(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128018
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/34 20060101AFI20220825BHJP
H03F 3/38 20060101ALI20220825BHJP
H03F 1/26 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H03F3/34 220
H03F3/38
H03F1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026309
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大司
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA26
5J500AC13
5J500AC50
5J500AC53
5J500AC65
5J500AC92
5J500AF17
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH29
5J500AH42
5J500AK02
5J500AK05
5J500AK09
5J500AK42
5J500AM13
5J500AM14
5J500AM17
5J500AM20
5J500AS15
5J500AT01
5J500LV07
5J500MU04
5J500MU05
5J500RU01
(57)【要約】
【課題】オートゼロ増幅器の同相電圧を安定化することができる増幅装置を提供する。
【解決手段】同相検出増幅器2は、2つの同相入力の同相電圧が基準同相電圧Vcmとなるような同相出力電圧を出力する。同相制御増幅器361は、入力を増幅して相互コンダクタンス増幅器34の同相電圧を制御する出力信号を出力する。同相検出容量C21、C22は、相互コンダクタンス増幅器34の出力と同相制御増幅器361の入力との間に接続される。スイッチS6は、同相制御増幅器361の入力と同相検出増幅器2の同相出力との接続を制御する。第2スイッチS51、S52は、相互コンダクタンス増幅器34の出力と同相検出増幅器2の同相入力との接続を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器と、
サンプリング容量を含む校正回路と、
前記増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を校正する校正電圧を前記サンプリング容量にサンプリングする校正モード及び前記校正電圧により前記オフセット成分及び前記低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅して出力信号を出力する増幅モードを切り替える第1切替スイッチとを有する複数のオートゼロ増幅器を備えた増幅装置において、
2つの同相入力の同相電圧が基準同相電圧となるような同相出力電圧を出力する同相検出増幅器を備え、
前記複数のオートゼロ増幅器は、
入力を増幅して前記増幅器の同相電圧を制御する出力信号を出力する同相制御増幅器と、
前記増幅器の出力と前記同相制御増幅器の入力との間に接続された同相検出容量と、
前記同相制御増幅器の入力と前記同相検出増幅器の同相出力との接続を制御する第1スイッチと、
前記増幅器の出力と前記同相検出増幅器の同相入力との接続を制御する第2スイッチとを有する、
増幅装置。
【請求項2】
請求項1に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、前記オートゼロ増幅器が前記校正モード及び前記増幅モードに交互に切り替わるように、前記第1切替スイッチを制御すると共に、前記複数のオートゼロ増幅器のうち少なくとも一つの前記オートゼロ増幅器が前記増幅モードとして動作し、他の一つ以上の前記オートゼロ増幅器が前記校正モードとして動作するように、前記第1切替スイッチを制御する、
増幅装置。
【請求項3】
請求項1に記載の増幅装置において、
前記オートゼロ増幅器は、3つ設けられ、
3つの前記オートゼロ増幅器は各々、前記入力信号がそれぞれ入力される第1入力経路及び第2入力経路と、
前記出力信号がそれぞれ出力される第1出力経路及び第2出力経路とを有し、
前記第1切替スイッチは、前記増幅モードにおいて、前記増幅器を前記第1入力経路及び前記第1出力経路に接続する第1経路モードと、前記増幅器を前記第2入力経路及び前記第2出力経路に接続する第2経路モードとを切り替える経路切替スイッチを有する、
増幅装置。
【請求項4】
請求項3に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、前記オートゼロ増幅器が前記校正モード及び前記増幅モードに交互に切り替わるように前記第1切替スイッチを制御すると共に、3つの前記オートゼロ増幅器のうち一つの前記オートゼロ増幅器が前記校正モードとして動作し、残りの前記オートゼロ増幅器が前記第1経路モードまたは前記第2経路モードとして動作するように前記第1切替スイッチを制御する、
増幅装置。
【請求項5】
請求項1に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチと、前記第1スイッチと、前記第2スイッチとを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、
前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させるように前記第1切替スイッチを制御し、
前記校正モードとなっている前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン制御し、
前記増幅モードとなっている前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ制御する、
増幅装置。
【請求項6】
請求項1に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチと、前記第1スイッチと、前記第2スイッチとを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、
前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させるように前記第1切替スイッチを制御し、
前記増幅モードから前記校正モードに切り替わった前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン制御し、
前記オートゼロ増幅器が前記校正モードである間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ制御し、
前記増幅モードとなっている前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオフを維持する、
増幅装置。
【請求項7】
請求項1~6何れか1項に記載の増幅装置において、
前記同相検出容量は、前記増幅器の正の出力と前記同相制御増幅器の入力との間に接続された第1同相検出容量と、前記増幅器の負の出力と前記同相制御増幅器の入力との間に接続された第2同相検出容量と、一端が前記同相制御増幅器の入力に接続された第3同相検出容量及び第4同相検出容量と、を有し、
前記オートゼロ増幅器は、前記第3同相検出容量及び前記第4同相検出容量の他端の接続先を前記増幅器の正の出力又は前記増幅器の負の出力に切り替える第2切替スイッチを有する、
増幅装置。
【請求項8】
請求項7記載に記載の増幅装置において、
前記第2切替スイッチを制御する第2制御部を備え、
前記第2制御部は、前記オートゼロ増幅器が前記校正モードから前記増幅モードに切り替わるタイミング又は前記増幅モードから前記校正モードに切り替わるタイミングに前記第2切替スイッチを切り替える、
増幅装置。
【請求項9】
請求項1~6何れか1項に記載の増幅装置において、
