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特開2022-128194セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ
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  • 特開-セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ 図1
  • 特開-セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ 図2A
  • 特開-セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ 図2B
  • 特開-セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ 図3
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  • 特開-セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ 図10
  • 特開-セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128194
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタ
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/36 20060101AFI20220825BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20220825BHJP
   B62B 5/04 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
F16H1/36
A61G5/10 717
B62B5/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026589
(22)【出願日】2021-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)集会での発表による公開 令和2年8月21日に茨城大学日立キャンパスにおける第28回茨城講演会で発表 (2)刊行物への発表による公開 令和2年8月21日に一般社団法人日本機械学会発行,第28回茨城講演会講演論文集,通計番号No.200-2,521にて掲載 (3)刊行物への発表による公開 令和2年9月1日に公益財団法人日本技術士会発行,技術士 IPEJ Journal,2020年9月号,通巻645号,第4~7頁にて掲載
(71)【出願人】
【識別番号】320002382
【氏名又は名称】株式会社福祉用具サービスもんちゃん
(71)【出願人】
【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】堀辺 忠志
(72)【発明者】
【氏名】前川 仁
(72)【発明者】
【氏名】尾関 和秀
【テーマコード(参考)】
3D050
3J027
【Fターム(参考)】
3D050AA03
3D050DD01
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG00
3D050JJ09
3J027FB40
3J027GC14
3J027GC22
3J027GD03
3J027GD14
(57)【要約】
【課題】
歯車列または歯車列を備える車椅子において、簡単な構成でセルフロックおよびロック解除を実現する。
【解決手段】歯車列100は、第1の軸26に固定した第1の歯車20と、第1の軸に平行な第2の軸36に遊嵌した第2の歯車30と、第1、第2の軸の双方に平行な第3の軸46に支持された第3の歯車40を有する。第1~第3の軸すべてに対して垂直な軸垂直平面において、第1~第3の軸の軸心22、32、42は三角形を形成する。それぞれの歯車は相互に噛み合い、第1の軸の軸心と前記第3の軸の軸心を結ぶ線分と、第1の軸の軸心と第2の軸の軸心を結ぶ線分のなす角度(α1)は、0°を超え14°以下である。この構成を成す歯車列機構を車輪に組み込むことで、歯車列のセルフロックにより車椅子の後退を抑制する。また、角度(α1)を前記の範囲から外すことで、容易にセルフロックの解除ができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸に固定した第1の歯車と、前記第1の軸に平行な第2の軸に固定した第2の歯車と、前記第1、前記第2の軸の双方に平行な第3の軸に固定して取付けた第3の歯車を有し、前記第1の軸及び前記第3の軸は回転可能に固定支持され、前記第2の軸は回転及び移動可能に支持されている歯車列において、
前記第1の軸と前記第2の軸と前記第3の軸のいずれに対しても垂直である軸垂直平面において、前記第1ないし前記第3の軸の軸心は一直線上には並ばずに三角形を形成し、前記第1の歯車は前記第2の歯車に噛み合い、前記第3の歯車は前記第1の歯車に噛み合うことなく前記第2の歯車に噛み合うように前記第1ないし前記第3の軸を配設し、前記第1ないし前記第3の軸の軸心が前記軸垂直平面において形成する三角形における、前記第1の軸の軸心と前記第3の軸の軸心を結ぶ線分と、前記第1の軸の軸心と前記第2の軸の軸心を結ぶ線分のなす角度(α)が、0°を超え14°以下であることを特徴とする歯車列。
【請求項2】
前記第2の軸を複数本設け、前記第3の軸を前記第2の軸と同じ本数だけ設け、前記第2の軸の各々にそれぞれ前記第2の歯車が遊嵌されており、前記第3の軸の各々に前記第3の歯車がそれぞれ保持されており、複数の前記第2の歯車は前記第1の歯車に噛み合い、前記第2の歯車の1つと前記第3の歯車の1つがそれぞれ噛み合い、これにより前記第1の歯車から前記第2の歯車を介して前記第3の歯車へ向かう複数の歯車列系統を構成し、前記各歯車列系統の前記角度(α)が、0°を超え14°以下であることを特徴とする請求項1に記載の歯車列。
【請求項3】
前記角度(α)が、12°~14°の場合に、前記歯車列系統を6系統以上設けたことを特徴とする請求項2に記載の歯車列。
【請求項4】
前記角度(α)が、10°~12°の場合に、前記歯車列系統を3系統以上設けたことを特徴とする請求項2に記載の歯車列。
【請求項5】
前記角度(α)が、8°~10°の場合に、前記歯車列系統を複数系統設けたことを特徴とする請求項2に記載の歯車列。
【請求項6】
前記第3の歯車を取り付ける軸の外径を、φ5mm以上前記第3の歯車の歯底円径未満としたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の歯車列。
【請求項7】
前記第3の歯車が取り付けられる前記第3の軸において、前記第3の歯車が取付けられる位置におけるこの前記第3の軸の断面形状が非円形であり、この非円形断面を有する前記第3の軸に取り付ける前記第3の歯車の内径部分がこの非円形断面に嵌合可能でかつ空転できる相補的な形状であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の歯車列。
