(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128756
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】貼り付け方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20220829BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220829BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H01L21/78 W
H01L21/78 M
H01L21/68 N
B26D3/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027149
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】木村 公
(72)【発明者】
【氏名】陳 曄
(72)【発明者】
【氏名】波岡 伸一
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 晋一
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA31
5F063AA41
5F063CB07
5F063CB24
5F063DD64
5F063DD69
5F063DD71
5F063DD73
5F063DD74
5F063DG04
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5F063DG25
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5F063EE34
5F063EE73
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5F131BA53
5F131EC33
5F131EC44
5F131EC63
5F131EC67
5F131EC68
5F131EC72
5F131EC75
(57)【要約】
【課題】テープがリングフレームから剥がれ難くなる様にテープをリングフレームに貼り付ける。
【解決手段】ワークが貼り付けられたテープをリングフレームに貼り付ける貼り付け方法であって、テープを四方に拡張する拡張ステップと、テープを拡張した状態で、リングフレームをテープに配置する配置ステップと、開口部の内周円に沿ってリングフレームの一面へテープを押圧することで、一面の第1の環状領域にテープを貼り付ける第1の貼り付けステップと、拡張されたテープの伸張を緩和させる緩和ステップと、一面のうち第1の環状領域の外側に位置する第2の環状領域に、テープを貼り付ける第2の貼り付けステップと、第1の環状領域よりも外側に位置するテープの所定位置に切り刃を切り込ませた状態で開口部の内周円に沿ってテープを円形に切り取ることで、円形領域と外周領域とにテープを分離する分離ステップと、を備える貼り付け方法を提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが貼り付けられたテープをリングフレームに貼り付ける貼り付け方法であって、
該テープを四方に拡張する拡張ステップと、
該テープを拡張した状態で、該ワークが該リングフレームの開口部に位置する様に、該リングフレームを該テープに配置する配置ステップと、
該配置ステップの後、該開口部の内周円に沿って該リングフレームの一面へ該テープを押圧することで、該一面の第1の環状領域に該テープを貼り付ける第1の貼り付けステップと、
該第1の貼り付けステップの後、拡張された該テープの伸張を緩和させる緩和ステップと、
該緩和ステップの後、該開口部の内周円に沿って該リングフレームの該一面へ該テープを押圧することで、該一面のうち該第1の環状領域の外側に位置する第2の環状領域に、該テープを貼り付ける第2の貼り付けステップと、
該第2の貼り付けステップの後、該第1の環状領域よりも外側に位置する該テープの所定位置に切り刃を切り込ませた状態で該開口部の内周円に沿って該テープを円形に切り取ることで、該ワーク及び該リングフレームと一体となった円形領域と、該円形領域の外側に位置する外周領域とに、該テープを分離する分離ステップと、
を備えることを特徴とする貼り付け方法。
【請求項2】