前記同相検出増幅器は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンしたときに、前記同相検出容量に並列接続される補助容量と、前記補助容量に前記基準同相電圧を充電させる充電モード及び前記同相出力電圧を出力する同相出力モードを切り替える第3切替スイッチと、を有する、
増幅装置。
【請求項10】
請求項9に記載の増幅装置において、
前記第3切替スイッチを制御する第3制御部を備え、
前記第3制御部は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンしたときに前記同相出力モードに切り替わり、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフしたときに前記充電モードに切り替わるように前記第3切替スイッチを制御する、
増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
増幅器は、センサ信号等の増幅に広く用いられているが、いくつかの応用例では、増幅器内部のオフセット成分及び低周波雑音成分が非常に小さいことを要求される。従来の増幅器では、オフセット成分及び低周波雑音成分がその要求を満たすことができないため、オフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法が多く存在している。
【0003】
オフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法として、オートゼロ増幅器が知られている(特許文献1、非特許文献1)。オートゼロ増幅器は、内蔵している校正回路によって増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法である。一般にオートゼロ増幅器は、校正モードと増幅モードとを交互に動作させる。校正モードでは、オートゼロ増幅器に内蔵された増幅器は、反転入力及び非反転入力が短絡され、出力がサンプリング容量に接続される。これにより、サンプリング容量にオフセット成分及び低周波雑音成分を低減するための校正電圧がサンプリングされる。増幅モードでは、オートゼロ増幅器に内蔵された増幅器に入力信号が入力され、増幅器が入力信号を増幅した出力信号を出力する。また、増幅モードでは、サンプリングされた校正電圧によって出力信号に含まれるオフセット成分及び低周波雑音成分は低減される。
【0004】
そのため、一つのオートゼロ増幅器だけでは、校正モードのときに入力信号を増幅することができない。そこで、二つのオートゼロ増幅器を用意し、一方のオートゼロ増幅器が校正モードのとき、他方が増幅モードとなり入力信号を増幅するように構成されたPing-Pongオートゼロ増幅器が採用されている。
【0005】
このオートゼロ増幅器にコモンモードフィードバック回路を設ける場合がある。従来では、二つのオートゼロ増幅器それぞれに対してコモンモードフィードバック回路を設けている。しかしながら、コモンモードフィードバック回路にはそれぞれオフセット成分が存在するため、オートゼロ増幅器の切り替わり毎に出力の同相電圧が変動してしまう。この同相電圧の変動により、ノコギリ波状の差動ノイズが発生してしまう。差動ノイズは、直流成分を含むため、増幅装置の残差オフセット電圧を発生させる原因となってしまうため、この差動ノイズを低減する必要がある。
【0006】
そこで、二つのオートゼロ増幅器で、一つのコモンモードフィードバック回路を共用する手法が提案されている。この手法によれば、校正モードのオートゼロ増幅器にコモンモードフィードバック回路を接続する。また、このとき、コモンモードフィードバック回路の出力電圧をサンプリング容量にサンプリングさせる。これにより、増幅モードに切り替わりオートゼロ増幅器からコモンモードフィードバック回路が切断されても、サンプリング容量によりサンプリングされたコモンモードフィードバック回路の出力電圧をオートゼロ増幅器に入力し続けることができる。
【0007】
しかしながら、サンプリング容量によりサンプリングされたコモンモードフィードバック回路の出力電圧は、校正モード時のオートゼロ増幅器の同相電圧に応じたものであり、今現在のオートゼロ増幅器の同相電圧に応じたものではない。このため、オートゼロ増幅器の同相電圧が不安定になってしまう、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ion E. Opris and Gregory T.A. Kovacs, “A Rail-to-Rail Ping-Pong Op-Amp”, IEEE J. Solid-State Circuits, vol. 31, no 9, pp. 1320-1324, Sep. 1996.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オートゼロ増幅器の同相電圧を安定化することができる増幅装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る増幅装置は、下記[1]~[11]を特徴としている。
[1]
増幅器と、
サンプリング容量を含む校正回路と、
前記増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を校正する校正電圧を前記サンプリング容量にサンプリングする校正モード及び前記校正電圧により前記オフセット成分及び前記低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅して出力信号を出力する増幅モードを切り替える第1切替スイッチとを有する複数のオートゼロ増幅器を備えた増幅装置において、
2つの同相入力の同相電圧が基準同相電圧となるような同相出力電圧を出力する同相検出増幅器を備え、
前記複数のオートゼロ増幅器は、
入力を増幅して前記増幅器の同相電圧を制御する出力信号を出力する同相制御増幅器と、
前記増幅器の出力と前記同相制御増幅器の入力との間に接続された同相検出容量と、
前記同相制御増幅器の入力と前記同相検出増幅器の同相出力との接続を制御する第1スイッチと、
前記増幅器の出力と前記同相検出増幅器の同相入力との接続を制御する第2スイッチとを有する、
増幅装置であること。
[2]
[1]に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、前記オートゼロ増幅器が前記校正モード及び前記増幅モードに交互に切り替わるように、前記第1切替スイッチを制御すると共に、前記複数のオートゼロ増幅器のうち少なくとも一つの前記オートゼロ増幅器が前記増幅モードとして動作し、他の一つ以上の前記オートゼロ増幅器が前記校正モードとして動作するように、前記第1切替スイッチを制御する、
増幅装置であること。
[3]
[1]に記載の増幅装置において、
前記オートゼロ増幅器は、3つ設けられ、
3つの前記オートゼロ増幅器は各々、前記入力信号がそれぞれ入力される第1入力経路及び第2入力経路と、
前記出力信号がそれぞれ出力される第1出力経路及び第2出力経路とを有し、
前記第1切替スイッチは、前記増幅モードにおいて、前記増幅器を前記第1入力経路及び前記第1出力経路に接続する第1経路モードと、前記増幅器を前記第2入力経路及び前記第2出力経路に接続する第2経路モードとを切り替える経路切替スイッチを有する、
増幅装置であること。
[4]
[3]に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、前記オートゼロ増幅器が前記校正モード及び前記増幅モードに交互に切り替わるように前記第1切替スイッチを制御すると共に、3つの前記オートゼロ増幅器のうち一つの前記オートゼロ増幅器が前記校正モードとして動作し、残りの前記オートゼロ増幅器が前記第1経路モードまたは前記第2経路モードとして動作するように前記第1切替スイッチを制御する、
増幅装置であること。
[5]
[1]に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチと、前記第1スイッチと、前記第2スイッチとを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、
前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させるように前記第1切替スイッチを制御し、
