたZ軸可動部材262と、Z軸可動部材262をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。第一の昇降テーブル246のX軸・Z軸送り手段のそれぞれは、ボールねじと、ボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0067】
Z軸可動部材262の先端下面には、下方に延びる支持軸264が回転自在に支持されており、Z軸可動部材262の先端上面には、Z軸方向に延びる軸線を中心として支持軸264を回転させるモータ266が取り付けられている。支持軸264の下端には円形状の保持片268が固定されている。
【0068】
図12(b)に示すとおり、保持片268の下面には、円形のウエーハ用吸着チャック400と、ウエーハ用吸着チャック400の周囲に配置された複数のフレーム用吸着チャック402とが装着されている。ウエーハ用吸着チャック400の直径は、ウエーハ4のデバイス領域18(リング状の補強部24よりも内側の部分)の直径よりも僅かに小さい。複数のフレーム用吸着チャック402は、フレーム64の大きさに対応する円周上に周方向に間隔をおいて配置されている。また、ウエーハ用吸着チャック400およびフレーム用吸着チャック402は、多孔質材料から形成され、吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0069】
第一の昇降テーブル246は、仮置きテーブル204のフレーム支持部228のヒーターによってテープ96が加熱されリング状の補強部24の付け根にテープ96が密着したフレームユニットUのウエーハ4をウエーハ用吸着チャック400で吸引保持すると共に、フレーム64をフレーム用吸着チャック402で吸引保持した後、Z軸可動部材262およびX軸可動部材260を移動させ、保持片268で吸引保持したフレームユニットUを上昇させると共にX軸方向に移動してレーザー光線照射手段244に位置づける。
【0070】
また、第一の昇降テーブル246は、レーザー光線照射手段244によってウエーハ4にレーザー光線LBを照射する際に、モータ266を作動させ、保持片268で吸引保持したフレームユニットUを回転させる。さらに、第一の昇降テーブル246は、補強部24の付け根に切断溝256が形成されたフレームユニットUをX軸方向、Z軸方向に移動させて仮置きテーブル204に仮置きする。
【0071】
図12に示すとおり、図示の実施形態の補強部除去手段194は、ウエーハ4の外周に形成されたリング状の補強部24の付け根に向けてレーザー光線LBを照射して形成された切断溝256を検出する切断溝検出手段404を有する。切断溝検出手段404は、第一の昇降テーブル246の保持片268の下面に配置された環状の照明部406と、第一の昇降テーブル246に隣接して配置された受光部408とを含む。
【0072】
図12(c)に示すとおり、照明部406の直径は、切断溝256の直径とほぼ同一であり、保持片268によってフレームユニットUが保持された際に、切断溝256の上方に照明部406が位置するようになっている。また、受光部408は、ブラケット410を介してX軸ガイド部材258に支持されており、保持片268によってフレームユニットUが保持された際に、切断溝256の下方に受光部408が位置するようになっている。
【0073】
そして、切断溝検出手段404においては、第一の昇降テーブル246によって保持したフレームユニットUを回転させながら、照明部406の光を受光部408によって受光することによって切断溝256を検出する。より具体的には、切断溝検出手段404は、切断溝256がウエーハ4の表面4aから裏面4bまで到達しているか否か、つまり、ウエーハ4が完全に切断されているか否かを検出する。
【0074】
切断溝256がウエーハ4の表面4aから裏面4bまで到達しており、ウエーハ4が完全に切断されていれば、照明部406の光が切断溝256を通って受光部408に達するので、受光部408の受光量が比較的大きくなる。なお、照明部406の光はテープ96を透過するため、受光部408の受光量がテープ96によって影響を受けることはない。一方、切断溝256がウエーハ4の表面4aから裏面4bまで到達しておらず、完全には切断されていない不完全切断部分がウエーハ4にあると、不完全切断部分によって照明部406の光が遮られるので、不完全切断部分が受光部408の上方に位置したときに受光部408の受光量が比較的小さくなる。そのため、切断溝検出手段404は、切断溝256の全周にわたって受光部408の受光量が所定のしきい値以上である場合には、ウエーハ4が完全に切断されていると判定し、反対に、受光部408の受光量が上記しきい値未満の領域が存在する場合には、ウエーハ4が完全には切断されていないと判定するようになっている。
【0075】
図13に示す例では、ウエーハ4の回転角度が0°~θ1の領域およびθ2~360°の領域において受光部408の受光量がしきい値T1以上となっているが、ウエーハ4の回転角度がθ1~θ2の領域において受光部408の受光量がしきい値T1未満であるため、不完全切断部分がウエーハ4に存在すると判定される。
【0076】
なお、切断溝検出手段404は、上記受光部408に代えて、保持片268によってフレームユニットUが保持された際に下方から切断溝256を撮像するカメラを含んでいてもよく、カメラによって撮像した切断溝256の画像に基づいて、切断溝256がウエーハ4の表面4aから裏面4bまで到達しているか否かを検出することもできる。
【0077】