該分離ステップでは、該第2の環状領域に対応する該テープの対応領域の外周縁に該切り刃を切り込ませた状態で、該テープを円形に切り取ることを特徴とする請求項1に記載の貼り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークが貼り付けられたテープをリングフレームに貼り付ける貼り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面側に複数のデバイスが形成された半導体ウェーハ等のワークに対してレーザービームを照射することでワークの内部に脆弱な領域(所謂、改質層)を形成した後、ワークの裏面側に貼り付けられた矩形状の粘着テープ(以下、テープ)を四方に拡張することで、ワークを複数のデバイスチップに分割する方法が実用化されている。
【0003】
テープを拡張する際には、拡張装置が使用される。例えば、拡張装置は、それぞれ縦横の長さが異なる複数のデバイスチップ間に同程度の間隔を形成する際に、テープの縦方向と横方向とで拡張量が異なる様にテープを拡張する(例えば、特許文献1参照)。テープの拡張後、ワークの外側にリングフレームを貼り付けることで、拡張装置によるテープの拡張を解除した後も、デバイスチップ間の間隔が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、テープを拡張した際に、テープの基材層と共にテープの粘着層も四方に拡張されるので、粘着層の厚さが薄くなる。それゆえ、時間の経過と共にリングフレームに対する粘着力が低下し、最終的には、テープがリングフレームから剥がれてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、テープがリングフレームから剥がれ難くなる様にテープをリングフレームに貼り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ワークが貼り付けられたテープをリングフレームに貼り付ける貼り付け方法であって、該テープを四方に拡張する拡張ステップと、該テープを拡張した状態で、該ワークが該リングフレームの開口部に位置する様に、該リングフレームを該テープに配置する配置ステップと、該配置ステップの後、該開口部の内周円に沿って該リングフレームの一面へ該テープを押圧することで、該一面の第1の環状領域に該テープを貼り付ける第1の貼り付けステップと、該第1の貼り付けステップの後、拡張された該テープの伸張を緩和させる緩和ステップと、該緩和ステップの後、該開口部の内周円に沿って該リングフレームの該一面へ該テープを押圧することで、該一面のうち該第1の環状領域の外側に位置する第2の環状領域に、該テープを貼り付ける第2の貼り付けステップと、該第2の貼り付けステップの後、該第1の環状領域よりも外側に位置する該テープの所定位置に切り刃を切り込ませた状態で該開口部の内周円に沿って該テープを円形に切り取ることで、該ワーク及び該リングフレームと一体となった円形領域と、該円形領域の外側に位置する外周領域とに、該テープを分離する分離ステップと、を備える貼り付け方法が提供される。
【0008】
好ましくは、該分離ステップでは、該第2の環状領域に対応する該テープの対応領域の外周縁に該切り刃を切り込ませた状態で、該テープを円形に切り取る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る貼り付け方法では、リングフレームの一面の第1の環状領域にテープを貼り付ける第1の貼り付けステップの後、拡張されたテープの伸長を緩和する緩和ステップを行う。これにより、第1の環状領域の内側ではテープの伸張が保たれたまま、第1の環状領域の外側ではテープの伸張が緩和される。
【0010】
そして、緩和ステップ後に、第1の環状領域の外側に位置する第2の環状領域にテープを貼り付ける第2貼り付けステップを行う。第2の環状領域に貼り付けられたテープの粘着層の厚さは、第1の環状領域に対応する領域に比べて粘着層が厚いので、経時的なテープの粘着力の低下を抑制できる。それゆえ、粘着力が安定して発揮され、テープがリングフレームから剥がれ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】
図5(A)は第1の貼り付けステップを示す図であり、
図5(B)はワークユニットの上面図である。
【
図7】
図7(A)は第2の貼り付けステップを示す図であり、
図7(B)はワークユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、本実施形態の貼り付け方法で使用する拡張装置2について説明する。