前記校正モードとなっている前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン制御し、
前記増幅モードとなっている前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ制御する、
増幅装置であること。
[6]
[1]に記載の増幅装置において、
前記第1切替スイッチと、前記第1スイッチと、前記第2スイッチとを制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、
前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させるように前記第1切替スイッチを制御し、
前記増幅モードから前記校正モードに切り替わった前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン制御し、
前記オートゼロ増幅器が前記校正モードである間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ制御し、
前記増幅モードとなっている前記オートゼロ増幅器の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオフを維持する、
増幅装置であること。
[7]
[1]~[6]何れか1項に記載の増幅装置において、
前記同相検出容量は、前記増幅器の正の出力と前記同相制御増幅器の入力との間に接続された第1同相検出容量と、前記増幅器の負の出力と前記同相制御増幅器の入力との間に接続された第2同相検出容量と、一端が前記同相制御増幅器の入力に接続された第3同相検出容量及び第4同相検出容量と、を有し、
前記オートゼロ増幅器は、前記第3同相検出容量及び前記第4同相検出容量の他端の接続先を前記増幅器の正の出力又は前記増幅器の負の出力に切り替える第2切替スイッチを有する、
増幅装置であること。
[8]
[7]に記載の増幅装置において、
前記第2切替スイッチを制御する第2制御部を備え、
前記第2制御部は、前記オートゼロ増幅器が前記校正モードから前記増幅モードに切り替わるタイミング又は前記増幅モードから前記校正モードに切り替わるタイミングに前記第2切替スイッチを切り替える、
増幅装置であること。
[9]
[1]~[6]何れか1項に記載の増幅装置において、
前記同相検出増幅器は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンしたときに、前記同相検出容量に並列接続される補助容量と、前記補助容量に前記基準同相電圧を充電させる充電モード及び前記同相出力電圧を出力する同相出力モードを切り替える第3切替スイッチと、を有する、
増幅装置であること。
[10]
[9]に記載の増幅装置において、
前記第3切替スイッチを制御する第3制御部を備え、
前記第3制御部は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンしたときに前記同相出力モードに切り替わり、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフしたときに前記充電モードに切り替わるように前記第3切替スイッチを制御する、
増幅装置であること。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オートゼロ増幅器の同相電圧を安定化することができる増幅装置を提供することができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態における本発明の増幅装置としてのPing-Pongオートゼロ増幅器の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す同相検出増幅器のトランジスタ構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、校正モードの第1の状態における
図1に示すオートゼロ増幅器の構成を示す回路図である。
【
図4】
図4は、校正モードの第2の状態における
図1に示すオートゼロ増幅器の構成を示す回路図である。
【
図5】
図5は、増幅モードにおける
図1に示すオートゼロ増幅器の構成を示す回路図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す同相制御増幅器のトランジスタ構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図3~
図4に示す相互コンダクタンス増幅器のトランジスタ構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図3~
図4に示すオートゼロ増幅器のスイッチに供給されるクロックのタイムチャートである。
【
図9】
図9は、
図3~
図4に示すオートゼロ増幅器のスイッチに供給されるクロックのタイムチャートの変形例である。
【
図10】
図10は、第2実施形態における本発明の増幅装置としての位相反転オートゼロ増幅器の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態における本発明の増幅装置としてのアンプシェアリングオートゼロ増幅器の構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、校正モードの第1の状態における
図11に示すオートゼロ増幅器の構成を示す回路図である。
【
図13】
図13は、校正モードの第2の状態における
図11に示すオートゼロ増幅器の構成を示す回路図である。
【
図14】
図14は、増幅モードの第1経路モードにおける
図11に示すオートゼロ増幅器の構成を示す回路図である。
【
図15】
図15は、増幅モードの第2経路モードにおける
図11に示すオートゼロ増幅器の構成を示す回路図である。
【
図17】
図17は、
図11に示すアンプシェアリングオートゼロ増幅器を構成する3つのオートゼロ増幅器の動作モードのタイムチャートである。
【
図21】
図21は、第5実施形態における校正モードの第2の状態の時のオートゼロ増幅器の構成図である。
【
図22】
図22は、第5実施形態における校正モードの第1の状態の時のオートゼロ増幅器の構成図である。
【
図23】
図23は、
図21に示すオートゼロ増幅器を構成する同相検出増幅器のトランジスタ構成を示す図である。
【
図24】
図24は、
図22に示すオートゼロ増幅器を構成する同相検出増幅器のトランジスタ構成を示す図である。
【
図25】
図25は、第5実施形態におけるPing-Pongオートゼロ増幅器の動作モード、オートゼロ増幅器を構成するスイッチのオンオフのタイムチャートである。
【
図26】
図26は、第6実施形態における第1実施形態に示すPing-Pongオートゼロ増幅器を含む増幅装置を示す回路図である。
【
図27】
図27は、第7実施形態における第1実施形態に示すPing-Pongオートゼロ増幅器又は第2実施形態に示す位相反転オートゼロ増幅器を含むチョッパ安定化増幅器を示す回路図である。
【
図30】
図20は、第7実施形態の増幅装置による信号成分、雑音成分及びオフセット成分の時間波形と周波数特定の一例を示す特性図である。
【
図31】
図31は、
図27に示すチョッパ安定化増幅器を構成する増幅器の変形例を示す回路図である。
【
図32】
図32は、
図28に示すチョッパ出力回路に第3実施形態のアンプシェアリングオートゼロ増幅器を用いた一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の増幅装置の一例であるPing-Pongオートゼロ増幅器の構成を示すブロック図である。同図に示すように、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aは、1つの同相検出増幅器2と、2つのオートゼロ増幅器31、32とを備えている。同相検出増幅器2は、2つの同相入力の電圧の中間値(=同相電圧)が基準同相電圧Vcmとなるような同相出力電圧を出力する増幅器である。2つのオートゼロ増幅器31、32は、同相検出増幅器2に2つの同相入力電圧を入力するための同相検出経路と、同相検出増幅器2から出力される同相出力電圧を入力するため同相帰還経路とを有している。