図1に示すとおり、分離部248は、仮置きテーブル204のY軸方向の可動範囲において、第一の昇降テーブル246とY軸方向に間隔をおいて配置されている。図14および図16を参照して説明すると、分離部248は、切断溝256に対応するテープ96に紫外線を照射してテープ96の粘着力を低減させる紫外線照射部270(図14参照。)と、リング状の補強部24を外周に露出させてウエーハ4の内側を吸引保持すると共にフレーム64を支持する第二の昇降テーブル272(図14参照。)と、リング状の補強部24の外周に作用してリング状の補強部24を分離する分離器274(図14参照。)と、分離されたリング状の補強部24が廃棄される廃棄部276(図16参照。)とを備える。
【0078】
図14に示すとおり、図示の実施形態の分離部248は、適宜のブラケット(図示していない。)に固定されZ軸方向に延びるZ軸ガイド部材278と、Z軸方向に移動自在にZ軸ガイド部材278に支持されたZ軸可動部材280と、Z軸可動部材280をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。Z軸送り手段は、Z軸可動部材280に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0079】
Z軸可動部材280の先端下面には支持片282が支持されていると共に、支持軸286が回転自在に支持されており、この支持軸286には上記第二の昇降テーブル272が連結されている。Z軸可動部材280の先端上面には、支持軸286と共に第二の昇降テーブル272を回転させるモータ284が取り付けられている。図示の実施形態の支持片282には、Y軸方向に間隔をおいて一対の上記紫外線照射部270が付設されている。
【0080】
第二の昇降テーブル272は円形であり、第二の昇降テーブル272の直径はウエーハ4のデバイス領域18(リング状の補強部24よりも内側の部分)の直径よりも僅かに小さい。第二の昇降テーブル272の下面には複数の吸引孔(図示していない。)が形成されており、各吸引孔は吸引手段に接続されている。
【0081】
また、支持片282には上記分離器274が装着されている。分離器274は、支持片282の下面に間隔をおいて支持片282の長手方向に移動自在に配置された一対の可動片288と、一対の可動片288を移動させる一対の送り手段290とを含む。一対の送り手段290のそれぞれは、エアシリンダまたは電動シリンダ等の適宜のアクチュエータから構成され得る。
【0082】
分離器274は、上下方向に間隔をおいて各可動片に288に支持された一対の挟み込みローラ292a、292bと、上側の挟み込みローラ292aをZ軸方向に移動させるZ軸送り手段294とを含む。Z軸送り手段294は、エアシリンダまたは電動シリンダ等の適宜のアクチュエータから構成され得る。各挟み込みローラ292a、292bは、Y軸方向に延びる軸線を中心として回転自在に可動片288に支持されている。上側の挟み込みローラ292aには、支持軸296を介して押圧ローラ298が装着されている。
【0083】
図16を参照して説明すると、廃棄部276は、分離されたリング状の補強部24を搬送するベルトコンベア300と、ベルトコンベア300によって搬送されたリング状の補強部24が収容されるダストボックス302とを含む。ベルトコンベア300は、実質上水平に延びる回収位置(図16に実線で示す位置)と、実質上鉛直に延びる待機位置(図16に二点鎖線で示す位置)とに適宜のアクチュエータ(図示していない。)によって位置づけられる。図16においてダストボックス302のX軸方向手前側の側面には、取っ手304aが付設された扉304が設けられている。ダストボックス302の内部には、回収したリング状の補強部24を破砕する破砕機(図示していない。)が取り付けられている。ダストボックス302においては、取っ手304aを把持して扉304を開けることにより、ダストボックス302に収容されたリング状の補強部24の破砕屑を取り出すことができるようになっている。
【0084】
補強部24の付け根に切断溝256が形成されたフレームユニットUが仮置きされている仮置きテーブル204が仮置きテーブル搬送部232によって分離部248の下方に位置づけられると、分離部248は、図15に示すとおり、フレームユニットUのウエーハ4の裏面4b側を第二の昇降テーブル272によって吸引保持すると共に、分離器274の挟み込みローラ292a、292bでフレーム64を挟み込んだ後、一対の紫外線照射部270から紫外線を照射してリング状の補強部24に貼り付いているテープ96の粘着力を低減させると共に、押圧ローラ298によってリング状の補強部24を下方に押し付けながら、分離器274に対して支持軸286および第二の昇降テーブル272と共にフレームユニットUをモータ284によって回転させることにより、フレームユニットUからリング状の補強部24を分離する。分離した補強部24はベルトコンベア300によってダストボックス302に搬送されて回収される。なお、補強部24を分離する際に、フレームユニットUに対して分離器274を回転させてもよい。
【0085】
図14および図15に示すとおり、図示の実施形態の補強部除去手段194は、リング状の補強部24が除去されたか否かを検出する除去検出手段412を有する。除去検出手段412は、紫外線照射部270に隣接して配設されている。除去検出手段412は、支持片282に支持された本体414と、いずれも本体414の下面に装着された発光部416および受光部418を有する。図15に示すとおり、発光部416は、第二の昇降テーブル272によって保持され補強部24が除去されたフレームユニットUに対して補強部24が存在した領域に向けて光L1を照射するようになっている。また、受光部418は、除去されずに残存してしまった補強部24において発光部416の光L1が反射した反射光L2を受光するようになっている。