図1は、拡張装置2の斜視図である。なお、
図1に示すX軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向(高さ方向)は互いに直交する。
【0013】
拡張装置2は、複数の構成要素を支持する基台4を有する。基台4の中央部には矩形状の開口4aが設けられている。開口4aの上方には、円板状のチャックテーブル(保持テーブル)6が配置される。チャックテーブル6は、金属製の枠体を有する。
【0014】
枠体には、円板状の凹部が形成されており、この凹部には円板状の多孔質セラミックスが固定されている。枠体には所定の流路(不図示)が形成されており、この流路にはエジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されている。
【0015】
吸引源を動作させると、多孔質セラミックスの上面には負圧が伝達される。多孔質セラミックス及び枠体の各上面は、後述するテープ15を吸引して保持する保持面として機能する。
【0016】
チャックテーブル6の側部には、4つのクランプ機構(不図示)が設けられている。4つのクランプ機構は、チャックテーブル6の周方向に沿って略等間隔に配置されており、テープ15の弛みを解消する程度にテープ15の四隅を引っ張る。
【0017】
チャックテーブル6の下部には、上下方向に昇降可能な円柱状の昇降ユニット8が連結されている。昇降ユニット8は、開口4aを通過する様にチャックテーブル6を昇降させる。
【0018】
昇降ユニット8の下部には、昇降ユニット8よりも大径の円板状の支持板(不図示)が設けられている。支持板は、昇降ユニット8と同心円状に配置されている。この支持板の下部には、モーター等の回転駆動源(不図示)が設けられている。
【0019】
回転駆動源は、基台4の下方に配置された移動板(不図示)に支持されている。移動板は、所定の方向に沿って配置された一対のガイドレール(不図示)にスライド可能に取り付けられている。移動板の下面側には、ナット部(不図示)が設けられている。
【0020】
ナット部には、ガイドレールと略平行に配置されたボールねじ(不図示)が回転可能に連結されている。ボールねじの一端部には、モーター(不図示)が連結されている。移動板、一対のガイドレール、ボールねじ、モーター等は、チャックテーブル6を水平方向(例えば、X軸方向)に移動させる移動機構を構成する。
【0021】
支持板に支持される態様で、チャックテーブル6の側部には、第1のローラー10(
図5(A)参照)、第2のローラー12(
図7(A)参照)、及び、切り刃14(
図8参照)が設けられている。
【0022】
第1のローラー10は、エアシリンダ10aの上端部に設けられている(
図5(A)参照)。第1のローラー10は、比較的小さい幅(円筒の長さ)を有する。第1のローラー10は、例えば、後述するリングフレーム17の径方向の幅(即ち、外径と内径との差)の1/9から1/7程度に対応する幅を有する。
【0023】
同様に、第2のローラー12は、エアシリンダ12aの上端部に設けられている(
図7(A)参照)。第2のローラー12は、比較的大きい幅を有する。第2のローラー12は、例えば、リングフレーム17の径方向の幅の6/7から8/9程度に対応する幅を有する。また、切り刃14は、エアシリンダ14aの上端部に設けられている(
図8参照)。
【0024】
エアシリンダ10a、12a、14aは、支持板の外周部に配置されている。回転駆動源を動作させれば、第1のローラー10、第2のローラー12及び切り刃14は、チャックテーブル6と共に、昇降ユニット8の周りに回転する。
【0025】
基台4の上方において、X軸方向の一端部には、第1の挟持ユニット20aが設けられている。第1の挟持ユニット20aは、移動プレート22を有する。移動プレート22は、基台4に設けられた案内溝4bにスライド可能に嵌合する突出部22aを有する。
【0026】
移動プレート22には、ボールねじ24が貫通する貫通穴が設けられており、このボールねじ24は、移動プレート22の下面に設けられたナット部(不図示)に対して回転可能に連結している。
【0027】
ボールねじ24の一端部には、パルスモーター26が設けられている。パルスモーター26を所定方向に回転させれば、移動プレート22は開口4aに近づき、パルスモーター26を所定方向の反対方向に回転させれば、移動プレート22は開口4aから遠ざかる。