【請求項8】
前記第3の軸の前記断面形状は多角形またはポリゴン形状であり、前記第3の歯車の内径形状は、前記第3の軸の多角形、楕円形またはポリゴン形状に相補的な多角形、楕円形またはポリゴン形状であることを特徴とする請求項7に記載の歯車列。
【請求項9】
使用者を載置する載置部の側部に設けられた移動手段を備える車椅子において、
各移動手段はそれぞれ車輪を備え、前記車輪のそれぞれに、前記車輪と連動して動くことが可能なハンドリムを設け、各車輪はその内部に、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の歯車列を含み、前記ハンドリムの逆回転に応じて前記車輪をセルフロックさせることを可能にすることを特徴とする車椅子。
【請求項10】
ステムと、一端側がこのステムの下端部に接続され他端側が分岐して形成されたフォークと、前記フォークの分岐した他端部を貫通して配置される回転軸と、この回転軸に取り付けられた車輪とを有するキャスタにおいて、
前記車輪はその内部に請求項1ないし8のいずれか1項に記載の歯車列を含み、前記車輪の逆回転に応じて前記キャスタにセルフロックを生じさせることを可能にすることを特徴とするキャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタに係り、特に多段の歯車列を含むときに好適な、セルフロック機構を有する歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
自走式または介助者付きの車椅子の運用において、しばしば困難さが見出される。たとえば、非特許文献1には多数の車椅子を含むヒヤリ・ハット情報事例が紹介されており、その事例114には、「立ち上がるときに(車椅子の)ブレーキをかけ忘れていたため車椅子が後方に移動し、転倒しそうになった」ことが、事例126には「手押しハンドルに介助ブレーキが付いていないために、スロープを押し上げる途中で車椅子と利用者の重さに負けて介助者が押し戻される」ことが示されている。
【0003】
これら事例に紹介されているように、現状の車椅子では、車椅子にブレーキが付いていてもいなくても、車椅子が勝手に後方へ独走して、車椅子の利用者もしくは介助者に多大な負担または怪我等の発生を引き起こす恐れがあった。このような車椅子の後方への独走を防止するためには、車椅子がセルフロック機構を有することが望まれる。セルフロック機構としては、ワンウェイクラッチ等が知られている。
【0004】
一方特許文献1には、車椅子等に用いる回転駆動装置において、伝達効率を低下させることなく動力伝達要素の回転を制限することが開示されている。具体的には、遊星歯車装置において、リングギヤの軸心を中心として回転可能な第1、第2のキャリアと、リングギヤに噛み合う第1の遊星歯車、第1の遊星歯車に噛み合う第2の遊星歯車を備える。そして、第1、第2の遊星歯車を、個々の軸心とリングギヤの軸心とを含む面が互いに交差する位置で噛み合わせ、第1、第2の遊星歯車の軸心が近接する方向へ回転するのを規制する一方、第1、第2の遊星歯車の軸心が離隔する方向へ回転するのを許容している。
【0005】
歯車列によりセルフロックを実現する例が、特許文献2および3に記載されている。特許文献2には、自転車変速機駆動用モータユニットに簡単な構成でセルフロック機構を設けることが開示されている。この公報では、遊星歯車変速機構が、固定太陽歯車と、出力太陽歯車と、複数の遊星歯車と、複数の遊星歯車を公転および自転可能に支持するキャリアとを備え、複数の遊星歯車では、固定太陽歯車と固定太陽歯車に噛み合う第1歯車と、出力太陽歯車に噛み合う第2歯車が同軸で固着されている。固定太陽歯車、出力太陽歯車、第1歯車、第2歯車は、セルフロック機能を生成する歯数に設定されている。
【0006】
特許文献3に記載の駆動ギヤのロック制御装置では、対象物を駆動する駆動ギヤが空転ギヤとロックギヤによってロックされるギヤ列により、負荷状態でも確実にロック解除される。すなわち、移動可能なロックギヤを設け、ロックギヤが駆動ギヤと空転ギヤの双方に噛み合ったときに駆動ギヤをロック状態にする。ロックギヤと駆動ギヤとの噛み合いが外れると、ロックが解除する。また特許文献4には、遊星歯車装置を備えるチェーンブロックにおいて、自己制動装置を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-7242号公報
【特許文献2】特開2014-91384号公報
【特許文献3】特開2018-168880号公報
【特許文献4】特開平02-291395号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】公益財団法人テクノエイド協会 ヒヤリ・ハット情報事例検索[online]、[検索日2020.2.3]、インターネット<URL: http://www.techno-aids.or.jp/hiyari/search.php?mode=search>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
車椅子の後方への暴走を防止するために、車椅子の駆動系にワンウェイクラッチを設けることは車椅子の運行における安全面からは有効であるが、車椅子の駆動系が複雑になると共に車椅子の重量が増す。また、ロックを必要としないもしくはロックを外したい事態に対応するためには、新たにロック解除装置が必要となり、駆動系および制動系が複雑になる。
【0010】
一方、上記特許文献1に記載の車椅子等に用いる回転駆動装置は、遊星歯車機構を利用しているのでコンパクト化が可能である。しかしながらこの公報に記載の車椅子では、歯車列がセルフロックを生じることについては記載されているものの、どのような構成または条件であればセルフロックが生じるかについてまでは開示されていない。後述するように、本発明者らの精力的な実験結果からは、単に歯車列を構成しただけではセルフロックを生じないことが判明している。特に、第3の歯車の構成が、セルフロックの分岐点となることについては考慮されていない。
【0011】
特許文献2に記載の自転車の自動変速機駆動用モータユニットは、自転車特にロードレーサに適用できるので小型化が図られている。そのため車椅子等に適用しても小型化を維持して、車椅子の重量増加を少なくすることが可能と思われる。しかしながらこのモータユニット歯車機構に用いる遊星歯車の諸元を一定の制約に基づき設定しなければならず、さらには太陽歯車および遊星歯車を軸方向に複列で配置しなければならないために、部品点数が多くなる。
【0012】
さらに特許文献3に記載の駆動ギヤのロック制御装置は、ロックギヤ型の2つのギヤに同時に噛み合う二重噛み合いによりロック状態を発生し、一方のギヤにしか噛み合わない状態にロックギヤを移動することでロック解除している。この公報に記載のロック制御装置では、ロック解除時に駆動ギヤの負荷トルクがそのままロックギヤに負荷されるので、ロックを解除するためにロックギヤを移動させるには、この負荷に対抗させる必要がある。そのため、本文献ではこの負荷をモータ駆動により受け止め、ロックギヤと駆動ギヤおよび空転ギヤの間にバックラッシを作ってからロックギヤを動かしている。ロックギヤに加わる負荷トルクを受け止める駆動モータが必要である点や、セルフロックの解除にあたってロックギヤの軸方向への移動操作が必要になる点で、電源を持たない車椅子や、ブレーキ操作を失念してしまう利用者が使用するような車椅子には不適である。