【0086】
そして、除去検出手段412においては、第二の昇降テーブル272によって保持され補強部24が除去されたフレームユニットUを回転させながら、補強部24が存在した領域に向けて発光部416から光L1を照射し、受光部418の受光量が所定のしきい値未満であるか否かによって補強部24が完全に除去されたか否かを検出する。
【0087】
補強部24が除去されていれば、発光部416の光L1がテープ96に照射されるため、反射光L2はほとんどなく、受光部418の受光量が比較的小さくなる。一方、補強部24の少なくとも一部が除去されずに残存していると、残存した補強部24で発光部416の光L1が反射するので、受光部418の受光量が比較的大きくなる。そのため、除去検出手段412は、ウエーハ4の全周にわたって受光部418の受光量が所定のしきい値未満である場合には、補強部24が完全に除去されていると判定し、反対に、受光部418の受光量が所定のしきい値以上の領域が存在する場合には、補強部24の少なくとも一部が除去されずに残存していると判定するようになっている。
【0088】
図1に示すとおり、リング無しユニット搬出手段196は、補強部除去手段194に隣接して配置されている。図17および図18を参照して説明すると、図示の実施形態のリング無しユニット搬出手段196は、第二の昇降テーブル272に支持されたリング無しユニットに対面しフレーム64を保持するフレーム保持部306を備えフレームカセットテーブル200に向かって移動すると共にフレーム保持部306を反転させる反転機構308(図17参照。)と、反転機構308によって反転しウエーハ4の表面4aが上を向いたリング無しユニットを支持するリング無しユニット支持部310(図18参照。)と、リング無しユニット支持部310に支持されたリング無しユニットをフレームカセットテーブル200に載置されたフレームカセット198に進入させて収容する押し込み部312(図18参照。)とを備える。
【0089】
図17に示すとおり、反転機構308は、Y軸方向に延びるY軸ガイド部材314と、Y軸方向に移動自在にY軸ガイド部材314に支持されたY軸可動部材316と、Y軸可動部材316をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にY軸可動部材316に支持されたアーム318と、アーム318をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。反転機構308のY軸・Z軸送り手段のそれぞれは、ボールねじと、ボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0090】
アーム318には、上記フレーム保持部306が上下反転自在に支持されていると共に、フレーム保持部306を上下反転させるモータ320が取り付けられている。図示の実施形態のフレーム保持部306は、一対の回転軸322を介してアーム318に回転自在に支持された基板324と、基板324の片面に付設された複数の吸引パッド326とを含み、各吸引パッド326は吸引手段(図示していない。)に接続されている。また、一方の回転軸322はモータ320に連結されている。
【0091】
反転機構308は、吸引パッド326を上に向けた状態で、第二の昇降テーブル272に支持されたリング無しユニットU’のフレーム64の下面を吸引パッド326で吸引保持し、第二の昇降テーブル272からリング無しユニットU’を受け取る。また、反転機構308は、モータ320によってフレーム保持部306を反転させてウエーハ4の表面4aを上に向けた後、Y軸可動部材316を移動させることにより、フレーム保持部306で保持したリング無しユニットU’をフレームカセットテーブル200に向かってを移動させる。
【0092】
図18に示すとおり、図示の実施形態のリング無しユニット支持部310は、適宜のブラケット(図示していない。)を介してX軸方向に移動自在に支持された一対の支持板328と、一対の支持板328のX軸方向の間隔を調整する間隔調整手段(図示していない。)とを含む。間隔調整手段は、エアシリンダまたは電動シリンダ等の適宜のアクチュエータから構成され得る。
【0093】
リング無しユニットU’を支持する一対の支持板328には、ヒーター(図示していない。)が装着されている。一対の支持板328の間隔が狭められた状態において、一対の支持板328は、ヒーターによってリング無しユニットU’のテープ96を加熱することにより、補強部24が除去されたことによって生じたテープ96のたるみ、しわを伸ばすようになっている。
【0094】
図18を参照して説明を続けると、図示の実施形態の押し込み部312は、Y軸方向に延びるY軸ガイド部材330と、Y軸方向に移動自在にY軸ガイド部材330に支持されたY軸可動部材332と、Y軸可動部材332をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)とを含む。Y軸可動部材332は、Y軸ガイド部材330に支持された基部334と、基部334の上面から上方に延びる支柱336と、支柱336の上端に付設された押圧片338とを有する。押し込み部312のY軸送り手段は、Y軸可動部材332に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0095】