【0028】
移動プレート22の一端部には、Z軸方向に延伸する支持柱28が設けられている。支持柱28の開口4a側の一側面には、凸部30が形成されている。凸部30には、上側アーム32及び下側アーム42の各凹部がスライド可能に嵌合している。
【0029】
上側アーム32の基端部には、ナット部34が設けられている。ナット部34は、凸部30に設けられた開口を通り、支持柱28の他面側に位置している。ナット部34には、Z軸方向に略平行に配置されたボールねじ36が回転可能に連結されている。
【0030】
ボールねじ36の上端部には、パルスモーター38が連結されている。パルスモーター38を所定方向に回転させれば、上側アーム32は下方に移動し、パルスモーター38を所定方向の反対方向に回転させれば、上側アーム32は上方に移動する。
【0031】
上側アーム32の先端部には、水平方向において上側アーム32の長手方向と直交する方向に長手部を有する直方体形状の上側挟持部32aが設けられている。上側挟持部32aには、その長手方向に沿って各々円柱状の複数のコロ(不図示)が設けられている。各コロの回転軸は、上側アーム32の長手方向と略平行に配置されている。
【0032】
下側アーム42の基端部には、ナット部44が設けられている。ナット部44は、凸部30に設けられた開口を通り、支持柱28の他面側に位置している。ナット部34には、Z軸方向に略平行に配置されたボールねじ46が回転可能に連結されている。
【0033】
ボールねじ46の下端部には、パルスモーター48が連結されている。パルスモーター48を所定方向に回転させれば、下側アーム42は上方に移動し、パルスモーター48を所定方向の反対方向に回転させれば、下側アーム42は下方に移動する。
【0034】
下側アーム42の先端部には、水平方向において下側アーム42の長手方向と直交する方向に長手部を有する直方体形状の下側挟持部42aが設けられている。下側挟持部42aには、その長手方向に沿って各々円柱状の複数のコロ42bが設けられている。各コロ42bの回転軸は、下側アーム42の長手部と略平行に配置されている。
【0035】
開口4aに対して第1の挟持ユニット20aの反対側には、第2の挟持ユニット20bが設けられている。第2の挟持ユニット20bの構造は、第1の挟持ユニット20aと略同じである。第1の挟持ユニット20a及び第2の挟持ユニット20bは、テープ15をX軸方向に拡張する機能を有する。
【0036】
同様に、Y軸方向において開口4aを間に挟む様に、第3の挟持ユニット20c及び第4の挟持ユニット20dが設けられている。第3の挟持ユニット20c及び第4の挟持ユニット20dは、それぞれ第1の挟持ユニット20aと略同じ構造を有し、テープ15をY軸方向に拡張する機能を有する。
【0037】
次に、
図2から
図8を参照して、ワーク11が貼り付けられたテープ15(
図3等参照)を、リングフレーム17(
図4等参照)に貼り付ける貼り付け方法について説明する。
図2は、貼り付け方法のフロー図である。
【0038】
本実施形態のワーク11は、IC(Integrated Circuit)等のデバイスが表面側に形成された半導体ウェーハである。但し、ワーク11には、分割予定ラインに沿って改質層が形成され、更にその後、裏面側が研削されている。
【0039】
具体的には、ワーク11の表面側に保護テープ(不図示)を貼り付けた状態で、ワーク11に対して改質層の形成と、裏面側の研削とを、順次行うことで、改質層を起点にクラックが、ワーク11の表面及び裏面まで到達している。
【0040】
研削後、ワーク11の表面側をチャックテーブル6で吸引保持した状態で、ワーク11の裏面側に、樹脂製のテープ15が貼り付けられる。テープ15は、基材層と、基材層の一面に設けられた粘着層(糊層)との、積層構造を有する。
【0041】
基材層は、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂で構成され、粘着層は、例えば、アクリル系、シリコーン系、ゴム系又はアクリル系の粘着剤で形成されている。
【0042】
テープ15の貼り付け後、チャックテーブル6の四方に設けられているクランプ機構でテープ15の四隅を挟持してテープ15の弛みを解消した状態で、ワーク11の表面側から、不図示の剥離機構で保護テープを剥離する。
【0043】
その後、移動機構により、開口4aの下方へチャックテーブル6を移動させ、更に、昇降ユニット8により、チャックテーブル6を第1の挟持ユニット20a等の略同じ高さまで上昇させる。