【0017】
同相検出増幅器2の一例について
図2を参照して説明する。同図に示すように、同相検出増幅器2は、2つの電流源I1、I2と、4つのMOSトランジスタM11~M14と、カレントミラー回路21とを有している。MOSトランジスタM11~M14は、P型MOSトランジスタで構成されている。MOSトランジスタM11、M12のソースは互いに接続され、電流源I1に接続されている。MOSトランジスタM13、M14のソースは互いに接続され、電流源I2に接続されている。MOSトランジスタM11のゲートには、同相入力の一方が入力され、MOSトランジスタM14のゲートには、同相入力の他方が入力される。MOSトランジスタM11、M14のドレインは、互いに接続され、カレントミラー回路21の入力側に接続されている。また、MOSトランジスタM12、M13のゲートは、互いに接続され、基準同相電圧Vcmが入力されている。MOSトランジスタM12、M13のドレインは、互いに接続され、カレントミラー回路21の出力側に接続されている。このMOSトランジスタM13のドレインと、カレントミラー回路21の出力側との接続点が、同相出力となる。
【0018】
オートゼロ増幅器31、32は、互いに並列に接続されている。即ち、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aの正側の入力、出力が、オートゼロ増幅器31、32の正側の入力、出力に接続され、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aの負側の入力、出力が、オートゼロ増幅器31、32の負側の入力、出力に接続される。オートゼロ増幅器31、32は、同じ構成であるため、ここではオートゼロ増幅器31を代表して説明する。
【0019】
図3~
図5に示すように、オートゼロ増幅器31は、相互コンダクタンス増幅器34(増幅器)と、校正回路35と、同相帰還部36とを備えている。相互コンダクタンス増幅器34は、入力端に供給される入力信号Vinを反転増幅して出力端から出力信号Voutとして出力する。校正回路35は、入力信号Vinに含まれる相互コンダクタンス増幅器34のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減させる回路である。校正回路35は、スイッチS1、S2、S31、S32、S41、S42(第1切替スイッチ)と、相互コンダクタンス増幅器351と、サンプリング容量C11、C12とを備えている。
【0020】
スイッチS1は、正側の入力端と、相互コンダクタンス増幅器34の反転入力との間に接続されている。スイッチS2は、相互コンダクタンス増幅器34の反転入力及び非反転入力の間に接続されている。スイッチS31、S32は、相互コンダクタンス増幅器34の2つの出力と、2つの出力端との間にそれぞれ接続されている。
【0021】
スイッチS41、S42は、相互コンダクタンス増幅器34の2つの出力と、サンプリング容量C11、C12の一端との間にそれぞれ接続されている。相互コンダクタンス増幅器351は、入力にサンプリング容量C11、C12の一端が接続される。また、相互コンダクタンス増幅器351の出力が、相互コンダクタンス増幅器34の出力に接続されている。サンプリング容量C11、C12は、他端がグランドに接続されている。
【0022】
この校正回路35によりオートゼロ増幅器31は、動作モードとして、校正モードと、増幅モードとを有する。校正モードは、相互コンダクタンス増幅器34のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減するための校正電圧をサンプリング容量C11、C12にサンプリングするモードである。
【0023】
図3及び
図4に示すように、校正モードでは、スイッチS1、S31、S32がオフ、スイッチS2、S41、S42がオンされ、相互コンダクタンス増幅器34の出力、入力が、出力端、入力端から切り離される。また、相互コンダクタンス増幅器34の反転入力、非反転入力が短絡され、相互コンダクタンス増幅器34からはオフセット成分及び低周波雑音成分が出力される。また、相互コンダクタンス増幅器34の出力と、サンプリング容量C11、C12とが接続される。これにより、相互コンダクタンス増幅器34から出力されるオフセット成分及び低周波雑音成分を校正電圧としてサンプリング容量C11、C12にサンプリングすることができる。
【0024】
増幅モードは、相互コンダクタンス増幅器34に入力信号Vinを入力して、相互コンダクタンス増幅器34から入力信号Vinを増幅した出力信号Voutを出力させるモードである。また、増幅モードでは、サンプリングされた校正電圧によって出力信号Voutに含まれるオフセット成分及び低周波雑音成分は低減される。
【0025】
図5に示すように、増幅モードでは、スイッチS2、S41、S42がオフ、スイッチS1、S31、S32がオンされる。これにより、入力端、出力端に相互コンダクタンス増幅器34が接続され、相互コンダクタンス増幅器34により入力信号Vinを増幅した出力信号Voutが出力端から出力される。また、サンプリング容量C11、C12にサンプリングされた校正電圧が相互コンダクタンス増幅器351を介して相互コンダクタンス増幅器34の出力に印加され、出力信号Voutに含まれるオフセット成分及び低周波雑音成分が低減される。
【0026】
同相帰還部36は、スイッチS51、S52、S6と、同相制御増幅器361と、同相検出容量C21、C22とを有している。スイッチS51、S52(第2スイッチ)は、相互コンダクタンス増幅器34の2つ出力と、同相検出増幅器2の2つの同相入力との間に接続されている。即ち、スイッチS51、S52は、同相検出経路上に設けられている。スイッチS6(第1スイッチ)は、同相制御増幅器361の入力と、同相検出増幅器2の同相出力との間に接続されている。即ち、スイッチS6は、同相帰還経路上に設けられている。
【0027】
同相制御増幅器361は、非反転入力に、スイッチS6を介して同相検出増幅器2の同相出力が接続される。同相制御増幅器361は、入力信号を増幅して相互コンダクタンス増幅器34の同相電圧を制御する出力信号を出力する。同相制御増幅器361の2つの出力は、相互コンダクタンス増幅器34の2つの出力に各々接続される。
【0028】
図6に、同相制御増幅器361のトランジスタ構成例を示す。同図に示すように、同相制御増幅器361は、8つのMOSトランジスタM21,M22、M31,M32、M41,M42、M51,M52から構成される。MOSトランジスタM21,M22は、P型MOSトランジスタで構成され、カスコード接続されている。MOSトランジスタM31,M32は、P型MOSトランジスタで構成され、カスコード接続されている。MOSトランジスタM41,M42は、N型MOSトランジスタで構成され、カスコード接続されている。MOSトランジスタM51,M52は、N型MOSトランジスタで構成され、カスコード接続されている。また、カスコード接続されたMOSトランジスタM21,M22と、MOSトランジスタM41,M42とが直列接続され、MOSトランジスタM31,M32と、MOSトランジスタM51,M52とが直列接続される。
【0029】
MOSトランジスタM21、M31のゲートは、互いに接続され、基準電圧Vb1が供給されている。MOSトランジスタM22、M32のゲートは、互いに接続され、基準電圧Vb2が供給されている。MOSトランジスタM41、M51のゲートは、互いに接続され、基準電圧Vb3が供給されている。MOSトランジスタM42、M52のゲートは、互いに接続され、スイッチS6を介して同相検出増幅器2の同相出力電圧が供給される。また、MOSトランジスタM22、M41の接続点、MOSトランジスタM32、M51の接続点が、出力となり、スイッチS51、S52に接続されている。
【0030】
同相検出容量C21、C22は、
図3、
図6などに示すように、一端が同相制御増幅器361の入力に共通接続され、他端が同相制御増幅器361の2つの出力に各々接続される。上述した同相帰還部36と、同相検出増幅器2とにより、コモンモードフィードバック回路が構成される。