図19に示すとおり、リング無しユニット支持部310は、リング無しユニットU’を受け取る前に一対の支持板328の間隔を間隔調整手段によって拡げた後、吸引パッド326に保持されたリング無しユニットU’を受け取る。そして、押し込み部312は、リング無しユニット支持部310がリング無しユニットU’を受け取ると、Y軸送り手段によってY軸可動部材332をY軸方向に移動させることにより、リング無しユニット支持部310に支持されたリング無しユニットU’を押圧片338によってフレームカセットテーブル200に載置されたフレームカセット198に進入させて収容するようになっている。
【0096】
図1および図19に示すフレームカセット198には、ウエーハ4の表面4aが上を向いた状態で複数枚のリング無しユニットU’が上下方向に間隔をおいて収容される。図18および図19に示すとおり、フレームカセットテーブル200は、フレームカセット198が載置される載置部340と、載置部340を昇降させて任意の高さに位置づける昇降部342とを含む。昇降部342は、載置部340に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0097】
次に、上述したとおりの加工装置2を用いて、外周余剰領域20に対応する裏面4bにリング状の補強部24が凸状に形成されたウエーハ4の裏面4bにダイシングテープ96を貼着してフレーム64と一体にすると共に、リング状の補強部24を切断してウエーハ4から除去する加工方法について説明する。
【0098】
図示の実施形態では、まず、図1および図3に示すとおり、複数のウエーハ4が収容されたウエーハカセット6をウエーハカセットテーブル8に載置するウエーハカセット載置工程を実施する。ウエーハカセット6には、表面4aが上を向いた状態で複数枚のウエーハ4が上下方向に間隔をおいて収容されている。
【0099】
また、図1および図5に示すとおり、ウエーハ4を収容する開口部64aが形成されたリング状のフレーム64をフレーム収容手段66に複数収容するフレーム収容工程を実施する。フレーム収容工程は、ウエーハカセット載置工程の前に実施してもよく、ウエーハカセット載置工程の後に実施してもよい。
【0100】
フレーム収容工程では、フレーム収容手段66の昇降板74を任意の位置まで下降させた後、取っ手76aを把持して扉76を開け、昇降板74の上面に複数のフレーム64を積層して収容する。また、昇降板74の高さを適宜調整し、フレーム搬出手段68によって搬出可能な位置に最上段のフレーム64を位置づける。
【0101】
ウエーハカセット載置工程およびフレーム収容工程を実施した後、ウエーハカセットテーブル8に載置されたウエーハカセット6からウエーハ4を搬出するウエーハ搬出工程を実施する。
【0102】
図3を参照して説明すると、ウエーハ搬出工程では、まず、ウエーハ搬出手段10のY軸送り手段34を作動させ、Y軸可動部材32をウエーハカセットテーブル8の近傍に位置づける。次いで、搬送アーム42を駆動して、ウエーハカセット6内のウエーハ4の裏面4b側(下側)に、エアー噴出口46を上に向けたハンド44を位置づける。ウエーハ4の裏面4b側にハンド44を位置づけた際は、ウエーハ4の裏面4bとハンド44との間に間隙を設け、また、各ガイドピン48を径方向外側に位置づけておく。
【0103】
次いで、ハンド44のエアー噴出口46から圧縮エアーを噴出してベルヌーイ効果によってハンド44の片面側に負圧を生成し、ハンド44によって非接触でウエーハ4を裏面4b側から吸引支持する。次いで、各ガイドピン48を径方向内側に移動させ、ハンド44で吸引支持したウエーハ4の水平移動を各ガイドピン48によって規制する。そして、ウエーハ搬出手段10のY軸可動部材32および搬送アーム42を移動させ、ハンド44で吸引支持したウエーハ4をウエーハカセット6から搬出する。
【0104】
ウエーハ搬出工程を実施した後、ウエーハ4の切り欠き26の位置を検出する切り欠き検出工程を実施するのが好ましい。切り欠き検出工程では、図4に示すとおり、ハンド44で吸引支持したウエーハ4の外周を切り欠き検出手段50の発光素子52と受光素子54との間に位置づける。次いで、駆動源でガイドピン48を介してウエーハ4を回転させることにより、ウエーハ4の切り欠き26の位置を検出する。これによって、ウエーハ4の向きを任意の向きに調整することが可能となる。
【0105】
切り欠き検出工程を実施した後、ウエーハ搬出手段10によって搬出されたウエーハ4の表面4a側をウエーハテーブル12で支持するウエーハ支持工程を実施する。
【0106】
図3を参照して説明すると、ウエーハ支持工程では、まず、ウエーハ搬出手段10のハンド44を上下反転させてウエーハ4の表面4aを下に向ける。次いで、ウエーハ搬出手段10のY軸可動部材32および搬送アーム42を移動させ、ハンド44で吸引支持したウエーハ4の表面4aの外周余剰領域20をウエーハテーブル12の環状支持部56に接触させる。この際、ウエーハ4の表面4aのデバイス領域18はウエーハテーブル12の凹所62に位置するため、デバイス14とウエーハテーブル12とが接触することがなく、デバイス14の損傷が防止される。
【0107】
次いで、ウエーハテーブル12の吸引手段を作動させ、各吸引孔60に吸引力を生成することにより、ウエーハ4の表面4aの外周余剰領域20を吸引保持する。次いで、ハンド44によるウエーハ4の吸引支持を解除すると共に、ウエーハテーブル12からハンド44を離間させる。このようにして、ウエーハ搬出手段10からウエーハテーブル12にウエーハ4を受け渡す。ウエーハテーブル12に受け渡されたウエーハ4は各吸引孔60によって吸引保持されているため、ウエーハ4の位置がずれることがない。