【0013】
また、特許文献4には、自己制動(セルフロック)するチェーンブロックが開示されているが、この公報に記載の発明において、セルフロックを生じさせるためには、両端の歯車に中間の歯車が当接する必要がある。しかしながら、このチェーンブロックでは必ずしも中間の歯車が両端の歯車に当接しない。つまり、チェーンブロックでセルフロックを生じさせるためには、中間の歯車が両端の歯車に当接するように中間の歯車を移動させるもしくは押し付ける力が必要になっている。中間の歯車が両端の歯車に押し付けられる力が働かない場合、すなわち当該歯車機構の天地が逆転したような場合にはセルフロックが生じないと考えられ、これはそれ自体が回転する車輪に内蔵することができないことを意味する。
【0014】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、歯車列およびそれを備える車椅子またはキャスタが、簡単な構成で確実にセルフロックおよびロック解除できることにある。本発明の他の目的は、上記目的に加え、セルフロック時に、歯車列が備える第3の歯車の噛み合いにおける引っ掛かりを保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成する本発明の特徴は、第1の軸に固定した第1の歯車と、前記第1の軸に平行な第2の軸に固定した第2の歯車と、前記第1、前記第2の軸の双方に平行な第3の軸に固定して取付けた第3の歯車を有し、前記第1の軸及び前記第3の軸は回転可能に支持され、前記第2の軸は回転及び移動可能に支持されている歯車列において、前記第1の軸と前記第2の軸と前記第3の軸のいずれに対しても垂直である軸垂直平面において、前記第1ないし前記第3の軸の軸心は一直線上には並ばずに三角形を形成し、前記第1の歯車は前記第2の歯車に噛み合い、前記第3の歯車は前記第1の歯車に噛み合うことなく前記第2の歯車に噛み合うように前記第1ないし前記第3の軸を配設し、前記第1ないし前記第3の軸の軸心が前記軸垂直平面において形成する三角形における、前記第1の軸の軸心と前記第3の軸の軸心を結ぶ線分と、前記第1の軸の軸心と前記第2の軸の軸心を結ぶ線分のなす角度(α)が、0°を超え14°以下としたことにある。
【0016】
そしてこの特徴において、前記第2の軸を複数本設け、前記第3の軸を前記第2の軸と同じ本数だけ設け、前記第2の軸の各々にそれぞれ前記第2の歯車が遊嵌されており、前記第3の軸の各々に前記第3の歯車がそれぞれ保持されており、前記複数の前記第2の歯車は前記第1の歯車に噛み合い、前記第2の歯車の1つと前記第3の歯車の1つがそれぞれ噛み合い、これにより前記第1の歯車から前記第2の歯車を介して前記第3の歯車へ向かう複数の歯車列系統を構成し、前記各歯車列系統の前記角度(α)が、0°を超え14°以下であるようにすることもできる。
【0017】
上記特徴において、前記角度(α)が、12°~14°の場合には、前記歯車列系統を6系統以上、10°~12°の場合には前記歯車列系統を3系統以上、8°~10°の場合には歯車列系統を複数系統設けることが望ましい。また、前記第3の歯車を取り付ける軸の外径を、φ5mm以上第3の歯車の歯底円径未満とすることが好ましい。
【0018】
上記特徴において、前記第3の歯車が取付けられる前記第3の軸の前記第3の歯車が取付けられる位置では、前記第3の軸の断面形状が非円形であり、この非円形断面を有する前記第3の軸に取り付ける前記第3の歯車の内径部分がこの非円形断面に嵌合可能でかつなめらかには回転できないが、空転できるような相補的な形状であることが好ましい。そして、前記第3の軸の前記断面形状は多角形またはポリゴン形状もしくは楕円であり、前記第3の歯車の内径形状は、前記第3の軸の多角形またはポリゴン形状もしくは楕円に相補的な多角形またはポリゴン形状であることが望ましい。
【0019】
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、使用者を載置する載置部の側部に設けられた移動手段を備える車椅子において、各移動手段はそれぞれ車輪を備え、前記車輪のそれぞれに、前記車輪と連動して動くことが可能なハンドリムを設け、各車輪はその内部に上述の歯車列を含み、前記ハンドリムの逆回転に応じて前記車輪をセルフロックさせること可能とすることにある。
【0020】
上記目的を達成する本発明のさらに他の特徴は、支柱(ステム)と、一端側がこの支柱の下端部に接続され他端側が分岐して形成されたフォークと、前記フォークの分岐した他端部を貫通して固定される車軸と、この車軸に取り付けられた車輪とを有するキャスタにおいて、前記車輪はその内部に上記歯車列を含み、前記車輪の逆回転に応じて前記キャスタにセルフロックを生じさせることを可能にすることにある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、駆動側の第1の歯車軸と最終の第3の歯車軸とを所定位置に配置し、その間に中間歯車軸を介在させた2段の平行軸歯車からなる歯車列機構において、各歯車軸間に形成される三角形の角度を0°を超えて14°以下の範囲に定めた。これにより、各歯車軸に配設した歯車が噛み合っている状態で、一方向駆動のみが可能で逆方向へは自動的にセルフロックされる状態を実現できた。また、中間歯車軸を動かすだけでロック解除が可能であり、簡単な構成でセルフロックおよびロック解除を実現でき、車椅子やキャスタに適用した場合には不測の後進を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る車椅子の一実施例の図である。
図2A図1に示した車椅子が備える歯車列機構の断面図である。
図2B図1に示した車椅子が備える歯車列機構の正面図および車軸と車椅子フレームの固定部の図である。
図3図2A、2Bに示した歯車列機構が有する歯車列の配置を説明するための図である。
図4】本発明に係る歯車列の種々の配置を示す図である。
図5】本発明に係る歯車列の試験結果を示す表である。
図6図5に示した試験結果のグラフである。
図7図5に示した試験結果の一部を取り出したグラフである。
図8】本発明に係る歯車列の他の試験結果を示す表である。
図9】本発明に係る歯車列の第3の歯車軸の軸断面、および第3の歯車の内径形状の一実施例の断面図である。
図10】本発明に係る複数の歯車列系統を備える歯車列の例を示す正面図である。
図11】本発明に係るキャスタの一実施例の側面図、正面断面図及び側面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、歯車列を備えた車椅子を例にとり、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る車椅子300の一実施例の図であり、その側面図を示す。図2Aは、図1に示した車椅子300が備える車輪320周りの縦断面図であり、図2B(a)はその要部である歯車列機構200の正面部分断面図、図2B(b)は歯車列機構200が備える車椅子フレームとの連結固定をになう回り止めブラケット212部の斜視図である。