【0031】
また、
図7に示すように、相互コンダクタンス増幅器34、351の出力がそれぞれ、同相制御増幅器361を構成するMOSトランジスタM41、M42の接続点である入力端in1と、MOSトランジスタM51、M52の接続点である入力端in2とに接続されている。相互コンダクタンス増幅器34、351は、電流源I3、I4と、P型のMOSトランジスタM61,M62、M71,M72とを備えている。MOSトランジスタM61,M62、M71,M72のソースが電流源I3、I4に接続され、MOSトランジスタM61,M62、M71,M72のゲートが入力となる。また、MOSトランジスタM61,M62、M71,M72のドレインが出力となり、入力端in1、in2にそれぞれ接続されている。
【0032】
上記同相帰還部36によりオートゼロ増幅器31は、第1の状態と、第2の状態とを有する。第1の状態では、
図3に示すように、スイッチS51、S52、S6がオンされる。これにより、相互コンダクタンス増幅器34の出力が同相検出増幅器2の同相入力に接続され、同相検出増幅器2から同相出力電圧が出力される。また、同相検出増幅器2の同相出力電圧が同相制御増幅器361の入力に接続される。同相制御増幅器361は、同相出力電圧を増幅して、相互コンダクタンス増幅器34の出力にフィードバックし、同相電圧を基準同相電圧Vcmに設定する。また、このとき同相検出容量C21、C22には、同相検出増幅器2の同相出力電圧に応じた電圧がサンプリングされる。
【0033】
第2の状態では、
図4及び
図5に示すように、スイッチS51、S52、S6がオフされる。これにより、相互コンダクタンス増幅器34の出力と同相検出増幅器2の同相入力とが切断され、同相検出増幅器2の同相出力と同相制御増幅器361の入力とが切断される。このとき、同相制御増幅器361の入力は、同相検出容量C21、C22によりサンプリングされた電圧により、第1の状態のときの同相出力電圧に保持できる。
【0034】
また、同相検出容量C21、C22の他端は、相互コンダクタンス増幅器34の2つの出力にそれぞれ接続されている。同相検出容量C21、C22の互いに接続された一端は、相互コンダクタンス増幅器34の同相電圧の変動に応じて変動する。よって、今現在の相互コンダクタンス増幅器34の同相電圧に合わせた同相出力電圧を同相制御増幅器361に入力することができ、オートゼロ増幅器31の同相電圧を安定化することができる。また、同相検出容量C21、C22はミラー補償容量としても機能するため、同相検出増幅器2及び同相帰還部36により構成されるコモンモードフィードバック回路の発振を防ぐことができる。
【0035】
次に、上述した構成のPing-Pongオートゼロ増幅器1Aの動作について
図8に示すタイムチャートを参照して説明する。オートゼロ増幅器31のスイッチS1、S31、S32には、クロックCLK1が供給され、スイッチS2、S41、S42には、クロックCLK2が供給され、スイッチS51、S52、S6には、クロックCLK3が供給される。このクロックCLK1、CLK2により、オートゼロ増幅器31は、校正モードと(
図3及び
図4)と、増幅モード(
図5)とに交互に動作モードが切り替わる。また、クロックCLK3により、オートゼロ増幅器31は、増幅モードから校正モードに切り替わったときに第1の状態となり(
図3)、校正モードである間に、第2の状態となり(
図4)、増幅モード中は第2の状態に維持される(
図5)。このクロックCLK1~CLK3を供給する回路(図示せず)が、第1制御部を構成する。
【0036】
オートゼロ増幅器31、32に供給されるクロックCLK1~CLK3は、位相が180度ずれている。これにより、オートゼロ増幅器31が校正モードのときに、オートゼロ増幅器32が増幅モードとなる。また、オートゼロ増幅器31が増幅モードのときに、オートゼロ増幅器32が校正モードとなる。これにより、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aは、常時入力信号Vinを増幅した出力信号Voutを出力することができる。
【0037】
ところで、校正モードから増幅モードへの切り替えと同時にスイッチS51、S52、S6をオフして、同相検出増幅器2を切り離すと、これらスイッチS51、S52、S6のチャージングインジェクションによってサンプリング容量C21、C22の校正電圧が変動してしまう。このため、精度よくオフセット成分及び低周波雑音成分を除去できない。上述した第1実施形態によれば、校正モード中に同相検出増幅器2を切り離す第2の状態にしてから増幅モードに切り替えている。このため、オートゼロ増幅器31は、スイッチS51、S52、S6をオフにしてサンプリング容量C21、C22の校正電圧が変動した後も、校正モードなっているため、サンプリング容量C21、C22の校正電圧を元の値に戻すことができ、精度よくオフセット成分及び低周波雑音成分を除去することができる。
【0038】
なお、上述した第1実施形態では、校正モード中に第1の状態から第2の状態に切り替えていたが、これに限ったものではない。例えば、校正モードから増幅モードへの切り替えと同時に第1の状態から第2の状態に切り替えてもよい。この場合、オートゼロ増幅器31のスイッチS1、S2、S31、S32、S41、S42、S51、S52、S6には、
図9に示すクロックCLK1~CLK3が供給される。
図9に示すクロックCLK1~CLK3によれば、クロックCLK2、CLK3は同じクロックとなる。このため、オートゼロ増幅器31、32の制御回路を、簡易なクロックジェネレータで回路を構成できる。
【0039】
また、上述した第1実施形態では、校正モードのときに第1の状態に切り替え、増幅モードのときに第2の状態に切り替えていたが、これに限ったものではない。増幅モードのときに第1の状態に切り替え、校正モードのときに第2の状態に切り替えてもよい。
【0040】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図10に示すように、第2実施形態の増幅装置としての位相反転オートゼロ増幅器1Bは、第1実施形態で説明した同相検出増幅器2と、2つのオートゼロ増幅器31、32とを備えている。第1実施形態と第2実施形態とで異なる点は、2つのオートゼロ増幅器31、32の入力端が反転されている点である。即ち、2つのオートゼロ増幅器31、32の一方の正側の入力端が他方の負側の入力端に接続され、一方の負側の入力端が他方の正側の入力端に接続されている。
【0041】
位相反転オートゼロ増幅器1Bは、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aと同様に、2つのオートゼロ増幅器31、32の一方が校正モードに切り替えられると、他方が増幅モードに切り替えられる。2つのオートゼロ増幅器31、32の一方が増幅モードに切り替えられると、他方が校正モードに切り替えられる。これにより、位相反転オートゼロ増幅器1Bは、オフセット成分及び低周波成分が低減された出力信号Voutを常時、出力し、かつ、増幅モードから校正モードに切り替える毎に出力信号Voutが反転する。
【0042】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図11に示すように、第3実施形態の増幅装置としてのアンプシェアリングオートゼロ増幅器1Cは、第1入力経路から入力され、第1出力経路から出力される第1経路モードと、第2入力経路から入力され、第2出力経路から出力される第2経路モードとを有している。アンプシェアリングオートゼロ増幅器1Cは、第1実施形態で説明した同相検出増幅器2と、3つのオートゼロ増幅器31C、32C、33Cとを備えている。同相検出増幅器2は、第1実施形態で説明した同相検出増幅器2と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
オートゼロ増幅器31C、32C、33Cは、互いに並列に接続されている。オートゼロ増幅器31C、32C、33Cは、同じ構成であるため、ここではオートゼロ増幅器31Cを代表して説明する。オートゼロ増幅器31Cは、第1実施形態と同様に、同相検出経路と、同相帰還経路とを有している。また、オートゼロ増幅器31Cは、入力信号Vinを入力する2つの第1、第2入力経路と、出力信号Voutを出力する2つの第1、第2出力経路とを有している。