【0044】
次いで、第1の挟持ユニット20a、第2の挟持ユニット20b、第3の挟持ユニット20c、及び、第4の挟持ユニット20dによりテープ15の四辺を挟持した後、クランプ機構を解除する。これにより、ワーク11及びテープ15の積層体は、拡張装置2に引き渡される。
【0045】
この状態で、まず、第1の挟持ユニット20a及び第2の挟持ユニット20bを、開口4aから遠ざかる様に、X軸方向に沿って所定距離(例えば、10mm)だけ移動させる。次いで、第3の挟持ユニット20c及び第4の挟持ユニット20dを、開口4aから遠ざかる様に、Y軸方向に沿って所定距離(例えば、10mm)だけ移動させる。
【0046】
この様にして、テープ15を四方に拡張する(拡張ステップS10)。
図3は、拡張ステップS10を示す図である。なお、
図3以降の図面では、第3の挟持ユニット20c及び第4の挟持ユニット20dを省略している。
【0047】
ところで、拡張ステップS10では、Y軸方向に沿ってテープ15を拡張した後、X軸方向に沿ってテープ15を拡張してもよい。また、X軸方向のテープ15の拡張量と、Y軸方向のテープ15の拡張量とは、デバイスチップ13の形状に応じて適宜調整できる。
【0048】
拡張ステップS10の後、テープ15を拡張した状態を維持したまま、リングフレーム17をテープ15の粘着層側に配置する(配置ステップS20)。
図4は、配置ステップS20を示す図である。
【0049】
本実施形態では、円板状の吸着ユニット50で金属製のリングフレーム17の上面17a側を吸引保持して搬送し、リングフレーム17の開口部17bにワーク11が位置する様に、リングフレーム17をテープ15上に配置する。
【0050】
但し、配置ステップS20では、リングフレーム17をテープ15から微小距離(数mm。例えば、1mmから3mm)だけ離すことが好ましい。これにより、後述する緩和ステップS40において、テープ15は、その粘着層と共にスムーズに収縮できる。
【0051】
配置ステップS20の後、
図5(A)に示す様に、引き続きテープ15を拡張した状態を維持したまま、第1のローラー10をチャックテーブル6よりも上方に上昇させる。このとき、第1のローラー10は、リングフレーム17の下面(一面)17cのうち開口部17bの内周円近傍の一部を押圧する。
【0052】
この状態で、支柱16を回転させることで、開口部17bの内周円に沿って第1のローラー10でテープ15を押圧し、下面17cのうち開口部17bの内周円近傍に位置する第1の環状領域17c1にテープ15を貼り付ける(第1の貼り付けステップS30)。
【0053】
図5(A)は、第1の貼り付けステップS30を示す図である。第1の環状領域17c
1は、開口部17bの内周円から、リングフレーム17の幅の1/9から1/7程度まで、の範囲に設定される。例えば、第1の環状領域17c
1は、開口部17bの内周円から2mmから3mm程度の幅を有する領域である。
【0054】
第1の貼り付けステップS30により、ワーク11、テープ15及びリングフレーム17が一体化され、ワークユニット19が形成される。
図5(B)は、ワークユニット19の上面図である。なお、
図5(B)では、第1の環状領域17c
1の外周縁を破線で示す。
【0055】
しかし、第1の環状領域17c1では、基材層と共に粘着層も拡張されたテープ15が貼り付けられているので、時間の経過と共に、リングフレーム17に対する粘着力が低下し、テープ15がリングフレーム17から剥がれる恐れがある。
【0056】
そこで、本実施形態では、第1の貼り付けステップS30の後に、テープ15の伸張(即ち、テンション)を緩和させることで、テープ15をある程度収縮させる(緩和ステップS40)。
図6は、緩和ステップS40を示す図である。
【0057】
緩和ステップS40では、第1の挟持ユニット20aから第4の挟持ユニット20dの各々を、開口4aに近づく様に、拡張ステップS10の移動距離の略半分程度(例えば、5mm)だけ移動させる。
【0058】
緩和ステップS40の後、第2のローラー12を用いて、伸長が緩和された領域をリングフレーム17の下面17cに貼り付ける(第2の貼り付けステップS50)。
図7(A)は、第2の貼り付けステップS50を示す図である。
【0059】
第2の貼り付けステップS50では、第1のローラー10を下降させ、代わりに、第1のローラー10よりも幅が大きい第2のローラー12をチャックテーブル6よりも上方に上昇させ、第1の環状領域17c1よりも外側の領域を第2のローラー12で押圧する。