【0024】
図1において、車椅子300はパイプ材の加工および溶接、ネジ締結などにより作成されたフレーム310と、フレーム310に取り付けられた移動手段としての一対の車輪320および一対のキャスタ330を主要部品として備える。フレーム310は、使用者が座る座面(図示せず)を形成するための座面部、座面部303から斜め上方に延びる背もたれ部302と、背もたれ部302の上端部であって背もたれ部302から水平方向に延びる把持部304と、座面部303にほぼ平行であって座面部303の上方に位置し、使用者の腕を載置可能な肘掛け部306と、座面部303の斜め下方に位置し、使用者の足を載置するフットレスト308を備える。
【0025】
車輪320は、円形に構成されたタイヤ及びリム311を含むタイヤ部312と、タイヤ部312に隣り合い、タイヤ部312よりも車椅子300の幅方向外側に配置され、タイヤ部312より一回り小径のハンドリム314を含む。ハンドリム314は、使用者が車椅子300を前進、後退および方向転換する操作に用いられる。ハンドリム314の裏面側(すなわち車輪320側)の周方向3か所には、連結手段318を用いてハンドリム連結ステー316がほぼ等間隔に取り付けられている。タイヤ部312は、車輪320の中心部に配置された歯車列機構200に、多数のスポーク313を用いて連結されている。
【0026】
歯車列機構200は、詳細を後述するように、第1の歯車20が取り付けられた第1の軸26と、第2の歯車30が取付けられた第2の軸36と、第3の歯車40が取り付けられた第3の軸46を有する。本実施例では、第1の軸26は車輪320の中心を貫通しており、第2、第3の軸36、46はそれぞれ3本設けられている。第1の軸26に取り付けた第1の歯車20の周方向ほぼ等間隔位置に、第2の歯車30が第1の歯車20と噛み合う状態で配設されており、各第2の歯車30に噛み合う状態で各1個の第3の歯車40が配設されている。したがって、本実施例の歯車列機構200では、第1~第3の歯車20、30、40からなる歯車列系統が、3系統形成されている。
【0027】
キャスタ330は、車輪320とともに車椅子300を支持しており、車椅子300の操舵にも用いられる。キャスタ330は、フレーム310に固定されるステム(支柱)324と、地面に当接する回動自在なキャスタ輪322と、ステム324の下端部に取り付けられ、キャスタ輪322の両側面部でキャスタ輪322を回動自在に支持する分岐した形状のフォーク326とを備える。フォーク326はステム324の軸心に対し回転自在に支持され、ステム324に対してフォーク326が旋回することで操舵される。
【0028】
図2A図2Bに、歯車列機構200を詳細に示す。図2A、2Bに示すように、車椅子300において最外側に位置するリング状のハンドリム314には、その内側面で変形Δ形状のハンドリム連結ステー316が連結手段318を介して連結されている。図2B(a)では、2個だけ示しているが、ハンドリム連結ステー316は周方向にほぼ等間隔に3個設けられている(図1参照)。
【0029】
ハンドリム連結ステー316の内径側端部近傍は、リング状に形成され、後述する第1の軸受202の外輪側に当接する第2の歯車30の保持板222にネジ締結されている。第2の歯車30の保持板222の中心部には、第1の歯車20に介装した第1、第2の軸受202、204(以後軸受206とも称す)を保持するための穴が形成されている。第2の歯車30を保持する保持板222のさらに内側には、第1の軸受202と軸方向に並んで配設された第2の軸受204の外輪を保持する、第3の歯車40の保持板236が配設されている。第3の歯車40の保持板236は、軸方向に間隔を置いて1対設けられており、各保持板236、236の外周部は、ダストカバー234で覆われている。
【0030】
したがって、リング状の1対の保持板236、236と円筒状のダストカバー234は、中心部が開いた円筒容器部を形成する。円筒容器部の側面外周部には、スポーク板232がネジ止めされている。スポーク板232に形成した穴と、リム311に形成したスポーク313の固定部間を、スポーク313が接続して、タイヤ部312を、所定半径を有する円形に保つ。
【0031】
円筒容器部の内部に、歯車列100が配置される。円筒容器部の反ハンドリム側もハンドリム側と同様の構成であるが、ハンドリムはなく、したがって歯車列100を制御するためのハンドリム連結ステーもない。その代りに、歯車列機構200が車輪320によりセルフロックが生じる方向に回転力を受けたときに、第1の軸がフレーム310に対して空転してしまわないように、回り止めブラケット212が設けられている。回り止めブラケット212は、フレーム310の背もたれ部302に当接することで、その動きを制限される。
【0032】
図2B(b)に示すように、回り止めブラケット212は、横μ字形状をしており、フレーム310の背もたれ部302に当接し、間隔を置いて上下に配置した上板部212aと下板部212cを備える。上板部212aと下板部212cは、縦板部212bにより接続されている。上板部212aと下板部212cをフレーム310の背もたれ部302に係合させるために、上板部212aと下板部212cには、背もたれ部302の外径に応じた部分円弧状の切り欠き部214、216がそれぞれ形成されている。縦板部212bの上下方向中間には、第1の歯車20の第1の軸26が貫通するための貫通穴218が形成されている。貫通穴218は、第1の軸26が回り止めブラケット212に対して回転するのを防止するキー246用のキー溝が形成された、凸部を有する円形になっている。
【0033】
一方、貫通穴216に対応するフレーム310の背もたれ部302は、直方体状の軸貫通部302aを有し、この軸貫通部302aは、円柱状のフレーム310を矩形状に遷移させる遷移部を上下に有する。軸貫通部302aの上下方向中間部には第1の歯車20の第1の軸26が貫通するキー溝穴を有する貫通穴302bが形成されている。
【0034】
図2Aに戻って、フレーム310の背もたれ部302の軸貫通部302a周辺とハンドリム連結ステー316と間の構成は、車輪300のタイヤ部312の幅方向中心に対して、軸対称な構成になっている。すなわち、軸貫通部302aよりも外側(図で右側)には第1、第2の軸受202、204が軸方向に並んで配設され、第1の軸受202の外輪を第2の歯車30の保持板222が保持し、第2の軸受204の外輪を第3の歯車40の保持板236が保持している。したがって、第1、第2の軸受202、204は軸方向に間隔を置いてそれぞれ1対ずつ設けられており、これらの軸受206(202、204)の内輪は、第1の軸26に保持されている。第1の軸26に取り付けた2つの軸受206、206間には、第1の歯車20がキー244を介して取り付けられている。そのため第1の軸26の対応位置には、キー溝が形成されている。
【0035】