図12~
図15に示すように、オートゼロ増幅器31Cは、2つの相互コンダクタンス増幅器341、342(増幅器)と、校正回路35Cと、同相帰還部36と、を備えている。
【0044】
校正回路35Cは、第1切替スイッチ、経路切替スイッチとしてのスイッチS11~S14、S21~S24、S31~S34と、第1切替スイッチとしてのS41、S42と、相互コンダクタンス増幅器351と、サンプリング容量C11、C12とを備えている。スイッチS11、S12は、第1入力経路と、相互コンダクタンス増幅器341の入力との間に接続されている。スイッチS13、S14は、第2入力経路と、相互コンダクタンス増幅器342の入力との間に接続されている。スイッチS21、S22は、基準同相電圧Vcmと相互コンダクタンス増幅器341の入力との間に接続されている。スイッチS23、S24は、相互コンダクタンス増幅器341の入力と、相互コンダクタンス増幅器342の入力との間に接続されている。
【0045】
相互コンダクタンス増幅器341、342の出力は互いに接続されている。スイッチS31、S32は、互いに接続された相互コンダクタンス増幅器341、342の出力と、第1出力経路との間に接続されている。スイッチS33、S34は、互いに接続された相互コンダクタンス増幅器341、342の出力と、第2出力経路との間に接続されている。スイッチS41、S42は、互いに接続された相互コンダクタンス増幅器341、342の出力と、サンプリング容量C11、C12の一端との間に接続されている。サンプリング容量C11、C12は、他端がグランドに接続されている。相互コンダクタンス増幅器351は、出力が相互コンダクタンス増幅器341、342の出力に接続されている。
【0046】
同相帰還部36は、2つの相互コンダクタンス増幅器341、342の出力に接続されている。同相帰還部36は、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0047】
オートゼロ増幅器31Cは、校正モードと、増幅モードの第1経路モード及び第2経路モードとを有する。校正モードでは、
図12及び
図13に示すように、スイッチS11~S14、S31~S34がオフ、スイッチS21~S24、S41、S42がオンされる。これにより、相互コンダクタンス増幅器341、342の入力、出力が、第1、第2入力経路、第1、第2出力経路から切り離される。また、相互コンダクタンス増幅器341、342の入力が短絡され、相互コンダクタンス増幅器341、342からオフセット成分及び低周波雑音成分が出力される。また、相互コンダクタンス増幅器341、342から出力されるオフセット成分及び低周波雑音成分が校正電圧としてサンプリング容量C11、C12にサンプリングされる。
【0048】
第1経路モードでは、
図14に示すように、スイッチS11、S12、S23、S24、S31、S32がオン、スイッチS13、S14、S21、S22、S33、S34、S41、S42がオフされる。これにより、相互コンダクタンス増幅器341、342の入力、出力が、第1入力経路、第1出力経路に接続される。これにより、相互コンダクタンス増幅器341、342は、第1入力経路から入力された入力信号Vinを増幅して、第1出力経路から出力信号Voutとして出力する。
【0049】
第2経路モードでは、
図15に示すように、スイッチS13、S14、S21、S22、S33、S34がオン、スイッチS11、S12、S23、S24、S31、S32がオフされる。これにより、相互コンダクタンス増幅器342の入力、出力が、第2入力経路、第2出力経路に接続される。また、相互コンダクタンス増幅器341の反転入力及び非反転入力が短絡される。これにより、相互コンダクタンス増幅器342は、第2入力経路から入力された入力信号Vinを増幅して、第2出力経路から出力信号Voutとして出力する。
【0050】
また、第1実施形態と同様に、第1の状態では、
図12に示すように、スイッチS51、S52、S6がオンされ、同相検出増幅器2が同相帰還部6に接続され、同相検出容量C21、C22に同相出力電圧に応じた電圧がサンプリングされる。また、第2の状態では、
図13~
図15に示すように、スイッチS51、S52、S6がオフされ、同相検出増幅器2が同相帰還部6から切り離される。また、同相検出容量C21、C22がサンプリングした電圧により、同相制御増幅器361の入力を同相検出増幅器2が出力する同相出力電圧に保持される。
【0051】
次に、上述した構成のアンプシェアリングオートゼロ増幅器1Cの動作について
図16に示すタイムチャートを参照して説明する。オートゼロ増幅器31CのスイッチS11、S12、S31、S32には、クロックCLK1が供給され、スイッチS13、S14、S33、S34には、クロックCLK2が供給され、スイッチS23、S24には、クロックCLK3が供給される。スイッチS21、S22には、クロックCLK4が供給され、スイッチS41、S42には、クロックCLK5が供給され、スイッチS51、S52、S6にはクロックCLK6が供給される。
【0052】
このクロックCLK1~CLK6により、オートゼロ増幅器31Cは、校正モード(
図12、
図13)、増幅モードの第1経路モード(
図14)、校正モード、増幅モードの第2経路モード(
図15)の順に動作モードが切り替わり、この切り替わりを繰り返す。
【0053】
オートゼロ増幅器31C、32C、33Cに供給されるクロックCLK1~CLK6は、位相が120度ずれている。これにより、
図17に示すように、オートゼロ増幅器31C、32C、33Cのうち一つが校正モードの時に、他の2つが第1経路モード又は第2経路モードとなる。また、オートゼロ増幅器31C、32C、33Cは順次、校正モードとなる。これにより、アンプシェアリングオートゼロ増幅器1Cは、常時、第1出力経路、第2出力経路の一方又は双方から入力信号Vinを増幅した出力信号Voutを出力することができる。
【0054】
上述した第3実施形態では、校正モードである間に第1の状態から第2の状態に切り替わっていたが、これに限ったものではない。例えば、校正モードから増幅モードへの切り替えと同時に第1の状態から第2の状態に切り替わってもよい。この場合、オートゼロ増幅器31CのスイッチS11~S14、S21~S24、S31~S34、S41、S42、S51、S52、S6には、
図18に示すクロックCLK1~CLK6が供給される。
図18に示すクロックCLK1~CLK6によれば、クロックCLK5、CLK6は同じクロックとなる。このため、オートゼロ増幅器31C、32C、33Cの制御回路を、簡易なクロックジェネレータで回路を構成できる。
【0055】
(第4実施形態)
第1~第3実施形態では、増幅モード時に、同相検出容量C21、C22に相互コンダクタンス増幅器34、341、342から出力される差動電圧がチャージされる。この状態で、校正モードに切り替わると、同相検出容量C21、C22に溜まった差動電圧をディスチャージする必要があるため、同相検出容量C21、C22の電圧の過渡応答が収束するまでの時間が長くなる。
【0056】
そこで、第4実施形態では、第1実施形態~第3実施形態で説明した同相帰還部36に代えて、
図19及び
図20に示すような同相帰還部36Dを用いている。同相帰還部36Dは、スイッチS51、S52、S6と、同相制御増幅器361と、同相検出容量C21~C24と、スイッチS71~S74(第2切替スイッチ)とを有している。スイッチS51、S52、S6、同相制御増幅器361については、第1~第3実施形態で既に説明したものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0057】