【0108】
また、ウエーハカセット載置工程およびフレーム収容工程を実施した後、ウエーハ搬出工程やウエーハ支持工程と並行して、フレーム収容手段66からフレーム64を搬出するフレーム搬出工程を実施する。
【0109】
図5を参照して説明すると、フレーム搬出工程では、まず、フレーム搬出手段68のX軸可動部材84およびZ軸可動部材86を移動させ、フレーム収容手段66に収容されている最上段のフレーム64の上面に保持部88の吸引パッド92を接触させる。次いで、フレーム搬出手段68の吸引手段を作動させ、吸引パッド92に吸引力を生成することにより、最上段のフレーム64を吸引パッド92で吸引保持する。そして、フレーム搬出手段68のX軸可動部材84およびZ軸可動部材86を移動させ、保持部88の吸引パッド92で吸引保持した最上段のフレーム64をフレーム収容手段66から搬出する。
【0110】
フレーム搬出工程を実施した後、フレーム搬出手段68によって搬出されたフレーム64をフレームテーブル70で支持するフレーム支持工程を実施する。
【0111】
図5を参照して説明を続けると、フレーム支持工程では、まず、フレーム搬出手段68のX軸可動部材84およびZ軸可動部材86を移動させ、吸引パッド92で吸引保持したフレーム64をフレームテーブル70の上面に接触させる。この際、フレームテーブル70を下降位置(図5に実線で示す位置)に位置づけておく。次いで、フレーム搬出手段68の吸引パッド92の吸引力を解除し、フレーム64をフレームテーブル70に載せる。そして、フレーム搬出手段68のX軸可動部材84およびZ軸可動部材86を移動させ、保持部88をフレームテーブル70の上方から離間させる。
【0112】
フレーム支持工程を実施した後、フレーム64にテープ96を貼着するテープ貼着工程を実施する。
【0113】
図6を参照して説明すると、テープ貼着工程では、まず、フレームテーブル70を下降位置(図6(a)に示す位置)から、フレーム64にテープ96を貼着可能な上昇位置(図6(b)に示す位置)に移動させる前に、ロールテープ96Rからテープ96を引き出すと共に剥離紙116を剥離したテープ96をフレームテーブル70の上方に位置づけておく。なお、フレームテーブル70の上方に位置するテープ96の粘着面は下を向いている。
【0114】
次いで、テープ貼着手段98の圧着部110の押圧ローラ132によって上方からテープ96をフレーム64に押圧できる程度にフレームテーブル70を上昇させる。そして、押圧ローラ132でテープ96の粘着面をフレーム64に押し付けながら押圧ローラ132をY軸方向に転がす。これによって、テープ引き出し部108によってロールテープ96Rから引き出されたテープ96をフレーム64に圧着することができる。
【0115】
次いで、テープ貼着手段98の切断部112のカッター144および押さえローラ146を下降させ、フレーム64上のテープ96にカッター144を押し当てると共に、押さえローラ146でテープ96の上からフレーム64を押さえる。次いで、モータ138によってアーム片140を回転させ、カッター144および押さえローラ146をフレーム64に沿って円を描くように移動させる。これによって、フレーム64の外周にはみ出したテープ96をフレーム64に沿って切断することができる。また、押さえローラ146でテープ96の上からフレーム64を押さえているので、テープ96を切断している際にフレーム64やテープ96の位置ずれが防止される。なお、円形の開口部120が形成された使用済みのテープ96は、テープ巻き取り部106によって巻き取られる。
【0116】
テープ貼着工程を実施した後、テープ96が貼着されたフレーム64をウエーハテーブル12まで搬送し、ウエーハテーブル12に支持されたウエーハ4の裏面4bにフレーム64の開口部64aを位置づけてテープ付フレーム64’をウエーハテーブル12に載置するテープ付フレーム搬送工程を実施する。
【0117】
テープ付フレーム搬送工程では、まず、フレームテーブル70を上昇位置から下降位置に移動させる。次いで、テープ付フレーム搬送手段100(図5参照。)のY軸可動部材150およびZ軸可動部材152を移動させ、テープ96の粘着面が下を向いた状態でフレームテーブル70に支持されているテープ付フレーム64’(図7参照。)の上面に、テープ付フレーム搬送手段100の保持部154の各吸引パッド158を接触させる。
【0118】
次いで、テープ付フレーム搬送手段100の吸引手段を作動させ、吸引パッド158に吸引力を生成することにより、テープ付フレーム64’の上面を吸引パッド158で吸引保持する。次いで、テープ付フレーム搬送手段100のY軸可動部材150およびZ軸可動部材152を移動させ、吸引パッド158で吸引保持したテープ付フレーム64’をフレームテーブル70から搬出する。
【0119】
次いで、テープ付フレーム搬送手段100の吸引パッド158で吸引保持したテープ付フレーム64’をウエーハテーブル12まで搬送し、図7に示すとおり、ウエーハテーブル12に支持されたウエーハ4の裏面4bにフレーム64の開口部64aを位置づけてテープ付フレーム64’をウエーハテーブル12のフレーム支持部58に接触させる。この際は、テープ付フレーム64’のテープ96の粘着面が下を向いており、ウエーハ4の裏面4bが上を向いてテープ96の粘着面に対面している。
【0120】
次いで、テープ付フレーム搬送手段100の吸引パッド158の吸引力を解除し、テープ付フレーム64’をウエーハテーブル12のフレーム支持部58に載せる。そして、テープ付フレーム搬送手段100のY軸可動部材150およびZ軸可動部材152を移動させ、保持部154をウエーハテーブル12の上方から離間させる。