歯車列機構200が有する歯車列100の配置を、図2Aも参照して説明する。第1の軸26の一端部(外側)にはサークリップの嵌合溝が形成されている。サークリップは、第1の軸受202の側面に当接することで、歯車列100が配置された円筒容器部が、軸方向に移動することを規制する。第1の軸26の他端部(内側)は、車輪300の円筒容器部を貫通したのちにツバ部がフレーム310の背もたれ部302に形成した軸貫通部302aに突き当たる。さらにツバよりも内側の軸部が背もたれ部302に係合する回り止めブラケット212の貫通穴218にキー246によりキー止めされたあと貫通穴218から内側に延在し、ナットで固定される。したがって第1の軸26はフレーム310に対して固定され、第1の歯車20もフレーム310に対して非回転となる。
【0036】
上述したように、第1の歯車20に噛み合う3個の第2の歯車30が、第1の歯車20の周方向に等間隔に配置されている。第2の歯車30は、第2の軸36に所定隙間250で遊嵌している。本実施例ではこの所定隙間250は、1mm弱である。第2の軸36の両端部は、第2の歯車30の保持板222に保持されている。第2の歯車30の保持板222の内径側は、第1の軸受202の外輪側を保持しているので、第2の歯車30は第1の歯車20と噛み合いながら第1の歯車20の周りを回動できる。
【0037】
第2の歯車30に噛み合う第3の歯車40が、各第2の歯車30ごとに設けられている。本実施例では、第2の歯車30の個数が3個であるから第3の歯車40の個数も3個である。第3の歯車40は、第3の軸46に隙間嵌めで嵌合されている。第3の軸46の両端部は、第3の歯車40の保持板236に形成した穴に嵌合し、ネジ等で保持板236に保持される。
【0038】
第3の歯車40の保持板236、236は、一対の第2の歯車30の保持板222、222の間にあるため、各第3の歯車40の保持板236には、第2の歯車30の第2の軸36が貫通するための貫通穴が、第2の歯車30の位置に対応して形成されている。貫通穴の内径は、第2の歯車30の内径より大きい。第2の軸36が第2の歯車30の中心穴よりも所定隙間250だけ小径に設定されているので、第2の軸36は、第2の歯車30の中心穴内で移動することが可能である。第3の歯車40の保持板236には、その移動を妨げない隙間252が形成されている。第3の歯車40の保持板236の内径側は、第2の軸受204の外輪を保持しているので、第3の歯車40は第2の歯車30と噛み合いながら、ともに移動する。なお、第3の歯車40の保持板236は、車輪200のタイヤ部312に連結しているから、車輪200の回動と共に、第2、第3の歯車30、40は回動する。
【0039】
このように構成した本実施例の車椅子300では、進行方向にハンドリム314を回転したときには車椅子300は前方に進むが、進行方向と逆方向にハンドリム314を回転すると車椅子300はその進行を止める。このことを、歯車列100だけを取り出した図3、4を用いて以下に説明する。
【0040】
図3は、歯車列100を示す代表的な図であり、図4は、歯車列100を構成する第1~第3の歯車20、30、40の幾何学的関係を説明する図である。本実施例の歯車列100では、第1の歯車20は、その回転軸心22で回転自在に位置固定されており、同様に第3の歯車40もその回転軸心42で回転自在に位置固定されている。一方、第2の歯車30の内径と第2の軸36の外径の間には、隙間39が形成されている。言い換えれば、第2の軸36は、第2の歯車30の内周側で回転軸心32が固定されておらず、隙間の範囲内での移動が許容されている。
【0041】
歯車列100を構成する第1~第3の歯車20、30、40は、モジュールmのインボリュート標準歯車で、第1の歯車20は第2の歯車30とだけ、第2の歯車30は第1の歯車20と第3の歯車40の双方に、第3の歯車40は第2の歯車30とだけ、それぞれ噛み合っている。各歯車のピッチ円は24、34、44であり、各歯車の軸心は22、32、42である。第1の歯車20の軸心22と第3の歯車40の軸心42との間の距離は、L(L>(R+R+2m)に設定されている。ここで、Rは第1の歯車20のピッチ円半径、Rは第3の歯車40のピッチ円半径である。
【0042】
第1~第3の歯車の軸心22、32、42は、三角形の頂点を形成する。この三角形の3つの頂点22、32、42を結ぶ線分12、14、16がなす角の内、第1、第2の歯車20、30の軸心22、32を結ぶ線分14が第1、第3の歯車20、40の軸心22、42を結ぶ線分12となす角は、αである。同様に第2、第3の歯車30、40の軸心32、42を結ぶ線分16が、第1、第3の歯車20、40の軸心22、42を結ぶ線分12となす角はαである。
【0043】
ところで、歯車列100において、上記角度αの大きさにより、歯車列100の挙動もしくは性質が変化し、αが0°以上の所定角度範囲内で、時計回り方向の回転(正転)ができなくなるセルフロックが生じることを本発明者らは試験的研究により見出した。図4に歯車列100の配置の変化による、歯車列100の性質の変化の様子を模式的に示す。3個の金属製または一部樹脂製の歯車20、30、40を、異なる噛み合い状態で、すなわち、歯数が異なる第1~第3の歯車20、30、40の組のうちの、第1の歯車20と第3の歯車40について、上記角度αだけ変えて配置して、示している。パターン1~4を図4(a)~(d)に示す。
【0044】
図4(a)はパターン1の場合の図であり、第1の歯車20と第3の歯車40の中心間距離Lが第1の歯車20の歯先円半径(R+m)と第3の歯車40の歯先円半径(R+m)の和より短い場合である(L<{(R+m)+(R+m)})。この場合、第2の歯車30を第1の歯車20と第3の歯車40の双方に噛み合わせると、上記距離Lが十分に長くないので、同時に第3の歯車40が第1の歯車20に噛み合う現象を生じる。その結果、第1の歯車20を駆動しても、第1~第3の歯車20、30、40では二重噛み合いが生じ、歯車間での回転伝達が不可能になる。
【0045】
図4(b)、(c)は、パターン2、3の場合の図である。第1の歯車20と第3の歯車40は噛み合わないように間隔を置いて配置されている。第1の歯車20と第3の歯車40の中心間距離Lは、第1の歯車20の歯先円半径(R+m)と第3の歯車40の歯先円半径(R+m)の和以上である((L≧{(R+m)+(R+m)})。さらに、第2の歯車30を介在させたときに、第2の歯車30が第1の歯車20と第3の歯車40の間の隙間を通り抜けない距離にLは設定される。すなわち、Lは第1の歯車20のピッチ円半径Rと第3の歯車40のピッチ円半径Rと第2の歯車のピッチ円直径2Rの和より小さい(L<(R+R+2R))。
【0046】
このような3個の歯車20、30、40の中心位置設定において、第1の歯車20の軸心22と第3の歯車40の軸心42を結ぶ線分12に対して第2の歯車30の軸心32と第3の歯車40の軸心42を結ぶ線分14のなす角度αが、後述するように14°を超えるかそれ以下かで、噛み合い状態が変化することを試験的に確認した。角度αが14°を超えるパターン2を示す図4(b)の場合には、3個の歯車20、30、40からなる歯車列100は通常の2段の変速機構の動きを示す。つまり、第1の歯車20を正逆いずれの方向に回転しても、第1の歯車20の回転力は第3の歯車40まで伝達され、第3の歯車40は第1の歯車20と同一向きに回転する。
【0047】
(セルフロックの発生)