同相検出容量C21(第1同相検出容量)は、同相制御増幅器361の2つの出力のうち相互コンダクタンス増幅器34、341、342の正の出力に接続される方(以下「+出力」と略記)と、同相制御増幅器361の入力との間に接続されている。同相検出容量C22(第2同相検出容量)は、同相制御増幅器361の出力のうち相互コンダクタンス増幅器34、341、342の負の出力に接続される方(以下「-出力」と略記)と、同相制御増幅器361の入力との間に接続されている。同相検出容量C23(第3同相検出容量)は、一端が同相制御増幅器361の入力に接続され、他端がスイッチS71を介して+出力に接続され、スイッチS72を介して-出力に接続される。同相検出容量C24(第4同相検出容量)は、一端が同相制御増幅器361の入力に接続され、他端がスイッチS73を介して-出力に接続され、スイッチS74を介して+出力に接続される。即ち、スイッチS71~S74は、同相検出容量C23、C24の接続先を+出力又は-出力に切り替える。
【0058】
これにより、同相帰還部36Dは、
図19に示す第3の状態と、
図20に示す第4の状態と、に切り替えることができる。第3の状態では、
図19に示すように、スイッチS71、S73がオンされ、スイッチS72、S74がオフされる。これにより、+出力と同相制御増幅器361の入力との間には、同相検出容量C21、C23が並列接続される。また、-出力と同相制御増幅器361の入力との間には、同相検出容量C22、C24が並列接続される。第4の状態では、
図20に示すように、スイッチS72、S74がオンされ、スイッチS71、S73がオフされる。これにより、+出力と同相制御増幅器361の入力との間には、同相検出容量C21、C24が並列接続される。また、-出力と同相制御増幅器361の入力との間には、同相検出容量C22、C23が並列接続される。このスイッチS71~S74をオンオフ制御するクロックを出力する回路(図示せず)が、第2制御部を構成する。
【0059】
次に、第4実施形態における同相帰還部36Dの動作について説明する。同相帰還部36Dは、増幅モードのとき第3の状態であれば、増幅モードから校正モードに切り替わるタイミングで、第3の状態から第4の状態に切り替わる。増幅モードのとき第3の状態であれば、+出力に接続される同相検出容量C21、C23の他端の方が、-出力に接続される同相検出容量C22、C24の他端の電圧より高くなる。その後、校正モードに切り替わるタイミングで第4の状態に切り替わると、同相検出容量C21、C24が並列接続され、同相検出容量C22、C23が並列に接続される。このため、同相検出容量C21から同相検出容量C24へ、同相検出容量C23から同相検出容量C22へ電荷移動が起こり、差動電圧を迅速にキャンセルして、同相検出容量C21~C24の電圧の過渡応答の収束が早くなる。
【0060】
また、同相帰還部36Dは、増幅モードのとき第4の状態であれば、増幅モードから校正モードに切り替わる際に、第4の状態から第3の状態に切り替わる。同様の理由により、増幅モードから校正モードに切り替えた時の同相検出容量C21~C24の電圧の過渡応答の収束が早くなる。
【0061】
なお、上述した第4実施形態によれば、増幅モードから校正モードに切り替わるタイミングで第3の状態から第4の状態又は第4の状態から第3の状態に切り替えていたが、これに限ったものではない。校正モードから増幅モードに切り替わるタイミングでも第3の状態から第4の状態又は第4の状態から第3の状態に切り替えてもよい。
【0062】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。上述した過渡応答の収束を早くするため、第5実施形態に示すオートゼロ増幅器31は、第1実施形態~第3実施形態で説明した同相検出増幅器2に代えて、
図21~
図24に示すような同相検出増幅器2Eを用いている。
【0063】
図23及び
図24に示すように、同相検出増幅器2Eは、2つの電流源I1、I2と、4つのMOSトランジスタM11~M14と、カレントミラー回路21と、補助容量C31、C32と、スイッチS81、S82、S83(第3切替スイッチ)とを有している。電流源I1、I2、4つのMOSトランジスタM11~M14、カレントミラー回路21については、上述した第1実施形態で既に説明しているので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0064】
図21及び
図22に示すように、補助容量C31、C32は、スイッチS51、S52、S6をオンすると、同相検出容量C21、C22に並列接続されるように、同相検出増幅器2Eの同相入力と同相出力との間に接続されている。
図23及び
図24に示すように、スイッチS81は、補助容量C31の同相入力側の一端と基準同相電圧Vcmとの間に接続されている。スイッチS82は、補助容量C32の同相入力側の一端と基準同相電圧Vcmとの間に接続されている。スイッチS83は、カレントミラー回路21の出力側のトランジスタのゲート-ドレイン間に接続される。スイッチS81、S82をオンすると、補助容量C31、C32の一端に基準同相電圧Vcmが供給される。スイッチS83をオンすると、カレントミラー回路21の出力側トランジスタがダイオード接続され、補助容量C31、C32の他端からグランド間のインピーダンスを低下させ、補助容量C31、C32は、基準同相電圧Vcmに充電される。
【0065】
即ち、同相検出増幅器2Eは、スイッチS81~S83のオンオフによって、補助容量C31、C32が基準同相電圧Vcmに充電される充電モードと、同相出力電圧を出力する同相出力モードとに切り替えられる。このスイッチS81~S83にオンオフを制御するクロックを出力する回路(図示せず)が、第3制御部を構成する。
【0066】
次に、上述した第5実施形態の動作について説明する。スイッチS51、S52、S6がオフされて、同相帰還部36と同相検出増幅器2Eとが切り離されている間に、スイッチS81~S83はオンされる。これにより、補助容量C31、C32が基準同相電圧Vcmに充電される。その後、スイッチS51、S52、S6がオンされて、同相帰還部36と同相検出増幅器2Eとが接続されると、スイッチS81~S83はオフされる。スイッチS51、S52、S6がオンされると、同相検出容量C21に補助容量C31が並列接続され、同相検出容量C22に補助容量C32が並列接続される。補助容量C31、C32により、同相検出容量C21、C22の差動電圧をキャンセルして基準同相電圧Vcmに迅速に近づけることができ、過渡応答の収束を早めることができる。この補助容量C31、C32の容量を同相検出容量C21、22よりも大きくすることで、より迅速に同相検出容量C21、C22の両端電圧を基準同相電圧Vcmに近づけることができ、より一層、過渡応答の収束を早めることができる。コモンモードフィードバック回路の位相補償容量は、同相検出容量C21、C22と補助容量C31、C32を足し合わせた値に決定するため、安定性の面からもオートゼロ増幅器31、32側の同相検出容量C21、C22を小さく設計でき、回路面積の削減も可能となる。
【0067】
次に、第1実施形態のPing-Pongオートゼロ増幅器1Aを構成するオートゼロ増幅器31、32に上述した同相検出増幅器2Eを適用した場合の動作について
図25を参照して説明する。同図に示すように、スイッチS81~S83は、オートゼロ増幅器31、32の何れか一方が同相検出増幅器2Eに接続されているときは、オフされる。また、スイッチS81~83は、オートゼロ増幅器31、32の双方が同相検出増幅器2Eから切り離されているときは、オンされる。
【0068】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。
図26に示すように、第6実施形態では、第1実施形態で説明したPing-Pongオートゼロ増幅器1Aを用いて、2段以上の増幅器を有する増幅装置100を構成する。増幅装置100は、入力段となるPing-Pongオートゼロ増幅器1Aと、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aの出力を増幅する増幅器101と、を備えている。Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aに入力された入力信号Vinは、Ping-Pongオートゼロ増幅器1A、増幅器101により増幅され出力信号Voutとして出力される。この構成によって増幅装置100の高精度化を図ることができる。