【0121】
テープ付フレーム搬送工程を実施した後、テープ付フレーム64’のテープ96をウエーハ4の裏面4bに圧着するテープ圧着工程を実施する。
【0122】
図7ないし図9を参照して説明すると、テープ圧着工程では、まず、テープ圧着手段102の昇降機構164によって上部チャンバー160を下降させ、上部チャンバー160の側壁172の下端を下部チャンバー162の側壁186の上端に接触させる。これによって、上部チャンバー160および下部チャンバー162を閉塞状態にすると共に、押圧ローラ174をテープ付フレーム64’に接触させる。そうすると、図8に示すとおり、ウエーハ4のリング状の補強部24の上端がテープ付フレーム64’のテープ96の粘着面に貼り付く。
【0123】
次いで、テープ圧着手段102の大気開放部168を閉じた状態で真空部166を作動させ、上部チャンバー160および下部チャンバー162の内部を真空にする。次いで、図8および図9に示すとおり、テープ圧着手段102の押圧ローラ174をY軸方向に転がすことにより、ウエーハ4の裏面4bにテープ96を圧着する。これによって、ウエーハ4の裏面4bとテープ96とが圧着したフレームユニットUを生成することができる。次いで、大気開放部168を開放し、大気圧によってリング状の補強部24の付け根に沿ってテープ96をウエーハ4の裏面4bに密着させる。そして、昇降機構164によって上部チャンバー160を上昇させる。なお、上部チャンバー160および下部チャンバー162の内部を真空にすることによって、ウエーハテーブル12によるウエーハ4の吸引力が失われてしまうが、上部チャンバー160および下部チャンバー162を閉塞状態にした際に、ウエーハ4のリング状の補強部24の上端がテープ付フレーム64’のテープ96の粘着面に貼り付くため、テープ圧着工程においてウエーハ4の位置がずれることはない。
【0124】
テープ圧着工程を実施した後、テープ付フレーム64’のテープ96とウエーハ4の裏面4bとが圧着されたフレームユニットUをウエーハテーブル12から搬出するフレームユニット搬出工程を実施する。
【0125】
図5を参照して説明すると、フレームユニット搬出工程では、まず、フレームユニット搬出手段192の搬送部206を作動させ、フレームユニット保持部202のウエーハ保持部202aの吸着片210の下面をウエーハ4の裏面4b側のテープ96に接触させると共に、フレーム保持部202bの吸引パッド214をフレーム64に接触させる。
【0126】
次いで、ウエーハ保持部202aの吸着片210およびフレーム保持部202bの吸引パッド214に吸引力を生成し、ウエーハ保持部202aの吸着片210でウエーハ4を裏面4b側(テープ96側)から吸引保持すると共に、フレーム保持部202bの吸引パッド214でフレーム64を吸引保持する。次いで、ウエーハテーブル12によるウエーハ4の吸引保持を解除する。そして、搬送部206を作動させ、フレームユニット保持部202で保持したフレームユニットUをウエーハテーブル12から搬出する。
【0127】
フレームユニット搬出工程を実施した後、ウエーハ4の中心を仮置きテーブル204の中心と一致させて、フレームユニットUを仮置きテーブル204に仮置きする仮置き工程を実施する。
【0128】
図10を参照して説明すると、仮置き工程では、まず、フレームユニット保持部202で保持したフレームユニットUを撮像部224の上方に位置づける。次いで、フレームユニット搬出手段192の二次元移動機構を構成する搬送部206を作動させて、フレームユニット保持部202で保持したフレームユニットUのウエーハ4の外周の少なくとも三ヶ所を撮像部224で撮像する。これによって、ウエーハ4の外周における少なくとも三点の座標を計測する。次いで、計測した三点の座標に基づいてウエーハ4の中心座標を求める。
【0129】
次いで、搬送部206を作動させ、ウエーハ4の中心を仮置きテーブル204の環状支持部226の中心に位置づけて、仮置きテーブル204の環状支持部226の上面にウエーハ4の表面4aの外周余剰領域20を接触させると共に、仮置きテーブル204のフレーム支持部228の上面にフレーム64の下面を接触させる。この際、ウエーハ4の表面4aが下を向いているが、デバイス領域18は仮置きテーブル204の凹所230に位置するため、デバイス14と仮置きテーブル204とが接触することがなく、デバイス14の損傷が防止される。
【0130】
次いで、ウエーハ保持部202aによるウエーハ4の吸引保持を解除すると共に、フレーム保持部202bによるフレーム64の吸引保持を解除し、フレームユニット搬出手段192から仮置きテーブル204にフレームユニットUを受け渡す。次いで、フレーム支持部228のヒーターを作動させ、仮置きテーブル204に仮置きされたフレームユニットUのテープ96をヒーターによって加熱する。これによって、テープ96が軟化してウエーハ4のリング状の補強部24の付け根にテープ96を密着させる。
【0131】
仮置き工程を実施した後、フレームユニット搬出手段192によって搬出されたフレームユニットUのウエーハ4からリング状の補強部24を切断し除去する補強部除去工程を実施する。
【0132】