一方、本発明の特徴を示すパターン3の図4(c)の場合には、上記角度αが14°以下であり、第1の歯車20を正転方向に回転駆動すると、第2の歯車30が第1の歯車20と第3の歯車40の間に噛み込まれる、または図4(c)で下方に動かされる。すなわち、第1の歯車20を正転方向(図4(c)で右回転)に回転させたにもかかわらず、通常の回転伝達であれば正転方向に回転しなければならない第3の歯車40に逆転が生じる。その結果、第2の歯車30は第1の歯車20と第3の歯車40の間に巻き込まれる形になり、第1の歯車20の軸26と第3の歯車40の軸46には、第2の歯車30の巻きこみにより、軸26、46間を水平方向に押し広げる力が生じる。最終的にこの軸26、46間を押し広げようとする力と、第3の歯車40の内径および第3の軸46の接触面に存在する回転方向摩擦係数の積からなる摩擦力により、第3の歯車40の回転が阻害され、歯車列100にセルフロック現象が起こる。これにより、第1の歯車20は回転を続けることができなくなる。
【0048】
図4(d)は、第1の歯車20の軸心22と第3の歯車40の軸心42の間の距離Lが長くなり過ぎ、第2の歯車30を介在させたときに、第1の歯車20の回転トルクにより図で下向きの力が発生し、第2の歯車30が第1の歯車20と第3の歯車40の間に形成される隙間を、下側へ通り抜ける場合である。このとき、上記長さLは、L≧(R+R+2R)である。
【0049】
以上の知見を得た、歯車列100を実際に製作して試験した結果の一例を、図5図8に示す。図5図7は、第1次試験結果の例であり、図8は第2次試験結果の例である。第1次試験結果の一覧を図5に、それをグラフ化して図6に示す。図7は、図5の一覧表の内、第1の歯車(G1)20の歯数Zに応じて分類したグラフである。
【0050】
本試験では、第1の歯車(G1)20、第2の歯車(G2)30、第3の歯車(G3)40の歯数Zを、15枚(小歯車)、19枚(中歯車)、23枚(大歯車)に変化させた、全27の場合についてセルフロックが生じる角度αを測定した。なお、本試験で用いた歯車は、歯幅が一定で、圧力角20°のインボリュート標準歯車であり、モジュールm=1.25の金属(S45C)歯車であり、第3の軸46の軸径φdはφ8である。第3の軸46の軸径φdは、第3の歯車40における後述する引っ掛かりのための重要なファクタである。
【0051】
図5の一覧表において、左端の列は、試験番号をA1~A27で示し、続く11列はセルフロックを生じた角度αを示す。最右端のG1G2G3の列は、第1の歯車(G1)20と第2の歯車(G2)30と第3の歯車(G3)40の組み合わせを示す。例えば、G1G2G3の項が大中小であれば、第1の歯車の歯数Zが23枚、第2の歯車の歯数Zが19枚、第3の歯車の歯数Zが15枚であることを示す。同一条件下での試験を10回繰り返し、セルフロックが生じたときの角度αの最大値を、小数点以下を四捨五入して、その出現頻度で示している。
【0052】
図5に示したすべての試験結果をプロットしたのが、図6に示す頻度グラフである。第1の歯車(G1)20、第2の歯車(G2)30、第3の歯車(G3)40について、大中小歯車を組み合わせた試験番号A1~A27の試験の結果であり、同一の試験番号について各10回試験した結果を示す。ある角度範囲でセルフロックが出現した割合を示すのが、図6の右目盛りの頻度曲線10であり、ある角度範囲でセルフロックが出現した頻度は棒グラフ(左目盛り)で示している。
【0053】
頻度分布(左目盛り)では、α=9~10°の点で60回弱のピークを示し、αを9.5°以下にすれば、ほぼセルフロックが生じることがわかる。なお、同一歯車列機構200に歯車列100を複数系統設けると、それらのいずれかがセルフロックすれば装置全体がセルフロックする。したがって、図6の頻度曲線10を参照すれば、αをさらに大きくしても歯車列100を、後述する図10に示すように、複数系統設けておれば、セルフロックさせることが可能なことが分かる。
【0054】
α=12°~14°の範囲では、6回に1回程度の確率でセルフロックが生じているので、歯車列を少なくとも6系統設ければ、確実にセルフロックを生じさせることができる。同様に、α=10°~12°の範囲では、3系統設ければよく、α=8°~10°の範囲では複数系統、すなわち2系統以上設ければよい。αが8°以下であれば、1系統だけでもセルフロックを生じさせることができる。
【0055】
なお、歯車列を6系統よりもさらに多くすれば、αがより大きい角度でもセルフロックを起こさせる可能性はある。しかしながら図10に示すように、歯車列機構200が複雑になるとともに歯車の大きさや配列が制約を受け、実用的には成立しがたい。この試験結果からは6系統の歯車列を有し、αが14°以下であることが、セルフロックの分岐点であることがわかる。
【0056】
図7は第1の歯車(G1)20に大歯車、すなわちZ=23枚(図7(a))、中歯車Z=19枚(図7(b))、小歯車Z=15枚(図7(c))を割り当て、第2の歯車(G2)30と第3の歯車(G3)40の歯数の組み合わせを種々変えた場合における、セルフロックが生じる角度αの頻度結果を示す図である。
【0057】
第1の歯車20の歯数が多いほど、言い換えれば歯車系が大きいほど、セルフロックの生じる限界角度が小さくなる傾向にある。つまり、大歯車を第1の歯車20に用いると、セルフロックの生じる範囲は狭くなる。一方、小歯車を第1の歯車20に用いると、ばらつきはあるものの、大部分の場合においてセルフロックの生じる限界角度は大きくなる。これは、第1の歯車20における回転トルクが、第1の歯車20の径に依存しているので、この回転トルクを受ける、第3の軸46とその第3の軸46が嵌合する第3の歯車40の内周穴の間の摩擦力がたとえ小さくても、回転トルクを受け止めやすいからと考えられる。
【0058】
中歯車を第1の歯車20に用いた場合には、セルフロックの生じる限界角度の範囲のばらつきは大歯車の場合と同程度であり、限界角度は大歯車の場合より大角度側にシフトしている。このことから、第1の歯車20の径は小径である方が望ましいことがわかる。ただし、本実施例で用いた小歯車ではばらつきが大きいので、実用的には中歯車を第1の歯車20に用いるのが好ましい。小歯車を第1の歯車20に用いたときのばらつきの原因は、組立公差が一定であれば相対的に組立誤差が大きくなること等が考えられる。
【0059】
本歯車列100では第1の歯車20の回転トルクを最終的に第3の歯車40が回転自在に支持された第3の軸46で受け止めている。したがって、第3の軸46の外径および第3の軸46と第3の歯車40の内周穴形状が、セルフロックを生じさせる回転トルクの受け止めに影響することが分かる。セルフロックは、第2の歯車が第1と第3の歯車の間に巻き込まれ、それにより第3の歯車の回転軸を第1の歯車の中心軸から離そうとする力が生じた状態であり、その力を受けて大の歯車40と第3の軸46の接触面で大きな摩擦力が生じている状態であり、これは、歯車列100を全体としてみた場合に、等速歯車列または増速歯車列であるときに生じやすい(図8のNo.B8、B9参照)。
【0060】