【0060】
第2のローラー12をテープ15に押し当てた状態で支柱16を回転させることで、開口部17bの内周円に沿って第2のローラー12でテープ15を押圧する。これにより、リングフレーム17のうち第1の環状領域17c1よりも外側に位置する第2の環状領域17c2にテープ15が貼り付けられる。
【0061】
なお、第2の貼り付けステップS50では、第2のローラー12で下面17c全体を押圧してもよく、第1の環状領域17c
1よりも外側のみを押圧してもよい。
図7(B)は、第2の貼り付けステップS50後のワークユニット19の上面図である。
図7(B)では、第2の環状領域17c
2の外周縁を破線で示す。
【0062】
第2の環状領域17c
2に貼り付けられたテープ15の対応領域15a(
図7(A)参照)では、第1の環状領域17c
1に対応するテープ15の領域に比べて粘着層が厚いので、経時的なテープ15の粘着力の低下を抑制できる。それゆえ、テープ15の粘着力が安定して発揮され、テープ15がリングフレーム17から剥がれ難くなる。
【0063】
第2の貼り付けステップS50の後、テープ15を円形に切り取り、円形領域15bと、円形領域15bの外側に位置する外周領域15cと、に分離する(分離ステップS60)。
図8は、分離ステップS60を示す図である。
【0064】
分離ステップS60では、第2のローラー12を下降させ、代わりに、切り刃14をチャックテーブル6よりも上方に上昇させる。そして、第1の環状領域17c1よりも外側に位置するテープ15の所定位置に切り刃14を切り込ませて、支柱16を回転させる。
【0065】
本実施形態では、テープ15の対応領域15aの外周縁に切り刃14を切り込んだ状態で支柱16を回転させ、開口部17bの内周円に沿ってテープ15を円形に切り取る。これにより、テープ15を円形領域15bと、外周領域15cと、に分離する。
【0066】
対応領域15aの外周縁を境にテープ15を切り取ることで、第2の環状領域17c2に貼り付けられたテープ15の対応領域15aを略全て残すことができる。それゆえ、例えば、第2の環状領域17c2の幅方向の略半分の位置でテープ15を切り取る場合に比べて、テープ15がリングフレーム17から剥がれ難くなる。
【0067】
分離ステップS60の後、テープ15の円形領域15bを介して、リングフレーム17でワーク11が支持されたワークユニット19は、吸着ユニット50により他の処理領域へ搬送され、次工程の処理が施される。
【0068】
本実施形態では、第2の環状領域17c2に対応するテープ15の対応領域15aの粘着層が、第1の環状領域17c1に対応するテープ15の領域の粘着層に比べて厚いので、経時的なテープ15の粘着力の低下を抑制できる。それゆえ、テープ15の粘着力が安定して発揮され、テープ15がリングフレーム17から剥がれ難くなる。
【0069】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、切り刃14として、ロータリーカッターの切り刃を用いることもできる。
【0070】
また、第2の貼り付けステップS50でテープ15が貼り付けられる下面17cの範囲の外径を、リングフレーム17の外周部の直線部分に対応する位置まで拡張することもできる。この様に、第2の環状領域17c2の径を大きくする程、テープ15の粘着力を確保できる。
【符号の説明】
【0071】
2:拡張装置、4:基台、4a:開口、4b:案内溝
6:チャックテーブル(保持テーブル)、8:昇降ユニット
10:第1のローラー、12:第2のローラー、14:切り刃
10a,12a,14a:エアシリンダ、16:支柱
11:ワーク、13:デバイスチップ
15:テープ、15a:対応領域、15b:円形領域、15c:外周領域
17:リングフレーム、17a:上面、17b:開口部
17c:下面(一面)、17c1:第1の環状領域、17c2:第2の環状領域
19:ワークユニット
20a:第1の挟持ユニット、20b:第2の挟持ユニット
20c:第3の挟持ユニット、20d:第4の挟持ユニット
22:移動プレート、22a:突出部
24:ボールねじ、26:パルスモーター、28:支持柱、30:凸部
32:上側アーム、32a:上側挟持部
34:ナット部、36:ボールねじ、38:パルスモーター
42:下側アーム、42a:下側挟持部、42b:コロ
44:ナット部、46:ボールねじ、48:パルスモーター、50:吸着ユニット