図1図10および図12を参照して説明すると、補強部除去工程では、まず、補強部除去手段194の第一の昇降テーブル246のX軸可動部材260およびZ軸可動部材262を移動させ、仮置きテーブル204に仮置きされたフレームユニットUのウエーハ4の裏面4b側(テープ96側)にウエーハ用吸着チャック400の下面を接触させると共に、フレーム64の上面にフレーム用吸着チャック402の下面を接触させる。次いで、ウエーハ用吸着チャック400およびフレーム用吸着チャック402に吸引力を生成し、フレームユニットUのウエーハ4をウエーハ用吸着チャック400によって吸引保持すると共に、フレーム用吸着チャック402によってフレーム64を吸引保持する。
【0133】
次いで、第一の昇降テーブル246のX軸可動部材260およびZ軸可動部材262を作動させ、図11に示すとおり、保持片268で吸引保持したフレームユニットUをレーザー光線照射手段244の上方に位置づける。次いで、フレームユニットUのウエーハ4のリング状の補強部24の付け根にレーザー光線LBの集光点を位置づける。
【0134】
次いで、第一の昇降テーブル246のモータ266により保持片268およびフレームユニットUを回転させながら、ウエーハ4のリング状の補強部24の付け根にレーザー光線LBを照射する。これによって、ウエーハ4のリング状の補強部24の付け根にアブレーション加工を施して、リング状の切断溝256を形成することができる。また、ウエーハ4にレーザー光線LBを照射する際は、レーザー光線照射手段244の吸引手段を作動させて吸引ノズル254に吸引力を生成し、アブレーション加工によって生じたデブリを吸引ノズル254によって吸引する。
【0135】
ウエーハ4のリング状の補強部24の付け根にリング状の切断溝256を形成した後、切断溝256がウエーハ4の表面4aから裏面4bまで到達しているか否かを切断溝検出手段404によって検出する。切断溝256の検出は、第一の昇降テーブル246によって保持したフレームユニットUを回転させながら、受光部408の受光量を計測することによって行う。
【0136】
受光部408の受光量が所定のしきい値未満の領域が存在する場合には、切断溝256がウエーハ4の表面4aから裏面4bまで到達していない部分、すなわち、ウエーハ4が完全には切断されていない不完全切断部分が存在すると判定する。不完全切断部分が存在すると判定した場合には、再度、レーザー光線照射手段244によってウエーハ4の不完全切断部分にレーザー光線LBを照射してアブレーション加工を施す。一方、切断溝256の全周にわたって受光部408の受光量が所定のしきい値以上である場合には、切断溝256の全周がウエーハ4の表面4aから裏面4bまで到達しており、ウエーハ4が完全に切断されていると判定する。
【0137】
このように、図示の実施形態では、切断溝256を形成した後に、切断溝256によってウエーハ4が完全に切断されているかどうかを確認し、ウエーハ4が完全に切断されていなければ、再度、アブレーション加工を施すので、ウエーハ4に不完全切断部分がある状態で、フレームユニットUが次工程に搬送されるのが防止される。
【0138】
次いで、第一の昇降テーブル246のX軸可動部材260およびZ軸可動部材262を移動させ、保持片268で吸引保持したフレームユニットUのウエーハ4の表面4aの外周余剰領域20を仮置きテーブル204の環状支持部226の上面に接触させると共に、仮置きテーブル204のフレーム支持部228の上面にフレーム64の下面を接触させる。次いで、第一の昇降テーブル246の保持片268の吸引力を解除し、第一の昇降テーブル246から仮置きテーブル204にフレームユニットUを受け渡す。
【0139】
次いで、フレームユニットUを受け取った仮置きテーブル204を仮置きテーブル搬送部232によって補強部除去手段194の分離部248の下方に位置づける(図10参照。)。なお、この際に、廃棄部276のベルトコンベア300を待機位置に位置づけておく。次いで、分離部248の第二の昇降テーブル272を下降させ、ウエーハ4の裏面4b部分のテープ96に第二の昇降テーブル272の下面を接触させる。次いで、第二の昇降テーブル272の下面に吸引力を生成し、フレームユニットUのウエーハ4の裏面4b側を第二の昇降テーブル272で吸引保持する。
【0140】
次いで、フレームユニットUのウエーハ4を吸引保持した第二の昇降テーブル272を上昇させ、フレームユニットUを仮置きテーブル204から離間させると共に、仮置きテーブル204を第一の昇降テーブル246の下方に移動させる。次いで、図15に示すとおり、分離器274の一対の送り手段290およびZ軸送り手段294を作動させ、上下の挟み込みローラ292a、292bでフレーム64を上下方向に挟み込む。また、廃棄部276のベルトコンベア300を待機位置から回収位置に位置づける。
【0141】
次いで、一対の紫外線照射部270から紫外線を照射してリング状の補強部24に貼り付いているテープ96の粘着力を低減させると共に、押圧ローラ298によってリング状の補強部24を下方に押し付けながら、分離器274に対してモータ284によって支持軸286および第二の昇降テーブル272と共にフレームユニットUを回転させる。これによって、フレームユニットUからリング状の補強部24を分離することができる。フレームユニットUから落下した補強部24は、ベルトコンベア300によってダストボックス302に搬送され回収される。なお、補強部24を分離する際に、フレームユニットUに対して分離器274を回転させてもよい。
【0142】
フレームユニットUからリング状の補強部24を分離した後、補強部24が除去されたか否かを除去検出手段412によって検出する。補強部24の除去検出は、第二の昇降テーブル272によって保持され補強部24が除去されたウエーハ4を回転させながら、補強部24が存在した領域に向けて発光部416から光L1を照射し、受光部418の受光量を計測することによって行う。