図8に、第3の歯車40を係止する第3の軸46の軸径φdの変化がセルフロックに及ぼす影響を示す。図8は、第3の軸46の軸径を変えて試験した第2次試験の結果の一覧表である。試験番号B1~B9の9種類について、第3の歯車40を黄銅または炭素鋼(S45C)製として、第3の軸46の材質をステンレス鋼(SUS304)製として試験した。ここで、第1の軸26の材質におけるピンク樹脂(試験番号B1、B2)は、ポリアセタールを示している。セルフロックを生じさせるためには、第3の歯車40と第3の軸46は引っ掛かりやすい材質がよいので、少なくとも第3の軸46はそれ自身に潤滑性を持たない金属製としている。なお第3の歯車40をプラスチック材料でも試験したが、第3の歯車40と第3の軸46の間に、セルフロックに至るだけの摩擦力を得られず不適であった。
【0061】
第2次試験では、第3の歯車40の内径φdの他に、モジュールmや歯数Zも同時に変化させている。モジュールmを小さくすると同程度の歯数であれば歯車径が小さくなるので、その歯車を回転自在に支持する軸径も小さくならざるを得ない。そこで、軸径をφ4~φ8まで変化させている。軸径φ4以下では、回転自在に支持できる歯車の中心穴径が小さくなりすぎる、もしくは歯が小さくなりすぎるので、セルフロックを生じさせることはできなかった(No.B1)。モジュールmについては試験範囲では、いずれの場合もセルフロックを生じさせ得ることが分かった。第3の歯車40と第3の軸46の回転摺動面は、セルフロックの由来である摩擦力を大きくするために無潤滑で使用することが好ましいから、モジュールmをこの第2次試験で用いたモジュールmの範囲からかけ離れて大きくすると歯車が大型化し、伝達する回転力およびセルフロックで受け止める回転力も大きくなり、回転摺動面での焼き付き等を生じる虞れがあり不適である。歯数Zについては、上述した通り、歯車列100を全体としてみた場合に、等速歯車列または増速歯車列である方が好ましい(図8のNo.B8、B9参照)。
【0062】
以上の第1次、第2次試験結果を反映して、図1~2Bに示す車椅子300の実施例においては、第1の歯車20、第2の歯車30、第3の歯車40のそれぞれの中心22、34、44の位置を、図4(c)の関係になるように配置している。すなわち、車椅子300が歯車列系統を3系統備え、上記所定角度αが12°以下になるような位置に第1~3の歯車20、30、40を配置している。それとともに、角度αが所定角を超える位置に第2の歯車30を移動させる機構を備える。これは、第2の軸36を第2の歯車30の中心に形成した貫通穴に遊嵌させ、第2の軸36を第3の歯車保持板236に対して所定の隙間252を設けて貫通させることで実現している。
【0063】
具体的には、図2A図2Bを参照して、ハンドリム314を進行方向に向けて回転させると、ハンドリム314に連結したハンドリム連結ステー316も順方向に同期回転する。ハンドリム連結ステー316は、第2の歯車30の保持板222に接続しているので、保持板222に両端部を固定された第2の軸36及びそれに遊嵌する第2の歯車30もハンドリム314と同期回転する。第2の軸36は第3の歯車40の保持板236をも貫通しているので、両端部が保持板236に保持された第3の軸46に取り付けられた第3の歯車40も、第2の歯車30とともに順方向に回転する。第3の歯車40の保持板236は、車輪320のタイヤ部312にスポーク313を介して接続されているから、車輪320全体が、第2の歯車30と同期して第1の軸26の周りを順方向に回転する。これは通常の前進操作である。
【0064】
第1~第3の歯車20、30、40はその軸中心間の距離を図4(c)に説明した関係に設定してあるので、前進方向に向けた通常操作では車輪320は順方向に回転する。しかしながら、角度αがセルフロック作用を生じる角度に設定されているので、車輪320が外力により回され、歯車列機構200が逆回転させられそうになるとセルフロックが生じる。
【0065】
歯車列にセルフロックを生じさせるためには角度αを0°を超えて14°以下にすれば良いことが図6の結果から判明したが、車椅子300に本歯車列100を適用する場合には、安全面からセルフロックを解除できることも望ましい。そこで、セルフロックが解除する所定角度よりも角度αを大きくできるように、第2の軸36を第2の歯車30に遊嵌させて角度αを変化可能にしている。第2の歯車が、第1の歯車20と第3の歯車40に容易に巻き込まれることができ、円滑にセルフロックを得るために第2の軸36を第2の歯車30に遊嵌させている。一方、ハンドリム314を操作して車輪320を逆転させる場合には、第3の歯車支持板236と第2の軸36の間に設けた所定の隙間252の分だけ、第2の軸36を、第2の歯車30の巻き込まれが解除される方向に引き上げることができる。これは、ハンドリム314を逆方向に回動させることで実現できる。
【0066】
セルフロック時の負荷は用いられる歯車20、30、40の歯面で担持されるので、車椅子300の場合には、少なくとも第3の歯車40に金属製歯車を用いて負荷に耐えさせる。なお、第3の歯車40と第3の軸46の回転摺動面における摩擦がセルフロックを生じさせる必須要件であることを上述した。そこで、歯車20、30、40の内径と軸26、36、46の外径部に積極的に摩擦を得られる支持構造を採用する。この構造は、すべての歯車20、30、40に採用してもよいが、少なくとも第3の歯車40と第3の軸46に適用する。
【0067】
第3の歯車40と第3の軸46に適用する回転トルク支持構造を、図9に示す。図9(a)は歯車20、30、40が嵌合する軸26、36、46の断面形状であり、本実施例では六角形である。なお、軸26、36、46の断面形状は六角形に限るものではなく、非円形である、三角形、四角形、五角形、八角形も使用できる。また、ポリゴン等の多円弧形状でもよい。しかしながら製造コスト等を考慮すると、四角形、六角形、八角形が最良である。
【0068】
一方、軸26、36、46に嵌合する歯車20、30、40の中心部には、図9(b)に示す軸26、36、46の外形に応じた、多角形の穴28、38、48が形成されている。この歯車20、30、40の穴28、38、48は歯面と一体に成形されるので、どのような穴でもよいが、軸20、30、40に相補的な非円形形状である。本実施例では、等間隔に配置された12個の角部を有する多角形穴28、38、48になっている。
【0069】
図9(c)は歯車20、30、40を軸26、36、46に嵌合した状態を示す図であり、嵌合状態では軸26、36、46の角部が歯車20、30、40の穴28、38、48の角部に当接して、歯車20、30、40と軸26、36、46間の周方向滑りを防止する。これにより、歯車20、30、40の歯面にセルフロックを破壊するような過大な力が負荷されても、歯車20、30、40の中心部でこの過大な力に抗して歯車20、30、40の回転を防止する。なお、歯車の内径と軸との嵌合部の摩擦を増すために、軸および/または歯車の内周面の表面粗さを粗くして嵌合部の摩擦力を増大させるようにしてもよい。
【0070】
図10に、角度αが8°~14°の場合に好適な、歯車列100の例を示す。第2、第3の歯車30、40を複数設けて、複数の歯車列系統を構成した場合である。複数の第2の歯車30、30、…には、それぞれ1個、すなわち全体として第2の歯車30と同数の第3の歯車40、40、…が噛み合っており、1個の第1の歯車20から第2の歯車30、次いで第3の歯車40へ回転力が伝達される。共通の第1の歯車20と各第2の歯車30および各第3の歯車40は歯車列系統を構成する。図10(a)では、歯車列系統62~66が3系統あり、図10(b)では歯車列系統72~78が4系統、図10(c)では歯車列系統82~92が6系統示されている。ここで、第1の歯車20と第2の歯車30と第3の歯車40の関係は、上述したセルフロックを発生する角度αに設定されている。