【0069】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。
図27に示すように、第7実施形態では、第1実施形態で説明したPing-Pongオートゼロ増幅器1A又は第2実施形態で説明した位相反転オートゼロ増幅器1Bを用いて、3段以上のチョッパ安定化増幅器102を構成する。チョッパ安定化増幅器102は、チョッパ変調器103と、相互コンダクタンス増幅器104と、チョッパ出力回路105と、増幅器106と、相互コンダクタンス増幅器107とを備えている。
【0070】
チョッパ変調器103は、信号Vinを高周波帯域変調する。相互コンダクタンス増幅器104は、チョッパ変調器103により変調された信号を増幅して出力する。チョッパ出力回路105は、例えば、
図28に示すように構成されている。同図に示すように、チョッパ出力回路105は、チョッパ変調器108と、ノイズリダクションループ回路109と、を有している。チョッパ変調器108は、相互コンダクタンス増幅器104の出力の信号成分を低周波帯域に復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調して出力する。
【0071】
ノイズリダクションループ回路109は、相互コンダクタンス増幅器104のオフセット成分を抽出し、抽出したオフセット成分を相互コンダクタンス増幅器104の出力に負帰還する。このノイズリダクションループ回路109により、相互コンダクタンス増幅器104において発生するオフセット成分及び低周波雑音成分を低減して、チョッパ出力回路105の出力に含まれるリップルノイズを低減できる(
図30(B)、
図30(C)参照)。
【0072】
図28に示す例では、ノイズリダクションループ回路109は、ノイズリダクションループ回路109の入力を増幅する第1実施形態で説明したPing-Pongオートゼロ増幅器1Aと、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aの出力の高周波信号成分を低減するフィルタ回路110と、フィルタ回路110の出力を増幅する相互コンダクタンス増幅器111とを有する構成である。Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aには、相互コンダクタンス増幅器104の出力が入力される。フィルタ回路110は、Ping-Pongオートゼロ増幅器1Aの出力の低周波信号成分を増幅し、高周波信号成分を低減する機能を有する。フィルタ回路110によって、高周波信号成分を低減して増幅器のオフセット成分をフィードバックできる。
【0073】
また、チョッパ出力回路105は、例えば、
図29に示すように構成してもよい。同図に示すように、チョッパ出力回路105は、チョッパ変調器112と、リップル校正回路113とを有している。チョッパ変調器112は、
図28に示すチョッパ変調器108と同様である。
【0074】
リップル校正回路113は、チョッパ変調器112の出力に入力が接続され、チョッパ変調器112の入力に出力が接続されている。リップル校正回路113は、チョッパ変調器112の出力のうち高周波雑音成分(リップルノイズ)を抽出して、抽出したリップルノイズを変調してオフセット成分に変調し、変調したオフセット成分を相互コンダクタンス増幅器104の出力に負帰還する回路である。リップル校正回路113により、相互コンダクタンス増幅器104の出力に含まれるオフセット成分を低減して、チョッパ変調器112の出力に含まれるリップルノイズを低減できる(
図30(B)、
図30(C)参照)。
【0075】
本実施形態では、リップル校正回路113は、リップル校正回路113に入力される低周波雑音成分を低減し、リップルノイズを検出するハイパスフィルタ114と、ハイパスフィルタ114の出力のリップルノイズを低周波成分に復調してオフセット成分に変調する位相反転オートゼロ増幅器1Bと、位相反転オートゼロ増幅器1Bの出力の高周波成分を低減するフィルタ回路115と、フィルタ回路115の出力を増幅する相互コンダクタンス増幅器118とを有する構成である。
【0076】
図27に示すように、増幅器106は、チョッパ出力回路105から出力される信号成分を増幅する。本実施形態では、増幅器106の出力がチョッパ安定化増幅器102の出力端となり、出力信号Voutが出力される。増幅器106は、相互コンダクタンス増幅器117と、増幅器118と、増幅器117、118の位相補償を行う位相補償回路119とを有している。相互コンダクタンス増幅器117の出力には増幅器118の入力が接続され、増幅器118の出力が増幅器106の出力、すなわちチョッパ安定化増幅器102の出力端となる。
【0077】
位相補償回路119は、容量Cc1~Cc3から構成されている。容量Cc1は、増幅器118の入力と出力との間に接続される。容量Cc2は、相互コンダクタンス増幅器117の反転入力と、増幅器118の出力との間に接続される。容量Cc3は、相互コンダクタンス増幅器117の非反転入力とグランドとの間に接続される。
【0078】
相互コンダクタンス増幅器107は、入力端と増幅器118の入力との間に接続され、フィードフォワードアンプとして機能する。このように、第1実施形態で説明したPing-Pongオートゼロ増幅器1A、第2実施形態で説明した位相反転オートゼロ増幅器1Bを用いることにより、3段以上のチョッパ安定化増幅器102の高精度化を図ることができる。
【0079】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0080】
例えば、上述した第7実施形態で示した出力段の増幅器106は、相互コンダクタンス増幅器117と、増幅器118とから構成されていたが、これに限ったものではない。例えば、
図31に示すように、相互コンダクタンス増幅器117に代えて、2つの相互コンダクタンス増幅器120、121を設けてもよい。
図31に示す例では、位相補償回路122は、2つの容量Cc4、Cc5から構成されている。容量Cc4は、相互コンダクタンス増幅器121の反転入力と正極側の出力との間に接続されている。容量Cc5は、相互コンダクタンス増幅器121の非反転入力と負極側の出力との間に接続されている。
【0081】
また、上述した第7実施形態で説明した
図28に示すノイズリダクションループ回路109を
図32に示すように構成してもよい。
図32に示す例では、
図28に示すPing-Pongオートゼロ増幅器1Aと、チョッパ変調器106の出力と接続される増幅器102に代えて、第3実施形態で説明したアンプシェアリングオートゼロ増幅器1Cの相互コンダクタンス増幅器341、342を用いている。同図に示すように、チョッパ変調器106の出力がアンプシェアリングオートゼロ増幅器1Cの第1入力経路に接続され、第1出力経路が出力端となる。また、相互コンダクタンス増幅器104の出力が第2入力経路に接続され、フィルタ回路110が第2出力経路に接続される。
【符号の説明】
【0082】
1A Ping-Pongオートゼロ増幅器(増幅装置)
1B 位相反転オートゼロ増幅器(増幅装置)
1C アンプシェアリングオートゼロ増幅器(増幅装置)
2、2E 同相検出増幅器
31、32 オートゼロ増幅器
31C、32C、33C オートゼロ増幅器
34 相互コンダクタンス増幅器(増幅器)
35 校正回路
35C 校正回路
100 増幅装置
341、342 相互コンダクタンス増幅器(増幅器)
361 同相制御増幅器
C11、C12 サンプリング容量
C21 同相検出容量(第1同相検出容量)
C22 同相検出容量(第2同相検出容量)
C23 同相検出容量(第3同相検出容量)
C24 同相検出容量(第4同相検出容量)
C31、C32 補助容量
S1 スイッチ(第1切替スイッチ)
S2 スイッチ(第1切替スイッチ)
S11~S14(第1切替スイッチ、経路切替スイッチ)
S21~S24(第1切替スイッチ、経路切替スイッチ)
S31~S34(第1切替スイッチ、経路切替スイッチ)
S41、S42 スイッチ(第1切替スイッチ)
S51、S52 スイッチ(第2スイッチ)
S6 スイッチ(第1スイッチ)
S71~S74 スイッチ(第2切替スイッチ)
S81~S83 スイッチ(第3切替スイッチ)