【0143】
受光部418の受光量が所定のしきい値以上の領域が存在する場合には、補強部24の少なくとも一部が除去されずに残存していると判定する。この場合には、再度、分離部248によってフレームユニットUから補強部24を分離する作業を行う。一方、ウエーハ4の全周にわたって受光部418の受光量が所定のしきい値未満である場合には、補強部24が完全に除去されていると判定する。
【0144】
このように、図示の実施形態では、分離部248によって補強部24を除去した後に、補強部24が完全に除去されているかどうかを確認し、補強部24が完全に除去されていなければ、再度、分離部248による補強部24の除去作業を行うので、フレームユニットUに補強部24が残存した状態で、フレームユニットUが次工程に搬送されるのが防止される。
【0145】
補強部除去工程を実施した後、リング状の補強部24が除去されたリング無しユニットU’を補強部除去手段194から搬出するリング無しユニット搬出工程を実施する。
【0146】
リング無しユニット搬出工程では、まず、補強部除去手段194の廃棄部276のベルトコンベア300を回収位置から待機位置に位置づける。次いで、リング無しユニット搬出手段196の反転機構308(図17参照。)のフレーム保持部306を、第二の昇降テーブル272に吸引保持されているリング無しユニットU’の下方に位置づける。
【0147】
次いで、フレーム保持部306の吸引パッド326を上に向けた状態でアーム318を上昇させ、第二の昇降テーブル272に支持されウエーハ4の表面4aが下を向いている状態のリング無しユニットU’のフレーム64の下面側にフレーム保持部306の吸引パッド326を接触させる。
【0148】
次いで、フレーム保持部306の吸引パッド326に吸引力を生成し、リング無しユニットU’のフレーム64を吸引パッド326で吸引保持する。次いで、第二の昇降テーブル272によるリング無しユニットU’の吸引保持を解除する。これによって、補強部除去手段194の第二の昇降テーブル272からリング無しユニット搬出手段196のフレーム保持部306にリング無しユニットU’を受け渡す。
【0149】
リング無しユニット搬出工程を実施した後、リング無しユニット搬出手段196によって搬出されたリング無しユニットU’を収容するリング無しユニット収容工程を実施する。
【0150】
リング無しユニット収容工程では、まず、リング無しユニット搬出手段196の反転機構308を上下反転させ、フレーム保持部306で吸引保持したリング無しユニットU’を上下反転させる。これによって、フレーム保持部306の下方にリング無しユニットU’が位置し、ウエーハ4の表面4aが上を向くことになる。
【0151】
次いで、反転機構308のY軸可動部材316およびアーム318を移動させ、リング無しユニット支持部310の一対の支持板328の上面にリング無しユニットU’を接触させる。このとき、間隔調整手段によって一対の支持板328の間隔は狭められており、一対の支持板328は互いに密着している。次いで、フレーム保持部306によるリング無しユニットU’の吸引保持を解除し、一対の支持板328にリング無しユニットU’を載せる。次いで、各支持板328に装着されたヒーターを作動させ、リング無しユニットU’のテープ96を加熱することにより、補強部24が除去されたことによって生じたテープ96のたわみ、しわを伸ばす。そして、再びリング無しユニットU’をフレーム保持部306で吸引保持し上昇させる。
【0152】
次いで、間隔調整手段によって一対の支持板328の間隔を拡げた後、リング無しユニットU’を支持板328の上面に載置する。そして、図19に示すとおり、押し込み部312の押圧片338によってリング無しユニット支持部310に支持されたリング無しユニットU’を押して、フレームカセットテーブル200に載置されたフレームカセット198に進入させて収容する。
【0153】
以上のとおりであり、図示の実施形態の加工装置2においては、外周余剰領域20に対応する裏面4bにリング状の補強部24が凸状に形成されたウエーハ4の裏面4bにダイシングテープ96を貼着してフレーム64と一体にする作業が容易であると共に、リング状の補強部24を切断してウエーハ4から除去することが容易であり生産性が良好となる。
【符号の説明】
【0154】
2:加工装置
4:ウエーハ
4a:ウエーハの表面
4b:ウエーハの裏面
6:ウエーハカセット
8:ウエーハカセットテーブル
10:ウエーハ搬出手段
12:ウエーハテーブル
20:外周余剰領域
24:補強部
64:フレーム
64a:開口部
64’:テープ付フレーム
66:フレーム収容手段
68:フレーム搬出手段
70:フレームテーブル
96:テープ
98:テープ貼着手段
100:テープ付フレーム搬送手段
102:テープ圧着手段
192:フレームユニット搬出手段
194:補強部除去手段
196:リング無しユニット搬出手段
198:フレームカセット
200:フレームカセットテーブル
202:フレームユニット保持部
202a:ウエーハ保持部
202b:フレーム保持部
204:仮置きテーブル
206:搬送部
232:仮置きテーブル搬送部
244:レーザー光線照射手段
246:第一の昇降テーブル
248:分離部
256:切断溝
270:紫外線照射部
272:第二の昇降テーブル
274:分離器
276:廃棄部
404:切断溝検出手段
412:除去検出手段
U:フレームユニット
U’:リング無しユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19