【0071】
歯車列系統62~66、72~78、82~92を複数個設けることにより、個々の歯車列系統のセルフロック確率が低くとも、歯車列100としてセルフロックする確率を100%にすることができる。また、各歯車列系統62~66、72~78、80~92を、第1の歯車20の周方向にほぼ等間隔に配置しているので、車椅子等に適用した場合には、車輪の回転にアンバランスを生じず、円滑な回転が期待できる。なお、これらの図では図示を省略しているが、第2の歯車30、30、…同士、第3の歯車40、40、…同士はキャリア等で連結されていて、第2の歯車30、30、…同士および第3の歯車40、40、…同士の周方向間隔は常に一定に保たれ、互いに独立した動きは制限されている。
【0072】
次に、図11を用いて本発明に係る歯車列100を、キャスタ400に適用した例を示す。キャスタ400は、例えば図1に示した車椅子300の前部の左右両側に配置され、キャスタ輪322を備えるキャスタ330である。本実施例では車椅子300のキャスタ330について説明するが、台車や椅子、家具等の底部に取り付けられるものであっても同様の構成および作用・効果を奏する。
【0073】
図11において、キャスタ400は、車椅子300のフレーム310の下部に取り付けるための主軸(ステム)410と、主軸410の下端部に取り付けられ、車輪450を回転自在に保持する分岐形状のフォーク412を有している。ステム410とフォーク412が互いに対して回動可能であるように、フォーク412の上端部には1対の転がり軸受422が配設されている。この軸受422により、ステムを車椅子300に取り付けた場合に、車椅子300は、座面に対して垂直な軸周り、すなわち地面に平行な面内で回動可能になる。
【0074】
フォーク412は、上下方向に斜めに延びる2側部412a、412bを有する。フォーク412のステム410への取付け部とは反対端部に、2側部412a、412bを横切る貫通穴が形成されている。この貫通穴には、歯車列100の第1の軸26が嵌合しており、第1の軸26とフォーク412は、キー402およびナット404を用いて互いに固定されている。第1の軸26の軸方向中間部には1対の軸受434、434が配設されており、第1の軸26周りに車輪450が回転することを可能にする。
【0075】
車輪450は、外周部にタイヤ係止溝が形成された円板状のキャスタホイール430と、キャスタホイール430に装架されたタイヤ432及び中実の樹脂製タイヤインサートまたは中空のチューブ436を含む。タイヤ432とチューブまたはタイヤインサート436は一体となった樹脂製円板であってもよい。キャスタホイール430は、内部に本発明に係る歯車列100を収容するために、軸方向に2つ割れ構造となっており、それぞれ左キャスタホイール430bと右キャスタホイール430aと呼ぶキャスタホイール430を有している。各キャスタホイール430a、430bの半径方向中心部には凹部が形成されており、両キャスタホイール430a、430bを組み合わせたときに歯車列100を収容する、収容空間440を形成する。
【0076】
歯車列100は図3に示した歯車列と同様であり、第1の軸26にキー406を用いてキー止めされた第1の歯車20を、中心部に有する。第1の歯車20の周囲部では、周方向にほぼ等間隔の位置で、3個の第2の歯車30が第1の歯車20と噛み合っている。各第2の歯車20の中心部には穴が形成されており、この穴に1mm弱の隙間を持って第2の軸36が回転自在に遊嵌している。各第2の歯車30にはそれぞれ1個の第3の歯車40が噛み合っている。第3の歯車40の中心部には穴が形成されており、この穴に第3の軸46が隙間嵌めで回転自在に嵌合している。それぞれ複数個の第2、第3の軸36、46は、それぞれの両軸端部において、ネジ416によりキャスタホイール430(430a、430b)に固定保持されている。
【0077】
このように構成したキャスタ400では、第2の歯車30の軸36が、キャスタホイール430(430a、430b)内で遊動できるので、セルフロックを生じる角度αを形成することができ、キャスタ400の逆転を防止できる。したがって、車椅子300の前部にキャスタ400を設けた場合には、キャスタ400は、ハンドリムの後退動でキャスタ輪432の回動を停止してロックする。そして、必要に応じてハンドリムで車椅子300自体を地面に平行な面内で回転させて方向転換すれば、キャスタ400がステム410周りに回動し、キャスタ400が順方向を向きセルフロックが解除される。
【0078】
以上説明したように、上記各実施例によれば第1~第3の歯車20、30、40を備える歯車列100において、第1~第3の歯車20、30、40の配置を、角度αが14°以下になるように配置したので、歯車列に所望のセルフロックを生じさせることが可能になる。また、第2の歯車30を簡単な構成で移動可能にしているので、セルフロックを容易に解除できる。
【0079】
なお、上記説明においては、車椅子とキャスタを移動手段の例にしたが、本発明の歯車列は車椅子とキャスタに限らず、自転車の変速機やDCモータ、玩具等、前後進または順逆回転する手段を有する広範囲の機械装置や機構に適用できる。
【符号の説明】
【0080】
10…出現頻度曲線、12、14、16…線分、20…第1の歯車(G1)、22…中心軸(軸心)、24…ピッチ円、26…第1の軸、28…(嵌合)穴、30…第2の歯車(G2)、32…中心軸(軸心)、34…ピッチ円、36…第2の軸、39…隙間、40…第3の歯車(G3)、42…中心軸(軸心)、44…ピッチ円、46…第3の軸、62~66、72~78、82~92…歯車列系統、100…歯車列、200…歯車列機構、202、204、206…軸受、212…(回り止め)ブラケット、212a…上板部、212b…立板部、212c…下板部、214、216…切り欠き部、218…貫通穴、222…(第2の歯車)保持板、232…スポーク板、234…ダストカバー、236…(第3の歯車)保持板、244、246…キー、250…(所定)隙間、252…隙間、300…車椅子、302…背もたれ部、302a…軸貫通部(角ラック)、302b…軸貫通穴、303…座面部、304…把持部(グリップ)、306…肘掛け部、308…フットレスト、310…フレーム、311…リム、312…タイヤ部、313…スポーク、314…ハンドリム、316…ハンドリム連結ステー、318…連結手段、320…車輪(移動手段)、322…キャスタ輪、324…ステム(支柱)、326…フォーク、330…キャスタ、400…キャスタ、402…キー、404…ナット、406…キー、410…支柱(ステム)、412…フォーク、416…ねじ、422…軸受、430a、430b…キャスタホイール、432…タイヤ、434…軸受、436…チューブまたはタイヤインサート、440…収容空間、450…車輪、α…歯車中心間がなす角度
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11